JP2014206309A - スライディングノズル用プレート耐火物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ピッチ含浸処理を行ったプレート耐火物において、ピッチ含浸効果を確保するために見掛気孔率や気孔径といったプレート耐火物の具備特性が制限される問題点を解決し、含浸熱処理後の見掛気孔率を低く抑えつつ含浸ピッチの残留揮発分を適正量に調整した高耐用のプレート耐火物の製造方法を得ることにある。
【解決手段】本発明のスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法は、耐火原料を所定の形状に成形し、得られた成形体を焼成した後、得られた焼成品をピッチ含浸処理及び熱処理することからなるスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法において、ピッチ含浸処理に使用されるピッチがキノリン不溶分1質量%以下、且つ固定炭素量が25質量%以上のものであることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、製鋼用取鍋やタンディッシュに取り付けられて、溶鋼のような溶融金属の流量制御を行うスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法に関するものである。
スライディングノズル用プレート耐火物(以下、プレート耐火物と称す)は、溶融金属の流量制御装置として使用されるものであり、特に、製鋼業において、取鍋やタンディッシュなどの溶融金属用容器から溶鋼を排出するときに流量制御装置として2枚あるいは3枚のプレート耐火物が組み合わせて使用される。プレート耐火物の損傷形態としては、溶鋼流による磨耗や溶損、熱衝撃による亀裂、酸化や地金の浸潤に伴う摺動部の面荒れなどがあり、それらの損傷をバランスよく抑える品質が求められている。
これらの損傷形態のうち、磨耗や溶損、酸化や地金の浸潤の抑制には耐火物粒子の高充填化による低気孔率化が有効である。しかしながら、耐火物粒子の高充填化による低気孔率化は耐熱衝撃性を低下させ、熱衝撃亀裂の発生を助長する欠点を有する。また、過度な高充填化は成形から焼成の過程で生じる耐火物組織の体積変化や加熱中に発生する揮発ガスの圧力によってもプレート耐火物に亀裂を発生させてしまう。
そこで、原料を混練、成形及び焼成後、すなわち、最終的な製品化の前のプレート耐火物にピッチ、タールまたは液体樹脂など(以下、これらをまとめて含浸ピッチと称す)を気孔に含浸することにより耐火物の低気孔率化を図ることが一般的に行われている。さらに、含浸ピッチ由来の揮発分は、熱間で揮発することによってプレート耐火物の摺動抵抗を低減する効果や外気を遮断してプレート耐火物の酸化を抑制する効果があり、特に、摺動抵抗の低減は、2枚あるいは3枚のプレート耐火物のうち1枚を摺動させることで溶融金属の流量を制御するプレート耐火物にとって有用である。
しかしながら、プレート耐火物は、鋳造時に溶鋼との接触によって急激に加熱されるため、含浸ピッチ由来の揮発分が過剰に存在すると揮発ガスの膨張圧力によって耐火物組織の破壊を生じることがある。また、プレート耐火物を設置したスライディングノズルは、プレート耐火物を数百℃以上に加熱した状態で、作業者によって整備されるため、揮発ガスによる多量の発煙は作業者に健康上の被害を及ぼすこともある。そのため、ピッチ含浸後は、熱処理を行って残留揮発分量を調整するのが一般的である。また、従来、良好なピッチ含浸性を得るためにはプレート耐火物側にも一定の特性が必要とされてきた。
例えば、特許文献1には、カーボン原料を1〜10質量%と金属粉類を含有する耐火材料および有機バインダーからなる成形体を700〜1500℃の温度の下で酸素分圧を10〜10000ppmに調整した雰囲気下において、6〜48時間で弱酸化焼成し、タールを含浸したのちコーキング処理を施してなるスライディングノズル装置用プレートれんが及びその製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、アルミナ40〜80質量%、マグネシア20〜60質量%及び不可避不純物成分8.0質量%以下の組成を有し、炭素が不在のマグネシア・アルミナ系スピネルより構成され、且つ動的弾性率が40GPa以上であることを特徴とするプレートれんが;ピッチまたはタール含浸処理が施されている、前記プレートれんがが開示されている。また、[0039]段落には、「焼成後のプレートれんがに必要に応じてタールまたはピッチ含浸処理を施すことができる。含浸処理は、予め100〜400℃の範囲の所定の温度に設定されたタールまたはピッチの溶融槽中に、焼成後のプレートれんがを投入することで行うことができ、その際、プレートれんが中の空気を除くために脱気処理を行った後に含浸処理を行っても良い。また、含浸工程と再度の焼成工程を複数回繰り返しても良い。」旨の記載があり、実施例では、含浸工程を2回反復して行った例も開示されている。
特許第4009451号 特開2002−362969号公報
上述の特許文献1では、カーボン原料、金属粉類を含有する耐火材料および有機バインダーからなる成形体を上記条件下で弱酸化焼成することにより、焼成後のプレート耐火物の開放気孔を増加させ、高い通気性を持つ気孔径として、良好なタール含浸効果を得るものである。しかしながら、高通気性の気孔は見掛気孔率の増大あるいは気孔径の拡大を伴うため、溶鋼やスラグなどの外来成分の浸潤性も高まってしまう。そのため含浸されたタールやピッチが失われたあとはかえってプレート耐火物の損傷を増大させてしまうという問題点がある。
また、特許文献2では、焼成後のプレート耐火物にピッチまたはタールを含浸し、再度の焼成工程で揮発分を飛ばす処理を反復することでプレートれんがの見掛気孔率を低減しようとするものである。しかしながら、含浸処理後のプレートれんがの残留揮発分量を考慮していないため、前述した揮発ガスのもたらすメリットとデメリットを制御できないという問題点がある。
従って、本発明は、ピッチ含浸処理を行ったプレート耐火物において、ピッチ含浸効果を確保するために見掛気孔率や気孔径といったプレート耐火物の具備特性が制限される問題点を解決し、含浸熱処理後の見掛気孔率を低く抑えつつ含浸ピッチの残留揮発分を適正量に調整した高耐用のプレート耐火物の製造方法を得ることを目的としたものである。
本発明者らは、ピッチの含浸と熱処理に及ぼす諸条件の影響を鋭意研究した結果、特定のピッチを使用してピッチ含浸処理を行い、更に、ピッチ含浸処理後の熱処理温度を適切に制御して複数回のピッチ含浸・熱処理を行うことで、低気孔率化と残留揮発分量の適正化が両立可能であり、これによって、ピッチ含浸効果を高めることを優先して低炭素収率のピッチを使用した場合であっても、適切な条件下で行われる複数回のピッチ含浸・熱処理によってプレート耐火物の耐用を高めることができることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、耐火原料を所定の形状に成形し、得られた成形体を焼成した後、得られた焼成品をピッチ含浸処理及び熱処理することからなるスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法において、ピッチ含浸処理に使用されるピッチがキノリン不溶分1質量%以下、且つ固定炭素量が25質量%以上のものであることを特徴とするスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法にある。
また、本発明のスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法は、ピッチ含浸処理の合計回数をN回(ただし、Nは2〜8の整数である)としたとき、N−1回目までのピッチ含浸処理後の熱処理温度を400〜780℃とし、N回目のピッチ含浸処理後の熱処理温度を550℃以下で且つN−1回目のピッチ含浸処理後の熱処理よりも低い温度で行うか、または熱処理を行わないことを特徴とする。
更に、本発明のスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法は、ピッチ含浸処理及び熱処理完了後のプレート耐火物中の残留揮発分が0.1〜2質量%の範囲内であることを特徴とする。
本発明によれば、様々な特性のプレート耐火物に対して効果的にピッチを含浸することを可能としながら、十分な低気孔率化効果と残留揮発分の適量化による摺動抵抗低減効果、酸化抑制効果を併せ持った優れたスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法を提供することができる。
本発明のスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法は、耐火原料を所定の形状に成形し、得られた成形体を焼成した後、得られた焼成品をピッチ含浸処理及び加熱処理することからなるものであり、ピッチ含浸処理に使用されるピッチがキノリン不溶分1質量%以下、且つ固定炭素量が25質量%以上のものであることを特徴とする。
ここで、プレート耐火物を構成する原料配合等は何ら限定されるものではなく、炭素原料を含むか、または不含であることができ、炭素原料を除く耐火原料としては、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコン、ジルコニア、マグネシア、クロミア、ドロマイト、カルシア、スピネル、炭化珪素、窒化珪素、炭化硼素等の耐火性骨材やAl、Siまたはこれらの合金粉末等を使用することができる。
また、炭素原料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、石油コークス、石炭コークス、メソフェースピッチ、カーボンブラックなどを使用することができる。なお、炭素原料は、使用しても、使用しなくても良い。
更に、上記耐火原料に成形性を付与するために有機バインダーを使用する。有機バインダーとしては、フェノール樹脂、フラン樹脂、芳香族系樹脂、シリコーン樹脂などを使用することができる。
上記耐火原料と有機バインダーを混練後、プレート形状に成形する。成形物に対する熱処理条件については特に限定されるものではないが、一般的には100〜400℃で乾燥後、500〜1800℃で焼成する。焼成時の雰囲気についても限定されるものではなく、大気雰囲気、還元雰囲気、不活性雰囲気などから材質に合わせて選択することができる。
このような製造工程を経て得られたプレート耐火物に対して、ピッチ含浸処理及び加熱処理を施す。
ピッチ含浸処理に用いられるピッチの特徴は、軟化点、キノリン不溶分(QI)、トルエン不溶分(TI)、固定炭素量等で示される。軟化点以上の温度でピッチは溶融して液状となるため、高圧状態下や真空状態下に置くことで焼成品中の気孔に含浸させることが可能になる。以下に、ピッチの特徴となる指標について解説する。なお、指標の測定方法はJIS K2425に規定される「クレオソート油、加工タール及びタールピッチ試験方法」に従うものとする。
キノリン不溶分(QI)とは、キノリンを溶剤としてピッチを溶解した時に残留する成分の質量%で、微細なカーボン粒子と、分子量の大きな高分子から構成されている。キノリン不溶分(QI)は、焼成品中の気孔に詰まり、ピッチ含浸を阻害するため、キノリン不溶分(QI)は低いほど望ましい。
トルエン不溶分(TI)とは、トルエンに不溶な成分であり、キノリン不溶分(QI)の次に分子量の大きな成分である。
固定炭素量とは、ピッチを800℃で30分熱処理した後の残分から灰分を除去した時の残留物の質量%である。固定炭素量の大きなピッチほど、ピッチ含浸処理後の焼成品を加熱処理した後、気孔に残留する量が多くなるため、得られるプレート耐火物の低気孔率化に効果的である。一般的に重量平均分子量が大きいピッチほど軟化点が高く、固定炭素量も多くなる。その反面、液化した際の粘性が高くなって微細な気孔に侵入できなくなり、焼成品内部まで含浸されない状態になる。含浸性の高い低分子量のピッチを用いた場合、焼成品の内部にまでピッチを良好に含浸させることができるが、ピッチの固定炭素量が少なくなり、得られるプレート耐火物の低気孔率化の効果は低くなる。しかし、適切な条件でピッチ含浸と熱処理を繰り返すことでプレート耐火物の固定炭素量を増大させつつ適度な揮発分を残留させ、プレート耐火物に最適な状態を作ることができる。なお、プレート耐火物の固定炭素量は、ピッチ含浸処理に用いられたピッチに由来する炭素がプレート耐火物中に取り込まれた量を示すものであり、ピッチ含浸処理・熱処理後のプレート耐火物を窒素雰囲気中で800℃で1時間加熱した後の質量を、ピッチ含浸処理前のプレート耐火物の質量と比較した時の質量増加率を固定炭素増加率(%)として表示する。
ピッチ含浸処理に用いられるピッチのQIは、1質量%以下、好ましくは0.2質量%以下とする。ピッチのQIが1質量%を超えると、高分子量のピッチ成分がプレート耐火物内部まで侵入できず、ピッチ含浸処理を十分に行うことができないために好ましくない。
また、ピッチ含浸処理に用いられるピッチの固定炭素量は、25質量%以上、好ましくは25〜65質量%、より好ましくは40〜55質量%の範囲内である。ピッチの固定炭素量が25質量%未満であると、1回のピッチ含浸処理・熱処理で得られるプレート耐火物の低気孔率化効果が小さくなり、一定の効果を得るために必要なピッチ含浸処理・熱処理の繰り返し回数が増加して処理コストが増大するために好ましくない。
なお、本明細書に記載するピッチ含浸処理に用いられるピッチの特徴は、コールタール、クレオソート油など低分子量の油類で希釈調整した結果として得られるものであっても構わない。
プレート耐火物へのピッチの含浸量は、プレート耐火物の見掛気孔率が高く、気孔径が大であるほど増大する。逆に、プレート耐火物の見掛気孔率が低く、気孔径が小であるほどピッチの含浸量は減少し、場合によっては表面近傍を除いてピッチがまったく含浸されず含浸不良となる。通常、ピッチ含浸処理を施すプレート耐火物の組織は含浸不良を防止するために見掛気孔率や気孔径分布を制御して、所定のピッチ含浸性を確保している。しかし、ピッチ含浸性の高い組織は通気性が高く、外気の侵入による酸化や溶鋼の浸潤によって組織劣化を起こし、ピッチ含浸処理後の製品の耐用を低下させてしまう。組織劣化を起こしにくいが、ピッチ含浸性が低いプレート耐火物にピッチを含浸するためには、ピッチ含浸性が高いピッチを使用する必要がある。しかし、ピッチ含浸性の高いピッチは固定炭素量が低くなる傾向があり、ピッチ含浸処理による組織の緻密化効果そのものが低くなる。
そこでピッチ含浸処理とピッチ含浸後の熱処理とを複数回繰り返すことで、固定炭素量の低い含浸用ピッチであっても十分な緻密化効果を得ることが可能となる。しかしながら、ピッチ含浸処理には固定炭素の残留によるプレート耐火物組織の緻密化効果だけではなく、含浸したピッチ由来の残留揮発分による外気の遮断効果やプレート同士の摺動抵抗を低下させる潤滑効果なども期待されている。ただし、過剰な残留揮発分は作業者に健康被害を及ぼす恐れがあるため、適正量に抑えなければならない。
ピッチ含浸処理と熱処理を複数回繰り返した時に、ピッチの固定炭素によるプレート耐火物組織の緻密化と、適正な揮発分残留量を両立させるためには、ピッチ含浸処理後の熱処理条件を適切に設定することが必要となる。
ピッチ含浸処理の熱処理は、ピッチ含浸処理によってプレート耐火物に残留する揮発分を低減させるものである。N回(N≧2)のピッチ含浸処理・熱処理を繰り返して行う場合、ピッチ含浸処理後の熱処理は、プレート耐火物中に残留する揮発分の除去だけではなく、次のピッチ含浸処理の際にピッチが含浸するための経路をプレート耐火物中に形成する役割をも果たす。そのため、N回目の熱処理を除いてピッチ含浸後の熱処理は、プレート耐火物中に在留する揮発分を十分に除去して、プレート耐火物中に含浸されているピッチの体積を収縮させることができる温度で行うことが望ましい。
そのため、本発明では、ピッチ含浸処理後の熱処理温度は、N−1回目までは400〜780℃、好ましくは500〜700℃の範囲内とする。N−1回目までの熱処理温度が400℃未満であると、プレート耐火物に揮発分が多く残留し、気孔が塞がれた状態であるため、次のピッチ含浸処理において、ピッチが十分含浸できなくなるために好ましくない。また、熱処理温度が780℃を超えると、熱処理コストが増大するだけで、得られるメリットがないために好ましくない。
上述のような400〜780℃での熱処理により、プレート耐火物中に残留する揮発分はほぼ除去される。しかしながら、揮発分が除去された状態でプレート耐火物を高温下に置くと、プレート耐火物は酸化により炭素を消失しやすくなる。言い換えれば、熱処理温度を400〜780℃の範囲内としておけば、揮発分をわずかに残して酸化脱炭を抑制することが可能となる。なお、780℃以下の熱処理温度であっても、揮発分はプレート耐火物表面から優先して除去されていくため、プレート耐火物表面は特に酸化しやすくなる。プレート耐火物の酸化をさらに抑制するために、400〜780℃の温度範囲で熱処理する場合でも、必要に応じて非酸化雰囲気下で熱処理を行うことができる。非酸化雰囲気とは、例えば酸素と反応する炭素粉末等でプレート耐火物周囲を充填した状態や、窒素、アルゴン、炭化水素系ガスなどの酸素を含まないガスで大気を置換した状態を指すが、これ以外の方法で非酸化雰囲気を用意しても構わない。
N回目のピッチ含浸処理後の熱処理によって、プレート耐火物使用時の残留揮発分量を調整する。N回目の熱処理温度は、550℃以下であるが、目的とする残留揮発分量、ピッチ含浸量と、含浸処理に使用したピッチの特性に合わせて「熱処理なし」(すなわち、熱処理はN−1回で完了)から550℃以下の範囲で適切な熱処理温度を選択することができる。なお、N回目の熱処理温度が550℃より高くなると、プレート耐火物中の最終的な残留揮発分量が過少となってしまうために好ましくない。なお、N回目の熱処理温度は、好ましくは300〜450℃の範囲内である。
N回目のピッチ含浸処理・熱処理が完了した後のプレート耐火物中の残留揮発分を0.1〜2質量%、好ましくは0.2〜1質量%の範囲内とすることができる。ここで、プレート耐火物中の残留揮発分が0.1質量%未満では、プレート耐火物の摺動抵抗低減効果や酸化抑制効果は低く、またその持続時間が短くなってしまうために好ましくない。また、プレート耐火物中の残留揮発分が2質量%を超えると、プレート耐火物を加熱したときに発生する有害な発煙が増大して作業環境が悪化する、揮発ガスの圧力でプレート耐火物組織の破壊が誘発されるなどの問題を生ずることがあるために好ましくない。ここで、本明細書に記載する「残留揮発分」は、プレート耐火物を800℃の非酸化雰囲気中で1時間熱処理した時の質量減少率とする。
ピッチ含浸処理回数Nは、コストが許す限り増加させることは可能である。しかし、ピッチ含浸を繰り返すとピッチの固定炭素によりプレート耐火物の気孔が埋められ、ピッチ含浸の余地が減少していくため、適正な残留揮発分量と両立するには全含浸回数Nは、プレート耐火物の初期気孔率にも依存するが、概ね8以下、好ましくは5以下である。Nが8を超えてピッチ含浸処理・熱処理を繰り返してもプレート耐火物中に残留する含浸ピッチ由来の固定炭素量はほとんど増加せず、さらには最終的に十分な揮発分を残留させることができなくなる。
なお、ピッチ含浸処理の方法は、特に限定されるものではなく、公知・慣用の一般的な方法を使用することができる。例えば、含浸処理に使用されるピッチが液状化する温度に加熱した状態で真空脱気および加圧、超音波振動などを組み合わせて含浸を行えばよい。またピッチ含浸処理にかける時間も特に限定されるものではない。
更に、上述のピッチ含浸処理・熱処理を施されるプレート耐火物の構造は、特に限定されるものではなく、例えば、複数の耐火物部品を組み合わせる複合品であれば含浸熱処理後に部品を組み合わせても、部品を組み合わせてからピッチ含浸処理・熱処理を行っても構わない。
表1に、実施例、表2に比較例を示す。
Figure 2014206309
Figure 2014206309
表中:
ピッチ含浸処理に使用したピッチ(含浸用ピッチ)の特性は、上述の方法に基づいて測定したものである;
プレート耐火物の見掛気孔率は、JIS R2205の方法に基づき、プレート耐火物を1辺約45mmのさいころ状に切り出し、媒液に白灯油を用いた真空法により測定したものである;
プレート耐火物の平均気孔径は、JIS R1655の方法による水銀圧入法に基づき、直径が約20mmで長さが約20mmの円柱状の試験片を用いて測定したもので、累積気孔体積が50%にとなる時の気孔径を示すものである;
残留揮発分(%)は、ピッチ含浸・熱処理後のプレート耐火物を窒素雰囲気中で800℃で1時間加熱したときの質量減少率として測定したものである;
固定炭素増加率(%)は、含浸用ピッチ由来の炭素がプレート耐火物中に取り込まれた量を示し、ピッチ含浸処理・熱処理後のプレート耐火物を窒素雰囲気中で800℃で1時間加熱した後の質量を、ピッチ含浸処理前のプレート耐火物の質量と比較した時の質量増加率として測定したものである;
実機使用回数は、転炉で受けた取鍋内の溶鋼を連続鋳造機で全て排出するまでを1回と数えて取鍋用溶鋼流量制御装置に取り付けられたプレート耐火物を交換せずに連続使用した回数を示すものである;
摺動抵抗低減効果は、取鍋用溶鋼流量制御装置に取り付けられたプレート耐火物を摺動させた際の効果で、「◎」は、摺動抵抗低減効果がプレート耐火物の使用完了まで良好に持続したもの、「○」は、終盤に摺動抵抗低減効果がやや低下したものの問題なく使用完了したもの、「△」は、摺動抵抗が増大してプレート耐火物の摺動面損傷が拡大したもの、「×」は、使用中に摺動抵抗が増大して問題発生したものを示す;
発煙抑制効果は、取鍋用溶鋼流量制御装置に取り付けられたプレート耐火物を3回使用後に作業者が整備した際のプレート耐火物からの発煙を抑制する効果で、「◎」は、発煙がほぼ抑制されていたもの、「○」は、発煙が問題ないレベルに抑制されていたもの、「△」は、使用中止とはなるレベルではないが不快な発煙がみられたもの、「×」は、発煙が多量で問題となったものを示す。
実施例1及び2は、平均気孔径の小さいAl−C質よりなるプレート耐火物にピッチ含浸処理・熱処理を行ったものである。固定炭素量が30質量%の含浸性の良好なピッチを用いて、2〜3回ピッチ含浸処理・熱処理を行うことで摺動抵抗を低減、発煙を抑制しつつ良好な実機使用回数の結果を得た。
比較例1は、実施例1と同様の平均気孔径のAl−C質よりなるプレート耐火物に、固定炭素量が60質量%、QI1.5質量%のピッチを用いて2回ピッチ含浸処理・熱処理を行ったものである。プレート耐火物までピッチを十分に含浸することができず、摺動抵抗低減効果が得られず実機使用回数も不十分な結果となった。
比較例2は、実施例2と同様のAl−C質よりなるプレート耐火物に、固定炭素量が20質量%のピッチを用いて3回ピッチ含浸処理・熱処理を行ったものである。発煙抑制効果は十分で、摺動抵抗低減効果についても使用初期は十分だったものの揮発分が消失していくとともに摺動抵抗の増大が著しく、使用回数が伸びなかった。
比較例3は、実施例2と同様のAl−C質よりなるプレート耐火物に、固定炭素量が30質量%のピッチを用いて3回ピッチ含浸処理・熱処理を行ったものであるが、1、2回目の熱処理温度が低いために残、留揮発分が多く摺動抵抗低減効果は十分であるが、問題となって使用中止となるレベルではないものの不快な発煙が見られた。揮発分が消失すると見掛気孔率が増大して損傷が拡大し、使用回数が伸びなかった。
実施例3、4及び5は、平均気孔径が0.1〜0.2μmのAl−C質よりなるプレート耐火物に、2回ピッチ含浸処理・熱処理を行ったものである。これらに対し比較例4は、1回のみのピッチ含浸処理・熱処理を行ったものである。実施例3、4及び5は2回ピッチ含浸処理・熱処理を行うことで摺動抵抗を低減、発煙を抑制しつつ比較例4に対して良好な実機使用回数の結果を得た。
比較例5は、実施例4及び5と同様のAl−C質よりなるプレート耐火物に、2回ピッチ含浸処理・熱処理を行ったものであるが、2回目のピッチ含浸後の熱処理温度が高すぎるために、残留揮発分が不足して摺動抵抗低減効果が得られず、実機使用回数も不十分な結果となった。
比較例6は、実施例4及び5と同様のAl−C質よりなるプレート耐火物に、2回ピッチ含浸処理・熱処理を行ったものであるが、最初のピッチ含浸後の熱処理温度が高すぎるために、熱処理中にプレート耐火物が酸化して劣化し、実機使用回数が不十分な結果となった。
実施例6及び7は、それぞれZrO質よりなるプレート耐火物と、Al−C質よりなるプレート耐火物に、3回ピッチ含浸処理・熱処理を行ったものである。これらに対し比較例7は、実施例6と同様のAl−C質よりなるプレート耐火物に、1回のみのピッチ含浸処理・熱処理を行ったものである。実施例6及び7は、3回ピッチ含浸処理・熱処理を行うことで摺動抵抗を低減、発煙を抑制しつつ、比較例7に比べて良好な実機使用回数の結果を得た。
実施例8は、実施例7と同様のAl−C質よりなるプレート耐火物に、3回ピッチ含浸処理・熱処理を行ったものである。3回のピッチ含浸処理・熱処理による緻密化によって比較例7に比べて良好な実機使用回数の結果を得た。ただし、残留揮発分量が過剰であるために加熱されたプレート耐火物からの発煙は多くなった。そのため使用初期に流量制御用のプレート耐火物取り付け装置を開放して耐火物の点検を行う場合は使用に適さないが、使用初期に装置を開放して点検を行わない場合は使用可能であった。

Claims (3)

  1. 耐火原料を所定の形状に成形し、得られた成形体を焼成した後、得られた焼成品をピッチ含浸処理及び熱処理することからなるスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法において、ピッチ含浸処理に使用されるピッチがキノリン不溶分1質量%以下、且つ固定炭素量が25質量%以上のものであることを特徴とするスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法。
  2. ピッチ含浸処理の合計回数をN回(ただし、Nは2〜8の整数である)としたとき、N−1回目までのピッチ含浸処理後の熱処理温度を400〜780℃とし、N回目のピッチ含浸処理後の熱処理温度を550℃以下で且つN−1回目のピッチ含浸処理後の熱処理よりも低い温度で行うか、または熱処理を行わないことを特徴とする請求項1記載のスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法。
  3. ピッチ含浸処理及び熱処理完了後のプレート耐火物中の残留揮発分が0.1〜2質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載のスライディングノズル用プレート耐火物の製造方法。
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