JP2006063251A - 有機樹脂粉末含有有機樹脂バインダー及び該有機樹脂バインダーを用いた炭素含有耐火物 - Google Patents

有機樹脂粉末含有有機樹脂バインダー及び該有機樹脂バインダーを用いた炭素含有耐火物 Download PDF

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栄司 飯田
Masamichi Takai
政道 高井
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実 須藤
Takayuki Matsunaga
隆行 松長
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Abstract

【課題】 炭素含有耐火物の耐熱スポール性を改善する、有機樹脂粉末含有有機樹脂バインダー及び該有機樹脂バインダーを用いた炭素含有耐火物を提供すること。
【解決手段】 平均粒径が0.1〜20ミクロンの有機樹脂粉末(アクリル樹脂,ポリスチレン樹脂)、又は、該有機樹脂粉末及びカーボンブラックを含有する有機樹脂バインダーであって、上記有機樹脂粉末の含有量が1〜50重量%、又は、カーボンブラックと併用する場合、有機樹脂粉末及びカーボンブラックの含有量が1〜50重量%であり、両者の合計の含有量が2〜60重量%である有機樹脂バインダー。また、上記有機樹脂バインダーを含有した炭素含有耐火物であって、該炭素含有耐火物に含有する炭素が黒鉛,非晶質炭素であり、前記有機樹脂バインダーを加熱することによって生じた残留炭素中に平均細孔径20ミクロン以下の気孔が存在している炭素含有耐火物、又は、上記平均細孔径20ミクロン以下の気孔が、前記アクリル樹脂,ポリスチレン樹脂の有機樹脂粉末が分解,消失して形成された炭素含有耐火物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機樹脂粉末含有有機樹脂バインダー及び該有機樹脂バインダーを用いた炭素含有耐火物に関し、特に、平均粒径が0.1〜20ミクロンの有機樹脂粉末を含有してなる又は更にカーボンブラックを含有してなる有機樹脂バインダー、及び、該有機樹脂バインダーを用いた炭素含有耐火物に関する。
炭素含有耐火物は、炭素質原料の添加により耐熱スポール性が向上すると共に、スラグに対する濡れ性も向上する等の特徴を有しており、製銑,製鋼に使用される窯炉の内張り耐火物として重要であり、現在では欠くことのできない耐火物となっている。
また、連続鋳造で使用される浸漬ノズルやロングノズルにおいても、炭素含有耐火物が一般的に使用されている。
しかし、近年は、これら炭素含有耐火物の改良が進み、その寿命が延びてきているが、それらの耐火物の使用条件もますます過酷となっており、今以上の高耐用化が求められてきている。
こうした中で、耐火物中の炭素含有量は、例えば、連続鋳造で使用される浸漬ノズルを例にとると、当初は炭素量が30重量%程度であったものが、現在では20重量%程度のものまで使用されるようになっている。また、二次精錬に使用される窯炉においても、近年は、極低炭素鋼製造の要望が高まり、カーボンピックアップを極力抑える必要性がでてきており、必然的に耐火物の低炭素量化が進んでいる。現在では、合計の炭素量が3重量%程度の炭素含有耐火物も使用されるに至っている。
しかし、炭素含有耐火物においては、耐火物中の炭素含有量を低下させていくと、耐熱スポール性に劣るようになり、使用初期における割れや剥離等、また、加熱,冷却の繰り返し等による割れ等、が発生し易くなるという欠点が生じてくる。
連続鋳造で使用される浸漬ノズルやロングノズルでは、使用しているアルミナ−カーボン系耐火材料中のカーボン量を減少させていくと、特に、鋳造初期の熱スポーリングによる割れが発生し易くなるという欠点がある。また、取鍋に使用されるマグネシア−カーボン質煉瓦やアルミナ−マグネシア−カーボン質煉瓦も、使用時の加熱,冷却により、その表面が剥離し易くなるという欠点がある。
また、低炭素化した材質でなく、従来の炭素量を有する炭素含有耐火物においても、操業条件の変化等による使用時の熱スポーリングの発生は、現在の技術においても避けがたい点であり、その解決が炭素含有耐火物にとって大きな課題である。
なお、本発明において、「炭素量」が意味するものは、熱間で使用されている際の“耐火物中に含まれる固定炭素分量”であり、そこには、炭素原料の他に有機バインダー由来の炭素も含まれるものである。
炭素含有耐火物の耐熱スポーリング性を改善する手法としては、従来からいろいろな手法が提案されているが、いまだ十分な耐熱スポーリング性は得られていない。
一般的に、従来の炭素含有耐火物では、炭素量を低減させていくと、耐スポーリング性が低下するという問題があった。この問題を解決するために、特に、低カーボン組成領域において、耐スポーリング性を向上させる検討がなされてきた。
例えば、耐火物を形成する段階で、充填性を低くして、気孔率を高くし、弾性率を低下させて耐スポーリング性を確保するという手法がある。しかし、このような手法では、耐火物の組織の緻密性が低下し、耐食性,耐摩耗性,耐酸化性等に劣るようになり、実用的にはそのような耐火物を使用することは困難である。
また、例えば、非特許文献1(耐火物,Vol.44,No.11(1992),第640頁)には、膨張化黒鉛を使用することにより、耐スポーリング性を改善した低カーボン質のマグネシア−カーボン系耐火物が提案されている。
しかし、膨張化黒鉛を多用していくと、組織の緻密性が失われていくため、耐食性,耐摩耗性,耐酸化性等に劣るようになるという欠点がある。
また、既に開示されている技術の中で、例えば、特許文献1(特開平5-330904号公報),特許文献2(特開平6-293557号公報)などに記載されているように、炭素あるいは黒鉛原料の含有量を3重量%以上としているものや、特許文献3(特開平7-118057号公報)などに記載されているように、2重量%以上としている技術が知られている。しかし、これらの技術は、いずれにおいても炭素原料が5重量%未満の実施例が示されておらず、低カーボン組成における耐スポーリング性に優れた技術を示しているとは言い難い。
また、特許文献4(特開平5-4861号公報)には、黒鉛の配合量が5重量%未満の例が開示されており、特許文献5(特開平9-87007号公報)には、炭素を含む樹脂を固定炭素量に換算して0.5〜3重量%含有するマグネシア質不焼成れんがが記載されている。このような低カーボン質の炭素含有耐火物は、従来の低カーボン質の耐火物と比較すると、耐熱スポール性に優れているが、実使用においては、長時間溶鋼から加熱されることによって、使用している耐火性原料の焼結が進行して高弾性率化し、耐スポーリング性が低下していくと問題がある。
一方、特許文献6(特開平11-322405号公報),特許文献7(特開2004-107124号公報)には、5重量%未満の低炭素含有耐火物において、スピネル原料を使用した材質が例示されている。しかし、いずれも、実使用における長時間にわたる溶鋼からの受熱によって、緻密化が進行し、高弾性率化をもたらし、耐熱スポール性が劣化してくるという欠点がある。そのため、長期間にわたって安定した耐熱スポーリング性が得られているとは言い難い。
また、通常、耐火物の形成には、有機バインダーを使用するが、この有機バインダーの改質による耐熱スポーリング性改善も含む、熱的特性向上を目的とした技術も開示されている。例えば、特許文献8(特開2002-226276号公報)には、耐火物用バインダーに炭素質粉末を混合し、これをバインダーとして使用した場合、強度特性が向上し、酸化特性にも優れることが開示されている。しかし、本特許文献8には、耐熱スポーリング性の向上についての実施例は開示されておらず、耐熱スポーリング性が向上しているとは言い難い。
また、特許文献9(特開2002-316865号公報)には、耐火物形成用有機バインダーにカーボンブラックあるいは黒鉛化カーボンブラックを単独で分散し、そのバインダーを使用することによる、耐熱スポーリング性向上の技術が開示されている。本技術によれば、低炭素組成での耐熱スポーリング性の向上には効果があると考えられるが、カーボンブラック単独の添加では、耐スポーリング性の向上には限界がある。
さらに、特許文献10(特開平3-54155号公報)には、加熱によって消失する物質を添加することによる耐スポール性向上の技術が開示されている。しかし、本技術で使用される加熱消失物は、その直径が0.1〜3.0mmと大きく、耐火物の組織の緻密化を阻害するという欠点がある。
「耐火物」Vol.44,No.11(1992),第640頁 特開平5−330904号公報(請求項1参照) 特開平6−293557号公報(段落[0012]参照) 特開平7−118057号公報(段落[0052]参照) 特開平5−4861号公報(表1参照) 特開平9−87007号公報(請求項1参照) 特開平11−322405号公報(請求項6,段落[0058]参照) 特開2004−107124号公報(請求項1参照) 特開2002−226276号公報(請求項1参照) 特開2002−316865号公報(請求項1,段落[0024]参照) 特開平3−54155号公報(特許請求の範囲第1項参照)
本発明は、前記した従来技術の欠点を改善することを目的としたものであって、炭素含有耐火物の耐熱スポール性を改善する「有機樹脂粉末含有有機樹脂バインダー及び該有機樹脂バインダーを用いた炭素含有耐火物」を提供することを技術課題(目的)とするものである。
そして、本発明に係る有機樹脂バインダーは、「平均粒径が0.1〜20ミクロンの有機樹脂粉末を含有すること(請求項1)」、又は、「平均粒径が0.1〜20ミクロンの有機樹脂粉末及びカーボンブラックを含有すること(請求項3)」を特徴とし、これにより前記技術課題(目的)を解決したものである。
また、本発明に係る有機樹脂バインダーは、「前記有機樹脂粉末の含有量が1〜50重量%であること(請求項2)」、「前記有機樹脂粉末の含有量が1〜50重量%であり、前記カーボンブラックの含有量が1〜50重量%であり、かつ、両者の合計の含有量が2〜60重量%であること(請求項4)」、「前記有機樹脂粉末が、アクリル樹脂及びポリスチレン樹脂から選ばれた少なくとも一種からなること(請求項5)」を、本発明に係る有機樹脂バインダーの好ましい実施態様とするものである。
一方、本発明に係る炭素含有耐火物は、「前記有機樹脂バインダーを含有していること(請求項6)」を特徴とし、これにより前記技術課題(目的)を解決したものである。
また、本発明に係る炭素含有耐火物は、「炭素含有耐火物において、含有する炭素が黒鉛及び非晶質炭素から選ばれた少なくとも一種であること(請求項7)」、「前記有機樹脂バインダーを加熱することによって生じた残留炭素中に、平均細孔径20ミクロン以下の気孔が存在していること(請求項8)」、「前記平均細孔径20ミクロン以下の気孔が、前記アクリル樹脂,ポリスチレン樹脂の有機樹脂粉末が分解,消失して形成されたこと(請求項9)」を、本発明に係る炭素含有耐火物の好ましい実施態様とするものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、該説明と共に本発明について詳細に説明する。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、微細な樹脂粉末を分散させたフェノール樹脂やフラン樹脂等のバインダーを用いて炭素含有耐火物を製造した場合、得られた耐火物の耐熱スポーリング性が大きく向上することを見い出して、本発明を完成したものである。
通常、炭素含有耐火物の製造に用いられるバインダーとしては、フェノール樹脂が一般的である。フェノール樹脂は、加熱により分解が進むが、非酸化雰囲気中においては、その一部が固定炭素として煉瓦中に残留し、煉瓦を構成する原料同士を結びつける役割を果たし、煉瓦の強度発現の役目を有している。
本発明は、フェノール樹脂やフラン樹脂のように、加熱後もその一部が固定炭素として残るような樹脂中に、本樹脂に非溶解あるいは難溶解性の微細な有機樹脂粉末を分散させ、該樹脂をアルミナやマグネシア,シリカ,黒鉛等の耐火性原料のバインダーとして使用する。本樹脂を使用して得られたアルミナ−カーボン系煉瓦,マグネシア−カーボン系煉瓦等は、通常、非酸化雰囲気中で焼成して最終製品とするか、或いは不焼成で最終製品となる場合もあるが、いずれにしても、使用時においては溶鋼からの受熱により、煉瓦中の有機樹脂バインダーに含まれるアクリル樹脂等の樹脂粉末は分解し、そして、有機樹脂バインダーの一部が残炭分として残った固定炭素中に非常に微細な気孔が形成される。
この、残炭分として残った固定炭素中に存在する微細な気孔が耐火物の耐熱スポーリング性を向上させることを、本発明者等は見い出した。
耐火物原料は、通常、その製造工程においてハイスピードミキサーやウエットパン,ニーダー等の混練機械を用いてバインダーと共に混練される。その際、耐火物原料は、添加されたフェノール樹脂等のバインダーによってその周囲を被覆される。このとき、添加するフェノール樹脂等のバインダー中に、予めアクリル樹脂等の樹脂粉末を分散させておけば、アクリル樹脂粉末等の樹脂粉末を耐火原料の骨材の周囲に均一に被覆させることが可能となる。
従来、超微粉を添加する場合、他の耐火性原料粉末と同時にミキサー中に入れて混練することが一般的であり、バインダーは、それらの耐火性原料粉末を混合した後、或は混合する前に添加されていた。このような従来の手法では、超微粉原料を均一に分散させることは困難であり、また、混練中に集塵機から集塵され、所定量が混練されないこともある。
本発明は、このような超微粉原料の不均一分散性も同時に改善できるものであり、この点が本発明の特徴のひとつである。
フェノール樹脂中への有機超微粉粉末の分散のさせ方としては、例えば、使用するフェノール樹脂に容易に拡散する溶剤を用い、まず、この溶剤中にアクリル樹脂等の超微粉粉末を分散させ、一次分散溶液を作製する。その後、この一次分散溶液をフェノール樹脂等のバインダーに添加して攪拌し、アクリル樹脂粉末等が分散したバインダーを作製する。ここで使用する溶剤としては、エタノール,エチレングリコール,プロパノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、トルエン,キシレン等の芳香族系炭化水素、灯油等の脂肪族系炭化水素、ケトン類等が使用可能である。
なお、アクリル樹脂粉末等の樹脂粉末を溶剤中に分散させる場合、分散剤を用いると効果的である。更に、超音波振動等の機械的な手法を併用することも、分散に対して効果的である。また、ボールミル,振動ミル等の方法も効果的に用いることができる。
このようにして作製した有機樹脂粉末を分散させたフェノール樹脂等をバインダーとして用いて、アルミナ−カーボン系やマグネシア−カーボン系、スピネル−C系等の炭素含有耐火物を製造する。
炭素含有耐火物の最終的な製品形態としては、成形後の乾燥のみで製品となる不焼成品及び成形後に一度、非酸化性雰囲気中で焼成して得られる焼成品がある。また、成形を行わずに使用される不定形耐火物も、その製品形態として挙げられる。
成形後に乾燥のみで使用されるについては、使用時の溶鋼からの受熱によって煉瓦が加熱され、その熱によって煉瓦中のバインダーの分解が進み、そのとき、一部が炭素として残留する。そして、このバインダー中に含まれていたアクリル樹脂等の樹脂粉末も分解し、バインダーが固定炭素分として残った炭素中に、非常に微細な気孔を形成する。このようにして形成された微細な気孔が、耐火物の耐熱スポーリング性の向上をもたらす。
一方、成形後に一度、非酸化性雰囲気中で焼成するものについては、この焼成時において、バインダーとして用いたフェノール樹脂等が炭化し、その炭化して残留した固定炭素中に、アクリル樹脂粉末等が分解してできた非常に微細な気孔を形成することができる。
本発明は、有機樹脂粉末を含有する有機樹脂バインダーであって、前記したバインダーの炭化組織中に微細な気孔を形成するために使用する該有機樹脂粉末の粒度としては、平均粒径で、20ミクロン以下が望ましく、好適には、5ミクロン以下である。平均粒径が20ミクロンを超えると、形成される気孔の大きさが過大となり、煉瓦組織の緻密性が得られ難くなるので、不適当である。一方、平均粒径が0.1ミクロン未満の場合、該粒子の溶剤中への分散や有機バインダー中への分散が困難となり、同じく不適当である。
有機樹脂粉末の材質としては、耐火材料の成形に使用するフェノール樹脂等のバインダーに非溶解性のもの、或は、難溶解性のものを好適に使用することができる。また、有機樹脂粉末を分散させるために用いる溶剤に対して非溶解性あるいは難溶解性のものであれば、特にその種類を限定するものではない。例えば、これらの有機樹脂粉末としては、アクリル樹脂,ポリスチレン樹脂等を好適に用いることができる。
バインダーとして用いる樹脂としては、加熱後にその一部が炭素分として残留する樹脂であれば、どのような樹脂でも使用することが可能である。
炭素含有耐火物の製造においては、通常、フェノール樹脂を使用する例が多いが、本発明においても、フェノール樹脂を好適に用いることができる。しかし、加熱後にその一部が炭素分として残る樹脂であれば、本発明においては、特にその種類を限定するものではなく、フェノール樹脂以外に、フラン樹脂,エポキシ樹脂,メラミン樹脂,尿素樹脂等も用いることが可能である。
本発明においては、バインダー中に添加する微粉原料として、アクリル樹脂等の有機樹脂粉末以外にカーボンブラックを併用することも効果的である。カーボンブラックはその粒度が非常に小さく、通常の手法ではその分散が非常に困難であるが、本発明の手法を用いれば、耐火物中に均一に分散させることが可能である。
カーボンブラックを耐火物中に分散させると、耐火物が高温で使用された時の原料同士の焼結を抑制し、耐熱スポール性の劣化を抑制する効果が得られる。しかし、カーボンブラックの単独の添加では、焼結抑制の効果は得られるものの、耐熱スポール性向上に対する効果は十分ではなく、本発明の樹脂粉末と併用することによって、その効果がより高くなるものである。
カーボンブラック及び有機樹脂粉末の添加量としては、バインダーに対して、両者の合計で“2重量%以上で60重量%以下(2〜60重量%)”、カーボンブラックについてみると“1重量%以上で50重量%以下(1〜50重量%)”が適している。
両者の添加量の合計が2重量%未満では、耐熱スポール性の発現が不十分であり、60重量%を超えると、バインダー中への分散が困難となり、不適当である。さらに、カーボンブラックが1重量%未満では、焼結抑制効果が十分でなく、また、カーボンブラックが50重量%を超えると、相対的に樹脂粉末の含有量が少なくなり、十分な量の微細気孔が得られなくなり、耐熱スポール性に劣るようになり、不適当である。
カーボンブラックはその製法により、粒度や比表面積,吸油量が大きく異なってくるが、本発明においては、それらの特性を規定するものではなく、いずれの製法によるカーボンブラックも用いることが可能である。また、カーボンブラックは、通常、非晶質であるが、黒鉛化したカーボンブラックも好適に用いることができる。
本発明においては、炭素含有耐火物の製造において、使用する原料の種類,粒度については、特に限定するものではなく、従来使用されている耐火性原料を好適に用いることができる。例えば、連続鋳造用の炭素含有耐火物を例にとると、アルミナ−(シリカ)−黒鉛系や、ジルコニア−黒鉛系の耐火物が一般的に使用されているが、それらの原料の種類や粒度については限定するものではない。また、溶鋼鍋や溶銑鍋の内張り用炉材として使用されている、マグネシア−黒鉛系耐火物やアルミナ−炭化珪素−黒鉛系耐火物,アルミナ−スピネル−黒鉛系耐火物等においても同様である。
これらの耐火物には、通常、少量の金属粉やガラス粉,ピッチ,炭化物,硼化物等を併用することが一般的であるが、それらの少量添加物も、本発明においては好適に使用することができる。
また、その混練,成形,乾燥,焼成等の製造方法についても、その製造方法を限定するものではなく、従来の方法を好適に使用することができる。
本発明の特徴は、炭素含有耐火物が形成される段階において、バインダーとして用いられる樹脂中に、微細な有機樹脂粉末、または、微細な有機樹脂粉末とカーボンブラックを導入しておくものであり、それによって、炭素含有耐火物が高温下で使用された段階において、バインダーの一部が炭化して得られた固定炭素中に、微細な気孔を導入し、さらに、カーボンブラックの微細な粉末を導入するものである。
本発明では、フェノール樹脂等のバインダー中に、アクリル樹脂粉末等の有機樹脂粉末を予め分散させておくため、これらの有機樹脂粉末を、耐火原料の周囲に均一に被覆させることが可能となる。そのため、本発明の炭素含有耐火物が溶鋼や溶銑から加熱されたとき、該有機樹脂粉末は分解し、微細な気孔を耐火物の骨材の周囲にまんべんなく形成することができる。もちろん、一度、非酸化雰囲気中で焼成する本発明の炭素含有耐火物については、焼成後の段階において、それらの微細な気孔が、耐火物原料の周囲にまんべんなく形成される。
したがって、本発明においては、耐火原料同士が、この微細な気孔を介してまんべんなく接触することになり、そのため、耐火原料同士が直接接する割合が従来の手法と比較して、大きく軽減できることになる。この点が本発明の大きな特徴であり、耐熱スポーリング性が向上できる理由である。
なお、耐火物中において、有機樹脂バインダーは高温下で分解が進み、その一部が固定炭素分として残留する。本発明では、この固定炭素中にアクリル樹脂等の有機樹脂粉末が分解して形成された微細な気孔が導入されるが、固定炭素として残留した炭素の被膜厚さは薄く、これらの微細気孔は完全に残留炭素中に取り込まれているとは限らず、その一部が残留した炭素被膜からはみ出しているものや、或いは、完全に微細な気孔が単独で存在しているものも存在していると考えられる。本発明では、このような微細な気孔の存在も含むものであり、また、それによって耐熱スポール性の効果が減じるものではない。カーボンブラックについても同様である。
次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
(実施例1〜6、比較例1〜7)
表1に示す内容で実施例1〜6の有機樹脂バインダーを作製した。
また、表2に示す内容で比較例1〜6の有機樹脂バインダー(本発明範囲外の有機樹脂バインダー)を作製し、更に、同じく表2に示す内容で比較例7の有機樹脂バインダー(有機樹脂バインダー単独の例であって、有機樹脂粉末やカーボンブラック未添加の例)を作製した。
Figure 2006063251
Figure 2006063251
(実施例7〜10、比較例8〜12)
表3に示す内容で実施例7〜10及び比較例8〜12のアルミナ−シリカ−カーボン系材質の浸漬ノズルを製作した。製作した浸漬ノズルの形状を図1に示す。
浸漬ノズルは、表3に示す配合内容で、アルミナ−シリカ−カーボン系の混練物を作製し、これを、図1に示す本体部1の部位(パウダーライン部2以外の部位)に適用した。パウダーライン部2については、別途用意したジルコニア-カーボン系材質を適用した。
原料の混練は、ハイスピードミキサーを用いて行い、得られた混練物は、ゴム型に充填した後、CIPを用いて、1000Kg/cmの圧力で成形した。得られた成形体は、200℃で5時間乾燥した後、非酸化雰囲気中、1000℃で2時間の焼成を行った。焼成後、試料の外形加工を行い、スポーリング試験用浸漬ノズルを得た。
また、混練物の一部を用いて、上記と同一条件でブロック状の試料を作製し、品質測定用試料とした。
加工後の浸漬ノズルを用いて溶銑浸漬によるスポーリング試験を実施した。スポーリング試験は、1600℃で保持した溶銑中に、浸漬ノズルの下端からパウダーライン部2の中央部の位置まで漬かるように、常温の状態から装入し、3分間保持した後、取り出して空冷した。その結果を表3に表示した。また、「焼成後品質」として「見かけ気孔率(%)」「かさ比重」「曲げ強度(MPa)」を測定し、該結果を表3に表示した。
Figure 2006063251
表3の「スポーリング試験の結果」に示すように、本発明例(実施例7〜10)の浸漬ノズルは、亀裂の発生が認められなかった。これに対して、比較例9,10,12の浸漬ノズルは、吐出孔部において亀裂が発生していることが確認された。また、比較例8,11の浸漬ノズルでは、亀裂の発生が認められなかったが、表3に「備考」として示すように、品質については、見掛け気孔率が高く、強度が低い傾向を示した。
さらに、比較例8〜12のいずれの浸漬ノズルも、表3の「焼成後品質」の項に表示するように、本発明例(実施例7〜10)の浸漬ノズルと異なり、見掛け気孔率が高く、強度が低い傾向を示した。
(実施例11〜14、比較例13〜17)
表4に示す内容で実施例11〜14及び比較例13〜17のマグネシア-カーボン煉瓦を作製した。すなわち、表4に示す配合物をウェットパンで混練し、得られた混練物を1500Kg/cmの圧力で成形し、100×200×250(mm)の形状の成形体を得た。この成形体を200℃で5時間乾燥した後、1000℃で5時間の焼成を行った。得られた焼成体を用いて、下記の各種試験を実施した。
(1)耐スポーリング試験
得られた焼成体から40×40×250(mm)形状のスポーリングテスト用サンプルを切り出した。
本試料を用いて、1500℃で保持した溶銑中に浸漬した。3分間保持した後、取り出して空冷し、冷却後に切断を行った。切断後の切断面に観察される亀裂の発生量を測定し、数値化を行った。その結果を表4の「耐スポーリング性」の項に表示した。この数値が高いほうが、耐スポーリング性が悪いことを示している。
(2)耐酸化性試験
前記焼成体から50×50×50(mm)形状の試料を切り出し、大気中、1300℃で3時間保持した後、冷却し、試料を切断した。切断面の脱炭層厚さを測定し、耐酸化性の評価を行った。その結果を表4の「耐酸化性(mm)」の項に表示した。
(3)耐食性試験
前記焼成体から、40×40×250(mm)形状の試料を切り出し、1600℃で、塩基度3.0のスラグを用いてスラグ侵食テストを行った。テスト後に、スラグライン部の溶損深さを測定し、耐食性の評価を行った。その結果を表4の「耐食性(mm)」の項に表示した。
(4)その他
前記焼成体について、「焼成後品質」として「見かけ気孔率(%)」「かさ比重」「曲げ強度(MPa)」を測定し、該結果を表4に表示した。
Figure 2006063251
表4から、実施例11〜14(本発明に係る炭素含有耐火物)は、耐スポーリング性に優れているという特徴を有していることがわかる。さらに、同時に、耐食性や耐酸化性にも優れた特徴を有していることが理解できる。
(実施例15,16、比較例18)
表5に示す内容で実施例15,16及び比較例18の連続鋳造用ロングノズルを作製した。すなわち、前記実施例7,8に示す配合を適用した連続鋳造用ロングノズル(実施例15,16)、および、比較例12に示す配合を適用した連続鋳造用ロングノズル(比較例18)を作製した。この実施例15,16、比較例18の配合とも、ロングノズルの全体に適用した。
実施例15,16及び比較例18のロングノズルは、混練物をゴム型に充填後、CIPで1000Kg/cmの圧力で成形し、その後200℃で5時間の乾燥を行った後、非酸化雰囲気中1000℃で3時間の焼成を行った。焼成後試料は、旋盤で外周加工を行った後、酸化防止剤を塗布し、最終製品とした。そして、本ロングノズルを、250t容量の取鍋に取り付け、無予熱の条件下で、max.10chまでの使用を行った。
Figure 2006063251
各配合を適用したロングノズルを、各10本ずつ使用した結果を表5に示した。その結果、実施例15,16のロングノズルは、max.10chまでの使用において、縦割れ等発生せずに問題なく使用された。一方、比較例18のロングノズルは、10本中3本が鋳造初期の1ch目及び2ch目で本体部での縦割れが発生した。この結果から、本発明に係る炭素含有耐火物は、耐スポーリング性の面で優れた効果を有していることが判明した。
(実施例17,比較例19)
実施例17として、前記実施例12で使用した配合を適用したマグネシア−カーボンれんがを作製した。また、比較例19として、前記比較例15で使用した配合を適用したマグネシア−カーボンれんがを作製した。
得られた実施例17及び比較例19のマグネシア−カーボンれんがを、150t溶鋼鍋のスラグライン部に適用し、実炉での使用を行った。
実施例17のマグネシア−カーボンれんがを適用した溶鋼鍋は、95chまでの耐用を示し、計画で鍋上がりとなった。一方、比較例19のマグネシア−カーボンれんがをスラグライン部に適用した鍋は、50ch使用された段階で、部分的にれんがの表層剥離が発生した。この表層剥離は、稼動面のれんがの焼結が進行することにより高弾性率化し、耐スポール性が低下することによって発生したものと推定される。本溶鋼鍋は、その後継続使用されるも、72ch使用された段階で剥離の影響によってスラグライン部の損傷が大きく、鍋上がりとなった。
以上のことから、本発明の炭素含有耐火物は、過焼結抑制の効果が得られているということが明らかとなった。
本発明は、以上詳記したように、炭素含有耐火物の耐熱スポール性を改善する「有機樹脂粉末含有有機樹脂バインダー及び該有機樹脂バインダーを用いた炭素含有耐火物」を提供するものであり、その利用可能性が極めて顕著である。
浸漬ノズルの形状を示す図である。
符号の説明
1 本体部
2 パウダーライン部

Claims (9)

  1. 平均粒径が0.1〜20ミクロンの有機樹脂粉末を含有することを特徴とする、有機樹脂バインダー。
  2. 前記有機樹脂粉末の含有量が1〜50重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の有機樹脂バインダー。
  3. 平均粒径が0.1〜20ミクロンの有機樹脂粉末及びカーボンブラックを含有することを特徴とする、有機樹脂バインダー。
  4. 前記有機樹脂粉末の含有量が1〜50重量%であり、前記カーボンブラックの含有量が1〜50重量%であり、かつ、両者の合計の含有量が2〜60重量%であることを特徴とする、請求項3に記載の有機樹脂バインダー。
  5. 前記有機樹脂粉末が、アクリル樹脂及びポリスチレン樹脂から選ばれた少なくとも一種からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機樹脂バインダー。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機樹脂バインダーを含有していることを特徴とする、炭素含有耐火物。
  7. 請求項6に記載の炭素含有耐火物において、含有する炭素が黒鉛及び非晶質炭素から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする、炭素含有耐火物。
  8. 前記有機樹脂バインダーを加熱することによって生じた残留炭素中に、平均細孔径20ミクロン以下の気孔が存在していることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の炭素含有耐火物。
  9. 前記平均細孔径20ミクロン以下の気孔が、請求項5に記載の有機樹脂粉末が分解,消失して形成されたことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の炭素含有耐火物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009249256A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Dic Corp 定型耐火物用組成物及び定型耐火物

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