JP2014206490A - 除湿素子劣化検出装置および除湿素子劣化検出方法 - Google Patents

除湿素子劣化検出装置および除湿素子劣化検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】周辺の温度および湿度に依らず、除湿素子の高精度の性能評価を可能にする。【解決手段】除湿素子5の陽極3及び陰極4に接続され、1Hz以上の周波数で除湿素子5のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部8と、除湿素子5の陽極3および陰極4が接する空間に設置された2つの温湿度計7a,7bと、温湿度計7a,7bの測定値に基づき算出した2つの絶対水分量の平均値を除湿素子5の周辺絶対水分量とみなしその値と同一の絶対水分量の空間で予め測定し記憶された性能劣化のない除湿素子のインピーダンス参照値とインピーダンス測定部8で測定したインピーダンス値との比較により性能劣化を検出する性能劣化検出部9とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は除湿素子劣化検出装置および除湿素子劣化検出方法に関し、電子機器の筐体内部の湿度制御を目的として取り付けられた固体電解質膜を使用した除湿素子の性能低下を検出する除湿素子劣化検出装置および除湿素子劣化検出方法に関するものである。
ランプ、圧力装置、ECU(Electrical Control Unit)などの車両用電装部品や、携帯電話、カメラなどの電気製品の筐体には、筐体の外部から内部への水分浸入による湿度上昇を防止するために固体電解質膜を使用した除湿素子が取り付けられている。
固体電解質膜を使用した除湿素子の一例が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている除湿素子は、固体電解質膜と、固体電解質膜を狭持する陰極および陽極と、陰極および陽極に接続された直流電源とから構成される。直流電源により、陰極と陽極の間に直流電圧が印加されると、陽極側の大気側面では、水分が、下記の式(1)の反応により電気分解されて、大気側の水分が除去されると共に大気側に酸素が供給される。
2HO → O+ 4H + 4e (1)
このときに発生する水素イオンHは固体電解質膜を通って陰極に達する。また、電子eは直流電源を含む外部回路を通って陰極に達する。そして、下記の式(2)の反応により陰極側において酸素を消費しながら水を生成する。
+ 4H + 4e → 2HO (2)
陽極側を電気製品の筐体内部、陰極側を電気製品の筐体外部に面するように、電気製品の筐体に除湿素子を取り付けることにより、筐体内部の湿度を制御できる。しかしながら、電気製品の設置環境における急激な温度および湿度の変化や埃や海水等の付着により除湿素子の除湿性能は低下する可能性がある。
そこで、例えば特許文献2では、密閉容器に除湿素子を設置し、除湿素子を流れる電流変化から湿度減少の時定数を算出して、除湿素子の性能低下を判断する機能を有する湿度調整装置が提案されている。
また、例えば特許文献3では、除湿素子の陰極と陽極の間に周波数が1kHz以下で、水の理論分解電圧である1.23V以下の交流電圧を印加してインピーダンス測定を行い、除湿素子の性能低下を判断する除湿素子の評価方法が提案されている。
特開2000−51638号公報 特開平11−57388号公報 特開2004−8857号公報
特許文献1に記載の従来の除湿素子においては、急激な温度変化や湿度変化、あるいは、埃や海水等の付着により除湿素子の性能が低下する可能性があるにもかかわらず、除湿素子の性能低下の検出については全く意図されていないという問題点があった。
また、特許文献2では、除湿素子に直流電圧を印加した時に除湿素子を流れる電流変化により性能低下を判断しているが、除湿素子を流れる電流は除湿素子の周辺温湿度により変化するため、性能低下を正確に検出することは困難であるという問題点があった。
また、特許文献3では、1kHz以下の低周波数でのインピーダンス測定により除湿性能を評価する。このとき、水の理論分解電圧である1.23V以下の交流電圧でのインピーダンス測定により除湿性能を評価するため、除湿素子において上記の式(1)、(2)の反応が起こらない。そのため、陽極へのHOの供給速度や陰極へのOの供給速度を支配する除湿素子の周辺温湿度による性能評価への影響は低減できる。しかしながら、除湿素子における固体電解質膜の内部の絶対水分量は周辺の温度および湿度により変化する。固体電解質膜の絶対水分量変化によるインピーダンス変化は、性能劣化によるインピーダンス変化よりも大きいため、性能評価が正確にできないという問題点があった。さらに、1kHz以下(特に1Hz以下)の低周波数でのインピーダンス測定では、除湿素子の劣化初期過程で起こる固体電解質膜の導電特性変化を検出できないため、除湿性能の低下を早期に検出することが出来ないという問題点があった。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、周辺の温度および湿度に依らず、高精度の性能評価を可能とする除湿素子劣化検出装置および除湿素子劣化検出方法を提供することを目的としている。
本発明は、固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、前記除湿素子の前記陽極及び前記陰極が接する空間にそれぞれ設置され、それらの空間の温湿度をそれぞれ測定する2つの温湿度計と、前記除湿素子の前記陽極及び前記陰極に接続され、前記除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、前記2つの温湿度計により測定された前記温湿度の測定値および前記インピーダンス測定部により測定された前記除湿素子のインピーダンスの値を用いて、前記除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出部とを備え、前記性能劣化検出部は、インピーダンス参照値として、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を測定した測定結果を、当該測定を行った空間の絶対水分量ごとに予め記憶し、前記2つの温湿度計の前記測定値に基づき、前記陽極および前記陰極が接する2つの空間の絶対水分量を算出し、それらの絶対水分量の平均値を前記除湿素子の周辺絶対水分量とし、当該周辺絶対水分量の値と同一の絶対水分量における前記インピーダンス参照値を読み出し、前記インピーダンス測定部により測定された前記除湿素子のインピーダンスの値と、読みだした前記インピーダンス参照値との比較により、前記除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置である。
本発明は、固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、前記除湿素子の前記陽極及び前記陰極が接する空間にそれぞれ設置され、それらの空間の温湿度をそれぞれ測定する2つの温湿度計と、前記除湿素子の前記陽極及び前記陰極に接続され、前記除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、前記2つの温湿度計により測定された前記温湿度の測定値および前記インピーダンス測定部により測定された前記除湿素子のインピーダンスの値を用いて、前記除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出部とを備え、前記性能劣化検出部は、インピーダンス参照値として、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を測定した測定結果を、当該測定を行った空間の絶対水分量ごとに予め記憶し、前記2つの温湿度計の前記測定値に基づき、前記陽極および前記陰極が接する2つの空間の絶対水分量を算出し、それらの絶対水分量の平均値を前記除湿素子の周辺絶対水分量とし、当該周辺絶対水分量の値と同一の絶対水分量における前記インピーダンス参照値を読み出し、前記インピーダンス測定部により測定された前記除湿素子のインピーダンスの値と、読みだした前記インピーダンス参照値との比較により、前記除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であるので、周辺の温度および湿度に依らず、高精度の性能評価を可能にすることができる。
本発明の実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す構成図である。 本発明の実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明するフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置における電子機器筐体に設置された除湿素子の陽極面および陰極面に垂直な方向での固体電解質膜の内部の絶対水分量の分布を示す説明図である。 除湿素子のインピーダンスの周波数依存性を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す構成図である。 本発明の実施の形態2に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明するフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る除湿素子劣化検出装置における電子機器筐体に設置された除湿素子を長時間通電運転した後での陽極面および陰極面に垂直な方向での固体電解質膜の内部の絶対水分量の分布を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す構成図である。 本発明の実施の形態3に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明するフローチャートである。 本発明の実施の形態4に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す構成図である。 本発明の実施の形態4に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明するフローチャートである。 =10Hz、f=0.1Hzとして測定した除湿素子のインピーダンスの変化率Pを示す図である。 =10Hz、f=1000Hzとして測定した除湿素子のインピーダンスの変化率Pを示す図である。 本発明の実施の形態5に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す構成図である。 本発明の実施の形態5に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明するフローチャートである。 =0.1Hz、f=10Hz、f=1000Hzとして測定した除湿素子のインピーダンスの変化率PとPの差(P―P)を示す図である。 本発明の実施の形態6に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す構成図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す図である。本発明の実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置は、除湿素子の性能劣化を検出するための装置である。被検出対象の除湿素子5は、図1に示すように、電子機器(図示せず)を内部に収納する電子機器筐体1の通気穴1aに設置され、固体電解質膜2と、固体電解質膜2を狭持する陽極3および陰極4とから構成され、陽極3および陰極4に接続された直流電源6により直流電圧が印加されて運転されるものである。
実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置は、図1に示すように、電子機器筐体1の内部に設置され、筐体内部の温度および湿度を測定する温湿度計7aと、電子機器筐体1の外部に設置され、筐体外部の温度および湿度を測定する温湿度計7bと、陽極3および陰極4と接続され、1Hz以上の周波数で除湿素子5のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部8と、2つの温湿度計7aおよび7bの測定値に基づいて算出した2つの絶対水分量の平均値を除湿素子5の周辺絶対水分量とみなし、その値と同一の絶対水分量の空間で予め測定し記憶した性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値(以下、インピーダンス参照値とする。)と、性能劣化評価時にインピーダンス測定部8により測定した除湿素子5のインピーダンス値との比較により、除湿素子5の性能劣化を検出する性能劣化検出部9とから、構成されている。
電子機器筐体1は、電子機器を構成する部品等をその内部に納める筐体である。材質は、樹脂あるいは金属など任意のものを用いることができる。筐体を透過する水分を低減するためには、金属製のもの、例えばSUS(Steel Use Stainless)製のものを用いることが好ましい。形状は、除湿素子5を外面に取り付けることができれば、車載用のヘッドランプなどの曲線部を有するような形状を含め任意の形状のものを用いることができる。
直流電源6は、陽極3と陰極4との間に直流電圧を印加して、除湿素子5を動作させるための直流電源である。直流電源6として、通常2〜2.5Vの直流電圧を印加できる直流電源を用いることができる。
温湿度計7aは、電子機器筐体1の内部に設置され、筐体内部の温度および湿度を測定し、性能劣化検出部9へ通信ケーブルを介して測定値を送信する。
温湿度計7bは、電子機器筐体1の外部に設置され、筐体外部の温度および湿度を測定し、性能劣化検出部9へ通信ケーブルを介して測定値を送信する。
なお、車載の電子機器であって自動車に温湿度計が標準搭載されている場合には、自動車に標準搭載された温湿度計を代用することができ、その場合には、構成から温湿度計7aまたは7bのいずれかを省くことができる。自動車に搭載された温湿度計は、車外および車内どちらの温湿度を測定するためのものであっても用いることができる。ただし、車内の温湿度を測定するための温湿度計である場合は、自動車内の温度を制御するための空調機器を作動する前に、温湿度を測定し、その直後に性能劣化を評価することが好ましい。
インピーダンス測定部8は、陽極3および陰極4に接続され、1Hz以上の周波数で、除湿素子5のインピーダンスを測定するものである。従って、1Hz以上の周波数での測定が可能な市販のインピーダンスアナライザーを用いることができる。インピーダンス測定では、除湿素子5に交流電圧を印加するため、除湿素子5の陽極3と陰極4の極性が反転して、一定周期で陽極3が陰極、陰極4が陽極となり、性能劣化に繋がる可能性がある。そのため、印加電圧は極力小さくする必要があり、10mV程度とすることが好ましい。インピーダンス測定における周波数は、除湿素子5の固体電解質膜の導電特性の変化を明確に検出できるようにするために、1Hz以上とすることが好ましく、検出したい性能劣化度合いに応じて周波数を調節してもよい。
性能劣化検出部9は、温湿度計7aと、温湿度計7bと、インピーダンス測定部8とに、接続されている。性能劣化検出部9は、温湿度計7aおよび7bより電子機器筐体1の内部および外部の温湿度を取得することができる。また、性能劣化検出部9は、インピーダンス測定部8に固定周波数でのインピーダンス測定を実行する命令を出し、インピーダンス測定部8から、除湿素子5のインピーダンス値を取得することができる。また、性能劣化検出部9には、インピーダンス値のデータを記憶するための記憶装置(図示省略)が内蔵されており、当該記憶装置には、内部の温湿度を制御した密閉容器に、性能劣化のない状態の除湿素子を入れて、周辺絶対水分量を変化させながら、インピーダンスを測定して求めた、周辺絶対水分量ごとの性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値のデータが、インピーダンス参照値として、予め記憶されている。なお、「性能劣化のない除湿素子」とは、例えば、未使用品の除湿素子が挙げられる。インピーダンス参照値としては、被検出対象の除湿素子と同じ型の製品で且つ未使用品のものを用いてインピーダンス値の測定を行って、それをインピーダンス参照値とする。但し、製品ごとに誤差程度のインピーダンス値の多少のばらつきがある可能性を考慮すれば、被検出対象の除湿素子そのものを用いた方がより望ましい。従って、その場合には、被検出対象の除湿素子を、使用する前に(すなわち、未使用の段階で)、インピーダンス値の測定を行って、それをインピーダンス参照値とする。このように、同じ型の製品でインピーダンス参照値を作成するか、被検出対象の除湿素子そのものを用いてインピーダンス参照値を作成するかについては、費用対効果などを考慮して、適宜決定すればよい。以下の他の実施の形態でも同様である。性能劣化検出部9は、記憶装置に記憶されているインピーダンス参照値と、インピーダンス測定部8により測定した除湿素子5のインピーダンス値とを比較して、性能劣化を検出する。
以下、除湿素子5の構成について説明する。除湿素子5は、水を電気分解して酸素を発生する陽極3、水分を放出する陰極4、陽極3と陰極4とが対向する領域において水素イオンを輸送する固体電解質膜2から構成される電気化学素子である。
固体電解質膜2は、気体を透過せず、電気絶縁性があり、水および水素イオン(H)を伝導する材質、例えば、パーフルオロスルホン酸膜、ポリベンゾイミダゾール系イオン交換膜、ポリベンズオキサゾール系イオン交換膜、または、ポリアリーレンエーテル系イオン交換膜などを用いることができる。
陽極3は、基材と水の酸化反応を促進する酸化触媒から構成されている。基材としては、チタン(Ti)金属繊維の焼結体(例えば繊維径20μm、長さ50〜100mmの単繊維を織り込んで焼結体としたもの)からなる密度200g/cmの布(半径50mm、厚み300μm)や、チタン製の網目構造を持つエキスパンドメタルを用いることができる。基材の固体電解質膜2に接する面に触媒となる白金(Pt)または、酸化イリジウム(IrO)を0.25〜2mg/cmの密度でめっきすることにより陽極3を形成することができる。水の酸化反応は、基材上に形成された酸化触媒と固体電解質膜2の界面でのみ進行するので、基材としてエキスパンドメタルを用いる場合には、網目の密度が電解性能に影響する。具体的には、1インチあたり10個以上の穴が開いたエキスパンドメタルを用いることが好ましい。
陰極4は、炭素系基材と酸素の還元反応を促進する還元触媒から構成されている。炭素系基材としては、半径50mm、厚さ200μmの炭素繊維(例えば、繊維径約5〜50μm、空隙率50〜80%)を用いることができる。炭素繊維は、撥水化処理されている。
除湿素子5に接続される直流電源6は、陽極3と陰極4の間に連続的もしくは断続的に直流電圧を印加して除湿素子5において電気化学反応を起こさせるものである。電子機器筐体1の内部の水は固体電解質膜2に吸収され、固体電解質膜2内を拡散し、固体電解質膜2で水が保持される。
陽極3では、供給された水が、下記の式(3)で示すように、酸素(O)と水素イオン(H)とに分けられる。直流電源6により電圧を印加すると、電流が流れ、陽極3の表面から酸素が発生する。
2HO → O+ 4H + 4e (3)
陰極4に対して空気などの酸素(O)を含有するガスが供給されると、陰極4上で固体電解質膜2と界面に達した水素イオン(H)と酸素ガス(O)が反応し、下記の式(4)で示す還元反応によって水(HO)が発生する。
+ 4H + 4e → 2HO (4)
以下に、実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置の動作について説明する。
図2は、実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明するフローチャートである。以下、図2に沿って実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明する。
まず、図2に示すように、ステップS1で、除湿素子5を直流電源6により所定時間(好ましくは5分以上)だけ通電運転する。ここでの通電時間は、好ましくは、5分以上であるが、5〜10分程度の短時間とする。次に、その直後に、ステップS2で、除湿素子5のインピーダンスと、電子機器筐体1の内部および外部の温湿度とを測定する。除湿素子5を所定時間の通電運転した直後に、これらの値を測定するのは、除湿素子5の固体電解質膜2の内部の絶対水分量を、電子機器筐体1の内部および外部の絶対水分量に応じた値に制御するためである。但し、除湿素子5の周辺温湿度が一定時間(15分程度)以上安定していた場合は、この工程は省くことができる。
以下、ステップS2の測定方法について説明する。
まず、性能劣化検出部9により、インピーダンス測定部8に除湿素子5のインピーダンス測定を実行する指令を出す。それに応じて、インピーダンス測定部8は、予め設定された固定周波数(1Hz以上)、印加電圧(10mV程度)で、除湿素子5のインピーダンスを測定する。性能劣化検出部9は、インピーダンス測定部8から測定結果を受け取り、そのインピーダンス値をZとして、性能劣化検出部9に内蔵された記憶装置に保存する。
こうしてインピーダンスを測定した直後に、性能劣化検出部9は、電子機器筐体1の内部の温湿度を温湿度計7aにより測定し、電子機器筐体1の外部の温湿度を温湿度計7bにより測定する。
次に、ステップS3において、性能劣化検出部9は、温湿度計7aで測定した温湿度より、電子機器筐体1の内部の絶対水分量Minを算出し、性能劣化検出部9に内蔵された記憶装置に保存する。また、電子機器筐体1の外部についても同様に、性能劣化検出部9は、温湿度計7bにより測定した温湿度より、電子機器筐体1の外部の絶対水分量Moutを算出し、性能劣化検出部9に内蔵された記憶装置に保存する。なお、絶対水分量Minおよび絶対水分量Moutの算出方法としては、例えば、温度の値および湿度の値に対応させて絶対水分量の値を記憶したテーブルを予め用意しておき、当該テーブルから、測定した温度および湿度の値に対応する絶対水分量を求めるようにすればよい。
図3は、電子機器筐体1に設置された除湿素子5の陽極面および陰極面に垂直な方向での固体電解質膜2の内部の絶対水分量の分布を示す図である。図3のように、固体電解質膜2の内部の絶対水分量は、電子機器筐体1の内部と外部の絶対水分量Min、Moutにより決定され、陽極3および陰極4の表面に垂直な方向に一定の変化の割合の勾配を持っている。したがって、固体電解質膜2の全体での絶対水分量は、電子機器筐体1の内部と外部における絶対水分量の平均値に一致すると考えられる。以上より、本実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置では、除湿素子5の固体電解質膜2の内部の絶対水分量Rを、電子機器筐体1の内部と外部における絶対水分量の平均値として扱うことができる。すなわち、以下の式(5)が成り立つ。
R=(Min+Mout)/2 (5)
そこで、ステップS4において、性能劣化検出部9は、上記の式(5)を用いて、ステップS3で求めた電子機器筐体1の内部と外部の絶対水分量Min、Moutに基づいて、除湿素子5の固体電解質膜2の内部の絶対水分量Rを算出する。
次に、ステップS5で、性能劣化検出部9は、記憶装置から、ステップS4で求めた絶対水分量Rにおけるインピーダンス参照値Z(すなわち、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値Z)を読み出す。
次に、ステップS6で、性能劣化検出部9は、ステップS2で測定した除湿素子5のインピーダンス値Zと、ステップS5で記憶装置から読み出したインピーダンス参照値Zとを比較して、除湿素子5の性能劣化を、以下の判定基準に基づき判定する。
すなわち、性能劣化に伴いインピーダンスは増大すると考えられるので、ZとZの間にはZ≧Zの関係がある。従って、判定基準は、Z=Zの時は、除湿素子5に性能劣化なし、Z>Zの時は、除湿素子5に性能劣化あり、として性能劣化を検出することができる。
性能劣化のない除湿素子5を電子機器筐体1に取り付けた直後に測定したインピーダンスZは、Z=Zの関係を満たすと考えられる。しかし、製造における微妙な差異によりZとZは一致しない可能性がある。したがって、性能劣化のない除湿素子5を電子機器筐体1に取り付けた直後に測定したインピーダンスZに基づき、以下の式(6)により、補正係数αを求め、性能劣化検出部9の記憶装置に記録されたインピーダンス参照値Zに乗じて、インピーダンス参照値Zを補正した上で、ステップS6の判定を行うことがより好ましい。
α=Z/Z (6)
(実施例1)
以下、本実施の形態1における実施例について説明する。
図4は、絶対水分量9.5mg/Lの密閉空間において測定した除湿素子5のインピーダンスの周波数依存性を示す図である。除湿素子5としては、未使用品、除湿性能が11%低下した劣化品、除湿性能が62%低下した劣化品、および、除湿性能が82%低下した劣化品を用いた。図4において、細い実線が未使用品、(1)が除湿性能が11%低下した劣化品、(2)が除湿性能が62%低下した劣化品、(3)が除湿性能が82%低下した劣化品のグラフを示す。
また、インピーダンスの測定では、周波数を0.1Hz〜100kHz、印加する交流電圧を10mVとした。
図4の結果から、除湿性能が62%および82%低下した劣化品の除湿素子では、全周波数に亘って、未使用品よりもインピーダンスが大きくなっていることがわかる。一方、除湿性能が11%低下した劣化初期過程と考えられる除湿素子では、1Hz以下では未使用品とインピーダンスが一致しており、1Hz以上で未使用品よりもインピーダンスが増大していることがわかる。
1Hz以下の低周波数でのインピーダンス測定では、交流電圧の極性反転が遅く、直流電流に近い特性が現れており、水分解反応に関わるインピーダンスが検出されていると考えられる。一方、1Hzよりも周波数が大きくなると、交流電圧の極性反転が速いため、除湿素子の固体電解質膜の導電特性に関わるインピーダンスが検出されていると考えられる。除湿性能が11%低下した除湿素子では、劣化に伴い固体電解質膜の導電特性が低下したが、劣化の程度が小さいため、水分解反応に関わるインピーダンスは変化していないと考えられる。一方、除湿性能が62%および82%低下した除湿素子では、劣化の程度が大きいため、固体電解質膜の導電特性の低下だけでなく、水分解反応に関わるインピーダンスの増大も発生していると考えられる。
これらの結果より、除湿性能劣化の初期過程では、固体電解質膜の導電特性が劣化すると考えられる。また、この固体電解質膜の導電特性の変化を明確に検出するためには、1Hz以上の周波数を用いることができると考えられる。1〜10Hzにおいても導電特性変化は検出できるが、図4における未使用品と11%性能低下した除湿素子のインピーダンス値の差異より、10Hz以上とすることが好ましいと考えられる。
実施例1で示した除湿素子に対して適用するインピーダンス測定の周波数は、次のようにまとめられる。すなわち、劣化度合60%以上の除湿素子を検出するには1Hz以上が好ましく、劣化度合い11%以上60%以下の除湿素子を検出するには10Hz以上が好ましく、劣化度合い11%以下の除湿素子を検出するには1Hz以上が好ましいことが分かった。また、図4に示すように、100Hz以上では周波数が大きくなるほど、11%性能低下と62%性能低下のインピーダンスの差が小さくなる傾向が確認された。劣化度合い11%以下と60%以上の差異を明確に区別して性能劣化を検出するためには、周波数は100Hz以下とすることが好ましい。
許容される劣化度合いは、除湿素子が使用される環境条件や除湿素子の長期信頼性設計に依存するので、上記の劣化度合いの境界値は相対的なものである。
実施例1で示す交流インピーダンスを用いた除湿素子劣化の評価法は、除湿素子の劣化プロセスの進行に伴い、特にその初期過程においては除湿素子の導電特性が選択的に変化することに着目したものである。また、除湿素子の劣化評価においては、除湿素子の周辺環境の湿度によって変化する素子構成部品の固体電解質膜の内部の絶対水分量が大きく影響することを、本実施例によって見出すことができた。
上記の交流インピーダンス法で得られた測定値を除湿素子の周辺環境から推算した固体電解質膜の内部の絶対水分量によって補正することで、本発明の目的である除湿素子の劣化プロセスの初期過程を検出することが初めて可能となった。
本実施例で示したように、実用上想定される除湿素子の劣化を検知するためには、インピーダンス測定の周波数は1Hz以上が望ましい。除湿素子の性能が半減する期間を設計寿命と定義すると、設計寿命が1年以上の除湿素子における劣化を検知するには、10Hz以上が望ましい。また、設計寿命が3年以上または5年以上の除湿素子における劣化を検知するには、それぞれ100Hz以上、1kHz以上に調節することが望ましい。
以上のように、本実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置は、固体電解質膜2とその両側に設けられた陽極3及び陰極4とから構成された除湿素子5の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、除湿素子5の陽極3及び陰極4が接する空間にそれぞれ設置され、それらの空間の温湿度を測定する2つの温湿度計7a,7bと、除湿素子5の陽極3及び陰極4に接続され、除湿素子5のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部8と、2つの温湿度計7a,7bの測定値およびインピーダンス測定部8により測定された除湿素子5のインピーダンスZの値を用いて、除湿素子5の性能劣化を検出する性能劣化検出部9とを備えている。性能劣化検出部9は、インピーダンス参照値Zとして、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を測定した測定結果を、当該測定を行った空間の絶対水分量ごとに予め記憶し、2つの温湿度計7a,7bの測定値に基づき、陽極3および陰極4が接する2つの空間の絶対水分量Min,Moutを求め、それらの絶対水分量Min,Moutの平均値((Min+Mout)/2)を除湿素子5の周辺絶対水分量Rとし、当該周辺絶対水分量Rの値と同一の絶対水分量におけるインピーダンス参照値Zを読み出し、インピーダンス測定部8により測定された除湿素子5のインピーダンスZの値と、読みだしたインピーダンス参照値Zとの比較により、除湿素子5の性能劣化を検出する構成とした。当該構成により、以上説明したように、本実施の形態1に係る除湿素子劣化検出装置によると、2つの温湿度計7a,7bの測定値に基づき算出した2つの絶対水分量の平均値の絶対水分量の雰囲気内で予め測定し記憶された性能劣化のない素子のインピーダンス参照値Zとインピーダンス測定部8により測定したインピーダンス値Zとの比較により、除湿素子5の劣化判定を行うようにしたので、周辺温湿度の変化によるインピーダンスへの影響を低減できるので、高精度の性能評価が可能となる。また、周波数を1Hz以上にして、除湿素子5のインピーダンスを測定することにより、除湿素子5の性能劣化初期過程で起こる固体電解質膜2の導電特性変化を捉えることができるので、性能劣化を早期に検出することができる。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す図である。本発明の実施の形態2に係る除湿素子劣化検出装置は、除湿素子5を長時間運転した後に性能劣化の検出を実施することを特徴とし、電子機器筐体1の外部に設置され、筐体外部の温度および湿度を測定する温湿度計7bと、陽極3および陰極4と接続され、1Hz以上の周波数で除湿素子5のインピーダンスZを測定するインピーダンス測定部8と、温湿度計7bの測定値に基づき除湿素子5の絶対水分量Rを算出し、その値と同一の絶対水分量の空間で予め測定し記憶された性能劣化のない除湿素子のインピーダンス参照値Zと、評価時にインピーダンス測定部8により測定した除湿素子5のインピーダンスZとの比較により性能劣化を検出する性能劣化検出部9Aとを有する。
上記の実施の形態1の構成との差異点は、電子機器筐体1の内部に設置された温湿度計7aを有しない点と、性能劣化検出部9Aの動作が性能劣化検出部9と異なる点である。本実施の形態は、温湿度計の数を1つにした場合でも、高精度で除湿性能を評価できることを特徴とする。
なお、図1に示す実施の形態1と同じ構成および同じ動作については、ここでは詳細な説明を省略する。
図6は、本発明の実施の形態2に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明するフローチャートである。以下、図6に沿って実施の形態2に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明する。
図6に示すように、まず、ステップS11で、除湿素子5を直流電源6により所定時間(好ましくは1時間以上)通電運転する。上記の実施の形態1においては、5分以上の短時間の間、通電運転を行うと説明したが、本実施の形態2においては、上記の実施の形態1よりも長い時間の間、通電運転を行う。好ましくは、1〜2時間程度である。次に、その直後に、ステップS12で、除湿素子5のインピーダンスZと、電子機器筐体1の外部の温湿度を測定する。なお、除湿素子5を長時間の動作後に、これらの値を測定するのは、電子機器筐体1の内部の絶対水分量を限りなくゼロに近づけるためである。そのため、性能劣化の検出の精度を向上するためには、測定前の通電運転を十分長くすることが好ましい。すなわち、通電運転を行う所定時間は、電子機器筐体1の内部の絶対水分量が略ゼロになるのに十分な時間と定義される。ただし、測定直前に長時間にわたる通常の除湿素子5による除湿運転が行われていた場合は、測定のために長時間の通電運転を別途する必要はなく、通常の除湿運転直後に測定を実施することができる。
以下、ステップS12の測定方法について説明する。
まず、性能劣化検出部9Aにより、インピーダンス測定部8に除湿素子5のインピーダンス測定を実行する指令を出す。それに応じて、インピーダンス測定部8は、予め設定された固定周波数(1Hz以上)、印加電圧(10mV程度)で、除湿素子5のインピーダンスを測定する。性能劣化検出部9は、インピーダンス測定部8より測定結果を受け取り、そのインピーダンス値をZとして性能劣化検出部9に内蔵された記憶装置に保存する。
こうしてインピーダンスを測定した直後に、性能劣化検出部9は、電子機器筐体1の外部の温湿度を温湿度計7bにより測定する。
次に、ステップS13において、性能劣化検出部9Aは、温湿度計7bで測定した温湿度より電子機器筐体1の外部の絶対水分量Moutを算出し、性能劣化検出部9Aに内蔵された記憶装置(図示省略)に保存する。なお、絶対水分量Moutの算出方法としては、上記の実施の形態1と同様の方法により算出すればよい。
図7は、電子機器筐体1に設置された除湿素子5を長時間通電運転した後での陽極面および陰極面に垂直な方向での固体電解質膜2の内部の絶対水分量の分布を示す図である。図7に示すように、除湿素子5を長時間通電運転した後の電子機器筐体1の内部の絶対水分量Min’は除湿素子5の長期運転中の運転条件と電子機器筐体1に存在する通気穴1aの面積に依存して変化する。なぜなら、長期運転中の通電電流が大きく、除湿能力が高ければMin’は小さくなり、電子機器筐体1に存在する通気穴1aの面積が大きければ、外気との湿度の交換量が増加するため、Min’は増加するからである。除湿能力Pw(g/hr)を有する除湿素子5を、通気穴1aの面積がSl(cm)の電子機器筐体1に設置して使用する場合は、Min’は、例えば、以下の式(7)で求めることができる。ここで、除湿能力とは、単位時間あたりに除湿できる水分量(重量)である。なお、除湿能力Pw(g/hr)は、実際に測定して予め求めておいてもよいが、設計値を用いるようにしてもよい。また、通気穴1aの面積Sl(cm)は設計値を用いることとする。
Figure 2014206490
ここで、C(g/cm)、C(g/cm)、C(cm/hr)は、以下の式(7−1),(7−2),(7−3)を満たす。
−1=0.42 (7−1)
−1=19.2 (7−2)
=0.24 (7−3)
したがって、この場合の、上記の実施の形態1で示した式(5)で表される除湿素子5の固体電解質膜の絶対水分量Rは、以下の式(8)のように近似することができる。
R=(Min’+Mout)/2 (8)
そこで、ステップS14において、性能劣化検出部9Aは、まず、上記の式(7)を用いて、電子機器筐体1の内部の絶対水分量Min’を推定し、次に、上記の式(8)を用いて、推定したMin’と、ステップS13で求めた電子機器筐体1の外部の絶対水分量Moutとに基づいて、除湿素子5の固体電解質膜2の内部の絶対水分量Rを算出する。
次に、ステップS15で、性能劣化検出部9Aは、記憶装置から、ステップS14で求めた絶対水分量Rにおけるインピーダンス参照値Z(すなわち、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値Z)を読み出し、ステップS16で、上記の実施の形態1の動作と同様の方法により、性能劣化を行う。
以上のように、本実施の形態2に係る除湿素子劣化検出装置は、固体電解質膜2とその両側に設けられた陽極3及び陰極4とから構成された除湿素子5の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、除湿素子5の陰極4が接する空間に設置され、当該空間の温湿度を測定する温湿度計7bと、除湿素子5の陽極3及び陰極4に接続され、除湿素子5のインピーダンスZを測定するインピーダンス測定部8と、温湿度計7bの測定値およびインピーダンス測定部8により測定された除湿素子5のインピーダンスZの値を用いて、除湿素子5の性能劣化を検出する性能劣化検出部9Aとを備えている。性能劣化検出部9Aは、インピーダンス参照値Zとして、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を測定した測定結果を、当該測定を行った空間の絶対水分量ごとに予め記憶装置に記憶している。性能劣化検出部9Aは、温湿度計7bの測定値に基づき陰極4が接する空間の絶対水分量Moutを算出し、陰極4が接する空間の絶対水分量Moutと除湿素子5の除湿能力とに基づき、陽極3が接する空間の絶対水分量Min’を求め、陰極4が接する空間の絶対水分量Moutと陽極3が接する空間の絶対水分量Min’との平均値を、除湿素子5の周辺絶対水分量Rとし、当該周辺絶対水分量Rの値と同一の絶対水分量におけるインピーダンス参照値Zを読み出し、インピーダンス測定部8により測定された除湿素子5のインピーダンスZの値と読みだしたインピーダンス参照値Zとの比較により、除湿素子5の性能劣化を検出する構成とした。これにより、本実施の形態2に係る除湿素子劣化検出装置によると、ステップS11の工程に時間がかかるため、性能劣化評価にかかる時間が長くなる場合があるが、温湿度計1つの構成で、実施の形態1と同様に、除湿素子5の劣化初期過程で起こる固体電解質膜2の特性変化の検出により性能低下を早期に検出することができ、周辺温湿度に依らず、高精度での性能評価が可能となる。
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す図である。本発明の実施の形態3に係る除湿素子劣化検出装置は、陽極3および陰極4と接続され、1Hz未満および1Hz以上の固定周波数での除湿素子5のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部8Bと、1Hz未満の周波数で測定したインピーダンス値により除湿素子5の絶対水分量を算出し、その値と同一の絶対水分量の空間で予め1Hz以上の周波数で測定し記憶された性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値(以下、インピーダンス参照値とする。)と、評価時に1Hz以上の周波数で測定した除湿素子5のインピーダンス値との比較により、除湿素子5の性能劣化を検出する性能劣化検出部9Bとを有することを特徴とする。
上記の実施の形態1の構成との差異点は、1Hz未満の周波数と1Hz以上の周波数の2つの周波数領域における固定周波数でのインピーダンスを測定し、1Hz未満でのインピーダンス値により除湿素子5の絶対水分量を算出し、1Hz以上でのインピーダンス値により性能劣化を検出する点、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を上記の1Hz以上の周波数で測定した測定結果を当該測定を行った空間の絶対水分量ごとにインピーダンス参照値Zとして予め記憶している点、および、電子機器筐体1の内部および外部に設置された温湿度計7a、7bを有しない点であり、温湿度計を使用しなくても、高精度で除湿性能を評価できることを特徴とする。
なお、図1に示す実施の形態1と同じ構成および同じ動作については、ここでは詳細な説明を省略する。
本実施の形態3におけるインピーダンス測定部8Bは、1Hz未満および1Hz以上の2つの周波数領域における2つ以上の固定周波数でのインピーダンスを測定できるものである必要がある。1Hz未満および1Hz以上の2つの周波数領域のそれぞれにおいて少なくとも1つの固定周波数でのインピーダンス測定ができればよい。ただし、1Hz未満の周波数については、インピーダンス測定時の除湿素子に流れる電流が直流電流と見なせるような条件となるように、可能な限り交流電圧の極性反転の遅い低周波数とし、具体的には0.1Hz程度とすることが好ましい。
図9は、実施の形態3に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明するフローチャートである。以下、図9に沿って実施の形態3に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明する。ここでは、簡単のため、1Hz未満および1Hz以上の2つの周波数領域のそれぞれにおいて1つの固定周波数を用いた場合について説明する。それぞれの周波数領域において2つ以上の固定周波数を用いた場合も、以下と同様の方法を用いることができる。
まず、図9に示すように、ステップS21で、性能劣化検出部9Bにより、インピーダンス測定部8Bに2つの固定周波数、すなわち、第1の周波数f(f<1Hz)および第2の周波数f(f≧1Hz)における、除湿素子5のインピーダンスZ(f)、Z(f)を測定する指令を出し、インピーダンス測定部8から測定結果を受け取る。
次に、ステップS22で、性能劣化検出部9は、ステップS21の測定結果のうちの、第1の周波数fで測定したインピーダンスZ(f)を用いて、下記の式(9)により、インピーダンス測定時に除湿素子5に流れる電流値Iを算出する。
I=V/Z(f) (9)
ここで、Vはインピーダンス測定部8においてインピーダンス測定時に除湿素子5に印加される交流電圧の電圧値である。第1の周波数fは、1Hz未満の低周波数であり、交流電圧の極性反転は遅く直流電圧を印加した場合に近く、第1の周波数fでのインピーダンス測定時の除湿素子5には電流値Iの直流電流が流れたと見なすことができる。すなわち、低周波数でのインピーダンス測定により、除湿素子に流れる直流電流の値を求めることができる。
次に、ステップS23で、性能劣化検出部9Bは、ステップS22で算出した上記の電流値Iを用いて、以下の式により固体電解質膜2の絶対水分量Rを求める。
R=β×I (10)
ここで、βは比例係数である。絶対水分量Rは除湿素子に流れる直流電流の値に比例すると考えられることから、所定の絶対水分量Rの空間に設置された除湿素子について、第1の周波数fおよび電圧Vでインピーダンス測定をすることによりβを予め求めることができる。ただし、性能劣化の程度が進んだ場合にはβは変化すると考えられる。この影響のために、本実施の形態3では性能劣化が進んだ状態の検出の精度は低くなる可能性があるが、少なくとも、性能劣化の初期過程を高精度に検出することは可能であると考えられる。
次に、ステップS24で、ステップS23で式(10)により算出した固体電解質膜の絶対水分量Rと同一の絶対水分量の空間で、かつ、第2の周波数fで測定した、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス参照値Zを、性能劣化検出部9Bの記憶装置(図示省略)より読み出し、ステップS25で、実施の形態1の動作説明においてZをZ(f)に読み替えることにより、実施の形態1の動作説明と同様の方法により性能劣化を評価する。
以上のように、本実施の形態3に係る除湿素子劣化検出装置は、固体電解質膜2とその両側に設けられた陽極3及び陰極4とから構成された除湿素子5の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、除湿素子5の陽極3及び陰極4に接続され、1Hz未満の第1の周波数fおよび1Hz以上の第2の周波数fで、除湿素子5のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部8Bと、インピーダンス測定部8Bにより測定された除湿素子5の2つのインピーダンスの値を用いて、除湿素子5の性能劣化を検出する性能劣化検出部9Bとから構成されている。性能劣化検出部9Bは、インピーダンス参照値Zとして、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を、第2の周波数fと同じ周波数で測定した測定結果を、当該測定を行った空間の絶対水分量ごとに予め記憶装置に記憶している。性能劣化検出部9Bは、第1の周波数fで測定したインピーダンス値により除湿素子5の絶対水分量Rを算出し、絶対水分量Rの値と同一の絶対水分量の空間で第2の周波数fと同じ周波数で測定されたインピーダンス参照値Zを読み出し、インピーダンス測定部8Bにより第2の周波数fで測定された除湿素子5のインピーダンスZ(f)と、読みだしたインピーダンス参照値Zとの比較により、除湿素子5の性能劣化を検出する構成とした。これにより、本実施の形態3に係る除湿素子劣化検出装置によると、温湿度計を用いることなく、周辺温湿度の変化による除湿素子のインピーダンスへの影響を低減して、周辺温湿度に依らず、高精度で除湿素子5の性能評価が可能となる。
実施の形態4.
図10は、実施の形態4に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す図である。実施の形態4に係る除湿素子劣化検出装置は、陽極3および陰極4と接続され、2つ以上の固定周波数で除湿素子5のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部8Cと、測定したインピーダンスの周波数依存性から性能劣化を検出する性能劣化検出部9Cとを有することを特徴とする。
上記の実施の形態1の構成との差異点は、2つ以上の固定周波数でインピーダンス測定をする点、性能劣化検出部9が、性能劣化がない除湿素子のインピーダンスを2つ以上の異なる周波数で予め測定し、当該測定値から周波数変化によるインピーダンスの変化率を求め、インピーダンスの変化率の参照値Pとして記憶している点、および、電子機器筐体1の内部および外部に設置された温湿度計7a、7bを有しない点であり、温湿度計を使用しなくても、高精度で除湿性能を評価できることを特徴とする。
本実施の形態4におけるインピーダンス測定部8Cは、2つ以上の固定周波数におけるインピーダンスを測定できるものである必要がある。2つ以上の固定周波数のうち1つは10Hzであり、もう1つは1Hz以下または100Hz以上であることが好ましい。
なお、図1に示す実施の形態1と同じ構成および同じ動作については、ここでは詳細な説明を省略する。
図11は、実施の形態4に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明するフローチャートである。以下、図11に沿って実施の形態4に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明する。ここでは、インピーダンス測定部8Cにおける2つ以上の固定周波数としては、簡単のため、2つの固定周波数を用いた場合について説明するが、3つ以上の固定周波数を用いた場合も、以下と同様の方法を用いることができる。
以下では、2つの固定周波数の例として、第1の周波数を周波数f(f=10Hz)とし、第2の周波数を周波数f(f≦1Hzまたはf≧100Hz)として説明する。
まず、図11に示すように、ステップS31において、性能劣化検出部9Cは、インピーダンス測定部8Cに、2つの固定周波数、すなわち、第1の周波数f(f=10Hz)および第2の周波数f(f≦1Hzまたはf≧100Hz)における除湿素子5のインピーダンスZ(f)、Z(f)を測定する指令を出し、インピーダンス測定部8から測定結果を受け取る。
次に、ステップS32において、性能劣化検出部9Cは、インピーダンス測定部8から受け取ったインピーダンスZ(f)、Z(f)を用いて、下記の式(11)により、周波数変化によるインピーダンスの変化率Pを算出する。
P=|logZ(f)―logZ(f)|/|logf−logf| (11)
インピーダンスZ(f)、Z(f)のそれぞれは、除湿素子5の周囲温湿度の影響を受けて変化する固体電解質膜2の絶対水分量により変化する。また、性能劣化が発生していない場合は、インピーダンスZ(f)、Z(f)は、固体電解質膜2の絶対水分量の変化量に応じていずれも等しく一定値だけインピーダンスが変化すると考えられる。一方、性能劣化が発生すると、水分解反応にかかわるインピーダンスおよび固体電解質膜2の導電特性の変化に応じて、2つのインピーダンスは周波数に応じてそれぞれ異なる値だけ変化すると考えられる。すなわち、性能劣化に伴ってインピーダンスの周波数依存性が変化すると考えられる。具体的には、図4より、除湿素子のインピーダンスの周波数依存性には10Hz付近に変曲点があり、劣化に伴い、インピーダンスの変化率Pの値は、10Hz以下では減少し、10Hz以上では増大すると考えられる。
以上より、性能劣化評価時に測定したインピーダンスの変化率Pと、除湿素子5の設置直後に測定し性能劣化検出部9の記憶装置に保存された性能劣化がない除湿素子5での周波数変化によるインピーダンスの変化率の参照値Pとを比較することにより、除湿素子5の周辺温湿度変化の影響を低減して、性能劣化を検出できる。
そこで、ステップS33において、性能劣化検出部9Cは、性能劣化評価時に測定したインピーダンスの変化率Pと、性能劣化検出部9の記憶装置に記憶されたインピーダンスの変化率の参照値Pとを比較することにより、除湿素子5の性能劣化を判定する。具体的には、P=Pの時は性能劣化なし、P≠Pの時は性能劣化ありとして、除湿素子5の性能劣化を検出する。
(実施例2)
図12は、第1の周波数f=10Hz、および、第2の周波数f=0.1Hzとして測定した除湿素子5のインピーダンスの変化率Pを示す図である。また、図13は、第1の周波数f=10Hz、および、第2の周波数f=1000Hzとして測定した除湿素子5のインピーダンスの変化率Pを示す図である。除湿素子としては、未使用品、除湿性能が11%低下した劣化品、除湿性能が62%低下した劣化品、および、除湿性能が82%低下した劣化品を用いた。インピーダンス測定では、印加する交流電圧を10mVとした。
図12に示すように、第2の周波数をf=0.1Hzとした場合には、性能劣化に伴いインピーダンスの変化率Pが減少した。一方、図13に示すように、第2の周波数をf=1000Hzとした場合には、性能劣化に伴いインピーダンスの変化率Pが増大した。図12及び図13のいずれにおいても、未使用品と性能劣化した除湿素子との間には、インピーダンスの変化率Pの値に差異が確認された。従って、本実施の形態4に係る除湿素子劣化検出装置により、性能劣化を検出できると考えられる。また、図12の第2の周波数をf=0.1Hzとした場合の方が、未使用品と11%性能劣化の間のインピーダンスの変化率Pの差異は明確となった。従って、2つの固定周波数f(f=10Hz)、f(f≦1Hzまたはf≧100Hz)としては、f=10Hzおよびf≦1Hzとすることが好ましいと考えられる。
以上のように、本実施の形態4に係る除湿素子劣化検出装置は、固体電解質膜2とその両側に設けられた陽極3及び陰極4とから構成された除湿素子5の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、除湿素子5の陽極3及び陰極4に接続され、2つ以上の異なる周波数で除湿素子5のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部8Cと、インピーダンス測定部8Cにより2つ以上の異なる周波数で測定された除湿素子5の2以上のインピーダンスの値を用いて、周波数変化によるインピーダンスの変化率Pを求め、測定したインピーダンスの周波数依存性に基づいて、除湿素子5の性能劣化を検出する性能劣化検出部9とを備える構成とした。なお、本実施の形態では、性能劣化検出部9が、性能劣化がない除湿素子のインピーダンスを2つ以上の異なる周波数で予め測定し、当該測定値から周波数変化によるインピーダンスの変化率を求め、インピーダンスの変化率の参照値Pとして記憶しており、インピーダンス測定部8Cで測定したインピーダンスの値から求めたインピーダンスの変化率Pと、記憶装置に記憶されたインピーダンスの変化率の参照値Pとを比較することにより、それらの一致性に基づいて、除湿素子5の性能劣化を検出する。当該構成により、本実施の形態4に係る除湿素子劣化検出装置によると、温湿度計を用いることなく、周辺温湿度の変化による除湿素子のインピーダンスへの影響を低減して、周辺温湿度に依らず、高精度での除湿素子5の性能評価が可能となる。
実施の形態5.
図14は、実施の形態5に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す図である。実施の形態5に係る除湿素子劣化検出装置は、陽極3および陰極4と接続され、3つ以上の固定周波数で除湿素子5のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部8Dと、インピーダンスの周波数依存性における変曲点の有無により性能劣化を検出する性能劣化検出部9Dとを有することを特徴とする。
上記の実施の形態1の構成との差異点は、インピーダンスの周波数依存性における変曲点の有無により性能劣化を検出する点、電子機器筐体1の内部および外部に設置された温湿度計7a、7bを有しない点であり、温湿度計を使用しなくても、高精度で除湿性能を評価できることを特徴とする。
本実施の形態5におけるインピーダンス測定部8Dは、3つ以上の固定周波数におけるインピーダンスを測定できるものである必要がある。図4より除湿素子のインピーダンスの周波数依存性における変曲点は周波数1〜10Hz付近に存在すると考えられることから、変曲点の有無を高精度に検出するためには、3つの固定周波数、すなわち、第1、第2、第3の周波数f、f、f(f<f<f、単位:Hz)の間には、以下の式が成り立つようにすることが好ましい。
100×f≦f (12)
1≦f≦10 (13)
100×f≦f (14)
3つ以上の固定周波数の場合には、その1組の周波数に含まれる少なくとも3つの固定周波数について上記の式(12)〜(14)が満たされることが好ましい。
なお、図1に示す実施の形態1と同じ構成および同じ動作については、ここでは詳細な説明を省略する。
図15は、実施の形態5に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明するフローチャートである。以下、図15に沿って実施の形態5に係る除湿素子劣化検出装置の動作を説明する。ここでは、インピーダンス測定部8Dにおける3つ以上の固定周波数としては、簡単のため、3つの固定周波数、第1〜第3の周波数を用いた場合について説明する。4つ以上の固定周波数を用いた場合も、以下と同様の方法を用いることができる。
図15に示すように、まず、ステップS41で、性能劣化検出部9Dは、インピーダンス測定部8に式(12)〜式(14)を満たす3つの固定周波数f、f、fにおける除湿素子5のインピーダンスZ(f)、Z(f)、Z(f)を測定する指令を出し、インピーダンス測定部8Dから測定結果を受け取る。
次に、ステップS42で、性能劣化検出部9Dは、インピーダンス測定部8Dから受け取ったインピーダンスZ(f)、Z(f)、Z(f)を用いて、以下の式(15),(16)により、周波数変化によるインピーダンスの変化率PおよびPを算出する。
=|logZ(f)―logZ(f)|/|logf−logf| (15)
=|logZ(f)―logZ(f)|/|logf−logf| (16)
なお、インピーダンスの変化率Pは、上記の式(15)に示す通り、第1の周波数と第2の周波数で測定したインピーダンスZ(f)、Z(f)を用いて、算出されている。また、インピーダンスの変化率Pは、上記の式(16)に示す通り、第2の周波数と第3の周波数で測定したインピーダンスZ(f)、Z(f)を用いて、算出されている。なお、この場合に限らず、第1の周波数および第3の周波数で測定したインピーダンスZ(f)、Z(f)を用いて、周波数変化によるインピーダンスの変化率を求めるようにしてもよい。このように、本実施の形態5においては、インピーダンス測定部8Dにより3つ以上の異なる周波数で測定された除湿素子5の3以上のインピーダンスの値の中から、重複しない2以上のインピーダンスの値を含む組を少なくとも2つ生成し、各組ごとに周波数変化によるインピーダンスの変化率を求め、それらのインピーダンスの変化率の一致性により、除湿素子5の性能劣化を検出する。
図4より、性能劣化のない未使用品の除湿素子のインピーダンスの周波数依存性には、1〜10Hz付近に変曲点があり、式(11)の周波数変化によるインピーダンスの変化率は1〜10Hz前後で変化することがわかる。一方、劣化の進んだ82%性能低下した除湿素子では変曲点がなく、式(11)の周波数変化によるインピーダンスの変化率は1〜10Hzの前後で変化しないことがわかる。
1Hz以下の低周波数でのインピーダンス測定では、交流電圧の極性反転が遅く、直流電流に近い特性が現れており、水分解反応に関わるインピーダンスが検出されていると考えられる。一方、1Hzよりも周波数が大きくなると、交流電圧の極性反転が速いため、除湿素子の固体電解質膜の導電特性に関わるインピーダンスが検出されていると考えられる。性能劣化のない未使用品の除湿素子では、これらの周波数範囲の違いにより抽出される除湿素子のインピーダンス特性の差異が明確であるため、1〜10Hz付近に変曲点が現れると考えられる。一方、性能劣化が進んだ除湿素子では、水分解反応性の低下および固体電解質膜の導電性の低下によりインピーダンスが全周波数にわたって増大したと考えられる。特に、水分解反応性の低下により、除湿素子は水分解反応等を生じることのない単純な電極と固体電解質膜とからなる系となったと考えられる。このような単純な電極と固体電解質膜とからなる系でインピーダンス測定により抽出される特性は、固体電解質膜の導電特性のみであると考えられる。その結果、性能劣化のない未使用品の除湿素子において周波数範囲の違いにより抽出されるようなインピーダンス特性の差異は検出されず、性能劣化の進んだ除湿素子で抽出されるインピーダンス特性は固体電解質膜の導電特性のみとなり変曲点が消失したと考えられる。
以上にように、性能劣化前は変曲点が存在するが、劣化に伴い変曲点がなくなると考えられる。すなわち、除湿素子のインピーダンスの周波数依存性において、変曲点がある場合は性能劣化なし、変曲点がない場合は性能劣化ありというように、変曲点の有無により性能劣化の有無を評価できると考えられる。
除湿素子のインピーダンスの周波数依存性における変曲点の有無は、式(15)、(16)で求めたPおよびPの一致性により判定できると考えられる。すなわち、P≠Pの場合は変曲点あり(性能劣化なし)、P=Pの場合は変曲点なし(性能劣化あり)と判定できる。
そこで、ステップS43で、性能劣化検出部9は、以上のメカニズムを用いて、ステップS42で式(15)、(16)により算出したPおよびPを用いて、それらの一致性により性能劣化を検出する。具体的には、P≠Pの場合は性能劣化なし、P=Pの場合は性能劣化ありとして性能劣化を検出する。
なお、下記の実施例3で示すように、PとPとの値が全く同じでなくても、許容範囲内であれば、変曲点なし(性能劣化あり)と判定できるようにしてもよい。すなわち、PとPとの一致性に許容範囲γを設定(γは、検出される性能劣化の度合いに合わせて適宜設定)し、PとPとの差が許容範囲γ内であれば、変曲点なし(性能劣化あり)と判定できるようにしてもよい。すなわち、|P−P|≦γのときに、変曲点なし(性能劣化あり)、|P−P|>γの場合は変曲点あり(性能劣化なし)と判定するようにしてもよい。
(実施例3)
図16は、3つの固定周波数としての第1〜第3の周波数を、それぞれ、f=0.1Hz、f=10Hz、f=1000Hzとして測定した除湿素子のインピーダンスの変化率PとPの差(P―P)を示す図である。除湿素子としては、未使用品、除湿性能が11%低下した劣化品、除湿性能が62%低下した劣化品、および、除湿性能が82%低下した劣化品を用いた。インピーダンス測定では、印加する交流電圧を10mVとした。
図16に示すように、性能劣化に伴いインピーダンスの変化率の差(P―P)は小さくなる傾向が確認された。これにより、PとPの一致性により、性能劣化を検出できると考えられる。11%性能劣化では(P―P)≒0.2となっていることから、11%以上の性能劣化を検出するためには、P=P+d(d=0.2)となった時に性能劣化ありと判定すればよい。また、dの値により、検出される性能劣化の度合いを設定することができる。例えば、d=0.05とした時は、性能劣化が62%に至った場合を検出できると考えられる。
以上のように、本実施の形態5に係る除湿素子劣化検出装置は、固体電解質膜2とその両側に設けられた陽極3及び陰極4とから構成された除湿素子5の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、除湿素子5の陽極3及び陰極4に接続され、3つ以上の異なる周波数で除湿素子5のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部8Dと、インピーダンス測定部8Dにより上記の3つ以上の異なる周波数で測定された除湿素子5のインピーダンスの値の中から、重複しない2以上のインピーダンスの値を含む組を少なくとも2つ生成し、各組ごとに周波数変化によるインピーダンスの変化率を求め、それらのインピーダンスの変化率を比較し、それらの一致性に基づいて、除湿素子5の性能劣化を検出する性能劣化検出部とを備えた構成とした。当該構成により、本実施の形態5に係る除湿素子劣化検出装置によると、温湿度計を用いることなく、周辺温湿度の変化による除湿素子のインピーダンスへの影響を低減して、周辺温湿度に依らず、高精度での性能評価が可能となる。
実施の形態6.
図17は、実施の形態6に係る除湿素子劣化検出装置の構成を示す図である。実施の形態6に係る除湿素子劣化検出装置は、メンテナンス時などに電子機器筐体1から取り外した除湿素子5の性能劣化を検出するための装置であって、内部絶対水分量が制御され、内部に性能劣化検出対象の除湿素子5が設置される密閉容器10と、除湿素子5の陽極3と陰極4と接続され、1Hz以上の固定周波数での除湿素子5のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部8と、インピーダンス測定部8により測定した除湿素子5のインピーダンスZの値と、絶対水分量が制御された密閉容器10の内部に設置された性能劣化のない除湿素子について1Hz以上の固定周波数で予め測定して性能劣化検出部9に記憶されたインピーダンス参照値Zとの比較により、除湿素子5の性能劣化を検出する性能劣化検出部9とを有する。
密閉容器10は、絶対水分量が既知の気体または液体により内部が満たされている。密閉容器10の内部の気体または液体中には、除湿素子5の性能劣化を引き起こすNaやMg等のイオンなどの不純物が含まれていないことが好ましい。具体的には、気体としてはある一定量だけ純水を含む窒素ガス、液体としては純水などを用いることができる。密閉容器10の材質としては、水分が容器を透過して内部の絶対水分量が変化することを防ぐために、金属製(例えば、SUS製)とすることが好ましい。
他の構成については、実施の形態1と同様のものを用いることができる。また、それに限らず、実施の形態2〜5で示した除湿素子劣化検出装置の構成を適用してもよい。
次に、本実施の形態6にかかる除湿素子劣化検出装置の動作について説明する。
まず、除湿素子5を電子機器筐体1から取り外し、密閉容器10の内部に入れる。性能劣化検出部9から、インピーダンス測定部8に、除湿素子5のインピーダンスZを測定する指令が出される。これにより、予め設定された固定周波数(1Hz以上)および印加電圧(10mV程度)により、除湿素子5のインピーダンスZが測定される。この時、密閉容器10の内部空間の絶対水分量は一定であるため、除湿素子5の固体電解質膜2の導電特性を高精度に測定することができる。性能劣化検出部9の記憶装置(図示省略)には、性能劣化のない除湿素子について上記と同一の内部絶対水分量の密閉容器内で、同一の固定周波数、同一の印加電圧で測定したインピーダンス参照値Zのデータが予め保存されている。性能劣化検出部9は、インピーダンス測定部8からインピーダンスZを受け取り、インピーダンスZとインピーダンス参照値Zの比較により性能劣化を検出する。具体的には、Z=Zの時は性能劣化なし、Z>Zの時は性能劣化ありとして性能劣化を検出できる。
以上のように、本実施の形態6に係る除湿素子劣化検出装置は、メンテナンス時などに電子機器筐体1から取り外された除湿素子5の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、当該除湿素子5は、固体電解質膜2とその両側に設けられた陽極3及び陰極4とから構成された除湿素子5の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、内部絶対水分量が制御され、内部に前記除湿素子を設置する密閉容器10と、除湿素子5の陽極3と陰極4と接続され、1Hz以上の固定周波数での除湿素子5のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部8と、絶対水分量が制御された密閉容器10の内部に設置された性能劣化のない除湿素子5について1Hz以上の固定周波数で予めインピーダンスを測定した測定結果をインピーダンス参照値として予め記憶し、インピーダンス測定部8により測定した除湿素子5のインピーダンスZと予め記憶されたインピーダンス参照値Zとの比較により、除湿素子5の性能劣化を検出する。これにより、除湿素子5を絶対水分量を制御した空間(密閉容器10)に設置して、1Hz以上の周波数でインピーダンス測定することにより、除湿素子5のインピーダンス値への周辺温湿度変化による影響を取り除き、高精度に性能劣化の有無を検出することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態1〜6の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
1 電子機器筐体、1a 通気穴、2 固体電解質膜、3 陽極、4 陰極、5 除湿素子、6 直流電源、7a 温湿度計、7b 温湿度計、8,8B,8C,8D インピーダンス測定部、9,9A,9B,9C,9D 性能劣化検出部、10 密閉容器。

Claims (14)

  1. 固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、
    前記除湿素子の前記陽極及び前記陰極が接する空間にそれぞれ設置され、それらの空間の温湿度をそれぞれ測定する2つの温湿度計と、
    前記除湿素子の前記陽極及び前記陰極に接続され、前記除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
    前記2つの温湿度計により測定された前記温湿度の測定値および前記インピーダンス測定部により測定された前記除湿素子のインピーダンスの値を用いて、前記除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出部と
    を備え、
    前記性能劣化検出部は、
    インピーダンス参照値として、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を測定した測定結果を、当該測定を行った空間の絶対水分量ごとに予め記憶し、
    前記2つの温湿度計の前記測定値に基づき、前記陽極および前記陰極が接する2つの空間の絶対水分量を算出し、それらの絶対水分量の平均値を前記除湿素子の周辺絶対水分量とし、
    当該周辺絶対水分量の値と同一の絶対水分量における前記インピーダンス参照値を読み出し、
    前記インピーダンス測定部により測定された前記除湿素子のインピーダンスの値と、読みだした前記インピーダンス参照値との比較により、前記除湿素子の性能劣化を検出する
    除湿素子劣化検出装置。
  2. 固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、
    前記除湿素子の前記陰極が接する空間に設置され、前記空間の温湿度を測定する温湿度計と、
    前記除湿素子の前記陽極及び前記陰極に接続され、前記除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
    前記温湿度計により測定された前記温湿度の測定値および前記インピーダンス測定部により測定された前記除湿素子のインピーダンスの値を用いて、前記除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出部と
    を備え、
    前記性能劣化検出部は、
    インピーダンス参照値として、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を測定した測定結果を、当該測定を行った空間の絶対水分量ごとに予め記憶し、
    前記温湿度計の前記測定値に基づき前記陰極が接する空間の絶対水分量を算出し、
    当該陰極が接する空間の絶対水分量と前記除湿素子の除湿能力とに基づき、前記陽極が接する空間の絶対水分量を算出し、
    前記陰極が接する空間の絶対水分量と前記陽極が接する空間の絶対水分量との平均値を、前記除湿素子の周辺絶対水分量とし、
    当該周辺絶対水分量の値と同一の絶対水分量における前記インピーダンス参照値を読み出し、
    前記インピーダンス測定部により測定された前記除湿素子のインピーダンスの値と、読みだした前記インピーダンス参照値との比較により、前記除湿素子の性能劣化を検出する
    除湿素子劣化検出装置。
  3. 前記インピーダンス測定部におけるインピーダンス測定時に、前記除湿素子に印加される交流電圧の周波数は1Hz以上である
    請求項1または2に記載の除湿素子劣化検出装置。
  4. 固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、
    前記除湿素子の前記陽極及び前記陰極に接続され、1Hz未満の第1の周波数および1Hz以上の第2の周波数で、前記除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
    前記インピーダンス測定部により測定された前記除湿素子の2つのインピーダンスの値を用いて、前記除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出部と
    を備え、
    前記性能劣化検出部は、
    インピーダンス参照値として、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を、前記第2の周波数と同一の周波数で測定した測定結果を、当該測定を行った空間の絶対水分量ごとに予め記憶し、
    前記第1の周波数で測定したインピーダンス値に基づいて前記除湿素子の絶対水分量を算出し、
    当該絶対水分量の値と同一の絶対水分量の空間で前記第2の周波数と同じ周波数で測定された前記インピーダンス参照値を読み出し、
    前記インピーダンス測定部により前記第2の周波数で測定された前記除湿素子のインピーダンスの値と、読みだした前記インピーダンス参照値との比較により、前記除湿素子の性能劣化を検出する
    除湿素子劣化検出装置。
  5. 固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、
    前記除湿素子の前記陽極及び前記陰極に接続され、複数の異なる周波数で前記除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
    前記インピーダンス測定部により測定された前記除湿素子の複数のインピーダンスの値を用いて、周波数変化によるインピーダンスの変化率を求め、当該変化率に基づいて、前記除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出部と
    を備えた除湿素子劣化検出装置。
  6. 前記インピーダンス測定部は、2つ以上の異なる周波数で前記除湿素子のインピーダンスを測定し、
    前記性能劣化検出部は、
    インピーダンスの変化率の参照値として、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を前記2つ以上の異なる周波数で測定した測定結果から算出した周波数変化によるインピーダンスの変化率を予め記憶し、
    前記インピーダンス測定部により前記2つ以上の異なる周波数で測定された前記除湿素子の2以上のインピーダンスの値を用いて、周波数変化によるインピーダンスの変化率を算出し、
    算出した当該インピーダンスの変化率と前記インピーダンスの変化率の参照値との比較により、前記除湿素子の性能劣化を検出する
    請求項5に記載の除湿素子劣化検出装置。
  7. 前記インピーダンス測定部は、3つ以上の異なる周波数で前記除湿素子のインピーダンスを測定し、
    前記性能劣化検出部は、
    前記インピーダンス測定部により前記3つ以上の異なる周波数で測定された前記除湿素子のインピーダンスの値の中から、重複しない2以上のインピーダンスの値を含む組を少なくとも2つ生成し、
    各組ごとに周波数変化によるインピーダンスの変化率を求め、
    それらのインピーダンスの変化率の比較により、前記除湿素子の性能劣化を検出する
    請求項5に記載の除湿素子劣化検出装置。
  8. 固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出装置であって、
    内部絶対水分量が制御された密閉容器と、
    前記密閉容器の内部に設置された前記除湿素子の前記陽極と前記陰極とに接続され、1Hz以上の固定周波数で前記除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
    前記インピーダンス測定部により測定された前記除湿素子のインピーダンスの値を用いて、前記除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出部と
    を備え、
    前記性能劣化検出部は、
    インピーダンス参照値として、性能劣化のない除湿素子を前記密閉容器の内部に設置し、当該除湿素子のインピーダンス値を前記固定周波数と同一の周波数で測定した測定結果を予め記憶し、
    前記インピーダンス測定部により測定した前記除湿素子のインピーダンス値と予め記憶された前記インピーダンス参照値との比較により、前記除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出器と
    を備えた除湿素子劣化検出装置。
  9. 固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出方法であって、
    インピーダンス参照値として、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を測定した測定結果を、当該測定を行った空間の絶対水分量ごとに記憶装置に予め記憶するインピーダンス参照値記憶ステップと、
    前記被検出対象の除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定ステップと、
    前記被検出対象の除湿素子の前記陽極及び前記陰極が接する空間の温湿度をそれぞれ測定する温湿度測定ステップと、
    前記温湿度の測定値に基づき、前記陽極および前記陰極が接する2つの空間の絶対水分量を求め、それらの絶対水分量の平均値を前記被検出対象の除湿素子の周辺絶対水分量として求める周辺絶対水分量算出ステップと、
    当該周辺絶対水分量の値と同一の絶対水分量における前記インピーダンス参照値を前記記憶装置から読み出すインピーダンス参照値読出ステップと、
    測定された前記被検出対象の除湿素子のインピーダンスの値と、読み出した前記インピーダンス参照値との比較により、前記被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出ステップと
    を備えた除湿素子劣化検出方法。
  10. 固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出方法であって、
    インピーダンス参照値として、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を測定した測定結果を、当該測定を行った空間の絶対水分量ごとに記憶装置に予め記憶するインピーダンス参照値記憶ステップと、
    前記被検出対象の除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定ステップと、
    前記被検出対象の除湿素子の前記陰極が接する空間の温湿度を測定する温湿度測定ステップと、
    前記温湿度の測定値に基づき前記陰極が接する空間の絶対水分量を算出する陰極側絶対水分量算出ステップと、
    当該陰極が接する空間の絶対水分量と前記被検出対象の除湿素子の除湿能力とに基づき、前記陽極が接する空間の絶対水分量を算出する陽極側絶対水分量算出ステップと、
    前記陰極が接する空間の絶対水分量と前記陽極が接する空間の絶対水分量との平均値を、前記被検出対象の除湿素子の周辺絶対水分量として算出する周辺絶対水分量算出ステップと、
    当該周辺絶対水分量の値と同一の絶対水分量における前記インピーダンス参照値を前記記憶装置から読み出すインピーダンス参照値読出ステップと、
    測定された前記被検出対象の除湿素子のインピーダンスの値と、読み出した前記インピーダンス参照値との比較により、前記被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出ステップと
    を備えた除湿素子劣化検出方法。
  11. 固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出方法であって、
    インピーダンス参照値として、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を、1Hz以上の周波数で測定した測定結果を、当該測定を行った空間の絶対水分量ごとに記憶装置に予め記憶するインピーダンス参照値記憶ステップと、
    1Hz未満の第1の周波数および前記1Hz以上の周波数と同じ周波数の第2の周波数とで、前記被検出対象の除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定ステップと、
    前記第1の周波数で測定したインピーダンス値により前記被検出対象の除湿素子の絶対水分量を算出する絶対水分量算出ステップと、
    当該絶対水分量の値と同一の絶対水分量の空間で前記第2の周波数と同じ周波数で測定された前記インピーダンス参照値を前記記憶装置から読み出すインピーダンス参照値読出ステップと、
    前記インピーダンス測定ステップにより前記第2の周波数で測定された前記被検出対象の除湿素子のインピーダンスの値と、読み出した前記インピーダンス参照値との比較により、前記被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出ステップと
    を備えた除湿素子劣化検出方法。
  12. 固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出方法であって、
    インピーダンスの変化率の参照値として、性能劣化のない除湿素子のインピーダンス値を2つ以上の異なる周波数で測定した測定結果から算出した周波数変化によるインピーダンスの変化率を記憶装置に予め記憶するインピーダンス変化率参照値記憶ステップと、
    前記2つ以上の異なる周波数と同じ2つ以上の周波数で前記被検出対象の除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定ステップと、
    前記インピーダンス測定ステップにより得られた前記被検出対象の除湿素子の2以上のインピーダンスの値を用いて、周波数変化によるインピーダンスの変化率を算出するインピーダンス変化率算出ステップと、
    算出した当該インピーダンスの変化率と前記記憶装置に記憶された前記インピーダンスの変化率の参照値との比較により、前記被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出ステップと
    を備えた除湿素子劣化検出方法。
  13. 固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出方法であって、
    3つ以上の異なる周波数で前記被検出対象の除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定ステップと、
    前記インピーダンス測定ステップにより前記3つ以上の異なる周波数で測定された前記被検出対象の除湿素子のインピーダンスの値の中から、重複しない2以上のインピーダンスの値を含む組を少なくとも2つ生成する組生成ステップと、
    前記組ごとに、周波数変化によるインピーダンスの変化率を求めるインピーダンス変化率算出ステップと、
    算出された前記組ごとの前記インピーダンスの変化率の比較により、前記被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出ステップと
    を備えた除湿素子劣化検出方法。
  14. 固体電解質膜とその両側に設けられた陽極及び陰極とから構成された被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する除湿素子劣化検出方法であって、
    内部絶対水分量が制御された密閉容器を用意する密閉容器設置ステップと、
    性能劣化のない除湿素子を前記密閉容器の内部に設置し、1Hz以上の固定周波数で前記除湿素子のインピーダンスを測定した測定結果を、インピーダンス参照値として記憶装置に予め記憶するインピーダンス参照値記憶ステップと、
    1Hz以上の固定周波数で前記被検出対象の除湿素子のインピーダンスを測定するインピーダンス測定ステップと、
    前記インピーダンス測定ステップにより測定した前記被検出対象の除湿素子のインピーダンス値と前記記憶装置に記憶された前記インピーダンス参照値との比較により、前記被検出対象の除湿素子の性能劣化を検出する性能劣化検出ステップと
    を備えた除湿素子劣化検出方法。
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