JP6134921B1 - 海水系の銅合金配管の防食方法および防食剤 - Google Patents

海水系の銅合金配管の防食方法および防食剤 Download PDF

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Abstract

【課題】海水系の熱交換器や復水器に用いられるアルミニウム黄銅管等の銅合金配管の防食方法および防食剤の提供。【解決手段】海水系の銅合金配管に送液される海水に、銅合金配管において防食に有効な濃度と時間となるように式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩及び式(II)で表されるN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方を添加することを含む銅合金配管の防食方法。式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩及び式(II)で表されるN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方を有効成分として含有することを含む海水系の銅合金配管の防食剤。【選択図】なし

Description

本開示は、海水系の銅合金配管の防食方法および防食剤に関する。
我が国において、冷却や加温を目的として海水が用いられる熱交換器や復水器にはアルミニウム黄銅管が標準材料として使用されている。アルミニウム黄銅管の優れた耐食性は、主として鉄イオン注入によりその表面に形成される水酸化鉄皮膜によるものであることが明らかになり、鉄イオン注入による防食法が一般に適用されるようになった。しかし、鉄注入による防食技術は、下記の点から必ずしも万全な対策となりえないことがわかってきた(非特許文献1)。すなわち、環境保全の面から制約を受ける場合がある(例えば、海水の着色などの影響が懸念され海水冷却水などへの鉄注入が忌避される傾向が強まっている)。水質によっては十分にその効果を発揮できない場合もありえる。皮膜が形成される以前に汚染海水に触れると比較的短期間に腐食を生ずるなどである。また、硫化物イオンやアンモニアを含む汚染海水では銅合金の腐食が10〜100倍に増加する場合があることが報告されている(非特許文献2)。
本出願人は、海水流路となる水系における海生生物の付着防止方法として、過酸化水素の添加濃度の低減を目的として、過酸化水素と鉄イオンとを連続的に併用添加する海生生物の付着防止方法を提案した(特許文献1および2)。これらの発明は、過酸化水素と鉄イオンとの相乗効果が顕著に発揮され、過酸化水素濃度を低減できるという効果を有する。しかし、鉄イオンを注入しているにもかかわらず、アルミニウム黄銅管内面に水酸化鉄の防食皮膜が形成されておらず腐食、特に孔食が発生する事実を確認した。鉄イオンによる防食皮膜形成を過酸化水素が阻害しているものと考えられた。そこで、過酸化水素を間欠的に添加し、鉄イオンを連続添加することでアルミニウム黄銅管の防食効果が発揮されることを見出し、アルミニウム黄銅管の障害防止方法を提案した(特許文献3)。しかし、前述のように、環境面からの制約や水質によってはその効果を充分に発揮できない場合もあった。
一方、本出願人は、この発明で使用される第4級アンモニウム塩と過酸化水素との併用に係る海生付着生物、特に、カサネカンザシの付着防止方法やスライムの付着防止方法を提案した(特許文献4および5)。カサネカンザシの付着による障害は、過酸化水素と第4級アンモニウム塩の同時注入や単独の高濃度の注入では防止できなかった。そこで、試行錯誤のうえ、過酸化水素を添加した後に第4級アンモニウム塩を添加することによりカサネカンザシの付着による障害が防止できることを見出し、特許出願に到った。
特公平2−47277号公報 特公平4−4038号公報 特許第3398572号公報 特許第2685351号公報 特許第3446867号公報
「復水器−理論と実際−」、愛智出版(2001年)、66頁下から2行〜67頁6行 「腐食・防食ハンドブック」、腐食防食協会編集(2000年)、176頁左欄26〜28行
しかしながら、特許文献4および5には、銅合金を含む海水系での実施形態の記載はなく、そもそも銅合金での腐食・孔食は依然として解決されていない。
そこで、海水系の熱交換器や復水器に用いられるアルミニウム黄銅管等の銅合金配管の防食方法および防食剤を提供する。
本開示は、一態様において、海水系の銅合金配管に送液される海水に、銅合金配管において防食に有効な濃度および時間となるように特定の脂肪族第4級アンモニウム塩および特定のN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方を添加することを含む、銅合金配管の防食方法、ならびに脂肪族第4級アンモニウム塩および特定のN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方を有効成分として含有することを含む、海水系の銅合金配管の防食剤に関する。
本開示の防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、鉄イオンの注入の有無にかかわらず、海水による銅合金製の配管の腐食を抑制できるという効果を奏しうる。
海水冷却水が硫化物イオンを含有する場合、銅合金配管に激しい腐食が発生することが知られている。本開示の防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、冷却水に使用する海水が、例えば0.003mg/リットル以上の硫化物イオンを含む汚染海水であっても、銅合金に対して防食効果が十分に発揮されるという効果を奏しうる。さらには、一又は複数の実施形態において、冷却水に使用する海水が0.1〜0.2mg/リットルの硫化物イオンを含む汚染海水であっても、銅合金に対して防食効果が十分に発揮されるという効果を奏しうる。
海水系の海生生物の付着は、流速が遅いほど発生しやすくなることが周知である。一方、本発明者らの実験によると、内径が10〜30mmの銅合金配管における海水の流量と当該配管の断面積から計算した海水冷却水の流速が1.0〜3.0m/sである場合、銅合金配管の内面の海生生物の付着が阻害されることを確認している。本開示の防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、海水冷却水の流速が1.0〜3.0m/sであっても、銅合金に対する防食効果を十分に発揮できるという効果を奏しうる。
本発明の発明者らの調査によれば、鉄を含む金属の防食剤として炭酸第4級アンモニウムが提案されているが(特開2010-106364号公報参照)、銅を含む金属の防食剤として第4級アンモニウム塩は提案されていない。その理由は、第4級アンモニウム塩が銅表面に化学吸着しにくいため、防食に有効ではないという技術常識が存在していたためと考えられる。
吸着皮膜形成腐食抑制剤のシクロヘキシルアミンは、鉄やニッケルに対しては防食効果を示すが、銅に対しては有効ではないとされている。シクロヘキシルアミンの金属面への化学吸着のメカニズムは、以下のように考えられている。まず、シクロヘキシルアミンは水中でシクロヘキシルアンモニウムイオンとなり、金属カソード面では中性分子となる。この中性分子のN原子にある孤立電子対が金属の空のd軌道と結ばれる形で化学吸着し、物理吸着より強固な皮膜を金属面に形成するのである。したがって、鉄やニッケルは空のd軌道を有しているため強固な皮膜を金属面に形成できるが、銅の場合は空のd軌道がないため化学吸着による強固な皮膜が形成し難い(昭和61年11月28日付で日刊工業新聞社から発行された書籍「防食技術便覧」660頁4行〜20行参照)。
そして、第4級アンモニウム塩も水中では第4級アンモニウムイオンとなるため、シクロヘキシルアミンと同様に銅に対しては化学吸着による強固な皮膜が形成し難いと考えられているのである。また、N−モノ置換アルキレンジアミンも第4級アンモニウム塩と同様にアンモニウムイオンとなるため、銅に対して化学吸着による強固な皮膜が形成し難いと考えられる。
本開示は、上述の予想に反し、海水に特定の脂肪族第4級アンモニウム塩および特定のN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方を添加すると、意外にも、アルミニウム黄銅管の腐食や孔食が抑制され、その結果、鉄イオンを供給しなくともアルミニウム黄銅管内の腐食や孔食が防止できる、という知見に基づく。但し、本開示は、鉄イオンを供給する実施形態を含んでいてもよい。
[海水系の配管]
本開示において「海水系の配管」とは、一又は複数の実施形態において、海水を冷却もしくは加温を目的として利用する復水器又は熱交換器における配管および/または細管をいう。該復水器又は熱交換器は、一又は複数の実施形態において、海水を使用する発電所、製鉄所、石油化学プラント、船舶の復水器もしくは熱交換器、または液体ガスの気化器もしくは熱交換器である。よって、「海水系の配管」とは、一又は複数の実施形態において、海水が通水される配管である。
[銅合金配管]
本開示において「銅合金配管」は、一又は複数の実施形態において、銅合金が使用される配管および/または銅合金製の配管をいう。本開示において「銅合金」は、一又は複数の実施形態において、JIS H3300−2012記載のC4430、C6870、C6871、C6872等のアドミラティ黄銅やアルミニウム黄銅、C7060、C7100、C7150、C7164等の復水器用白銅やキュプロニッケルなどが例示されるが、これに限定されない。
[脂肪族第4級アンモニウム塩]
本開示にかかる防食方法および防食剤に使用される脂肪族第4級アンモニウム塩は、銅合金配管の腐食・孔食抑制効果の点で、一又は複数の実施形態において下記一般式(I)で表されるものである。
Figure 0006134921
式(I)において、Rは炭素数10〜20の飽和または不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基であり、R1およびR3は低級アルキル基、R2はRと同じかまたは低級アルキル基であり、XはCl、Br、I、メチルサルフェート、エチルサルフェートまたはパラトルエンスルホネートである。
一般式(I)において、炭素数10〜20の飽和または不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基としては、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル等の直鎖状飽和脂肪族炭化水素基;デセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、エイコセニル等の直鎖状不飽和脂肪族炭化水素基、牛脂アルキル基、硬化牛脂アルキル基、ヤシアルキル基等の天然物由来の飽和もしくは不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基が挙げられる。
「牛脂アルキル基」、「硬化牛脂アルキル基」は主に炭素数16〜18、「ヤシアルキル基」は主に炭素数12〜16の範囲の飽和または不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基を意味する。この「牛脂アルキル基」、「硬化牛脂アルキル基」または「ヤシアルキル基」を有する化合物は、公知の手段により牛脂またはヤシ油もしくはヤシ脂肪から製造される混合脂肪族第4級アンモニウム塩である。
一般式(I)において、低級アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが挙げられる。
本開示にかかる防食方法および防食剤に用いることができる一般式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩としては、一又は複数の実施形態において、デシルトリメチルアンモニウム塩、ドデシルトリエチルアンモニウム塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム塩、テトラデシルトリエチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリエチルアンモニウム塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム塩、オクタデシルトリエチルアンモニウム塩、ヤシアルキルトリメチルアンモニウム塩、ヤシアルキルトリエチルアンモニウム塩、牛脂アルキルトリメチルアンモニウム塩、牛脂アルキルトリエチルアンモニウム塩;ジデシルジメチルアンモニウム塩、ジドデシルジメチルアンモニウム塩、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩、ジヤシアルキルジメチルアンモニウム塩、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウム塩が挙げられる。
銅合金配管の腐食・孔食抑制効果の点から好ましい脂肪族第4級アンモニウム塩としては、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム・パラトルエンスルホネート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム・メチルサルフェートおよびオクタデシルトリメチルアンモニウム・メチルサルフェート、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムパラトルエンスルホネート、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム・メチルサルフェート、ジオクタデシルジメチルアンモニウム・メチルサルフェートなどが挙げられる。
これらの中でも、銅合金配管の腐食・孔食抑制効果の点で、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム・メチルサルフェート、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライドがより好ましい。
[脂肪族第4級アンモニウム塩の添加方法]
本開示にかかる防食方法および防食剤に用いることができる一般式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩は、水に溶解させた水製剤、エチルアルコールやイソプロピルアルコールなどの親水性有機溶媒と水に溶解させた水性製剤として用いるのが作業性、輸送性、取扱性、経済性および効果の点で好ましい。なお、脂肪族第4級アンモニウム塩としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム・パラトルエンスルホネート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム・メチルサルフェートおよびオクタデシルトリメチルアンモニウム・メチルサルフェートを用いる場合は、これらの脂肪族第4級アンモニウム塩が水難溶性であるので、海水に添加する際には水性製剤として用いるのが作業性、輸送性、取扱性および効果の点で好ましい。この水性製剤としては、特許第5621119号公報に記載の水性製剤を用いるのが好ましい。
海水への脂肪族第4級アンモニウム塩の添加は、銅合金配管の防食に有効な濃度および時間となるように添加する。添加濃度および添加時間は、水温、流速、海水の汚れの状態にもよるが、当業者であれば下記の条件を参照して適宜設定できる。
脂肪族第4級アンモニウム塩の添加濃度は、一又は複数の実施形態において、銅合金配管における海水中の脂肪族第4級アンモニウム塩の濃度を参照して適宜調節されうる。銅合金配管における海水中の脂肪族第4級アンモニウム塩の濃度としては、銅合金配管の腐食・孔食抑制効果の点から0.0001〜2mg/リットルが好ましく、より好ましくは0.005〜1mg/リットル、さらに好ましくは0.01〜0.1mg/リットル、さらにより好ましくは0.014〜0.075mg/リットルである。
脂肪族第4級アンモニウム塩の添加時間は、添加濃度と反比例する傾向があるが、上記の添加濃度範囲であれば、1日あたり、銅合金配管の腐食・孔食抑制効果の点から9時間以上であり、10時間以上が好ましく、12時間以上とするのがより好ましい。そして、脂肪族第4級アンモニウム塩の添加時間は、1日24時間あたり、24時間以下、21時間以下、または18時間以下が挙げられる。添加は、連続添加でもよく、間欠添加でもよい。
脂肪族第4級アンモニウム塩の添加場所は、特に制限されず、一又は複数の実施形態において、取水した海水がポンプ等によって銅合金配管に送液される前の任意の場所が挙げられる。
[N−モノ置換アルキレンジアミン]
本開示にかかる防食方法および防食剤に使用されるN−モノ置換アルキレンジアミンは、銅合金配管の腐食・孔食抑制効果の点で、一又は複数の実施形態において下記一般式(II)で表されるものである。
R−NH−(CH2nNH2 (II)
式(II)において、Rは炭素数10〜20の飽和または不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基である。炭素数10〜20の飽和または不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基としては、式(I)と同様のものが挙げられる。
式(II)において、nは、1、2、3又は4である。
本開示にかかる防食方法および防食剤に用いることができるN−モノ置換アルキレンジアミンとしては、一又は複数の実施形態において、N−ヤシアルキルエチレンジアミン、N−牛脂アルキルエチレンジアミン、N−硬化牛脂アルキルエチレンジアミンなどのN−モノ置換エチレンジアミン;N−ヤシアルキルプロピレンジアミン、N−牛脂アルキルプロピレンジアミン、N−硬化牛脂アルキルプロピレンジアミンなどのN−モノ置換プロピレンジアミン;N−ヤシアルキルブチレンジアミン、N−牛脂アルキルブチレンジアミン、N−硬化牛脂アルキルブチレンジアミンなどのN−モノ置換トリメチレンジアミンが挙げられる。
N−モノ置換アルキレンジアミンは、一又は複数の実施形態において、それらの酸付加塩であってもよい。その酸としては、塩酸、臭化水素酸などの無機酸;蟻酸、酢酸、乳酸、メタクリル酸、アミノ酸などの有機酸が挙げられる。アミノ酸としては、例えば、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸などが挙げられる。これらの中でも、銅合金配管の防食の点で、N−牛脂アルキルプロピレンジアミン酢酸塩が好ましい。
[N−モノ置換アルキレンジアミンの添加方法]
本開示にかかる防食方法および防食剤に用いることができる一般式(II)で表されるN−モノ置換アルキレンジアミンは、水に溶解させた水製剤、エチルアルコールやイソプロピルアルコールなどの親水性有機溶媒と水に溶解させた水性製剤として用いるのが作業性、輸送性、取扱性、経済性および効果の点で好ましい。
海水へのN−モノ置換アルキレンジアミンの添加は、銅合金配管の防食に有効な濃度および時間となるように添加する。添加濃度および添加時間は、水温、流速、海水の汚れの状態にもよるが、当業者であれば下記の条件を参照して適宜設定できる。
N−モノ置換アルキレンジアミンの添加濃度は、一又は複数の実施形態において、銅合金配管における海水中のN−モノ置換アルキレンジアミンの濃度を参照して適宜調節されうる。銅合金配管における海水中のN−モノ置換アルキレンジアミンの濃度としては、銅合金配管の腐食・孔食抑制効果の点から0.0001〜2mg/リットルが好ましく、より好ましくは0.005〜1mg/リットル、さらに好ましくは0.01〜0.1mg/リットル、さらにより好ましくは0.014〜0.075mg/リットルである。
N−モノ置換アルキレンジアミンの添加時間は、添加濃度と反比例する傾向があるが、上記の添加濃度範囲であれば、1日あたり、銅合金配管の腐食・孔食抑制効果の点から9時間以上であり、10時間以上が好ましく、12時間以上とするのがより好ましい。そして、N−モノ置換アルキレンジアミンの添加時間は、1日24時間あたり、24時間以下、21時間以下、または18時間以下が挙げられる。添加は、連続添加でもよく、間欠添加でもよい。
N−モノ置換アルキレンジアミンの添加場所は、特に制限されず、一又は複数の実施形態において、取水した海水がポンプ等によって銅合金配管に送液される前の任意の場所が挙げられる。
本開示にかかる防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、前記一般式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩および前記一般式(II)で表されるN−モノ置換アルキレンジアミンを単独で使用してもよいし、併用してもよい。
併用した場合、一又は複数の実施形態において、同配管における海水中の脂肪族第4級アンモニウム塩およびN−モノ置換アルキレンジアミンの合計の濃度が、銅合金配管の腐食・孔食抑制効果の点から0.0001〜2mg/リットルとなるように添加することが好ましく、より好ましくは0.005〜1mg/リットル、さらに好ましくは0.01〜0.1mg/リットル、さらにより好ましくは0.014〜0.075mg/リットルである。添加時間は、添加濃度と反比例する傾向があるが、上記の濃度範囲であれば、脂肪族第4級アンモニウム塩およびN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方が添加されている時間が、1日あたり、銅合金配管の腐食・孔食抑制効果の点から9時間以上であり、10時間以上が好ましく、12時間以上とするのがより好ましい。そして添加時間は、1日24時間あたり、24時間以下、21時間以下、または18時間以下が挙げられる。添加は、連続添加でもよく、間欠添加でもよい。
本開示にかかる防食方法は、一又は複数の実施形態において、防食対象となる銅合金配管の直前、内部および直後の少なくとも一か所で、一般式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩および一般式(II)で表されるN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方の濃度を測定することを含んでいてもよい。また、本開示にかかる防食方法は、一又は複数の実施形態において、防食対象となる銅合金配管を含む復水器又は熱交換器の直前、内部および直後の少なくとも一か所で、一般式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩および一般式(II)で表されるN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方の濃度を測定することを含んでいてもよい。
本開示にかかる防食方法および防食剤は、海水による銅合金配管の腐食・孔食を抑制できる。また、本開示にかかる防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、硫化物イオンを含有するような汚染された海水であっても、該海水による銅合金配管の腐食・孔食を抑制できる。本開示の防食方法および防食剤において処理対象となる海水は、一又は複数の実施形態において、硫化物イオンを含有していてもよい。海水における硫化物イオンの濃度は、特に限定されるものではなく、一又は複数の実施形態において、0.003mg/リットル以上、0.03mg/リットル以上若しくは0.1mg/リットル以上であり、または2mg/リットル以下である。
本開示にかかる防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、銅合金配管における海水冷却水の流速が、海生生物の付着が阻害されるといわれている流速であっても、海水による銅合金配管の腐食・孔食を抑制できる。前記流速としては、一又は複数の実施形態において、1.0m/s以上、1.1m/s以上、1.2m/s以上、1.3m/s以上若しくは1.4m/s以上、または3.0m/s以下が挙げられる。本開示に係る防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、上記の流速となるように熱交換器又は復水器に海水が送液されるプラント等において有効に使用することができる。銅合金配管における海水冷却水の流速は、銅合金配管における海水冷却水の流量と当該配管の断面積とから算出することができる。
本開示にかかる防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、鉄イオンの添加無しに海水による銅合金配管の腐食・孔食を抑制できる。但し、本開示は、海水に鉄イオンを添加する実施形態を含んでいてもよい。また、本開示にかかる防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、鉄イオンが注入される又はされた海水であっても、鉄イオンとの拮抗作用を生ずることなく海水による銅合金配管の腐食・孔食を抑制できる。
本開示にかかる防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、過酸化水素、ならびに、二酸化塩素、次亜塩素酸や次亜臭素酸等の残留ハロゲンと拮抗作用を生じることなく、過酸化水素、ならびに、二酸化塩素、次亜塩素酸や次亜臭素酸等の残留ハロゲンの添加の有無に関わらず、海水による銅合金配管の腐食・孔食を抑制できる。
本開示にかかる防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、本開示の効果が著しく阻害されない範囲で、脂肪族第1〜3級アミンを併用してもよい。脂肪族第1〜3級アミンとしては、拮抗作用を生じることなく、海生生物付着防止剤として海水冷却水系に添加できるものが挙げられる。脂肪族第1〜3級アミンとしては、一又は複数の実施形態において、
ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、牛脂アルキルアミン、ヤシアルキルアミン、β−ヒドロキシヘキサデシルアミン、β−ヒドロキシオクタデシルアミンなどの第1級アミン;
ジドデシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジ牛脂アルキルアミン、ジヤシアルキルアミン、ドデシルメチルアミン、ヘキサデシルメチルアミン、ヘキサデシルブチルアミン、ジ(β−ヒドロキシヘキサデシル)アミン、ジ(β−ヒドロキシオクタデシル)アミンなどの第2級アミン;
ドデシルジメチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、ヤシアルキルジメチルアミン、牛脂アルキルジメチルアミン、硬化牛脂アルキルジメチルアミン、β−ヒドロキシドデシルジメチルアミン、β−ヒドロキシドデシルジエチルアミン、β−ヒドロキシヘキサデシルジメチルアミン、β−ヒドロキシヘキサデシルジエチルアミン、β−ヒドロキシオクタデシルジメチルアミン、β−ヒドロキシオクタデシルジエチルアミンなどの第3級アミンが挙げられる。
本開示にかかる防食方法および防食剤は、一又は複数の実施形態において、一般式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩および一般式(II)で表されるN−モノ置換アルキレンジアミンに替えて、脂肪族第3級アミンを使用してもよい。よって、本開示は、その他の態様として、海水系の銅合金配管の防食方法であって、前記配管に送液される海水に銅合金配管の防食に有効な濃度および時間となるように脂肪族第3級アミンを添加することを含む防食方法に関する。また、本開示は、さらにその他の態様として、脂肪族第3級アミンを有効成分として含有することを含む海水系の銅合金配管の防食剤に関する。本態様における脂肪族第3級アミンの添加濃度および添加時間等は、上記脂肪族第4級アンモニウム塩および上記N−モノ置換アルキレンジアミン等に基づき設定できる。
本開示は、以下の、一又は複数の実施形態に関しうる;
[1] 海水系の銅合金配管の防食方法であって、
前記配管に送液される海水に、銅合金配管において防食に有効な濃度および時間となるように、一般式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩および一般式(II)で表されるN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方を添加することを含む、防食方法。
[2] 前記銅合金配管における海水中の脂肪族第4級アンモニウム塩の濃度が0.0001〜2mg/リットルとなるように1日あたり9時間〜24時間添加する、[1]に記載の防食方法。
[3] 前記銅合金配管における海水中のN−モノ置換アルキレンジアミンの濃度が0.0001〜2mg/リットルとなるように1日あたり9時間〜24時間添加する、[1]又は[2]に記載の防食方法。
[4] 銅合金が、アルミニウム黄銅、キュプロニッケル、アドミラティ黄銅又はそれらの組み合わせである、[1]から[3]のいずれかに記載の防食方法。
[5] 前記海水が、硫化物イオンを0.0003〜0.2mg/リットル含有する、[1]から[4]のいずれかに記載の防食方法。
[6] 一般式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩および一般式(II)で表されるN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方を有効成分として含有することを含む、海水系の銅合金配管の防食剤。
[7] 銅合金が、アルミニウム黄銅、キュプロニッケル、アドミラティ黄銅又はそれらの組み合わせである、[6]に記載の防食剤。
この本開示を実施例により具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例により限定されるものではない。
[試験例1]
瀬戸内海に面した某所に水路試験装置を設け、各薬剤添加による銅合金製細管の防食効果確認試験を行った。
(水路試験装置)
水中ポンプを用いて揚水した海水を11系統に分岐させた水路に、各水路の流量が1.0m3/hになるように設定した。
各水路内には、銅合金製細管の防食効果確認用にアルミニウム黄銅製チューブ(内径16.6mm×長さ100mm×厚さ1.2mm、表面積5212.4mm2、流速128.4cm/s)を挿入した。なお、当該チューブの流速は、水路の海水流量とアルミニウム黄銅製チューブの断面積から計算した値である。
(通水条件)
上記水路試験装置に、海水を、50日間、一過式に通水した。各水路には表1に示す脂肪族第4級アンモニウム塩またはN−モノ置換アルキレンジアミンを各濃度(mg/L)、各添加時間になるように添加した(実施例11〜18、参考例11)。また、表1に示す脂肪族第4級アンモニウム塩および脂肪族第3級アミンを各濃度(mg/L)、各添加時間になるように添加した(実施例19)。なお、ブランクは薬剤無添加での試験とした。
(薬剤の添加方法)
脂肪族第4級アンモニウム塩、N−モノ置換アルキレンジアミンおよび第3級アミンは適宜純水で希釈することで海水に添加する薬剤濃度に調整し、防食効果確認用のアルミニウム黄銅製チューブの手前から定量ポンプを用いて添加した。
(防食効果の確認)
試験前に予めチューブの乾燥重量W0(g)を測定した。試験後には水路から取り外したチューブを10%硫酸に5分間浸漬し、酸洗した後の乾燥重量W1(g)を測定した。
そして次式によりチューブの減肉重量W2(g)を算出した。
チューブの減肉重量W2=W0−W1
さらにブランクのチューブの減肉重量(W2ブランク)を100%とした場合の、各試験区のチューブの減肉重量(W2各試験区)の割合(%)を次式によって算出し、防食効果を確認した。得られた結果を、各添加薬剤およびそれらの濃度、添加時間と共に表1に示す。
各試験区のチューブのブランクに対する減量の割合(%)=W2各試験区/W2ブランク×100
Figure 0006134921
表1に示すとおり、実施例11〜18ではブランクに対する減量の割合が減少しており、脂肪族第4級アンモニウム塩およびN−モノ置換アルキレンジアミンがいずれも銅合金に対して防食作用を示していることがわかる。また参考例11に示すように1日あたりの添加時間が8時間では防食効果が実施例11〜18よりも劣ることがわかる。また実施例19では脂肪族第4級アンモニウム塩と脂肪族第3級アミンとを併用したが、脂肪族第4級アンモニウム塩単独かつ添加濃度および添加時間が同程度の実施例12および14よりもブランクに対する減量の割合が減少した。脂肪族第3級アミンが脂肪族第4級アンモニウム塩の銅合金に対する防食効果を阻害していないこと、および脂肪族第3級アミンも銅合金に対する防食効果を有していることがわかる。なお、実施例11〜19、参考例11およびブランクのいずれにおいても、試験終了後の銅合金製細管の内面には海生生物の付着は認められなかった。
牛脂アルキルジメチルアミンを0.2mg/Lになるように24h/dayで添加した以外は、上記と同様の条件で銅合金製細管の防食効果確認試験を行った。その結果、ブランクに対する減量の割合は65%であった。この結果からも、脂肪族第3級アミンも銅合金に対する防食効果を有していることがわかる。
[試験例2]
太平洋に面した某所に、試験例1と同様の水路試験装置(但し、分岐は8系統)を設け、各薬剤添加による銅合金製細管の防食効果確認試験を行った。
(通水条件)
上記水路試験装置に、海水を、3日間、一過式に通水した。各水路には表2に示すように脂肪族第4級アンモニウム塩、Fe2+、過酸化水素を各濃度(mg/L)、各添加時間になるように添加した(実施例21〜25、比較例21〜22)。なお、ブランクは薬剤無添加での試験とした。また、Fe2+の濃度は、Fe2+換算の値である。
(薬剤の添加方法)
脂肪族第4級アンモニウム塩は適宜純水で希釈することで海水に添加する薬剤濃度に調整し、防食効果確認用のアルミニウム黄銅製チューブの手前から定量ポンプを用いて添加した。Fe2+は硫酸第一鉄7水和物を希硫酸で適宜溶解、希釈することで海水に添加する薬剤濃度に調整し、防食効果確認用チューブの手前から定量ポンプを用いて添加した。なお脂肪族第4級アンモニウム塩、Fe2+、過酸化水素の添加箇所は全て同じとした。
(防食効果の確認)
試験例1と同様に実施した。得られた結果を、各添加薬剤およびそれらの濃度、添加時間と共に表2に示す。
Figure 0006134921
表2に示すとおり、実施例21〜25ではブランクに対する減量の割合が減少しており、脂肪族第4級アンモニウム塩に一般に汎用されるFe2+による防食方法(比較例21)と同等の銅合金に対する防食効果があることがわかる。また実施例23から1日当たりの添加時間が12時間以上であれば防食効果が示されることもわかる。さらに比較例22からFe2+は酸化剤(過酸化水素)と併用すると防食効果が失われることがわかるが、実施例25から脂肪族第4級アンモニウム塩は酸化剤(過酸化水素)と併用しても一定の防食効果を保つことがわかる。
[試験例3]
瀬戸内海に面した某所に、試験例1と同様の水路試験装置(但し、分岐は2系統)を設け、各薬剤添加による銅合金製細管の防食効果確認試験を行った。
(通水条件)
上記水路試験装置に、海水を、30日間、一過式に通水した。各水路には、銅合金の腐食の要因となる硫化物イオンを0.1mg/Lとなるように添加した。さらに各水路には表3に示すように脂肪族第4級アンモニウム塩0.0725mg/Lで連続添加した(実施例31)。なお、ブランクは薬剤無添加での試験とした。
(薬剤の添加方法)
硫化物イオンは硫化ナトリウム9水和物を純水に適宜溶解、希釈することで海水に添加する濃度に調整し、脂肪族第4級アンモニウム塩の添加箇所より上流に設置した添加箇所から定量ポンプを用いて添加した。脂肪族第4級アンモニウム塩は適宜純水で希釈することで海水に添加する薬剤濃度に調整し、防食効果確認用チューブの手前から定量ポンプを用いて添加した。
(防食効果の確認)
試験例1と同様に実施した。得られた結果を、各添加薬剤およびそれらの濃度、添加時間と共に表3に示す。
Figure 0006134921
表3に示すとおり、実施例31ではブランクに対する減量の割合が減少しており、硫化物イオンを含む汚染海水でも脂肪族第4級アンモニウム塩が銅合金に対して防食作用を示していることがわかる。
[試験例4]
通水期間を70日間とし、表4に示すように各薬剤を添加した以外は、試験例2と同様に銅合金製細管の防食効果確認試験を行った。その結果を下記表4に示す。
Figure 0006134921
表4に示すとおり、実施例41〜51ではブランクに対する減量の割合が減少しており、いずれの場合においても銅合金に対する防食効果があることがわかる。また実施例43、44、50から1日当たりの添加時間が12時間以上であれば十分な防食効果が示されることもわかる。さらに実施例51に示すように、脂肪族第4級アンモニウム塩をFe2+および酸化剤(過酸化水素)と併用しても一定の防食効果を保つことがわかる。

Claims (7)

  1. 海水系の銅合金配管の防食方法であって、
    前記銅合金配管における海水の流速が1.0m/s以上3.0m/s以下であり、
    前記配管に送液される海水に、銅合金配管において防食に有効な濃度および時間となるように、一般式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩および一般式(II)で表されるN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方を添加することを含む、防食方法。
    Figure 0006134921
    (式(I)において、Rは炭素数10〜20の飽和または不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基であり、R1およびR3炭素数1〜4のアルキル基、R2はRと同じかまたは炭素数1〜4のアルキル基であり、XはCl、Br、I、メチルサルフェート、エチルサルフェートまたはパラトルエンスルホネートである。)
    R−NH−(CH2nNH2 (II)
    (式(II)において、Rは炭素数10〜20の飽和または不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基であり、nは1〜4の整数である。)
  2. 前記銅合金配管における海水中の脂肪族第4級アンモニウム塩の濃度が0.0001〜2mg/リットルとなるように1日あたり9時間〜24時間添加する、請求項1に記載の防食方法。
  3. 前記銅合金配管における海水中のN−モノ置換アルキレンジアミンの濃度が0.0001〜2mg/リットルとなるように1日あたり9時間〜24時間添加する、請求項1又は2に記載の防食方法。
  4. 銅合金が、アルミニウム黄銅、キュプロニッケル、アドミラティ黄銅又はそれらの組み合わせである、請求項1から3のいずれかに記載の防食方法。
  5. 前記海水が、硫化物イオンを0.003〜0.2mg/リットル含有する、請求項1から4のいずれかに記載の防食方法。
  6. 一般式(I)で表される脂肪族第4級アンモニウム塩および一般式(II)で表されるN−モノ置換アルキレンジアミンの少なくとも一方を有効成分として含有することを含む、請求項1から5のいずれかに記載の防食方法に使用するための、海水系の銅合金配管防食剤。
    Figure 0006134921
    (式(I)において、Rは炭素数10〜20の飽和または不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基であり、R1およびR3炭素数1〜4のアルキル基、R2はRと同じかまたは炭素数1〜4のアルキル基であり、XはCl、Br、I、メチルサルフェート、エチルサルフェートまたはパラトルエンスルホネートである。)
    R−NH−(CH2nNH2 (II)
    (式(II)において、Rは炭素数10〜20の飽和または不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基であり、nは1〜4の整数である。)
  7. 銅合金が、アルミニウム黄銅、キュプロニッケル、アドミラティ黄銅又はそれらの組み合わせである、請求項6に記載の防食剤。

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