JP2014198439A - 出没式筆記具 - Google Patents
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Abstract
Description
ところで、このような多機能の出没式筆記具では、リフィールのインクが消耗してしまった場合等に、該リフィールを交換可能であるのは勿論のこと、前記リフィールを好みの色や先端太さ、機能の異なるものに交換することも可能である。そこで、交換後のリフィールの色や機能等を容易に判別可能にするために、前側軸筒(前軸3)を透明材料から形成する場合がある。
そこで、特許文献1に記載の発明では、前記のようなインクの転移を防ぐために、軸筒前端側の傾斜する内壁面(3c)に、軸方向へ延びる凸部を放射状に複数形成し、この凸部の軸心方向に対する傾斜角度を調整する等の工夫を施している。しかしながら、このような構成のみではインクの転移を防ぎきれないのが現状である。
ここで、前記「透光性」には、透明や色付き透明を含む。
この構成によれば、リフィールが前進した際、チップ前端側の逆円錐状部が凸部に摺接すると、該逆円錐状部の摺接箇所よりも前側が軸筒内前端側の傾斜内面から離隔する。この前進中、特に転写ボールと凹部との間には比較的大きな隙間が確保される(図3及び図9参照)。
よって、前記リフィールがボールペン用リフィールである場合、前記逆円錐状部における前記摺接箇所よりも前側にインクが付着していたとしても、そのインクが傾斜内面に転移(転写)し難い。
また、前記リフィールがシャープペンシル用リフィールである場合も、先端部から突出した鉛芯が前記傾斜内面に当接して転写されたり折れたりするのを防ぐことができる。
この構成によれば、リフィールの前端側の逆円錐状部を、前記凸部に対し、より確実に摺接させることができ、ひいては、インクが前記傾斜内面に転移するのを効果的に防ぐことができる。
この構成によれば、前後方向に隣り合う二つの前記凸部の間に、前記逆円錐状部が入り込んで、前記逆円錐状部の前端側に付着していたインクが、前記傾斜内面に付いてしまうようなことを防ぐことができる。
この構成によれば、インクが前記傾斜内面に転移するのを、さらに確実に防ぐことができる。
ここで、前記「軸筒後方」には、軸筒の軸心と略平行な真後ろ方向や、軸筒の軸心に対し傾斜した斜め後方を含む。
この構成によれば、凸部の径内方向寄りの面に付着したインクを、該凸部よりも径外方向側の軸筒周囲から視た場合に、前記インクを見え難くすることができる(図10参照)。すなわち、前記インクに反射されて径外方向へ進む光の進路は、前記凸部のプリズム作用により、凸部と前記凹状空間との境界面で、軸筒前方寄りへ曲げられる。このため、前記インクを軸筒周囲から視た場合に見え難くすることができ、特に軸筒後方寄りから視た場合には、いっそう見え難くなる。
ここで、前記「軸筒周方向へ連続する」という構成には、前記凹凸部が軸筒軸心に直交する仮想円の周方向へ連続する態様や、前記凹凸部が軸筒軸心に傾斜する仮想円(楕円)の周方向へ連続する態様、前記凹凸部が軸筒周方向へ螺旋状に連続する態様等を含む。
この構成によれば、リフィール前端側の逆円錐状部を周方向のどの位置においても、前記凹凸部による前記作用効果を得ることができる。
この構成によれば、リフィールが前進した際に、前記逆円錐状部が螺旋状の凸部に摺接するため、この摺接の際の摩擦抵抗を比較的小さくすることができる。しかも、凹凸部の螺旋模様により、傾斜内面に付着したインクを目立ち難くすることができる上、意匠上の体裁も良好である。また、鉛芯繰出しのためのノック操作に伴い複数のリフィールが同時に進退する構造を適用した場合でも、これら複数のリフィールが前進した際に傾斜内面に食い込むようなことを防ぐことができる(図7及び図8参照)。
この構成によれば、前記逆円錐状部が、斜め前方へ移動しながら前後の凸部に順次に摺接し、前記逆円錐状部の前端側と前記傾斜内面との間の隙間が確保される。
すなわち、この発明は、少なくとも周壁に透光性部分を有する軸筒を備えた筆記具において、前記透光性部分の内面に、軸筒後方へ突出する凸部を設けることで、該凸部よりも径外方向側に、軸筒前方へ凹んだ凹状空間を確保し、前記凸部と前記凹状空間との境界面で光の進路が変化するようにした(図10参照)。
ここで、前記「軸筒」は、筆記具を構成する筒状の部材であればよく、この「軸筒」には、筆記具の略全長部分を構成する軸筒や、筆記具の前側又は後側を構成する前軸又は後軸、筆記具の先端側を構成する先口、筆記具の先端側に被せられる筒状のキャップ等を含む。
また、前記「軸筒後方」には、軸筒の軸心と略平行な真後ろ方向や、軸筒の軸心に対し傾斜した斜め後方を含む。
この構成によれば、筆記具の出没操作や、運搬時の振動、落下衝撃等に起因して、前記軸筒の内面にインクが付着したとしても、このインクを、前記凸部と前記凹状空間との境界面の屈折作用により、前記凹状空間の径外方向側から見え難くすることができる(図10参照)。
この構成によれば、ノック部に対するノック操作に連動して複数のリフィールが前進した際に、これらリフィールのチップ前端側を、螺旋状の凹凸部における周方向に隣り合う凸部間(換言すれば凹部)の空間に逃がすことができる(図7及び図8参照)。ひいては、軸筒内前端側における複数のリフィールの作動スペースを広げることが可能となる。
以下の説明中、「軸筒軸方向」とは、軸筒10の軸心(中心線)が延びる方向(図1に示す出没式筆記具1の前後方向)を意味する。
また、「軸筒径方向」とは、軸筒10の直径方向(軸筒軸方向に直交する方向)を意味する。
また、「軸筒径内方向」とは、軸筒径方向に沿って軸筒中心へ向かう方向を意味する。
また、「軸筒径外方向」とは、軸筒径方向に沿って軸筒外方へ向かう方向を意味する。
この前側軸筒12の内周面には、軸筒10の軸心に対し略平行な円筒状の平行内面12aと、該平行内面よりも前側の傾斜内面12bとが形成される。
また、凹部12b12は、凸部12b11に対し滑らかに接続された縦断面凹曲状を呈し、周方向へ連続するように形成され、図示例によれば、凸部12b11と平行する無端輪状に形成されている。
また、複数の凸部12b11のうち、最も軸筒後方側に位置する凸部12b11は、前方へ直進した際のチップ22bの逆円錐状部22b2を、その前方側から受けて摺接するように配置される(図3参照)。
チップ22bは、図2(b)に示すように、インク収容管22aの軸心に対し略平行な円筒状の平行管部22b1と、該平行管部22b1よりも前側で徐々に縮径された逆円錐状部22b2と、該逆円錐状部22b2の前端側内部のボールハウスに回転自在に抱持されて前方へ突出する転写ボール22b3とを具備し、インク収容管22aから供給されるインクを逆円錐状部22b2の前端縁と転写ボール22b3外周面との隙間から吐出する。
このクリップ支持用押子41は、前進した際に、押子ガイド体50の掛止部(図示せず)に掛止されることで、シャープペンシル用リフィール21前端の筆記部21aを軸筒10から突出させた状態に維持され、この状態を、前進した際の他の押子42との干渉により解除する。
この直接操作用押子42は、前進した際に、押子ガイド体50の掛止部に掛止されることで、ボールペン用リフィール22前端のチップ22bを軸筒10から突出させた状態に維持し、この状態を、前進した際の他の押子41(又は42)との干渉により解除する。
ガイド筒部51には、押子41,42をそれぞれ進退させるガイド孔や、前進した際の押子41,42を掛止するための掛止部等が設けられる。
押子ガイド体50によれば、シャープペンシル用リフィール21を軸筒10から突出させてクリップ支持用押子41を後退不能に掛止した状態で、鉛芯繰出しのためにノック部52がノック操作されると、該ガイド筒部51に係合している複数の押子41,42が進退し、これら押子41,42に接続されている複数のリフィール21,22も進退する。この際、シャープペンシル用リフィール21は、前端側が軸筒10内前端に掛止された状態で、後部側が往復運動されるため、最前端部から鉛芯を繰出す。
クリップ支持用押子41を前進させる操作により、ボールペン用リフィール22が軸筒前方(図2及び図3の紙面上の下方)へ直進すると、該ボールペン用リフィール22前端のチップ22bが、軸筒10内前端側の傾斜内面12bに接近してゆく(図2参照)。
そして、図3に示すように、チップ22bの逆円錐状部22b2は、複数の凸部12b11のうちの最も軸筒後方側に位置する凸部12b11に接触する(図3の実線参照)。この接触時点では、図示のように、逆円錐状部22b2の前端縁と凹部12b12との間に、比較的広い隙間s1が確保される。
このように、ボールペン用リフィール22の前進中、逆円錐状部22b2の前端縁と傾斜内面12b(詳細には凹凸部12b1)との間には、常に、隙間s1,s2,s3が確保される。よって、逆円錐状部22b2の前端縁(換言すれば、転写ボール22b3の外周)にインクが付着していたとしても、このインクが傾斜内面12bに転移(転写)するのを防ぐことができる。
この出没式筆記具2は、上記出没式筆記具1の一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、略同一の部分には同符号を用い、重複する詳細説明は適宜省略する。
前側軸筒13は、後端側を開口するとともに前端側を先細状に形成した無色透明の略円筒状の部材であり、後側軸筒11の前端開口部に対し着脱可能に接続されている。この前側軸筒13の最前端部には、リフィール21,22を出没させるための、開口部13a1が形成される。この前側軸筒13を後側軸筒11に接続する手段は、例えば螺合接続とすればよい。
傾斜内面13bは、前方へゆくにしたがって徐々に縮径する略逆円錐筒状に形成される。この傾斜内面13bには、凸部13b11と凹部13b12からなる螺旋状の凹凸部13b1が形成される(図5及び図8参照)。
この凹凸部13b1は、軸筒10の縦断面においては、凸部13b11と凹部13b12を前後方向へ交互に配置し(図5参照)、同軸筒10の横断面においては、凸部13b11と凹部13b12を周方向へ交互に配置している(図8参照)。
横断面において、周方向に隣り合う二つの凸部13b11,13b11間の角度βは、図8に示すように、これら二つの凸部13b11,13b11間にボールペン用リフィール22の外周側の少なくとも一部分が嵌り合うように、適宜に設定されている。
縦断面において、凸部13b11の突端側の角度α(図10参照)や、凹状空間s10の深さは、後述するプリズム作用を奏するように適宜に設定される。
凸部13b11の突端側は、縦断面凸曲状(図示例によれば縦断面半円状)に形成される。
各リフィール21,22を前進させた際の作用効果は、上記出没式筆記具1と略同様である。すなわち、例えば、クリップ支持用押子41を前進させる操作により、ボールペン用リフィール22が前方へ直進すると、該ボールペン用リフィール22前端のチップ22bが、軸筒10内前端側の傾斜内面13bに接近し、該チップ22bの逆円錐状部22b2が、図9に実線で示すように、縦断面において最も軸筒後方側に位置する凸部13b11に接触する。この接触時点では、図示のように、逆円錐状部22b2の前端縁と凹部13b12との間に、比較的広い隙間s1が確保される。
この状態から更にボールペン用リフィール22が前進すると、逆円錐状部22b2が凸部13b11の径内方向側の部分に摺接しながら斜め前方へ進み、逆円錐状部22b2の前端側を次の凸部13b11に接近させた状態となる(図9における下から2番目の二点鎖線参照)。この状態においても、逆円錐状部22b2の前端側と次の凸部13b11との間には隙間s2が確保される。
更に、ボールペン用リフィール22が前進すると、チップ22bの平行管部22b1が凸部13b11に摺接し、該チップ22bの逆円錐状部22b2が次の凸部13b11に接触する(図3における一番下の二点鎖線参照)。この状態においても、逆円錐状部22b2前端縁と凹部13b12との間には、隙間s3が確保される。
このように、ボールペン用リフィール22の前進中、チップ22bにおける逆円錐状部22b2の前端縁と傾斜内面13b(詳細には凹凸部13b1)との間には、常に、隙間s1,s2,s3が確保される。よって、前記前端縁にインクが付着していたとしても、このインクが傾斜内面13bに転移(転写)するのを防ぐことができる。
また、凸部13b11が軸筒10の軸心に傾斜する螺旋状であるため、平行管部22b1や逆円錐状部22b2が凸部13b11に摺接する際の摩擦抵抗を、比較的小さくすることができる。
前記進退運動によりボールペン用リフィール22は、その前端側のチップ22bを、図7(b)に示すように、軸筒10内前端側の傾斜内面13bに接近させるが、この接近状態では、図8に示すように、各チップ22bを、周方向に隣り合う凸部13b11,13b11間(換言すれば凹部13b12)の空間に逃がすことができる。
したがって、上記出没式筆記具1では、前記ノック操作に伴い複数のボールペン用リフィール22が前進した際に、図7(a)に示すように、複数のチップ22bが、軸筒10側の環状の凸部12b11に食い込むおそれがあり、これを回避するために、チップ22b前方のスペースを広く確保する必要が生じる。
しかしながら、出没式筆記具2では、前述したように、各チップ22bを周方向に隣り合う凸部13b11,13b11間に逃がすようにしているため、チップ22b前方のスペースを比較的狭くしたり、軸筒10の外径を細くしたりすることが可能である。
すなわち、凸部13b11にインクMが付着した場合、このインクMにより反射して径外方向へ進む光は、凸部13b11と凹状空間s10との境界面により屈折して、斜め前方へ進路を変えられる。
より具体的に説明すれば、図10に示すように、凸部13b11の径内方向寄りにインクMが付着した場合、このインクMに反射して放出される光のうち、一部の光の進路c1は、凸部13b11と凹状空間s10との境界面により折れ曲るように屈折して斜め前方へ進行方向を変え、さらに、凹状空間s10と軸筒10周壁との境界面や、軸筒10周壁と軸筒10周囲の空間との境界面でも若干屈折して進路を変え、軸筒斜め後方側の視点e1よりも下側へ向かう。
また、他の一部の光の進路c2は、凸部13b11と凹状空間s10との境界面により全反射して前方側へ進むため、軸筒斜め後方側にある視点e1には到達しない。
よって、軸筒斜め後方側にある視点e1からインクMを視た場合に、インクMを見え難くすることができ、ひいては、付着したインクにより軸筒10前端側の意匠上の体裁が損なわれてしまうのを防ぐことができる。
しかも、凹凸部13b1が螺旋状であるため、仮に付着したインクMが視認された場合でも、そのインクMを、螺旋模様によって目立ち難くすることができる。
また、前記透光性を有する部分は、少なくとも軸筒10の前端側であって、ボールペン用リフィール22における逆円錐状部22b2の前端縁が進退する範囲を含むように設けられていればよく、例えば、前側軸筒12,13の前端側の部分のみを透光性とし、他の部分を着色した態様とすることも可能である。
10:軸筒
11:後側軸筒
12,13:前側軸筒
12b,13b:傾斜内面
12b1,13b1:凹凸部
12b11,13b11:凸部
12b12,13b12:凹部
21:シャープペンシル用リフィール
22:ボールペン用リフィール
22b:チップ
22b2:逆円錐状部
c1,c2:光の進路
s1,s2,s3:隙間
M:インク
Claims (7)
- 少なくとも前端側に透光性部分を有する軸筒と、該軸筒内のリフィールとを備え、前記リフィールを前進させて軸筒前端から突出させるようにした出没式筆記具において、
軸筒内面の前端側で徐々に縮径する傾斜内面に、前後方向へ凸部と凹部が交互に繰り返される凹凸部を設けたことを特徴とする出没式筆記具。 - 前記軸筒内における中心軸の周囲に前記リフィールを配置し、このリフィールの前端側の逆円錐状部の前方側に、前記凸部を配置したことを特徴とする請求項1記載の出没式筆記具。
- 前後方向に隣り合う二つの前記凸部のピッチを、リフィール前端側の逆円錐状部の長さ以下の寸法に設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の出没式筆記具。
- 前進した際の前記リフィールが、該リフィール前端側の逆円錐状部を前記凸部に摺接させることで、その摺接箇所よりも前側を前記傾斜内面から離隔するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の出没式筆記具。
- 前記凸部を軸筒後方へ突出するように形成することで、前記凸部よりも径外方向側に、軸筒前方へ凹んだ凹状空間を確保したことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の出没式筆記具。
- 前記凹凸部を軸筒周方向へ連続するように設けたことを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の出没式筆記具。
- 前記凹凸部を螺旋状に設けたことを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の出没式筆記具。
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