JP2014204867A - 生体インプラントおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い光触媒活性能を発現し、細胞接着及び細胞増殖を改善することができる生体インプラント及びその製造方法の提供。
【解決手段】人間の体内に埋植される人工骨または、口腔内の骨に埋入される人工歯根である生体インプラントの表面に陽極酸化処理により酸化膜を形成される生体インプラントにおいて、表面酸化チタン膜に不純物をドープして可視光による光触媒活性能を向上させるため、0.5〜2mol/Lの硫酸を含む電解液で陽極酸化処理する工程と、陽極酸化処理された生体インプラントを加熱する工程とから不純物準位を形成した生体インプラントの製造。ゾルゲル法により、硝酸や硫酸を触媒のほか元素ドープのソースとして利用することで、生体インプラントの表面酸化チタン膜に不純物準位を形成することもできる。
【選択図】図8
【解決手段】人間の体内に埋植される人工骨または、口腔内の骨に埋入される人工歯根である生体インプラントの表面に陽極酸化処理により酸化膜を形成される生体インプラントにおいて、表面酸化チタン膜に不純物をドープして可視光による光触媒活性能を向上させるため、0.5〜2mol/Lの硫酸を含む電解液で陽極酸化処理する工程と、陽極酸化処理された生体インプラントを加熱する工程とから不純物準位を形成した生体インプラントの製造。ゾルゲル法により、硝酸や硫酸を触媒のほか元素ドープのソースとして利用することで、生体インプラントの表面酸化チタン膜に不純物準位を形成することもできる。
【選択図】図8
Description
本発明は人工骨、人工関節や人工歯根等の人工生体材料及びその製造方法に係り、酸化膜の光触媒活性能を向上させ、生体組織との結合性を高めた生体インプラントおよびその製造方法に関する。
人が骨腫瘍や外傷などによって大きな骨欠損が生じるとその補填が必要であり、最も適しているのは自家骨移植であることは言うまでも無く、ゴールデンスタンダードとして古くから行われてきている。自家骨移植は、必要な移植骨片を患者自身の腸骨などから採取して、骨欠損部に移植する。患者自身の骨を移植するため、移植骨片自体が骨芽細胞などの骨形成細胞を含んでおり、骨形成能も備わっているだけでなく、必要な力学的特性も備わっている。
しかしながら、自分の骨の一部を採取する必要があり、大きさや形状が極めて限定されたものとなってしまうため、代替品としての人工骨が開発されてきた。この人工骨に求められる特性は、構造支持体としての充分な強度、骨組織との高い親和性、骨形成を促進する活性等である。
構造支持体としての強度は、緻密な材料を使用することが望ましいが、骨親和性を向上させるために微細な小空隙である気孔を多数設けて、埋植後に気孔内に新生骨を形成させて一体化し、局所的なメカニカルストレスの程度に応じて必要な強度を得るようにしている。骨親和性は、生体に埋植後、異物反応を生じさせないで骨と直接結合する「骨伝導能」と呼ばれている性質であり、気孔を設ける他に、リン酸カルシウム系セラミックッスとしてハイドロキシアパタイト(HAP)やβ−リン酸3カルシウム(β−TCP)が使用され、骨形成を促進させている。人工骨材料としてのチタンまたはチタン合金は、表面に微細な凹凸を設けるために、エッチング加工やプラズマ照射が行われ、表面の酸化被膜(酸化チタン)の機能である超親水性による骨親和性の向上が図られている(例えば特許文献1、2等参照)。
歯科分野においても虫歯や歯周病により喪失した歯の機能再獲得のために、金属やセラミックス等の人工材料により置換して喪失した口腔機能を補う手段としては、義歯を歯根に埋めたり、完全に歯根まで喪失した場合は、健康な歯にブリッジをかけ義歯を置いたり等の治療手段がある。さらに現在、この歯科置換医療の先端的治療法の一つとして、口腔インプラント治療が実施されている。口腔インプラント治療とは、喪失歯部位の顎骨にチタン製人工歯根を植立する手段である。
これらの生体インプラントのうち、チタン材は、1952年スウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマルクが、チタンと骨が完全に結合する事を偶然発見し、その後、チタンがある一定の条件で骨に埋入された場合、チタンに対する骨の拒否反応は全くといってよいほど起こらず、そればかりかチタンの表面を覆う酸化膜を通して強い結合が生まれることを明らかにしたことから始まる。結合組織を介在することなくチタンと骨が直接結合する骨結合方式は、骨を表すラテン語のオス(os)と結合を表す英語のインテグレーション(integration)が組み合わされ、オッセオインテグレーション(osseointegration)と呼ばれている。
オッセオインテグレーションは、骨と金属が直接結合する現象であり、チタン表面の酸化膜と骨との接触面に働く力が生体の分子を酸化膜へと結合させ、骨性癒着を生じさせる(例えば非特許文献1等参照)。
インプラントの成功は、いかにオッセオインテグレーションを獲得するかが重要であり、インプラントの表面性状についてもさまざまな提案があり以下に述べる。
生骨に埋め込まれるインプラントの親水性を向上させる方法としては、インプラント表面を、非毒性塩を含む溶液に暴露することによって、インプラント表面に非毒性の塩残留物を付着させて、インプラントを乾燥させる(特許文献3参照)。
骨に少なくとも部分的に挿入するための親水性表面を有する金属インプラント、特に歯科インプラント及びこのインプラントの製造方法であり、オッセオインテグレーション特性の改良のため、少なくともいくつかの領域において、弱アルカリ溶液中で短時間処理することで、優れた親水性表面が得られる。このオッセオインテグレーション特性は、前処理である、材料除去による機械的表面変性、化学的表面変性後、又は処理無しで、少なくとも骨又は軟組織にさらされる表面の部分を、アルカリ溶液中で化学的に変性する方法により得ることができる(特許文献4参照)。
チタンまたはチタン合金から作製されたインプラントに関し、表面が粗面化され、インプラントが水酸化状態において、高エネルギー紫外線で処理されていることにより、親水性表面として、骨中への移植に適した骨親和性インプラントとすることができる(特許文献5参照)。
オッセオインテグレーションを促進させるためのチタン表面の酸化膜は、チタンが酸化された酸化チタンであり、その形成方法として、チタン表面と強い接合力を有して形成される陽極酸化法があり、様々な提案がされている。
顎骨に属する軟組織内に延在するインプラントは、主に酸化チタンから構成される一つまたはそれ以上の外層を備え、各層は大部分をまたは完全にアナターゼ相が占める結晶性酸化チタンから構成される。酸化チタンの一つまたはそれ以上の外層を持つ歯科用インプラントにも適用され、陽極酸化法で作製される。陽極酸化は、電圧印加下で例えば硫酸およびリン酸を含む電解液に適用され、電解液中の部分の滞留時間は、大部分をまたは完全に結晶性アナターゼ相が占める酸化チタンが形成されるように選択される。このようにして優れた骨誘導および軟組織融合を達成することができる(特許文献6参照)。
また、陽極酸化で酸化チタンを被膜すると同時に、気孔径を水熱処理によってコントロールする方法がある。電解溶液に金属化合物を添加して陽極酸化し、グリセロリン酸塩、リン酸、硫酸、あるいはリン酸と硫酸の混酸を単独で用いるよりも、陽極酸化膜に多量のリンまたは硫黄を含有させる。さらに、添加された金属化合物に対応する金属も含有させることができる。その結果、水熱処理によって皮膜からリンまたは硫黄と添加された金属化合物に対応する金属がイオンとなって溶出するが、その溶出量が多いほど陽極酸化皮膜に形成される気孔の径が大きくなる(特許文献7参照)。
酸化チタンの結晶構造としてはアナターゼ型を使用するのは、光触媒機能がオッセオインテグレーションに有効に作用するためと考えられているからであるが、ルチル型であって光触媒機能を発揮し、表面に微細な凹凸を設けることができるとする開示もある。
チタンまたはチタン合金からなる金属基材は、予め、板状や箔等あるいは目的とする使用形態に適合した所望の形状(チタン又はチタン合金メッキされたものも包含する)に加工したのち、陽極酸化処理される。基材の陽極酸化は、酸性溶液中で行われ、代表的な酸性溶液としては、希硫酸水溶液などの希薄水溶液がある。希硫酸水溶液における硫酸の濃度としては、7.9〜14.4重量%が好ましく、8.8〜14.1重量%で行なう陽極酸化の際の極間の電圧は210〜450Vの電位で行ない、時間は、1〜12時間行う。さらに、基材の表面に、陽極酸化法により作製した膜に熱処理を施すことで、結晶性に優れたルチル型酸化チタンを製造することができる。熱処理は、酸化性雰囲気中400〜600℃の温度範囲で行なうことが望ましい。この温度域における好ましい保持時間は1〜5時間程度である。熱処理で、金属材料基体の表面に形成された陽極酸化膜を固定化し、強度、密着性を向上させ、且つ、光触媒特性や超親水性の特性を向上させることができる(特許文献8参照)。
吉成正雄「インプラント材料とその表面:その1.インプラント材としてのチタン」、歯科学報,103(5):p313−319
オッセオインテグレーションを原理としたオッセオインテグレーティドインプラントは、人間の有する機能を回復するための補綴治療であり、オッセオインテグレーションの成立と維持が長期的な成功に必須である。
このオッセオインテグレーションの促進のために従来から提案されているのは、インプラントの表面性状に関するものが多く、その目的は、骨とインプラントの密着性を向上させるための親水性向上と紫外線照射による、酸化チタンの光機能の向上であった。酸化チタンは、紫外線照射により電子が励起して光触媒機能を発現するが、従来、チタン材表面に被膜された酸化チタンはアナターゼ結晶構造が好適とされているが、光触媒機能を発現するのは波長が390nmより短い紫外線に対してである。
光触媒機能は、基本的には光の照射、すなわち酸化チタンのエネルギーギャップ以上の励起エネルギーを与えて、電子を励起させることにより発現し、光の照射が無い場合は、光触媒機能は発現しない。これは、大気中での現象であり、一度光触媒機能を発現させた酸化チタンを、例えば水中に置くと、光触媒機能の特徴である超親水性は長期に亘り維持されるため、生体インプラントでも人体内に埋入された後も同様の現象となる。
このため、オッセオインテグレーションの促進のためには光触媒活性能の向上が必要とされ、波長が400nmより長い可視光領域での光触媒機能の活性化が望まれている。
本発明は、可視光領域でも光触媒活性能を発現し、細胞接着及び細胞増殖を改善することができる生体インプラント及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明による生体インプラントは、人間の体内に埋植される人工骨または口腔内の骨に埋入される人工歯根である生体インプラントにおいて、生体インプラントの表面を覆う酸化チタンに、第三の元素がドープされていること、そしてドープされた元素により、酸化チタンのエネルギーバンドに不純物準位が形成されていることを特徴とする。酸化チタンにドープされる元素はイオウ、または窒素である。
生体インプラントの表面を覆う酸化チタンにイオウをドープする方法は、陽極酸化処理により行い、0.5〜2mol/Lの硫酸を含む電解液で、チタン製の生体インプラントを陽極として電圧を加え処理を行う。電解液には、さらにリン又はカルシウム元素を含む酸性液を加えてもよい。リンを含む酸性液は、リン酸、グリセロリン酸、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム又はリン酸カリウムのいずれかであり、カルシウムを含む酸性液は、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム又は硫酸カルシウムのいずれかである。
陽極酸化処理における電気的条件は、電流密度が、30〜200mA/cm2であり、陽極形成電圧が、30〜500Vの直流又はデューティが約10〜60%のパルス波であり、処理時間は、30分以上である。
陽極酸化処理が施された生体インプラントは、その後、温度300〜500℃で加熱処理を行う。加熱処理は、紫外線の照射を伴うことで、光触媒活性能が向上する。紫外線照射を加熱処理とは別に行うこともでき、加熱処理した生体インプラントに紫外線を照射してもよい。
生体インプラントの表面を覆う酸化チタンに窒素をドープする方法としては、ゾルゲル法がある。ゾルゲル法は、オルトチタン酸テトライソプロピル(Ti[OCH(CH3)2]4)とエタノール(C2H5OH)、及び、少なくともオルトチタン酸テトライソプロピルより多い量の濃硝酸(HNO3)を混合したゾルを作製するステップと、ゾルを生体インプラントに塗布するステップと、生体インプラントを低温乾燥でゾルを縮重合化反応によりゲル化するステップと、生体インプラントを高温乾燥でゲルを結晶化するステップとで作製する方法である。この方法により窒素が酸化チタンにドープされた生体インプラントが得られる。
また、ゾルゲル法によりイオウをドープすることもできる。この場合の生体インプラントは、オルトチタン酸テトライソプロピル(Ti{OCH(CH3)2}4)とエタノール(C2H5OH)と、ドープされるイオウのソース及び触媒として硫酸(H2SO4)を混合したゾルを作製するステップと、ゾルを生体インプラントに塗布するステップと、生体インプラントを低温乾燥で、前記ゾルを縮重合化反応によりゲル化するステップと、生体インプラントを高温乾燥で、前記ゲルを結晶化するステップとから作製される。
ゾルゲル法における低温乾燥は温度20〜50℃で行い、高温乾燥は、温度300〜500℃で行なう。高温乾燥は、さらに紫外線照射をしながら行なうことで光触媒活性能が改善し、紫外線照射を、高温乾燥した後に別工程として行なってもよい。
陽極酸化処理における紫外線照射とゾルゲル法における紫外線照射は、光源として、低圧紫外線ランプ、高圧紫外線ランプ、エキシマランプのいずれかが使用できる。紫外線照射では、製造過程で生成、混入する有機化合物の分解除去が行なえ、紫外線照射後の炭素元素の原子濃度が、チタンの原子濃度以下とするように紫外線を照射する。
可視光領域まで光触媒活性能を高めた生体インプラントは、超音波により触媒機能発現効果も大きく、生体インプラントは、生体内に埋め込まれる際に、水中で超音波照射が行なわれていてもよい。
本発明による方法で製造された生体インプラントは、チタンを基材とする生体インプラントにおいて、光触媒活性化を図るために、生体インプラントの表面に形成される酸化チタンに、イオウまたは窒素をドープしてバンドギャプ中に不純物準位を形成して、バンドギャップエネルギーを低くするともに、生体インプラント表面に形成された酸化チタンに存在する不純物、特に炭素量を低減させている。このため、光触媒機能により活性化された酸化チタン表面と生体組織の親和性が向上とともにオッセオインテグレーションの促進される効果がある。
また酸化膜にカルシウムやリンを含有させることにより、生体組織に対してバイオインテグレーションと呼ばれる化学的な結合を誘発し、一層オッセオインテグレーションを促進する効果が得られる。
さらに、可視光領域での光触媒活性化を発現させることができたため、特に歯科用インプラントでは歯科用インプラント埋入後の治療時に、歯科用重合光照射器が使用できる。歯科用重合光照射器の波長域は、400〜480nmのものが多く用いられており、歯科用インプラントの光触媒活性のための照射も可能となる。
本発明の生体インプラントは、超音波により触媒機能発現効果も大きく、生体内に埋め込まれる際に、水中で超音波照射が行なわれていてもよい。さらに、生体内に埋め込まれた後に、超音波刺激を非侵襲的に生体外からインプラントに照射することで、治癒促進と治療期間を短縮することができる。
本発明の生体インプラントは、人間の体内に埋植される人工骨及び口腔内の骨に埋入される人工歯根を対象としている。ここでは、「生体インプラント」は、人工骨及び人工歯根を総称する名称として使用し、人工歯根は、「歯科用インプラント」と呼ぶこととする。本発明においては、人工骨及び歯科用インプラント(人工歯根)は同様の技術が適用でき、以下、歯科用インプラントについて説明する。
図1は、生体インプラントの一例として歯科用インプラントのフィクスチャー部の形状を示している。図1において、フィクスチャー部10は、カラー部12とフィクスチャー14を示している。フィクスチャー14には、埋入を補助するガイド突起16が設けられている。歯槽骨へは根尖部18から埋入され、埋入しやすいように根尖部18はテーパ形状となっている。歯槽骨に埋入されたフィクスチャー14には、オッセオインテグレーション作用により表面に生体組織が結合する。フィクスチャー表面には、タンパク質の吸着、細胞の接着、伸展、配列、増殖を促進するために、微細な凹凸や溝が設けられ、コンタクトガイダンスの役割を果たし、生体親和性を向上させている。
オッセオインテグレーションを最大限有効に機能させるためには、歯科用インプラントの表面にチタン以外の不純物や有機化合物がない清浄な状態であることが必要であり、オッセオインテグレーションは分子レベルでの生体反応だからである。
オッセオインテグレーションは、一般にアナターゼ型酸化物あるいはチタニアゲルといった反応性に優れたチタン表面の形成により、リン酸カルシウムの析出や骨性タンパクであるオステオカルシンやオステオポンチンの吸着が大きいためと考えられている。骨性タンパクがチタンに吸着するメカニズムは、非特許文献1によれば、次のように考えられている。
図2はチタンの骨性たんぱく質の吸着メカニズム20を説明する図を示し、非特許文献1からの引用である。図5を参照しながらオッセオインテグレーションの獲得プロセスを説明する。
歯科用インプラント材としてのチタン22の表面は酸化チタン24で皮膜されているが、表面の酸化チタン24と骨性タンパク質26は、pHが7付近では、ともに負に帯電しており、カルシウム30などの2価の正イオンの存在により両者が引き合う。また、酸化チタン表面に結合した水酸基28は、正の電荷を持つことから、負の電荷を持つ骨性タンパク質26と引き合うものと考えられる。歯科用インプラント材であるチタン22の表面でのオッセオインテグレーションは、酸化チタン24を介して、界面での中間層の形成により行われている。
中間層は、チタン製の歯科用インプラント埋入初期は、骨芽細胞から生成されたオステオカルシン32やオステオポンチン34が、カルシウム30や水酸基28を介してチタン界面に吸着する。そして、これらの骨性タンパク26は骨芽細胞の遊走性を高めて、骨芽細胞のインテグリと結合し、「チタン−酸化チタン−水酸化チタン−カルシウム−骨性タンパク−コラーゲン繊維−骨」の層構造となる。この層構造は、時間の経過とともに、「チタン−酸化チタン−水酸化チタン−タンパク多糖複合体−類骨(石灰化前の骨組織)−骨」の構造となり、オッセオインテグレーションが獲得される。
一方、酸化チタンの光触媒機能は、エネルギーギャップ以上の励起エネルギーで電子を励起することにより発現し、空気中の酸素や水と反応し、活性酸素であるスーパーオキサイドアニオン(O2 −)とヒドロキシラジカル(OH)を発生する。これが殺菌作用を示すとともに、酸化チタン表面と反応し、水酸基を生成するために超親水性を示す。特に塩基性水酸基は、骨が細胞の増殖と分化に果たす役割は大きく、塩基性水酸基の増加により表面がプラスとなり、インプラントへのタンパク質の吸着を促す。
酸化チタンの光触媒分解能は、エネルギーギャップ以上の励起エネルギーで電子を励起することにより発現するが、励起した電子は正孔と再結合すると、エネルギーは熱へと変化し、光触媒分解能は失われる。表面水酸基は、数日後にはもとの架橋酸素に戻る。これは大気中に酸化チタンを置いた場合であって、例えば水中や生理食塩水中に保存しておくことにより、超親水性は1ヶ月以上経過しても機能を持続している。このため、生体インプラントを人体へ埋め込む前に、光触媒機能を発現させておけば、光が遮断される人体内でも血液や生体組織により、光触媒機能は長期的に持続すると考えられる。
従って、生体インプラント表面に存在する酸化チタンの光触媒活性能をいかに向上させるかが、インプラントの成功確率を高めるために重要な要素となっている。このため、生体インプラント表面の酸化チタンのエネルギーギャップを狭くして光触媒活性能を増進することを考案した。
酸化チタンに第三の元素をドーピングして、エネルギーバンド中に不純物準位を形成することで、エネルギーギャップを狭くし、可視光領域の光にたいしても電子の励起を可能とした。
図3は、酸化チタンのバンド構造を示す図である。図4(A)は一般的な酸化チタンのバンド構造であり、価電子帯40と伝導帯42の間にはフェルミ準位44がある。酸化チタンのバンドギャップは、アナターゼ型結晶では3.2eV、ルチル型結晶では3.0eVである。
この酸化チタンに第三の元素、例えばイオウや窒素がドープされると、図4(B)に示すように、イオウや窒素等のp軌道からなる準位が酸化チタンの価電子帯40の少し上方に、不純物準位48を形成する。この軌道が孤立した準位をバンド間に形成するか、あるいは、主として酸素のp軌道から形成されている酸化チタンの価電子帯40と縮退してバンドが狭くなるかは、イオウや窒素等のドープ量に依存している。この結果、波長が400nmより長い可視光領域までの光による活性化が行なえる。不純物準位48の形成は、窒素やイオウに限定されることはなく、他の金属イオン等のドープでも可能である。なお、金属イオンをドープした場合には、不純物準位は伝導帯42の少し下方に形成される。
生体インプラント表面に形成される酸化チタンのエネルギーバンドに不純物準位を形成して、バンド構造を改質する作製方法として、例えば陽極酸化あるいはゾルゲル法があり、以下に説明する。
図4は、歯科用インプラントに陽極酸化処理50をしている状態を説明する図である。
電解セル52内に電解液56を貯留しており、電解液内にアノードとして歯科用インプラント10を置き、両側にカソード54を配置している。カソード54は白金等の金属板が使用され、片側だけでもよい。電解液56は、酸化チタンにイオウをドープするため、0.5〜2mol/Lの硫酸を含んでおり、さらにリン又はカルシウム元素を含む酸性液を加えてもよい。リンを含む酸性液は、リン酸、グリセロリン酸、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム等が使用でき、カルシウムを含む酸性液は、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム又は硫酸カルシウム等が使用できる。
歯科用インプラント10とカソード54には電源58から直流電圧又はパルス電圧を印加し、電流を供給している。陽極形成電圧は30〜500Vで、パルス電圧の場合デューティが約10〜60%で、周波数は0.5〜2kHzとしている。供給される電流は、電流密度が30〜200mA/cm2である。このような条件で、30分以上の陽極酸化処理が行われる。時間は成膜速度と所房の膜圧、例えば1〜10μmとなるように設定する。
電解セル52は、冷却システム(図示せず)内に配置され、電解液の温度が、概ね室温となるように制御されている。冷却システムは、さらに容器(図示せず)に収容され、容器には、排出用配管が接続されている。排出用配管からは、陽極酸化処理によって発生した酸素ガス、水素ガスなどの電気分解生成ガスを処理システムに送っている。
アノードとなる歯科用インプラント10に電圧が印加されると電気分解が進行し、電気分解の進行につれ電気分解により発生した酸素原子、酸素イオン過酸化物などにより歯科用インプラント10の酸化が進行して行き、表面に酸化チタン膜が生成される。
歯科用インプラントの表面に酸化チタン膜を形成する方法は、陽極酸化法、ゾルゲル法の他に、デイップコーテイング、スピンコーテイング、スッパッタリング、イオンプレーテイング、蒸着等の様々な方法があるが、陽極酸化法で成膜することの利点は、陽極酸化は熱力学的に進行する平衡反応であるために、歯科用インプラントと酸化膜との接合強度が高く、酸化チタンが剥離するという問題を回避できることである。
また、陽極酸化反応は酸化と溶解が競争的に起こるために、電気化学的条件(印加電圧、電流密度、電解質組成など)を選択することにより、酸化膜の組織や結晶構造をはじめとする膜質の制御が可能である点である。このために、他の成膜法では得られない、カルシウムやリン等のバイオインテグレーションを生起する物質を混入させることができる優位性を持つ。
陽極酸化処理後の加熱処理は、温度は300〜800℃で1〜10時間行い、酸化チタン結晶の不均一歪みを是正する。これにより、光触媒活性能が向上する。また、陽極酸化膜内では格子欠陥密度が小さく、光励起された電子と正孔の再結合が少なく、陽極酸化法により成膜された酸化チタン膜は、再結合の抑制による光触媒反応を高効率化する。
陽極酸化法により歯科用インプラントの表面に形成された酸化チタンは、優れた光活性能を備え、オッセオインテグレーションの促進による早期治療効果が期待できるが、一方では、陽極酸化処理された酸化膜にはオッセオインテグレーションの阻害要因となる物質、特に炭素成分が、他の酸化膜生成法に比べて多いのが欠点である。
オッセオインテグレーショのメカニズムである、「チタン−酸化チタン−水酸化チタン−カルシウム−骨性タンパク−コラーゲン繊維−骨」の層との関係から、理想的な表面状態は、元素組成として、チタンと酸素以外はオッセオインテグレーショの獲得には寄与せず、その他の元素は汚染物として、オッセオインテグレーショの獲得、促進にとっては阻害要因となる。なお、チタンと酸素以外の元素が存在したとしても、それがオッセオインテグレーショ獲得のための補助的な促進用として存在する場合は、不純物あるいは汚染物とは言わない。
汚染物を除去するためには、真空紫外線照射による有機化合物の分解除去が有効である。真空紫外線は波長が200nm以下の光であり、有機化合物の分解に効果的である。有機化合物は、真空紫外線の照射により、分子間の結合エネルギーよりも高いエネルギーを与えると、結合を解離して、同時に発生する原子状活性酸素[O]により有機化合物を酸化により揮発させ除去する。
真空紫外線を照射する光源としては、エキシマランプがある。エキシマランプは、キセノンガスが封入ており、キセノンエキシマランプとも言われている。エキシマ光は、波長が172nmと短く、モルあたりのエネルギーが高い。エネルギーEと波長λの関係は、次式で表される。
(数1)
E=Nhc/λ×10−3KJ/mol ・・・・ (1)
ここで、hはプランク定数(6.626×10−34J・sec)、cは光速(2.998×108m/sec)、Nはアボガドロ定数(6.022×1023mol−1)、λは波長(m)である。
(数1)
E=Nhc/λ×10−3KJ/mol ・・・・ (1)
ここで、hはプランク定数(6.626×10−34J・sec)、cは光速(2.998×108m/sec)、Nはアボガドロ定数(6.022×1023mol−1)、λは波長(m)である。
(1)式から、波長が172nmのエキシマ光のモルあたりのエネルギーは、699kJ/molとなる。
真空紫外線を照射する光源としては、低圧紫外線ランプもある。低圧紫外線ランプから発生する光は、波長が185nmと254nmであり、波長185nmの真空紫外線は、651kJ/molを有している。
図5は、分子の結合エネルギーを示している。図5に示した分子の結合はほとんどが651kJ/molであり、真空紫外線の照射により、解離することがわかる。結合エネルギーが高いのは、C≡NとC≡C結合であり、この結合を有する有機化合物は残存することとなる。
図6は、エキシマランプ60を歯科用インプラント10に照射したときの有機化合物が解離して分解する状態を概念的に示した図である。波長が172nmの真空紫外線は、酸素O2から直接、原子状活性酸素[O]を生成する。また、同時にオゾンO3をも生成し、さらに生成したオゾンO3から酸素とO2と原子状活性酸素[O]を生成する。このように、エキシマ光は2つの経路で原子状活性酸素[O]を生成するため、有機化合物の分解除去を早めることができる。
波長が172nmの真空紫外線は光子のエネルギーが強く、モルあたりのエネルギーが699kJ/molであり、一般的にCmHnOkで示した有機化合物をmC、nH、kOに解離する。この解離した有機物mC、nH、kOに、酸化力の強い原子状活性酸素[O]が反応して、二酸化炭素CO2や水H2Oのような揮発性物質を生成し、揮発により除去される。
波長が172nmのエキシマ光は、大気中の酸素に吸収され易く、光源から1mm離れた位置では、約20%のエネルギーが吸収され、3mm離れた位置で、約50%のエネルギーが吸収される。8mmの間隔では約90%程度のエネルギーが失われる。従って、エキシマランプ60に対して歯科用インプラント10は平行に置き、エキシマランプ60に対して歯科用インプラント10表面間距離L1は、3mm以内とすることが望ましく、少なくとも8mm以内にすることが望ましい。さらに、歯科用インプラント10は数mmの径を有する立体形状であるため、光強度の影響は大きく、図5で示した矢印記号のように、表面に均一にエキシマ光が照射されるように、回転しながらの照射が望ましい。歯科用インプラント10を回転しながら照射できない場合は、角度を変えて静置し、表面全体にエキシマ光が照射されるように、繰り返し行う。照射時間は、いずれの場合も表面に照射されている時間がトータルで1時間以上は必要であり、被照射物の汚染状況によっては数時間の照射が必要な場合もある。
なお、酸素の影響を少なくするために、窒素雰囲気中で照射してもよい。窒素雰囲気中といっても酸素は存在し、僅かな酸素量で原子状活性酸素[O]は生成可能である。
図7は、低圧紫外線ランプ62を歯科用インプラント10に照射したときの有機化合物が解離して分解する状態を概念的に示した図である。低圧紫外線ランプ42は、波長が185の真空紫外線と、波長が254nmの紫外線を発光する。波長185の真空紫外線は、空気中の酸素O2に吸収され、オゾンO3を生成する。このオゾンO3に波長254nmの紫外線が吸収されると、原子状活性酸素[O]を生成する。また、波長185の真空紫外線は、エキシマ光と同様に光子のエネルギーが強く、モルあたりのエネルギーが651kJ/molであり、一般的にCmHnOkで示した有機化合物をmC、nH、kOに解離する。この解離した有機物mC、nH、kOに、酸化力の強い原子状活性酸素[O]が反応して、二酸化炭素CO2や水H2Oのような揮発性物質を生成し、揮発により除去される。
低圧紫外線ランプ62から発生する真空紫外線は波長が185nmであり、大気中の酸素による吸収は、波長172nmのエキシマ光より少なく、低圧紫外線ランプ42から20mmの位置であっても光強度の減衰は、約20%である。従って、立体形状である歯科用インプラントには適しているが、それでも均一で高精度な清浄表面を得るためには、低圧紫外線ランプ62に対して歯科用インプラント10は平行に置き、低圧紫外線ランプ42に対して歯科用インプラント10表面間距離L2は、20mm以内とし、歯科用インプラント10を回転させながらの照射が望ましい。歯科用インプラント10を回転しながら照射できない場合は、角度を変えて静置し、表面全体に低圧水銀ランプ62が照射されるように、繰り返し行う。照射時間は、いずれの場合も表面に照射されている時間がトータルで1時間上は必要であり、被照射物の汚染状況によっては数時間の照射が必要な場合もある。
チタン製の歯科用インプラントは、その表面が酸化チタンで被膜されているため、多くの歯科用インプラントは、光触媒機能を備えている。光触媒機能は紫外線の照射により電子を励起して有機汚染物を分解除去し、架橋酸素は水と反応して塩基性水酸基になると考えられる。この光触媒機能を利用することで、歯科用インプラント表面の有機汚染物を分解除去することが可能である。酸化チタンは、バンドギャップエネルギーがルチル型結晶構造の場合は3.0eV、アナターゼ型結晶構造の場合は3.2eVである。光触媒機能はアナターゼ型結晶構造のほうが高く、歯科用インプラントの表面もアナターゼ型結晶構造を有する酸化チタンが多い。このため、波長が390nm以下の紫外線でよく、光触媒機能を利用する場合は、真空紫外線は必要としない。本発明では光触媒機能を可視光領域まで広げて光触媒活性能を高めているので、より効果がある。
真空紫外線は、分子の結合に対してエネルギー的には解離させることは可能であるが、それぞれの結合によって吸収波長が決まっているので、吸収しない光が当たっても解離させることが困難なこともあり、かえってエネルギーの低い200〜390nmの紫外光を照射した方がこれらの解離は起こり易い場合もある。これは、解離よりもむしろ原子状の酸素との反応による分解の方が確実におこるからである。
波長が250〜390nmに発光スペクトルを有する光源としては、高圧紫外線ランプがあり、高圧紫外線ランプは、波長400nmより長波長側の可視光領域にも発光スペクトルを持っている。このため、可視光領域まで光触媒機能を改善した酸化チタン層に対しても有効な光源となる。さらに、高圧紫外線ランプの発する波長は、真空紫外線に対して長波長であるために酸素に対する光の吸収が極めて少なく、光源と被照射対である歯科用インプラントとの距離が実用的にはほとんど制約を受けない利点がある。
図8は、本発明による歯科用インプラントへの酸化膜作製プロセスをまとめ、フローチャートで示したものである。まずステップS1では、チタン製歯科用インプラントを加工して原型を製作し、表面を洗浄する。洗浄は、超音波洗浄を行うことで表面付着物を取り除き、吸着している有機化合物をエタノールと水で洗浄する。また、超音波洗浄した後で、さらに希硫酸、硝酸、塩酸等で洗浄してもよい。次に、ステップS2で、陽極酸化処理装置を準備する。ステップS3で所望の酸化液を含んだ電解液を電解セルに入れ、歯科用インプラントをアノードとして接続し、カソード側の電極ともに、陽極酸化処理装置にセットする。ステップS4では、陽極酸化処理を行うため、電源から電圧を供給する。これにより陽極酸化処理が行われ、歯科用インプラント表面には酸化膜が生成される。
次にステップS5では、酸化膜が生成された歯科用インプラントを電解セルから取り出して、加熱処理を行う。加熱処理は、電気炉等が用いられる。そして、ステップS6で、加熱した歯科用インプラントを冷却し、紫外線を照射して終了する。
このフローチャートでは、加熱と紫外線照射を別工程として示したが、加熱しながら紫外線を照射してもよい。また、高出力の紫外線ランプを使用することで、同一光源で加熱と紫外線照射が同時に行なえる。
次にゾルゲル法により、生体インプラント表面に窒素がドープされた酸化チタンの膜を形成する方法について説明する。
図9は、ゾルゲル法により、生体インプラント表面に窒素がドープされた酸化チタンの膜を形成する方法示したフローチャートである。本方法によるゾルゲル法は、窒素を酸化チタンにドープするために、通常の酸化チタンを調製する過程で酸触媒として用いる硝酸の量を増やすことで、特別な試薬や手順を必要としない調製法である。
硝酸をまずステップS11では、オルトチタン酸テトライソプロピル(Ti[OCH(CH3)2]4をエタノール(C2H5OH)と硝酸(HNO3)を混合撹拌し、チタニアゾルを調製する。硝酸の構成元素である窒素を酸化チタンにドープするために、少なくとも硝酸はオルトチタン酸テトライソプロピルより多い量とすることが必要である。
次にステップS12において、生体インプラントを洗浄して表面を清浄にする。洗浄は、例えば、生体インプラントの表面を蒸留水で洗浄したり、超音波洗浄したりして表面の付着物を除去し、有機物をエタノールで脱脂する。ステップS13で、洗浄された生体インプランに、調製されたチタニアゾルを塗布する。次いで、ステップS14で、チタニアゾルが塗布された生体インプラントを低温乾燥させる。このときの温度は20〜50℃であり、望ましくは30〜40℃とする。低温乾燥は、温度を上げることにより時間的には短時間でドライゲル化するが、30〜40℃で長時間ゆっくりとゲル化させることで、焼成時にも窒素が揮発すること無く、酸化チタン内にドープできる。
酸化チタンを低温乾燥により、オルトチタン酸テトライソプロピルの加水分解と縮重合反応を進行させ、窒素を酸化チタンにドープする。
ゲル化したチタニアゾルは、ステップS15で高温乾燥し、ゲルを結晶化する。温度は、200〜400℃とし、望ましくは300〜350℃であり、時間は1時間以上である。
最後にステップS16で紫外線を照射して、汚染物を分解除去する。汚染物を除去するため紫外線照射は、陽極酸化処理において説明したと同様である。この紫外線照射は、高温乾燥時とともに行なってもよい。また、高出力の紫外線ランプを使用することで、同一光源で加熱と紫外線照射が同時に行なえる。
ゾルゲル法では、生体インプラント表面にイオウがドープされた酸化チタンの膜を形成することもできる。形成手順は、図9に示した窒素ドープのフローチャートと同様であるが、チタニアゾルは、オルトチタン酸テトライソプロピル(Ti{OCH(CH3)2}4)とエタノール(C2H5OH)と、触媒とドープされるイオウのソースとして硫酸(H2SO4)を使用し、これらの溶液を混合撹拌して調製する。
ゾルゲル法での低温乾燥によるチタニアゾルのドライゲル化は、通常10日以上必要であるが、超音波照射することで時間を短縮でき、3日程度で可能となる。
ところで、人間の骨折治療法として超音波骨折治療法がある。超音波骨折治療法とはパルス化した微弱な超音波刺激を非侵襲的に生体外から対象骨に照射することで、骨折の治癒促進と治療期間を短縮するための技術として医科・整形外科で多く用いられる物理刺激療法の一種である。整形外科臨床においては一般的な新鮮骨折の治癒促進から比較的治癒困難な難治性骨折まで広く応用されており、保険適応が後押しする形で急速な普及が続いている。歯科領域においては、2004年に超音波刺激療法によるインプラント周囲での有意な骨形成の促進が報告されたのが初めてであり、その後多くの機関で基礎研究や臨床研究が重ねられている。
インプラント治療における物理刺激の応用は、骨の治癒過程で超音波を的確に使用することにより、(1)治療期間の短縮(2)オッセオインテグレーションの早期獲得(3)GBR後の骨の成熟(4)抜歯後の歯槽骨の形態維持等に有効と考えられているためである。
本発明による生体インプラントは、酸化チタンに不純物準位を形成して可視光領域までの光触媒活性能を広げているが、この光触媒活性能は、光の照射だけではなく、水中での超音波照射に対しても極めて大きな効果を発揮する。超音波での触媒機能の発現は、水中でのキャビテーションによる高調波エネルギーの発生が要因と考えられている。従って、生体インプラントを人体内に埋め込む直前に超音波洗浄すれば、光を照射しなくても光触媒活性化が図られるばかりか、付着した汚染物の除去も同時に行なわれる。さらに、生体インプラントが人体に埋め込まれた後も、非侵襲的に超音波刺激を、生体外から生体インプラントに与えることで、治癒促進と治療期間を短縮することができる。
次に、本発明による酸化チタンへの第三元素を実際にドープした実施例として、陽極酸化処理とゾルゲル法について説明する。
(実施例1)
(実施例1)
陽極酸化処理は、純チタン製の歯科用インプラントを用意し、図8で示したフローチャートに従って、歯科用インプラント表面に酸化膜を生成した。
用意した純チタン製の歯科用インプラントの洗浄は、まず超音波洗浄で、表面の付着物を除去し、その後、希硫酸で洗浄した後、さらにエタノールと水で洗浄し、清浄な面を得た。陽極酸化処理には、硫酸0.8mol/L、リン酸カリウム0.2mol/Lの電解液を使用した。硫酸に含まれるイオウ元素を酸化チタンにドープする。
陽極酸化処理装置に、洗浄した純チタン製の歯科用インプラントをアノードとしてセットし、白金板をカソードとして接続した。ここで、電圧120Vの直流電圧を電流密度50mA/cm2で約30分間陽極酸化処理を行った。
陽極酸化処理を行った歯科用インプラントは、電解セルから取り出し、エタノールと水で洗浄してから電気炉内に置き、450度で5時間加熱した。
加熱した歯科用インプラントは冷却後、電気炉から取り出して真空紫外線を照射するが、光源は、波長が185nmと145nmに強い線スペクトル強度を有する低圧紫外線ランプ(ウシオ電機製低圧UVランプ:形式「ULO−6DQ」)を使用した。低圧紫外線ランプの照射条件は、低圧紫外線ランプから約8mmの位置に歯科用インプラントを光源に水平に置き、図7で説明した方法で低圧紫外線ランプを約8時間照射した。
このようにして作製された酸化チタンの酸化膜に対して、低圧紫外線ランプの照射前後の元素成分をXPSにより分析し、比較した。
図9は、低圧紫外線ランプ照射前の歯科用インプラントのXPS分析結果を示している。光電子名(NAME)は、元素成分に主量子数(n=1、2、3、・・)と軌道角運動量(s、p、d)で表し、それぞれの元素成分に対して、ピーク結合エネルギー(Peak BE)、半値幅(FWHM)、元素エリア(Area)及び原子濃度(atm%)を示している。チタン(Ti2p3)の濃度は11.49atm%、酸素(O1s)の濃度は43.42atm%、炭素(C1s)の濃度は36.46atm%であった。リン(P2b)の濃度が6.17atm%、カリウム(K2p3)の濃度が0.13atm%で、その他、窒素(N1s)と微量のシリコン(Si2p)、が検出された。
図10は、低圧紫外線ランプ照射後の歯科用インプラントのXPS分析結果を示している。低圧紫外線ランプ照射前と比較すると、元素濃度が大きく変化したのが炭素(C1s)であることがわかる。低圧紫外線ランプ照射前の炭素濃度は36.46atm%であったのに対して、低圧紫外線ランプ照射後は11.36atm%へと大幅に減少している。また、チタン濃度14.58atm%より低い濃度が得られており、オッセオインテグレーションの阻害要因となる炭素を減少させることができた。
リン(P2b)の濃度は、低圧紫外線ランプ照射前の6.17atm%に対して、低圧水銀ランプ照射後は7.24atm%となっているが、炭素の低減により割合が変わったものであり、低圧水銀ランプ照射での元素量は変わらないと推定できる。カリウム(K2p)についても同様に考えられる。
低圧紫外線ランプ照射後に新たに検出されたのは、イオウ(S2p)である。イオウ濃度は1.22atm%であり、酸化チタンにドープされた量である。これにより、酸化チタンのエネルギーバンド中にドーピされたイオウにより、不純物準位が形成されていると考えられる。従って、アナターゼ型酸化チタンのバンドギャプは3.2eVであり、ルチル型酸化チタンのバンドギャプは3.0eVであるから、それ以下のバンドギャプで電子の光励起が可能であり、これは長波長化により可視光領域での光触媒活性化できることを意味している。光触媒機能の特長である紫外線照射による超親水性現象だけでなく、可視光においても水との接触角が低く親水性を示すことが確認できており、生体親和性に優れていることがわかる。
さらに、バイオインテグレーションを誘起するカリウムやリンの存在とともに、オッセオインテグレーションのより一層の促進効果が期待できる。
(実施例2)
(実施例2)
ゾルゲル法により生体インプラント表面に酸化チタンを成膜するために、図9に示したフローチャート従って、窒素ドープ型の酸化チタンを生成した。
チタニアゾルは、オルトチタン酸テトライソプロピル6.8mlとエタノール40ml及び濃硝酸10mlを混合して調製した。生体インプラントは、長音波洗浄とエタノールで表面を洗浄した。この生体インプラントに、調製したチタニアゾルを塗布し、35℃で30日間、オルトチタン酸テトライソプロピルの加水分解と縮重合反応を進行させた。その後、生体インプラント表面のドライゲルを、300℃で3時間高温乾燥して焼成した。
なお、窒素ドープの効果を確認するため、比較試料として通常の酸化チタンも調製した。この酸化チタン、硝酸を酸触媒としてのみ利用するため、濃硝酸0.21mlを用いて60℃で2日間ゲル化させ、300℃で3時間焼成した。
図12は、生体インプラントの窒素ドープ酸化チタンのXRD回折パターンを示している。窒素ドープ酸化チタンの回折ピークは、2θ角25.28、36.94、37.78、38.57、48.05、53.88、55.08°に現れ、アナターゼ型酸化チタンのピークと一致した。窒素がドープされていても、結晶化しアナターゼ型になっていることが確認された。窒素をドープすることによる他の結晶相の形成はみられなかった。
図13は、窒素ドープの光特性向上の効果を調べるために、窒素ドープ酸化チタン(N−TiO2)と通常の酸化チタン(normal−TiO2)に拡散反射スペクトルを示したものである。通常の酸化チタンは、光の波長が400nmより長波長側ではほとんど反射してしまうが、窒素ドープ酸化チタンは、可視光領域の長波長側まで吸収端が伸びており、600nm付近まで吸収の増大がみられた。
(実施例3)
(実施例3)
ゾルゲル法により生体インプラント表面にイオウがドープされた酸化チタンを成膜した。
チタニアゾルは、オルトチタン酸テトライソプロピルを6.8cm3、エタノールを40cm3、硫酸を0.1cm3とで調製した。調製方法は、室温で、まず乾燥した窒素ガスで満たされたグローブボックス中に容器を入れ、エタノールと硫酸を混合する。この混合溶液を撹拌しながら、オルトチタン酸テトライソプロピルを滴下して加える。
生体インプラントは、長音波洗浄とエタノールで表面を洗浄した。この生体インプラントに、調製したチタニアゾルを塗布し、オルトチタン酸テトライソプロピルの加水分解と縮重合反応を進行させた。オルトチタン酸テトライソプロピルの加水分解と縮重合反応は超音波照射により加速するため、3日で行なった。
その後、生体インプラント表面のドライゲルを、3時間高温乾燥して焼成した。焼成温度の影響を調べるために、温度は、300℃、400℃、600℃のサンプルと無加熱のサンプルを試作した。
なお、イオウドープの効果を確認するため、比較試料としてイオウがドープされていない通常の酸化チタンも調製した。この場合のチタニアゾルは、触媒として塩酸を使用し、オルトチタン酸テトライソプロピル6.8cm3、エタノールを40cm3、塩酸を1.0cm3とで調製した。高温乾燥は300℃、3時間行った。
図14は、イオウをドープした酸化チタンの被膜が形成された生体インプラントに対して、XRD(X‐ray diffraction)回折による結果を示している。図14での数値はサンプルの種類を表し、イオウがドープされていない酸化チタンをサンプル1とした。イオウをドープした場合の高温乾燥で、無加熱の試料はサンプル2、300℃で加熱した試料はサンプル3、400℃で加熱した試料はサンプル4、600℃で加熱した試料はサンプル5としている。
サンプル2を除いて、回折ピークは25.3°,37.8°,48.1°,53.9°と54.8°に存在していることがわかる。このピークパターンは、アナターゼ型結晶を有する酸化チタンの典型的なパターンである。
図15は、拡散反射分光法により、照射する波長に対しての拡散反射スペクトルを示したものである。縦軸は、表面から放射される拡散反射光を測定することにより吸収を求めるため、光の放射エネルギーの伝播を一次元的に取り扱ったKubelka−Munk関数を示している。
イオウがドープされていない酸化チタンのサンプル1では、光の吸収端が370〜380nmであるのに対して、イオウをドープした酸化チタンのサンプル2−5では、光の吸収端が400〜420nmとなり、可視光領域まで光の吸収端が広がっている。特に、温度300℃と400℃で加熱したサンプル3とサンプル4は、光の吸収端が広がり、可視光化に有効であることがわかる。
図16は、可視光に対するサンプル1、3−5の光触媒活性能を評価した結果を示している。評価方法は、サンプルを入れた赤外ガスセル内にトリクロロエチレンの50℃の蒸気を流量200ml/minで充填させ、吸着平衡に達した後、可視光を照射してトリクロロエチレンの光触媒分解を行った。トリクロロエチレンおよび生成物の量の変化はFT−IRスペクトルを測定することで観察し、光触媒としての性能を評価した。可視光の照射は、150WのXeランプに420nmカットオフフィルターを組合せて使用した。
可視光に対する光触媒活性能は、イオウをドープしないサンプル1ではほとんどトリクロロエチレンの分解が進んでいないのに対して、イオウをドープしたサンプル3−5はトリクロロエチレンの分解が進んでいる。特に300℃と400℃で高温乾燥させたサンプル3とサンプル4ではトリクロロエチレンの分解が顕著であった。
また、超音波照射による光触媒活性についても評価した。生体インプラントへの超音波照射は出力200W,発振周波数39kHzで実施した。イオウがドープされた酸化チタン被膜にメチレンブルーを塗布し、エタノールを溶媒とする濃度0.1wt%の溶液が入ったガラス容器に入れ、暗所にて超音波を照射した。この結果、1時間後には光透過率の向上とともに透明度が向上していることが確認され、長音波照射でも触媒機能が発現することが実証できた。
これらの結果から、生体インプラントの表面に形成された窒素またはイオウがドープされた酸化チタンは、可視光領域までの光触媒活性能を有するために、オッセオインテグレーションの促進に大きな効果を発揮することが期待でき、治療期間の短縮及び手術の成功確率を一層高めることができる。
なお、低圧紫外線ランプは、低圧水銀ランプあるいは低圧水銀灯とも呼ばれ、高圧紫外線ランプは、高圧水銀ランプあるいは高圧水銀灯とも呼ばれており、低圧紫外線ランプおよび高圧紫外線ランプと記載している場合は、これらの名称も含む概念である。
以上、本発明の実施例を歯科用インプラントについて説明したが、本発明は生体内に埋植される人工骨に対しても有効であり、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。
10 フィクスチャー部
12 フィクスチャー
14 カラー部
16 ガイド突起
18 根尖部
20 チタンの骨性たんぱく質の吸着メカニズム
22 チタン
24 酸化チタン
26 骨性タンパク質
28 水酸基
30 カルシウム
32 オステオカルシン
34 オステオポンチン
40 価電子帯
42 伝導帯
44 フェルミ準位
46 バンドギャップ
48 不純物準位
50 陽極酸化処理
52 電解セル
54 カソード
56 電解液
58 電源
60 エキシマランプ
62 低圧紫外線ランプ
12 フィクスチャー
14 カラー部
16 ガイド突起
18 根尖部
20 チタンの骨性たんぱく質の吸着メカニズム
22 チタン
24 酸化チタン
26 骨性タンパク質
28 水酸基
30 カルシウム
32 オステオカルシン
34 オステオポンチン
40 価電子帯
42 伝導帯
44 フェルミ準位
46 バンドギャップ
48 不純物準位
50 陽極酸化処理
52 電解セル
54 カソード
56 電解液
58 電源
60 エキシマランプ
62 低圧紫外線ランプ
Claims (20)
- 人間の体内に埋植される人工骨または口腔内の骨に埋入される人工歯根である生体インプラントにおいて、
前記生体インプラントの表面を覆う酸化チタンに、第三の元素がドープされていること、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項1に記載の生体インプラントにおいて、
前記生体インプラントの表面を覆う酸化チタンにドープされた元素により、酸化チタンのエネルギーバンドに不純物準位が形成されていること、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項1に記載の生体インプラントにおいて、
前記酸化チタンにドープされる元素がイオウであること、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項1に記載の生体インプラントにおいて、
前記酸化チタンにドープされる元素が窒素であること、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項3に記載の生体インプラントにおいて、
0.5〜2mol/Lの硫酸を含む電解液で、チタン製の生体インプラントを陽極として陽極酸化処理することにより作製されたこと、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項5に記載の生体インプラントにおいて、
前記電解液には、さらにリン又はカルシウム元素を含む酸性液が加えられていること、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項6に記載の生体インプラントにおいて、
リンを含む酸性液は、リン酸、グリセロリン酸、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム又はリン酸カリウムのいずれかであり、
カルシウムを含む酸性液は、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム又は硫酸カルシウムのいずれかであること、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項5に記載の生体インプラントにおいて、
電流密度が、30〜200mA/cm2であり、
陽極形成電圧が、30〜500Vの直流又はデューティが約10〜60%のパルス波であり、陽極酸化処理の処理時間は、30分以上であること、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項5乃至8に記載の生体インプラントにおいて、
陽極酸化処理した後、300〜500℃で加熱処理をすること、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項9に記載の生体インプラントにおいて、
加熱処理は、さらに紫外線を照射しながら行なうこと、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項9に記載の生体インプラントにおいて、
加熱処理後に、紫外線照射を行なうこと、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項4に記載の生体インプラントにおいて、
オルトチタン酸テトライソプロピルとエタノール、及び、少なくともオルトチタン酸テトライソプロピルより多い量の濃硝酸を混合したゾルを作製するステップと、
前記ゾルを生体インプラントに塗布するステップと、
前記生体インプラントを低温乾燥で、前記ゾルを縮重合化反応によりゲル化するステップと、
前記生体インプラントを高温乾燥で、前記ゲルを結晶化するステップと、
から作製されたことを特徴とする生体インプラント。
- 請求項3に記載の生体インプラントにおいて、
オルトチタン酸テトライソプロピルとエタノールと、ドープされるイオウのソースと触媒として硫酸を混合したゾルを作製するステップと、
前記ゾルを生体インプラントに塗布するステップと、
前記生体インプラントを低温乾燥で、前記ゾルを縮重合化反応によりゲル化するステップと、
前記生体インプラントを高温乾燥で、前記ゲルを結晶化するステップと、
から作製されたことを特徴とする生体インプラント。
- 請求項12乃至13に記載の生体インプラントにおいて、
低温乾燥は、温度20〜50℃で行なうこと、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項12乃至13に記載の生体インプラントにおいて、
高温乾燥は、温度300〜500℃で行なうこと、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項12乃至13に記載の生体インプラントにおいて、
高温乾燥は、さらに紫外線照射をしながら行なうこと、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項12乃至13に記載の生体インプラントにおいて、
高温乾燥後に、紫外線照射を行なうこと、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項10、11、16及び17に記載の生体インプラントにおいて、
紫外線照射は、低圧紫外線ランプ、高圧紫外線ランプ、エキシマランプのいずれかで行なうこと、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項10、11、16及び17に記載の生体インプラントにおいて、
紫外線照射により、炭素元素の原子濃度が、チタンの原子濃度以下とすること、
を特徴とする生体インプラント。
- 請求項2に記載の生体インプラントにおいて、
前記生体インプラントは、生体内に埋め込まれる際に、水中で超音波照射が行なわれていること、
を特徴とする生体インプラント。
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