JP2014137950A - 配線材、絶縁ケーブル及び絶縁ケーブルの製造方法 - Google Patents

配線材、絶縁ケーブル及び絶縁ケーブルの製造方法 Download PDF

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Masayoshi Aoyama
正義 青山
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英之 佐川
Keisuke Fujito
啓輔 藤戸
Rikichi Koike
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Abstract

【課題】軟化温度が低く、優れた可撓性を有する配線材、絶縁ケーブル及び絶縁ケーブルの製造方法を提供する。
【解決手段】銅と、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Crの少なくともいずれかの添加元素とを含む軟質希薄銅合金により形成され、周囲に樹脂を塗布して形成される被覆層に90℃以上130℃以下の温度で架橋処理を行うことで軟銅線に変質される硬銅線を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、配線材、配線材を用いた絶縁ケーブル及び絶縁ケーブルの製造方法に関する。
電子機器や自動車等には、配線材として導線が用いられている。配線材に用いられる材料として、例えば銅や銀などの導電率の高い金属が用いられることが多く、これらの中でも、コスト面などの観点から、銅が用いられることが極めて多い。近年、電子機器等は、より小型化が図られている。これに伴い、電子機器等に用いられる配線材にも小型化、すなわち配線材の細径化が求められている。
しかしながら、配線材が細径化されると、導体の抵抗が高くなるため、エネルギロスや信号の損失が発生する場合がある。このため、細径化された配線材は、より高い導電率を有することが求められている。
そこで、例えば、純度99.99mass%以上の無酸素銅に、純度99.99mass%以上のインジウム(In)を0.05mass%〜0.70mass%、純度99.9mass%以上の燐(P)を0.0001mass%〜0.003mass%の濃度範囲で含有させた銅合金を用いることで、引張強さ、伸び率及び導電率を向上させた耐屈曲ケーブル用導体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、近年の電子機器等の小型化に伴い、配線材は、より小さな曲率半径を有することが求められている。すなわち、配線材は、より狭いスペースを取回すことができるように、可撓性を有することが求められている。
そこで、例えば、母材としての銅に、0.1mass%〜1.0mass%のインジウムと、0.01mass%〜0.1mass%の硼素(B)とを含有させた銅合金を用いて所定の線径まで伸線した後、熱処理(焼鈍処理)を行うことで、硬銅線を適度な伸び(可撓性)を有する軟銅線に変質させた耐屈曲銅合金線が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、例えば、銅合金線材と、硬銅線とを撚り合わせて形成した撚線導体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。そして、この撚線導体は、銅合金線材と硬銅線とを撚り合わせた後、例えば425℃の高温で1時間熱処理(焼鈍)を行い、硬銅線を軟銅線に変質させることで、可撓性に優れ、巻き癖がつきにくくなるようにしている。
しかしながら、昨今の製造エネルギコスト低減の観点から、より低温の処理で硬銅線を軟銅線に変質させることが要求されている。そこで、例えば、不可避的不純物を含む純銅に、2〜12mass ppmの硫黄(S)と、2〜30mass ppmの酸素(O)と、4〜55mass ppmのチタン(Ti)とを含む希薄銅合金材料を用いることで、導電率を向上させるとともに、希薄銅合金の軟化温度を130℃〜148℃まで低下させた希薄銅合金線が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2002−363668号公報 特開平09−256084号公報 特開平11―224538号公報 特開2010−265511号公報
例えば特許文献1〜4に記載されているような焼鈍処理を経て変質された軟銅線を用いて撚線を形成し、撚線の周囲に樹脂を被覆して被覆層を形成した後、被覆層を加熱して架橋処理を行うことで絶縁層を形成し、絶縁ケーブルを形成していた。
しかしながら、焼鈍処理によって変質された軟銅線が架橋処理によってさらに加熱されることで、軟銅線が硬化し、所望とする可撓性を有さない場合があった。
そこで、本発明は、軟化温度が低く、優れた可撓性を有する配線材、絶縁ケーブル及び絶縁ケーブルの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成されている。
本発明の第1の態様によれば、銅と、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Crの少なくともいずれかの添加元素とを含む軟質希薄銅合金により形成され、周囲に樹脂を塗布して形成される被覆層に90℃以上130℃以下の温度で架橋処理を行うことで軟銅線に変質される硬銅線を備える配線材が提供される。
本発明の第2の態様によれば、前記軟質希薄銅合金は、前記Tiを4mass ppm以上55mass ppm以下含む第1の態様の配線材が提供される。
本発明の第3の態様によれば、前記軟質希薄銅合金は、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素と、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、を含む第1又は第2の態様の配線材が提供される。
本発明の第4の態様によれば、銅と、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Crの少なくともいずれかの添加元素とを含む軟質希薄銅合金により形成される硬銅線を備える複数本の配線材を撚り合わせて形成される撚線と、前記撚線の周囲を被覆するように樹脂が塗布されて形成される被覆層を90℃以上130℃以下の温度で加熱して架橋処理を行うことで形成される絶縁層と、を備え、前記硬銅線は、架橋処理の際の熱によって加熱されて軟銅線に変質される絶縁ケーブルが提供される。
本発明の第5の態様によれば、銅と、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Crの少なくともいずれかの添加元素とを含む軟質希薄銅合金を用いて所定線径の硬銅線を形成する硬銅線形成工程と、前記硬銅線を備える複数本の配線材を撚り合せて撚線を形成する撚線形成工程と、前記撚線の周囲に樹脂を被覆して被覆層を形成する被覆層形成工程と、前記被覆層を90℃以上130℃以下の温度で加熱して架橋処理を行うことで絶縁層を形成する架橋工程と、を有し、前記架橋工程では、前記被覆層を加熱する際の熱で前記硬銅線を加熱することで、前記硬銅線を軟銅線に変質させる絶縁ケーブルの製造方法が提供される。
本発明の第6の態様によれば、前記硬銅線形成工程では、前記軟質希薄銅合金に熱間圧延処理を行った後、冷間圧延処理と熱処理とを所定回数繰り返し、最終の前記冷間圧延処理を80%以上99%以下の加工度で行う第5の態様の絶縁ケーブルの製造方法が提供される。
本発明の第7の態様によれば、前記軟質希薄銅合金は、前記Tiを4mass ppm以上55mass ppm以下含む第5又は第6の態様の絶縁ケーブルの製造方法が提供される。
本発明の第8の態様によれば、前記軟質希薄銅合金は、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素と、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、を含む第5ないし第7の態様のいずれかの絶縁ケーブルの製造方法が提供される。
本発明によれば、軟化温度が低く、優れた可撓性を有する配線材、絶縁ケーブル及び絶縁ケーブルの製造方法を得ることができる。
本発明の一実施形態にかかる絶縁ケーブルの概略図であり、(a)は部分破断斜視図を示し、(b)は断面図を示す。
以下に、本発明にかかる配線材、この配線材を用いた絶縁ケーブル及び絶縁ケーブルの製造方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
(1)配線材の構成
まず、本実施形態にかかる配線材について、主に図1を用いて説明する。図1は、本実施形態にかかる配線材を用いた絶縁ケーブルの概略図であり、(a)は部分破断斜視図を示し、(b)は断面図を示す。
(軟質希薄銅合金の組成)
図1に示すように、本実施形態にかかる配線材1は、軟質希薄銅合金を伸線加工することで形成される硬銅線を備えている。硬銅線は断面形状で円形を有している。軟質希薄銅合金は、銅(Cu)を母材とし、その母材中に、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、カルシウム(Ca)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)の少なくともいずれかの元素が添加された軟質希薄銅合金を用いて形成されている。
上述の例えばTi等の元素は、他の元素と結合しやすい活性元素である。また、母材(銅母材、すなわちマトリックス)中に添加した例えばTi等の元素は、銅母材中で硫黄(S)等の析出サイトとして機能する分散粒子として働く。このため、分散粒子の大きさを小さくし、銅母材中に含まれる分散粒子の個数を増やすと良い。これらの元素が銅母材中に添加されると、これらの元素が銅母材中に含まれる例えば硫黄等の不純物と結合して析出する。すなわち、銅母材中の硫黄等の不純物は、例えばTi等の元素によって捕集されて析出される。これにより、銅母材中の不純物を減少させて、銅母材の純度を向上させることができる。従って、軟質希薄銅合金の硬度を低くできるため、軟質希薄銅合金を用いて形成した硬銅線を備える配線材1の可撓性を向上させることができる。
Ti元素は、他の元素と比べて、銅母材中で硫黄と結合して化合物を作り易く、加工できるため取扱い性がよく、安価であり、酸化物を核として析出しやすいという特徴を有する。このため、銅母材中には、Ti元素が4mass ppm以上55mass ppm以下含まれているとよい。これにより、本実施形態にかかる軟質希薄銅合金を用いた配線材1が備える硬銅線の軟化温度を低くすることができる。すなわち、配線材1の軟化温度を90℃以上130℃以下とすることができる。また、銅母材の純度をより向上させることができ、配線材1の可撓性をより向上させることができる。
ここで、母材として例えばTi元素を添加した電気銅を用いた硬銅線の軟化温度は148℃以下であった。このとき、電気銅の純度は、配線材に一般的に用いることができる純度とした。これに対し、母材として、Ti等の元素を添加しなかった電気銅を用いた硬銅線の軟化温度は160℃〜165℃であった。なお、母材として高純度銅(6N)を用いた硬銅線の軟化温度は127℃〜130℃である。このため、本実施形態では、配線材1が備える硬銅線の軟化温度を130℃以下とした。
なお、銅母材中には、軟質希薄銅合金の所望とする性質を損なわない範囲において、上述のTi、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Cr以外の元素や不純物が含有されていてもよい。
すなわち、銅母材中には、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素(O)と、2mass ppm以上12mass ppm以下、好ましくは3mass ppm以上8mass ppm以下の硫黄とが含まれているとよい。なお、銅母材中には、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素が含有されていることから、本実施形態ではいわゆる低酸素銅(LOC)を対象としている。
なお、通常、例えば酸素(O)や硫黄(S)等の不純物及び例えばチタン(Ti)元素は、TiO、TiO、TiS、もしくはTi−O−S結合を有する化合物またはTiO、TiO、TiSもしくはTi−O−S結合を有する化合物の凝集物として、銅母材中に含まれている。そして、残りの酸素や硫黄等の不純物及び例えばチタン(Ti)元素がそれぞれ、銅母材中に固溶体として含まれている。
銅母材中の酸素の量が2mass ppm未満であると、軟質希薄銅合金の軟化温度が下がり難くなる場合があるため、後述する架橋処理の他に、硬銅線を軟銅線に変質させるための熱処理(焼鈍処理)が必要となる場合がある。酸素の量が30mass ppmを超えると、軟質希薄銅合金に例えば熱間圧延処理を行った際、軟質希薄銅合金の表面に傷が発生しやすくなる場合がある。
また、通常、例えば電気銅を製造する際、不純物としての硫黄が不可避的に銅中に取り込まれてしまうため、銅母材中の硫黄の含有量を2mass ppm未満とすることは難しい。また、例えば汎用電解銅を製造する際、銅母材中の硫黄の含有量の上限は12mass ppmである。
例えば、軟質希薄銅合金を用いて、導電率が98%IACS(万国標準軟銅(International Annealed Copper Standard):1.7241×10−8Ωmを100%とした導電率)以上の配線材1を得る場合、銅母材中には、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素と、3mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、4mass ppm以上55mass ppm以下のTi元素とが含まれているとよい。
また、例えば、軟質希薄銅合金を用いて、導電率が100%IACS以上の配線材1を得る場合には、銅母材中には、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素と、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、4mass ppm以上37mass ppm以下のTi元素とが含まれているとよい。
また、例えば軟質希薄銅合金を用いて導電率が102%IACS以上の配線材1を得る場合には、銅母材中には、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素と、3mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、4mass ppm以上25mass ppm以下のTi元素とが含まれているとよい。
ここで、母材として酸素を含まない無酸素銅を用いた配線材1の導電率は101.7%IACS程度であり、母材として高純度銅(6N)を用いた配線材1の導電率は102.8%IACS程度である。このため、本実施形態にかかる配線材1の導電率は98%IACS以上であるとよく、好ましくは100%IACS以上、より好ましくは102%IACS以上であるとよい。すなわち、本実施形態にかかる配線材1の導電率は、母材として高純度銅(6N)を用いた場合の配線材1の導電率に近いと良い。
(2)絶縁ケーブルの構成
次に、上述の配線材1を用いた絶縁ケーブル2の構成について説明する。
本実施形態にかかる絶縁ケーブル2は、硬銅線を備える複数本(例えば7本)の配線材1を撚り合わせて形成される撚線3を備えている。
撚線3の周囲には、撚線3の周囲を被覆するように樹脂が塗布されることで被覆層が設けられている。そして被覆層に架橋処理が行われて被覆層が硬化されることで、撚線3の周囲に絶縁層4が設けられている。樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PAF)樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂やエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂等を用いることができる。架橋処理は、90℃以上130℃以下の温度で被覆層を加熱するように行われる。架橋処理は、例えば蒸気を用いて行われるとよい。
配線材1が備える硬銅線は、被覆層に架橋処理を行う際に被覆層と共に加熱されて軟銅線に変質される。上述したように、絶縁ケーブル2に用いられる配線材1が備える硬銅線は、軟化温度が低い。このため、硬銅線は、被覆層に90℃〜130℃の温度で架橋処理を行う際の加熱で、所望の可撓性を有する軟銅線に変質される。これにより、硬銅線を軟銅線に変質するための焼鈍処理が不要となる。
絶縁層4の周囲には、絶縁層4の周囲を被覆するようにシース5が設けられている。シース5は、例えばポリ塩化ビニル等の樹脂を押出被覆することで設けられている。
(3)絶縁ケーブルの製造方法
次に、本発明にかかる配線材1を用いた絶縁ケーブル2の製造方法の一実施形態について説明する。
(鋳造工程)
本実施形態にかかる配線材1の製造方法では、まず、所定の組成を有する軟質希薄銅合金を鋳造する。すなわち、まず、例えば高周波溶解炉等を用い、母材である銅を溶解して形成した軟質希薄銅合金の溶湯に、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn又はCrの少なくともいずれかの元素を添加して、軟質希薄銅合金の溶湯を形成する。このとき、軟質希薄銅合金の溶湯中に、4mass ppm以上55mass ppm以下のTi元素を添加するとよい。また、軟質希薄銅合金の溶湯中には、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素と、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄とが含まれているとよい。そして、この軟質希薄銅合金の溶湯を鋳型に流し込んで所定形状の鋳塊(インゴット)を形成する。
なお、軟質希薄銅合金を溶解する温度(溶銅温度)は、1100℃以上1320℃以下の温度で、できるだけ低温であるとよい。溶銅温度が1320℃を超えると、鋳造欠陥(ブローホール)が発生する場合がある。ブローホールが発生した鋳塊を用いて硬銅線を形成すると、硬銅線の表面に傷が生じてしまう場合がある。例えば、インゴットの表面に近い部分にブローホールが形成された場合、後述するようにインゴットに圧延処理を行う際に破れてしまう場合がある。また、溶湯内に存在する粒子の大きさが大きくなる傾向にあるため、軟質希薄銅合金の品質が低下する場合がある。溶銅温度が1100℃未満であると、溶解した銅が固まりやすくなるため、鋳造が安定しない場合がある。
(硬銅線形成工程)
次に、鋳造したインゴットを、例えばSCR連続鋳造圧延方式(South Continuous Rod System)によって、鋳造体が所定の線径になるまで、熱間圧延処理と、冷間圧延処理と、熱処理とを行い、硬銅線を形成する。そして、硬銅線を備える配線材1を形成する。
[熱間圧延処理]
まず、鋳造したインゴットを加熱して熱間圧延処理を行い、軟質希薄銅合金を所定の線径(例えば直径8mm)の線材とする。熱間圧延処理は、軟質希薄銅合金の線材が所定の線径となるように、複数段の圧延ロールを用いて行うとよい。このとき、最初の圧延ロールでの加熱温度が880℃以下で、最終の圧延ロールでの加熱温度が550℃以上であるとよい。また、熱間圧延処理は、90%の加工度で行うとよい。これにより、軟質希薄銅合金の溶湯中に添加した例えばTi等の元素の固溶限をより小さくできる。従って、銅中に転位を導入することにより軟質希薄銅合金の溶湯中に含まれる例えば硫黄等の不純物を容易に析出させることができる。すなわち、例えば、軟質希薄銅合金の溶湯中に添加したチタン(Ti)の酸化物(例えばTiO)を核として、硫黄を転位上に容易に析出させることができる。熱間圧延終了後は、なるべく速やかに軟質希薄銅合金の線材を冷却するとよい。
[冷間圧延処理・熱処理]
上述の熱間圧延処理が終了した後、軟質希薄銅合金の線材に、冷間圧延処理と、熱処理(焼鈍処理)とを行って、所定の線径(例えば直径0.26mm)の硬銅線を形成する。冷間圧延処理と熱処理とは、それぞれ所定回数繰り返して行うとよい。なお、冷間圧延処理と熱処理とは1回ずつ行ってもよい。熱処理はバッチ処理であっても、連続処理であってもよい。
このとき、最終の冷間圧延処理(以下では、「最終冷間圧延処理」とも言う。)を80%以上99%以下の加工度で行うとよい。これにより、軟質希薄銅合金を用いた配線材1の軟化温度を90℃以上130℃以下にできる。なお、加工度は、下記の(式1)により求められる。
(式1)
加工度(%)=[(最終冷間圧延処理直前の線材の断面積―最終冷間圧延処理後の線材の断面積)/最終冷間圧延処理直前の線材の断面積]×100
最終冷間圧延処理の加工度を80%未満とすると、軟質希薄銅合金の軟化温度を130℃以下にすることができない場合がある。すなわち、加工度が低すぎるため、最終の熱処理を行う前の軟質希薄銅合金の線材の組織を細かくすることができない場合がある。また、冷間圧延処理による歪みエネルギも蓄積されない場合がある。従って、最終の熱処理を行う際に再結晶が起こりにくくなる場合がある。その結果、軟質希薄銅合金の線材の軟化温度が上昇し、軟質希薄銅合金の軟化温度を130℃以下にすることができない場合がある。このため、後述する架橋工程において硬銅線を加熱して軟銅線に変質させることができない場合がある。
また、再結晶には、核生成による結晶数の増加によるものと、核成長による結晶粒の粗大化によるものとがある。最終冷間圧延処理の加工度が80%未満である軟質希薄銅合金の線材に最終の熱処理を行うと、核生成による結晶数の増加よりも、核成長による結晶粒の粗大化の方が優先されてしまう。従って、後述する架橋工程において硬銅線を加熱して変質した軟銅線が、所望とする可撓性(軟らかさ)を有さない場合がある。
最終冷間圧延処理の加工度を99%より大きくすると、軟質希薄銅合金の軟化温度が低くなりすぎるため、室温においても再結晶が開始されてしまう場合がある。これにより、結晶組織の制御が極めて困難になる場合がある。従って、後述する架橋工程において硬銅線を加熱して変質させた軟銅線が、所望とする可撓性を有さない場合がある。すなわち、硬銅線を変質させた軟銅線の例えば0.2%耐力値を低くすることができない場合がある。また、最終冷間圧延処理によっても軟質希薄銅合金の線材の硬化が進んでしまう場合がある。このため、線材の断線が起こりやすく、取扱い性が低下する場合がある。
(撚線形成工程)
所定の線径(例えば直径0.26mm)の硬銅線を備える配線材1を形成して硬銅線形成工程が終了したら、例えば撚線機等を用いて複数本(例えば7本)の配線材1を撚り合わせて撚線3を形成する。
(被覆層形成工程)
撚線形成工程が終了した後、樹脂を例えば押出被覆により撚線3の周囲に被覆して被覆層を形成する。樹脂として、例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、PAF樹脂、FEP樹脂、ETFE樹脂等を用いるとよい。樹脂としてシラングラフト化したポリエチレンを用いるとより良い。
(架橋工程)
被覆層形成工程が終了したら、例えば紫外線照射等により被覆層を所定温度で所定時間加熱して架橋処理を行い、被覆層を硬化させて絶縁層4を形成する。架橋処理は、90℃以上130℃以下の温度で行う。例えば、架橋処理は90℃の温度で蒸気を用いて行うとよい。
被覆層を加熱して絶縁層4を形成すると同時に、撚線3を構成する硬銅線を加熱して軟銅線に変質させる。すなわち、架橋処理を行う際の加熱(熱量)によって、硬銅線を軟銅線に変質させる。上述したように、配線材1が備える硬銅線の軟化温度は130℃以下である。このため、架橋処理を行う際の加熱によって硬銅線を軟化させて、所望とする可撓性(軟らかさ)を有する軟銅線に変質させることができる。従って、硬銅線形成工程が終了した後であって架橋工程が行われる前に、硬銅線を軟銅線に変質させるための焼鈍処理(熱処理)が不要となる。これにより、硬銅線形成工程後の焼鈍処理によって変質された軟銅線が、絶縁ケーブル2を形成する際の架橋工程によってさらに加熱されることで硬化されてしまい、硬銅線に再度変質されてしまうことを抑制できる。その結果、加工硬化が少なく可撓性に優れた硬銅線を備える配線材1を得ることができる。また、焼鈍処理において消費する電力等のエネルギ費用等を低減できるので、製造コストを抑制できる。
(シース形成工程)
架橋工程が終了した後、例えばポリ塩化ビニル等の樹脂を押出被覆により絶縁層4の周囲に被覆してシース5を形成して絶縁ケーブル2を形成する。そして、本実施形態にかかる絶縁ケーブル2の製造工程を終了する。
(4)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、配線材1は、銅と、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Crの少なくともいずれかの元素とを含む軟質希薄銅合金を用いて形成される硬銅線を備えて構成されている。これにより、配線材1が備える硬銅線の軟化温度を例えば130℃以下まで低下させることができる。また、銅母材中に添加される例えばTi等の元素によって、銅母材中の硫黄等の不純物が捕集されて析出される。これにより、銅母材(銅)の純度を向上させることができる。従って、軟質希薄銅合金の硬度を低くできるため、軟質希薄銅合金を用いて形成される硬銅線を備える配線材1の可撓性を向上させることができる。
従って、配線材1は、熱伝導に優れる銅材料や、高純度銅の代替え材料として用いることができる。また、配線材1は、例えば、電子機器の導線(導体)や、民生用を含む太陽電池の配線材、モータに使用されるエナメル線の導線、200℃〜700℃の高温で用いられる軟質銅材、電源ケーブル用の導線、信号線用の導線、焼きなましが不要な溶融半田めっき材、フレキシブルプリント基板(FPC)の配線に用いられる導線等、種々の用途に用いることができる。
(b)本実施形態によれば、配線材1が備える硬銅線は、周囲に樹脂を塗布して形成される被覆層に90℃以上130℃以下の温度で架橋処理を行うことで加熱されて軟銅線に変質されるように形成されている。すなわち、硬銅線は、軟化温度を低くすることで、架橋処理を行う際の熱量によって所望とする可撓性を有する軟銅線に変質されるように構成されている。これにより、硬銅線を形成する硬銅線形成工程が終了した後、硬銅線を軟銅線に変質させる焼鈍処理が不要となる。これにより、加工硬化が少なく可撓性に優れた硬銅線を備える配線材1、及びその硬銅線を用いた絶縁ケーブル2を得ることができる。すなわち、硬銅線形成工程後の焼鈍処理によって変質された軟銅線が、架橋工程によってさらに加熱されることで硬化することを抑制できる。また、焼鈍処理において消費する電力等のエネルギ費用、焼鈍処理の設備費用、焼鈍処理の設備メンテナンス費用、焼鈍処理にかかる時間及び人件費等を削減でき、製造コストを抑制できる。
(c)本実施形態によれば、軟質希薄銅合金には、4mass ppm以上55mass ppm以下のチタン(Ti)元素が含まれている。これにより、配線材1が備える硬銅線の軟化温度をより低くできる。また、銅母材(銅)の純度をより向上させることができ、配線材1の可撓性をより向上させることができる。
(d)本実施形態によれば、軟質希薄銅合金には、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素と、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄とが含まれている。これにより、配線材1が備える硬銅線の軟化温度をより低下させることができる。
(e)本実施形態によれば、軟質希薄銅合金の鋳塊に熱間圧延処理を行った後、冷間圧延処理と熱処理とを所定回数繰り返し、最終の冷間圧延処理を80%以上99%以下の加工度で行っている。これにより、配線材1が備える硬銅線の軟化温度をより低下させることができると共に、配線材1の可撓性をより向上させることができる。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、SCR連続圧延方式により熱間圧延処理を行ったが、これに限定されるものではない。すなわち、双ロール式連続鋳造圧延方式や、プロペルチ式連続圧延方式によって配線材1を形成してもよい。
上述の実施形態では、配線材1が備える硬銅線の断面形状を円形状にしたがこれに限定されるものではない。すなわち、配線材1の断面形状は、例えば平角、矩形、多角形、楕円形等、配線材1の用途等に応じて種々の形状にすることができる。
上述の実施形態では、銅母材中に、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素を含む場合について説明した。しかしながら、銅母材中に添加される上記の元素の添加量、及び銅母材中の硫黄の含有量によっては、軟質希薄銅合金の性質を損なわない範囲において、銅母材中には、2mass ppm以上400mass ppm以下の酸素が含まれていてもよい。
上述の実施形態では、銅と、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Crの少なくともいずれかの添加元素とを含む軟質希薄銅合金が配線材1に用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。銅と、所定の添加元素とを含む軟質希薄銅合金は、例えば、放熱板等に使用される銅板、リードフレームに使用される異形条鋼材、配線基板に使用される銅箔等、幅広い用途に用いることができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[配線材の評価]
まず、実施例1〜3及び比較例1〜3の各試料である配線材を作製し、各試料の軟化温度を測定して評価した。
(実施例1)
実施例1では、母材である銅として、酸素が7mass ppm〜8mass ppm、硫黄が5mass ppm含まれている低酸素銅を用いた。シャフト炉で母材である銅を溶解して溶湯を形成し、この銅溶湯を還元ガス雰囲気下で樋を介して鋳造ポット(るつぼ)内に導入し、鋳造ポット内の銅溶湯中に、チタン(Ti)元素を25mass ppm添加した。Ti元素を添加した銅溶湯を、シャフト炉が備える注湯ノズルを介して、外周面に形成された溝を備える鋳造輪と、この鋳造輪の外周の一部に接触するように周回移動される無端ベルトとの間に形成される空間に導入する。この空間が鋳型として機能することで、所定形状の軟質希薄銅合金の鋳塊(インゴット)を作製した。この軟質希薄銅合金のインゴットをSCR連続鋳造圧延方式によって、インゴットを所定の線径(直径が8mm)になるまで、99.3%の加工度で熱間圧延処理を行い、直径が8mmの線材を作製した。
次に、直径が8mmの線材に、冷間圧延処理と熱処理とを、それぞれ所定回数繰り返して行い、最終の冷間圧延処理を行う直前の線材の線径(以下では「中間処理線径」とも言う。)を2.6mmとした。そして、線径が2.6mmの線材に、最終の冷間圧延処理を99%の加工度で行い、所定の線径(0.26mm)の硬銅線を作製した。なお、熱処理は、最終の熱処理を行った後の線材、すなわち配線材の伸び率が30%となるように、通電アニーラを用いて行った。そして、この硬銅線を用いて配線材を作製し、これを実施例1の試料とした。
(実施例2〜3及び比較例1)
実施例2〜3、比較例1及び従来例1〜2では、中間処理線径及び最終の冷間圧延処理の加工度を表1に示す値とした。この他は、上述の実施例1と同様にして、直径が0.26mmの硬銅線を作製し、配線材を作製した。これらをそれぞれ実施例2〜3及び比較例1の試料とした。
(比較例2)
比較例2では、母材である銅として、タフピッチ銅(TPC)を用いた。そして、シャフト炉で母材である銅を溶解して溶湯を形成し、この銅溶湯を還元ガス雰囲気下で樋を介して鋳造ポット(るつぼ)内に導入した。銅溶湯を、シャフト炉が備える注湯ノズルを介して、外周面に形成された溝を備える鋳造輪と、この鋳造輪の外周の一部に接触するように周回移動される無端ベルトとの間に形成される空間に導入する。この空間が鋳型として機能し、所定形状の軟質希薄銅合金の鋳塊(インゴット)を作製した。この他は、上述の実施例1と同様にして、直径が0.26mmの硬銅線を作製し、配線材を作製した。これを比較例2の試料とした。
(比較例3)
比較例3では、中間処理線径を0.37mmとし、最終の冷間圧延処理の加工度を50%とした。その他は、比較例2と同様にして、直径が0.26mmの硬銅線を作製し、配線材を作製した。これを比較例3の試料とした。
以上のようにして作製した実施例1〜3、及び比較例1〜3の各試料について、半軟化温度を測定した。その結果を、表1に示す。
本実施例では、半軟化温度は、各試料を所定温度で1時間加熱した(焼鈍処理を行った)後の引張強度が、加熱前の各試料の引張強度の半分になるときの温度とした。すなわち、まず、各試料の室温での(加熱前の)引張強度を測定した。そして、各試料から複数のサンプルを切り出し、各サンプルをそれぞれ異なる複数の温度で1時間加熱した後の引張強度をそれぞれ測定した。そして、加熱後のサンプルの引張強度が、加熱前の引張強度の半分の値となったサンプルの加熱温度を半軟化温度とした。
表1に示すように、実施例1〜実施例3から、最終の冷間圧延処理の加工度が高くなるにつれて、半軟化温度が低くなることを確認した。すなわち、軟化温度が低くなることを確認した。また、最終の冷間圧延処理の加工度が80%以上であると、半軟化温度が130℃以下となり、実施例1では、半軟化温度が90℃と大幅に低下していることを確認した。
比較例1から、最終の冷間圧延処理の加工度が50%であると、半軟化温度が140℃となることを確認した。すなわち、最終の冷間圧延処理の加工度が80%未満であると、半軟化温度を130℃以下まで低下させることが難しいことを確認した。
実施例1と比較例2とを比較すると、最終の冷間圧延処理の加工度が99%であるにもかかわらず、実施例1では半軟化温度が90℃であるのに対し、比較例2では半軟化温度が125℃と高くなっていることを確認した。また、比較例2と比較例3とを比較すると、最終の冷間圧延処理の加工度が低くなるにつれて半軟化温度がさらに高くなることを確認した。これにより、母材として所定量の酸素及び所定量の硫黄を含む銅に、例えばTi等の元素を添加した軟質希薄銅合金を用いると、軟化温度が低下することを確認した。
[絶縁ケーブルの評価]
次に、実施例4及び比較例4の各試料である絶縁ケーブルを作製し、各試料の可撓性について評価した。
(実施例4)
実施例4では、配線材として、実施例1に係る試料を用いた。実施例1の試料である複数本(7本)の配線材を撚線機にて撚り合わせて撚線を形成した。この撚線の周囲に、樹脂としてシラングラフトされたポリエチレンを押出被覆し、撚線の周囲に被覆層を形成した。そして、被覆層を形成した撚線(配線材)を蒸気架橋室に導入し、蒸気架橋室にて被覆層を90℃の温度で所定時間を加熱して架橋処理を行い、被覆層を硬化させて絶縁層を形成した。このとき、架橋処理時の熱量によって実施例1にかかる試料が備える硬銅線を加熱し、硬銅線を軟銅線に変質させる。そして、絶縁層の周囲にポリ塩化ビニルを押出被覆してシースを形成し、絶縁ケーブルを作製した。これを実施例4の試料とした。
(比較例4)
配線材として比較例2に係る試料を用いた。この他は、上述の実施例4と同様にして絶縁ケーブルを作製した。これを比較例4の試料とした。
以上のようにして作製した実施例4及び比較例4のそれぞれの試料について、可撓性を評価した。すなわち、絶縁ケーブルの可撓性の指標として、架橋処理を行った後の0.2%耐力値を測定した。
表2から、実施例4の試料では、0.2%耐力値が75MPaと低くなっていることを確認した。すなわち、半軟化温度が低い硬銅線は、架橋処理のみによって十分に軟らかくなっており、所望とする可撓性を有することを確認した。これに対し、比較例4の試料では、0.2%耐力値が400MPaと高く、可撓性を殆ど有しないことを確認した。
以上の結果から、銅と、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Crの少なくともいずれかの添加元素とを含む軟質希薄銅合金を用いて形成された硬銅線は、軟化温度が低いことを確認した。また、この硬銅線を備える配線材は、絶縁ケーブルを形成する際に行われる90℃以上130℃以下の架橋処理時の熱で軟化し、所望の可撓性を有することを確認した。
1 配線材
2 絶縁ケーブル
3 撚線
4 絶縁層
5 シース

Claims (8)

  1. 銅と、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Crの少なくともいずれかの添加元素とを含む軟質希薄銅合金により形成され、周囲に樹脂を塗布して形成される被覆層に90℃以上130℃以下の温度で架橋処理を行うことで軟銅線に変質される硬銅線を備える
    ことを特徴とする配線材。
  2. 前記軟質希薄銅合金は、前記Tiを4mass ppm以上55mass ppm以下含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の配線材。
  3. 前記軟質希薄銅合金は、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素と、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、を含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の配線材。
  4. 銅と、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Crの少なくともいずれかの添加元素とを含む軟質希薄銅合金により形成される硬銅線を備える複数本の配線材を撚り合わせて形成される撚線と、
    前記撚線の周囲を被覆するように樹脂が塗布されて形成される被覆層を90℃以上130℃以下の温度で加熱して架橋処理を行うことで形成される絶縁層と、を備え、
    前記硬銅線は、架橋処理の際の熱によって加熱されて軟銅線に変質される
    ことを特徴とする絶縁ケーブル。
  5. 銅と、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn、Crの少なくともいずれかの添加元素とを含む軟質希薄銅合金を用いて所定線径の硬銅線を形成する硬銅線形成工程と、
    前記硬銅線を備える複数本の配線材を撚り合せて撚線を形成する撚線形成工程と、
    前記撚線の周囲に樹脂を被覆して被覆層を形成する被覆層形成工程と、
    前記被覆層を90℃以上130℃以下の温度で加熱して架橋処理を行うことで絶縁層を形成する架橋工程と、を有し、
    前記架橋工程では、
    前記被覆層を加熱する際の熱で前記硬銅線を加熱することで、前記硬銅線を軟銅線に変質させる
    ことを特徴とする絶縁ケーブルの製造方法。
  6. 前記硬銅線形成工程では、
    前記軟質希薄銅合金に熱間圧延処理を行った後、冷間圧延処理と熱処理とを所定回数繰り返し、最終の前記冷間圧延処理を80%以上99%以下の加工度で行う
    ことを特徴とする請求項5に記載の絶縁ケーブルの製造方法。
  7. 前記軟質希薄銅合金は、前記Tiを4mass ppm以上55mass ppm以下含む
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の絶縁ケーブルの製造方法。
  8. 前記軟質希薄銅合金は、2mass ppm以上30mass ppm以下の酸素と、2mass ppm以上12mass ppm以下の硫黄と、を含む
    ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の絶縁ケーブルの製造方法。
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