JP3446867B2 - 海水冷却水系のスライム付着防止方法 - Google Patents
海水冷却水系のスライム付着防止方法Info
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Description
おいて障害となるスライムの付着を防止する方法に関す
る。更に詳しくは、この発明は、海水を冷却水として使
用する海水冷却水系統の配管、特に熱交換器の金属細管
内において、熱伝導阻害を惹起する、主に微生物に由来
するスライムの付着を顕著に防止する方法に関する。
水のスライムによる障害が多発し、種々の弊害をもたら
している。例えば、石油化学工場、化学工場等の各種工
場や火力・原子力発電所などでは、熱交換器、復水器、
排水系統などの冷却に多量の工業用水が必要となり、工
業用水道水の他に、海水、湖沼水、河川水及び地下水が
主に使用されている。これら工業用水中の微生物が用水
設備の壁や配管等に吸着し、粘着物質を多量に分泌しス
ライム層を形成する。更にこのスライム層内で微生物が
繁殖し、微生物被膜を形成する。これらスライム層や微
生物被膜は、冷却時の熱交換率を低下させ、また剥離し
たスライムによりストレーナの閉塞させるなどの弊害を
もたらしている。
化水素の添加によるスライム付着防止方法が提案され、
多用されている。この方法は、過酸化水素が分解して酸
素ガスと水とになるので環境面で好ましい。しかし、海
水を一過式で使用する海水冷却水系においては、使用す
る海水量の増大に伴い、当然添加する過酸化水素の使用
量が増えるため、経済的な面からその使用量の削減が望
まれている。一方、過酸化水素に耐性とみられる菌の出
現により、より大量の過酸化水素を添加しても意図する
効果が発揮できない場合が生じている。
級アンモニウム塩(n−アルキル−ジメチルベンジルア
ンモニウムクロライド)と過酸化水素とを同時添加する
ことからなる水及び水系の殺菌及び藻類撲滅法が提案さ
れている。
冷却水系における上流側の前部注入点に予め第四級アン
モニウム塩を好気性菌類の殺菌濃度0.005〜0.1
mg/リットル未満で添加し、該冷却水系に第四級アン
モニウム塩を分散させ、次いで第四級アンモニウム塩が
分散している冷却水系における下流側の後部注入点に過
酸化水素濃度が0.01〜0.5mg/リットル未満に
なるように過酸化水素剤を添加して、該冷却水系におけ
るスライムの付着を防止することを特徴とする海水冷却
水系のスライム付着防止方法が提供される。
ば、海水冷却水系に予め第四級アンモニウム塩を好気性
菌類の殺菌濃度で添加し、次いで該冷却水系の過酸化水
素濃度が0.01〜0.5mg/リットルになるように
過酸化水素剤を添加して、該冷却水系におけるスライム
の付着を防止することを特徴とする海水冷却水系のスラ
イム付着防止方法が提供される。
し、次いで過酸化水素剤を添加する」とは、予め海水冷
却水を第四級アンモニウム塩で処理し、処理した海水冷
却水に過酸化水素剤を添加することを意味する。例え
ば、海水を一過式で使用する海水冷却水系の場合、該冷
却水系の上流側で予め所定濃度の第四級アンモニウム塩
を添加し、添加した第四級アンモニウム塩が水系の流動
或いは物理的な手段により分散された下流側で、所定濃
度になるように過酸化水素剤を添加すればよい。
剤を同時添加した場合、或いは過酸化水素剤を先に添加
した場合では、本発明で意図する効果が得られず、上記
のごとき処理が必須である。そして、本発明の方法で
は、好気性菌類の殺菌濃度の第四級アンモニウム塩で処
理した海水冷却水に、過酸化水素剤を添加することによ
り、意外にも過酸化水素の添加量が従来の添加量より飛
躍的に少量で十分な効果を奏することも見出している。
四級アンモニウム塩は、例えば、一般式(I):
もよい炭素数8〜28の飽和又は不飽和の直鎖状脂肪族
炭化水素基、R1 は低級アルキル基、又はβ位にヒドロ
キシ基を有してもよい炭素数8〜28の飽和又は不飽和
の直鎖状脂肪族炭化水素基、R 2 及びR3 は同一又は異
なって低級アルキル基、Xは酸残基又は水酸基)、又は
一般式(II):
R4 は水素原子又はメチル基)で表される。
の飽和又は不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素基」として
は、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシ
ル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサ
デシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イ
コシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコ
シル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オ
クタコシル等の直鎖状飽和炭化水素基;
ケニル、ドデケニル、トリデケニル、テトラデケニル、
ペンタデケニル、ヘキサデケニル、ヘプタデケニル、オ
クタデケニル(オレイル=9-cis-オクタデケニル)、ノ
ナデケニル、イコセニル、ヘニコセニル、ドコセニル、
トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、ヘキ
サコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル、オクタ
デカジエニル(リノレイル= 9,12-オクタデカジエニ
ル)等;
ウンデカジニル、ドデカジニル、トリデカジニル、テト
ラデカジニル、ペンタデカジニル、ヘキサデカジニル、
ヘプタデカジニル、オクタデカジニル、ノナデカジニ
ル、イコサジニル、ヘニコサジニル、ドコサジニル、ト
リコサジニル、テトラコサジニル、ペンタコサジニル、
ヘキサコサジニル、ヘプタコサジニル、オクタコサジニ
ル等の直鎖状不飽和炭化水素基;ヤシアルキル、牛脂ア
ルキル、硬化牛脂アルキル、大豆アルキル等が挙げられ
る。
化牛脂アルキル、大豆アルキルとは、ヤシ油もしくはヤ
シ脂肪、牛脂又は大豆油から公知の手段により製造され
た高級脂肪族モノもしくはポリアミンを構成するアルキ
ル基である。なお、これらのアルキル基は、炭素数8〜
28の間の任意の値を有する直鎖状の飽和又は不飽和の
脂肪族炭化水素基を複数種含んでいてもよい。
数8〜28の飽和又は不飽和の直鎖状脂肪族炭化水素
基」としては、前記「炭素数8〜28の飽和又は不飽和
の直鎖状脂肪族炭化水素基」のβ位にヒドロキシ基を有
する基が挙げられ、中でもβ−ヒドロキシドデシル、β
−ヒドロキシヘキサデシルが好ましい。
としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、具体
的には、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、
n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、 tert-ブチルが挙
げられる。また、一般式(I)及び(II)のXとして
は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢
酸、オレイン酸、ナフテン酸、アジピン酸、乳酸、クエ
ン酸、安息香酸、サッカリン等の酸残基、及び水酸基挙
げられ、中でも塩酸又は臭化水素酸の残基が特に好まし
い。
(I)で表される第四級アンモニウム塩としては、ドデ
シルトリメチルアンモニウム塩、ドデシルトリエチルア
ンモニウム塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム
塩、テトラデシルトリエチルアンモニウム塩、ヘキサデ
シルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリエチ
ルアンモニウム塩、オクタデシルトリメチルアンモニウ
ム塩、オクタデシルトリエチルアンモニウム塩、ヤシア
ルキルトリメチルアンモニウム塩、ヤシアルキルトリエ
チルアンモニウム塩、牛脂アルキルトリメチルアンモニ
ウム塩、牛脂アルキルトリエチルアンモニウム塩;
シルジメチルアンモニウム塩、デシルテトラデシルジメ
チルアンモニウム塩、ジドデシルジメチルアンモニウム
塩、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩、ジオクタ
デシルジメチルアンモニウム塩、ジ牛脂アルキルジメチ
ルアンモニウム塩;β−ヒドロキシドデシルトリメチル
アンモニウム塩、β−ヒドロキシヘキサデシルトリメチ
ルアンモニウム塩、β−ヒドロキシドデシルトリエチル
アンモニウム塩、β−ヒドロキシヘキサデシルトリエチ
ルアンモニウム塩が挙げられる。
式(II)で表される第四級アンモニウム塩としては、ド
デシルピリジニウム塩、ヘキサデシルピリジニウム塩、
オクタデシルピリジニウム塩、ヤシアルキルピリジニウ
ム塩、牛脂アルキルピリジニウム塩等が挙げられる。こ
れらの第四級アンモニウム塩は2種以上を混合してもよ
い。
タデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサト
リメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメ
チルアンモニウムクロライド、ドデシルトリエチルアン
モニウムブロマイド、ヘキサデシルピリジニウムブロマ
イドは、好気性菌類、特に放線菌を選択的に殺菌するの
で好ましい。
剤としては、工業用として市販されている濃度3〜60
%の過酸化水素溶液や水中で過酸化水素を放出し得る化
合物が挙げられる。水中で過酸化水素を放出し得る化合
物としては、過ホウ酸、過炭酸、ペルオキシ硫酸等の無
機過酸、過酢酸のような有機過酸もしくはこれらの塩類
が挙げられる。また、過酸化水素剤を海水冷却水系に添
加するにあたっては、海水や淡水で適宜希釈してもよ
い。また、冷却水系又は別水系で電気分解等で発生させ
た過酸化水素を用いることもできる。
が、まず最初に、過酸化水素を分解するカタラーゼ(酵
素)を多く含有し過酸化水素の殺菌効力を低下させる好
気性菌類の殺菌濃度の第四級アンモニウム塩を添加する
ことにより、過酸化水素単独では有効でない好気性菌
類、特に放線菌を低濃度の接触で選択的に殺菌するた
め、後で添加した過酸化水素のスライム付着防止効果が
顕著に発揮され、その結果、第四級アンモニウム塩と過
酸化水素剤の添加量の低減が図られるものと考えられ
る。特に過酸化水素剤の添加量は、通常使用量の1/3
〜1/10以下に低減される。
の殺菌濃度であり、例えば海水に対して0.005〜
0.2mg/リットル、好ましくは0.01〜0.1m
g/リットルである。第四級アンモニウム塩の添加量が
0.005mg/リットル未満では、好気性菌類、特に
放線菌を選択的に殺菌することができないため好ましく
なく、0.2mg/リットルより多い場合、経済的でな
く且つ海水が発泡するため好ましくない。また、第四級
アンモニウム塩は、前記濃度で1日8〜24時間掛けて
添加することが好ましい。
成する微生物の種類、海水の種類、汚染状態及び水系中
の有機物含量、水温等により異なり一義的には限定しえ
ないが、通常海水に対して0.01〜0.5mg/リッ
トル、好ましくは0.1〜0.5mg/リットルであ
る。過酸化水素濃度が0.01mg/リットル未満で
は、スライム付着防止効果が発揮されないため好ましく
なく、0.5mg/リットルより多い場合、経済的でな
く好ましくない。
ウム塩や過酸化水素剤は流動海水中で容易に分散する
が、迅速にかつ実質的に均一に分散させるためには、従
来の物理的手段を用いることができる。具体的には、海
水冷却水系中への拡散器、攪拌装置、邪魔板等の設置が
挙げられる。また、これらに該当する設備は海水冷却水
系に付設されているので、これを転用することができ
る。
類に由来するスライムの付着防止に特に好ましく用いる
ことができる。
細に説明するが、これによりこの発明の範囲を限定する
ものではない。
に、某製鉄所の岸壁の水深2mの所から水中ポンプで海
水を汲み上げ、図1に示すモデル水路に一過式に通水
し、前部注入点1及び後部注入点2より各薬剤を所定
量、所定順序で注入して(表1参照)、30日後にスラ
イムの形成状態及び付着量を調べた。図1のモデル水路
には、後部注入点2の下流側の塩化ビニル製パイプ3
(内径65mm×長さ20cm)中に、チタニウム製試
験板4(25mm角×厚さ0.5mm)を水流と平行に
設置し、更に下流側にチタニウム製管5(内径15mm
×長さ1m、肉厚0.5mm)を取り付けた。図中の矢
印は海水の流れ方向を示す。
内の平均流速は約0.1m/秒、チタニウム製管5内の
平均流速は約1.6m/秒であった。所定時間の通水終
了後、チタニウム製試験板4を回収し、2%グルタルア
ルデヒド含有濾過滅菌海水で固定して凍結乾燥処理し、
SEM観察を行った。また、チタニウム製管5の管内に
付着したスライムをブラシで掻き落とし、メスシリンダ
ーに入れ、24時間放置後のスライム湿体積を測定し
た。SEM観察及びスライム湿体積の測定結果を表1に
示す。
(通水量1万トン/時)において、塩素剤を用いる通常
運転時と、第四級アンモニウム塩と過酸化水素剤とを併
用した場合とのスライム付着を比較した。某製鉄所の復
水器の入口より海水を取り出し、チタニウム製管5(内
径15mm×長さ1m×肉厚0.5mm)に、管内の平
均流速が約1.6m/秒になるように通水した。そし
て、30日後にチタニウム製管5の管内に付着したスラ
イムをブラシで掻き落とし、メスシリンダーに入れて2
4時間放置後のスライム湿体積を測定した。なお、塩素
剤は次亜塩素酸ソーダを使用し、その注入濃度は工場の
放水口で残留塩素が検出されない量として、導水路の先
端より塩素換算で0.2ppmになるように注入した。
量ポンプで2種類の薬剤を注入する以外は、塩素剤を用
いた試験と同様にして試験を行った。なお、薬剤注入
は、海水導水路の先端より牛脂アルキルトリメチルアン
モニウムクロライドを0.05mg/リットルになるよ
うに10%水溶液を定量ポンプで連続的に注入した。ま
た、先端より2m下流側のバーススクリンの手前より、
35%過酸化水素溶液を1mg/リットルになるように
連続的に注入した。注入薬剤、注入条件及びスライム湿
体積の測定結果を表2に示す。
第四級アンモニウム塩を好気性菌類の殺菌濃度で添加
し、次いで該冷却水系の過酸化水素濃度が所定濃度にな
るように過酸化水素剤を添加するので、微量の第四級ア
ンモニウム塩と過酸化水素剤の添加で、該冷却水系の配
管に付着する強固なスライムの付着を防止することがで
きる。特に過酸化水素剤の添加量を、通常使用量の1/
3〜1/10以下に低減することができる。
めの試験装置(モデル水路)の概略図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 一過式の海水冷却水系における上流側の
前部注入点に予め第四級アンモニウム塩を好気性菌類の
殺菌濃度0.005〜0.1mg/リットル未満で添加
し、該冷却水系に第四級アンモニウム塩を分散させ、次
いで第四級アンモニウム塩が分散している冷却水系にお
ける下流側の後部注入点に過酸化水素濃度が0.01〜
0.5mg/リットル未満になるように過酸化水素剤を
添加して、該冷却水系におけるスライムの付着を防止す
ることを特徴とする海水冷却水系のスライム付着防止方
法。 - 【請求項2】 好気性菌類が、放線菌主体である請求項
1に記載のスライム付着防止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08960997A JP3446867B2 (ja) | 1997-04-08 | 1997-04-08 | 海水冷却水系のスライム付着防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH10277560A JPH10277560A (ja) | 1998-10-20 |
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Family
ID=13975502
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP08960997A Expired - Lifetime JP3446867B2 (ja) | 1997-04-08 | 1997-04-08 | 海水冷却水系のスライム付着防止方法 |
Country Status (1)
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JP6216996B1 (ja) * | 2016-05-30 | 2017-10-25 | 株式会社片山化学工業研究所 | 海水系の障害防止方法、障害防止剤および障害防止用キット |
JPWO2020022217A1 (ja) * | 2018-07-23 | 2021-08-05 | 株式会社片山化学工業研究所 | 海生生物等の付着防止方法、付着防止剤及び付着防止用キット |
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-
1997
- 1997-04-08 JP JP08960997A patent/JP3446867B2/ja not_active Expired - Lifetime
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