JP2014201412A - エレベーターの自動診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】推定ではなく実測値に基づいて精度良く複数のロープのテンションのばらつきを自動診断する。【解決手段】かご1と、釣合おもり3と、かご1及び釣合おもり2を吊り下げるロープ3と、複数本の前記ロープが巻き掛けられた駆動シープ4bと、巻上げ機4と、巻上げ機4の回転速度及び停止を制御する制御装置5と、を有し、前記制御装置5の情報からロープテンションの状態を診断するエレベーターの自動診断装置において、かご1の上昇開始を検知する距離センサ7と、診断時には通常運転時と異なる加速指令を前記巻上げ機4に与えて診断のための診断運転を行う診断運転制御部9と、前記診断運転時の前記距離センサ7の検知情報及び前記巻上げ機4の回転軸の回転加速度情報に基づいて前記複数本のロープ3のテンションのばらつきを判定するロープテンション判定部10と、を備えた。【選択図】図2
Description
本発明は、エレベーターの自動診断装置に係り、特に、複数本使われるロープ同士のテンションの状態、特にロープテンションのばらつきの発生を自動監視し、診断するエレベーターの自動診断装置に関する。
複数本使われるロープ同士のテンションのばらつきの発生の監視は、従来、保守作業者が実機でロープテンションのばらつきを計測することにより行っていた。しかし、このような保守作業者による計測では、効率が悪いことから、通常起動時の自動診断情報からロープのスリップ異常を自動で判定し、異常の兆候をいち早く検知して点検作業を指示し、ロープの異常劣化を防止するできる装置が、すでに提案されている(特許文献1参照)。
この従来技術は、かごと、釣合おもりと、かご及び釣合おもりを吊り下げる主索と、主索が巻き掛けられた駆動シーブを含み、駆動シーブの回転によりかご及び釣合おもりを昇降させる巻上げ機とを有するエレベーターに設けられ、エレベーターを点検するためのエレベーターの自動点検装置であって、かごの荷重を検出荷重として検出するための荷重検出装置、駆動シーブの回転トルクを検出するためのトルク検出装置、及びトルク検出装置からの情報に基づいて、かごの荷重を推定荷重として求め、検出荷重と推定荷重とを比較することにより、エレベーターの異常の有無を判定する判定装置を備えたことを特徴とするものであった。
ところで、上述した公知のエレベーターの自動診断装置は、モータトルクから荷重を推定するようになっている。そのため、シープ回転軸やプーリ回転軸の抵抗、かごが摺動して動くかご走行抵抗などが推定荷重へ影響を与える。この影響のため、モータトルクから推定された荷重に基づいてロープの異常を特定することは難しいという課題があった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものでその目的は、推定ではなく実測値に基づいて精度良く複数のロープのテンションのばらつきを自動診断可能な診断装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、かごと、釣合おもりと、前記かご及び前記釣合おもりを吊り下げるロープと、複数本の前記ロープが巻き掛けられた駆動シープ及び当該駆動シーブと同期して回転する回転軸を含み、前記駆動シープを回転させて前記かご及び前記釣合おもりを昇降させる巻上げ機と、前記巻上げ機の回転速度及び停止を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置の情報からロープテンションの状態を診断するエレベーターの自動診断装置において、前記かごの上昇開始を検知する検知手段と、診断時には通常運転時と異なる加速指令を前記巻上げ機に与えて診断のための診断運転を行う診断運転制御手段と、前記診断運転時の前記検知手段の検知情報及び前記巻上げ機の回転軸の回転加速度情報に基づいて前記複数本のロープのテンションのばらつきを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。なお、前記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
本発明によれば、推定ではなく実測値に基づいて精度良く複数のロープのテンションのばらつきを自動診断することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係るエレベーターの駆動機構全体を概略的に示す概略構成図である。図1において、かご1と釣合おもり2は、ロープ3の端部でそれぞれ締結される。ロープ3は、かご1を昇降させる巻上げ機4の駆動シーブ4bに巻き掛けられ、巻上げ機4の回転軸には回転検出器4aが設けられている。巻上げ機4は、制御装置5によって回転と停止を制御され、駆動シーブ4bは回転軸と同期して回転する。また、かご1の底部には、上昇及び下降時の衝撃を緩和するための防振ゴム6が設けられている。さらに、かご1の床下には、床の撓み量を換算して乗客荷重を算出する距離センサ7が備えられている。なお、ロープ3は、通常は2本以上の複数本が使用され、複数本のロープ3が前記駆動シーブに巻き掛けられている。
図2は、本発明の実施形態に係る自動診断装置の概略構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、自動診断装置は、無人検知部8、診断運転制御部9、ロープテンション判定部10及びばらつき程度判定部11を含む。なお、診断運転制御部9、ロープテンション判定部10及びばらつき程度判定部11は、それぞれ中央処理装置(CPU)を搭載した制御回路を備え、あるいは、メインの中央処理装置(CPU)を備えた制御装置5によって予めプログラミングされた制御を実行する。CPUは、制御部と演算部を含み、制御部が命令の解釈とプログラムの制御の流れを制御し、演算部が演算を実行する。また、プログラムは図示しないメモリに格納され、実行すべき命令(ある数値又は数値の並び)を前記プログラムの置かれたメモリから取り出し、前記プログラムを実行する。
無人検知部8は、距離センサ7の信号から乗客の有無を判定する。診断運転制御部9は、無人検知部8からの判定信号により、無人であると判定された状態で制御装置5から起動命令を受けた場合、通常より急な加速度で起動するように指令を与えて診断専用の運転を行う。ロープテンション判定部10は、後述のステップS1からステップS9までの処理に基づいてロープ同士のテンションのばらつきを判定する。ばらつき程度判定部11は、ばらついていることが分かった場合、起動時の加速指令値を下げて診断運転を行い、加速指令の下げ量と実際の加速度からテンションのばらつきの程度を判定する。この判定処理は、後述のステップS10からステップS12の処理である。
なお、図2では、制御装置5と、無人検知部8、診断運転制御部9、ロープテンション判定部10及びばらつき程度判定部11は、機能として異なるので独立した状態となっているが、実機では、制御装置5内に搭載される。そのため、制御装置5のメインのCPUによって全ての制御を実行することも可能である。
図3及び図4は診断運転時の稼動データを示す図である。この稼動データは、巻上げ機4の加速度指令D1、巻上げ機4の回転軸の実加速度D2及び距離センサ7の出力D3の関係を時間軸を横軸にとって示している。
診断運転時、ロープテンションにばらつきがない場合は、図3に示すように、複数本のロープ3にほぼ同時に回転力が作用するので、摩擦力は十分でありロープ3のスリップは微少となり、加速度指令D1による加速度と実際の回転加速度(実加速度)D2はほぼ同じ値となる。一方、ロープテンションにばらつきが生じていると、テンションの強いロープ3から回転力が作用して廻り始める。しかし、摩擦力が不足しているのでロープ3はスリップしながら回転を始め、ロープテンションの強い順に回転力が作用する。その結果、全てのロープ3が廻り始めるまでには時間の差が発生する。
この時間差は、図4に示すように、実際の加速度D2はロープ3のスリップの影響で段階的に上昇する(D2’)ため、指令値と同等の加速度になるまでに時間を要することから発生する。この段階的な加速と時間差の発生からロープテンションのばらつきが発生していると判定することができる。
図5は、ばらつきの有無及び程度を判断するときの処理手順を示すフローチャートである。ばらつきの判断は、図3及び図4に示した時間Tl〜T4に基づいて行われる。
図5において、まず、巻上げ機4の回転軸の回転開始時間T2が基準値より小さいか否かを判定する(ステップS1)。この判定で基準値より小さい場合は(ステップS1:Yes)、ロープ3と巻上げ機4の回転溝でスリップが発生することなく追従して加速を開始したことを示しているので、摩擦力は正常であると判断する(ステップS2)。これに対し、ステップS1で回転開始時間T2が基準値より大きいと判定した場合は(ステップS1:No)、ロープ3と巻上げ機4の回転溝の摩擦力が低下傾向であることを報知して診断を終了する(ステップS3)。
次に、かご1が加速を開始した時間T3が基準値より大きいか否かを判定する(ステップS4)。大きい場合は(ステップS4:Yes)、ロープ3の潤滑状態は正常であると判断する(ステップS5)。これに対しかご1が加速を開始した時間T3が基準値より小さいと判定した場合は(ステップS4:No)、ロープ3の潤滑が枯渇傾向と判断する(ステップS6)。これは、ロープ3に含浸された油が抜けると、ロープ3のばね定数が大きくなってロープ3の伸びに要する時間が短くなり、その結果、巻上げ機4の回転軸が回転を開始してからかご1に慣性力が作用するまでの時間ロスが減るためである。そして、ステップS6でのロープ3の潤滑が枯渇傾向である判断結果を報知して診断を終了する。なお、時間T3は、距離センサ7の出力D3変化から検出される。この出力変化は、かご1が上昇を開始したときのかご1の床の慣性力による撓みによって検出される。
ステップS5でロープの潤滑状態が正常であった場合、巻上げ機4の回転軸が等加速度になるまでに要する時間T4が基準値より小さいか否かを判定する(ステップS7)。小さい場合は(ステップS7:Yes)、ロープ3同士のテンションのばらつきは許容範囲であると判断して(ステップS8)診断を終了する。
他方、巻上げ機4の回転軸が等加速度になるまでに要する時間T4が基準値より大きいと判定した場合は(ステップS7:No)、ロープ3同士のテンションがばらづいた状態にあると判断し(ステップS9)、診断運転の巻上げ機4の加速度指令値をA%だけ小さくして診断運転を再度開始する(ステップS10)。
そして、巻上げ機4の回転軸が等加速度になるまでに要する時間T4aを算出し(ステップS11)、巻上げ機4の回転軸が等加速度になるまでに要する時間T4に対する診断運転の巻上げ機4の加速度指令値をA%だけ小さくしたときの前記時間T4aの変化率を算出し、テンションのばらつき状態を判断する(ステップS12)。
この判断に基づき、変化率が小さい場合は、ロープ3同士のテンションがばらついた状態であり、そのばらつきの程度も急いで調整を要する状況であると報知し、変化率が大きい場合はロープ3同士のテンションはばらついた状態ではあるが、調整は次回の点検日まで許されると報知して診断を終了する。
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
1)かご1の上昇開始(T4,T4a)を検知する距離センサ7(検知手段)と、診断時には通常運転時と異なる加速指令を前記巻上げ機4に与えて診断のための診断運転を行う診断運転制御部9(診断運転制御手段)と、前記診断運転時の前記距離センサ7の検知情報及び前記巻上げ機4の回転軸の回転加速度情報に基づいて前記複数本のロープ3のテンションのばらつきを判定するロープテンション判定部10(ロープテンション判定手段)と、を備えたので、実測値に基づいて精度良く複数のロープのテンションのばらつきを自動診断することができる。
さらに、自動診断の結果に基づいて、ばらつきが大きくなった場合は自動報知を行い、保全作業を指示することができる。これにより、ロープの早期劣化を防止することも可能となる。
ばらつきの自動診断は、巻上げ機4の回転軸が等加速度になるまでに要する時間T4を基準値と比較し(ステップS7)、基準値より大きいと判定した場合に、ロープ3同士のテンションがばらづいた状態にあると判断する(ステップS9)ことにより行われる。
2)診断運転時の加速度指令値D1及び巻上げ機4の回転軸の回転加速度情報(軸加速度)D2に基づいてばらつきの程度を判定するばらつき程度判定部11(ばらつき程度判定手段)をさらに備えたので、実測値に基づいて精度良く複数のロープのテンションのばらつきの程度の判定を自動診断することができる。
ばらつきの程度の判定の自動診断は、回転加速度情報D2の変化率に基づいて行われる。具体的には、巻上げ機4の加速度指令値D1を予め設定した値(例えばA%)だけ小さくして診断運転を再度開始し(ステップS10)、加速度指令値D1を予め設定した値だけ小さくする前の巻上げ機4の回転軸が等加速度になるまでに要する時間に対する小さくした後の巻上げ機4の回転軸が等加速度になるまでに要する時間の変化率(ステップS11,S12)に基づいて行われる。
3)検知手段としてかご1内の荷重をかご下床の撓み量から換算して算出する距離センサ7を使用するので、特別な装置を付加することなく、かご1の上昇開始を検出することができ、また、診断運転時の要件である乗客無しの状態を無人検知部8を用いて検出することができる。
なお、特許請求の範囲におけるかごは本実施形態では符号1に、釣合おもりは符号2に、巻上げ機は符号4に、回転軸は回転検出器4aが取り付けられた軸部材に、駆動シーブは符号4bに、制御装置は符号5に、検知手段は距離センサ7に、診断運転制御手段は診断運転制御部9に、複数本のロープのテンションのばらつきを判定する判定手段はロープテンション判定部10に、ばらつき程度判定手段はばらつき程度判定部11に、それぞれ対応する。
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
1 かご
2 釣合おもり
3 ロープ
4 巻上げ機
4a 回転検出器
4b 駆動シーブ
5 制御装置
7 距離センサ
9 診断運転制御部、
10 ロープテンション判定部
11 ばらつき程度判定部
2 釣合おもり
3 ロープ
4 巻上げ機
4a 回転検出器
4b 駆動シーブ
5 制御装置
7 距離センサ
9 診断運転制御部、
10 ロープテンション判定部
11 ばらつき程度判定部
Claims (5)
- かごと、釣合おもりと、前記かご及び前記釣合おもりを吊り下げるロープと、複数本の前記ロープが巻き掛けられた駆動シーブ及び当該駆動シーブと同期して回転する回転軸を含み、前記駆動シープを回転させて前記かご及び前記釣合おもりを昇降させる巻上げ機と、前記巻上げ機の回転速度及び停止を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置の情報からロープテンションの状態を診断するエレベーターの自動診断装置において、
前記かごの上昇開始を検知する検知手段と、
診断時には通常運転時と異なる加速指令を前記巻上げ機に与えて診断のための診断運転を行う診断運転制御手段と、
前記診断運転時の前記検知手段の検知情報及び前記巻上げ機の回転軸の回転加速度情報に基づいて前記複数本のロープのテンションのばらつきを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とするエレベーターの自動診断装置。 - 請求項1に記載のエレベーターの自動診断装置において、
前記診断運転時の加速度指令値及び前記巻上げ機の回転軸の回転加速度情報に基づいて前記ばらつきの程度を判定するばらつき程度判定手段をさらに備えたこと
を特徴とするエレベーターの自動診断装置。 - 請求項2に記載のエレベーターの自動診断装置において、
前記ばらつきの程度の判定が前記回転加速度情報の変化率に基づいて行われること
を特徴とするエレベーターの自動診断装置。 - 請求項3に記載のエレベーターの自動診断装置において、
前記変化率が、前記巻上げ機の加速度指令値を予め設定した値だけ小さくして診断運転を再度開始し、前記加速度指令値を予め設定した値だけ小さくする前の前記巻上げ機の回転軸が等加速度になるまでに要する時間に対する前記小さくした後の前記巻上げ機の回転軸が等加速度になるまでに要する時間の変化率であること
を特徴とするエレベーターの自動診断装置。 - 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエレベーターの自動診断装置において、
前記検知手段が、前記かご内の荷重をかご下床の撓み量から換算して算出する距離センサであること
を特徴とするエレベーターの自動診断装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013079603A JP2014201412A (ja) | 2013-04-05 | 2013-04-05 | エレベーターの自動診断装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2013079603A JP2014201412A (ja) | 2013-04-05 | 2013-04-05 | エレベーターの自動診断装置 |
Publications (1)
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Family
ID=52352200
Family Applications (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017033322A1 (ja) * | 2015-08-27 | 2017-03-02 | 三菱電機株式会社 | エレベータ装置 |
CN107416628A (zh) * | 2017-08-30 | 2017-12-01 | 深圳市特种设备安全检验研究院 | 称取电梯轿厢和对重重量的称重装置 |
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CN110407062A (zh) * | 2019-08-23 | 2019-11-05 | 徐州超拓机电技术有限公司 | 一种多绳提升钢丝绳张力智能保护装置 |
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2013
- 2013-04-05 JP JP2013079603A patent/JP2014201412A/ja active Pending
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WO2017033322A1 (ja) * | 2015-08-27 | 2017-03-02 | 三菱電機株式会社 | エレベータ装置 |
JPWO2017033322A1 (ja) * | 2015-08-27 | 2017-12-28 | 三菱電機株式会社 | エレベータ装置 |
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