JP2014201791A - 銅線及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶接性がタフピッチ銅(3N銅)からなる銅線よりも良好で、引張強度が高純度銅(6N銅)からなる銅線よりも高い銅線及びその製造方法を提供する。
【解決手段】銅線は、結晶方位が[111]であり、原子面上の回転角度が異なる複数の結晶粒を有する無酸素銅(4N銅)からなる銅線材を用いた銅線であって、
前記結晶粒の直径が前記銅線材の直径の1/3以下であり、かつ、前記銅線材の引張強度が200MPa以上である。
【選択図】図1
【解決手段】銅線は、結晶方位が[111]であり、原子面上の回転角度が異なる複数の結晶粒を有する無酸素銅(4N銅)からなる銅線材を用いた銅線であって、
前記結晶粒の直径が前記銅線材の直径の1/3以下であり、かつ、前記銅線材の引張強度が200MPa以上である。
【選択図】図1
Description
本発明は、銅線及びその製造方法に関する。
非特許文献1には、酸素を0.04%含むタフピッチ銅(3N銅)線を、伸線加工前の初期の結晶方位を[111]にして、90.0〜99.7%の加工度で伸線加工し、400℃、2時間の焼鈍では結晶方位が[100]となり、950℃、1時間の高温焼鈍をして2次再結晶すると、結晶方位[111]の繊維組織になることが記載されている。また、非特許文献1には、伸線加工前の初期の結晶方位を[100]にして、90.0〜99.7%の加工度で伸線加工し、400℃、2時間の焼鈍では結晶方位が[100]及び[112]の混合となり、950℃、1時間の高温焼鈍では、結晶方位が[100]、[112]及び[111]の混合となることが記載されている。
特許文献1には、音響・画像機器の音質や画質を向上させるため、面心立方格子型結晶の99.999重量%の銅、単結晶体又は結晶集合体であって、長手方向の方位が結晶方位[111]から10度以内、又は結晶方位[100]から10度以内とした音響・画像機器導体が記載されている。
特許文献2には、銅線の横断面にX線を照射したとき、(111)面におけるX線回折強度I(111)と(200)面におけるX線回折強度I(200)がI(111)≧I(200)の関係を満たすように形成された金属線状材からなるオーディオ・ビデオ信号用導体が記載されている。
特許文献2に関係する非特許文献2には、純度の異なる銅線について、一次再結晶化後にさらに焼鈍を行うと、高純度銅(6N銅)において結晶粒の粗大化が起こり、結晶方位[111]の密度が増加し、結晶方位[100]の密度は減少するが、無酸素銅(4N銅)ではこの現象は見られないことが記載されている。
特許文献3には、絶縁被膜が形成された巻線用導体の表面をX線回折により求めた(111)面のX線回折強度に対する(200)面のX線回折強度の比をI(200)として、微粉末銅の(111)面のX線回折強度に対する(200)面のX線回折強度の比をIO(200)として、I(200)/IO(200)の値が3以下になることが記載されている。
特許文献4には、加熱鋳型式連続鋳造法によって得られた鋳造材を加工して、又は単結晶からなる鋳造材を加工して音響機器用電線を製造することが記載されている。また、同文献には、単結晶で加工すると転位であるひずみが残るので、ひずみのない銅が必要とされることが記載されている。
G.Bassi:Trans.AIME,Jornal of Metals,July(1952)753-754.
田窪毅、本田照一著、銅と銅合金、第46巻1号(2007)17-20
しかし、非特許文献1に記載されているタフピッチ銅線は、溶接時にタフピッチ銅線の内部の酸素が水素と結合して水蒸気を発生させて溶接部に割れが生じることから、溶接性が無酸素銅等と比較して劣っているという問題がある。
非特許文献2に記載されている高純度銅やそれ以上の純度の銅は、熱処理をすると二次再結晶化により結晶が粗大化するために引張強度が弱いという問題がある。また、これらの銅線は、高価であるという問題もある。
特許文献2に記載の銅線の製造方法では、銅線を形成する銅の純度が99.9999%以上の高純度銅(6N銅)であり、銅線の横断面の(111)面と、(200)面とのX線回折強度の比が21.4:1である銅線が製造できるが、この製造方法では、銅線の製造に高純度銅を用いる必要があるという問題がある。
さらに、特許文献1には、銅線の長手方向の方位が結晶方位[111]から10°以内又は結晶方位[100]から10°以内である銅線の製造方法が記載されているが、この銅線の製造方法は、コストが高く銅線を大量生産できないという問題がある。
そこで、本発明は、溶接性がタフピッチ銅(3N銅)からなる銅線材よりも良好で、引張強度が高純度銅(6N銅)からなる銅線材よりも高い銅線及びその製造方法を提供することを目的とする。
[1]結晶方位が[111]であり、原子面上の回転角度が異なる複数の結晶粒を有する無酸素銅(4N銅)からなる銅線材を用いた銅線であって、
前記結晶粒の直径が前記銅線材の直径の1/3以下であり、かつ、前記銅線材の引張強度が200MPa以上である、
銅線。
[2]前記銅線材の表面にSn、Ag、はんだ材、アモルファス状の亜鉛及び酸素を含む薄膜を有する、
前記[1]に記載の銅線。
前記結晶粒の直径が前記銅線材の直径の1/3以下であり、かつ、前記銅線材の引張強度が200MPa以上である、
銅線。
[2]前記銅線材の表面にSn、Ag、はんだ材、アモルファス状の亜鉛及び酸素を含む薄膜を有する、
前記[1]に記載の銅線。
[3]無酸素銅(4N銅)からなる銅線材に、熱処理温度が700℃以上950℃以下、熱処理時間が60分以上120分以下の条件で熱処理を施すことにより、結晶方位が[111]であり、原子面上の回転角度が異なる複数の結晶粒を有し、前記結晶粒の直径が前記銅線材の直径の1/3以下であり、かつ、前記銅線材の引張強度を200MPa以上とする熱処理工程を含む、
銅線の製造方法。
[4]前記熱処理工程は、アルゴン雰囲気又は窒素雰囲気中で、パイプ管状電気炉、通電アニーラ、ゴールドファーネス又はプラズマ連続焼鈍により熱処理を行う、
前記[3]に記載の銅線の製造方法。
銅線の製造方法。
[4]前記熱処理工程は、アルゴン雰囲気又は窒素雰囲気中で、パイプ管状電気炉、通電アニーラ、ゴールドファーネス又はプラズマ連続焼鈍により熱処理を行う、
前記[3]に記載の銅線の製造方法。
本発明によれば、溶接性がタフピッチ銅(3N銅)からなる銅線材よりも良好で、引張強度が高純度銅(6N銅)からなる銅線材よりも高い銅線及びその製造方法を提供することができる。
[実施の形態の要約]
本実施の形態の銅線は、結晶方位が[111]であり、原子面上の回転角度が異なる複数の結晶粒を有する無酸素銅(4N銅)からなる銅線材を用いた銅線であって、
前記結晶粒の直径が前記銅線材の直径の1/3以下であり、かつ、前記銅線材の引張強度が200MPa以上である。
本実施の形態の銅線は、結晶方位が[111]であり、原子面上の回転角度が異なる複数の結晶粒を有する無酸素銅(4N銅)からなる銅線材を用いた銅線であって、
前記結晶粒の直径が前記銅線材の直径の1/3以下であり、かつ、前記銅線材の引張強度が200MPa以上である。
[実施の形態]
本実施の形態の銅線は、結晶方位が[111]である原子面上の回転角度が異なる複数の結晶粒を有する無酸素銅(4N銅:純度99.950%以上99.999%以下)からなる銅線材を用いる。この銅線材は、結晶粒の直径が銅線材の直径の1/3以下であり、引張強度が200MPa以上である。
本実施の形態の銅線は、結晶方位が[111]である原子面上の回転角度が異なる複数の結晶粒を有する無酸素銅(4N銅:純度99.950%以上99.999%以下)からなる銅線材を用いる。この銅線材は、結晶粒の直径が銅線材の直径の1/3以下であり、引張強度が200MPa以上である。
この銅線は、101%IACS(International Annealed Copper Standard : 万国標準軟銅1.7241×10−8Ωmを100%とした導電率)以上の導電率、230℃以下の半軟化温度及び20%以上の伸び率を有する。
非特許文献2では、高純度銅(6N銅)は、一次再結晶化後にさらに熱処理をすると、結晶方位[111]の密度が増加するが、無酸素銅(4N銅)では、この現象がみられないことが報告されている。また、高純度銅(6N銅)においても結晶方位[111]と、結晶方位[100]の混合が観察されている。
そこで、本発明者らは、無酸素銅を二次再結晶の温度領域(700℃以上950℃以下)で加熱すると、結晶方位[111]の密度がほぼ100%の銅線を製造できることを見出した。
(銅線の製造方法)
以下、本実施の形態に係る銅線の製造方法の一例について、SCR連続鋳造圧延(South Continuous Rod System)により無酸素銅(4N銅)から直径8mmの銅線を製造する場合を例に説明する。
以下、本実施の形態に係る銅線の製造方法の一例について、SCR連続鋳造圧延(South Continuous Rod System)により無酸素銅(4N銅)から直径8mmの銅線を製造する場合を例に説明する。
銅線の材料となる銅をシャフト炉で溶解し、溶解した銅線材をSCR連続鋳造圧延により還元ガス(CO)の雰囲気下で硫黄濃度及び酸素濃度を制御しながら1100℃以上1320℃以下の鋳造温度で銅線材を鋳造する。
鋳造温度は、溶解した銅の温度が高いとブローホールが発生して銅線の表面品質が劣化するため、1320℃以下としている。また、1100℃未満の鋳造温度では、溶解した銅が固まりやすく銅線の製造が安定しない。そのため、鋳造温度を1100℃以上1320℃以下としている。
次に、SCR連続鋳造圧延により得られた鋳造品に900℃以上950℃以下の範囲の温度で熱間圧延を施して、直径8mm(加工度が99.3%)の銅線材を製造する。
次に、銅線材に次のように熱処理を施す。すなわち、銅線材に二次再結晶領域の加熱温度である700℃以上950℃以下の熱処理温度、60分以上120分以下の熱処理時間及び不活性ガス(窒素)雰囲気中の条件で、パイプ管状電気炉を用いた熱処理を施す。これにより、結晶方位[111]に垂直な(111)面をほぼ100%有する銅線が得られる。なお、銅線材の熱処理は、アルゴン雰囲気又は窒素雰囲気中で、通電アニーラ、ゴールドファーネス又はプラズマ連続焼鈍等により行ってもよい。
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)銅線の結晶方位[111]の密度をほぼ100%としながら双晶構造を備えることにより、銅線の引張強度を高純度銅(6N銅)からなる銅線よりも高く、タフピッチ銅(3N銅)からなる銅線と同等にすることができる。また、銅線に無酸素銅(4N銅)を用いることで、銅線を溶接するときに銅線の内部の酸素が水素と結合することによる溶接部の割れを抑制することができるので、銅線の溶接性を向上させることができる。
(2)銅線材の結晶方位[111]の密度をほぼ100%とするとともに、銅線を構成する結晶を大きくすることにより、銅線中の結晶粒界による微小なコンデンサ効果を低減することができる、その結果、銅線が伝送する信号のひずみを低減することができる。
(3)複雑な熱処理工程を必要とすることなく、溶接性及び引張強度に優れた銅線を製造することができる。
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)銅線の結晶方位[111]の密度をほぼ100%としながら双晶構造を備えることにより、銅線の引張強度を高純度銅(6N銅)からなる銅線よりも高く、タフピッチ銅(3N銅)からなる銅線と同等にすることができる。また、銅線に無酸素銅(4N銅)を用いることで、銅線を溶接するときに銅線の内部の酸素が水素と結合することによる溶接部の割れを抑制することができるので、銅線の溶接性を向上させることができる。
(2)銅線材の結晶方位[111]の密度をほぼ100%とするとともに、銅線を構成する結晶を大きくすることにより、銅線中の結晶粒界による微小なコンデンサ効果を低減することができる、その結果、銅線が伝送する信号のひずみを低減することができる。
(3)複雑な熱処理工程を必要とすることなく、溶接性及び引張強度に優れた銅線を製造することができる。
[実施例]
次に、本発明の実施例を図1〜6を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1の横断面組織の写真である。図2は、比較例1の横断面組織の写真である。図3は、比較例2の横断面組織の写真である。図4は、本発明の実施例1の横断面組織から得られたX線回折強度を示す図である。図5は、比較例1の横断面組織から得られたX線回折強度を示す図である。図6は、比較例2の横断面組織から得られたX線回折強度を示す図である。
次に、本発明の実施例を図1〜6を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1の横断面組織の写真である。図2は、比較例1の横断面組織の写真である。図3は、比較例2の横断面組織の写真である。図4は、本発明の実施例1の横断面組織から得られたX線回折強度を示す図である。図5は、比較例1の横断面組織から得られたX線回折強度を示す図である。図6は、比較例2の横断面組織から得られたX線回折強度を示す図である。
ここで、実施例1は、無酸素銅(4N銅)からなる銅線、比較例1は、タフピッチ銅(3N銅)からなる銅線、比較例2は、高純度銅(6N銅)からなる銅線である。
実施例1及び比較例1〜3の銅線は、直径8mmとした銅線材を冷間伸線によって直径2.6mm(加工率約90%)に伸ばすことにより作製した。それぞれの銅線について、銅線の横断面を観察し、銅線の酸素濃度、硫黄濃度、半軟化温度、導電率、引張強度、伸び率及びX線回折強度を測定した。
銅線の導電率の測定は、上記銅線を70cmに切断したものを用いて行った。すなわち、電流端子間距離を60cm、電圧端子間距離を50cmに設定した4端子法を適用して、それぞれの銅線に4Aの電流を流して室温にて導電率を測定した。
銅線の半軟化温度の測定は、次のように行った。すなわち、それぞれの銅線について、室温での引張強度と、100〜400℃の温度で60分の熱処理後の引張強度とを測定した。そして、室温での引張強度と熱処理後の引張強度との中間の引張強度に対応する銅線の熱処理温度を求め、その熱処理温度を半軟化温度とした。
酸素濃度及び硫黄濃度は、赤外線発光分析器(Leco:登録商標)により測定した。
引張強度の測定は、オートグラフ精密万能試験機AG−100KNG(島津製作所製)を用いて、それぞれの銅線を35cmに切断し、測定距離25cm、引張速度20mm/minの条件で行った。
伸び率は、上記オートグラフ精密万能試験機を用い、断線後の銅線を突き合わせた長さと元の銅線の長さとの差を元の銅線の長さで割った値から求めた。
銅線のX線回折強度の測定は、X線測定装置RINT2000(リガク製)を用いて行った。すなわち、直径2.6mmの銅線を樹脂に埋め込んで横断面にX線が照射されるようにX線測定装置に据え付け、X線測定装置のX線管球の出力を40kV、150mA、3°/minの条件で、θ―2θ法により、0〜90°の範囲でX線回折強度の測定を行った。
半軟化温度、引張強度、伸び率及びX線回折強度の測定は、それぞれの銅線を不活性ガス(窒素)雰囲気中で、900℃、60分の熱処理をした後に行った。
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の結晶構造は、結晶粒1a、1bが銅線の直径の1/3以下であり、図3に示す比較例2の結晶粒1よりも小さいことが確認できる。また、結晶粒1a、1bは、結晶粒1a中の双晶2aと、結晶1b中の双晶2bとで双晶が形成される方向が異なることから、原子面上の回転角度が異なっていることが確認できる。実施例1は、図4に示すように、X線回折強度のピークが(111)面のみが認められ、(200)面、(220)面、(311)面のピークは見られない。そのため、実施例1は、結晶方位[111]の密度がほぼ100%になっていることが確認できる。
図1に示すように、実施例1の結晶構造は、結晶粒1a、1bが銅線の直径の1/3以下であり、図3に示す比較例2の結晶粒1よりも小さいことが確認できる。また、結晶粒1a、1bは、結晶粒1a中の双晶2aと、結晶1b中の双晶2bとで双晶が形成される方向が異なることから、原子面上の回転角度が異なっていることが確認できる。実施例1は、図4に示すように、X線回折強度のピークが(111)面のみが認められ、(200)面、(220)面、(311)面のピークは見られない。そのため、実施例1は、結晶方位[111]の密度がほぼ100%になっていることが確認できる。
(比較例1)
図2に示すように、比較例1の結晶構造は、結晶粒1が銅線の直径の1/3以下であり、図1に示す実施例1の結晶粒1a、1b及び図3に示す比較例3の結晶粒1よりも小さいことが確認できる。比較例1は、図5に示すように、X線回折強度のピークが(111)面、(200)面、(311)面のピークが見られる。そのため、比較例1は、結晶方位[111]、結晶方位[200]、結晶方位[311]が混在していることが確認できる。
図2に示すように、比較例1の結晶構造は、結晶粒1が銅線の直径の1/3以下であり、図1に示す実施例1の結晶粒1a、1b及び図3に示す比較例3の結晶粒1よりも小さいことが確認できる。比較例1は、図5に示すように、X線回折強度のピークが(111)面、(200)面、(311)面のピークが見られる。そのため、比較例1は、結晶方位[111]、結晶方位[200]、結晶方位[311]が混在していることが確認できる。
(比較例2)
図3に示すように、比較例2の結晶構造は、結晶粒1が銅線の直径の1/3以上であり、図1に示す実施例1の結晶粒1a、1b及び図2に示す比較例1の結晶粒1よりも大きいことが確認できる。比較例2は、図5に示すように、X線回折強度のピークが(111)面、(200)面、(311)面のピークが見られる。そのため、比較例2は、結晶方位[111]、結晶方位[200]、結晶方位[311]が混在していることが確認できる。
図3に示すように、比較例2の結晶構造は、結晶粒1が銅線の直径の1/3以上であり、図1に示す実施例1の結晶粒1a、1b及び図2に示す比較例1の結晶粒1よりも大きいことが確認できる。比較例2は、図5に示すように、X線回折強度のピークが(111)面、(200)面、(311)面のピークが見られる。そのため、比較例2は、結晶方位[111]、結晶方位[200]、結晶方位[311]が混在していることが確認できる。
(実施例及び比較例の総合評価)
表1に実施例1及び比較例1、2の銅線の酸素濃度、硫黄濃度、半軟化温度、導電率、引張強度、伸び率及びX線回折強度と、総合評価とを示す。
表1に実施例1及び比較例1、2の銅線の酸素濃度、硫黄濃度、半軟化温度、導電率、引張強度、伸び率及びX線回折強度と、総合評価とを示す。
実施例1は、表1から引張強度が200MPa以上、伸び率が20%以上、導電率が101%IACS以上、(111)面以外のX線回折強度のピークが見られないことから、総合評価を○とした。
比較例1は、引張強度が200MPa以上、伸び率が20%以上、導電率が101%IACS以上であるが、(111)面以外のX線回折強度のピークが見られることから、総合評価を×とした。
比較例2は、導電率が101%IACS以上であるが、引張強度が200MPa以下、伸び率が20%以下であり、(111)面以外のX線回折強度のピークが見られることから、総合評価を×とした。
[変形例]
なお、本発明の実施の形態及び実施例は、上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々に変形、実施が可能である。例えば、実施例の銅線を絶縁体で被覆した単一線、又は単一線を複数本集めた集合線としてもよい。
なお、本発明の実施の形態及び実施例は、上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々に変形、実施が可能である。例えば、実施例の銅線を絶縁体で被覆した単一線、又は単一線を複数本集めた集合線としてもよい。
また、銅線材を絶縁体で被覆し、被覆した銅線を複数本撚り合わせた撚線としてもよい。
また、集合線又は撚線の銅線として、熱処理を施したタフピッチ銅、無酸素銅又は高純度から2種以上選択して使用してもよい。
また、集合線又は撚線の外周に絶縁層を設けた電力用ケーブル又は信号用ケーブルとしてもよい。また、中心導体を銅合金材料により形成し、その外周に絶縁層及び編組線を設けた同軸ケーブルとしてもよい。
また、上記実施の形態及び実施例では、銅線材がSCR連続鋳造圧延装置により製造されるものとして説明したが、銅線材は、双ロール式連続鋳造圧延装置及びプロペルチ式連続鋳造圧延装置等の鋳造と圧延が一体化した装置で製造してもよい。
また、銅線材の表面にSn、Ag、はんだ材、アモルファス状の亜鉛及び酸素を含む薄膜を形成してもよい。
本発明は、モータ等に使用される巻線やエナメル線、イヤホン、ヘッドホン等のオーディオケーブル用導体、カーナビゲーション用等の高音質及び高画質が求められる信号用導体等に利用可能である。
1、1a、1b 結晶粒
2a、2b 双晶
2a、2b 双晶
Claims (4)
- 結晶方位が[111]であり、原子面上の回転角度が異なる複数の結晶粒を有する無酸素銅(4N銅)からなる銅線材を用いた銅線であって、
前記結晶粒の直径が前記銅線材の直径の1/3以下であり、かつ、前記銅線材の引張強度が200MPa以上である、
銅線。 - 前記銅線材の表面にSn、Ag、はんだ材、アモルファス状の亜鉛及び酸素を含む薄膜を有する、
請求項1に記載の銅線。 - 無酸素銅(4N銅)からなる銅線材に、熱処理温度が700℃以上950℃以下、熱処理時間が60分以上120分以下の条件で熱処理を施すことにより、結晶方位が[111]であり、原子面上の回転角度が異なる複数の結晶粒を有し、前記結晶粒の直径が前記銅線材の直径の1/3以下であり、かつ、前記銅線材の引張強度を200MPa以上とする熱処理工程を含む、
銅線の製造方法。 - 前記熱処理工程は、アルゴン雰囲気又は窒素雰囲気中で、パイプ管状電気炉、通電アニーラ、ゴールドファーネス又はプラズマ連続焼鈍により熱処理を行う、
請求項3に記載の銅線の製造方法。
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