JPH0731627A - インプラントとその製造方法 - Google Patents

インプラントとその製造方法

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JPH0731627A
JPH0731627A JP4028525A JP2852592A JPH0731627A JP H0731627 A JPH0731627 A JP H0731627A JP 4028525 A JP4028525 A JP 4028525A JP 2852592 A JP2852592 A JP 2852592A JP H0731627 A JPH0731627 A JP H0731627A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 芯体の全部あるいは表面だけがチタンまたは
チタン合金からなるインプラント芯体と、その表面に形
成されたCaとPを含むチタン陽極酸化皮膜からなるイ
ンプラント。また、この陽極酸化皮膜に水酸化アパタイ
トなどのリン酸カルシウム化合物を析出させてなるイン
プラント。これらのインプラントは、Ca化合物とP化
合物を含有する電解質中で、チタン及びチタン合金から
なる任意の形状のインプラントを陽極酸化し、その表面
にCaとPを含む陽極酸化膜を形成させ、さらに必要に
応じてこの皮膜を水熱処理して表面に水酸化アパタイト
などのリン酸カルシウム化合物の皮膜を形成することに
より製造する。 【効果】 特殊な装置を必要とせず、短時間で複雑な形
状のインプラント表面に生体活性材料を均一にコーティ
ングでき、さらに骨組織との親和性が向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、人工歯根、人工骨、
人工関節、骨補填材、ボーンスクリュー、ボーンプレー
ト、ボーンフレーム等の歯科および整形外科等の分野で
用いられるインプラントとその製造方法に関するもので
ある。さらに詳しくは、この発明は、骨組織との親和性
に優れたCaとPを含むチタン陽極酸化皮膜を芯体表面
に形成させたインプラントとその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術とその課題】近年の医療技術の進歩にはめ
ざましいものがあり、高齢化社会の進展等にともなっ
て、その技術の発展には大きな期待が寄せられている。
このような技術の一つとして、人工歯根、人工骨、人工
関節等の骨代替材料あるいは骨補強材料の技術があり、
その利用は急速に広まっている。これらの材料は、いわ
ゆる「インプラント」もしくは「インプラント材料」と
呼ばれているものであるが、その多くは、金属、セラミ
ックス等によって構成されている。
【0003】このうちの実用化されている生体内のイン
プラント材料としての金属には、ステンレス鋼、Ni−
Cr合金、Co−Cr合金、チタンおよびチタン合金、
貴金属およびその合金などがあり、それぞれ用途に応じ
て使用されている。その中でチタンおよびチタン合金は
成形加工が困難であるものの、耐食性、生体適合性、機
械的性質などの点で優れているため、その使用量が増加
している。
【0004】ところが、特に人工歯根や人工骨等に用い
られるインプラントにおいては、さらに長時間生体内で
安定に機能させるために、骨組織に埋植された後により
多くの骨組織に被覆されるようにすることが望まれてい
る。そこで、インプラントの表面を改質して骨組織親和
性を向上させる試みがなされている。この骨組織の親和
性向上の方法には、たとえばチタン基材表面に、水酸化
アパタイトや他のリン酸カルシウム化合物などの生体活
性(適合)材料の粉末をプラズマ溶射法により付着さ
せ、骨と直接に結合させる方法や、チタン粉末をプラズ
マ溶射法で付着させて凹凸を形成させたり、チタンやチ
タン合金のビーズを焼き付けて多孔体にすることによっ
て、骨との物理的なからみあいによる維持力を得る方法
等がある。
【0005】しかしながら、現状のインプラント技術で
はいまだ充分に満足できるものはない。また、骨との化
学的な結合力と物理的なからみあいにより維持力を合わ
せ持つように、機械加工により基板に多数の穴をあけた
り、ネジ切りをしたり、あるいは化学的に酸でエッチン
グすることにより表面を粗くするなどの様々な工夫を施
し、さらにその表面に生体活性材料をコーティングする
ことが検討されてもいる。この場合、コーティング層は
生体内で安定でなくてはならず、細胞による侵襲や劣化
による剥離などが起こらないことが必要条件である。
【0006】だが、残念ながら、従来の技術によって
は、複雑な形状をしたインプラント表面に生体活性材料
を均一にしかも強固にコーティングさせることは困難で
あった。たとえばプラズマ溶射法ではインプラント外表
面にコーティングするのは容易であるが、細い貫通穴や
円筒環状の内側の表面には粉末は届かないのでコーティ
ングが困難である。表面をチタンあるいはチタン合金の
ビーズを焼き付けて多孔体にしたものや、骨欠損部に充
填するための多孔質チタンなどでも、内部まで粉末は到
達しないので表面全体をコーティングすることは不可能
である。また、基材との付着強度も生体内の激しい環境
で長期間機能させることは不十分であり、特殊な装置を
も必要とし、高価な水酸化アパタイトの歩止まりが悪く
コストを下げられないといった欠点もある。
【0007】プラズマ溶射とは別に、CaとPの化合物
を含む溶液にチタン基材を浸漬した後、加熱焼成してリ
ン酸カルシウム化合物を被覆させる方法が知られてもい
る。しかしながら、この方法では、形状による制限は少
ないものの、生体活性の効果を得るためにある程度の厚
さにするには、塗布−焼成工程を何回も繰り返さなけれ
ばならず、操作が複雑であるという欠点がある。また、
この方法で得られた皮膜も生体内の安定性は十分でな
い。プラズマ溶射法も同様であるが、金属であるチタン
とまったく異なるセラミック材料を表面に強固にコーテ
ィングすることは、熱膨張率の差や結晶構造の違いなど
から基本的に困難である。
【0008】一方、チタン陽極酸化を行う方法もある。
この方法は、電解液中でチタン陽極とステンレス鋼など
の陰極間に電圧を加えて電解し、陽極のチタン表面を電
気化学的に酸化して酸化皮膜を形成させる方法であり、
装飾品や建築材料などで用いられているカラーチタンの
製造などに用いられている技術である。このカラーチタ
ンは膜厚の薄いいわゆる干渉膜であり、チタン製の人工
歯根を金色にすることで、歯肉との色を合わせることに
も利用されている。この方法では、1μm以上の比較的
厚い酸化膜を形成させることが容易で、形成された皮膜
と基材の密着性も良好であり、また任意の形状の物に均
一にコーティングすることができ、しかも特殊な装置を
必要とせず短時間で処理することができるなどの利点を
有している。
【0009】しかしながら、単に皮膜の成分が酸化チタ
ンでは骨組織との親和性が向上するとは限らないため、
インプラントに必要とされる機能をさらに与える必要が
ある。この発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされた
ものであり、従来技術の欠点を解消し、任意の形状のチ
タンまたはチタン合金からなるインプラント芯体を有
し、生体内で長時間にわたって安定でしかも骨組織との
親和性に優れた生体活性材料とその製造方法を提供する
ことを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、芯体の全部あるいは表面だけが
チタンまたはチタン合金からなるインプラント芯体と、
その表面に形成されたCaとPを含む陽極酸化皮膜から
なることを特徴とするインプラントとその製造法を提供
する。
【0011】また、この発明は、上記の陽極酸化皮膜上
に水酸化アパタイトなどのリン酸カルシウム化合物を析
出させてなるインプラントとその製造法をも提供する。
そして、この発明のインプラントの製造方法は、Ca化
合物とP化合物を含有する電解質中で、チタン及びチタ
ン合金からなる任意の形状のインプラントを陽極酸化
し、その表面にCaとPを含む陽極酸化膜を形成させる
こと、そしてさらに必要に応じてこの皮膜を水熱処理す
ることにより、表面に水酸化アパタイトなどのリン酸カ
ルシウム化合物の皮膜を形成することからなっている。
【0012】以下この発明を詳細に説明する。まず、こ
の発明においては芯体としての基材にはチタンあるいは
チタン合金を使用するが、その形状はいかなる物でもよ
く、棒状、板状はもちろん、それらに穴があけられてい
てもネジ切りされていてもよい。またスポンジ状の多孔
体やメッシュ状の織物の形状をしていてもよい。あるい
は基板表面にチタン粉末をプラズマ溶射した面やチタン
あるいはチタン合金のビーズを焼き付けた多孔体表面層
であってもよい。
【0013】陽極酸化に際し、これらの基板は、通常の
研磨法で研磨し、アルコール洗浄、水洗などで表面を清
浄にしておく。研磨できないものは酸洗等により表面を
清浄にする。陽極酸化する必要のない部分には予めマス
キング剤を塗布しておき、全体を処理した後にそれを除
去してもよい。表面積を増大させて皮膜との密着性を向
上させるために、酸によるエッチング処理またはサンド
ブラスト処理により表面を適度に粗にしておいてもよ
い。この操作は大気中で自然に形成された酸化膜を除去
し、活性な金属表面を露出させ、膜の付着強度を高める
効果もある。以上の前処理を行なった後に陽極酸化を行
なう。
【0014】陽極酸化を行なうときに用いる電解質溶液
には、導電性を得るために少なくともPの化合物が含ま
れていなければならない。そしてこの液にCaの化合物
を同時に添加して陽極酸化することにより、CaとPを
取り込みながら酸化皮膜を成長させ、結果的にCaとP
を含むチタン陽極酸化皮膜を形成させる。この場合のC
aの化合物としては塩化カルシウム、硝酸カルシウム、
炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、
乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン
酸カルシウム、クエン酸カルシウム、プロピオン酸カル
シウム等を用いることができるが、特にこれらの化合物
に限定する必要はない。中でも酢酸カルシウムとグリセ
ロリン酸カルシウムは水への溶解度が高く、生体に有害
なイオンを含まないので好ましい。
【0015】Pの化合物としては、リン酸、α−グリセ
ロリン酸ナトリウム、β−グリセロリン酸ナトリウム、
グリセロリン酸カルシウム、1−ヒドロキシエタン−
1,1ビスフォスフォネート、フィチン酸等を用いるこ
とができるが、グリセロリン酸塩を用いると、前記カル
シウム化合物を同時に溶解させたときにも反応して沈澱
を生じることがなく、高濃度でCaとPを含む電解質を
調製することができ、しかも高電圧まで安定して陽極酸
化できるので好ましい。また、電解質溶液の溶媒は水に
限定されることなく、有機溶媒や鎔融塩を用いて行なう
こともできる。このような電解質溶液に、チタン製のイ
ンプラントを浸漬し以下のような方法で陽極酸化を行な
う。
【0016】陽極酸化を行なうときに到達する最高電解
電圧は10−600Vが好ましく、10Vより低いと陽
極酸化ができず、600Vより高くなると安定して陽極
酸化できなくなり、皮膜にむらが生じてしまう。電解電
圧は後述のように皮膜の組成、表面の微構造そして膜厚
等に影響するので、これらの条件が最適になるように決
定される。電流は、陽極酸化しようとする基材の表面積
に応じて調節するが、大電流のもとでは電解電圧が上昇
するのが速く、短時間で終了する反面、皮膜の付着強度
が低下したり、微構造が乱れるなどの不都合が生じる。
【0017】従って、なるべく小電流のもとで徐々に陽
極酸化した方が、皮膜の付着強度が高くなって好まし
い。また、陽極酸化するときの発熱が、皮膜と基板の間
の付着強度を低下させるのでこれを防ぐために、電解質
溶液は常に0℃付近に保たれることが好ましい。ただ
し、後でのべるように水熱処理によって表面に多量の水
酸化アパタイトなどのリン酸カルシウム化合物の結晶を
析出させ、リン酸カルシウム化合物の皮膜を形成させる
場合には、0°C付近の低温で陽極酸化した皮膜からは
リン酸カルシウム化合物の結晶が析出しにくいので、5
−60°Cのやや高い温度に電解質溶液を保って陽極酸
化するとよい。なお、陽極酸化法については従来公知の
方法や装置などが適宜採用させることは言うまでもな
い。
【0018】皮膜の組成は、電解溶液の組成と電解電圧
によって決めることができる。一定電圧のもとでは、電
解質溶液に含まれるCaとP化合物の割合と濃度によっ
て、また、電解質溶液の組成が一定の時は、電解電圧に
よってチタン陽極酸化膜に含まれるCaとPの割合が変
化する。従って電解質溶液の組成と電解電圧をそれぞれ
変えることによって、皮膜を構成する原子の比率すなわ
ちCa/Ti比、P/Ti比、Ca/P比を自由にコン
トロールすることが可能である。たとえば水酸化アパタ
イトの理論Ca/P比である1.67を保ちながら、できる
だけ多くCaとPを含ませることによって、生体活性の
高い皮膜を得ることができる。あるいは2、3種類の異
なる組成の電解質溶液を用い、その中で順次陽極酸化す
ることにより皮膜の組成を段階的に変化させたり、陽極
酸化している間に濃度の高いCaとPの化合物溶液を添
加することにより、皮膜組成を連続的に変化させること
も可能である。
【0019】陽極酸化処理を終えたインプラントは、蒸
溜水中で超音波洗浄して表面を清浄化することができ
る。この状態で使用してもよいが、さらに高圧水蒸気中
で水熱処理することにより、表面に水酸化アパタイトな
どのリン酸カルシウム化合物の皮膜を形成させてから使
用してもよい。水熱処理の温度範囲は100〜500℃
が好ましく、100℃より低いとリン酸カルシウム化合
物の結晶が生成せず、500℃より高いと装置が大型に
なるのと、皮膜と基材の間の付着強度が低下するなどの
理由から好ましくない。
【0020】
【作用】以上のようにこの発明においては、CaとPを
含む生体活性なチタン陽極酸化皮膜をチタンまたはチタ
ン合金の表面に形成させるが、この皮膜はチタンまたは
チタン合金の表面から析出してきたものであることか
ら、基材のチタンまたはチタン合金とは結晶の整合性が
高く、皮膜の付着強度が高い。さらにこの陽極酸化皮膜
から析出してきた水酸化アパタイトなどのリン酸カルシ
ウム化合物の皮膜も、同じ理由から付着強度は非常に高
い。従来のように、金属とは異種なセラミック材料を外
部から付着させるコーティング方法と比べて、生体内の
安定に優れ、長時間使用しても皮膜の剥離や吸収などの
不都合が生じない。
【0021】また、この方法で得られたチタン陽極酸化
膜は、骨と同様にCaとPを含んでいるので、骨組織に
対する親和性は良好である。従来のチタンおよびチタン
合金からなるインプラントと比較して、より多くの骨組
織に被包される。さらにまた、生体内で表面に自然に水
酸化アパタイトなどのリン酸カルシウム化合物を析出す
るか、あるいは前もって水熱処理によって析出させてお
くことにより、いずれにしてもこの陽極酸化皮膜は骨と
直接結合する。
【0022】このようなインプラントを製造するこの発
明の製造方法によれば、インプラントを電解質溶液に浸
漬して陽極酸化するので、液が侵入しないような非常に
細い穴などを除いて、どのような形状をしていても液と
接触した表面に均一にコーティングすることができ、基
材の形状を問うこともない。しかも特殊な装置を必要と
せず、陽極酸化に要する時間は数10秒から長くて数分
と短時間で処理することができるので、操作が非常に容
易であるという特徴がある。
【0023】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発
明について説明する。
【0024】
【実施例】実施例1〜3 表1に示すように、リン(P)化合物としてリン酸を使
用し、Ca化合物として酢酸カルシウム、グリセロリン
酸カルシウム、クエン酸カルシウムをそれぞれ溶解させ
た液を用いて純チタンを350Vで陽極酸化した。その
結果灰黒色の皮膜が得られた。皮膜に含まれるPに対す
るCaの原子比率は1以下であり、Pの方がCaよりか
なり多かった。
【0025】実施例4〜6 表1に示すように、リン化合物としてグリセロリン酸カ
ルシウムを使用し、酢酸カルシウムとともに蒸溜水に溶
解した液を用いて純チタンを陽極酸化した。いずれも灰
白色の皮膜が得られた。実施例4〜5では酢酸カルシウ
ムの濃度が異なり、一定の電解電圧のもとでは電解質溶
液の組成を変えることによって、得られる皮膜の組成を
決めることができた。実施例4では水酸化アパタイトの
Ca/P比である1.67にすることができた。実施例5と
6で、同じ組成の電解質溶液を用いて300Vと350
Vのもとでチタンを陽極酸化したところ得られた皮膜の
組成が異なっており、電解電圧によっても皮膜の組成を
決めることができた。
【0026】実施例7〜11 同様に表1に示したように、リン化合物としてβ−グリ
セロリン酸ナトリウムを使用し、酢酸カルシウムととも
に蒸溜水に溶解した液を用いて純チタンを陽極酸化し
た。その結果、グリセロリン酸カルシウムを使用した場
合よりCa/Ti比とP/Ti比が高くなり、すなわち
酸化皮膜中のCaとPの含有量を多くすることができ、
生体活性度を高くすることができた。実施例7と8を比
較すると、電解電圧を330Vで一定にして、β−グリ
セロリン酸ナトリウムと酢酸カルシウムの濃度だけを変
えたところ、酸化皮膜に含まれるCaとPの割合もそれ
に応じて変化した。従って、電解質溶液の組成を変える
ことにより、酸化皮膜中に含まれるCaとPの割合なら
びにCaに対するPの比も調節することができ、たとえ
ば水酸化アパタイトの理論Ca/P比である1.67に合わ
せることは容易であった。実施例7と9を比較すると、
同じ電解質溶液を用いて電解電圧だけを変えたところ、
電圧が高いときの方が酸化皮膜中のCaとPの割合が増
えた。また、実施例8と10では同様に電解電圧だけを
変化させたが、実施例7と9の場合と比べて、電解質溶
液の濃度が低いときの方がCaとPの割合の変動が少な
かった。この陽極酸化膜は溶液中のCaとPを取り込み
ながら成長するので、溶液が高濃度になるほど単位厚さ
の皮膜に取り込まれるCaとPの量が増え、皮膜中のC
aとPの含有量が大きく変化する傾向があった。実施例
11では比較的溶液の濃度が低いので、高電圧まで安定
して陽極酸化できた。この時得られた皮膜には、微小突
起がよく発達し、骨組織との十分なマイクロアンカーリ
ング効果が期待された。いずれの場合にも得られた皮膜
の色は灰白色であったが、酸化皮膜中のCaとPの含有
量が増すにしたがって、微構造が乱れて不均一になり、
膜がまだら模様になる傾向があった。また、溶液の濃度
が高くなるほど到達可能な電解電圧は低くなり、過飽和
に近づくと白濁してくるなどの理由から適当な濃度のも
とで陽極酸化するのが好ましい。
【0027】実施例12〜13 β−グリセロリン酸ナトリウム水溶液を用いて表1に示
した通りに純チタンを陽極酸化したところ、濃度が0.07
mol /1で得られた皮膜は灰黒色であった。この場合に
も、酢酸カルシウムを添加することによって皮膜は灰白
色になった。β−グリセロリン酸ナトリウム水溶液の濃
度を0.13mol /1に高めると、灰白色皮膜が得られた。
したがって、β−グリセロリン酸ナトリウムだけを用い
てもチタン陽極酸化膜は灰白色になった。
【0028】実施例14〜15 基材にTi6Al4V合金を用いて陽極酸化した。得ら
れた皮膜は薄茶色をしていたが、チタンと同様にCaと
Pを含んだ陽極酸化膜が形成され、ほかにAlとVの酸
化物が微量に含まれていた。この場合にも同様に、溶液
の濃度を変えることによって酸化皮膜中のCaとPの割
合を変化させることができた。
【0029】
【表1】
【0030】なお、実施例4〜11と14,15で得ら
れた皮膜を走査型電子顕微鏡で微構造を観察したとこ
ろ、純チタンとチタン合金でほとんど差がなく、これら
の穴や微小突起は、火花放電が起こると形成されるよう
になり、電解電圧が高くなるほど大きくなる傾向があっ
た。実施例16 グリセロリン酸塩と酢酸カルシウムを用いて陽極酸化し
た実施例4〜11と実施例14および15において得ら
れた陽極酸化膜を、オートクレーブを用いて高圧水蒸気
中300℃で約2時間水熱処理を行なったところ、皮膜
表面に水酸化アパタイトの皮膜が形成されていることを
X線回析によって確認した。特に実施例6〜11で形成
された陽極酸化膜を水熱処理した表面を走査型電子顕微
鏡で観察したところ、水酸化アパタイト結晶はもともと
CaとPを含んでいた陽極酸化皮膜から多量に析出して
きており、約1〜3μmの厚さで表面全体を覆ってい
た。酸化皮膜に含まれるCaとPがある量を超えると、
水酸化アパタイト結晶が表面上に隙間なく析出するよう
になり、水酸化アパタイトの皮膜を形成した。しかし、
あまり多くのCaとPを含むようになると、陽極酸化皮
膜自体の構造が不安定になるため、水熱処理には向かな
くなる。
【0031】
【発明の効果】この発明によるインプラントの場合に
は、それが骨組織に被包されたとき、皮膜表面に形成さ
れた微小な突起が起こすマイクロアンカーリング効果
や、火花放電によってあいた微小な穴に、骨あるいは骨
を構成するコラーゲンなどの生体成分が侵入することに
よる物理的な維持力が得られる。上記実施例4〜11お
よび13によれば、この方法で製造されたインプラント
は灰白色となり、未処理チタンの金属色と比べて患者に
与える清潔感が高くなる。この方法では0℃付近で処理
するので、骨の石灰化を促進する作用のあるBMP等の
タンパク質やβ−グリセロリン酸ナトリウムなどの生理
活性物質を失活させることなく複合化させることもでき
る。
【0032】また、水熱処理によって形成された水酸化
アパタイトの皮膜では、従来行なわれてきた焼結あるい
はプラズマ溶射法などの製造方法と比べて、非常に低い
温度のもとで形成させることができるので、骨を構成す
る水酸化アパタイトと結晶性の点で類似しており、骨組
織との親和性がより高くなる。また、生体材料としての
用途だけでなく、表面に水酸化アパタイトを析出させた
場合には、液体カラムクロマトグラフィーの吸着剤に使
用することも可能である。この発明で得られたCaとP
を含むチタン陽極酸化被膜は多孔質で比表面積が大きい
ため、この酸化チタン被膜をインプラントの他に触媒、
電子材料、吸着剤等として使用する場合には、さらに機
能を高めることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】追加
【補正内容】
【図1】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 インプラントとその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】この発明は、人工歯根、人工骨、
人工関節、骨補填材、ボーンスクリュー、ボーンプレー
ト、ボーンフレーム等の歯科および整形外科等の分野で
用いられるインプラントとその製造方法に関するもので
ある。さらに詳しくは、この発明は、骨組織との親和性
に優れたCaとPを含むチタン陽極酸化皮膜を芯体表面
に形成させたインプラントとその製造方法に関するもの
である。
【従来の技術とその課題】近年の医療技術の進歩にはめ
ざましいものがあり、高齢化社会の進展等にともなっ
て、その技術の発展には大きな期待が寄せられている。
このような技術の一つとして、人工歯根、人工骨、人工
関節等の骨代替材料あるいは骨補強材料の技術があり、
その利用は急速に広まっている。これらの材料は、いわ
ゆる「インプラント」もしくは「インプラント材料」と
呼ばれているものであるが、その多くは、金属、セラミ
ックス等によって構成されている。このうちの実用化さ
れている生体内のインプラント材料としての金属には、
ステンレス鋼、Ni−Cr合金、Co−Cr合金、チタ
ンおよびチタン合金、貴金属およびその合金などがあ
り、それぞれ用途に応じて使用されている。その中でチ
タンおよびチタン合金は成形加工が困難であるものの、
耐食性、生体適合性、機械的性質などの点で優れている
ため、その使用量が増加している。ところが、特に人工
歯根や人工骨等に用いられるインプラントにおいては、
さらに長時間生体内で安定に機能させるために、骨組織
に埋植された後により多くの骨組織に被覆されるように
することが望まれている。そこで、インプラントの表面
を改質して骨組織親和性を向上させる試みがなされてい
る。この骨組織の親和性向上の方法には、たとえばチタ
ン基材表面に、水酸化アパタイトや他のリン酸カルシウ
ム化合物などの生体活性(適合)材料の粉末をプラズマ
溶射法により付着させ、骨と直接に結合させる方法や、
チタン粉末をプラズマ溶射法で付着させて凹凸を形成さ
せたり、チタンやチタン合金のビーズを焼き付けて多孔
体にすることによって、骨との物理的なからみあいによ
る維持力を得る方法等がある。しかしながら、現状のイ
ンプラント技術ではいまだ充分に満足できるものはな
い。また、骨との化学的な結合力と物理的なからみあい
により維持力を合わせ持つように、機械加工により基材
に多数の穴をあけたり、ネジ切りをしたり、あるいは化
学的に酸でエッチングすることにより表面を粗くするな
どの様々な工夫を施し、さらにその表面に生体活性材料
をコーティングすることが検討されてもいる。この場
合、コーティング層は生体内で安定でなくてはならず、
細胞による侵襲や劣化による剥離などが起こらないこと
が必要条件である。だが、残念ながら、従来の技術によ
っては、複雑な形状をしたインプラント表面に生体活性
材料を均一にしかも強固にコーティングさせることは困
難であった。たとえばプラズマ溶射法ではインプラント
外表面にコーティングするのは容易であるが、細い貫通
穴や円筒環状の内側の表面には粉末は届かないのでコー
ティングが困難である。表面をチタンあるいはチタン合
金のビーズを焼き付けて多孔体にしたものや、骨欠損部
に充填するための多孔質チタンなどでも、内部まで粉末
は到達しないので表面全体をコーティングすることは不
可能である。また、基材との付着強度も生体内の激しい
環境で長期間機能させることは不十分であり、特殊な装
置をも必要とし、高価な水酸化アパタイトの歩止まりが
悪くコストを下げられないといった欠点もある。プラズ
マ溶射とは別に、CaとPの化合物を含む溶液にチタン
基材を浸漬した後、加熱焼成してリン酸カルシウム化合
物を被覆させる方法が知られてもいる。しかしながら、
この方法では、形状による制限は少ないものの、生体活
性の効果を得るためにある程度の厚さにするには、塗布
−焼成工程を何回も繰り返さなければならず、操作が複
雑であるという欠点がある。また、この方法で得られた
皮膜も生体内の安定性は十分でない。プラズマ溶射法も
同様であるが、金属であるチタンとまったく異なるセラ
ミック材料を表面に強固にコーティングすることは、熱
膨張率の差や結晶構造の違いなどから基本的に困難であ
る。一方、チタン陽極酸化を行う方法もある。この方法
は、電解液中でチタン陽極とステンレス鋼などの陰極間
に電圧を加えて電解し、陽極のチタン表面を電気化学的
に酸化して酸化皮膜を形成させる方法であり、装飾品や
建築材料などで用いられているカラーチタンの製造など
に用いられている技術である。このカラーチタンは膜厚
の薄いいわゆる干渉膜であり、チタン製の人工歯根を金
色にすることで、歯肉との色を合わせることにも利用さ
れている。この方法では、1μm以上の比較的厚い酸化
膜を形成させることが容易で、形成された皮膜と基材の
密着性も良好であり、また任意の形状の物に均一にコー
ティングすることができ、しかも特殊な装置を必要とせ
ず短時間で処理することができるなどの利点を有してい
る。しかしながら、単に皮膜の成分が酸化チタンでは骨
組織との親和性が向上するとは限らないため、インプラ
ントに必要とされる機能をさらに与える必要がある。こ
の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであ
り、従来技術の欠点を解消し、任意の形状のチタンまた
はチタン合金からなるインプラント芯体を有し、生体内
で長時間にわたって安定でしかも骨組織との親和性に優
れた生体活性材料とその製造方法を提供することを目的
としている。
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、芯体の全部あるいは表面だけが
チタンまたはチタン合金からなるインプラント芯体と、
その表面に形成されたCaとPを含む陽極酸化皮膜から
なることを特徴とするインプラントとその製造法を提供
する。また、この発明は、上記の陽極酸化皮膜上に水酸
化アパタイトなどのリン酸カルシウム化合物を析出させ
てなるインプラントとその製造法をも提供する。そし
て、この発明のインプラントの製造方法は、Ca化合物
とP化合物を含有する電解質中で、チタンおよびチタン
合金からなる任意の形状のインプラントを陽極酸化し、
その表面にCaとPを含む陽極酸化膜を形成させるこ
と、そしてさらに必要に応じてこの皮膜を水熱処理する
ことにより、表面に水酸化アパタイトなどのリン酸カル
シウム化合物の皮膜を形成することからなっている。
以下この発明を詳細に説明する。まず、この発明におい
ては芯体としての基材にはチタンあるいはチタン合金を
使用するが、その形状はいかなる物でもよく、棒状、板
状はもちろん、それらに穴があけられていてもネジ切り
されていてもよい。またスポンジ状の多孔体やメッシュ
状の織物の形状をしていてもよい。あるいは基材表面に
チタン粉末をプラズマ溶射した面やチタンあるいはチタ
ン合金のビーズを焼き付けた多孔体表面層であってもよ
い。陽極酸化に際し、これらの基材は、通常の研磨法で
研磨し、アルコール洗浄、水洗などで表面を清浄にして
おく。研磨できないものは酸洗等により表面を清浄にす
る。陽極酸化する必要のない部分には予めマスキング剤
を塗布しておき、全体を処理した後にそれを除去しても
よい。表面積を増大させて皮膜との密着性を向上させる
ために、酸によるエッチング処理またはサンドブラスト
処理により表面を適度に粗にしておいてもよい。この操
作は大気中で自然に形成された酸化膜を除去し、活性な
金属表面を露出させ、膜の付着強度を高める効果もあ
る。以上の前処理を行なった後に陽極酸化を行なう。陽
極酸化を行なうときに用いる電解質溶液には、導電性を
得るために少なくともPの化合物が含まれていなければ
ならない。そしてこの液にCaの化合物を同時に添加し
て陽極酸化することにより、CaとPを取り込みながら
酸化皮膜を成長させ、結果的にCaとPを含むチタン陽
極酸化皮膜を形成させる。この場合のCaの化合物とし
ては塩化カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウ
ム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウ
ム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウ
ム、クエン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等を
用いることができるが、特にこれらの化合物に限定する
必要はない。中でも酢酸カルシウムとグリセロリン酸カ
ルシウムは水への溶解度が高く、生体に有害なイオンを
含まないので好ましい。Pの化合物としては、リン酸、
α−グリセロリン酸ナトリウム、β−グリセロリン酸ナ
トリウム、グリセロリン酸カルシウム、1−ヒドロキシ
エタン−1,1ビスフォスフォネート、フィチン酸等を
用いることができるが、グリセロリン酸塩を用いると、
前記カルシウム化合物を同時に溶解させたときにも反応
して沈澱を生じることがなく、高濃度でCaとPを含む
電解質を調製することができ、しかも高電圧まで安定し
て陽極酸化できるので好ましい。また、電解質溶液の溶
媒は水に限定されることなく、有機溶媒や溶融塩を用い
て行なうこともできる。このような電解質溶液に、チタ
ン製のインプラントを浸漬し以下のような方法で陽極酸
化を行なう。陽極酸化を行なうときに到達する最高電解
電圧は10−600Vが好ましく、10Vより低いと陽
極酸化ができず、600Vより高くなると安定して陽極
酸化できなくなり、皮膜にむらが生じてしまう。電解電
圧は後述のように皮膜の組成、表面の微構造そして膜厚
等に影響するので、これらの条件が最適になるように決
定される。電流は、陽極酸化しようとする基材の表面積
に応じて調節するが、大電流のもとでは電解電圧が上昇
するのが速く、短時間で終了する反面、皮膜の付着強度
が低下したり、微構造が乱れるなどの不都合が生じる。
従って、なるべく小電流のもとで徐々に陽極酸化した方
が、皮膜の付着強度が高くなって好ましい。また、陽極
酸化するときの発熱が、皮膜と基材の間の付着強度を低
下させるのでこれを防ぐために、電解質溶液は常に0℃
付近に保たれることが好ましい。ただし、後で述べるよ
うに水熱処理によって表面に多量の水酸化アパタイトな
どのリン酸カルシウム化合物の結晶を析出させ、リン酸
カルシウム化合物の皮膜を形成させる場合には、0℃付
近の低温で陽極酸化した皮膜からはリン酸カルシウム化
合物の結晶が析出しにくいので、5−60°Cのやや高
い温度に電解質溶液を保って陽極酸化するとよい。な
お、陽極酸化法については従来公知の方法や装置などが
適宜採用されることは言うまでもない。皮膜の組成は、
電解溶液の組成と電解電圧によって決めることができ
る。一定電圧のもとでは、電解質溶液に含まれるCaと
P化合物の割合と濃度によって、また、電解質溶液の組
成が一定の時は、電解電圧によってチタン陽極酸化膜に
含まれるCaとPの割合が変化する。従って電解質溶液
の組成と電解電圧をそれぞれ変えることによって、皮膜
を構成する原子の比率すなわちCa/Ti比、P/Ti
比、Ca/P比を自由にコントロールすることが可能で
ある。たとえば水酸化アパタイトの理論Ca/P比であ
る1.67を保ちながら、できるだけ多くCaとPを含ませ
ることによって、生体活性の高い皮膜を得ることができ
る。あるいは2、3種類の異なる組成の電解質溶液を用
い、その中で順次陽極酸化することにより皮膜の組成を
段階的に変化させたり、陽極酸化している間に濃度の高
いCaとPの化合物溶液を添加することにより、皮膜組
成を連続的に変化させることも可能である。陽極酸化処
理を終えたインプラントは、蒸留水中で超音波洗浄して
表面を清浄化することができる。この状態で使用しても
よいが、さらに高圧水蒸気中で水熱処理することによ
り、表面に水酸化アパタイトなどのリン酸カルシウム化
合物の皮膜を形成させてから使用してもよい。水熱処理
の温度範囲は100〜500℃が好ましく、100℃よ
り低いとリン酸カルシウム化合物の結晶が生成せず、5
00℃より高いと装置が大型になるのと、皮膜と基材の
間の付着強度が低下するなどの理由から好ましくない。
【作用】以上のようにこの発明においては、CaとPを
含む生体活性なチタン陽極酸化皮膜をチタンまたはチタ
ン合金の表面に形成させるが、この皮膜はチタンまたは
チタン合金の表面から析出してきたものであることか
ら、基材のチタンまたはチタン合金とは結晶の整合性が
高く、皮膜の付着強度が高い。さらにこの陽極酸化皮膜
から析出してきた水酸化アパタイトなどのリン酸カルシ
ウム化合物の皮膜も、同じ理由から付着強度は非常に高
い。従来のように、金属とは異種なセラミック材料を外
部から付着させるコーティング方法と比べて、生体内の
安定に優れ、長時間使用しても皮膜の剥離や吸収などの
不都合が生じない。また、この方法で得られたチタン陽
極酸化膜は、骨と同様にCaとPを含んでいるので、骨
組織に対する親和性は良好である。従来のチタンおよび
チタン合金からなるインプラントと比較してより多くの
骨組織に被包される。さらにまた、生体内で表面に自然
に水酸化アパタイトなどのリン酸カルシウム化合物を析
出させるか、あるいは前もって水熱処理によって析出さ
せておくことにより、いずれにしてもこの陽極酸化皮膜
は骨と直接結合する。このようなインプラントを製造す
るこの発明の製造方法によれば、インプラントを電解質
溶液に浸漬して陽極酸化するので、液が侵入しないよう
な非常に細い穴などを除いて、どのような形状をしてい
ても液と接触した表面に均一にコーティングすることが
でき、基材の形状を問うこともない。しかも特殊な装置
を必要とせず、陽極酸化に要する時間は数十秒から長く
て数分と短時間で処理することができるので、操作が非
常に容易であるという特徴がある。以下、実施例を示
し、さらに詳しくこの発明について説明する。
【実施例】実施例1〜3 表1に示すように、リン(P)化合物としてリン酸を使
用し、Ca化合物として酢酸カルシウム、グリセロリン
酸カルシウム、クエン酸カルシウムをそれぞれ溶解させ
た液を用いて純チタンを350Vで陽極酸化した。その
結果、灰黒色の皮膜が得られた。皮膜に含まれるPに対
するCaの原子比率は1以下であり、Pの方がCaより
かなり多かった。実施例4〜6 表1に示すように、リン化合物としてグリセロリン酸カ
ルシウムを使用し、酢酸カルシウムとともに蒸留水に溶
解した液を用いて純チタンを陽極酸化した。いずれも灰
白色の皮膜が得られた。実施例4と5では酢酸カルシウ
ムの濃度が異なり、一定の電解電圧のもとでは電解質溶
液の組成を変えることによって、得られる皮膜の組成を
決めることができた。実施例4では水酸化アパタイトの
Ca/P比である1.67にすることができた。実施例5と
6で、同じ組成の電解質溶液を用いて300Vと350
Vのもとでチタンを陽極酸化したところ、得られた皮膜
の組成が異なっており、電解電圧によっても皮膜の組成
を決めることができた。実施例7〜11 同様に表1に示したように、リン化合物としてβ−グリ
セロリン酸ナトリウムを使用し、酢酸カルシウムととも
に蒸留水に溶解した液を用いて純チタンを陽極酸化し
た。その結果、グリセロリン酸カルシウムを使用した場
合よりCa/Ti比とP/Ti比が高くなり、すなわち
酸化皮膜中のCaとPの含有量を多くすることができ、
生体活性度を高くすることができた。実施例7と8を比
較すると、電解電圧を330Vで一定にして、β−グリ
セロリン酸ナトリウムと酢酸カルシウムの濃度だけを変
えたところ、酸化皮膜に含まれるCaとPの割合もそれ
に応じて変化した。従って、電解質溶液の組成を変える
ことにより、酸化皮膜中に含まれるCaとPの割合なら
びにCaに対するPの比も調節することができ、たとえ
ば水酸化アパタイトの理論Ca/P比である1.67に合わ
せることは容易であった。実施例7と9を比較すると、
同じ電解質溶液を用いて電解電圧だけを変えたところ、
電圧が高いときの方が酸化皮膜中のCaとPの割合が増
えた。また、実施例8と10では同様に電解電圧だけを
変化させたが、実施例7と9の場合と比べて、電解質溶
液の濃度が低いときの方がCaとPの割合の変動が少な
かった。この陽極酸化膜は溶液中のCaとPを取り込み
ながら成長するので、溶液が高濃度になるほど単位厚さ
の皮膜に取り込まれるCaとPの量が増え、皮膜中のC
aとPの含有量が大きく変化する傾向があった。実施例
11では比較的溶液の濃度が低いので、高電圧まで安定
して陽極酸化できた。この時得られた皮膜には、微小突
起がよく発達し、骨組織との十分なマイクロアンカーリ
ング効果が期待された。いずれの場合にも得られた皮膜
の色は灰白色であったが、酸化皮膜中のCaとPの含有
量が増すにしたがって、微構造が乱れて不均一になり、
膜がまだら模様になる傾向があった。また、溶液の濃度
が高くなるほど到達可能な電解電圧は低くなり、過飽和
に近づくと白濁してくるなどの理由から適当な濃度のも
とで陽極酸化するのが好ましい。実施例12,13 β−グリセロリン酸ナトリウム水溶液を用いて表1に示
した通りに純チタンを陽極酸化したところ、濃度が0.07
mol /1で得られた皮膜は灰黒色であった。この場合に
も、酢酸カルシウムを添加することによって皮膜は灰白
色になった。β−グリセロリン酸ナトリウム水溶液の濃
度を0.13mol /1に高めると、灰白色皮膜が得られた。
したがって、β−グリセロリン酸ナトリウムだけを用い
てもチタン陽極酸化膜は灰白色になった。実施例14,15 基材にTi6 Al4 V合金を用いて陽極酸化した。得ら
れた皮膜は薄茶色をしていたが、チタンと同様にCaと
Pを含んだ陽極酸化膜が形成され、ほかにAlとVの酸
化物が微量に含まれていた。この場合にも同様に、溶液
の濃度を変えることによって酸化皮膜中のCaとPの割
合を変化させることができた。
【表1】 なお、実施例4〜11と14,15で得られた皮膜を走
査型電子顕微鏡で微構造を観察したところ、純チタンと
チタン合金でほとんど差がなく、これらの穴や微小突起
は、火花放電が起こると形成されるようになり、電解電
圧が高くなるほど大きくなる傾向があった。実施例16 グリセロリン酸塩と酢酸カルシウムを用いて陽極酸化し
た実施例4〜11と実施例14および15において得ら
れた陽極酸化膜を、オートクレーブを用いて高圧水蒸気
中300℃で約2時間水熱処理を行なったところ、皮膜
表面に水酸化アパタイトの皮膜が形成されていることを
X線回析によって確認した。特に実施例6〜11で形成
された陽極酸化膜を水熱処理した表面を走査型電子顕微
鏡で観察したところ、水酸化アパタイト結晶はもともと
CaとPを含んでいた陽極酸化皮膜から多量に析出して
きており、約1〜3μmの厚さで表面全体を覆ってい
た。酸化皮膜に含まれるCaとPがある量を超えると、
水酸化アパタイト結晶が表面上に隙間なく析出するよう
になり、水酸化アパタイトの皮膜を形成した。しかし、
あまり多くのCaとPを含むようになると、陽極酸化皮
膜自体の構造が不安定になるため、水熱処理には向かな
くなる。実施例17 電解質にβ−グリセロリン酸ナトリウム(分子量 306)
と酢酸カルシウム(分子量 176)を用い、電解電圧を3
50V、電流密度を50mA/cm2 とし、電解質温度が
0−50℃の範囲で純チタンを陽極酸化した。次いで高
圧水蒸気中300℃で2時間水熱処理を行い、皮膜の平
均付着強度と水酸化アパタイト結晶の析出状態を調べ
た。その結果を表2に示した。
【表2】 この表2から明らかであるように、電解質濃度が低くな
るほど付着強度が高くなる傾向があった。特にβ−グリ
セロリン酸ナトリウムの濃度が0.01mol /lの時、ある
いは0.02mol /lで電解質の温度が低い時に付着強度が
高く、しかも生体内で経時的に低下しなかった。電解質
濃度が低くなるほど、水酸化アパタイト結晶の析出量が
少なくなる傾向があったが、β−グリセロリン酸ナトリ
ウム濃度が0.01mol /lの時にも組織学的には骨組織に
対する親和性は、その他の場合と同様きわめて良好であ
った。表2に示した各濃度の時に形成された陽極酸化膜
を水熱処理して得られた水酸化アパタイト結晶のCa/
P比は、いずれもほぼ理論組成比(1.67)であった。ま
た各々のβ−グリセロリン酸ナトリウム濃度の時に、表
2に示したそれぞれの酢酸カルシウム濃度を少し変える
ことによって、析出する水酸化アパタイト結晶のCa/
P比を微調整できるので、生体親和性が高いとされてい
るCa欠損型水酸化アパタイト結晶を生成することも容
易であった。これらの水酸化アパタイト結晶は、それぞ
れが単結晶かもしくは結晶性が非常に高いので、生体内
で吸収されにくい効果がある。実施例18 電解質にβ−グリセロリン酸ナトリウム(分子量 306)
と酢酸カルシウム(分子量 176)を用い、電解電圧を2
30V、電流密度を50mA/cm2 、電解質温度を30
℃として、平均径が0.6mm のチタンビ−ズをチタンの基
材(芯体)表面に2層焼き付けた多孔質層を陽極酸化し
た。次いで高圧水蒸気中300℃で2時間水熱処理を行
い、水酸化アパタイト結晶の析出状態を電子顕微鏡で観
察した。その結果を表3に示した。
【表3】 この表3から明らかなように、電解質濃度が高くなるほ
ど水酸化アパタイト結晶の析出量が多くなる傾向があ
り、β−グリセロリン酸ナトリウムの濃度が0.06mol /
l以上の場合に、全てのビ−ズの表面および底面に水酸
化アパタイト結晶が隙間なく析出した。これらの条件で
生成した水酸化アパタイト結晶のCa/P比は、いずれ
もほぼ理論組成比であり、個々の結晶は単結晶かもしく
は結晶性が非常に高かった。図1は、このインプラント
を骨組織に埋植して3ヶ月経過後の状態を示した模式図
である。インプラント(1)のチタン芯体(2)表面に
焼き付けたビーズ(3)の表面および底面に、陽極酸化
膜からなる層(5)および水酸化アパタイト層(6)が
形成されているため、ビ−ズ(3)間の狭い空隙にも新
生骨が良く侵入し、未処理のチタンビ−ズ多孔体と比較
して骨組織(4)に対する親和性が著しく向上した。以
上の条件は、チタンビ−ズを焼結した多孔質層や連続し
た気孔をもつ多孔質チタンなど、特に気孔径が狭く電圧
を上げにくい場合に推奨されるが、このような形態に限
定されるものではない。
【発明の効果】この発明によるインプラントの場合に
は、それが骨組織に被包されたとき、皮膜表面に形成さ
れた微小な突起が起こすマイクロアンカーリング効果
や、火花放電によってあいた微小な穴に、骨あるいは骨
を構成するコラーゲンなどの生体成分が侵入することに
よる物理的な維持力が得られる。上記実施例4〜11お
よび13によれば、この方法で製造されたインプラント
は灰白色となり、未処理チタンの金属色と比べて患者に
与える清潔感が高くなる。この方法では0℃付近で処理
するので、骨の石灰化を促進する作用のあるBMP等の
タンパク質やβ−グリセロリン酸ナトリウムなどの生理
活性物質を失活させることなく複合化させることもでき
る。また、水熱処理によって形成された水酸化アパタイ
トの皮膜は、従来行なわれてきた焼結あるいはプラズマ
溶射法などの製造方法と比べて、非常に低い温度のもと
で形成させることができるので、骨を構成する水酸化ア
パタイトと結晶性の点で類似しており、骨組織との親和
性がより高くなる。また、生体材料としての用途だけで
なく、表面に水酸化アパタイトを析出させた場合には、
液体カラムクロマトグラフィーの吸着剤に使用すること
も可能である。この発明で得られたCaとPを含むチタ
ン陽極酸化被膜は多孔質で比表面積が大きいため、この
酸化チタン被膜をインプラントの他に触媒、電子材料、
吸着剤等として使用する場合には、さらに機能を高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】芯体表面にチタンビーズを焼き付けて多孔体と
したものに陽極酸化膜を形成し、さらにこの膜上にリン
酸カルシウム化合物の膜を析出させたインプラントを骨
組織に埋植した状態を示した模式図である。
【符号の説明】 1 インプラント 2 芯体 3 ビーズ 4 骨組織 5 陽極酸化膜層 6 水酸化アパタイト層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯体の全部あるいは表面だけがチタンま
    たはチタン合金からなるインプラント芯体と、その表面
    に形成されたCaとPを含むチタン陽極酸化皮膜からな
    ることを特徴とするインプラント。
  2. 【請求項2】 請求項1のインプラントにおいて、陽極
    酸化皮膜上にリン酸カルシウム化合物を析出させてなる
    インプラント。
  3. 【請求項3】 CaイオンとPイオンもしくはリン酸イ
    オンとを含む電解溶液中で、芯体の全部あるいは表面だ
    けがチタンまたはチタン合金からなるインプラント芯体
    を陽極酸化することを特徴とするインプラントの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3の方法により製造されたインプ
    ラントを高圧水蒸気中で水熱処理、陽極酸化皮膜上にリ
    ン酸カルシウム化合物を析出させるインプラントの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 グリセロリン酸塩とカルシウム塩を主成
    分とするインプラント製造用電解質。
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