JP2014196615A - 掘削ビット及びこれに用いられる掘削チップ - Google Patents

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和由 中村
博士 太田
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Abstract

【課題】掘削チップの突出量を大きく確保して再研磨の回数を増大させつつ、削孔中に掘削チップが折損等するような事態を防止でき、工具寿命を延長できること。【解決手段】ビット本体2の工具先端面5に複数の掘削チップ10が突設された掘削ビットであって、掘削チップ10は、ビット本体2に埋め込まれる柱状のチップ本体部11と、半球状をなすチップ刃部12と、チップ本体部11とチップ刃部12との連結部分に形成される稜線部13とを備え、チップ刃部12の外面には、稜線部13からチップ先端側へ向かうに従い漸次チップ径方向の内側へ向けて傾斜するテーパ状の傾斜面15と、傾斜面15のチップ先端側に配置され半球面状をなす刃先面14とが形成され、刃先面14の半径中心が稜線部13よりもチップ先端側に配置され、掘削チップ10の稜線部13と、ビット本体2の工具先端面5とのチップ中心軸C方向に沿う距離Lが、1.5mm以下である。【選択図】図4

Description

本発明は、工具軸線回りに回転される柱状のビット本体と、該ビット本体の工具先端面に突設された複数の掘削チップと、を備えた掘削ビット、及び、これに用いられる掘削チップに関するものである。
地盤を掘削する掘削工具として、超硬合金等の硬質材料からなるボタンチップ(掘削チップ)が先端に複数突設された掘削ビットと、該掘削ビットの基端側に連結される掘削ロッドと、を備えたものが知られている。そして、複数の掘削ロッドを介して、掘削装置からの推力、打撃力及び回転力が先端の掘削ビットに伝達されることで、掘削工具は地盤を掘り進んでいく。
掘削ビット及びこれに用いられる掘削チップとして、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。ここで掘削チップは、ビット本体に埋め込まれる円柱状のチップ本体部と、該チップ本体部のチップ先端側に位置して半球状をなすチップ刃部と、を有しており、削孔によりそのチップ刃部が摩耗していくのだが、このように摩耗した状態で削孔を続けると掘削効率に影響するため、一般に研磨ピン(特許文献1では研磨カップと記載)を用いてチップ刃部を再研磨することにより、該チップ刃部の外面を半球面状に維持することが行われている。
特許第4116572号公報
ところで、掘削ビットにおける寿命として一般的な形態は、ビット本体の工具先端面外周(ゲージ面)に位置する掘削チップ(ゲージチップ)が摩耗することによって、所定の掘削孔径を得る事ができなくなることである。特に昨今では超硬岩帯での削孔も盛んであり、掘削チップへの負担がかかるようになってきている。解決方法として掘削チップ自体の硬度を上げることで耐摩耗性を向上させる事があげられるが、硬度を上げる事は耐欠損性の低下を招き、衝撃工具においては限界がある。また掘削チップの表面にダイヤモンド層を形成したものも存在するが、製造コストと工具寿命との間の折り合いが付かず、トンネル・鉱山・砕石業界では一般的には受けいれられていない。
ここで、掘削チップの再研磨の回数を増やすことができれば該掘削チップの寿命がその分延長されることから、掘削チップをビット本体の工具先端面からより大きく突出させて、突出量(突き出し高さ)を確保する手法が考えられる。
しかしながら、単純に掘削チップの突出量を大きくした場合、削孔中に掘削チップが折損したり破損しやすくなり、逆効果になるおそれがある。具体的に、このような折損等は、掘削チップのチップ本体部とチップ刃部との間の稜線部を起点として生じやすく、削孔時に稜線部が地盤に衝突させられることは好ましくない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、掘削チップの突出量を大きく確保して再研磨の回数を増大させつつも、削孔中に掘削チップが折損したり破損するような事態を防止でき、これにより工具寿命を延長することができる掘削ビット、及びこれに用いられる掘削チップを提供することを目的としている。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明は、工具軸線回りに回転される柱状のビット本体と、前記ビット本体の工具先端面に突設された複数の掘削チップと、を備えた掘削ビットであって、前記掘削チップは、前記ビット本体に埋め込まれる柱状のチップ本体部と、前記チップ本体部のチップ中心軸に沿うチップ先端側に位置して半球状をなすチップ刃部と、前記チップ本体部と前記チップ刃部との連結部分に形成される稜線部と、を備え、前記チップ刃部の外面には、前記稜線部からチップ先端側へ向かうに従い漸次チップ径方向の内側へ向けて傾斜するテーパ状の傾斜面と、前記傾斜面のチップ先端側に配置され、チップ先端側へ向けて凸となる半球面状をなす刃先面と、が形成され、前記刃先面の半径中心が、前記稜線部よりもチップ先端側に配置されており、前記掘削チップの前記稜線部と、該掘削チップが配設される前記ビット本体の工具先端面とのチップ中心軸方向に沿う距離Lが、1.5mm以下とされていることを特徴とする。
また、本発明の掘削チップは、前述の掘削ビットに用いられることを特徴としている。
本発明に係る掘削ビット及びこれに用いられる掘削チップによれば、地盤を掘り込んでいく掘削チップのチップ刃部において半球面状をなす刃先面の半径中心が、該掘削チップの稜線部よりもチップ先端側に配置されているので、下記の効果を奏する。
すなわち、掘削チップが、ビット本体の工具先端面から突出する突出量(突き出し高さ)を大きく確保することができるとともに、その突出部分の体積を大きく確保できる。これにより、掘削チップを再研磨する回数を増やすことができ、該掘削チップ、及びこれら掘削チップを用いた掘削ビットの工具寿命を延長することが可能になる。
また、掘削チップのチップ刃部には、該チップ刃部の刃先面と、稜線部とを繋ぐテーパ状の傾斜面が形成されているので、下記の効果を得ることができる。
すなわち、例えば本発明とは異なりチップ刃部の外面全体が半球面状に形成された掘削チップと比較して、本発明の掘削チップによれば、チップ刃部において傾斜面が形成された領域を、刃先面のチップ基端側への仮想延長面(仮想半球面)よりチップ内へ向けて後退させやすい。これにより、掘削チップを再研磨する単位あたり(1回あたり)の研磨量を少なく抑えることができ、研磨作業時間の短縮ひいては研磨ピンへの負担も少なくなるため、関連する周辺工具への負荷を低減することも可能となる。また、再研磨によってチップ刃部の体積が大きく減じられるようなことが防止されるので、該再研磨によってチップ剛性が低下することも抑制される。
また、このような傾斜面が設けられることで、前述した「刃先面の半径中心が稜線部よりもチップ先端側に配置される」構成としやすくなって、掘削チップの突出量を容易に確保することができる。また突出量が確保された掘削チップを、ビット本体の工具先端面外周のゲージ面にゲージチップとして用いることで、その該ビット本体からの工具径方向外側へ向けた突出量も増大するため、掘削ビットの工具寿命を顕著に延長することができる。
さらに、掘削チップの稜線部と、該掘削チップが埋め込まれるビット本体の工具先端面とのチップ中心軸方向に沿う距離Lが、1.5mm以下とされていることにより、削孔時の衝撃等が作用しやすい掘削チップの稜線部を工具先端面から突出させ過ぎることがなく、該稜線部を起点とする折損や破損の発生が効果的に抑制される。尚、距離Lが1.0mm以下とされた場合には、この効果がより顕著となり望ましい。具体的に本発明では、前述の傾斜面を有することにより、このような稜線部の配置を実現することが容易となっている。
つまり本発明によれば、前述のように掘削チップの突出量が確保されつつも、該掘削チップの刃先面と稜線部とを繋ぐ傾斜面を設けることで、稜線部を掘削ビットの工具先端面に接近配置することができる。
尚、掘削チップの稜線部とビット本体の工具先端面との距離Lが1.5mmを超える場合には、掘削チップの稜線部が削孔する地盤に直接衝突させられやすくなり、該稜線部を起点とした折損や破損が生じやすくなる。
以上より、本発明の掘削ビット及び掘削チップによれば、掘削チップの突出量を大きく確保して再研磨の回数を増大させつつも、削孔中に掘削チップが折損したり破損するような事態を防止でき、これにより工具寿命を延長することができる。
また、本発明の掘削ビットにおいて、前記ビット本体の工具先端面から前記掘削チップが突出する突出量Hの、該掘削チップの外径Dに対する比H/Dが、0.55〜0.65の範囲内であることとしてもよい。
この場合、比H/Dが0.55以上とされているので、掘削チップの突出量Hが十分に確保されて摩耗許容量が増大するとともに、工具寿命が顕著に延長される。また、比H/Dが0.65以下とされているので、ビット本体の工具先端面から掘削チップが突出され過ぎて強度が低下するようなことが防止されるとともに、掘削チップの折損等が抑制される(耐欠損性が確保される)。
一方、比H/Dが0.55未満の場合には、摩耗許容量が十分に確保されるとまではいえず、前述した工具寿命を延長できるという効果も十分に得られないおそれがある。また、比H/Dが0.65を超える場合には、掘削チップの強度を十分に確保できなくなるおそれがある。
また、本発明の掘削ビットにおいて、前記掘削チップの前記刃先面の半径Rの、該掘削チップの外径Dに対する比R/Dが、0.45〜0.55の範囲内であることとしてもよい。
この場合、比R/Dが0.45以上とされているので、掘削チップのチップ刃部が先鋭形状になり過ぎるようなことが抑制されて、該掘削チップの剛性が十分に確保される。また、比R/Dが0.55以下とされているので、チップ刃部が地盤に食い込みやすい形状に維持されて掘削効率が確保されつつ、該チップ刃部の刃先面と傾斜面との接続部分において稜線が形成されるようなことも抑制されて(刃先面と傾斜面とが滑らかに接続されて)、耐欠損性が向上する。
一方、比R/Dが0.45未満の場合には、掘削チップのチップ刃部が先鋭形状になり過ぎて、強度を十分に確保できないおそれがある。また、比R/Dが0.55を超える場合には、チップ刃部の刃先面が地盤に食い込みにくい形状となり掘削効率に影響することがあり、また刃先面と傾斜面との接続部分で稜線も形成されやすくなって、耐欠損性が十分に確保できないおそれがある。
また、本発明の掘削ビットにおいて、前記掘削チップの縦断面視で、前記チップ本体部の外周面の延長線と、前記傾斜面とのなす角度αが、12°〜18°の範囲内であることとしてもよい。
この場合、角度αが12°以上とされているので、チップ刃部の傾斜面と刃先面との接続部分で稜線が形成されるようなことが抑制されつつ、前述した傾斜面に関連する作用効果が顕著に得られることになる。また、角度αが18°以下とされているので、掘削チップの縦断面視において、チップ刃部の傾斜面とチップ本体部の外周面との間(稜線部)に形成される交差角が大きな鈍角に維持され、稜線部の強度が確保される。
一方、角度αが12°未満の場合には、チップ刃部の傾斜面と刃先面との接続部分で稜線が形成されやすくなって、耐欠損性が十分に確保できないおそれがある。また、角度αが18°を超える場合には、掘削チップの稜線部の強度を十分に確保できないおそれがある。
また、本発明の掘削ビットにおいて、前記ビット本体の工具先端面の外周には、工具径方向の外側へ向かうに従い漸次工具基端側へ向けて傾斜するゲージ面が形成され、前記ゲージ面に配設される前記掘削チップのチップ中心軸と、前記ビット本体の工具軸線とのなす角度βが、25°〜45°の範囲内であることとしてもよい。
この場合、角度βが25°以上とされているので、ゲージ面に配設される掘削チップの工具径方向の外側へ向けた突出量を十分に確保でき摩耗許容量が増大するとともに、工具寿命が顕著に延長されることになる。さらに、ビット本体の先端部の外周面から、ゲージ面に植設された掘削チップのチップ本体部までの肉厚がチップ基端側に向かって十分に確保されることから、ビット本体がこの掘削チップを安定して強固に保持することが可能になり、かつビット本体自体の摩耗許容量も確保される。また、角度βが45°以下とされているので、削岩機等の掘削装置からの打撃力及び推力が、ゲージ面に配設される掘削チップを介して地盤へと効率的に伝えられて、掘削効率が高められる。
一方、角度βが25°未満の場合には、ゲージ面に配設される掘削チップの工具径方向の外側へ向けた突出量が十分に確保されず、工具寿命を延長する効果が十分に得られないおそれがある。また、ビット本体の先端部の外周面から、ゲージ面に植設された掘削チップのチップ本体部までの肉厚が十分に確保されにくくなり、該掘削チップの保持力が安定して維持されなくなるおそれがある。また、角度βが45°を超える場合には、ゲージ面に配設される掘削チップの掘削効率を十分に確保できなくなるおそれがある。
また、本発明の掘削ビットにおいて、前記ビット本体の工具先端面の外周には、工具径方向の外側へ向かうに従い漸次工具基端側へ向けて傾斜するゲージ面が形成され、前記ゲージ面の外周縁から該ゲージ面に配設される前記掘削チップまでのゲージ面上に沿う距離Xが、該掘削チップの外径Dの0.12倍以上とされ、前記ゲージ面の外周縁から前記掘削チップが工具径方向の外側へ向けて突出する距離Yが、該掘削チップの外径Dの0.03倍以上とされていることとしてもよい。
この場合、距離Xが、掘削チップの外径Dの0.12倍以上(0.12D以上)とされているので、ビット本体の先端部の外周面からこのゲージ面の掘削チップまでの肉厚が確保されるとともに、該ビット本体の先端部外周の摩耗許容量が確保されて、該ビット本体が掘削チップを安定して保持でき、工具寿命を延長できる効果がより顕著となる。また、距離Yが、掘削チップの外径Dの0.03倍以上(0.03D以上)とされているので、このゲージ面の掘削チップ(ゲージチップ)の工具径方向の外側へ向けた突出量が確保されて、ゲージチップとビット本体の外周面との間にクリアランス(外周方向の隙間)が確保され、破砕した土砂等(掘削屑)の排出性を維持することが可能となり、工具寿命が顕著に延長されることになる。
一方、距離Xが0.12D未満の場合には、ビット本体の先端部の外周面からゲージ面の掘削チップまでの肉厚が確保されず、該掘削チップの保持力が安定して維持できなくなり、掘削チップが早期に脱落するおそれがある。また、距離Yが0.03D未満の場合には、ゲージ面の掘削チップ(ゲージチップ)の工具径方向の外側へ向けた突出量が確保されにくいことから、ゲージチップとビット本体の外周面との間にクリアランスが確保されにくくなり、掘削屑の排出性を維持できなくなって、工具寿命に影響するおそれがある。
本発明の掘削ビット及びこれに用いられる掘削チップによれば、掘削チップの突出量を大きく確保して再研磨の回数を増大させつつも、削孔中に掘削チップが折損したり破損するような事態を防止でき、これにより工具寿命を延長することができる。
本発明の一実施形態に係る掘削ビットを示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る掘削ビットを示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る掘削ビットを示す正面図である。 ビット本体の工具先端面に植設された掘削チップを拡大して示す側面図である。 ビット本体の工具先端面及び掘削チップを説明する側断面図である。 ビット本体の工具先端面及び掘削チップを説明する側断面図である。 本発明の掘削チップと、従来の掘削チップとを比較説明する拡大図である。
以下、本発明の一実施形態に係る掘削ビット1及びこれに用いられる掘削チップ10について、図面を参照して説明する。
本実施形態の掘削ビット1は、不図示の複数の掘削ロッドとともに掘削工具を構成するものであり、これら掘削ロッドを介して削岩機等の掘削装置からの推力、打撃力及び回転力が先端の掘削ビット1に伝達されることで、掘削工具は岩盤等の地盤を掘り進んでいき、掘削孔を削孔する。
図1〜図4に示されるように、掘削ビット1は、工具軸線O回りに回転される柱状のビット本体2と、ビット本体2の工具先端面5に突設された複数の掘削チップ10と、を備えている。また、掘削チップ10は、ビット本体2に埋め込まれる柱状のチップ本体部11と、チップ本体部11のチップ中心軸Cに沿うチップ先端側に位置して半球状をなすチップ刃部12と、チップ本体部11とチップ刃部12との連結部分に形成される稜線部13と、を備えている。
ここで、本明細書においては、ビット本体2の工具軸線O方向に沿う掘削チップ10側を工具先端側(図2における下側)、工具軸線O方向に沿う掘削チップ10とは反対側を工具基端側(図2における上側)という。また、工具軸線Oに直交する方向を工具径方向といい、工具軸線O回りに周回する方向を工具周方向という。さらに、各掘削チップ10において、チップ中心軸C方向に沿うチップ刃部12側(図4における上側)をチップ先端側、チップ中心軸C方向に沿うチップ刃部12とは反対側(チップ本体部11側、図4における下側)をチップ基端側という。また、チップ中心軸Cに直交する方向をチップ径方向といい、チップ中心軸C周りに周回する方向をチップ周方向という。
図1〜図3において、ビット本体2は、鋼材等の金属材料からなり、外形が概略円柱状に形成されている。ビット本体2の工具先端側の端部(先端部)は、地盤に直接衝突して地盤を削孔する円盤状の刃先部3とされ、該ビット本体2の先端部以外の部分は有底円筒状のスカート部4とされている。
刃先部3は、工具先端側に向かうに従い外径が拡大するように形成されており、該刃先部3の縦断面視において、刃先部3の外周面のうち、工具先端側部分は直線状をなし、基端側部分は凹曲線状をなしている。
また、刃先部3の工具先端面5には、工具軸線Oと垂直に交差する円形状のフェイス面5aと、該フェイス面5aの外周側に連設されるとともに該工具先端面5の外周に位置してリング状をなし、工具径方向の外側へ向かうに従い漸次工具基端側へ向けて傾斜するゲージ面5bと、が形成されている。
刃先部3の工具先端面5には、超硬合金等の硬質材料からなり、外形が概略円柱状をなす掘削チップ10が、該工具先端面5からチップ先端側の端部をそれぞれ工具先端側に突出させて、複数植設されている。
図5において、これら掘削チップ10のうち、フェイス面5aに配設された掘削チップ10はフェイスチップとされ、そのチップ中心軸Cが、工具軸線Oに平行に延びているとともに該フェイス面5aに直交している。また図1及び図3において、フェイス面5aには、水やエアー(圧縮空気)等の流体が噴出されるブロー孔7が複数形成されており、該ブロー孔7は、刃先部3内を通してスカート部4内に連通している。
図3に示される本実施形態の例では、ブロー孔7は、フェイス面5aにおいて工具軸線Oに対する直径方向に該工具軸線Oから等間隔をあけた2箇所に開口させられている。フェイス面5a上において複数の掘削チップ(フェイスチップ)10は、これらブロー孔7を避けるようにして、互いの工具軸線O回りの回転軌跡が該工具軸線Oから僅かに外周側に離れた位置からフェイス面5aの外周縁まで連続するように植設されている。
図5において、ゲージ面5bに配設された掘削チップ10はゲージチップとされ、そのチップ中心軸Cが、工具軸線Oに対して傾斜して延びているとともに該ゲージ面5bに直交している。具体的に、ゲージ面5bに配設される掘削チップ(ゲージチップ)10のチップ中心軸Cと、ビット本体2の工具軸線Oとのなす角度(チップ植え込み角度)βは、25°〜45°の範囲内とされており、本実施形態の例では図5の縦断面視に示されるように、前記角度βは、工具先端面5におけるフェイス面5a(工具軸線Oに直交)の延長線と、ゲージ面5b(チップ中心軸Cに直交)とがなす角度βに等しい。
また、図6に示される縦断面視において、ゲージ面5bの外周縁から該ゲージ面5bに配設される掘削チップ10までのゲージ面5b上に沿う距離Xは、該掘削チップ10の外径Dの0.12倍以上とされている。また、ゲージ面5bの外周縁から掘削チップ10が工具径方向の外側へ向けて突出する距離Yは、該掘削チップ10の外径Dの0.03倍以上とされている。
また、図3に示されるように、ゲージ面5bにおいて工具周方向に隣り合う掘削チップ10同士の間隔には、広い部分と、狭い部分と、これらの中間の部分とがあり、これらの各部分には、該ゲージ面5b及び刃先部3の外周面に開口されるとともに、工具軸線Oに沿うように延びる繰り粉溝8がそれぞれ形成されている。具体的に、これら繰り粉溝8のうち、工具周方向に沿う溝幅が大きい繰り粉溝8Aは、ゲージ面5bにおける前記広い部分に配置され、前記溝幅が小さい繰り粉溝8Cは、ゲージ面5bにおける前記狭い部分に配置され、これらの中間の前記溝幅とされた繰り粉溝8Bは、ゲージ面5bにおける前記中間の部分に配置されている。
また図2に示されるように、これら繰り粉溝8の工具軸線O方向に沿う長さは、繰り粉溝8A、8B、8Cの順に短くされている。
また、スカート部4の内周面には図示されない雌ネジ部が形成されており、この雌ネジ部に、図示しない掘削ロッド先端の雄ネジ部が螺合される。またスカート部4内には、掘削ロッド内を通して水やエアー等の流体が供給される。
ビット本体2は、この掘削ロッドを介して削岩機(掘削装置)から伝播される工具軸線O方向先端側への推力及び打撃力と、工具周方向のうち掘削時にこの掘削ビット1が回転させられる工具回転方向への回転力とにより、掘削チップ10によって岩盤等の地盤を破砕して掘削し、掘削孔を形成してゆく。ここで、スカート部4の雌ネジ部への掘削ロッドの雄ネジ部のねじ込み方向は、掘削時のビット本体2の回転方向と同じとされ、掘削時の回転力によって雌雄ネジ部が緩むことがないようにされている。
図4に示される掘削チップ10において、チップ本体部11は、円柱状をなしており、そのチップ先端側の端部以外の部位は、ビット本体2の刃先部3に埋め込まれている。チップ本体部11のチップ先端側の端部は、刃先部3の工具先端面5から工具外部に露出されている。
また、掘削チップ10におけるチップ刃部12は、チップ先端側へ向けて凸となる半球状をなしており、チップ本体部11のチップ先端側の端部に接続されて一体に形成されている。これらチップ本体部11とチップ刃部12との接続部分には、チップ径方向の外側へ向けた断面凸V字状とされた稜線部13が、チップ周方向の全周に亘って延びている。
そして、掘削チップ10の稜線部13と、該掘削チップ10が配設されるビット本体2の工具先端面5とのチップ中心軸C方向に沿う距離Lが、1.5mm以下とされている。尚、より望ましい距離Lは、1.0mm以下である。
チップ刃部12の外面には、稜線部13からチップ先端側へ向かうに従い漸次チップ径方向の内側へ向けて傾斜するテーパ状の傾斜面15と、該傾斜面15のチップ先端側に配置され、チップ先端側へ向けて凸となる半球面状をなす刃先面14と、が形成されている。この掘削チップ10の縦断面視(図4の側面視を参照)において、チップ本体部11の外周面の延長線と、傾斜面15とのなす角度(傾斜面15の傾斜角)αは、12°〜18°の範囲内とされている。
そして、チップ刃部12の刃先面14の半径中心(図4に示される半径R2の中心)は、稜線部13よりもチップ先端側に配置されている。また、刃先面14の半径R2(半径R)の、該掘削チップ10の外径Dに対する比R2/D(比R/D)は、0.45〜0.55の範囲内とされている。尚、図4に符号R1で示されるものは、掘削チップ10のチップ本体部11の半径である。
また、ビット本体2の工具先端面5から掘削チップ10が突出する突出量Hの、該掘削チップ10の外径Dに対する比H/Dは、0.55〜0.65の範囲内とされている。
このような構成の掘削ビット1によって地盤に掘削孔を削孔する際は、前述のように掘削ロッドを介してビット本体2に工具先端側に向けての推力及び打撃力と工具回転方向への回転力とを与えると、ビット本体2先端のゲージ面5bとフェイス面5aに植設された掘削チップ10によって地盤が破砕されて土砂となり、この土砂は、掘削時に掘削ロッドからブロー孔7に供給されてフェイス面5aから噴出する流体により、繰り粉溝8を通してスカート部4の外周に押し出され、さらにビット本体2の基端側に排出される。
以上説明した本実施形態に係る掘削ビット1及びこれに用いられる掘削チップ10によれば、地盤を掘り込んでいく掘削チップ10のチップ刃部12において半球面状をなす刃先面14の半径中心が、該掘削チップ10の稜線部13よりもチップ先端側に配置されているので、下記の効果を奏する。
すなわち、掘削チップ10が、ビット本体2の工具先端面5から突出する突出量(突き出し高さ)Hを大きく確保することができるとともに、その突出部分の体積を大きく確保できる。これにより、掘削チップ10を再研磨する回数を増やすことができ、該掘削チップ10、及びこれら掘削チップ10を用いた掘削ビット1の工具寿命を延長することが可能になる。
また、掘削チップ10のチップ刃部12には、該チップ刃部12の刃先面14と、稜線部13とを繋ぐテーパ状の傾斜面15が形成されているので、下記の効果を得ることができる。
すなわち、例えば本実施形態とは異なりチップ刃部の外面全体が半球面状に形成された掘削チップと比較して、本実施形態の掘削チップ10によれば、チップ刃部12において傾斜面15が形成された領域を、刃先面14のチップ基端側への仮想延長面(仮想半球面)よりチップ内へ向けて後退させやすい。これにより、掘削チップ10を再研磨する単位あたり(1回あたり)の研磨量を少なく抑えることができ、研磨作業時間の短縮ひいては研磨ピンへの負担も少なくなるため、関連する周辺工具への負荷を低減することも可能となる。また、再研磨によってチップ刃部12の体積が大きく減じられるようなことが防止されるので、該再研磨によってチップ剛性が低下することも抑制される。
また、このような傾斜面15が設けられることで、前述した「刃先面14の半径中心が稜線部13よりもチップ先端側に配置される」構成としやすくなって、掘削チップ10の突出量Hを容易に確保することができる。また突出量Hが確保された掘削チップ10を、ビット本体2の工具先端面5外周のゲージ面5bにゲージチップとして用いることで、その該ビット本体2からの工具径方向外側へ向けた突出量(距離Y)も増大するため、掘削ビット1の工具寿命を顕著に延長することができる。
さらに、掘削チップ10の稜線部13と、該掘削チップ10が埋め込まれるビット本体2の工具先端面5とのチップ中心軸C方向に沿う距離Lが、1.5mm以下とされていることにより、削孔時の衝撃等が作用しやすい掘削チップ10の稜線部13を工具先端面5から突出させ過ぎることがなく、該稜線部13を起点とする折損や破損の発生が効果的に抑制される。尚、距離Lが1.0mm以下とされた場合には、この効果がより顕著となり望ましい。具体的に本実施形態では、前述の傾斜面15を有することにより、このような稜線部13の配置を実現することが容易となっている。
つまり本実施形態によれば、前述のように掘削チップ10の突出量Hが確保されつつも、該掘削チップ10の刃先面14と稜線部13とを繋ぐ傾斜面15を設けることで、稜線部13を掘削ビット1の工具先端面5に接近配置することができる。
尚、掘削チップ10の稜線部13とビット本体2の工具先端面5との距離Lが1.5mmを超える場合には、掘削チップ10の稜線部13が削孔する地盤に直接衝突させられやすくなり、該稜線部13を起点とした折損や破損が生じやすくなる。
以上より、本実施形態の掘削ビット1及び掘削チップ10によれば、掘削チップ10の突出量Hを大きく確保して再研磨の回数を増大させつつも、削孔中に掘削チップ10が折損したり破損するような事態を防止でき、これにより工具寿命を延長することができる。
また、ビット本体2の工具先端面5から掘削チップ10が突出する突出量Hの、該掘削チップ10の外径Dに対する比H/Dが、0.55〜0.65の範囲内であるので、下記の効果を奏する。
すなわち、比H/Dが0.55以上とされているので、掘削チップ10の突出量Hが十分に確保されて摩耗許容量が増大するとともに、工具寿命が顕著に延長される。また、比H/Dが0.65以下とされているので、ビット本体2の工具先端面5から掘削チップ10が突出され過ぎて強度が低下するようなことが防止されるとともに、掘削チップ10の折損等が抑制される(耐欠損性が確保される)。
一方、比H/Dが0.55未満の場合には、摩耗許容量が十分に確保されるとまではいえず、前述した工具寿命を延長できるという効果も十分に得られないおそれがある。また、比H/Dが0.65を超える場合には、掘削チップ10の強度を十分に確保できなくなるおそれがある。
また、掘削チップ10の刃先面14の半径R2(半径R)の、該掘削チップ10の外径Dに対する比R2/D(比R/D)が、0.45〜0.55の範囲内であるので、下記の効果を奏する。
すなわち、比R/Dが0.45以上とされているので、掘削チップ10のチップ刃部12が先鋭形状になり過ぎるようなことが抑制されて、該掘削チップ10の剛性が十分に確保される。また、比R/Dが0.55以下とされているので、チップ刃部12が地盤に食い込みやすい形状に維持されて掘削効率が確保されつつ、該チップ刃部12の刃先面14と傾斜面15との接続部分において稜線が形成されるようなことも抑制されて(刃先面14と傾斜面15とが滑らかに接続されて)、耐欠損性が向上する。
一方、比R/Dが0.45未満の場合には、掘削チップ10のチップ刃部12が先鋭形状になり過ぎて、強度を十分に確保できないおそれがある。また、比R/Dが0.55を超える場合には、チップ刃部12の刃先面14が地盤に食い込みにくい形状となり掘削効率に影響することがあり、また刃先面14と傾斜面15との接続部分で稜線も形成されやすくなって、耐欠損性が十分に確保できないおそれがある。
また、掘削チップ10の縦断面視で、チップ本体部11の外周面の延長線と、傾斜面15とのなす角度αが、12°〜18°の範囲内であるので、下記の効果を奏する。
すなわち、角度αが12°以上とされているので、チップ刃部12の傾斜面15と刃先面14との接続部分で稜線が形成されるようなことが抑制されつつ、前述した傾斜面15に関連する作用効果が顕著に得られることになる。また、角度αが18°以下とされているので、掘削チップ10の縦断面視において、チップ刃部12の傾斜面15とチップ本体部11の外周面との間(稜線部13)に形成される交差角が大きな鈍角に維持され、稜線部13の強度が確保される。
一方、角度αが12°未満の場合には、チップ刃部12の傾斜面15と刃先面14との接続部分で稜線が形成されやすくなって、耐欠損性が十分に確保できないおそれがある。また、角度αが18°を超える場合には、掘削チップ10の稜線部13の強度を十分に確保できないおそれがある。
また、ゲージ面5bに配設される掘削チップ10のチップ中心軸Cと、ビット本体2の工具軸線Oとのなす角度βが、25°〜45°の範囲内であるので、下記の効果を奏する。
すなわち、角度βが25°以上とされているので、ゲージ面5bに配設される掘削チップ10の工具径方向の外側へ向けた突出量(距離Y)を十分に確保でき摩耗許容量が増大するとともに、工具寿命が顕著に延長されることになる。さらに、ビット本体2の刃先部3の外周面から、ゲージ面5bに植設された掘削チップ10のチップ本体部11までの肉厚がチップ基端側に向かって十分に確保されることから、ビット本体2がこの掘削チップ10を安定して強固に保持することが可能になり、かつビット本体2自体の摩耗許容量も確保される。また、角度βが45°以下とされているので、削岩機等の掘削装置からの打撃力及び推力が、ゲージ面5bに配設される掘削チップ10を介して地盤へと効率的に伝えられて、掘削効率が高められる。
一方、角度βが25°未満の場合には、ゲージ面5bに配設される掘削チップ10の工具径方向の外側へ向けた突出量(距離Y)が十分に確保されず、工具寿命を延長する効果が十分に得られないおそれがある。また、ビット本体2の刃先部3の外周面から、ゲージ面5bに植設された掘削チップ10のチップ本体部11までの肉厚が十分に確保されにくくなり、該掘削チップ10の保持力が安定して維持されなくなるおそれがある。また、角度βが45°を超える場合には、ゲージ面5bに配設される掘削チップ10の掘削効率を十分に確保できなくなるおそれがある。
また、ゲージ面5bの外周縁から該ゲージ面5bに配設される掘削チップ10までのゲージ面5b上に沿う距離Xが、該掘削チップ10の外径Dの0.12倍以上とされ、かつ、ゲージ面5bの外周縁から掘削チップ10(のチップ刃部12)が工具径方向の外側へ向けて突出する距離Yが、該掘削チップ10の外径Dの0.03倍以上とされているので、下記の効果を奏する。
すなわち、距離Xが、掘削チップ10の外径Dの0.12倍以上(0.12D以上)とされているので、ビット本体2の刃先部3の外周面からこのゲージ面5bの掘削チップ10までの肉厚が確保されるとともに、該ビット本体2の刃先部3外周の摩耗許容量が確保されて、該ビット本体2が掘削チップ10を安定して保持でき、工具寿命を延長できる効果がより顕著となる。また、距離Yが、掘削チップ10の外径Dの0.03倍以上(0.03D以上)とされているので、このゲージ面5bの掘削チップ(ゲージチップ)10の工具径方向の外側へ向けた突出量が確保されて、ゲージチップ10とビット本体2の刃先部3の外周面との間にクリアランス(外周方向の隙間)が確保され、破砕した土砂等(掘削屑)の排出性を維持することが可能となり、工具寿命が顕著に延長されることになる。
一方、距離Xが0.12D未満の場合には、ビット本体2の刃先部3の外周面からゲージ面5bの掘削チップ10までの肉厚が確保されず、該掘削チップ10の保持力が安定して維持できなくなり、掘削チップ10が早期に脱落するおそれがある。また、距離Yが0.03D未満の場合には、ゲージ面5bの掘削チップ(ゲージチップ)10の工具径方向の外側へ向けた突出量が確保されにくいことから、ゲージチップ10とビット本体2の刃先部3の外周面との間にクリアランスが確保されにくくなり、掘削屑の排出性を維持できなくなって、工具寿命に影響するおそれがある。
ここで、図7に示されるものは、本実施形態で説明した掘削チップ10と、従来の掘削チップ100とについて、突出量H及び再研磨の単位あたりの研磨量等を比較する説明図である。尚、従来の掘削チップ100としては、特許第4116572号公報に記載されたものを用いた(特許第4116572号公報の図2を参照)。
図7に示される従来の掘削チップ100において、該掘削チップ100の外径Dについては、本実施形態の掘削チップ10の外径Dと同一である。一方、従来の掘削チップ100において、チップ刃部102の半径中心は、稜線部103よりもチップ中心軸C方向に沿うチップ基端側に配置されている。チップ刃部102の半径中心と稜線部103とのチップ中心軸C方向に沿う距離Aは、掘削チップ100の外径Dの0.1倍とされている。また、チップ刃部102の半径R2は、チップ本体部101の半径R1と同一である。また、掘削チップ100がビット本体2の工具先端面5から突出する突出量Hは、該掘削チップ100の外径Dの0.53倍となっている。
図7に示されるように、本実施形態の掘削チップ10によれば、従来の掘削チップ100と対比して、ビット本体2の工具先端面5からの突出量Hを大きく確保できる。
ここで、図7に符号D/3で示される領域は、掘削チップ10及び100のチップ先端が、削孔により平面状に摩耗して、その摩耗量がチップ径方向において外径Dの1/3に達した状態を表している。この状態で両チップ10及び100に再研磨を施した場合、単位あたりの研磨量(図7にハッチングで示される部分)は、従来の掘削チップ100を基準(100%)として、本実施形態の掘削チップ10では75%程度に抑えられることがわかった。尚、この再研磨に用いた研磨ピンの凹部の半径は、従来の掘削チップ100の半径R2に対応させている。
また、このような再研磨を3回施した場合には、図7に示されるように従来の掘削チップ100では、研磨領域が稜線部103をチップ基端側へ向けて大きく超えており、次回の再研磨が困難な状態となっている。一方、本実施形態の掘削チップ10では、再研磨を3回施した状態においても突出量Hが十分に確保されており、具体的には、従来の掘削チップ100における未使用時の突出量Hとほぼ同等であって、再研磨がさらに数回可能な状態である。ここで、図7に符号Gで示されるものは、再研磨を3回施した掘削チップ10及び100のチップ先端同士におけるチップ中心軸C方向に沿う高さの差を表している。
このように、本実施形態の掘削チップ10は、従来の掘削チップ100に比べて、研磨許容量が十分に確保されており、該掘削チップ10を用いた掘削ビット1の工具寿命が十分に延長されることがわかった。
尚、従来の掘削チップとして一般的なラウンドチップを用いた対比においては、再研磨を施したときの単位あたりの研磨量は、従来の掘削チップを基準(100%)として、本実施形態の掘削チップ10では60%程度に抑えられていた。
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態に用いた掘削ビット1は、ビット本体2の工具先端面5に同一製品(同一の形状及び大きさ)からなる掘削チップ10を複数植設したものであるが、これに限定されるものではなく、本発明の構成を有する複数種類の掘削チップ10を用い、ビット本体2の工具先端面5のフェイス面5aとゲージ面5bとで互いに形状や大きさが異なるものを適宜配設することとしてもよい。
また、掘削ビット1のビット本体2の形状は、前述の実施形態で説明したものに限定されない。具体的に、刃先部3における繰り粉溝8の形状、配置及び数量、工具先端面5の掘削チップ10の配置や数量などは、前述した例に限定されない。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及び尚書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
1 掘削ビット
2 ビット本体
5 工具先端面
5b ゲージ面
10 掘削チップ
11 チップ本体部
12 チップ刃部
13 稜線部
14 刃先面
15 傾斜面
C チップ中心軸
D 掘削チップの外径
H ビット本体の工具先端面から掘削チップが突出する突出量
L 掘削チップの稜線部とビット本体の工具先端面とのチップ中心軸方向に沿う距離
O 工具軸線
R2(R) チップ刃部の刃先面の半径
X ゲージ面の外周縁から該ゲージ面に配設される掘削チップまでのゲージ面上に沿う距離
Y ゲージ面の外周縁から掘削チップが工具径方向の外側へ向けて突出する距離
α 角度(傾斜面の傾斜角)
β 角度(チップ植え込み角度)

Claims (7)

  1. 工具軸線回りに回転される柱状のビット本体と、前記ビット本体の工具先端面に突設された複数の掘削チップと、を備えた掘削ビットであって、
    前記掘削チップは、
    前記ビット本体に埋め込まれる柱状のチップ本体部と、
    前記チップ本体部のチップ中心軸に沿うチップ先端側に位置して半球状をなすチップ刃部と、
    前記チップ本体部と前記チップ刃部との連結部分に形成される稜線部と、を備え、
    前記チップ刃部の外面には、
    前記稜線部からチップ先端側へ向かうに従い漸次チップ径方向の内側へ向けて傾斜するテーパ状の傾斜面と、
    前記傾斜面のチップ先端側に配置され、チップ先端側へ向けて凸となる半球面状をなす刃先面と、が形成され、
    前記刃先面の半径中心が、前記稜線部よりもチップ先端側に配置されており、
    前記掘削チップの前記稜線部と、該掘削チップが配設される前記ビット本体の工具先端面とのチップ中心軸方向に沿う距離Lが、1.5mm以下とされていることを特徴とする掘削ビット。
  2. 請求項1に記載の掘削ビットであって、
    前記ビット本体の工具先端面から前記掘削チップが突出する突出量Hの、該掘削チップの外径Dに対する比H/Dが、0.55〜0.65の範囲内であることを特徴とする掘削ビット。
  3. 請求項1又は2に記載の掘削ビットであって、
    前記掘削チップの前記刃先面の半径Rの、該掘削チップの外径Dに対する比R/Dが、0.45〜0.55の範囲内であることを特徴とする掘削ビット。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の掘削ビットであって、
    前記掘削チップの縦断面視で、前記チップ本体部の外周面の延長線と、前記傾斜面とのなす角度αが、12°〜18°の範囲内であることを特徴とする掘削ビット。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の掘削ビットであって、
    前記ビット本体の工具先端面の外周には、工具径方向の外側へ向かうに従い漸次工具基端側へ向けて傾斜するゲージ面が形成され、
    前記ゲージ面に配設される前記掘削チップのチップ中心軸と、前記ビット本体の工具軸線とのなす角度βが、25°〜45°の範囲内であることを特徴とする掘削ビット。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の掘削ビットであって、
    前記ビット本体の工具先端面の外周には、工具径方向の外側へ向かうに従い漸次工具基端側へ向けて傾斜するゲージ面が形成され、
    前記ゲージ面の外周縁から該ゲージ面に配設される前記掘削チップまでのゲージ面上に沿う距離Xが、該掘削チップの外径Dの0.12倍以上とされ、
    前記ゲージ面の外周縁から前記掘削チップが工具径方向の外側へ向けて突出する距離Yが、該掘削チップの外径Dの0.03倍以上とされていることを特徴とする掘削ビット。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の掘削ビットに用いられることを特徴とする掘削チップ。
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