JP2014198428A - 多層構造体、加工物、容器、包装容器、多層構造体のシール方法、多層構造体の製造方法、および、容器の製造方法 - Google Patents

多層構造体、加工物、容器、包装容器、多層構造体のシール方法、多層構造体の製造方法、および、容器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い密封性が得られるとともに、層間剥離により良好に開封できる多層シートを提供する。
【解決手段】表面層に積層する基材層を構成する材料として、165℃における損失正接tanδの値を0.18未満として多層シートを形成する。多層シートを熱成形し、基材層を剥離層21に基材層を表下層22としたトレー状の容器本体2とする。ヒートシールした際に表下層22が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止できる。樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに、剥離層21と表下層22との接着力を低下させる必要がなく、高い密閉性が得られる。
【選択図】図3

Description

本発明は、表面層と基材層とを含む積層構造を有する多層構造体、加工物、容器、包装容器、および、多層構造体のシール方法、多層構造体の製造方法、および、容器の製造方法
に関する。
食品類の包装形態としては、容器の内部に食品類の収納部と容器本体の開口部周縁にフランジ部とを設けた容器本体と、フィルム状の蓋体とを備える構成とする蓋付き容器が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の蓋付き容器は、容器本体の層間接着力がフランジ部と蓋材との接着力より小さくなるように形成されている。容器本体は、表面層にポリプロピン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂の混合物と、低密度ポリエチレンとを共押出して得られた表面層および基材層の多層シートから形成され、蓋材の直鎖状低密度ポリエチレンからなる層の面がヒートシールされる。
特開昭63−44467号公報
しかしながら、特許文献1に記載の蓋付き容器では、容器本体の層間接着力をフランジ部と蓋材との接着力より小さくすることで、高い密封性が得られなくなり、外力が作用した際に層間剥離し、誤って開封してしまうなどの不都合を生じるおそれがある。
本発明は、高い密封性が得られるとともに、層間剥離により良好に開封できる多層構造体、加工物、容器、包装容器、および、多層構造体のシール方法、多層構造体の製造方法、および、容器の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の多層構造体は、表面層と、基材層とを含む多層構造体であって、前記基材層を構成する材料は、165℃における損失正接tanδの値が0.18未満であることを特徴とする。
この発明では、表面層に積層する基材層を構成する材料として、165℃における損失正接tanδの値を0.18未満とするので、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止でき、樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに高い密閉性が得られるヒートシールの接着強度を好適に設定できる。
ここで、層間剥離とは、多層構造体を構成する層の間で剥離する状態で、例えば表面層とこの評論層に直接隣接する基材層との間で剥離する状態である。
そして、基材層を構成する材料の165℃における損失正接tanδの値が0.18以上になると、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜りが発生して開封性が悪化するという不都合を生じる。このことから、165℃における損失正接tanδの値を0.18未満とする。
なお、損失正接tanδの測定方法および測定装置は、動的粘弾性測定装置(DMS)である。そして、構成材料である樹脂の損失正接tanδは、使用する原料の配合によって制御することができる。
さらに、本発明では、前記165℃における損失正接tanδの値は、0.01以上0.18未満である構成とすることができる。
この発明では、165℃における損失正接tanδの値を0.01以上0.18未満とすることで、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止でき、樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに高い密閉性が得られるヒートシールの接着強度を好適に設定できる。
なお、165℃における損失正接tanδの値は0.18未満であれば特に問題はないが、例えば0.01以上であれば好適に用いることができる。
そして、本発明では、前記表面層と前記基材層とは、直接隣接して積層されている構成とすることが好ましい。
この発明では、表面層と基材層とを直接隣接して積層する構造とすることで、基材層による樹脂溜まりの形成を防止して、表面層と基材層との適切な層間剥離を実施するとともに高い密閉性を得るための設定が容易に得られる。
また、本発明では、前記基材層は、オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、および、ポリエステル系樹脂の群から選ばれる少なくともいずれか1種からなる構成とすることが好ましい。
この発明では、基材層として上記所定の材料を用いることにより、樹脂溜まりを形成せずに適切な層間剥離を得るための層形成が容易にできる。
さらに、本発明では、前記基材層を構成する材料は、プロピレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリプロピレン系樹脂といい、適宜PPと表す)と、エチレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリエチレン系樹脂といい、適宜PEと表す)とを、PP:PE=30質量%以上99質量%以下:1質量%以上70質量%以下で配合された樹脂組成物が用いられる構成とすることが好ましい。
この発明では、PP:PE=30質量%以上99質量%以下:1質量%以上70質量%以下で配合された樹脂組成物を用いて基材層を構成することにより、基材層を構成する材料の165℃における損失正接tanδの値を0.18未満とすることが容易にできる。
ここで、質量比PP/PEが0.429より少なくなると剛性不足を生じるおそれがあり、質量比PP/PEが99より多くなると柔軟性不足を生じるおそれがある。
また、本発明では、前記基材層には、第二基材層と、第一接着剤層と、バリア層と、第二接着剤層と、第三基材層と、第四基材層とが積層されている構成とすることが好ましい。
この発明では、基材層に、第二基材層と、第一接着剤層と、バリア層と、第二接着剤層と、第三基材層と、第四基材層とが積層されていることで、例えば食品類や医薬品、工業用品などの各種物品を良好に収納する容器や袋として好適に利用できる。
本発明の加工物は、本発明の多層構造体を用いて成形してなることを特徴とする。
この発明では、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止できる本発明の多層構造体を用いるので、樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに高い密閉性が得られる加工物を提供できる。
そして、本発明では、前記多層構造体を加熱により成形してなる構成とすることが好ましい。
この発明では、本発明の多層構造体の成形として加熱を利用することで、深絞りのカップ状、あるいは底淺のトレー状など、各種形状に容易に成形できる。
本発明の容器は、本発明の多層構造体を用いて成形してなることを特徴とする。
この発明では、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止できる本発明の多層構造体を用いるので、樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに高い密閉性が得られる容器を提供できる。
そして、本発明では、被包装物収納用の開口部周縁から外側に突設されるフランジ部を有し前記多層構造体を用いて成形された容器本体を備えている構成とすることが好ましい。
この発明では、被包装物収納用の開口部周縁から外側に突設されるフランジ部を有する容器本体を本発明の多層構造体を用いて成形することで、フランジ部上で例えばシールされた蓋体を開封する際、表面層と基材層との間で樹脂溜まりが形成されていないので良好に層間剥離できるとともに、高い密封性が得られる容器を提供できる。
また、本発明では、前記フランジ部の前記表面層には、前記開口部を囲んで切欠溝が設けられている構成とすることが好ましい。
この発明では、フランジ部の表面層に開口部を囲んで切欠溝を設けることにより、例えばフランジ部にシールされた蓋体を開封する際、表面層と基材層との間で良好に層間剥離された後、切欠溝により蓋体と表面層との間で剥離して開口部を良好に開封できる。
そして、本発明では、前記切欠溝は、前記表面層の厚さ寸法以上の深さに設けられた構成とすることが好ましい。
この発明では、表面層の厚さ寸法以上の深さに切欠溝を設けているので、例えばシールされた蓋体を開封する際、表面層が第一基材層との間で層間剥離された後、確実に切欠溝により開口部側で表面層の層間剥離が解除されて蓋体と表面層との間で剥離し、確実に開口部を開封できる。
さらに、本発明では、前記容器本体の形状は、カップ状あるいはトレー状である構成とすることが好ましい。
この発明では、容器本体の形状をカップ状あるいはトレー状とすることで、一般的な装置を用いてヒートシールを行うことができる。
本発明の包装容器は、蓋体が容器本体のフランジ部において接着された包装容器であって、前記容器本体が本発明の容器の容器本体であることを特徴とする。
この発明では、蓋体がフランジ部において接着される容器本体に、本発明の容器の容器本体を用いることで、表面層と基材層との間で良好に層間剥離できるとともに、高い密封性が得られる包装容器を提供できる。
本発明の多層構造体のシール方法は、本発明の多層構造体を用いて成形してなり、開口部の周縁にフランジ部を配設した容器本体と、蓋材とを、シール盤を用いて前記フランジ部でヒートシールする多層構造体のシール方法であって、前記シール盤は、基盤部とその一方の面に環状形状のシール部を有し、前記シール部は、前記環状形状の外周縁側に外周縁に従って被ヒートシール面から離間する離間面と、当該離間面より前記環状形状の内周縁側に設けられ前記被ヒートシール面に平行な平面と、を備え、前記シール盤を、前記蓋材を介して前記フランジ部に押圧してヒートシールすることを特徴とする。
この発明では、多層構造体を用いた容器本体に蓋体をヒートシールする際、環状形状の外周縁側に離間面を有し、離間面より内周縁側に平面を有するシール部を有したシール盤を用いるので、平面で融着性の高いヒートシールが得られるとともに、離間面の外周縁側に従って押圧力が小さくなることで、樹脂が緩やかに移動し、ヒートシールした部分の内周縁側に樹脂溜まりが形成されることを防ぐことができる。このため、表面層と基材層との間で良好に層間剥離できるとともに、高い密封性が得られる。
本発明の多層構造体の製造方法は、表面層と、基材層とを含む多層構造体を製造する製造方法であって、165℃における損失正接tanδの値が0.18未満の材料を用いて前記基材層を形成することを特徴とする。
この発明では、本発明の多層構造体を製造する製造方法に展開したもので、本発明の多層構造体と同様の作用効果を奏する。
本発明の容器の製造方法は、本発明の多層構造体を成形することを特徴とする。
この発明では、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止できる本発明の多層構造体を用いて成形するので、樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに高い密閉性が得られる容器を提供できる。
本発明によれば、表面に臨む表面層と積層する基材層を構成する材料として、165℃における損失正接tanδの値を0.18未満とするので、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止でき、樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに高い密閉性が得られるヒートシールの接着強度を好適に設定できる。
本発明の多層構造体の一実施形態に係る多層シートの断面図。 前記多層シートを用いた易開封性容器を示した図であって、開封開始部から蓋体を開封した状態を示す概略図。 図2のIX-IX断面図であって、(A)は開封前の状態、(B)は開封後の状態を示す図である。 前記易開封性容器のシール工程を示した模式図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、本発明の多層シートとして包装容器の容器本体に成形する構成を例示するが、この限りではない。
[多層シートの構成]
図1において、10は多層シートで、多層シート10は、表面層11と、この表面層に隣接した基材層12との2層が順次積層された積層体である。
表面層11は、多層シート10を例えば容器本体の形状に成形したときに、内容物と接しかつ蓋体のシーラントとヒートシールされる層となる。そして、詳細は後述するが、易開封性容器の容器本体として用いられ易開封性容器の開封のように、蓋体とヒートシールされた部分は、蓋体と共に容器本体から剥離される。
表面層11としては、例えば蓋体とヒートシールされる材料、好ましくはポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。具体的には、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、ブロックポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂や、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレン系樹脂、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体などが用いられる。
基材層12は、表面層11に隣接して表面層11の下層を構成し、後述する易開封性容器の開封に際して表面層11との間で層間剥離される。
基材層12は、165℃における損失正接tanδの値が0.18未満、好ましくは0.10以下、特に好ましくは0.07以下の材料が用いられる。
ここで、基材層12を構成する材料の165℃における損失正接tanδの値が0.18以上になると、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜りが発生して開封性が悪化するという不都合を生じる。これらのことから、165℃における損失正接tanδの値を0.18未満とする。なお、損失正接tanδの値は0.18未満であれば特に問題はないが、例えば0.01以上であれば、好適に用いることができる。
そして、損失正接tanδの測定方法および測定装置は、動的粘弾性測定装置(DMS)である。そして、構成材料である樹脂の損失正接tanδは、使用する原料の配合によって制御することができる。
基材層12を構成する具体的な材料としては、例えばオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、および、ポリエステル系樹脂の群から選ばれる少なくともいずれか1種からなる構成とすることが好ましい。
そして、オレフィン系樹脂としては、具体的にはポリプロピレン、ポリエチレンなどが用いられ、特にポリプロピレンが広く流通されて容易に入手でき安価であるとともに高強度である点から好適に用いられる。
ポリスチレン系樹脂としては、具体的には汎用の透明で剛性のあるGPグレードのポリスチレンや、耐衝撃性のHIグレードのポリスチレンなどが用いられ、特にHIグレードのポリスチレンが容器などとして利用する際に要求される耐衝撃性の点から好適に用いられる。
ポリエステル系樹脂としては、具体的には非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステルなどが用いられ、特に非晶性ポリエステルが加工性の理由から好適に用いられる。
特に、基材層12として、プロピレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリプロピレン系樹脂といい、適宜PPと表す)と、エチレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリエチレン系樹脂といい、適宜PEと表す)とを、PP:PE=30質量%以上99質量%以下:1質量%以上70質量%以下で配合された樹脂組成物を用いることが好ましい。
ここで、質量比PP/PEが0.67より小さくなるとヒートシール時に樹脂溜りが発生して開封不良を発生するという不都合を生じるおそれがある。特に、質量比PP/PEが0.429より少なくなると剛性不足を生じるおそれがあり、質量比PP/PEが99より多くなると柔軟性不足を生じるおそれがある。
そして、ポリプロピレン系樹脂とは、具体的には、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、およびこれらの混合物の4種類のうちのいずれかから選択されたものである。そして、耐熱性を考慮する場合には、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンの順で好ましい。また、他の層とのシール性を考慮する場合には、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ホモポリプロピレンの順で好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂とは、具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどが用いられ、特に低密度ポリエチレンが成形加工安定性の理由から好適に用いられる。
なお、基材層12には、タルクなどの無機フィラーが添加されてもよい。
また、基材層12は、表面層11に直接隣接して積層形成されているが、表面層11と基材層12との間に、接着層などのヒートシールにより流動しない、もしくは流動しにくい比較的に薄膜な層が設けられていてもよい。
[易開封性容器の構成]
次に、上記多層シート10を用いた易開封性容器の構成について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の易開封性容器1の一態様を示した概略図であり、図3は図2のIX-IX断面図であって、(A)は開封前の状態、(B)は開封後の状態を示す図である。
易開封性容器1は、容器本体2と蓋体3とを備えている。容器本体2は、上記多層シート10を成形、具体的には加熱により成形してなるもので、多層シート10の表面層11が剥離層21に、基材層12が表下層22に相当し、剥離層21および表下層22の2層がこれらの順で積層された積層体である。
容器本体2は、所定の深さを有する略長方形のトレー形状であって、略長方形状の開口部24を有し、当該開口部24の周縁には、外側に張り出すようにフランジ部25が配設されている。易開封性容器1は、フランジ部25と、開口部24に対してフランジ部25に載置された蓋体3とがヒートシールされて環状のヒートシール部26(図3参照)が形成され、易開封性容器1の内部が密封状態とされる。さらに、容器本体2には、ヒートシール部26の内側に対して周状の切欠溝としてのノッチ27が、剥離層21を切り込む状態に設けられている。
ここで、ノッチ27は、剥離層21のノッチ27の位置における厚さ方向の一部が残る状態でも、蓋体3を開封した際に剥離層21がノッチ27の位置で切断され、ノッチ27より開口部24側の剥離層21まで層間剥離しないような深さ以上であれば特に限定されない。特に、表下層22に達する深さ、すなわち剥離層21の厚さ寸法以上の深さに設けられていることが好ましい。なお、ノッチ27は、例えば多層シート10から容器本体2を成形する際に金型に設けられた爪状部材により成形動作で一連に形成したり、容器本体2の成形後に切込形成したりしてもよい。
そして、密封状態の易開封性容器1を開封するには、図3(A)に示すように、易開封性容器1の隅角に設けられた開封開始部4において蓋体3を上部に引き上げるようにすれば、図3(B)に示すように、易開封性容器1が簡便に開封される。
また、容器本体2のフランジ部25の厚さ寸法は、好ましくは200μm以上2000μm以下、より好ましくは250μm以上600μm以下、特に好ましくは300μm以上500μm以下とする。
ここで、フランジ部25の厚さ寸法が200μmより薄くなると容器としての剛性が下がるという不都合を生じるおそれがあり、2000μmより厚くなると、多くの材料が必要となって製造コスト(原料費)が上がるという不都合を生じるおそれがあることから、上記範囲に設定される。
蓋体3は、本実施形態にあっては、易開封性容器1の外部に現れる基材層としての外層32と、容器本体2の剥離層21とヒートシールされるシーラント層であるシール層31からなる積層体である。
蓋体3を構成する外層32は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ナイロンフィルム(O−Ny)などを使用することができる。また、シール層31は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などの樹脂組成物を使用することができる。
そして、容器本体2と蓋体3とをヒートシールすることで、剥離層21とシール層31とが融着してヒートシール部26が形成され、開封の際には、応力に対して弱い容器本体2の剥離層21がノッチ27から外周側で表下層22と層間剥離される。
ここで、易開封性容器1を製造するにあって、図4に示すような環状シール盤7を備えたシール装置70を用いる。容器本体2のフランジ部25と蓋体3とを融着して易開封性容器1を密封状態とするには、容器本体2のフランジ部25に蓋体3を重ね合わせ、この蓋体3の上面から、シール装置70の加熱状態の環状シール盤7を押圧することによりヒートシールが実施される。
すなわち、容器本体2のフランジ部25と蓋体3とのヒートシールは、図4に示すように、容器本体2のフランジ部25に蓋体3を重ね合わせ、当該蓋体3の上部から、加熱状態の環状シール盤7を図4中の矢印方向に押圧することにより実施され、これにより、容器本体2のフランジ部25に現れた剥離層21と蓋体3のシール層31が融着される。
本実施形態の易開封性容器1を製造するために使用される環状シール盤7は、環状のシール部7Aと、平板状の基盤部7Bとを備えている。環状シール盤7を構成する材料は特に限定されないが、例えば、アルミ、鉄、銅などの伝熱性を有する金属、またはこれらの合金から適宜選択することができる。基盤部7Bの厚みや形状は特に限定されず、シール装置に合わせて、適宜変更したものを好適に用いることができる。
シール部7Aは、特に限定されないが、例えば、円型、楕円型、多角型、ひょうたん型、涙型など、目的とする容器のフランジ形状に合わせて、適宜変更することができる。
シール部7Aには、フランジ部25の上面に対して平行な平面である平面部7A1が内周側に設けられ、平面部7A1の外周側には平面部7A1に連続して、外周側に向かってフランジ部25の上面から離間する方向に傾斜した離間部7A2が設けられている。なお、平面部7A1の内周縁には、面取り用のR加工された凸曲面7A3が設けられているが、設けなくてもよい。
このうち、環状シール盤7の外周縁側に形成される離間部7A2における、フランジ部25の上面に対して内周縁から外周縁に向かって形成されることとなる傾斜角、すなわち被ヒートシール面26Aとなる水平面に対する離間部7A2の角度(θ)は環状シール盤7の幅である距離Hによって異なるが、2°以上20°以下、好ましくは3°以上15°以下、より好ましくは6°以上12°以下と設定することが好ましい。
この離間部7A2の角度が2°より小さいと、ヒートシール時にシール部1Aを押圧した場合であっても、被シール面231と離間部12との間隔が十分でなくなり、平面部11に遅れることなく、ほぼ同時に離間部12が被シール面231を押圧し、離間部12に対応するヒートシール部23に樹脂を流動させることができないおそれがある。一方、離間部7A2の角度が20°を超えると、平面部7A1との境界の周辺がなだらかでなく尖ってしまい、シール時もしくは開封時に蓋体3が切断されてしまうおそれがあり、易開封性が損なわれるおそれがある。
また、離間部7A2は、シール部7Aの断面の幅Hに対し、0.2H以上0.8H以下の幅で形成されることが好ましく、より好ましくは0.4H以上0.6H以下である。離間部7A2の幅が0.2Hよりも小さくなると、平面部7A1によって押圧されて外周側に流動される樹脂が多くなるとともに、平面部7A1に遅れて当接する離間部7A2の幅が狭すぎて、樹脂を離間部7A2に対応するヒートシール部26に緩やかに移動させることが難しくなる。その結果、ヒートシール部26の外周縁近傍に樹脂溜まりが形成され易くなり、得られた易開封性容器1の開封時にこの樹脂溜まりが引っかかって、ヒートシール部26の外側で抵抗が大きくなり、易開封性容器1の開封を円滑に行うことが困難となるおそれがある。また、離間部7A2の幅が0.8Hよりも大きくなると、被ヒートシール面26Aと平行な平面部7A1の幅が狭くなり、被ヒートシール面26Aを十分に押圧できなくなり、容器本体2と蓋体3とのヒートシールが十分でなく、易開封性容器1の密封性が不十分になるおそれがある。また、離間部7A2の外周端と被ヒートシール面26Aとの離間距離が大きくなるため、外周端に対応する位置までヒートシールしようとすると、平面部7A1における押圧力が強くなりすぎ、容器本体2や蓋体3を破損してしまうおそれがある。
なお、幅Hは、特に限定されないが、例えば0.8mm以上3.0mm以下、さらに好ましくは0.9mm以上2.5mm以下、特に好ましくは1mm以上2mm以下を好適に用いている。
また、環状シール盤7に内周縁側に形成される凸曲面7A3に施されるR加工としては環状シール盤7の幅Hによって異なるが、平面部7A1との境界の周辺が尖ることなくなだらかで、シール時もしくは開封時に蓋体3が切断されてしまわないいわゆる面取りとされるR加工が好ましい。
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、表面層11(剥離層21)に積層する基材層12(表下層22)を構成する材料として、165℃における損失正接tanδの値を0.18未満としている。
このため、例えばヒートシールした際に基材層12(表下層22)が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止でき、樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに、表面層11(剥離層21)と基材層12(表下層22)との接着力を低下させる必要がなく、高い密閉性が得られるヒートシールの接着強度を好適に設定できる。
そして、上記実施形態では、表面層11(剥離層21)と基材層12(表下層22)とを直接隣接して積層する構造としている。
このため、基材層12(表下層22)による樹脂溜まりの形成を防止して、表面層11(剥離層21)と基材層12(表下層22)との適切な層間剥離を実施するとともに高い密閉性を得るための設定が容易にできる。
また、上記実施形態では、基材層12(表下層22)として、オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、および、ポリエステル系樹脂の群から選ばれる少なくともいずれか1種を用いている。
ことため、樹脂溜まりを形成せずに適切な層間剥離を得るための層形成が容易にできる。
さらに、上記実施形態では、PP:PE=30質量%以上99質量%以下:1質量%以上70質量%以下で配合された樹脂組成物を用いて基材層12(表下層22)を形成している。
このため、基材層12(表下層22)を構成する材料の165℃における損失正接tanδの値を0.18未満とすることが容易にできる。
そして、所定の損失正接tanδの基材層12(表下層22)を有した多層シート10を用いて容器本体2を形成している。
このため、良好な層間剥離が得られるとともに高い密封性が得られる易開封性容器1を提供できる。
また、多層シート10からなる容器本体2として、被包装物収納用の開口部24周縁から外側に突設されるフランジ部25を有した構成としている。
このため、フランジ部25上で例えばシールされた蓋体3を開封する際、表面層11(剥離層21)と基材層12(表下層22)との間で良好に層間剥離できるとともに、高い密封性が得られる易開封性容器1を提供できる。
さらに、フランジ部25の表面層11に開口部24を囲んでノッチ27を設けている。
このため、例えばフランジ部25にシールされた蓋体3を開封する際、表面層11(剥離層21)と基材層12(表下層22)との間で良好に層間剥離された後、ノッチ27により蓋体3と表面層11(剥離層21)との間で剥離して開口部24を良好に開封できる。
また、ノッチ27の深さを、少なくとも表面層11から形成されたる剥離層21の厚さ寸法以上としている。
このため、シールされた蓋体3を開封する際、剥離層21が表下層22との間で層間剥離された後、ノッチ27により開口部24側で剥離層21の層間剥離が確実に解除されて蓋体3と剥離層21との間で剥離し、確実に開口部24を良好に開封できる。
そして、容器本体2の形状をトレー状としている。
このため、一般的な装置を用いてヒートシールを行うことができる。
[変形例]
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した材質、層構成などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、多層シート10として2層構造を例示したが、3層以上の多層構造とすることができる。また、本発明の所定の損失正接tanδの基材層12(表下層22)としては、1層のみに限らず、複数の層としてもよい。
すなわち、多層シート10(容器本体2)の層構成としては、例えば以下に示す層構成としてもよい。
(a)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/バリア層
(b)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/第二基材層/バリア層
(c)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/バリア層/基材層12(表下層22)
(d)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/バリア層/基材層12(表下層22)/外表層(表面層11)
(e)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/第二基材層/バリア層/第二基材層
(f)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/第二基材層/バリア層/第二基材層/基材層12(表下層22)
(g)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/第二基材層/バリア層/第二基材層/基材層12(表下層22)/外表層(表面層11)
(h)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/第二基材層/第一接着剤層/バリア層/第二接着剤層/第二基材層/基材層12(表下層22)/外表層(表面層11)
などの構造を挙げることができる。
ここで、表面層11は、他のフィルムなどとヒートシールされる層で、例えば、本発明の多層構造体(多層シート10)を容器本体2の形状に成形したときに、内容物と接しかつ蓋体3のシーラントとヒートシールされる層となる。そして、上述した易開封性容器1の開封のように、蓋体3とヒートシールされた部分は、蓋体3と共に容器本体2から剥離される。
また、基材層12は、表面層11の下層を構成し、例えば本発明の多層構造体を用いて成形された容器本体2を蓋体3とヒートシールして、蓋体3を開封する際に、表面層11との間で層間剥離する層で、多層構造体(多層シート10)の主要となる層であり、発明の多層構造体を用いて成形された容器本体2の表下層22を構成する層ある。なお、基材層12は、以下の第二基材層が積層される場合には、主要となる層として機能しなくてもよい。
さらに、第二基材層は、多層構造体(多層シート10)の主要となる層として設けられ、例えば本発明の多層構造体を用いて成形された容器本体2の主要構成となる層である。
そして、接着層は、第二基材層とバリア層とを接着する層で、例えばウレタン系のエラストマー、スチレン系のエラストマー、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル(EVA)などの材料を好適に用いることができる。接着層の厚みは、10μm以上50μm以下が好ましく、20μm以上40μm以下がさらに好ましい。
また、バリア層は、酸素を遮断する樹脂を使用した層で、当該バリア層を備えることにより酸素透過遮断性を備えた多層構造体(多層シート10)を提供できる。バリア層としては、例えば、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などの材料を好適に用いることができる。また、バリア層の層厚は、10μm以上210μm以下が好ましく、20μm以上170μm以下がさらに好ましい。
第四基材層としての外表層は、隣接する層と相性の良い材料が用いられ、例えば、本発明の多層構造体を用いて成形された易開封性容器1の容器本体2の外表面に臨む層で、基材層12、第二基材層、あるいは表面層で使用する材料と同様の材料を好適に用いることができる。また、基材層12、第二基材層、あるいは表面層11で使用する材料と異なる材料を用いてもよい。
上記(c)〜(h)の構造のように、層構成中に複数の層が繰り返し設けられていてもよい。このうち、断面対象構造となる上記(h)の構造が製膜安定性という理由から好適である。
なお、上記(h)とする積層構造では、例えば食品類や医薬品、工業用品などの各種物品を良好に収納する容器や袋として利用できる。
同様に、蓋体3の層構成(外層32/シール層31)に限らず、外層32/バリア層/シール層31、あるいは第一外層32/第二外層32/シール層31の構成などが挙げられる。
そして、容器本体2として多層シート10をトレー状に成形して説明したが、カップ状、その他の形状に成形してもよい。また、多層シート10から容器本体2を成形する場合に限らず、各種加工物に成形してもよい。
また、蓋体3の融着に際して、所定の形状のシール部7Aを有した環状シール盤7を用いたが、この構成に限らず、一般的に利用されているシール盤でもよい。
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、本発明は、以下の実施例および比較例により制限されるものではない。
[実施例1]
下記に示すように、以下の層構成を示す多層シート10を用いて易開封性容器1の容器本体2を成形し、全体形状が図2、また、開封開始部4の断面構成が図3に示される易開封性容器1を製造した。
(多層シート10の製造)
共押出成形により、以下の表面層/第一基材層(基材層)/第二基材層/第一接着層/バリア層/第二接着層/第三基材層/第四基材層(外表層)からなる、厚さが400μmの多層シート10を成形した。
表面層:ポリプロピレン(100質量%) (80μm)
第一基材層:ポリプロピレン(80質量%)+低密度ポリエチレン(16質量%)+高密度ポリエチレン(4質量%) (120μm)(tanδ=0.10)
第二基材層:ポリプロピレン(80質量%)+ポリエチレン(10質量%)+無水マレイン酸変性ポリプロピレン共重合体(10質量%) (205μm)
第一接着層:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(20μm)
バリア層:エチレン−ビニルアルコール共重合体(30μm)
第二接着層:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(20μm)
第三基材層:ポリプロピレン(80質量%)+ポリエチレン(10質量%)+無水マレイン酸変性ポリプロピレン共重合体(10質量%) (205μm)
第四基材層:ポリプロピレン(80質量%)+低密度ポリエチレン(16質量%)+高密度ポリエチレン(4質量%) (120μm)の積層体
(容器本体2の構成)
次に、上記多層シート10を用いて、プラグアシスト真空成形により、45mm×60mm×25mmのフランジ付の容器本体2を成形した。なお、この容器本体2は、開口部24に対して幅5mmのフランジ部25を有し、略長方形のトレー状となるように形成されている。さらに、フランジ部25には、表下層22に達する深さのノッチ27を設けた。
このようにして得られた容器本体2の開口部24周縁のフランジ部25に対して、下記構成からなる多層フィルムを蓋体3として載置して、下記のシール条件を用い、また、環状シール盤7として、図4に示した、離間部7A2と平面部7A1と凸曲面7A3とが全周に形成された環状シール盤(シールリング)7を使用して、蓋体3を容器本体2のフランジ部25に対してヒートシールして、上記実施形態の易開封性容器1と同様の形状に製造した。
なお、この構成の容器本体2と蓋体3を使用すると、開封時は、容器本体2の表面層11と基材層12との間の層間剥離が行われる。
(蓋体3の構成)
シール層31:ポリエチレン(60μm)
外層32:ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ポリアミド(ナイロン)(15μm)(PET/Ny/PEの順)
(シール条件)
シール温度: 200℃
シール圧力: 1960N(200kgf/個)
時間: 1.1秒
ヒートシールの回数: 1回
(環状シール盤の仕様)
シール幅H: 3mm
傾斜角度θ(離間部7A2):6°
離間部7A2の下端からのR加工:0.9mmR
[実施例2]
実施例1において、多層シート10(容器本体2)の第一基材層(基材層12)の構成を下記のようにした以外は、実施例1と同様な方法を用いて、易開封性容器1を製造した。
なお、この構成の容器本体2と蓋体3を使用すると、実施例1と同様、開封時は、容器本体2の層間剥離が行われる。
(第一基材層の構成)
ポリプロピレン(80質量%)+ポリエチレン(200質量%)(100μm)(tanδ=0.17)
[実施例3]
実施例1において、多層シート10(容器本体2)の第一基材層(基材層12)の構成を下記のようにした以外は、実施例1と同様な方法を用いて、易開封性容器1を製造した。
なお、この構成の容器本体2と蓋体3を使用すると、実施例1と同様、開封時は、容器本体2の層間剥離が行われる。
(第一基材層の構成)
ポリプロピレン(100質量%) (100μm)(tanδ=0.15)
[比較例1]
実施例1において、多層シート10(容器本体2)の第一基材層(基材層12)の構成を下記のようにした以外は、実施例1と同様な方法を用いて容器を製造した。
(第一基材層の構成)
ポリプロピレン(ブロックPP85質量%)+ポリエチレン(15質量%) (100μm)(tanδ=0.32)
[比較例2]
実施例1において、多層シート10(容器本体2)の第一基材層(基材層12)の構成を下記のようにした以外は、実施例1と同様な方法を用いて容器を製造した。
(第一基材層の構成)
ポリプロピレン(ブロックPP100質量%) (100μm)(tanδ=0.24)
[試験例]
前記のようにして得られた実施例1〜3および比較例1,2の開封強度、開封時の開封感、および、内圧強度を下記の基準にて比較・評価した。結果を表1に示す。
(開封性)
上記形状の易開封性容器1の蓋体3の角部をチャックで掴み、蓋体3の天面とチャックの角度を45°にして引っ張った際の開封強度を測定した。開封強度の測定には、株式会社イマダ製のデジタルフォースゲージを用いた。測定は、5回実施して平均値を演算し、以下の2段階で評価した。
◎:開封強度が4.9N以上9.8N未満(0.5kgf/開封口以上1.0kgf/開封口以下)
○:開封強度が9.8N以上14.7N以下(1.0kgf/開封口以上1.5kgf/開封口以下)
×:開封強度が14.7Nより大きい
(内圧強度)
易開封性容器に加圧空気を1.0±0.2リットル/minで注入し、当該容器が破裂したときの圧力(MPa)を測定した。試験は、破裂強度試験機(株式会社サン科学製)を用い、n=5で行った。内圧強度の評価は、以下の4段階で評価した。
◎:内圧強度が非常に高い。(0.100MPa以上)
○:内圧強度が高い。(0.060MPa以上0.099MPa以下)
△:内圧強度がやや低い。(0.030以上0.059MPa以下)
×:内圧強度が低い。(0.03MPa未満)
表1に示すように、ヒートシール後の第一基材層の樹脂溜りが大きく開封不良に繋がるという結果から、樹脂溜りが発生しない樹脂配合が必要という考察が得られる。
本発明の多層構造体は、ヒートシールにより高密封性と易開封性を併せ持っており、例えば、レトルト食品等の各種食品や薬品、化粧品等に包装容器として広く利用することができるものである。
1………容器としての易開封性容器
2………加工物である容器としての容器本体
3………蓋体
7………シール盤である環状シール盤
7A……シール部
7A1…平面である平面部
7A2…離間面である離間部
7B……基盤部
10……多層構造体としての多層シート
11………表面層
12………基材層
24………開口部
25……フランジ部
27……切欠溝としてのノッチ

Claims (17)

  1. 表面層と、基材層とを含む多層構造体であって、
    前記基材層を構成する材料は、165℃における損失正接tanδの値が0.18未満である
    ことを特徴とする多層構造体。
  2. 請求項1に記載の多層構造体であって、
    前記165℃における損失正接tanδの値は、0.01以上0.18未満である
    ことを特徴とする多層構造体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の多層構造体であって、
    前記表面層と前記基材層とは、直接隣接して積層されている
    ことを特徴とする多層構造体。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の多層構造体であって、
    前記基材層は、オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、および、ポリエステル系樹脂の群から選ばれる少なくともいずれか1種からなる
    ことを特徴とする多層構造体。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の多層構造体であって、
    前記基材層を構成する材料は、プロピレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリプロピレン系樹脂といい、適宜PPと表す)と、エチレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリエチレン系樹脂といい、適宜PEと表す)とを、PP:PE=30質量%以上99質量%以下:1質量%以上70質量%以下で配合された樹脂組成物が用いられる
    ことを特徴とする多層構造体。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の多層構造体であって、
    前記基材層には、第二基材層と、第一接着剤層と、バリア層と、第二接着剤層と、第三基材層と、第四基材層とが積層されている
    ことを特徴とする多層構造体。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の多層構造体を用いて成形してなる
    ことを特徴とする加工物。
  8. 請求項7に記載の加工物であって、
    前記多層構造体を加熱により成形してなる
    ことを特徴とする加工物。
  9. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の多層構造体を用いて成形してなる
    ことを特徴とする容器。
  10. 請求項9に記載の容器であって、
    被包装物収納用の開口部周縁から外側に突設されるフランジ部を有し前記多層構造体を用いて成形された容器本体を備えている
    ことを特徴とする容器。
  11. 請求項10に記載の容器であって、
    前記フランジ部の前記表面層には、前記開口部を囲んで切欠溝が設けられている
    ことを特徴とする容器。
  12. 請求項11に記載の容器であって、
    前記切欠溝は、前記表面層の厚さ寸法以上の深さに設けられた
    ことを特徴とする容器。
  13. 請求項10から請求項12までのいずれか一項に記載の容器であって、
    前記容器本体の形状は、カップ状あるいはトレー状である
    ことを特徴とする容器。
  14. 蓋材が容器本体のフランジ部において接着された包装容器であって、
    前記容器本体が請求項10から請求項13までのいずれか一項に記載の容器の容器本体であることを特徴とする包装容器。
  15. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の多層構造体を用いて成形してなり、開口部の周縁にフランジ部を配設した容器本体と、蓋材とを、シール盤を用いて前記フランジ部でヒートシールする多層構造体のシール方法であって、
    前記シール盤は、
    基盤部とその一方の面に環状形状のシール部を有し、
    前記シール部は、前記環状形状の外周縁側に外周縁に従って被ヒートシール面から離間する離間面と、当該離間面より前記環状形状の内周縁側に設けられ前記被ヒートシール面に平行な平面と、を備え、
    前記シール盤を、前記蓋材を介して前記フランジ部に押圧してヒートシールする
    ことを特徴とする多層構造体のシール方法。
  16. 表面層と、基材層とを含む多層構造体を製造する製造方法であって、
    165℃における損失正接tanδの値が0.18未満の材料を用いて前記基材層を形成する
    ことを特徴とする多層構造体の製造方法。
  17. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の多層構造体を成形する
    ことを特徴とする容器の製造方法。
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