本発明について、以下に詳細に説明する。
〔多孔質樹脂粒子〕
本発明の樹脂粒子は、エチレン性不飽和基を2つ以上有する架橋性単量体に由来する構造単位と、エチレン性不飽和基を1つ有する単官能(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位とを含む架橋重合体からなる。本発明の多孔質樹脂粒子において、前記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量は、前記架橋重合体の全量に対して、18〜89重量%である。また、本発明の多孔質樹脂粒子の比表面積は0.4m2/g以上2.0m2/g未満であり、トルエンに対する溶出成分量は1〜10重量%であり、粒子径の変動係数は15%以下であり、体積平均粒子径は10〜100μmである。なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル」は、メタクリル又はアクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
本発明の多孔質樹脂粒子は、上記の通り、架橋重合体からなっており、この架橋重合体における前記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量が18〜89重量%と適度に高いため、トルエンに対する溶出成分量が1〜10重量%と低く、耐溶剤性に優れる。また、上記多孔質樹脂粒子は、体積平均粒子径10〜100μmに対して、0.4m2/g以上2.0m2/g未満の比表面積を有しており、例えば、光学シートに配合された場合において、その光学シートに高い輝度を付与することができる。
前記架橋性単量体としては、エチレン性不飽和基を2つ以上有する公知の単量体を挙げることができ、例えば、エチレンオキシドジアクリレート、エチレンオキシドジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラオキシドジアクリレート、テトラオキシドジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパンテトラメタクリレート等の架橋性(メタ)アクリル系単量体、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体等が挙げられる。これらの架橋性単量体の中でも、架橋性(メタ)アクリル系単量体は、上記単官能(メタ)アクリル系単量体と屈折率が近いものであるため、架橋性単量体として架橋性(メタ)アクリル系単量体を使用してなる多孔質樹脂粒子は、例えば、光学シートに配合された場合において、光拡散ロスが少なく、当該光学シートの輝度を確実に向上させることができる。なお、上記した架橋性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の多孔質樹脂粒子を構成する架橋重合体における前記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量は、前記架橋重合体の全量に対して、18〜89重量%であり、25〜70重量%であることが好ましい。前記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量が前記架橋重合体の全量に対して18重量%未満の多孔質樹脂粒子では、前記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量が少なすぎて、十分な耐溶剤性を確保できないおそれがある。一方、前記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量が前記架橋重合体の全量に対して89重量%を超える多孔質樹脂粒子は、光学シートに配合された場合において、当該光学シートに高い光拡散性を付与し得るが、当該光学シートの輝度の低下をもたらすおそれがある。
また、前記単官能(メタ)アクリル系単量体としては、エチレン性不飽和基を1つ有する公知の(メタ)アクリル系単量体を挙げることができ、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル等の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の分岐アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。これらの単官能(メタ)アクリル系単量体の中でも、直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、及びメタクリル酸エチルがより好ましい。上記した単官能(メタ)アクリル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、多孔質樹脂粒子が複数種の前記単官能(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位を含む場合、それら単官能(メタ)アクリル系単量体の屈折率差が少ない多孔質樹脂粒子ほど、光学シートの輝度を向上させる効果に優れる。
本発明の多孔質樹脂粒子を構成する架橋重合体における前記単官能(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位の含有量は、前記架橋重合体の全量に対して、11〜89重量%であることが好ましく、30〜75重量%であることがより好ましい。前記単官能(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位の含有量が前記架橋重合体の全量に対して11重量%未満の多孔質樹脂粒子は、多孔質樹脂粒子を構成する架橋重合体に占める架橋性単量体に由来する構造単位の含有量が多すぎるために、光学シートに配合された場合において、当該光学シートに高い光拡散性を付与する一方で、当該光学シートの輝度の低下をもたらすおそれがある。一方、前記単官能(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位の含有量が前記架橋重合体の全量に対して89重量%を超える多孔質樹脂粒子では、多孔質樹脂粒子を構成する架橋重合体に占める架橋性単量体に由来する構造単位の含有量が少なすぎるために、十分な耐溶剤性を確保できないおそれがある。
また、本発明の多孔質樹脂粒子を構成する架橋重合体は、前記単官能(メタ)アクリル系単量体以外のエチレン性不飽和基を1つ有する単官能単量体(以下、「他の単官能単量体」)に由来する構造単位を含むものであってもよい。
前記他の単官能単量体としては、前記単官能(メタ)アクリル系単量体以外のエチレン性不飽和基を1つ有する公知の単量体を挙げることができ、例えば、酢酸ビニル等のビニルエステル等を挙げることができる。
前記架橋重合体における前記他の単官能単量体に由来する構造単位の含有量(重量%)は、前記架橋重合体における前記単官能(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位の含有量(重量%)の1倍以下であることが好ましく、前記架橋重合体における前記(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位の含有量(重量%)の1/3倍以下であることがより好ましい。前記他の単官能単量体に由来する構造単位の含有量が前記単官能(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位の含有量(重量%)よりも多い多孔質樹脂粒子は、光学シートに配合された場合において、当該光学シートのヘイズを向上させる一方で、当該光学シートの輝度を低下させてしまうおそれがある。
なお、本発明の多孔質樹脂粒子(本発明の多孔質樹脂粒子を構成する架橋重合体)中に含まれる各単量体に由来する構造単位の同定および定量は、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴分光法(NMR)等のような公知の分析方法を用いることにより、確認することができる。なお、本発明の多孔質樹脂粒子(本発明の多孔質樹脂粒子を構成する架橋重合体)中における各単量体に由来する構造単位の含有量(重量%)は、本発明の多孔質樹脂粒子の製造時に使用した全単量体中における各単量体(単官能(メタ)アクリル系単量体、架橋性単量体、および他の単官能単量体)の含有量(重量%)と実質的に等しい。
本発明の多孔質樹脂粒子の比表面積は、0.4m2/g以上2.0m2/g未満であり、0.5m2/g以上1.7m2/g以下であることがより好ましい。比表面積が0.4m2/g未満の樹脂粒子は、表面に孔をほとんど有さない表面平滑の粒子あるため、光学シートに配合された場合において、当該光学シートに十分な光拡散性を付与することができないおそれがある。一方、比表面積が2.0m2/g以上の多孔質樹脂粒子は、光学シートに配合された場合において、当該光学シートに高い光拡散性を付与し得るが、その一方で、当該光学シートの輝度を低下させてしまうおそれがある。本明細書において、樹脂粒子の「比表面積」とは、単位重量あたりの表面積のことをいい、本発明では、BET法(N2)により得られる比表面積を意味し、例えば、後述する実施例の項に記載の測定方法で測定された比表面積を意味する。
本発明の多孔質樹脂粒子において、トルエンに対する溶出成分量は、1〜10重量%であり、2〜8重量%であることが好ましい。トルエンに対する溶出成分量が1%重量未満の多孔質樹脂粒子は、光学シートに配合された場合において、当該光学シートに高い光拡散性を付与する一方で、当該光学シートの輝度の低下をもたらすおそれがある。一方、トルエンに対する溶出成分量が10重量%を超える多孔質樹脂粒子は、十分な耐溶剤性を備えていないため、溶剤と混合してコーティング剤に配合した場合において、そのコーティング剤に良好な塗布性を付与することができず、また、前記コーティング剤中での再分散性に劣る。本明細書において、樹脂粒子の「トルエンに対する溶出成分量」は、樹脂粒子の重量に対する、前記樹脂粒子をトルエンと接触させた時に溶出する樹脂粒子成分の重量の比率(重量%)を意味し、例えば、後述する実施例の項に記載の測定方法により、測定されたトルエンに対する溶出成分量を意味する。
本発明の多孔質樹脂粒子の体積平均粒子径は、10〜100μmである。体積平均粒子径が10μm未満の多孔質樹脂粒子は、当該多孔質樹脂粒子を含有する光学シートに、十分な輝度を付与することができないおそれがある。一方、体積平均粒子径が100μmを超える多孔質樹脂粒子は、当該多孔質樹脂粒子を含むコーティング剤を基材に塗工して光学シートを構成した場合において、前記コーティング剤に多量のバインダー樹脂又は溶剤を配合することを要するためコスト面に問題がある他、前記光学シートから当該多孔質樹脂粒子が脱落するおそれがあるため、好ましくない。なお、本明細書において、「樹脂粒子の体積平均粒子径」とは、コールター法により測定された体積基準の粒度分布における算術平均径、例えば、後述する実施例の項に記載の測定方法で測定された体積平均粒子径を意味するものとする。
本発明の多孔質樹脂粒子の粒子径の変動係数は、15%以下であり、12%以下であることがより好ましい。多孔質樹脂粒子の粒子径の変動係数が15%を超える場合、多孔質樹脂粒子の輝度等の光学特性が不均一となる。
本発明の多孔質樹脂粒子は、光学用(例えば、照明カバー、光拡散板、又は光学シート等の光学部材用)として好適に使用することができる。
〔多孔質樹脂粒子の製造方法〕
本発明の多孔質樹脂粒子の製造方法は、分子量調整剤の存在下で、(メタ)アクリル系単量体を重合させることによって、(メタ)アクリル系重合体からなる種粒子を製造する種粒子製造工程と、前記種粒子製造工程の後に、(メタ)アクリル系単量体を前記種粒子に吸収させた後、吸収させた前記(メタ)アクリル系単量体を分子量調整剤の存在下で重合させることによって前記種粒子を肥大化させ、(メタ)アクリル系重合体からなる肥大化した種粒子を得る少なくとも1回の種粒子肥大化工程と、前記種粒子肥大化工程を少なくとも1回行って、重量平均分子量が10000〜150000で、体積平均粒子径が2.0〜20μmの前記肥大化した種粒子を得た後に、この種粒子に、エチレン性不飽和基を2つ以上有する架橋性単量体10〜90重量%とエチレン性不飽和基を1つ有する単官能(メタ)アクリル系単量体10〜90重量%とを含む単量体混合物を吸収させた後、吸収させた前記単量体混合物を重合させ、多孔質樹脂粒子を得る樹脂粒子製造工程とを含む方法である。
〔種粒子製造工程〕
上記種粒子製造工程では、(メタ)アクリル系単量体を重合させることによって、(メタ)アクリル系重合体からなる種粒子を製造する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル系単量体」は、エチレン性不飽和基を2つ以上有する架橋性(メタ)アクリル系単量体、及び/又は、エチレン性不飽和基を1つ有する単官能(メタ)アクリル系単量体を意味する。また、「(メタ)アクリル系重合体」は、架橋(メタ)アクリル系重合体又は非架橋(メタ)アクリル系重合体を意味する。
上記種粒子製造工程で使用され得る架橋性(メタ)アクリル系単量体及び単官能(メタ)アクリル系単量体の例、及び好ましい例は、それぞれ、〔多孔質樹脂粒子〕の項で説明した通りである。
上記種粒子製造工程では、(メタ)アクリル系単量体として、上記単官能(メタ)アクリル系単量体のみを使用して、非架橋(メタ)アクリル系重合体からなる種粒子を製造することが好ましい。これにより、種粒子肥大化工程において、種粒子に(メタ)アクリル系単量体を速やかに吸収させ易くなり、(メタ)アクリル系単量体が種粒子から離れた位置で(水性媒体中で)独自に重合して微小粒子を生成することを確実に抑制できる。その結果、単分散性がより向上した多孔質樹脂粒子を得ることができる。
また、上記種粒子製造工程では、(メタ)アクリル系単量体を分子量調整剤の存在下で重合させる。上記分子量調整剤の存在下で重合を行うことにより、種粒子の重量平均分子量を低く抑えることができる。これにより、種粒子肥大化工程において、種粒子に(メタ)アクリル系単量体を速やかに吸収させることができるので、(メタ)アクリル系単量体が種粒子から離れた位置で(水性媒体中で)独自に重合して微小粒子を生成することを抑制できる。その結果、単分散性の向上した多孔質樹脂粒子を得ることができる。
上記分子量調整剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン(1−オクタンチオール)、n−ドデシルメルカプタン(ラウリルメルカプタン)、tert−ドデシルメルカプタン、2−ヒドロキシエチルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン(ステアリルメルカプタン)、アルキレンジチオール、チオシアヌル酸等のメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマー等のスチレンダイマー類;γ−テルピネン、ジペンテン等のテルペン類;クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これら分子量調整剤のうち、メルカプタン類およびスチレンダイマー類が好ましく、メルカプタン類がより好ましい。これら分子量調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記分子量調整剤の使用量は、上記(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して、0.1〜1.3重量部の範囲内であることが好ましく、0.3〜1.0重量部の範囲内であることがより好ましい。
上記分子量調整剤の使用量が、上記(メタ)アクリル系単量体100重量に対して、0.1重量部未満であると、種粒子の重量平均分子量を十分に低く抑えることができないおそれがある。これにより、種粒子肥大化工程において、種粒子に上記(メタ)アクリル系単量体を十分に速やかに吸収させることができず、上記(メタ)アクリル系単量体が種粒子から離れた位置で(水性媒体中で)独自に重合して微小粒子を生成することを十分に抑制できないおそれがある。その結果、単分散性に優れた(例えば変動係数が15%以下である)多孔質樹脂粒子を得ることができないおそれがある。
一方、上記分子量調整剤の使用量が、上記(メタ)アクリル系単量体100重量に対して、1.3重量部を超えると、種粒子の重量平均分子量が小さくなりすぎるおそれがある。これにより、種粒子肥大化工程における、(メタ)アクリル系単量体を種粒子に吸収させる工程(膨潤工程)または(メタ)アクリル系単量体を重合させる工程(重合工程)において粒子の合一が発生するおそれがある。その結果、単分散性に優れた(例えば変動係数が15%以下である)多孔質樹脂粒子を得ることができないおそれがある。
上記(メタ)アクリル系単量体を重合させる方法としては、公知の重合方法、例えば、懸濁重合法、ソープフリー乳化重合法(界面活性剤を使用しない乳化重合法)、又は乳化重合法(界面活性剤を使用する乳化重合法)等を挙げることができる。これらの重合方法の中でも、良好な単分散性を有する種粒子が得られ易く、また、体積平均粒子径が0.25μm〜1.0μmの種粒子が得られ易いことから、ソープフリー乳化重合法が好ましい。
上記種粒子製造工程においては、通常、上記(メタ)アクリル系単量体を水性媒体中に分散させて重合する。上記水性媒体としては、特に限定されず、例えば、水、水と水溶性有機媒体(メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール(炭素数5以下のアルコール))との混合媒体が挙げられる。上記水性媒体の使用量は、種粒子の安定化を図るために、通常、上記(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して、300〜1000重量部の範囲内である。
上記(メタ)アクリル系単量体の重合温度は、30〜100℃の範囲内であることが好ましい。この重合温度を保持する時間は、0.1〜20時間の範囲内が好ましい。上記水性媒体中での重合により、種粒子が水性媒体中に分散した分散液が得られる。必要に応じて、この分散液を遠心分離して水性媒体を除去し、水および有機溶剤で洗浄した後、乾燥することにより、種粒子を単離してもよい。
上記(メタ)アクリル系単量体の重合においては、通常、上記(メタ)アクリル系単量体に重合開始剤を添加する。上記重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、tert−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオネート)等のアゾ類;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化塩類等が挙げられる。これら重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合開始剤の使用量は、上記(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲内であることが好ましく、0.01〜5重量部の範囲内であることがより好ましい。上記重合開始剤の使用量が、上記(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して0.01重量部未満である場合、重合開始剤が重合開始の機能を果たし難い。また、上記重合開始剤の使用量が、上記(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して10重量部を超える場合には、コスト的に不経済であるため、好ましくない。
種粒子製造工程で得られる種粒子は、体積平均粒子径が0.25μm〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。種粒子の体積平均粒子径が0.25μmより小さい場合、樹脂粒子製造工程に用いる所望の大きさの(肥大化された)種粒子にまで種粒子を肥大させるために、より多くの工程が必要となるため、好ましくない。種粒子の体積平均粒子径が1.0μmより大きい場合、ソープフリー乳化重合法により作製するのが困難となるため、好ましくない。なお、本明細書において、「種粒子の体積平均粒子径」とは、レーザー回折・散乱法により測定された体積基準の粒度分布における算術平均径、例えば実施例の項に記載の測定方法で測定された体積平均粒子径を意味するものとする。
種粒子製造工程で得られる種粒子は、重量平均分子量が5000〜300000の範囲内であることが好ましい。種粒子の重量平均分子量が5000より小さい場合、種粒子肥大化工程における、(メタ)アクリル系単量体を種粒子に吸収させる工程(膨潤工程)または(メタ)アクリル系単量体を重合させる工程(重合工程)において粒子の合一が発生し、最終的に得られる多孔質樹脂粒子の単分散性が低下するので、好ましくない。種粒子の重量平均分子量が300000より大きい場合、種粒子肥大化工程において、種粒子が(メタ)アクリル系単量体を速やかに吸収することができないので、好ましくない。
〔種粒子肥大化工程〕
上記種粒子肥大化工程は、上記種粒子製造工程の後に少なくとも1回行われる。上記種粒子肥大化工程を少なくとも1回行うことにより、粒子径が比較的大きい(例えば体積平均粒子径が10μm以上の)樹脂粒子を得ることが可能となる。上記種粒子製造工程の実行回数を増やすことで、得られる多孔質樹脂粒子の粒子径をより大きくすることができる。
上記種粒子肥大化工程では、(メタ)アクリル系単量体を上記種粒子に吸収させた後、吸収させた(メタ)アクリル系単量体を重合させることによって上記種粒子を肥大化させ、(メタ)アクリル系重合体からなる肥大化した種粒子を得る。
上記種粒子肥大化工程で使用され得る(メタ)アクリル系単量体(即ち、架橋性(メタ)アクリル系単量体、単官能(メタ)アクリル系単量体)の例及び好ましい例は、〔多孔質樹脂粒子〕の項で説明した通りである。
上記種粒子肥大化工程では、(メタ)アクリル系単量体として、上記単官能(メタ)アクリル系単量体のみを使用して、非架橋(メタ)アクリル系重合体からなる肥大化した種粒子を得ることが好ましい。これにより、樹脂粒子製造工程において、肥大化した種粒子に単量体混合物を速やかに吸収させ易くなり、単量体混合物が種粒子から離れた位置で(水性媒体中で)独自に重合して微小粒子を生成することを確実に抑制できる。その結果、単分散性がより向上した多孔質樹脂粒子を得ることができる。
上記種粒子肥大化工程において、上記種粒子の使用量は、(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して、0.1〜5.0重量部の範囲内であることが好ましい。上記種粒子の使用量が、(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して0.1重量部未満であると、種粒子に上記(メタ)アクリル系単量体が完全に吸収されず、上記(メタ)アクリル系単量体が種粒子から離れた位置で(水性媒体中で)独自に重合して微小粒子を生成することがあるので、肥大化された種粒子の単分散性が悪くなることがある。肥大化された種粒子の単分散性が悪くなると、最終的に得られる多孔質樹脂粒子の単分散性も悪くなる。一方、上記種粒子の使用量が、(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して5.0重量部を超えると、肥大化による粒子径の増大量が小さくなるので、所望の粒子径を持つ多孔質樹脂粒子を得るために必要な種粒子肥大化工程の実施回数が増え、生産効率が悪くなることがある。
上記種粒子肥大化工程では、通常、水性媒体中で、上記(メタ)アクリル系単量体を種粒子に吸収させ、上記(メタ)アクリル系単量体を重合させる。例えば、上記種粒子肥大化工程では、上記(メタ)アクリル系単量体が種粒子に吸収された油滴を水性媒体中に乳化状態で分散させた水性エマルジョン(乳化液)を作製し、上記(メタ)アクリル系単量体を重合させることが好ましい。上記水性エマルジョンは、例えば、上記(メタ)アクリル系単量体と水性媒体との混合液を、ホモジナイザー、超音波処理機、ナノマイザー等の微細乳化機により処理することで作製することができる。水性媒体に種粒子を添加した後で上記(メタ)アクリル系単量体を添加してもよく、上記(メタ)アクリル系単量体と水性媒体との混合液に種粒子を添加してもよい。また、種粒子製造工程で種粒子が水性媒体中に分散した分散液(スラリー)が得られた場合には、その分散液をそのまま種粒子肥大化工程に用いることができる。なお、使用可能な水性媒体の例および水性媒体の通常の使用量については、〔種粒子製造工程〕の項で述べたのと同様である。
上記種粒子への上記(メタ)アクリル系単量体の吸収は、通常、種粒子添加後の水性エマルジョンを、室温(約20℃)で1〜12時間攪拌することで行うことができる。また、水性エマルジョンを20〜40℃程度に加温することにより、上記種粒子への上記(メタ)アクリル系単量体の吸収を促進してもよい。
上記重合反応は、上記(メタ)アクリル系単量体が種粒子に完全に吸収された後に、昇温して行うのが好ましい。なお、上記種粒子による上記(メタ)アクリル系単量体の吸収の終了は、光学顕微鏡の観察で粒子径の拡大を確認することにより、判定できる。水性媒体中における上記(メタ)アクリル系単量体の重合は、上記(メタ)アクリル系単量体が球状滴として分散された水性エマルジョンを攪拌しながら行うことが好ましい。その攪拌は、例えば、球状滴の浮上や重合後の粒子の沈降を防止できる程度に緩く行えばよい。
種粒子肥大化工程では、種粒子に吸収させた(メタ)アクリル系単量体を、分子量調整剤の存在下で重合する。これにより、肥大化した種粒子の重量平均分子量を、10000〜150000に調整することができる。使用可能な分子量調整剤の例については、〔種粒子製造工程〕の項で述べたのと同様である。
種粒子肥大化工程における上記分子量調整剤の使用量は、(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して、0.1〜1.3重量部の範囲内であることが好ましい。上記分子量調整剤の使用量が、(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して、0.1重量部未満であると、肥大化した種粒子の重量平均分子量を150000以下に抑えることができないおそれがある。これにより、樹脂粒子製造工程において、肥大化した種粒子に単量体混合物を十分に速やかに吸収させることができず、単量体混合物が種粒子から離れた位置で(水性媒体中で)独自に重合して微小粒子を生成することを十分に抑制できないおそれがある。その結果、単分散性に優れた(例えば変動係数が15%以下である)多孔質樹脂粒子を得ることができないおそれがある。一方、上記分子量調整剤の使用量が、(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して、1.3重量部を超えると、肥大化による重量平均分子量の増大量が小さくなるので、重量平均分子量が10000を超える肥大化した種粒子を得るために必要な種粒子肥大化工程の実行回数が増え、生産効率が低くなるおそれがある。
上記(メタ)アクリル系単量体を重合させる方法としては、公知の重合方法、例えば、懸濁重合法、ソープフリー乳化重合法(界面活性剤を使用しない乳化重合法)、又は乳化重合法(界面活性剤を使用する乳化重合法)等を挙げることができる。これらの重合方法の中でも、良好な単分散性を有する種粒子が得られ易く、また、体積平均粒子径が2.0〜20μmの種粒子が得られ易いことから、乳化重合法が好ましい。
上記界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性イオン界面活性剤の何れも使用することができる。
上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩;等が挙げられる。
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレントリデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、アルキレン基の炭素数が3以上であるポリオキシアルキレントリデシルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
上記カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
上記両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイドや、リン酸エステル系又は亜リン酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。
これら界面活性剤のうち、アニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤の少なくとも一方を用いることが好ましい。これら界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合反応における界面活性剤の使用量は、上記(メタ)アクリル系単量体100重量に対して0.01〜5重量部の範囲内であることが好ましい。上記界面活性剤の使用量が上記(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して0.01重量部未満である場合には、重合安定性を保つことが難しいため、好ましくない。また、上記界面活性剤の使用量が上記(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して5重量部を超える場合、上記(メタ)アクリル系単量体が種粒子から離れた位置で(水性媒体中で)独自に重合して微小粒子を生成し、得られる多孔質樹脂粒子の単分散性が悪くなるので、好ましくない。
上記重合反応においては、必要に応じて、分散安定剤を用いることができる。上記分散安定剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子;第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機塩などが挙げられる。これら分散安定剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合反応においても、通常、上記(メタ)アクリル系単量体に重合開始剤を添加する。上記重合反応に使用可能な重合開始剤の例および重合開始剤の好ましい使用量は、〔種粒子製造工程〕の項で述べたのと同様である。ただし、反応液(乳化液)の界面活性剤濃度が臨界ミセル濃度以上である場合、上記重合開始剤として、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性重合開始剤を使用するのが好ましい。反応液(乳化液)の界面活性剤濃度が臨界ミセル濃度以上である場合、上記重合開始剤として過硫酸カリウム等の水溶性重合開始剤を使用すると、上記(メタ)アクリル系単量体が種粒子から離れた位置で(水性媒体中で)独自に重合して微小粒子を生成し、得られる多孔質樹脂粒子の単分散性が悪くなる恐れがあるので、好ましくない。
上記種粒子肥大化工程における重合温度およびその重合温度を保持する時間の好ましい範囲は、〔種粒子製造工程〕の項で述べたのと同様である。
本発明の多孔質樹脂粒子の製造工程では、上記種粒子肥大化工程を少なくとも1回行って、体積平均粒子径が2.0〜20μmの範囲内で、重量平均分子量が10000〜150000の肥大化した種粒子を得る。
上記の肥大化した種粒子の体積平均粒子径が2.0μm未満であると、樹脂粒子製造工程において、所望の大きさの多孔質樹脂粒子(例えば、10μm以上の多孔質樹脂粒子)を得るために、多量の単量体混合物を上記の肥大化した種粒子に吸収させる必要が生じる。これにより、樹脂粒子製造工程において、単量体混合物を上記の肥大化した種粒子に吸収させる工程(膨潤工程)、及び、単量体混合物を重合させる工程(重合工程)が長期化し、生産効率が悪くなるおそれがある。また、樹脂粒子製造工程において、上記の肥大化した種粒子に単量体混合物が完全に吸収されず、上記単量体混合物が種粒子から離れた位置で(水性媒体中で)独自に重合して微小粒子を生成するおそれがあり、その結果、単分散性に優れた(例えば変動係数が15%以下である)多孔質樹脂粒子を得ることができないおそれがある。
一方、上記の肥大化した種粒子の体積平均粒子径が20μmを超えると、樹脂粒子製造工程において、上記の肥大化した種粒子に単量体混合物を十分に速やかに吸収させることができず、単量体混合物が種粒子から離れた位置で(水性媒体中で)独自に重合して微小粒子を生成するおそれがあり、その結果、単分散性に優れた(例えば変動係数が15%以下である)多孔質樹脂粒子を得ることができないおそれがある。
また、上記の肥大化した種粒子の重量平均分子量が10000未満であると、樹脂粒子製造工程における、単量体混合物を肥大化した種粒子に吸収させる工程(膨潤工程)または単量体混合物を重合させる工程(重合工程)において粒子の合一が発生し、最終的に得られる多孔質樹脂粒子の単分散性が低下するおそれがある。種粒子の重量平均分子量が150000を超えると、樹脂粒子製造工程において、肥大化した種粒子に単量体混合物を十分に速やかに吸収させることができず、単量体混合物が種粒子から離れた位置で(水性媒体中で)独自に重合して微小粒子を生成することを十分に抑制できないおそれがある。その結果、単分散性に優れた(例えば変動係数が15%以下である)多孔質樹脂粒子を得ることができないおそれがある。
〔樹脂粒子製造工程〕
上記樹脂粒子製造工程では、上記種粒子肥大化工程を少なくとも1回行って得た上記の肥大化した種粒子(体積平均粒子径が2.0〜20μmで、重量平均分子量が10000〜150000の種粒子)に単量体混合物を吸収させた後、吸収させた前記単量体混合物を重合させて、多孔質樹脂粒子を製造する。
上記単量体混合物は、エチレン性不飽和基を2つ以上有する架橋性単量体と、エチレン性不飽和基を1つ有する単官能(メタ)アクリル系単量体とを含んでいる。
上記の架橋性単量体の例及び好ましい例は、〔多孔質樹脂粒子〕の項で説明した通りである。また、上記の単官能(メタ)アクリル系単量体の例及び好ましい例も、〔多孔質樹脂粒子〕の項で説明した通りである。
上記単量体混合物における、架橋性単量体の含有量は、10〜90重量%の範囲内であり、20〜75重量%の範囲内であることがより好ましい。上記単量体混合物における、架橋性単量体の含有量が10重量%未満であると、得られる多孔質樹脂粒子において、架橋度が低くなりすぎ、十分な耐溶剤性が備えられない(例えば、トルエンに対する溶出成分量を10重量%以下に抑えられない)おそれがある。一方、上記単量体混合物における、架橋性単量体の含有量が90重量%を超えると、得られる多孔質樹脂粒子が、光学シートに配合された場合において当該光学シートに高い光拡散性を付与し得るが、当該光学シートの輝度の低下をもたらすものとなるおそれがある。
上記単量体混合物における、単官能(メタ)アクリル系単量体の含有量は、10〜90重量%の範囲内であり、25〜80重量%の範囲内であることがより好ましい。上記単量体混合物における、単官能(メタ)アクリル系単量体の含有量が10重量%未満であると、単量体混合物における架橋性単量体の含有量が多くなり、得られる多孔質樹脂粒子が、光学シートに配合された場合において当該光学シートに高い光拡散性を付与し得るが、当該光学シートの輝度の低下をもたらすものとなるおそれがある。一方、上記単量体混合物における、単官能(メタ)アクリル系単量体の含有量が90重量%を超えると、単量体混合物における架橋性単量体の含有量が少なくなり、得られる多孔質樹脂粒子において、十分な耐溶剤性が備えられない(例えば、トルエンに対する溶出成分量を10重量%以下に抑えられない)おそれがある。
また、上記単量体混合物は、単官能(メタ)アクリル系単量体以外のエチレン性不飽和基を1つ有する他の単官能単量体を含んでいてもよい。上記の他の単官能単量体の例は、〔多孔質樹脂粒子〕の項で説明した通りである。
上記単量体混合物における他の単官能単量体の含有量は、上記単量体混合物における単官能(メタ)アクリル系単量体の含有量(重量%)の1倍以下であることが好ましく、上記単量体混合物における単官能(メタ)アクリル系単量体の含有量(重量%)の1/3倍以下であることが好ましい。上記単量体混合物における他の単官能単量体の含有量が、上記単量体混合物における単官能(メタ)アクリル系単量体の含有量より多いと、得られる多孔質樹脂粒子が、光学シートに配合された場合において当該光学シートのヘイズを向上させる一方で、当該光学シートの輝度を低下させてしまうものとなるおそれがある。
上記樹脂粒子製造工程では、下記関係式(1)
(式中、W1は前記樹脂粒子製造工程における前記肥大化した種粒子の使用重量(g)であり、W2は前記樹脂粒子製造工程における前記単量体混合物の使用重量(g)であり、Mwは前記樹脂粒子製造工程で使用する前記肥大化した種粒子の重量平均分子量である。)を満たす量の上記の肥大化した種粒子及び上記単量体混合物を使用する。
上記の肥大化した種粒子の使用重量W1に対する、上記の肥大化した種粒子の使用重量W1と上記単量体混合物の使用重量W2の合計の比率(即ち、(W1+W2)/W1であり、以下「膨潤倍率」という)が、8倍未満であると、得られる多孔質樹脂粒子が十分な架橋度を有さない(得られる多孔質樹脂粒子における上記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量が少ない)おそれがあり、この結果、得られる多孔質樹脂粒子が十分な耐溶剤性を有さないおそれがある。一方、膨潤倍率が、上記の肥大化した種粒子の重量平均分子量(Mw)の15/10000倍を超えると、表面に複数の孔を有する多孔質樹脂粒子が得られないおそれがある。膨潤倍率((W1+W2)/W1)の好ましい範囲は、9倍以上、上記の肥大化した種粒子の重量平均分子量(Mw)の10/10000倍以下である。
上記樹脂粒子製造工程では、上記単量体混合物を水溶性の重合禁止剤の存在下で重合することが好ましい。これにより、水相中に微量存在する単量体混合物が独自に重合することを抑制できる。それゆえ、単量体混合物の重合による微小粒子の生成を抑制でき、また、単量体混合物の重合体が多孔質樹脂粒子(一次粒子)同士を連結して二次粒子を生成することも抑制できる。その結果、得られる多孔質樹脂粒子の単分散性を向上できる(例えば粒子径の変動係数を15%以下にできる)。
上記水溶性の重合禁止剤としては、例えば、亜硝酸塩類、亜硫酸塩類、ハイドロキノン類、アスコルビン酸類、水溶性ビタミンB類、クエン酸、ポリフェノール類等が挙げられる。上記亜硝酸塩類としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩;亜硝酸マグネシウム等の亜硝酸アルカリ土類金属塩;亜硝酸アンモニウム等が挙げられる。これら水溶性の重合禁止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記水溶性の重合禁止剤の使用量は、上記単量体混合物100重量部に対して0.03〜0.3重量部の範囲内であることが好ましい。上記重合禁止剤の使用量が上記単量体混合物100重量に対して0.03重量部未満である場合には、上記水溶性の重合禁止剤による水相中での微小粒子の発生を抑制する効果が不十分となり、得られる多孔質樹脂粒子の単分散性を十分に向上できない恐れがある。また、上記重合禁止剤の使用量が上記単量体混合物100重量に対して0.3重量部を超える場合には、上記単量体混合物の重合の進行が阻害される可能性があるので、好ましくない。
上記樹脂粒子製造工程における、上記単量体混合物を種粒子に吸収させる方法、上記単量体混合物の重合時の昇温、重合時の攪拌、重合温度、重合温度を保持する時間、重合法等については、〔種粒子肥大化工程〕の項で述べた(メタ)アクリル系単量体を種粒子に吸収させる方法、上記(メタ)アクリル系単量体の重合時の昇温、重合時の攪拌、重合温度、重合温度を保持する時間、重合法等と同様である。また、上記樹脂粒子製造工程においても、上記種粒子肥大化工程と同様に、通常は水性媒体および重合開始剤を使用し、界面活性剤を使用することが好ましく、必要に応じて分散安定剤を使用する。使用可能な水性媒体の例および水性媒体の通常の使用量、使用可能な重合開始剤の例および重合開始剤の使用量、使用可能な界面活性剤の例および界面活性剤の使用量、分散安定剤の使用量等についても、〔種粒子肥大化工程〕の項で述べたのと同様である。
〔コーティング剤〕
本発明の多孔質樹脂粒子は、塗膜軟質化剤、塗料用艶消し剤、光拡散剤等としてコーティング剤に含有させることが可能である。本発明のコーティング剤は、本発明の多孔質樹脂粒子を含んでいる。
前記コーティング剤は、必要に応じてバインダー樹脂を含んでいる。バインダー樹脂としては、有機溶剤もしくは水に可溶な樹脂、または水中に分散できるエマルジョン型の水性樹脂を使用でき、公知のバインダー樹脂をいずれも利用できる。バインダー樹脂としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製の商品名「ダイヤナール(登録商標)LR−102」や「ダイヤナール(登録商標)BR−106」、或いは、大日精化工業株式社製の商品名「メジウム VM(K)」等のアクリル系樹脂;アルキド樹脂;ポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂;塩素化ポリオレフィン樹脂;アモルファスポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらバインダー樹脂は、塗工される基材への塗料の密着性や使用される環境等によって適宜選択され得る。
コーティング剤がバインダー樹脂を含む場合において、多孔質樹脂粒子の配合量は、バインダー樹脂を含むコーティング剤により形成される塗膜の膜厚、多孔質樹脂粒子の平均粒子径、塗工方法、使用する用途等によって適宜調整されるが、バインダー樹脂100重量部に対して1〜200重量部の範囲内であることが好ましい。また、多孔質樹脂粒子の配合量は、バインダー樹脂(エマルジョン型の水性樹脂を使用する場合には固形分)と多孔質樹脂粒子との合計に対して、10〜80重量%の範囲内であることが好ましく、30〜70重量%の範囲内であることがより好ましい。多孔質樹脂粒子の含有量が10重量%未満である場合には、艶消し効果が十分得られないことがある。また、多孔質樹脂粒子の含有量が80重量%を超える場合には、コーティング剤の粘度が大きくなりすぎるために多孔質樹脂粒子の分散不良が起こることがある。そのため、コーティング剤の塗工によって得られる塗膜表面にマイクロクラックが発生する、得られる塗膜表面にザラツキが生じる等のような、塗膜表面の外観不良が起こることがある。
前記コーティング剤は、必要に応じて、媒体を含んでいる。前記媒体として、バインダー樹脂を溶解できる溶剤(溶媒)、またはバインダー樹脂を分散できる分散媒を使用することが好ましい。分散媒または溶媒としては、水性の媒体および油性の媒体がいずれも使用できる。油性の媒体としては、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。水性の媒体としては、水、アルコール類(例えばイソプロパノール)等が挙げられる。これら溶剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。コーティング剤中における媒体の含有量は、コーティング剤全量に対し、通常、20〜80重量%の範囲内である。
さらに、コーティング剤には、硬化剤、着色剤、(体質顔料、着色顔料、金属顔料、マイカ粉顔料、染料等)、帯電防止剤、レベリング剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の他の添加剤が含まれていてもよい。
コーティング剤の被塗布基材としては、特に限定されず、用途に応じた基材が使用できる。
例えば、光学用途では、ガラス基材、透明基材樹脂からなる透明基材等が被塗布基材として使用される。被塗布基材として透明基材を使用し、着色剤を含まないコーティング剤(光拡散用コーティング剤)を透明基材上に塗工して透明の塗膜を形成することで、光拡散フィルムや防眩フィルム等の光学フィルムを製造することができる。この場合、多孔質樹脂粒子は光拡散剤として機能する。
また、被塗布基材として紙を使用し、着色剤を含まないコーティング剤(紙用コーティング剤)を塗工して透明の塗膜を形成することで、艶消し紙を製造することができる。
コーティング剤の塗工方法は、特に限定されず、公知の方法をいずれも使用できる。塗工方法としては、例えば、スプレー塗工法、ロール塗工法、ハケ塗り法等の方法が挙げられる。コーティング剤は、必要に応じて粘度を調整するために、希釈剤を加えて希釈してもよい。希釈剤としては、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;水;アルコール系溶剤等が挙げられる。これら希釈剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。光学シートを製造する場合には、塗工方法として、多孔質樹脂粒子に由来する凹凸が塗膜表面に形成されるような方法を使用することが好ましい。
〔光学シート〕
本発明の光学シートは、本発明の多孔質樹脂粒子を含むものである。光学シートの具体例としては、光拡散シートや防眩シート等を挙げることができる。
上記光学シートは、上記した本発明のコーティング剤を基材に塗工することにより、或いは、本発明の多孔質樹脂粒子と基材樹脂とを含む樹脂組成物をシート状に成形することにより製造することができる。
コーティング剤が塗工される被塗布基材の具体例としては、ガラス基材や、透明基材樹脂からなる透明基材等を挙げることができる。
前記透明基材樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略記する)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。これら透明基材樹脂の中でも、優れた透明性が透明基材樹脂に求められる場合には、アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、およびポリスチレンが好ましい。これらの透明基材樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上記樹脂組成物に含まれる上記基材樹脂としては、通常、多孔質樹脂粒子を構成する重合体の成分と異なる熱可塑性樹脂が使用される。前記基材樹脂として使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。これら熱可塑性樹脂の中でも、優れた透明性が基材樹脂に求められる場合には、アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、およびポリスチレンが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上記基材樹脂への多孔質樹脂粒子の添加割合は、基材樹脂100重量部に対して、10〜50重量部の範囲内であることが好ましく、20〜40重量部の範囲内であることがより好ましい。多孔質樹脂粒子が10重量部未満の場合、光学シートに光拡散性を与えにくくなることがある。多孔質樹脂粒子が50重量部より多い場合、上記した光学シートに光拡散性を与えられるが上記光学シートの光透過性が低くなることがある。
樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、多孔質樹脂粒子と基材樹脂とを機械式粉砕混合方法等のような従来公知の方法で混合することにより製造できる。機械式粉砕混合方法では、例えば、ヘンシェルミキサー、V型混合機、ターブラミキサー、ハイブリダイザー、ロッキングミキサー等の装置を用いて多孔質樹脂粒子と基材樹脂とを混合し撹拌することにより、樹脂組成物を製造できる。
そして、上記樹脂組成物を成形することにより、光学シートを得ることができる。上記樹脂組成物の成形方法としては、ペレット状の樹脂組成物を射出成形、射出圧縮成形、又は、押出成形等の成形法によりシート状に成形して、光学シートを得る方法を採用することができる。
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔種粒子の重量平均分子量の測定方法〕
以下の実施例および比較例における種粒子の重量平均分子量(Mw)の測定は、以下のようにして行った。
種粒子の重量平均分子量(Mw)はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定する。測定する重量平均分子量(Mw)はポリスチレン(PS)換算重量平均分子量である。
試料(種粒子)0.003gをテトラヒドロフラン(THF)10mlに23℃で24時間静置することで完全に溶解させる。この時点で完全に溶解していない場合は、更に24時間静置毎(合計72時間まで)に完全に溶解しているか否かを確認する。72時間後に完全に溶解できない場合は、上記試料に架橋成分が含まれていると判断する。得られた溶液を0.45μmの非水系クロマトディスクを用いて濾過する。得られた濾液をGPCにより分析し、PS換算重量平均分子量を測定する(完全に溶解できない場合は、溶解した成分を濾過し、濾液を用いてPS換算重量平均分子量を測定する)。以下に示す検量線の作成方法により予め作成した検量線から、上記試料のPS換算重量平均分子量を求める。なお、測定条件は下記の通りとする。
<測定条件>
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製の商品名「HLC−8320GPC EcoSEC−WorkStation」、RI検出器(示差屈折率検出器)内蔵)
カラム:東ソー株式会社製の商品名「TSKgel SuperHZM−H」(4.6mmI.D×15cmL)×2本
ガードカラム:東ソー株式会社製の商品名「TSKguardcolumn SuperHZ−H」(4.6mmID×2cmL)×1本
流量:試料側 0.175ml/min、リファレンス側 0.175ml/min
検出器:上記高速GPC装置に内蔵のRI検出器
濃度:0.3g/l
注入量:50μl
カラム温度:40℃
システム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
<検量線の作成方法>
検量線用標準ポリスチレン試料としては、東ソー社株式会社製の商品名「TSK standard POLYSTYRENE」の重量平均分子量が、500、2630、9100、37900、102000、355000、3840000、及び5480000である標準ポリスチレン試料と、昭和電工株式会社製商品名「Shodex STANDARD」の重量平均分子量が1030000である標準ポリスチレン試料を用いる。
検量線の作成方法は以下の通りである。まず、上記検量線用標準ポリスチレン試料をグループA(重量平均分子量が1030000のもの)、グループB(重量平均分子量が500、9100、102000及び3480000のもの)及びグループC(重量平均分子量が2630、37900、355000及び5480000のもの)にグループ分けする。グループAに属する重量平均分子量が1030000である標準ポリスチレン試料を5mg秤量した後にTHF20mlに溶解し、得られた溶液50μlを試料側カラムに注入する。グループBに属する重量平均分子量が500、9100、102000及び3480000である標準ポリスチレン試料をそれぞれ10mg、5mg、5mg、及び5mg秤量した後にTHF50mlに溶解し、得られた溶液50μlを試料側カラムに注入する。グループCに属する重量平均分子量が2630、37900、355000及び5480000である標準ポリスチレン試料をそれぞれ5mg、5mg、5mg、及び1mg秤量した後にTHF40mlに溶解し、得られた溶液50μlを試料側カラムに注入する。これら標準ポリスチレン試料の保持時間から較正曲線(三次式)を上記高速GPC装置専用のデータ解析プログラムGPCワークステーション(EcoSEC−WS)にて作成し、これをPS換算重量平均分子量測定の検量線として用いる。
〔種粒子の体積平均粒子径の測定方法〕
以下の実施例および比較例における種粒子の体積平均粒子径の測定は、以下のようにして行った。
以下の実施例および比較例における種粒子の体積平均粒子径の測定は、以下のようにして行った。
種粒子の体積平均粒子径の測定は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「LS 13 320」)およびユニバーサルリキッドサンプルモジュールによって行った。
測定には、種粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)および超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。
また、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のソフトウェアにおいて、ミー理論に基づいた評価のために必要となる以下に示す光学的なパラメータを、設定する。
<パラメータ>
液体(ノニオン性界面活性剤水溶液)の屈折率B.I.の実部=1.333(水の屈折率)
固体(測定対象の種粒子)の屈折率の実部=種粒子の屈折率
固体の屈折率の虚部=0
固体の形状因子=1
また、測定条件及び測定手順は、以下の通りとする。
<測定条件>
測定時間:60秒
測定回数:1
ポンプ速度:50〜60%
PIDS相対濃度:40〜55%程度
超音波出力:8
<測定手順>
オフセット測定、光軸調整、バックグラウンド測定を行った後、上記した分散液を、スポイトを用いて、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のユニバーサルリキッドサンプルモジュール内へ注入する。上記のユニバーサルリキッドサンプルモジュール内の濃度が上記のPIDS相対濃度に達し、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のソフトウェアが「OK」と表示したら、測定を開始する。なお、測定は、ユニバーサルリキッドサンプルモジュール中でポンプ循環を行うことによって上記種粒子を分散させた状態、かつ、超音波ユニット(ULM ULTRASONIC MODULE)を起動させた状態で行う。
また、測定は室温で行い、得られたデータから、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のソフトウェアにより、上記の予め設定された光学的なパラメータを用いて、種粒子の体積平均粒子径(体積基準の粒度分布における算術平均径)を算出する。
なお、種粒子の屈折率については、種粒子を構成する重合体の屈折率を入力し測定を実施した。例えば、種粒子を構成する重合体がポリメタクリル酸メチル又はポリメタクリル酸エチルである場合には、既知であるポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチルの屈折率1.495を入力し、種粒子を構成する重合体がポリスチレンである場合には、既知であるポリスチレンの屈折率1.595を入力した。
〔樹脂粒子の体積平均粒子径および粒子径の変動係数の測定方法〕
以下の実施例および比較例における樹脂粒子の体積平均粒子径および粒子径の変動係数の測定は、以下のようにして行った。
樹脂粒子の体積平均粒子径は、コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター株式会社製測定装置)により測定する。測定は、ベックマン・コールター株式会社発行のMultisizerTM 3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施するものとする。
なお、測定に用いるアパチャーの選択は、測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が1μm以上10μm以下の場合は50μmのサイズを有するアパチャーを選択し、測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が10μmより大きく30μm以下の場合は100μmのサイズを有するアパチャーを選択し、樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が30μmより大きく90μm以下の場合は280μmのサイズを有するアパチャーを選択し、樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が90μmより大きく150μm以下の場合は400μmのサイズを有するアパチャーを選択するなど、適宜行う。測定後の体積平均粒子径が想定の体積平均粒子径と異なった場合は、適正なサイズを有するアパチャーに変更して、再度測定を行う。
また、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−800、Gain(ゲイン)は4と設定し、100μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−1600、Gain(ゲイン)は2と設定し、280μmおよび400μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−3200、Gain(ゲイン)は1と設定する。
測定用試料としては、樹脂粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)および超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。コールターマルチサイザーIIIの測定部に、ISOTON(登録商標)II(ベックマン・コールター株式会社製:測定用電解液)を満たしたビーカーをセットし、ビーカー内を緩く攪拌しながら、前記分散液を滴下して、コールターマルチサイザーIII本体画面の濃度計の示度を5〜10%に合わせた後に、測定を開始する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。
体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算術平均である。
樹脂粒子の粒子径の変動係数(CV値)を、以下の数式によって算出する。
樹脂粒子の粒子径の変動係数=(樹脂粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差
÷樹脂粒子の体積平均粒子径)×100
〔樹脂粒子の比表面積の測定方法〕
以下の実施例および比較例における樹脂粒子の比表面積の測定は、以下のようにして行った。
樹脂粒子の比表面積は、ISO 9277第1版 JIS Z 8830:2001記載のBET法(窒素吸着法)により測定した。対象となる樹脂粒子について、株式会社島津製作所社製の自動比表面積/細孔分布測定装置Tristar3000を用いてBET窒素吸着等温線を測定し、窒素吸着量からBET多点法を用いて比表面積を算出した。加熱ガスパージによる前処理を実施した後、吸着質として窒素を用い、吸着質断面積0.162nm2の条件下で定容量法を用いて測定を行った。なお、前記前処理は、具体的には、樹脂粒子が入った容器を65℃で加熱しながら、窒素パージを20分行い、室温放冷した後、その容器を65℃で加熱しながら、前記容器内の圧力が0.05mmHg以下になるまで真空脱気を行うことにより、行った。
〔トルエンに対する溶出成分量の測定方法〕
以下の実施例および比較例における樹脂粒子のトルエンに対する溶出成分量の測定は、以下のようにして行った。
約1g(0.9900〜1.0100g)の樹脂粒子の重量A(g)と、沸石の重量B(g)とをそれぞれ精秤した後、200mlナス型フラスコに、精秤した樹脂粒子と沸石とを投入し、さらに、トルエン100mlを加えて、溶液を得る。
得られた溶液の入った上記ナス型フラスコを130℃のオイルバスに入れ、冷却管をセットした後、還流させながら24時間加熱する。24時間加熱後、あらかじめ乾燥させたガラス繊維フィルター(株式会社ADVANTEC製の「GA200」)が取り付けられたブフナーロート型ガラスろ過器の重量C(g)を精秤し、精秤した上記のガラス繊維フィルターが取り付けられたブフナーロート型ガラスろ過器により、上記ナス型フラスコ内の溶液を吸引ろ過する。
吸引ろ過後、上記のガラス繊維フィルターが取り付けられたブフナーロート型ガラスろ過器を真空オーブンにて130℃で3時間乾燥させる。デシケーター内で、上記のガラス繊維フィルターが取り付けられたブフナーロート型ガラスろ過器を冷却させた後、上記のガラス繊維フィルターが取り付けられたブフナーロート型ガラスろ過器の重量D(g)を精秤し、以下の式により、トルエンに対する溶出成分量を算出した。
溶出成分量(重量%)={1−(D−C−B)÷A}×100
A:樹脂粒子の重量(g)
B:沸石の重量(g)
C:ガラス繊維フィルターが取り付けられたブフナーロート型ガラスろ過器の重量(g)
D:ガラス繊維フィルターが取り付けられ、このガラス繊維フィルターに樹脂粒子及び沸石が残った状態のブフナーロート型ガラスろ過器の重量(g)
〔樹脂粒子表面における孔の存在割合の測定方法〕
以下の実施例および比較例について、樹脂粒子表面における孔の存在割合の測定を、以下のようにして行った。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、SEM画像一画面中に、樹脂粒子が30±10(個)存在するように倍率を調整し、撮影を行った。一画面中に撮影された樹脂粒子の総数をX(個)、一画面中に撮影された表面の半分以上に孔が見られる樹脂粒子の個数をY(個)とし、以下の式により、樹脂粒子の孔の存在割合を算出した。なお、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた撮影を3回行い、3枚のSEM画像から下記式より得られる値の平均値を、樹脂粒子の孔の存在割合とした。
樹脂粒子表面における孔の存在割合(%)=(Y/X)×100
〔実施例1〕
[種粒子製造工程]
水性媒体としての水375gに、単官能(メタ)アクリル系単量体としてのメタクリル酸エチル65gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン1.3g(メタクリル酸エチル100重量部に対して、0.02重量部)とを投入して、混合物を得た。また、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム0.3gを水性媒体としての水15gに溶解させて過硫酸アンモニウム水溶液を得た。上記の水とメタクリル酸エチルとn−オクチルメルカプタンとの混合物を55℃に昇温し、次いで、上記過硫酸アンモニウム水溶液を添加して窒素パージした後、55℃で12時間攪拌することでメタクリル酸エチルの重合を行い、メタクリル系重合体からなる種粒子(以下、種粒子(1)という)のスラリー(固形分14重量%)を得た。得られたスラリー中に含まれる種粒子(1)の体積平均粒子径は、0.75μmであり、重量平均分子量(Mw)は13000であった。
[第1の種粒子肥大化工程]
水性媒体としての水600gに、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.75gを溶解させて混合溶液を得た。得られた混合溶液に、単官能(メタ)アクリル系単量体としてのメタクリル酸メチル156gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン1.6g(メタクリル酸メチル100重量部に対して、0.01重量部)と、重合開始剤(油溶性重合開始剤)としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.6gとを加え、混合物を得た。得られた混合物を、高速乳化・分散機(商品名「T.KホモミクサーMARK II 2.5型」、プライミクス株式会社製)により10000rpmの回転数で10分間撹拌して、乳化液を得た。
この乳化液に、種粒子製造工程で得られた体積平均粒子径が0.75μmで重量平均分子量(Mw)が13000である種粒子(1)のスラリー(固形分14重量%)83g(種粒子(1)の含有量11.6g)を加え、30℃で3時間攪拌し、乳化液中に種粒子(1)が分散した分散液を得た。この時の分散液を光学顕微鏡で観察したところ、種粒子(1)の粒子径の拡大が確認され、乳化液中のメタクリル酸メチルは完全に種粒子(2)に吸収されていることが確認された。
2Lのオートクレーブ中の水300gに分散安定剤としてのポリビニルアルコール5.6gと、重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.5gとを溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に、上記分散液を添加して、窒素パージを行った後、55℃で3時間加熱することでメタクリル酸メチルの重合を行い、次いで、70℃で2時間加熱することでメタクリル酸メチルの重合を行い、メタクリル系重合体からなる肥大化した種粒子(以下、種粒子(2)という)のスラリー(固形分14重量%)を得た。得られたスラリー中に含まれる種粒子(2)の体積平均粒子径は、1.5μmであり、重量平均分子量(Mw)は20000であった。
[第2の種粒子肥大化工程]
水性媒体としての水600gに、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3gを溶解させて混合溶液を得た。得られた混合溶液に、単官能(メタ)アクリル系単量体としてのメタクリル酸メチル300gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン1.5g(メタクリル酸メチル100重量部に対して、0.5重量部)と、重合開始剤(油溶性重合開始剤)としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを3gとを加え、混合物を得た。得られた混合物を、高速乳化・分散機(商品名「T.KホモミクサーMARK II 2.5型」、プライミクス株式会社製)により10000rpmの回転数で10分間撹拌して、乳化液を得た。
この乳化液に、第1の種粒子肥大化工程で得られた体積平均粒子径が1.5μmで、重量平均分子量(Mw)が20000である種粒子(2)のスラリー(固形分14重量%)41g(種粒子(2)の含有量5.74g)を加え、30℃で3時間攪拌し、乳化液中に種粒子(2)が分散した分散液を得た。この時の分散液を光学顕微鏡で観察したところ、種粒子(2)の粒子径の拡大が確認され、乳化液中のメタクリル酸メチルは完全に種粒子(2)に吸収されていることが確認された。
2Lのオートクレーブ中の水1200gに分散安定剤としてのポリビニルアルコール18gを溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に、上記分散液を添加して、窒素パージを行った後、65℃で12時間加熱することでメタクリル酸メチルの重合を行い、次いで、80℃で2時間加熱することでメタクリル酸メチルの重合を行い、メタクリル系重合体からなる肥大化した種粒子(以下、種粒子(3)という)のスラリー(固形分14重量%)を得た。得られたスラリー中に含まれる種粒子(3)の体積平均粒子径は6.3μmであり、重量平均分子量(Mw)は120000であった。
[樹脂粒子製造工程]
水性媒体としての水800gに、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4gを溶解させて混合溶液を得た。得られた混合溶液に、単官能(メタ)アクリル系単量体としてのメタクリル酸メチル560g及び架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート240gの単量体混合物(メタクリル酸メチルの含有量70重量%、エチレングリコールジメタクリレートの含有量30重量%)と、重合開始剤(油溶性重合開始剤)としての2,2’―アゾビスイソブチロニトリル4.8g及び過酸化ベンゾイル3gとを加え、混合物を得た。得られた混合物を、高速乳化・分散機(商品名「T.KホモミクサーMARK II 2.5型」、プライミクス株式会社製)により10000rpmの回転数で10分間撹拌して、乳化液を得た。
この乳化液に、第2の種粒子肥大化工程で得られた体積平均粒子径が6.3μmで、重量平均分子量(Mw)が120000である種粒子(3)のスラリー(固形分14重量%)425g(種粒子(3)の含有量59.5g)を加え、30℃で3時間攪拌し、乳化液中に種粒子(3)が分散した分散液を得た。この時の分散液を光学顕微鏡で観察したところ、種粒子(3)の粒子径の拡大が確認され、乳化液中のメタクリル酸メチルは完全に種粒子(3)に吸収されていることが確認された。
5Lのオートクレーブ中の水2000gに分散安定剤としてのポリビニルアルコール36gと、重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.6gとを溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に、上記分散液を添加して、窒素パージを行った後、70℃で2時間加熱することで上記単量体混合物の重合を行い、次いで、スルファミン酸0.8gと、アスコルビン酸ナトリウム1.1gとを加えて、105℃で2.5時間加熱することで上記単量体混合物の重合を行って、スラリーを得た。得られたスラリーをろ過して固形分を取り出し、この固形分を真空乾燥機により60℃で12時間乾燥させて、樹脂粒子(架橋重合体)を得た。
得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は16.3μmであり、粒子径の変動係数は12.0%であり、比表面積は1.3m2/gであった。また、得られた樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像したところ、得られた樹脂粒子は、図1及び2のSEM画像に示されるように、表面全体に複数の孔を有する多孔質樹脂粒子であり、また、表面の孔の大きさはその部位によって異なることが認められた。
なお、本実施例の樹脂粒子製造工程における膨潤倍率((前記単量体混合物の使用重量W2+種粒子(3)の使用重量W1)/種粒子(3)の使用重量W1)は、14.4(種粒子(3)の重量平均分子量Mwの1.2/10000)倍である。また、本実施例において、樹脂粒子製造工程における種粒子(3)と上記単量体混合物の合計使用量に占めるエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体)の使用量の割合(樹脂粒子(架橋重合体)におけるにエチレングリコールジメタクリレートに由来する構造単位の含有量、即ち、架橋度に等しい)は27.9重量%である。
〔実施例2〕
[種粒子製造工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が0.75μmで、重量平均分子量(Mw)が13000である種粒子(1)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第1の種粒子肥大化工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が1.5μmで、重量平均分子量(Mw)が20000である肥大化した種粒子(2)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第2の種粒子肥大化工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が6.3μmであり、重量平均分子量(Mw)が120000である肥大化した種粒子(3)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[樹脂粒子製造工程]
メタクリル酸メチル560g及びエチレングリコールジメタクリレート240gの単量体混合物(メタクリル酸メチルの含有量70重量%、エチレングリコールジメタクリレートの含有量30重量%)に代えて、メタクリル酸メチル400g及びエチレングリコールジメタクリレート400gの単量体混合物(メタクリル酸メチルの含有量50重量%、エチレングリコールジメタクリレートの含有量50重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子(架橋重合体)を得た。
得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は15.7μmであり、粒子径の変動係数は14.1%であり、比表面積は、1.6m2/gであった。また、得られた樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像したところ、得られた樹脂粒子は、表面全体に複数の孔を有する多孔質樹脂粒子であり、また、表面の孔の大きさはその部位によって大きく異なることが認められた。
なお、本実施例の樹脂粒子製造工程における膨潤倍率((前記単量体混合物の使用重量W2+種粒子(3)の使用重量W1)/種粒子(3)の使用重量W1)は、14.4(種粒子(3)の重量平均分子量Mwの1.2/10000)倍である。また、本実施例において、樹脂粒子製造工程における種粒子(3)と上記単量体混合物の合計使用量に占めるエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体)の使用量の割合(樹脂粒子(架橋重合体)におけるにエチレングリコールジメタクリレートに由来する構造単位の含有量、即ち、架橋度に等しい)は46.5重量%である。
〔実施例3〕
[種粒子製造工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が0.75μmで、重量平均分子量(Mw)が13000である種粒子(1)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第1の種粒子肥大化工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が1.5μmで、重量平均分子量(Mw)が20000である肥大化した種粒子(2)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第2の種粒子肥大化工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が6.3μmであり、重量平均分子量(Mw)が120000である肥大化した種粒子(3)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[樹脂粒子製造工程]
第2の種粒子肥大化工程で得られた体積平均粒子径が6.3μmで重量平均分子量(Mw)が120000である種粒子(3)のスラリー(固形分14重量%)の使用量を210g(種粒子(3)の含有量29.4g)に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子(架橋重合体)を得た。
得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は20.3μmであり、粒子径の変動係数は11.0%であり、比表面積は、1.0m2/gであった。また、得られた樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像したところ、得られた樹脂粒子は、表面の一部に複数の孔を有する多孔質樹脂粒子であり、その樹脂粒子の表面は、複数の孔が形成された部位と、孔のない平坦な部位とで構成されていることが認められた。
なお、本実施例の樹脂粒子製造工程における膨潤倍率((前記単量体混合物の使用重量W2+種粒子(3)の使用重量W1)/種粒子(3)の使用重量W1)は、28.2倍(種粒子(3)の重量平均分子量Mwの2.4/10000)倍である。また、本実施例において、樹脂粒子製造工程における種粒子(3)と上記単量体混合物の合計使用量に占めるエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体)の使用量の割合(樹脂粒子(架橋重合体)におけるにエチレングリコールジメタクリレートに由来する構造単位の含有量、即ち、架橋度に等しい)は28.9重量%である。
〔実施例4〕
[種粒子製造工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が0.75μmで、重量平均分子量(Mw)が13000である種粒子(1)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第1の種粒子肥大化工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が1.5μmで、重量平均分子量(Mw)が20000である肥大化した種粒子(2)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第2の種粒子肥大化工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が6.3μmであり、重量平均分子量(Mw)が120000である肥大化した種粒子(3)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[樹脂粒子製造工程]
第2の種粒子肥大化工程で得られた体積平均粒子径が6.3μmで重量平均分子量(Mw)が120000である種粒子(3)のスラリー(固形分14重量%)の使用量を58.6g(種粒子(3)の含有量8.2g)に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子(架橋重合体)を得た。
得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は28.6μmであり、粒子径の変動係数は11.4%であり、比表面積は、0.9m2/gであった。また、得られた樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像したところ、得られた樹脂粒子は、表面の一部に複数の孔を有する多孔質樹脂粒子であり、その樹脂粒子の表面は、複数の孔が形成された部位と、孔のない平坦な部位とで構成されていることが認められた。
なお、本実施例の樹脂粒子製造工程における膨潤倍率((前記単量体混合物の使用重量W2+種粒子(3)の使用重量W1)/種粒子(3)の使用重量W1)は、98.6(種粒子(3)の重量平均分子量Mwの8.2/10000)倍である。また、本実施例において、樹脂粒子製造工程における種粒子(3)と上記単量体混合物の合計使用量に占めるエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体)の使用量の割合(樹脂粒子(架橋重合体)におけるにエチレングリコールジメタクリレートに由来する構造単位の含有量、即ち、架橋度に等しい)は、29.7重量%である。
〔実施例5〕
[種粒子製造工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が0.75μmで、重量平均分子量(Mw)が13000である種粒子(1)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第1の種粒子肥大化工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が1.5μmで、重量平均分子量(Mw)が20000である肥大化した種粒子(2)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第2の種粒子肥大化工程]
分子量調整剤としのn−オクチルメルカプタンの使用量を3g(メタクリル酸メチル100重量部に対して、1重量部)に変更した以外は、実施例1の第2の種粒子肥大化工程と同様にして、メタクリル系重合体からなる種粒子(以下、種粒子(4)という)のスラリー(固形分14重量%)を得た。得られたスラリー中に含まれる種粒子(4)の体積平均粒子径は6.7μmであり、重量平均分子量(Mw)は20000であった。
[樹脂粒子製造工程]
体積平均粒子径が6.3μmで重量平均分子量(Mw)が120000である種粒子(3)のスラリー(固形分14重量%)425g(種粒子(3)の含有量59.5g)に代えて、本実施例の第2の種粒子肥大化工程で得た体積平均粒子径が6.7μmで重量平均分子量(Mw)が20000である種粒子(4)のスラリー(固形分14重量%)668g(種粒子(4)の含有量93.5g)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子(架橋重合体)を得た。
得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は13.8μmであり、粒子径の変動係数は12.5%であり、比表面積は、0.5m2/gであった。また、得られた樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像したところ、得られた樹脂粒子は、図3及び4のSEM画像に示されるように、表面全体に複数の孔を有する多孔質樹脂粒子であり、また、表面の孔の大きさはその部位によって大きく異なることが認められた。
なお、本実施例の樹脂粒子製造工程における膨潤倍率((前記単量体混合物の使用重量W2+種粒子(4)の使用重量W1)/種粒子(4)の使用重量W1)は、9.6(種粒子(4)の重量平均分子量Mwの4.8/10000)倍である。また、本実施例において、樹脂粒子製造工程における種粒子(4)と上記単量体混合物の合計使用量に占めるエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体)の使用量の割合(樹脂粒子(架橋重合体)におけるにエチレングリコールジメタクリレートに由来する構造単位の含有量、即ち、架橋度に等しい)は26.9重量%である。
〔実施例6〕
[種粒子製造工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が0.75μmで、重量平均分子量(Mw)が13000である種粒子(1)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第1の種粒子肥大化工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が1.5μmで、重量平均分子量(Mw)が20000である肥大化した種粒子(2)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第2の種粒子肥大化工程]
実施例5と同様にして、体積平均粒子径が6.7μmであり、重量平均分子量(Mw)が20000である肥大化した種粒子(4)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[樹脂粒子製造工程]
体積平均粒子径が6.3μmで重量平均分子量(Mw)が120000である種粒子(3)のスラリー(固形分14重量%)425g(種粒子(3)の含有量59.5g)に代えて、本実施例の第2の種粒子肥大化工程で得た体積平均粒子径が6.7μmで重量平均分子量(Mw)が20000である種粒子(4)のスラリー(固形分14重量%)425g(種粒子(4)の含有量59.5g)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子(架橋重合体)を得た。
得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は16.1μmであり、粒子径の変動係数は13.2%であり、比表面積は、0.4m2/gであった。また、得られた樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像したところ、得られた樹脂粒子は、図5及び6のSEM画像に示されるように、表面の一部に複数の孔を有する多孔質樹脂粒子であり、その樹脂粒子の表面は、複数の孔が形成された部位と、孔のない平坦な部位とで構成されていることが認められた。
なお、本実施例の樹脂粒子製造工程における膨潤倍率((前記単量体混合物の使用重量W2+種粒子(4)の使用重量W1)/種粒子(4)の使用重量W1)は、14.4(種粒子(4)の重量平均分子量Mwの7.2/10000)倍である。また、本実施例において、樹脂粒子製造工程における種粒子(4)と上記単量体混合物の合計使用量に占めるエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体)の使用量の割合(樹脂粒子におけるにエチレングリコールジメタクリレートに由来する構造単位の含有量、即ち、架橋度に等しい)は,27.9重量%である。
〔比較例1〕
[種粒子製造工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が0.75μmの種粒子(1)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第1の種粒子肥大化工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が1.5μmで、重量平均分子量(Mw)が13000である肥大化した種粒子(2)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第2の種粒子肥大化工程]
実施例5と同様にして、体積平均粒子径が6.7μmであり、重量平均分子量(Mw)が20000である肥大化した種粒子(4)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[樹脂粒子製造工程]
水性媒体としての水720gに、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3gを溶解させて混合溶液を得た。得られた混合溶液に、単官能(メタ)アクリル系単量体としてのメタクリル酸メチル460g及び架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート200gとの単量体混合物(メタクリル酸メチルの含有量69.7重量%、エチレングリコールジメタクリレートの含有量30.3重量%)と、重合開始剤(油溶性重合開始剤)としての2,2’―アゾビスイソブチロニトリル4.0g及び過酸化ベンゾイル4.0gとを加え、混合物を得た。得られた混合物を、高速乳化・分散機(商品名「T.KホモミクサーMARK II 2.5型」、プライミクス株式会社製)により10000rpmの回転数で10分間撹拌して、乳化液を得た。
この乳化液に、本実施例の第2の種粒子肥大化工程で得られた体積平均粒子径が6.7μmで重量平均分子量(Mw)が20000である種粒子(4)のスラリー(固形分14重量%)53g(種粒子(4)の含有量7.4g)を加え、30℃で3.5時間攪拌し、乳化液中に種粒子(4)が分散した分散液を得た。この時の分散液を光学顕微鏡で観察したところ、種粒子(4)の粒子径の拡大が確認され、乳化液中のメタクリル酸メチルは完全に種粒子(4)に吸収されていることが確認された。
5Lのオートクレーブ中の水1200gに分散安定剤としてのポリビニルアルコール330gと、重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.4gとを溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に、上記分散液を添加して、窒素パージを行った後、60℃で1時間加熱することで上記単量体混合物の重合を行い、次いで、スルファミン酸0.5gと、アスコルビン酸ナトリウム0.7gとを加えて、105℃で2.5時間加熱することで上記単量体混合物の重合を行って、スラリーを得た。得られたスラリーをろ過して固形分を取り出し、この固形分を真空乾燥機により60℃で12時間乾燥させて、樹脂粒子(架橋重合体)を得た。
得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は30.4μmであり、粒子径の変動係数は13.6%であり、比表面積は0.2m2/gであった。また、得られた樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像したところ、得られた樹脂粒子の表面には、図7及び8のSEM画像に示されるように、孔の存在が認められなかった。
なお、本実施例の樹脂粒子製造工程における膨潤倍率((前記単量体混合物の使用重量W2+種粒子(4)の使用重量W1)/種粒子(4)の使用重量W1)は、89.9(種粒子(4)の重量平均分子量Mwの45.0/10000)倍である。また、本実施例において、樹脂粒子製造工程における種粒子(4)と上記単量体混合物の合計使用量に占めるエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体)の使用量の割合(樹脂粒子におけるにエチレングリコールジメタクリレートに由来する構造単位の含有量、即ち、架橋度に等しい)は、30.0重量%である。
〔比較例2〕
[種粒子製造工程]
実施例1と同様にして、体積平均粒子径が0.75μmで、重量平均分子量(Mw)が13000である種粒子(1)のスラリー(固形分14重量%)を得た。
[第1の種粒子肥大化工程]
水性媒体としての水600gに、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3gを溶解させて混合溶液を得た。得られた混合溶液に、単官能(メタ)アクリル系単量体としてのメタクリル酸メチル150gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン1.5g(メタクリル酸メチル100重量部に対して、1重量部)と、重合開始剤(油溶性重合開始剤)としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを1.5gとを加え、混合物を得た。得られた混合物を、高速乳化・分散機(商品名「T.KホモミクサーMARK II 2.5型」、プライミクス株式会社製)により10000rpmの回転数で10分間撹拌して、乳化液を得た。
この乳化液に、種粒子製造工程で得られた体積平均粒子径が0.75μmで、重量平均分子量(Mw)が13000である種粒子(1)のスラリー(固形分14重量%)9.2g(種粒子(1)の含有量1.29g)を加え、30℃で3時間攪拌し、乳化液中に種粒子(1)が分散した分散液を得た。この時の分散液を光学顕微鏡で観察したところ、種粒子(1)の粒子径の拡大が確認され、乳化液中のメタクリル酸メチルは完全に種粒子(1)に吸収されていることが確認された。
2Lのオートクレーブ中の水1200gに分散安定剤としてのポリビニルアルコール5.4gを溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に、上記分散液を添加して、窒素パージを行った後、55℃で4時間加熱することでメタクリル酸メチルの重合を行い、次いで、70℃で2時間加熱することでメタクリル酸メチルの重合を行い、メタクリル系重合体からなる肥大化した種粒子(以下、種粒子(5)という)のスラリー(固形分14重量%)を得た。得られたスラリー中に含まれる種粒子(5)の体積平均粒子径は3.3μmであり、重量平均分子量(Mw)は20000であった。
[樹脂粒子製造工程]
体積平均粒子径が6.7μmで重量平均分子量(Mw)が20000である種粒子(4)のスラリー(固形分14重量%)53g(種粒子(4)の含有量7.4g)に代えて、本実施例の第1の種粒子肥大化工程で得た体積平均粒子径が3.3μmで、重量平均分子量(Mw)が20000である種粒子(5)のスラリー(固形分14重量%)47g(種粒子(5)の含有量6.58g)を用いた以外は、比較例1と同様にして、樹脂粒子を得た。
得られた樹脂粒子の体積平均粒子径は15.9μmであり、粒子径の変動係数は14.4%であり、比表面積は0.3m2/gであった。また、得られた樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像したところ、得られた樹脂粒子の表面には、孔の存在が認められなかった。
なお、本実施例の樹脂粒子製造工程における膨潤倍率((前記単量体混合物の使用重量W2+種粒子(5)の使用重量W1)/種粒子(5)の使用重量W1)は、101.3(種粒子(5)の分子量の50.7/10000)倍である。また、本実施例において、樹脂粒子製造工程における種粒子(5)と上記単量体混合物の合計使用量に占めるエチレングリコールジメタクリレート(架橋性単量体)の使用量の割合(樹脂粒子におけるにエチレングリコールジメタクリレートに由来する構造単位の含有量、即ち、架橋度に等しい)は、30.0重量%である。
実施例1〜6及び比較例1〜2の樹脂粒子について、樹脂粒子の架橋度、樹脂粒子製造工程で使用した種粒子、この種粒子の重量平均分子量(Mw)及び体積平均粒子径、樹脂粒子製造工程における膨潤倍率((W1+W2)/W2)、並びに、樹脂粒子の体積平均粒子径、樹脂粒子の粒子径の変動係数(CV値)、樹脂粒子の比表面積、樹脂粒子のトルエンに対する溶出成分量、及び樹脂粒子表面における孔の存在割合の各測定結果を示す。
表1に示す結果より、実施例1〜6の樹脂粒子は、当該樹脂粒子を構成する架橋重合体における前記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量(架橋度)が18〜89重量%(具体的には、26.9〜46.5重量%)の範囲内で、表面に複数の孔を有し(樹脂粒子表面における孔の存在割合が60%以上、具体的には、71〜100%で)、且つ、粒子径の変動係数が15%以下である単分散性の多孔質樹脂粒子であり、トルエンに対する溶出成分量が1〜10重量%の範囲内の耐溶剤性に優れるものであることが認められた。一方、比較例1及び2の樹脂粒子は、当該樹脂粒子を構成する架橋重合体に対する前記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量(架橋度)が18〜89重量%の範囲内で、粒子径の変動係数が15%以下であるものの、表面に孔を有しておらず(表面における孔の存在割合が0%であり)、トルエンに対する溶出成分量が10重量%を超え、耐溶剤性に劣るものであった。
〔実施例7(光学シートの製造例(実施例1の樹脂粒子を含む光学シート))〕
実施例1で得られた樹脂粒子100重量部と、バインダー樹脂としてのアクリルバインダー(三菱レイヨン株式会社製、製品名:ダイヤナール(登録商標)LR−102)140重量部とを混合し、混合物を得た。得られた混合物に、重量比1:1のトルエンとメチルエチルケトンとの混合溶剤260重量部を添加し、混合して分散液を得た。
得られた分散液を、遠心攪拌機(株式会社シンキー製、型式:AR−100)を用いて3分間攪拌し、その後、3時間放置した。
次いで、放置後の上記分散液に、硬化剤(旭化成ケミカルズ株式会社製、製品名:デュラネート(登録商標)TKA−100)30重量部を添加して、再び上記の遠心攪拌機を用いて3分間攪拌し、コーティング剤としての分散液を得た。
次いで、攪拌後の分散液(コーティング剤)を、75μmのコーターを用いてPETフィルム上に塗布し、70℃に保った乾燥機にて1時間乾燥して、光拡散層(表面層)を備えた光拡散シート(光学シート)を得た。
〔実施例8(光学シートの製造例(実施例2の樹脂粒子を含む光学シート))〕
実施例1で得られた樹脂粒子の代わりに実施例2で得られた樹脂粒子を用いること以外は実施例7と同様にして、光拡散層を備えた光拡散シート(光学シート)を得た。
〔実施例9(光学シートの製造例(実施例3の樹脂粒子を含む光学シート))〕
実施例1で得られた樹脂粒子の代わりに実施例3で得られた樹脂粒子を用いること以外は実施例7と同様にして、光拡散層を備えた光拡散シート(光学シート)を得た。
〔実施例10(光学シートの製造例(実施例4の樹脂粒子を含む光学シート))〕
実施例1で得られた樹脂粒子の代わりに実施例4で得られた樹脂粒子を用いること以外は実施例7と同様にして、光拡散層を備えた光拡散シート(光学シート)を得た。
〔実施例11(光学シートの製造例(実施例6の樹脂粒子を含む光学シート))〕
実施例1で得られた樹脂粒子の代わりに実施例6で得られた樹脂粒子を用いること以外は実施例7と同様にして、光拡散層を備えた光拡散シート(光学シート)を得た。
〔比較例3(光学シートの製造例(比較例1の樹脂粒子を含む光学シート))〕
実施例1で得られた樹脂粒子の代わりに比較例1で得られた樹脂粒子を用いること以外は実施例7と同様にして、光拡散層を備えた光拡散シート(光学シート)を得た。
〔比較例4(光学シートの製造例(比較例2の樹脂粒子を含む光学シート))〕
実施例1で得られた樹脂粒子の代わりに比較例2で得られた樹脂粒子を用いること以外は実施例7と同様にして、光拡散層を備えた光拡散シート(光学シート)を得た。
実施例7〜11及び比較例3〜4の光拡散シートのそれぞれについて、以下に示す測定方法により、ヘイズ及び相対輝度を測定した。また、実施例7〜11及び比較例3〜4の光拡散シートのそれぞれについて、以下に示す方法により、外観を評価した。
〔ヘイズの測定方法〕
光拡散シート(光学シート)のヘイズの測定は、JIS K 7136に従って、日本電色工業株式会社製のヘイズメーター「NDH−2000」型を使用して測定した。
〔輝度の測定方法〕
厚み4mmの導光板の横二方向に太さ4mmの冷陰極管を置き、更に導光板上に、作製した光拡散シート(光学シート、6.5cm×6.5cm)とプリズムシートを置いた。導光板の下には反射シート(東レ株式会社製の商品名「ルミラー E60L」)を置き、導光板から30cm離れた位置に固定した輝度計(コニカミノルタ製の商品名「CS−100」)で導光板を通過する光量(相対輝度)を測定した。
〔外観の評価方法〕
光拡散シート(光学シート)の外観を以下の基準で評価した。
○:目視で感知される欠陥(スジやムラ)の全くない極めて優れた外観
△:多少、所々に欠陥が見られる。
×:全面に細かい欠陥がはっきりと確認される極めて悪い外観
実施例7〜11及び比較例3〜4の光拡散シート(光学シート)について、光拡散シートの作製に使用した樹脂粒子の実施例番号、ヘイズ及び相対輝度の測定結果、並びに、外観の評価結果を表2に示す。
表2に示す結果より、実施例1〜4、及び6の樹脂粒子をそれぞれ含む実施例7〜11の光拡散フィルム(光学シート)は、比較例1及び2の樹脂粒子をそれぞれ含む比較例3及び4の光拡散フィルム(光学シート)と比べて、ヘイズが高く、輝度の高いものであり、且つ、外観に優れることが認められた。