JP2014189896A - 貴金属焼結体用の粘土状組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】貴金属粉末および/または貴金属合金粉末、有機系バインダー、有機添加剤および水を少なくとも含有する貴金属焼結体形成用の粘土状組成物であって、前記有機添加剤が0.1〜3.0質量%のプロピレングリコールであることによって前記の課題を解決する。
【選択図】なし
Description
本発明は、このような状況にかんがみて、次のような目的の下に鋭意研究を重ねた結果完成するに至ったものである。
さらに、詳細な実験を重ねた結果、プロピレングリコール単体を添加するよりも、グリセリン、ポリエチレングリコールのいずれか一方又は両方を添加した方がよりすぐれた効果が得られるということを見出した。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであり、以下にその構成と本発明に想到するに至った経緯について説明する。
前記評価結果に基づき、鋭意研究を続けた結果、本発明者らは、次のような本発明を想到するに至った。
「(1) 貴金属粉末および/または貴金属合金粉末、有機系バインダー、有機添加剤および水を少なくとも含有する貴金属焼結体形成用の粘土状組成物であって、
前記有機添加剤が0.1〜3.0質量%のプロピレングリコールであることを特徴とする貴金属焼結体形成用の粘土状組成物。
(2) 前記有機添加剤として、さらに、グリセリンを含むことを特徴とする(1)に記載の貴金属焼結体形成用の粘土状組成物。
(3) 前記有機添加剤として、さらに、ポリエチレングリコールを含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の貴金属焼結体形成用の粘土状組成物。」
という特徴を有するものである。
(a)貴金属粉末、貴金属合金粉末
本発明に用いる貴金属粉末、貴金属合金粉末としては、金粉末、銀粉末、銅粉末、白金粉末、およびそれらの合金粉末を用いることができる。また、銀粉末と銅粉末との混合粉末を用いることもできる。銀合金粉末としては、銀銅合金が好適に用いられる。これらの貴金属粉末および/または貴金属合金粉末は、貴金属焼結体形成用の粘土状組成物を構成する主成分である。本発明における効果を奏する上で、その含有量が支配的条件となるわけではないが、より実用的な粘土状組成物を構成する上で、その含有量は、50質量%以上95質量%以下とすることが好ましい。すなわち、含有量が50質量%未満では、貴金属が有する風合いや光沢が出ず、一方、95質量%を超えると粘土状組成物の伸びおよび強度が低下するようになるので好ましくない。
本発明に用いる有機バインダーとしては、セルロース系バインダー、ポリビニール系バインダー、アクリル系バインダー、ワックス系バインダー、樹脂系バインダー、澱粉、ゼラチン、小麦粉のうち、少なくとも1種又は2種以上の組み合わせで構成しても良い。また、前記の中でも、セルロース系バインダー、特にメチルセルロース等の水溶性セルロースから構成することが最も好ましい。
本発明に用いる有機添加剤としては、プロピレングリコールが用いられる。但し、その含有量が0.1質量%未満であると、粘土状組成物を乾燥すると柔軟性が低下し、本発明が期待している効果が十分に奏されない。一方、含有量が3.0質量%を超えると粘土状組成物としての造形性が悪くなり、成形することが困難になる。そこで、プロピレングリコールの含有量は、0.1〜3.0質量%に定めた。
さらに、プロピレングリコールに加えて、グリセリン、および/またはポリエチレングリコールを添加することにより、粘土状組成物の乾燥後の柔軟性は一層向上する。
グリセリン及びポリエチレングリコールを添加する場合には、プロピレングリコール、グリセリン及びポリエチレングリコールの合計含有量が0.1〜3.0質量%となるように調整することが望ましい。グリセリンやポリエチレングリコールは、親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質であって、粘土状組成物に含有させることにより粘性を与えることが知られているが、ここでは、プロピレングリコールと共存させて粘土状組成物に添加することによって、粘土状組成物を乾燥させても柔軟性が低下しにくいという効果がプロピレングリコールを単独で加えたときと比べて、より増大するという本発明者らが知得した新規な知見に基づくものである。
本発明に係る粘土状組成物は、貴金属粉末および/または貴金属合金粉末、有機系バインダー、有機添加剤および水を少なくとも含有し、特に有機添加剤として0.1〜3.0質量%のプロピレングリコールを含有するものである。さらに、有機添加剤として、グリセリン又はポリエチレングリコールを含有することが望ましい。
ここで、有機系バインダー、有機添加剤及び水の他に、必要に応じて、界面活性剤、油脂及びオリーブ油が添加されていても良い。
なお、本実施形態では、バインダー混合溶液の撹拌混合時にプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングルコールを添加したが、有機バインダー、銀粉末及び水を混練装置内での混練時に添加することもできる。
また、本実施形態においては、混練装置のステンレス製の混練容器は、内壁にCrNのコーティングを施したものを用いた。CrNのコーティングは耐摩耗性にすぐれる上に潤滑性にもすぐれているため、Feの混入を抑えることができる。
なお、本実施形態では、貴金属粉末として銀粉末を用いたものについて説明しているが、プロピレングリコールの作用は、銀粉末に特有に作用するものではないため、貴金属粉末としては金粉末、銀合金粉末など通常、貴金属焼結体形成用の粘土状組成物に使用される他の貴金属粉末であっても何ら構わない。
表1に示す粘土状組成物に対して、マイヤー硬度、曲げ加工性、造形性の評価を行った。
(マイヤー硬度)
マイヤー硬度測定は、ある一定量乾燥させた粘土の上に鋼球を載せて、加えた荷重をその凹んだ部分の断面積で割った値を求める。この値が低いほど柔らかい、すなわち、貴金属粘土が乾燥した場合でも柔軟性が高いことを意味している。
質量減少量が0質量%、2.0質量%、3.2質量%の3つの乾燥状態に対して、評価した結果を表2に示す。
表1に示す粘土状組成物を長さ60mm、幅5mm、厚さ2mmの板状に成形後、室温、湿度40%の恒温恒湿槽内で表1記載の時間保管したのち、φ17mmの円筒型に巻きつけて、表面に発生するクラックを評価した。評価した結果を表1に示す。貴金属粘土の表面に1mm以上のクラックが発生しなかった場合を「○」と評価し、1mm以上のクラックが発生した場合を「×」と評価した。評価した結果を表2に示す。
表1に示す粘土状組成物10gを厚さ3mmの板状に成形するため、貴金属粘土を で展伸したとき、板状に塑性できるかについて評価した。全体的に厚さ3mmの板状に成形できた場合を「○」と評価し、伸展しても一部が復元してしまい全体的に厚さ3mmの板状に成形できなかった場合を「×」と評価した。図1に全体的に厚さ3mmの板状に成形できた本発明例3の貴金属粘土の写真を示し、図2に伸展しても一部が復元してしまい全体的に厚さ3mmの板状に成形できなかった比較例2の貴金属粘土の写真を示す。この評価した結果を表2に示す。
Claims (3)
- 貴金属粉末および/または貴金属合金粉末、有機系バインダー、有機添加剤および水を少なくとも含有する貴金属焼結体形成用の粘土状組成物であって、
前記有機添加剤が0.1〜3.0質量%のプロピレングリコールであることを特徴とする貴金属焼結体形成用の粘土状組成物。 - 前記有機添加剤として、さらに、グリセリンを含むことを特徴とする請求項1に記載の貴金属焼結体形成用の粘土状組成物。
- 前記有機添加剤として、さらに、ポリエチレングリコールを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貴金属焼結体形成用の粘土状組成物。
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