JP2014192014A - 導電膜形成用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐擦過性および導電性に優れる導電膜を形成することができる導電膜形成用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】粒子径0.1μm以上1.2μm以下の銅粒子(A)と、
粒子径0.1μm未満の金属ナノ粒子(B)と、
3価以上の多価アルコール化合物(C)と、
アミノ基を有する塩基性ポリマー(D)と、
揺変剤(E)と、を含有し、
金属ナノ粒子(B)の含有量が、30質量%以下であり、
塩基性ポリマー(D)の含有量が、銅粒子(A)100質量部に対して2〜20質量部である、導電膜形成用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電膜形成用組成物に関する。
基材上に金属膜を形成する方法として、金属粒子または金属酸化物粒子の分散体を印刷法により基材に塗布し、加熱処理または光照射処理して焼結させることによって金属膜や回路基板における配線等の電気的導通部位を形成する技術が知られている。
上記方法は、従来の高熱・真空プロセス(スパッタ)やめっき処理による配線作製法に比べて、簡便・省エネ・省資源であることから次世代エレクトロニクス開発において大きな期待を集めている。
例えば、特許文献1には、「粒子径が200nm未満の金属酸化物及び分散媒を含む金属酸化物分散体であって、該分散媒が、多価アルコール及び/またはポリエーテル化合物を含有する該金属酸化物分散体。」が記載されている([請求項1])。
また、特許文献2には、基板上への導電パターン形成方法に用いる導電性インクとして、一次粒子の平均粒子径が1〜150nmの金属微粒子、アミド基を有する有機溶媒、多価アルコールからなる有機溶媒、アミン系有機溶媒などを含有する導電性インクが記載されている([請求項1])。
また、特許文献3には、「平均一次粒径が20〜100nmの金属酸化物微粒子、分散媒及び分散剤を含む金属酸化物微粒子分散体であって、前記分散剤が、主骨格中にポリアミン骨格又はポリカルボン酸骨格を有する重量平均分子量300〜50000の化合物であることを特徴とする金属酸化物微粒子分散体。」が記載されている([請求項1])。
国際公開第第2003/051562号 特開2012−138349号公報 特開2012−216425号公報
しかしながら、本発明者らが、特許文献1〜3に記載されている分散体や導電性インクについて導電膜の作製を試みたところ、金属ナノ粒子の単独使用では耐擦過性に優れた導電膜を作製することは困難であることが分かり、サブミクロンオーダーの金属粒子を併用する必要性があることが分かった。
そこで、サブミクロンオーダーの銅粒子の併用を試みたところ、焼結により作製される導電膜の導電性が劣ることが分かった。
そこで、本発明は、耐擦過性および導電性に優れる導電膜を形成することができる導電膜形成用組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、粒子径0.1μm以上1.2μm以下の銅粒子および特定量の粒子径0.1μm未満の金属ナノ粒子を併用するとともに、特定価数の多価アルコール化合物および揺変剤を配合し、更に、銅粒子に対して特定量の塩基性ポリマーを配合した導電膜形成用組成物を使用することで、耐擦過性および導電性に優れる導電膜を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 粒子径0.1μm以上1.2μm以下の銅粒子(A)と、
粒子径0.1μm未満の金属ナノ粒子(B)と、
3価以上の多価アルコール化合物(C)と、
アミノ基を有する塩基性ポリマー(D)と、
揺変剤(E)と、を含有し、
金属ナノ粒子(B)の含有量が、30質量%以下であり、
塩基性ポリマー(D)の含有量が、銅粒子(A)100質量部に対して2〜20質量部である、導電膜形成用組成物。
(2) 金属ナノ粒子(B)が、銅ナノ粒子および/または銀ナノ粒子である、(1)に記載の導電膜形成用組成物。
(3) 更に、ポリマーバインダー(F)を含有し、
ポリマーバインダー(F)が、ポリビニルピロリドン、または、ポリエチレングリコールであり、
ポリマーバインダー(F)の含有量が、塩基性ポリマー(D)100質量部に対して50〜100質量部である、(1)または(2)に記載の導電膜形成用組成物。
(4) 塩基性ポリマー(D)が、ポリエチレンイミンである、(1)〜(3)のいずれかに記載の導電膜形成用組成物。
(5) 多価アルコール化合物(C)が、6価以上のアルコール化合物である、(1)〜(4)のいずれかに記載の導電膜形成用組成物。
(6) 銅粒子(A)の粒子径が、0.1μm以上0.4μm以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載の導電膜形成用組成物。
(7) 更に、ポリカルボン酸型界面活性剤を含有する、(1)〜(6)のいずれかに記載の導電膜形成用組成物。
(8) 塩基性ポリマー(D)の含有量が、揺変剤(E)100質量部に対して200〜1000質量部である、(1)〜(7)のいずれかに記載の導電膜形成用組成物。
(9) 金属ナノ粒子(B)の含有量が、銅粒子(A)100質量部に対して20〜60質量部である、(1)〜(8)のいずれかに記載の導電膜形成用組成物。
(10) (1)〜(9)のいずれかに記載の導電膜形成用組成物を用いて作製した導電膜。
以下に示すように、本発明によれば、耐擦過性および導電性に優れる導電膜を形成することができる導電膜形成用組成物を提供することができる。
〔導電膜形成用組成物〕
以下に、本発明の導電膜形成用組成物について詳述する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
上述したように、本発明の特徴点としては、導電膜形成用組成物として、粒子径0.1μm以上1.2μm以下の銅粒子および特定量の粒子径0.1μm未満の金属ナノ粒子を併用するとともに、特定価数の多価アルコール化合物および揺変剤を配合し、更に、銅粒子に対して特定量の塩基性ポリマーを配合する点が挙げられる。
本発明者らは、本発明の効果が得られる理由を以下のように推測する。なお、この推測によって本発明の範囲が限定的に解釈されるものではない。
すなわち、銅粒子と特定量の金属ナノ粒子とを併用することにより、形成される導電膜の導電性に影響を与えずに厚膜化することが可能となり、耐擦過性が良好になったと考えられる。これは、後述する比較例1〜3(特に比較例3)の結果からも推察することができる。
一方、特定価数の多価アルコール化合物を配合することにより、銅粒子表面の酸化皮膜の発生を抑制し、形成される導電膜の導電性が高くなったと考えられる。これは、後述する比較例6および7の結果からも推察することができる。
また、銅粒子に対して特定量の塩基性ポリマーを配合することにより、銅粒子の表面に形成される酸化皮膜を溶解し、かつ、塩基性ポリマー自体の残留による導電性の低下を抑えることが可能となり、形成される導電膜の導電性が高くなったと考えられる。これは、後述する比較例4および5の結果からも推察することができる。
更に、揺変剤を配合することにより、導電膜形成用組成物の粘度が良好となり、形成される導電膜の耐擦過性と導電性とのバランスが良好になったと考えられる。これは、後述する比較例8の結果からも推察することができる。
以下では、まず、本発明の導電膜形成用組成物の各種成分について詳述し、その後、本発明の導電膜成形用組成物を用いた導電膜の製造方法および導電膜について詳述する。
<銅粒子(A)>
本発明の導電膜形成用組成物が含有する銅粒子(A)は、粒子径0.1μm以上1.2μm以下の銅粒子であれば特に限定されず、その表面に酸化皮膜(酸化銅)を有する銅粒子であってもよい。
ここで、銅粒子(A)および後述する金属ナノ粒子(B)の粒子径は、平均一次粒径ではなく、一次粒径のことを指す。なお、一次粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察または走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、銅粒子ないし金属ナノ粒子の円相当径を測定して求める。円相当径とは、観察される銅粒子ないし金属ナノ粒子の2次元形状と同じ面積に相当する円の直径を意味する。
銅粒子(A)は、本発明の導電膜形成用組成物を用いて形成される導電膜(以下、単に「導電膜」と略す。)の導電性がより良好となる理由から、粒子径が0.1〜0.4μmであるのが好ましく、0.2〜0.4μmであるのがより好ましい。
また、銅粒子(A)は、基材と導電膜との密着性が良好になり、また、導電膜の導電性がより良好になる理由から、ポリマー被覆銅粒子(ポリマーで被覆した銅粒子)であることが好ましい。ここでポリマー被覆銅粒子は、銅粒子の一部がポリマーで覆われたものでも、銅粒子全体がポリマーで覆われたものでもよく、銅粒子全体がポリマーで覆われたものであることが好ましい。
上記ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コラーゲンまたはポリアクリル酸であることが好ましく、ゼラチン(特に酵素で分解処理したもの)であることがより好ましい。ゼラチンの重量平均分子量は10000以下であることが好ましい。なお、上記重量平均分子量は、GPC法(溶媒:N−メチルピロリドン)により得られたポリスチレン換算値である。
本発明の導電膜形成用組成物の全質量に対する銅粒子(A)の含有量は、基材と導電膜との密着性が良好になり、また、導電膜の耐擦過性がより良好になる理由から、30〜70質量%であるのが好ましく、40〜60質量%であるのがより好ましい。
<金属ナノ粒子(B)>
本発明の導電膜形成用組成物が含有する金属ナノ粒子(B)は、粒子径0.1μm未満の金属ナノ粒子であり、上述した銅粒子(A)よりも粒子径の小さい粒子である。
ここで、金属ナノ粒子(B)を構成する金属は、導電性を有するものであれば特に限定されず、その具体例としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、および、これらの混合物または合金を用いることができる。
これらのうち、金、銀、銅、白金、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、および、これらの混合物または合金を用いるのが好ましく、低価格で汎用性が高く、導電膜の導電性がより良好となる理由から、銅および/または銀を用いるのがより好ましい。
金属ナノ粒子(B)は、銅粒子(A)同士の接着が良好となり、導電膜の耐擦過性がより良好になる理由から、粒子径が1〜50nmであるのが好ましく、10〜30nmであるのがより好ましい。
本発明の導電膜形成用組成物の全質量に対する金属ナノ粒子(B)の含有量は、30質量%以下であり、5〜25質量%であるのが好ましく、10〜20質量%であるのがより好ましい。
金属ナノ粒子(B)の含有量が上記範囲であると、上述したように、導電膜の耐擦過性が良好となる。
また、金属ナノ粒子(B)の含有量は、導電膜の耐擦過性および導電性がより良好となる理由から、銅粒子(A)100質量部に対して20〜60質量部であるのが好ましく、30〜50質量部であるのがより好ましい。
<多価アルコール化合物(C)>
本発明の導電膜形成用組成物が含有する多価アルコール化合物(C)は、3価以上の多価アルコール化合物である。
多価アルコール化合物(C)としては、具体的には、例えば、
トリエタノールアミン、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの化合物;
グリセリン(グリセロール)、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール、ヘキシトール、ガラクチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール;
トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、スクロース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクトース、キシロース、アラビノース、イソマルトース、ラフィノース、グルコヘプトース、ヘプトース、マルトトリオース、ラクツロース、トレハロース、スタキオースなどの糖類;
が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール化合物(C)は、導電膜の導電性がより良好となる理由から、6価以上のアルコール化合物であるのが好ましく、具体的には、ソルビトール(官能基数:6)、スクロース(官能基数:8)であるのがより好ましい。
また、多価アルコール化合物(C)の含有量は、導電膜の導電性がより良好となる理由から、銅粒子(A)100質量部に対して2〜20質量部であるのが好ましく、5〜10質量部であるのがより好ましい。
<塩基性ポリマー(D)>
本発明の導電膜形成用組成物が含有する塩基性ポリマー(D)は、アミノ基を有する高分子化合物であれば特に限定されない。
塩基性ポリマー(D)としては、具体的には、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリアミジン、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン系重縮合物、ジシアン−ジアミド系重縮合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、導電膜の導電性がより良好となる理由から、ポリエチレンイミンを用いるのが好ましい。
塩基性ポリマー(D)の数平均分子量は、粘抑制の観点から、1000〜200000であることが好ましく、3000〜150000であるのがより好ましく、5000〜100000であるのが更に好ましい。
なお、上記数平均分子量は、沸点上昇法により得られた値である。
塩基性ポリマー(D)の含有量は、銅粒子(A)100質量部に対して2〜20質量部であり、3〜15質量部であるのが好ましく、5〜10質量部であるのがより好ましい。
塩基性ポリマー(D)の含有量が上記範囲であると、上述したように、導電膜の導電性が良好となる。
また、塩基性ポリマー(D)の含有量は、導電膜の耐擦過性がより良好となる理由から、後述する揺変剤(E)100質量部に対して200〜1000質量部であるのが好ましく、200〜500質量部であるのがより好ましい。
<揺変剤(E)>
本発明の導電膜形成用組成物が含有する揺変剤(E)は、本発明の導電膜形成用組成物の粘度を適正な範囲に調整する目的で添加される。
揺変剤(E)としては、有機系揺変剤および無機系揺変剤等が挙げられ、なかでも、以下に具体例を示す有機系揺変剤を用いるのが好ましい。
ここで、上記有機系揺変剤としては、例えば、脂肪酸アマイド系揺変剤、水添ひまし油系揺変剤、酸化ポリオレフィン系揺変剤、ウレア系揺変剤、ウレタン系揺変剤等が挙げられる。
より具体的には、ウレアウレタン、変性ウレア、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、ポリヒドロキシカルボン酸エステル、ウレア変性ポリアミド、酸化ポリエチレンアミド、酸化ポリエチレン、脂肪酸アミド等を挙げることができる。
また、上記脂肪酸アマイド系揺変剤の市販品としては、例えば、楠本化成社製のディスパロン6900−20X、6900−10X、A603−20X、A603−10X、6810−20X、6850−20X、FS−6010、PFA−131、PFA−231、6500、6650、6700、F−9020、F−9030、F−9040およびF−9050、並びにビックケミー社製のBYK−405等が挙げられる。
上記水添ひまし油系揺変剤の市販品としては、楠本化成社製のディスパロン308および4300等が挙げられる。
上記酸化ポリオレフィン系揺変剤の市販品としては、楠本化成社製のディスパロン4200−20、4200−10、PF−911、4401−25Xおよび4401−25M等が挙げられる。
上記ウレア系揺変剤およびウレタン系揺変剤の市販品としては、ビックケミー社製のBYK−410、BYK−411、BYK−420、BYK−425、BYK−428、BYK−430およびBYK−431等が挙げられる。
このような揺変剤(E)を用いることにより、上述した通り、導電膜の耐擦過性と導電性とのバランスが良好となる。
本発明の導電膜形成用組成物の全質量に対する揺変剤(E)の含有量の含有量は、0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.2〜5質量%であるのがより好ましい。
<ポリマーバインダー(F)>
本発明の導電膜形成用組成物は、導電膜に靱性を付与する観点から、ポリマーバインダー(F)を含有しているのが好ましい。
本発明においては、ポリマーバインダー(F)は、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリエチレングリコールを用いる。
ここで、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は特に制限されないが、導電膜の導電性がより良好となる理由から、2500〜160000が好ましく、8000〜160000がより好ましく、20000〜80000がさらに好ましい。
また、同様の理由から、ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、3000〜40000が好ましく、3000〜18000がより好ましく、5000〜18000がさらに好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、GPC法(溶媒:N−メチルピロリドン)により得られたポリスチレン換算値である。
任意のポリマーバインダー(F)を含有する場合の含有量は、導電膜の導電性がより良好となる理由から、塩基性ポリマー(D)100質量部に対して50〜100質量部であり、70〜100質量部であるのが好ましい。
<界面活性剤>
本発明の導電膜形成用組成物には、界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤の種類は特に限定されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これら界面活性剤は、1種を単独、または2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、導電膜の導電性がより良好となる理由から、アニオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、後述するポリカルボン酸型高分子界面活性剤を用いるのがより好ましい。
(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)
ポリカルボン酸型高分子界面活性剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和二重結合を有するカルボン酸単量体の重合体、不飽和二重結合を有するカルボン酸単量体と他の不飽和二重結合を有する単量体との共重合体およびそれらのアンモニウム塩やアミン塩等が挙げられる。ポリカルボン酸型高分子界面活性剤としては、ポリアクリル酸系分散剤が好ましく、共重合成分としてアクリル酸アンモニウム塩を構成単位とした高分子分散剤がより好ましい。
ポリカルボン酸型高分子界面活性剤の具体例としては、イソブチレンまたはジイソブチレンと無水マレイン酸との共重合物のナトリウム塩、無水マレイン酸とスチレンとの共重合物のナトリウム塩、アクリル酸重合物のナトリウム塩、無水マレイン酸とアクリル酸との共重合物のナトリウム塩、アンモニウム塩、イタコン酸とアクリル酸との共重合物のナトリウム塩、アンモニウム塩等がある。
<溶媒>
本発明の導電膜形成用組成物は、印刷性の観点から、溶媒を含有するのが好ましい。
溶媒は、上述した銅粒子(A)および金属ナノ粒子(B)の分散媒として機能する。
溶媒は特に限定されないが、水や上述した多価アルコール(C)以外のアルコール類(特に水溶性アルコール)、エーテル類、エステル類などの有機溶媒などを使用することができる。なかでも、水または水溶性アルコールを主溶媒として使用することが好ましい。ここで、主溶媒とは、溶媒の中で含有率が最も高い溶媒である。水溶性アルコールとしては、例えば、1〜2価の脂肪族アルコールなどが挙げられる。
任意の溶媒を含有する場合の含有量は、本発明の導電膜形成用組成物の全質量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
<導電膜形成用組成物の製造方法>
導電膜形成用組成物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。
なかでも、上述した上述した銅粒子(A)、金属ナノ粒子(B)、多価アルコール化合物(C)、塩基性ポリマー(D)、および、揺変剤(E)、ならびに、任意成分であるポリマーバインダー(F)や界面活性剤等を混合して、導電膜形成用組成物を製造できる。
混合する方法は特に制限されないが、例えば、ホモジナイザー(例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー)、ミル(例えば、ビーズミル、ボールミル、タワーミル、3本ロールミル)、ミキサー(例えば、プラネタリーミキサー、ディスパーミキサー、ヘンシルミキサー、ニーダー、クレアミックス、自公転ミキサー(攪拌脱泡機))などを用いて混合分散させる方法が挙げられる。なかでも、銅粒子(A)および金属ナノ粒子(B)の分散性がより優れる点で、超音波ホモジナイザーやビーズミルを用いることが好ましい。
なお、ビーズの材質、ビーズ量、ビーズ径としては、通常のビーズミルに用いられるものであれば特に限定されない。ビーズ径としては、0.05〜3mmφ程度が好ましい。
〔導電膜の製造方法〕
導電膜の製造方法は、上述した本発明の導電膜形成用組成物を用いて基材上に塗膜を形成する工程(以後、「塗膜形成工程」ともいう。)と、加熱処理および/または光照射処理を施して導電膜を形成する工程(以後、「導電膜形成工程」ともいう。)とを有する。以下に、それぞれの工程について詳述する。
<塗膜形成工程>
塗膜形成工程は、上述した本発明の導電膜形成用組成物を基材上に付与して、塗膜を形成する工程である。
塗膜形成工程で使用される基材としては、公知のものを用いることができる。基材に使用される材料としては、例えば、樹脂、紙、ガラス、シリコン系半導体、化合物半導体、金属酸化物、金属窒化物、木材、またはこれらの複合物が挙げられる。
より具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのメタクリル系樹脂;ポリスチレン、ABS、ASなどのポリスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレートなど)、ナイロン樹脂およびナイロン共重合体から選ばれるポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリオキシメチレン;ポリカーボネート樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂;ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂;フッ素樹脂;セルロース誘導体等の樹脂基材;非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙)、特殊印刷用紙、コピー用紙(PPC用紙)、未晒包装紙(重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙)、晒包装紙(晒クラフト紙、純白ロール紙)、コートボール、チップボール、段ボール等の紙基材;ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、石英ガラス等のガラス基材;アモルファスシリコン、ポリシリコン等のシリコン系半導体基材;CdS、CdTe、GaAs等の化合物半導体基材;銅板、鉄板、アルミ板等の金属基材;アルミナ、サファイア、ジルコニア、チタニア、酸化イットリウム、酸化インジウム、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ネサ(酸化錫)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛、窒化アルミニウム基材、炭化ケイ素等のその他無機基材;紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、紙−ポリエステル樹脂等の紙−樹脂複合物、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス布−ポリイミド系樹脂、ガラス布−フッ素樹脂等のガラス−樹脂複合物等の複合基材等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂基材、ポリカーボネート樹脂基材、ポリイミド樹脂基材、ポリエーテルイミド樹脂基材が好ましく使用される。
導電膜形成用組成物を基材上に付与する方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法などの塗布法が挙げられる。
塗布の形状は特に制限されず、基材全面を覆う面状であっても、パターン状(例えば、配線状、ドット状)であってもよい。
基材上への導電膜形成用組成物の塗布量としては、所望する導電膜の膜厚に応じて適宜調整すればよいが、通常、塗膜の膜厚は0.01〜5000μmが好ましく、0.1〜1000μmがより好ましく、1〜100μmがさらに好ましい。
塗膜形成工程においては、必要に応じて、導電膜形成用組成物を基材へ塗布した後に乾燥処理を行い、任意の溶媒を除去してもよい。残存する溶媒を除去することにより、後述する導電膜形成工程において、溶媒の気化膨張に起因する微小なクラックや空隙の発生を抑制することができ、導電膜の導電性および導電膜と基材との密着性の点で好ましい。
乾燥処理の方法としては温風乾燥機などを用いることができ、温度としては、40℃〜200℃で加熱処理を行うことが好ましく、50℃以上150℃未満で加熱処理を行なうことがより好ましく、70℃〜120℃で加熱処理を行うことがさらに好ましい。
乾燥時間は特に限定されないが、基材と導電膜との密着性がより良好になることから、1〜60分であることが好ましい。
<導電膜形成工程>
導電膜形成工程は、上記塗膜形成工程で形成された塗膜に対して加熱処理および/または光照射処理を行い、導電膜を形成する工程である。
加熱処理および/または光照射処理を行うことにより、銅粒子(A)および金属ナノ粒子(B)が互いに融着して導電膜が形成される。
加熱処理の条件は、使用される銅粒子(A)や金属ナノ粒子(B)の種類によって適宜最適な条件が選択される。なかでも、短時間で、空隙が少なく導電性により優れる導電膜を形成することができる点で、加熱温度は100〜500℃が好ましく、150〜450℃がより好ましく、また、加熱時間は5〜120分が好ましく、10〜60分がより好ましい。
なお、加熱手段は特に制限されず、オーブン、ホットプレート等公知の加熱手段を用いることができる。
本発明では、比較的低温の加熱処理により導電膜の形成が可能であり、従って、プロセスコストが安いという利点を有する。
光照射処理は、上述した加熱処理とは異なり、室温にて塗膜が付与された部分に対して光を短時間照射することで焼結が可能となり、長時間の加熱による基材の劣化が起こらず、導電膜の基材との密着性がより良好となる。
光照射処理で使用される光源は特に制限されず、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
具体的な態様としては、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
光照射は、フラッシュランプによる光照射が好ましく、パルス光照射(例:Xeフラッシュランプによるパルス光照射)であることがより好ましい。高エネルギーのパルス光の照射は、塗膜を付与した部分の表面を、極めて短い時間で集中して加熱することができるため、基材への熱の影響を極めて小さくすることができる。
パルス光の照射エネルギーとしては、1〜100J/cm2が好ましく、1〜30J/cm2がより好ましく、パルス幅としては1μ秒〜100m秒が好ましく、10μ秒〜10m秒がより好ましい。パルス光の照射時間は、1〜100m秒が好ましく、1〜50m秒がより好ましく、1〜20m秒がさらに好ましい。
上記加熱処理および上記光照射処理は、単独で実施してもよく、両者を同時に実施してもよい。また、一方の処理を施した後、さらに他方の処理を施してもよい。
上記加熱処理および上記光照射処理を実施する雰囲気は特に制限されず、大気雰囲気下、不活性雰囲気下、または還元性雰囲気下などが挙げられる。なお、不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気であり、また、還元性雰囲気とは、水素、一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気を指す。
なかでも、不活性雰囲気下または還元性雰囲気下で行うことが好ましく、特に加熱処理では還元性雰囲気下で行うことがより好ましい。
〔導電膜〕
上述した工程による各処理を施すことにより、本発明の導電膜が得られる。
導電膜の膜厚は特に制限されず、使用される用途に応じて適宜最適な膜厚が調整される。なかでも、プリント配線基板用途の点からは、0.01〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましい。
なお、膜厚は、導電膜の任意の点における厚みを3箇所以上測定し、その値を算術平均して得られる値(平均値)である。
本発明の導電膜は、本発明の導電膜形成用組成物を用いて形成しているため、導電性に優れる。具体的には、本発明導電膜の体積抵抗値は、後述する実施例に示す通り、100μΩ・cm未満となる。
体積抵抗値は、導電膜の表面抵抗値を四探針法にて測定後、得られた表面抵抗値に膜厚を乗算することで算出することができる。
導電膜は基材の全面、または、パターン状に設けられてもよい。パターン状の導電膜は、プリント配線基板などの導体配線(配線)として有用である。
パターン状の導電膜を得る方法としては、上記導電膜形成用組成物をパターン状に基材に付与して、上記加熱処理および/または光照射処理を行う方法や、基材全面に設けられた導電膜をパターン状にエッチングする方法などが挙げられる。
エッチングの方法は特に制限されず、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを採用できる。
パターン状の導電膜を多層配線基板として構成する場合、パターン状の導電膜の表面に、さらに絶縁層(絶縁樹脂層、層間絶縁膜、ソルダーレジスト)を積層して、その表面にさらなる配線(金属パターン)を形成してもよい。
絶縁膜の材料は特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂、アラミド樹脂、結晶性ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、フッ素含有樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、全フッ素化ポリイミド、全フッ素化アモルファス樹脂など)、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂など挙げられる。
これらの中でも、密着性、寸法安定性、耐熱性、電気絶縁性等の観点から、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、または液晶樹脂を含有するものであることが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂である。具体的には、味の素ファインテクノ(株)製、ABF GX−13などが挙げられる。
また、配線保護のために用いられる絶縁層の材料の一種であるソルダーレジストについては、例えば、特開平10−204150号公報や、特開2003−222993号公報等に詳細に記載され、ここに記載の材料を所望により本発明にも適用することができる。ソルダーレジストは市販品を用いてもよく、具体的には、例えば、太陽インキ製造(株)製PFR800、PSR4000(商品名)、日立化成工業(株)製 SR7200G、などが挙げられる。
上記で得られた導電膜を有する基材(導電膜付き基材)は、種々の用途に使用することができる。例えば、プリント配線基板、TFT、FPC、RFIDなどが挙げられる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1(導電膜形成用組成物1の調製)>
下記第1表に示す含有量(質量部)で、銅粒子(A)としての銅粒子(Cu1020Y、粒子径:0.36μm、三井金属鉱業株式会社製)と、以下のように作製した金属ナノ粒子(B)としての銀ナノ粒子(粒子径:20nm)と、多価アルコール化合物(C)としてのスクロース(官能基数:8、和光純薬工業社製)と、塩基性ポリマー(D)としてのポリエチレンイミン(エポミンP−1000、日本触媒社製)と、揺変剤(E)としてのウレア系揺変剤(BYK−425、ビックケミー社製)と、ポリマーバインダー(F)としてのポリエチレングリコール(PEG)(ポリエチレングリコール 4000、重量平均分子量:4000、和光純薬工業社製)とを混合し、自転公転ミキサー(THINKY社製、あわとり練太郎ARE−310)で5分間処理することで導電膜形成用組成物1を調製した。
なお、下記第1表中、「−」は、該当する成分を配合していないことを表す。また、金属ナノ粒子(B)の項目における「B/A」は、銅粒子(A)100質量部に対する金属ナノ粒子(B)の含有量を表す。同様に、塩基性ポリマー(D)の項目における「D/A」は、銅粒子(A)100質量部に対する塩基性ポリマー(D)の含有量を表し、「D/E」は、揺変剤(E)100質量部に対する塩基性ポリマー(D)の含有量を表す。同様に、ポリマーバインダー(F)の項目における「F/D」は、塩基性ポリマー(D)100質量部に対するポリマーバインダー(F)の含有量を表す。
(銀ナノ粒子の作製)
10質量%の硝酸銀水溶液20mL、20質量%の酒石酸カリウムナトリウム4水和物水溶液20mL、水60mL、および、1−エトキシ−2−プロパノール20mLの混合溶液Aを調製した。
また、10質量%の水素化ホウ素ナトリウム水溶液8mL、20質量%の酒石酸カリウムナトリウム4水和物水溶液20mL、水60mL、および、1−エトキシ−2−プロパノール20mLの混合溶液Bを調製した。
次に、混合溶液Aを撹拌しながら、この中に混合溶液Bを添加した。生成した沈殿物を限外ろ過し、得られた銀ナノ粒子の平均粒径は20nmであった。
<実施例2(導電膜形成用組成物2の調製)>
更に、ポリカルボン酸型界面活性剤(デモールEP、花王社製)0.5質量部を配合した以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物2を調製した。
<実施例3(導電膜形成用組成物3の調製)>
銅粒子(Cu1020Y、粒子径:0.36μm、三井金属鉱業株式会社製)に代えて、銅粒子(Cu1100Y、粒子径:1.18μm、三井金属鉱業株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物3を調製した。
<実施例4(導電膜形成用組成物4の調製)>
銅粒子(Cu1020Y、粒子径:0.36μm、三井金属鉱業株式会社製)に代えて、銅粒子(Cu1050Y、粒子径:0.75μm、三井金属鉱業株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物4を調製した。
<実施例5(導電膜形成用組成物5の調製)>
銅粒子(Cu1020Y、粒子径:0.36μm、三井金属鉱業株式会社製)に代えて、銅粒子(Cu1030Y、粒子径:0.52μm、三井金属鉱業株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物5を調製した。
<実施例6(導電膜形成用組成物6の調製)>
銀ナノ粒子を下記第1表に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物6を調製した。
<実施例7(導電膜形成用組成物7の調製)>
銅粒子および銀ナノ粒子を下記第1表に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物7を調製した。
<実施例8(導電膜形成用組成物8の調製)>
ポリエチレンイミンに代えて、ポリアリルアミン(PAA−15、ニットーボーメディカル社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物8を調製した。
<実施例9(導電膜形成用組成物9の調製)>
ポリエチレンイミン、ウレア系揺変剤およびポリエチレングリコールを下記第1表に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物9を調製した。
<実施例10(導電膜形成用組成物10の調製)>
ポリエチレンイミンおよびポリエチレングリコールを下記第1表に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物10を調製した。
<実施例11(導電膜形成用組成物11の調製)>
スクロースに代えて、ソルビトール(D−ソルビトール、官能基数:6、和光純薬工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物11を調製した。
<実施例12(導電膜形成用組成物12の調製)>
スクロースに代えて、トリメチロールプロパン(TMP)(1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、官能基数:3、和光純薬工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物12を調製した。
<実施例13(導電膜形成用組成物13の調製)>
スクロースに代えて、ペンタエリスリトール(官能基数:4、和光純薬工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物13を調製した。
<実施例14(導電膜形成用組成物14の調製)>
スクロースに代えて、トリエタノールアミン(2,2′,2″−ニトリロトリエタノール、官能基数:3、和光純薬工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物14を調製した。
<実施例15(導電膜形成用組成物15の調製)>
ウレア系揺変剤(BYK−425、ビックケミー社製)に代えて、ウレア系揺変剤(BYK−420、ビックケミー社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物15を調製した。
<実施例16(導電膜形成用組成物16の調製)>
ウレア系揺変剤(BYK−425、ビックケミー社製)に代えて、変性ポリアクリル系揺変剤(SNシックナー636、サンノプコ社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物16を調製した。
<実施例17(導電膜形成用組成物17の調製)>
ウレア系揺変剤(BYK−425、ビックケミー社製)に代えて、変性ポリアクリル系揺変剤(SNシックナー615、サンノプコ社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物17を調製した。
<実施例18(導電膜形成用組成物18の調製)>
ウレア系揺変剤を下記第1表に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物18を調製した。
<実施例19(導電膜形成用組成物19の調製)>
ウレア系揺変剤を下記第1表に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物19を調製した。
<実施例20(導電膜形成用組成物20の調製)>
ポリエチレングリコールに代えて、ポリビニルピロリドン(PVP)(PVP K60、重量平均分子量:140,000、東京化成社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物20を調製した。
<実施例21(導電膜形成用組成物21の調製)>
ポリエチレングリコールを下記第1表に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物21を調製した。
<実施例22(導電膜形成用組成物22の調製)>
ポリエチレングリコールを下記第1表に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物22を調製した。
<比較例1(導電膜形成用組成物Aの調製)>
銅粒子(Cu1020Y、粒子径:0.36μm、三井金属鉱業株式会社製)に代えて、銅粒子(Cu1200N、粒子径:2.04μm、三井金属鉱業株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物Aを調製した。
<比較例2(導電膜形成用組成物Bの調製)>
銀ナノ粒子を配合しなかった以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物Bを調製した。
<比較例3(導電膜形成用組成物Cの調製)>
銀ナノ粒子を下記第1表に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物Cを調製した。
<比較例4(導電膜形成用組成物Dの調製)>
ポリエチレンイミンを配合しなかった以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物Dを調製した。
<比較例5(導電膜形成用組成物Eの調製)>
ポリエチレンイミンを下記第1表に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物Eを調製した。
<比較例6(導電膜形成用組成物Fの調製)>
スクロースに代えて、プロピレングリコール(官能基数:2、和光純薬工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物Fを調製した。
<比較例7(導電膜形成用組成物Gの調製)>
スクロースに代えて、エチレングリコール(官能基数:2、和光純薬工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物Gを調製した。
<比較例8(導電膜形成用組成物Hの調製)>
ウレア系揺変剤を配合しなかった以外は、実施例1と同様の方法で導電膜形成用組成物Hを調製した。
<導電膜の作製>
作製した各導電膜形成用組成物を、乾燥後膜厚が5μmになるよう石英基板上にバー塗布し、60℃で20分間乾燥させることで塗膜を得た。
得られた塗膜にAccuThermoAW410(Allwin21社製)を用いてアルゴンガス注入しながら400℃5分加熱処理を施すことで導電膜を得た。
<導電性>
得られた導電膜について、四探針法抵抗率計を用いて体積抵抗率を測定し、導電性を評価した。評価基準は以下のとおりである。なお、実用上、AA、AまたはBであることが求められる。結果を下記第1表に示す。
AA:体積抵抗率が10μΩ・cm未満
A:体積抵抗率が10μΩ・cm以上50μΩ・cm未満
B:体積抵抗率が50μΩ・cm以上100μΩ・cm未満
C:体積抵抗率が100μΩ・cm以上1000μΩ・cm未満
D:体積抵抗率が1000μΩ・cm以上
<耐擦過性>
得られた導電膜について、HEIDON 表面性試験機 Type14FW(新東科学株式会社製)を用いて砂消しゴムに1kgの荷重を加え、20回擦過した後の抵抗値変化を調べ、耐擦過性を評価した。評価基準は以下のとおりである。なお、実用上、AまたはBであることが求められる。結果を下記第1表に示す。
A:体積抵抗率の変化が3%未満
B:体積抵抗率の変化が3%以上10%未満
C:体積抵抗率の変化が10%以上
Figure 2014192014
Figure 2014192014
第1表に示す結果から、粒子径が大きい銅粒子を配合すると、導電膜の導電性が劣ることが分かった(比較例1)。
また、金属ナノ粒子(B)を配合せずに調製すると、導電膜の導電性が劣ることが分かり(比較例2)、金属ナノ粒子(B)の配合量が多いと、導電膜の耐擦過性が劣ることが分かった(比較例3)。
また、塩基性ポリマー(D)を配合せずに調製すると、導電膜の導電性が劣ることが分かり(比較例4)、塩基性ポリマー(D)の配合量が多いと、導電膜の導電性が劣ることが分かった(比較例5)。
また、2価の多価アルコール化合物を配合すると、導電膜の導電性が劣ることが分かった(比較例6および7)。
また、揺変剤(E)を配合せずに調製すると、導電膜の導電性および耐擦過性がいずれも劣ることが分かった(比較例8)。
これに対し、粒子径0.1μm以上1.2μm以下の銅粒子(A)および特定量の粒子径0.1μm未満の金属ナノ粒子(B)を併用するとともに、特定価数の多価アルコール化合物(C)および揺変剤(E)を配合し、更に、銅粒子に対して特定量の塩基性ポリマー(D)を配合すると、導電膜の導電性および耐擦過性がいずれも良好となることが分かった(実施例1〜22)。
特に、実施例1と実施例2との対比から、ポリカルボン酸型界面活性剤を配合することにより、導電膜の導電性がより良好となることが分かった。
また、実施例1と実施例3〜5との対比から、銅粒子(A)の粒子径が0.1〜0.4μmの範囲内にあると、導電膜の導電性がより良好となることが分かった。
また、実施例1と実施例6および7との対比から、金属ナノ粒子(B)の含有量が銅粒子(A)100質量部に対して20〜60質量部であると、導電膜の導電性および耐擦過性がより良好となることが分かった。
また、実施例1と実施例8との対比から、塩基性ポリマー(D)としてポリエチレンイミンを配合すると、導電膜の導電性がより良好となることが分かった。
また、実施例1と実施例11〜14との対比から、多価アルコール化合物(C)が6価以上のアルコール化合物であると、導電膜の導電性がより良好となることが分かった。
また、実施例1と実施例18および19との対比から、塩基性ポリマー(D)の含有量が揺変剤(E)100質量部に対して200〜1000質量部であると、導電膜の耐擦過性がより良好となることが分かった。
また、実施例1と実施例21および22との対比から、ポリマーバインダー(F)の含有量が塩基性ポリマー(D)100質量部に対して50〜100質量部であると、導電膜の導電性がより良好となることが分かった。

Claims (10)

  1. 粒子径0.1μm以上1.2μm以下の銅粒子(A)と、
    粒子径0.1μm未満の金属ナノ粒子(B)と、
    3価以上の多価アルコール化合物(C)と、
    アミノ基を有する塩基性ポリマー(D)と、
    揺変剤(E)と、を含有し、
    前記金属ナノ粒子(B)の含有量が、30質量%以下であり、
    前記塩基性ポリマー(D)の含有量が、前記銅粒子(A)100質量部に対して2〜20質量部である、導電膜形成用組成物。
  2. 前記金属ナノ粒子(B)が、銅ナノ粒子および/または銀ナノ粒子である、請求項1に記載の導電膜形成用組成物。
  3. 更に、ポリマーバインダー(F)を含有し、
    前記ポリマーバインダー(F)が、ポリビニルピロリドン、または、ポリエチレングリコールであり、
    前記ポリマーバインダー(F)の含有量が、前記塩基性ポリマー(D)100質量部に対して50〜100質量部である、請求項1または2に記載の導電膜形成用組成物。
  4. 前記塩基性ポリマー(D)が、ポリエチレンイミンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電膜形成用組成物。
  5. 前記多価アルコール化合物(C)が、6価以上のアルコール化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電膜形成用組成物。
  6. 前記銅粒子(A)の粒子径が、0.1μm以上0.4μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電膜形成用組成物。
  7. 更に、ポリカルボン酸型界面活性剤を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電膜形成用組成物。
  8. 前記塩基性ポリマー(D)の含有量が、前記揺変剤(E)100質量部に対して200〜1000質量部である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電膜形成用組成物。
  9. 前記金属ナノ粒子(B)の含有量が、前記銅粒子(A)100質量部に対して20〜60質量部である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電膜形成用組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電膜形成用組成物を用いて作製した導電膜。
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