JP2014200704A - 海水中でのマンガンスケール形成阻害剤およびマンガンスケールの障害防止方法 - Google Patents

海水中でのマンガンスケール形成阻害剤およびマンガンスケールの障害防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高濃度の溶解マンガンを含有する海水を冷却水として使用する装置における、マンガンスケールの付着およびその付着したスケールの剥離に起因する装置の構成材料の異常潰食などの障害防止に有用な海水中でのマンガンスケール形成阻害剤およびそれを用いるマンガンスケールの障害防止方法を提供することを課題とする。【解決手段】過酸化水素または過酸化水素供給化合物を含むことを特徴とする海水中でのマンガンスケール形成阻害剤により、上記の課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、海水中でのマンガンスケール形成阻害剤およびそれを用いるマンガンスケールの障害防止方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、海水中に溶解するマンガンによるスケール形成を阻害するための薬剤およびそれを用いるマンガンスケールの障害防止方法に関する。
本発明は、高濃度の溶解マンガンを含有する海水を冷却水として使用する装置、特にアルミニウム黄銅管からなる熱交換器における障害、具体的には、マンガンスケールの付着およびその付着したスケールの剥離に起因するアルミニウム黄銅管の異常潰食などの障害防止に有用である。
高濃度(例えば、20〜100μg/リットル)の溶解マンガンを含有する海水(富マンガン海水)を冷却水として使用する、熱交換器などを構成するアルミニウム黄銅管では、その細管内に富マンガン付着物(マンガンスケール)が形成されて伝熱効率の低下や復水効率の低下を惹き起し、また、硬くかつ脆いマンガンスケールが剥離して細管内の表面に線(溝)状や連点状の孔食(異常潰食)を発生させることが知られている(藤井哲、川邊允志編著、「復水器−理論と実際−」、初版、株式会社愛智出版、2001年12月10日、p.85:非特許文献1参照)。
そして、海生生物付着抑制などのために海水を塩素処理する条件下で、マンガンスケールが付着形成されたときに異常潰食が発生することから、マンガンスケールの形成メカニズムは、例えば、水中のMn2+が塩素処理によってMnO2へと酸化されて管内に付着したものとする説がある。また、マンガン酸化細菌によるものであるとの説がある(川邊允志、外3名編著、「復水器工学ハンドブック」、初版、株式会社愛智出版、1994年3月30日、p.107:非特許文献2参照)。
そのメカニズムがいずれであったとしても、アルミニウム黄銅管の孔食や異常潰食を防止するためには、海水中に鉄イオンを注入して水酸化鉄の防食皮膜を形成することが不可欠であると考えられていた(非特許文献1、p.90-93参照)。
また、特開2009−63239号公報(特許文献1)には、熱交換器の伝導管内の冷却水を、マンガン酸化細菌が死滅可能な最低温度×時間に加熱維持する殺菌処理を、マンガン酸化細菌の酸化能回復期間経過毎に行う熱交換器のスケール対策法が記載されている。
特開2009−63239号公報
藤井哲、川邊允志編著、「復水器−理論と実際−」、初版、株式会社愛智出版、2001年12月10日、p.85、90-93 川邊允志、外3名編著、「復水器工学ハンドブック」、初版、株式会社愛智出版、1994年3月30日、p.107
非特許文献1では、マンガンスケールの防止対策として、海水への鉄イオンの注入が有効であるとされているが、水産用水基準(社団法人 日本水産資源保護協会 2005年版)では、海生生物の生息環境として維持することが望ましい海域の鉄濃度の基準値を0.2mg/リットルとしている。また、近年、海水の着色などの影響が懸念され、海水冷却水などへの鉄注入が忌避される傾向が強まっている(非特許文献1、p.85参照)。
また、特許文献1のスケール対策法は、海生生物付着抑制などのために海水を塩素処理する条件下では、一般細菌と同様にマンガン酸化細菌も殺菌されるため、加熱による殺菌処理は意味をなさないものと考えられる。さらに、この対策法では、一過性の海水冷却水を加熱することになり、エネルギー損失の問題も懸念される。
そこで、本発明は、高濃度の溶解マンガンを含有する海水を冷却水として使用する装置における、マンガンスケールの付着およびその付着したスケールの剥離に起因する装置の構成材料の異常潰食などの障害防止に有用な海水中でのマンガンスケール形成阻害剤およびそれを用いるマンガンスケールの障害防止方法を提供することを課題とする。
発明者らは、上記課題を解決するために、アルミニウム黄銅管を並列に連結した試験装置に高濃度の溶解マンガンを含有する海水を通水し各種薬剤を添加して、マンガンスケールの発生と抑制ならびに異常潰食の防止の観点から、アルミニウム黄銅管内の表面の挙動を観察した結果、特定濃度の過酸化水素を特定時間添加することにより、マンガンスケールの付着が防止され、その結果、鉄イオンを供給しなくともアルミニウム黄銅管内の異常潰食が防止できる事実を見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、そのメカニズムは明らかではないが、一般細菌が殺菌されない程度の低濃度の過酸化水素を海水に添加することにより、海水中の溶解マンガン濃度がそのスケールを発生しない濃度にまで低下するか、あるいは溶解マンガンがそのスケールを形成しない状態に変化するものと考えられ、このような知見は意外な事実である。
また、海生生物の付着抑制に用いられる次亜塩素酸ナトリウムは、過酸化水素に比較して酸化力が弱いものの酸化剤であり、次亜塩素酸ナトリウムの添加による残留塩素がマンガンスケールの付着を防止できず、さらに異常潰食を惹起することからみても、本発明の知見は意外な事実である。
さらに、本発明者らは、海水生物の付着抑制に、次亜塩素酸ナトリウムのような塩素系酸化剤を添加した、溶解マンガンを含有する海水であっても、特定濃度の過酸化水素を特定時間添加することにより、マンガンスケールの付着が防止され、その結果、鉄イオンを供給しなくともアルミニウム黄銅管内の異常潰食が防止できる事実も確認している。
かくして、本発明によれば、過酸化水素または過酸化水素供給化合物を含むことを特徴とする海水中でのマンガンスケール形成阻害剤が提供される。
また、本発明によれば、溶解マンガンを含有する海水を冷却水として使用する水系において、前記海水に上記の海水中でのマンガンスケール形成阻害剤を添加して、前記水系の装置内で発生するマンガンスケールの付着に起因する障害を防止することを特徴とするマンガンスケールの障害防止方法が提供される。
本発明によれば、高濃度の溶解マンガンを含有する海水を冷却水として使用する装置における、マンガンスケールの付着およびその付着したスケールの剥離に起因する装置の構成材料の異常潰食などの障害防止に有用な海水中でのマンガンスケール形成阻害剤およびそれを用いるマンガンスケールの障害防止方法を提供することができる。
本発明のマンガンスケールの障害防止方法は、水系の装置がアルミニウム黄銅管からなる熱交換器である場合、海水が20〜100μg/リットルの濃度で溶解マンガンを含有する海水であり、上記の海水中でのマンガンスケール形成阻害剤が過酸化水素として0.1〜2.0mg/リットルの濃度になるように1日12〜24時間添加される場合に、上記の効果がさらに発揮される。
また、本発明のマンガンスケールの障害防止方法は、海水は、海生生物の付着を抑制するための塩素系酸化剤が残留塩素として0.1〜0.3mg/リットルの濃度になるように所定時間添加された海水である場合でも、上記の効果が発揮される。
(海水中でのマンガンスケール形成阻害剤)
本発明の海水中でのマンガンスケール形成阻害剤は、過酸化水素または過酸化水素供給化合物を含むことを特徴とする。
本発明において、マンガンスケールとは、スケール全体の重量に対してマンガン(MnO2)を5重量%以上含有するものをいう。このマンガンスケールは、溶解マンガンとして20μg/リットル以上の濃度で含有する海水を冷却水として使用する場合に、熱交換器(復水器管)のアルミニウム黄銅管の細管に付着成長する蓋然性が高い。
海水中の溶解マンガンの濃度は、海域や気象条件などによりバラツキがある。溶解マンガンの高濃度化の原因は、地殻活動の活発化などにより海底のマンガンが巻き上げられること、海水汚染などの還元性雰囲気下における不溶性酸化マンガン(MnO2)が還元溶出されることなどが考えられる。
本発明の海水中でのマンガンスケール形成阻害剤における有効成分の過酸化水素または過酸化水素供給化合物としては、工業用として市販されている濃度3〜60%の過酸化水素水溶液や水中で過酸化水素を放出し得る化合物が挙げられる。
また、水中で過酸化水素を放出し得る化合物としては、過炭酸などのような無機過酸、過酢酸のような有機過酸、またはこれらの塩類が挙げられる。
これらの過酸化水素または過酸化水素供給化合物は、用時、例えば、海水冷却水の流路となるアルミニウム黄銅管の海水に供給する際に、海水や淡水で適宜希釈してもよい。
また、過酸化水素として、当該水系または別水系において電気化学分解により発生させた過酸化水素を用いることもできる。
(マンガンスケールの障害防止方法)
本発明のマンガンスケールの障害防止方法は、溶解マンガンを含有する海水を冷却水として使用する水系において、本発明の海水中でのマンガンスケール形成阻害剤を添加して、水系の装置内で発生するマンガンスケールの付着に起因する障害を防止することを特徴とする。
すなわち、本発明の海水中でのマンガンスケール形成阻害剤を海水に添加することにより、海水中の溶解マンガン濃度が低下し、マンガンスケールの付着が発生せず、それによる障害を防止できるものと考えられる。
溶解マンガンを含有する海水を冷却水として使用する水系の装置としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム黄銅管、キュプロニッケル(白銅)管、チタン管、ステンレススチール管などからなる熱交換器や復水器などが挙げられる。
本発明のマンガンスケールの障害防止方法は、水系の装置がアルミニウム黄銅管からなる熱交換器である場合に、特にその優れた効果を発揮する。
本発明のマンガンスケールの障害防止方法では、海水が20〜100μg/リットルの濃度で溶解マンガンを含有する海水であり、本発明の海水中でのマンガンスケール形成阻害剤が過酸化水素として0.1〜2.0mg/リットルの濃度になるように1日12〜24時間添加されるのが好ましい。
海水中の溶解マンガンの濃度が20μg/リットル未満では、マンガンスケールの発生が起こり難いので、本発明の海水中でのマンガンスケール形成阻害剤を添加しなくてもよい場合がある。
一方、海水中の溶解マンガンの濃度が100μg/リットルを超えても、本発明の海水中でのマンガンスケール形成阻害剤における添加濃度や添加量を高くまたは増量することで対応できるが、通常、海水中の溶解マンガンの濃度における上限は100μg/リットル程度である。
過酸化水素の濃度が0.1mg/リットル未満または1日当たりの添加時間が12時間未満では、本発明の効果が十分に発揮されないことがある。
一方、過酸化水素の濃度が2.0mg/リットルを超えるまたは1日当たりの添加時間が24時間を超えると、本発明の効果が十分に得られるものの、薬剤の供給過多になることがあり好ましくない。
しかしながら、過酸化水素の濃度や添加時間は、使用場面により適宜設定することができる。実際の現場における過酸化水素の濃度と添加時間は、試験例で用いているようなアルミニウム黄銅管の試験装置を用いて、決定することができる。
また、アルミニウム黄銅管カラムの腐食電位や分極抵抗値をモニタリングすることにより、過酸化水素の濃度や添加時間をコントロールすることもできる。
本発明のマンガンスケールの障害防止方法では、海生生物の付着を抑制するための塩素系酸化剤が残留塩素として0.1〜0.3mg/リットルの濃度になるように添加された海水であっても、本発明の効果が発揮される。
本発明の方法は、鉄イオンの添加(注入)なしにマンガンスケール付着に起因する異常潰食の発生などの障害を防止できるという効果を有するが、本発明の効果を阻害しない範囲で鉄イオンや他の公知の添加剤を添加してもよい。
本発明を以下の試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
(試験例1)
蒸留水1リットルに「ダイゴ人工海水SP」(日本製薬株式会社製)36gを撹拌下に加えて人工海水を調製した。得られた人工海水700mlに50%塩化マンガン(MnCl2・4H2O)をMnとして1mg/リットル(1000μg/リットル)になるように添加し、供試海水とした。
次いで、得られた供試海水に、それぞれ酸化剤として過酸化水素および次亜塩素酸ナトリウムを表1に示す濃度になるように添加し、25℃で1時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、得られたろ液の溶解マンガン濃度を、IPC発光分光分析法(JIS K0102「工場排水試験方法」56.マンガン(Mn)、56.4 IPC発光分光分析法)に準拠して、IPC発光分光分析装置(セイコーインスツル株式会社(現 株式会社日立ハイテクサイエンス)製、型式:SPS5100)を用いて測定した。
なお、次亜塩素酸ナトリウムの添加量は、残留塩素濃度を意味する。
酸化剤を添加しない場合(ブランク)についても同様に試験し、この酸化剤無添加のブランク試験における溶解マンガン濃度の測定値に対する、上記の酸化剤添加の試験における溶解マンガン濃度の測定値の割合を百分率で算出した。
ブランク試験の測定値に対する割合が100%とは、マンガンが析出していないことを意味し、その割合が低くなるほどマンガンが析出していることを示す。
得られた結果を、添加した酸化剤およびその添加量と共に表1に示す。
表1の結果、すなわち酸化剤の添加前後の溶解マンガン濃度の変化を見る限りにおいて、次亜塩素酸ナトリウムの添加ではマンガンの析出が促進される傾向があり、過酸化水素の添加ではそのような傾向がないこと、すなわちマンガンの析出が抑制されていることがわかる。
(試験例2)
大阪湾内の臨海コンビナートの海水冷却水系を保有する某社内に、同水系の現場の海水を一過式に通水するモデル水路を設けて試験を行った。
具体的には、アルミニウム黄銅管(JIS H3300−1981「銅及び銅合金の継目無管」復水器用黄銅継目無管 C6871、内径16mm×長さ100mm)の新管を、内面状況調査用に予め流れ方向に二分割し、これらの供試管を二分割前の状態でビニールホース内に挿入したモデル水路を複数作製した。
次いで、1つのモデル水路を1つの試験区として、複数のモデル水路を並列に接続し、水深1〜2mの位置から取水した海水(溶解マンガンとして20〜100μg/リットル含有)を約1m3/時間(平均流速約1.4m/秒)で60日間通水し、定量ポンプを用いて、表2に示す薬剤添加条件で過酸化水素および塩素系酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウムを添加した。
なお、海生生物の付着抑制に用いられる塩素系酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウムなどは、通常、一定の残留塩素濃度を維持しながら間欠的または連続的に添加されるため、本発明の有効成分である過酸化水素とは、添加時期が重複する場合と重複しない場合が考えられる。そこで、表2の薬剤添加条件の項目「両者の共存」には、添加時期が重複する場合、すなわち過酸化水素と次亜塩素酸ナトリウムとの添加(注入)を同時に開始し、それぞれの所定時間添加する場合を「共存」、重複しない場合、すなわち過酸化水素を所定時間添加し終えた後で、次亜塩素酸ナトリウムの添加を開始し、所定時間添加する場合を「非共存」と記載する。
このようにして各試験区に海水の通水と薬剤の添加を60日間継続し、その後、モデル水路のビニールホースからアルミニウム黄銅管を取り出し、水洗してスライムなどを除去した。
一片の供試管を乾燥させた後、通水面状況(色呈)を目視で観察し、線状孔食の長さ(mm)および最大深さ(mm)を、それぞれノギス(コーナン商事株式会社製、型式:EKM−02−0066)およびポイントマイクロメータ(株式会社ミツトヨ製、型式:CPM15−25MJ)を用いて測定した。
線状孔食とは、供試管内面に流れ方向と平行に生じた線状の孔食をいい、観察された線状孔食の最大長さを、次の基準で区分した。
−:線状孔食が観察されない
±:<10mmの線状孔食
+:<30mmの線状孔食
++:<50mmの線状孔食
+++:≧50mmの線状孔食
また、アルミニウム黄銅管の内面の付着物を掻き取り、掻き取った内面付着物を、X線回折装置(株式会社リガク製、型式:Multiflex)および蛍光X線分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社(現:株式会社日立ハイテクサイエンス)製、型式:SEA2110)を測定・分析し、内面付着物中にマンガンが含まれ、かつその酸の形態が二酸化マンガンであることを確認した。
もう一片の供試管を温度110℃で1時間乾燥させた後、JIS K0100「工業用水腐食性試験方法」の酸洗浄法に準拠して、室温条件下、約10%硫酸で約5分間浸漬し、ナイロンブラシを用いて腐蝕生成物を除去し、酸洗前後の重量差から内面付着物量(mg/cm2)を求め、さらに、525℃(3時間)で灰化させた残留重量も勘案し、内面付着物に占めるMnO2の割合(重量%)を求めた。
薬剤を添加しない場合(ブランク)についても同様に試験した。
得られた結果を、薬剤添加条件と共に表2および3に示す。
表2および3の結果から、次のことがわかる。
(1)薬剤無添加の場合には、マンガンスケールの付着と線状孔食が認められること(ブランク参照)
(2)次亜塩素酸ナトリウムの単独添加では、マンガンスケールおよびスケールに占める酸化マンガン(MnO2)の割合がブランクに比較して顕著に増加し、線状孔食も顕著であること(比較例1〜5参照)
(3)過酸化水素を0.1〜2.0mg/リットルの濃度になるように1日12時間〜24時間添加することにより、マンガンスケールの付着が防止され、線状孔食が認められないこと(実施例1〜22参照)
(4)過酸化水素を0.1mg/リットルの濃度になるよう1日10時間添加した場合では、僅かであるがやや酸化マンガンの含有割合が高いスケールと僅かであるが線状孔食が認められること(実施例23〜25参照)
(5)次亜塩素酸ナトリウムを添加した場合であっても、過酸化水素を0.1〜2.0mg/リットルの濃度になるように1日12時間〜24時間添加併用することにより、マンガンスケール付着が顕著に防止され線状孔食が認められないこと(実施例1〜16参照)
過酸化水素の濃度が0.1mg/リットル未満または1日当たりの添加時間が12時間未満では、本発明の効果が十分に発揮されないことがある。
一方、過酸化水素の濃度が2.0mg/リットルを超えると、本発明の効果が十分に得られるものの、薬剤の供給過多になることがあり好ましくない。
しかしながら、過酸化水素の濃度や添加時間は、使用場面により適宜設定することができる。実際の現場における過酸化水素の濃度と添加時間は、試験例で用いているようなアルミニウム黄銅管の試験装置を用いて、決定することができる。
また、アルミニウム黄銅管カラムの腐食電位や分極抵抗値をモニタリングすることにより、過酸化水素の濃度や添加時間をコントロールすることもできる。

Claims (5)

  1. 過酸化水素または過酸化水素供給化合物を含むことを特徴とする海水中でのマンガンスケール形成阻害剤。
  2. 溶解マンガンを含有する海水を冷却水として使用する水系において、前記海水に請求項1に記載の海水中でのマンガンスケール形成阻害剤を添加して、前記水系の装置内で発生するマンガンスケールの付着に起因する障害を防止することを特徴とするマンガンスケールの障害防止方法。
  3. 前記水系の装置が、アルミニウム黄銅管からなる熱交換器である請求項2に記載のマンガンスケールの障害防止方法。
  4. 前記海水が20〜100μg/リットルの濃度で溶解マンガンを含有する海水であり、前記海水中でのマンガンスケール形成阻害剤が過酸化水素として0.1〜2.0mg/リットルの濃度になるように1日12〜24時間添加される請求項2または3に記載のマンガンスケールの障害防止方法。
  5. 前記海水は、海生生物の付着を抑制するための塩素系酸化剤が残留塩素として0.1〜0.3mg/リットルの濃度になるように添加された海水である請求項2〜4のいずれか1つに記載のマンガンスケールの障害防止方法。
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