JP2014189568A - 水性樹脂組成物、プライマー、それを用いて得られる積層体及び包装材料 - Google Patents

水性樹脂組成物、プライマー、それを用いて得られる積層体及び包装材料 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、オレフィン基材をはじめとする各種基材に対して優れた密着性を有するとともに、印刷層及び上塗り層に対しても優れた密着性を有するプライマー層を形成でき、かつ、耐ブロッキング性に優れたプライマー層を形成可能な水性樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、粘着付与剤(A)が水性樹脂(B)によって水性媒体(C)中に分散されたものであることを特徴とする水性樹脂組成物及びプライマーに関するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品をはじめとする様々な製商品の包装材料等の製造に使用可能な水性樹脂組成物に関するものである。
近年、汎用で安価なオレフィン基材が、包装材料、光学材料等の様々な分野で使用されている。
前記分野では、通常、用途に応じて、オレフィン基材の表面に各種機能層(上塗り層)を積層することによって、各用途に求められる要求性能を備えた高機能フィルムを提供している。
しかし、前記オレフィン基材は、一般に、前記上塗り層との密着性が十分でないため、前記オレフィン基材と上塗り層との界面で経時的に剥離を引き起こす場合があった。
そこで、前記オレフィン基材と上塗り層との間にプライマー層を設けることが検討されている。
前記プライマー層の形成に使用可能な樹脂組成物としては、例えば水性ポリオレフィン樹脂と水性ポリウレタン樹脂とメラミン架橋剤とを特定の割合で含有する樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、前記樹脂組成物を用いて形成されたプライマー層は、前記上塗り層との密着性の点で、要求性能にあと一歩及ぶものではないため、使用状況によって経時的に剥離する場合があった。
ところで、前記オレフィン基材を用いて、食品等の包装材料を製造する場合、その意匠性を向上することを目的として、前記オレフィン基材の表面に印刷を施す場合がある。
しかし、前記オレフィン基材は、印刷インクとの密着性の点で十分でない場合があるため、前記基材表面に印刷しても、インク中に含まれる顔料の剥離等を引き起こす場合があった。
また、産業界では、前記したようなプライマー層が予めオレフィン基材の表面に積層されたものが、ロール等に巻き取った状態で、長期間保管されたり、輸送されたりする場合がある。
しかし、前記プライマー層によっては、前記巻き取りを解こうとした際に、オレフィン基材の裏面とプライマー層とが密着(ブロッキング)してしまい、前記巻き取りを解くことができない場合があった。
特開2004−148729号公報
本発明が解決しようとする課題は、オレフィン基材をはじめとする各種基材に対して優れた密着性を有するとともに、印刷層及び上塗り層に対しても優れた密着性を有するプライマー層を形成でき、かつ、耐ブロッキング性に優れたプライマー層を形成可能な水性樹脂組成物を提供することである。
本発明者等は、前記密着性を向上すべく検討した結果、特定の組成からなるウレタン樹脂を含有する水性樹脂組成物を使用することによって、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、粘着付与剤(A)が水性樹脂(B)によって水性媒体(C)中に分散されたものであることを特徴とする水性樹脂組成物及びプライマーに関するものである。
また、本発明は、基材の表面の一部または全部に、前記プライマーを塗布することによってプライマー層を積層し、前記プライマー層の表面の一部または全部に、印刷インクを印刷して形成される印刷層、または、ビニル樹脂を含有する上塗り塗料を塗布することによって形成される上塗り層を積層することを特徴とする積層体及び包装材料に関するものである。
本発明の水性樹脂組成物は、各種基材及び塗膜に対して優れた密着性を有することから、もっぱらプライマーに好適に使用することができる。
前記プライマーを用い各種基材及び塗膜を積層して得られた積層体は、例えば食品、化粧品等の包装材料、メタル蒸着フィルム等の様々な用途に使用することができる。
本発明の水性樹脂組成物は、粘着付与剤(A)が水性樹脂(B)によって水性媒体(C)中に分散されたものであることを特徴とする。
前記粘着付与剤(A)と前記水性樹脂(B)とは、前記粘着付与剤(A)の一部または全部が水性樹脂(B)粒子中に内在し複合樹脂粒子(D)を形成したものであることが、前記基材との密着性、ならびに、前記印刷層及び上塗り層との密着性をより一層向上するうえで、好ましい。前記複合樹脂粒子(D)としては、具体的には、前記粘着付与剤(A)を含むコア層と、前記水性樹脂(B)を含むシェル層とから構成されるコアシェル複合樹脂(D1)であることが好ましい。
本発明で使用する粘着付与剤(A)としては、例えばロジン化合物、テルペン樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、脂肪族環式構造を有するポリエステル樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂及びキシレン樹脂からなる群より選ばれる1種以上を使用することができる。なかでも軟化温度が120℃以下であるものを使用することが好ましく、ロジン化合物を使用することがより好ましく、軟化温度60℃〜100℃のロジンエステルを使用することが、前記基材との密着性、前記印刷層及び上塗り層との密着性、水分散安定性、及び、耐ブロッキング性をより一層向上するうえでさらに好ましい。
前記粘着付与剤(A)としては、前記複合樹脂(D)を形成するうえで、前記水性樹脂(B)よりも親水性度の低いものを使用することが好ましい。
前記粘着付与剤(A)は、水性樹脂(B)粒子内に安定して存在でき、かつ、基材と印刷層及び上塗り層との密着性をより一層向上するうえで、前記水性樹脂(B)の全量に対して1質量%〜40質量%の範囲で使用することが好ましく、10質量%〜35質量%の範囲で使用することがより好ましい。
また、前記水性樹脂(B)としては、水性媒体(C)に安定して分散できる樹脂を使用することができ、一般にアニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等の親水性基を有する樹脂を使用することができる。
前記アニオン性基としては、例えばカルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基等を使用することができ、なかでも、一部または全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基やスルホネート基を使用することが、良好な水分散性を付与するうえで好ましい。
前記アニオン性基の中和に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミン;モノエタノールアミン等のアルカノールアミン;ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等を含む金属塩基化合物が挙げられる。
前記アニオン性基として前記カルボキシレート基またはスルホネート基を使用する場合、それらは前記水性樹脂(B)に対して5mmol/kg〜4,000mmol/kgの範囲で存在することが好ましく、50mmol/kg〜2,000mmol/kgの範囲で存在することが、水性樹脂(B)粒子及び複合樹脂粒子(D)の良好な水分散安定性を維持するうえでより好ましい。
また、前記カチオン性基としては、例えば3級アミノ基等を使用することができる。
前記3級アミノ基の一部または全てを中和する際に使用することができる酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、マレイン酸などの有機酸;スルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸;塩酸、硫酸、オルトリン酸、オルト亜リン酸等の無機酸等を単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、前記ノニオン性基としては、例えばポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)基、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を使用することができる。なかでもオキシエチレン単位を有するポリオキシアルキレン基を使用することが、親水性をより一層向上させるうえで好ましい。
前記水性樹脂(B)としては、例えばウレタン樹脂(B1);水性ポリエステル樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、アクリル樹脂等のビニル樹脂等を使用することができる。なかでもウレタン樹脂(B1)を使用することが、基材と印刷層及び上塗り層との密着性をより一層向上するうえで好ましい。
前記水性樹脂(B)としては、前記基材との密着性、ならびに、前記印刷層及び上塗り層との密着性をより一層向上するうえで、比較的低分子量の樹脂を使用することが好ましく、20,000〜100,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、20,000〜60,000の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましい。
前記水性樹脂(B)に使用可能なウレタン樹脂(B1)としては、各種のものを使用することができ、例えば親水性基を有するポリオールを含むポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させて得られるウレタン樹脂が挙げられる。
なかでも、前記ウレタン樹脂(B1)としては、ポリカルボン酸(b1−1)の全量に対して芳香族ポリカルボン酸を70質量%〜100質量%含有するポリカルボン酸(b1−1)とポリオール(b1−2)とを反応させて得られる芳香族ポリエステルポリオール(b1)、ポリカルボン酸(b2−1)の全量に対して芳香族ポリカルボン酸を20質量%以上70質量%未満含有するポリカルボン酸(b2−1)とポリオール(b2−2)とを反応させて得られる芳香族ポリエステルポリオール(b2)、及び、親水性基を有するポリオール(b3)を含有するポリオール及びポリイソシアネート、ならびに、必要に応じて鎖伸長剤を反応させて得られるウレタン樹脂を使用することが、前記基材との密着性、ならびに、前記印刷層及び上塗り層との密着性を向上するうえで好ましい。
前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)としては、例えばポリカルボン酸(b1−1)の全量に対して芳香族ポリカルボン酸を70質量%〜100質量%含有するポリカルボン酸(b1−1)とポリオール(b1−2)とを反応させて得られるものを使用する。
前記ポリカルボン酸(b1−1)に含まれる芳香族ポリカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びこれらの無水物またはエステル化物等を使用することができる。
前記芳香族ポリカルボン酸は、前記ポリカルボン酸(b1−1)の全量に対して70質量%〜100質量%の範囲で使用することが、前記基材との密着性、ならびに、前記印刷層及び上塗り層との密着性を付与するうえで好ましく、80質量%〜100質量%の範囲で使用することがより好ましく、85質量%〜100質量%の範囲で使用することがより好ましい。
前記ポリカルボン酸(b1−1)に含まれていてもよい脂肪族ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸及びこれらの無水物またはエステル化物等を使用することができる。
前記ポリカルボン酸(b1−1)と反応しうる前記ポリオール(b1−2)としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物及びそれらのアルキレンオキサイド付加物等を使用することができる。
前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)は、前記ウレタン樹脂(B1)の製造に使用するポリオールの全量に対して、10質量%〜35質量%の範囲で使用することが好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(B1)の製造に使用するポリオールに使用する芳香族ポリエステルポリオール(b2)としては、ポリカルボン酸(b2−1)の全量に対して芳香族ポリカルボン酸を20質量%以上70質量%未満含有するポリカルボン酸(b2−1)とポリオール(b2−2)とを反応させて得られる芳香族ポリエステルポリオールを使用する。
前記ポリカルボン酸(b2−1)としては、前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)の製造に使用できるものとして例示した芳香族ポリカルボン酸及び脂肪族ポリカルボン酸等のポリカルボン酸(b1−1)と同様のものを使用することができる。
また、前記ポリオール(b2−2)としても、前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)の製造に使用できるものとして例示したポリオール(b1−2)と同様のものを使用することができる。
前記芳香族ポリカルボン酸は、前記ポリカルボン酸(b2−1)の全量に対して20質量%以上70質量%未満の範囲で使用することが、各種基材及び塗膜に対して優れた密着性を付与するうえで好ましく、30質量%〜60質量%の範囲で使用することがより好ましい。
前記芳香族ポリエステルポリオール(b2)は、前記ポリカルボン酸(b2−1)と前記ポリオール(b2−2)とを従来知られる方法でエステル化反応させることによって製造することができる。
前記芳香族ポリエステルポリオール(b2)は、前記ウレタン樹脂(B1)の製造に使用するポリオールの全量に対して、25質量%〜60質量%の範囲で使用することが好ましい。
前記芳香族ポリエステルポリオール(b1)と前記芳香族ポリエステルポリオール(b2)とは、それらの質量割合〔芳香族ポリエステルポリオール(b1)/芳香族ポリエステルポリオール(b2)〕が2/1〜1/5となる範囲で使用することが、前記基材との密着性、ならびに、前記印刷層及び上塗り層との密着性をより一層向上でき、かつ、ブロッキングを抑制できるため好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(B1)の製造に使用するポリオールとしては、ウレタン樹脂(A)に良好な水分散性を付与するうえで、親水性基を有するポリオール(b3)を使用する。
前記親水性基を有するポリオール(b3)としては、例えば、アニオン性基を有するポリオール、カチオン性基を有するポリオール及びノニオン性基を有するポリオールを使用することができる。なかでも、アニオン性基を有するポリオールを使用することがより好ましい。
前記アニオン性基を有するポリオールとしては、例えばカルボキシル基を有するポリオール、スルホン酸基を有するポリオールを使用することができる。
前記カルボキシル基を有するポリオールとしては、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等を使用することができ、なかでも2,2−ジメチロールプロピオン酸を使用することが好ましい。また、前記カルボキシル基を有するポリオールと各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリエステルポリオールも使用することもできる。
前記スルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等のジカルボン酸またそれらの塩と、エチレングリコールやプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の低分子ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
前記アニオン性基は、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されていることが、良好な水分散性を発現するうえで好ましい。
前記アニオン性基を中和する際に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の沸点が200℃以上の有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を含む金属水酸化物等を使用することができる。前記塩基性化合物は、得られる水性樹脂組成物の水分散安定性を向上させる観点から、塩基性化合物/アニオン性基=0.5〜3(モル比)となる範囲で使用することが好ましく、0.7〜1.5(モル比)となる範囲で使用することがより好ましい。
また、前記カチオン性基を有するポリオールとしては、例えば3級アミノ基を有するポリオールを使用することができ、具体的にはN−メチル−ジエタノールアミン、1分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオール等を使用することができる。
前記カチオン性基は、その一部または全部が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸等の酸性化合物で中和されていることが好ましい。
また、前記カチオン性基としての3級アミノ基は、その一部または全部が4級化されていることが好ましい。前記4級化剤としては、例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライド等を使用することができ、ジメチル硫酸を使用することが好ましい。
また、前記ノニオン性基を有するポリオールとしては、エチレンオキサイド由来の構造単位を有するポリアルキレングリコール等を使用することができる。
前記親水性基を有するポリオール(b3)は、前記ウレタン樹脂(B1)の製造に使用するポリオールの全量に対して、0.1質量%〜25質量%の範囲で使用することが好ましい。
前記ウレタン樹脂(B1)の製造に使用するポリオールとしては、前記した芳香族ポリエステルポリオール(b1)と芳香族ポリエステルポリオール(b2)と親水性基を有するポリオール(b3)の他に、必要に応じて、その他のポリオールを使用することができる。
前記その他のポリオールとしては、例えば脂肪族ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
前記脂肪族ポリエステルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール等のポリオールと、アジピン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、イタコン酸、セバシン酸、クロレンド酸、1,2,4−ブタン−トリカルボン酸及びこれらのエステル化物等のポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるものを使用することができる。
また、前記その他のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトオール、ソルビトール等の比較的低分子量のポリオールを使用することもできる。
また、前記ウレタン樹脂(B1)の製造に使用するポリイソシアネートとしては、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族または脂肪族環式構造を有するポリイソシアネート等を使用することができる。なかでも、芳香族ポリイソシアネートを使用することが、前記基材との密着性、ならびに、前記印刷層及び上塗り層との密着性に優れ、かつ、ブロッキングを抑制できるため好ましく、特に本発明の水性樹脂組成物を食品包装材料の製造に使用する場合には、ポリイソシアネートとしてトリレンジイソシアネートを使用することが、安全性に優れ、衛生的であるため好ましい。
前記ウレタン樹脂(B1)は、例えば無溶剤下または有機溶剤の存在下、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを混合し、50℃〜100℃で概ね3時間〜10時間反応させることによって製造することができる。
前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとの反応は、前記ポリオールが有する水酸基と前記ポリイソシアネートが有するイソシアネート基との当量割合[イソシアネート基/水酸基]が0.5〜3.5の範囲で行うことが好ましく、0.9〜2.5で行うことが好ましい。
前記ウレタン樹脂(B1)を製造する際に使用可能な有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル;アセトニトリル等のニトリル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミドを、単独で使用または2種以上を使用することができる。
前記ウレタン樹脂(B1)を製造する際には、必要に応じて、エチレンジアミン、ヒドラジン等の鎖伸長剤を使用することができる。具体的には、無溶剤下または有機溶剤の存在下、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを混合し、50℃〜100℃で概ね3時間〜10時間反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次いで、該ウレタンプレポリマーと鎖伸長剤とを反応させることによって、比較的高分子量でウレア結合を有するウレタン樹脂を製造することができる。
一方、本発明の水性樹脂組成物を、食品等の各種包装材料の製造に使用する場合、前記 また、前記ウレタン樹脂(B1)としは、前記基材との密着性、ならびに、前記印刷層及び上塗り層との密着性をより一層向上し、かつ、ブロッキングを抑制するうえで、5℃〜65℃の範囲のガラス転移温度を有するものを使用することが好ましい。
前記方法で得たウレタン樹脂(B1)を水性媒体(C)に溶解または分散することによって本発明の水性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば前記した方法でウレタン樹脂(B1)またはその有機溶剤溶液を製造した後、必要に応じて前記ウレタン樹脂(B1)の親水性基を中和し、次いで水性媒体(C)を供給し、必要に応じて脱溶剤する方法が挙げられる。前記ウレタン樹脂(B1)と水性媒体(C)とを混合する際には、必要に応じてホモジナイザー等の機械を使用しても良い。
前記水性媒体(C)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
前記水性樹脂組成物は、前記水性樹脂組成物の全体に対して前記ウレタン樹脂(A)を10質量%〜60質量%の範囲で含有するものを使用することが好ましく、15質量%〜40質量%の範囲で含有するものを使用することが好ましい。一方、前記水性樹脂組成物は、前記水性樹脂組成物の全体に対して前記水性媒体(B)を35質量%〜85質量%の範囲で含有するものを使用することが好ましく、60質量%〜85質量%の範囲で含有するものを使用することが好ましい。
前記方法で得た水性樹脂組成物は、水分散安定性、保存安定性等をより一層向上するうえで、必要に応じて乳化剤を併用してもよい。
前記乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系乳化剤が挙げられる。
また、本発明の水性樹脂組成物は、必要に応じて、造膜助剤、架橋剤、硬化促進剤、可塑剤、帯電防止剤、ワックス、光安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光触媒性化合物、無機顔料、有機顔料、体質顔料等の各種の添加剤等を使用することができる。
前記架橋剤は、プライマー層の耐湿熱性、耐溶剤性、耐ブロッキング性を向上させるうえで使用することができ、例えばアミノ樹脂、アジリジン化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物及びイソシアネート化合物からなる群より選ばれる1種以上のものを使用することができる。
前記方法で得られた本発明の水性樹脂組成物は、前記基材との密着性、ならびに、前記印刷層及び上塗り層との密着性に優れることから、もっぱらプライマーとして好適に使用することができる。
本発明のプライマーは、同一または異なる材質からなる基材間の密着性、前記印刷層及び上塗り層との密着性をより一層向上するうえで、それらの間に設けられるプライマー層を形成する。
前記プライマーを各種基材の一部または全部に塗布する方法としては、例えばスプレー法、カーテンコーター法、フローコーター法、ロールコーター法、グラビア印刷法、刷毛塗り法、浸漬法等が挙げられる。
前記プライマーは、前記基材を延伸する前に塗布することが好ましい。前記プライマーが塗布された基材は、その後、必要に応じて延伸されることが、前記プライマー層と前記基材との密着性をより一層向上するうえで好ましい。また、前記基材は、プライマーを塗布する前に予め延伸されていてもよい。
本発明のプライマーは、予め表面処理されていないプラスティック基材等に対しても優れた密着性を有するが、基材及び上塗り層との密着性をより一層向上するうえで、予めコロナ処理、アルカリ処理等の物理的及び化学的処理されたプラスティック基材を使用することが好ましい。
前記プライマーを塗布及び乾燥することによってプライマー層を形成する方法としては、例えば常温下で1日〜10日程度養生する方法であってもよいが、硬化を迅速に進行させる観点から、50℃〜250℃の温度で、1〜600秒程度加熱する方法が好ましい。また、比較的高温で変形や変色をしやすい基材を用いる場合には、30℃〜100℃程度の比較的低温下で養生を行うことが好ましい。
前記プライマー層としては、積層体の生産効率を向上するうえで、20nm〜10,000nmの厚さであることが好ましい。
前記プライマー層が前記基材表面に積層した部材は、ロール等に巻き取られた状態で、一定期間、保管等されていてもよい。本発明のプライマーを用いて形成されたプライマー層は、耐ブロッキング性にも優れることから、前記巻き取られた状態を解いた際に、前記プライマー層の表面が他の基材の裏面と密着することを抑制することができる。
前記基材の表面に設けられたプライマー層の表面の一部または全部には、印刷インクを印刷することによって印刷層が積層されていてもよい。また、前記基材の表面に設けられたプライマー層の表面の一部または全部には、上塗り塗料を塗布することによって上塗り層が積層されていてもよい。
前記印刷インクとしては、一般に知られる顔料または染料を含有するインクを用いることができる。
前記印刷インクを前記プライマー層の表面に印刷する方法としては、例えばグラビア印刷法、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等が挙げられる。
また、前記上塗り層の形成に使用可能な上塗り塗料としては、各種樹脂及び溶媒を含有するものを使用することができる。
前記樹脂としては、例えば塩化ビニリデン等を重合して得られるラテックス、アクリル樹脂等のビニル樹脂等を使用することができる。
また、前記上塗り塗料の溶媒としては、従来知られる水性媒体、有機溶剤等を使用することができる。
前記上塗り塗料を前記プライマー層の表面の一部または全部に塗布する方法としては、例えばスプレー法、カーテンコーター法、フローコーター法、ロールコーター法、刷毛塗り法、浸漬法等が挙げられる。
前記方法で得られた本発明の積層体は、例えば食品、化粧品等の包装材料、メタル蒸着フィルム等の様々な用途に使用することができる。
調製例1<ポリエステルポリオール(X−1)の調製>
温度計、窒素ガス導入管及び攪拌機を備えた反応容器中に、窒素ガスを導入しながら、テレフタル酸830質量部、イソフタル酸830質量部、エチレングリコール374質量部、ネオペンチルグリコール598質量部及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み、酸価が1以下になるまで230℃で6時間重縮合反応させることによって、数平均分子量1500、酸価0.1及び水酸基価74.4のポリエステルポリオール(X−1)を得た。
調製例2<ポリエステルポリオール(X−2)の調製>
温度計、窒素ガス導入管及び攪拌機を備えた反応容器中に、窒素ガスを導入しながら、テレフタル酸830質量部、イソフタル酸830質量部、エチレングリコール464質量部、1,4−ブタンジオール674質量部、アジピン酸365質量及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み、230℃で6時間重縮合反応させることによって、数平均分子量1500、酸価0.1及び水酸基価74.6のポリエステルポリオール(X−2)を得た。
調製例3<ポリエステルポリオール(X−3)の調製>
温度計、窒素ガス導入管及び攪拌機を備えた反応容器中に、窒素ガスを導入しながら、テレフタル酸830質量部、イソフタル酸830質量部、エチレングリコール372質量部、1,4−ブタンジオール540質量部及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み、酸価が1以下になるまで230℃で6時間重縮合反応させることによって、数平均分子量1500、酸価0.1及び水酸基価74.4のポリエステルポリオール(X−3)を得た。
調製例4<ポリエステルポリオール(X−4)の調製>
温度計、窒素ガス導入管及び攪拌機を備えた反応容器中に、窒素ガスを導入しながら、テレフタル酸1233質量部、1,4−ブタンジオール407質量部、ネオペンチルグリコール449質量部及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み、酸価が1以下になるまで230℃で6時間重縮合反応させることによって、数平均分子量1500、酸価0.3及び水酸基価74.6のポリエステルポリオール(X−4)を得た。
調整例5<ポリエステルポリオール(Z−5)の調整>
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、オルソフタル酸1660質量部、ジエチレングリコール1637質量部及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み180〜230℃で酸価が1以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、水酸基価190、酸価0.3の芳香族環式構造を有するポリエステルポリオール(Z−5)を得た。
Figure 2014189568
調製例6<ポリエステルポリオール(Y−1)の調製>
温度計、窒素ガス導入管及び攪拌機を備えた反応容器中に、窒素ガスを導入しながら、イソフタル酸380質量部、セバシン酸566質量部、エチレングリコール183質量部、1,4−ブタンジオール267質量部及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み、酸価が1以下になるまで230℃で6時間重縮合反応させることによって、数平均分子量2000、酸価0.1及び水酸基価55.9のポリエステルポリオール(Y−1)を得た。
調製例7<ポリエステルポリオール(Y−2)の調製>
温度計、窒素ガス導入管及び攪拌機を備えた反応容器中に、窒素ガスを導入しながら、イソフタル酸380質量部、アジピン酸83質量部及びセバシン酸193質量部、エチレングリコール69質量部、ネオペンチルグリコール233質量部、1,4−ブタンジオール101質量部及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み、酸価が1以下になるまで230℃で6時間重縮合反応させさせることによって、数平均分子量2000、酸価0.2及び水酸基価55.8のポリエステルポリオール(Y−2)を得た。
調製例8<ポリエステルポリオール(Y−3)の調製>
温度計、窒素ガス導入管及び攪拌機を備えた反応容器中に、窒素ガスを導入しながら、アジピン酸1000質量部、1,4−ブタンジオール715質量部及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み、酸価が1以下になるまで230℃で6時間重縮合反応させることによって、数平均分子量2000、酸価0.1及び水酸基価56のポリエステルポリオール(Y−3)を得た。
Figure 2014189568
<実施例1>
調製例1で得たポリエステルポリオール(X−1)100質量部と調製例6で得たポリエステルポリオール(Y−1)150質量部とを反応容器に供給し、減圧下、100℃で加熱することによって脱水した。
次に、80℃に調整した前記反応容器にメチルエチルケトン148.8質量部を供給した後、2,2−ジメチロールプロピオン酸16.6質量部及び1,4−ブタンジオール11.9質量部を供給し、さらにトリレンジイソシアネート69.3質量部を供給し75℃で8時間反応させた。
前記反応物のイソシアネート値が0.1質量%以下になったのを確認した後、ロジンエステル(荒川化学工業株式会社製の「エステルガムAAG」、軟化温度約85℃)を35質量部加え攪拌した。
次に、50℃に調整した前記反応容器にトリエチルアミン13.1質量部を供給し中和した後、水1700質量部を供給し混合した。
前記で得た混合物を、減圧下で40℃〜60℃の範囲で加熱し前記メチルエチルケトンを除去した後、水を供給することによって、水中にウレタン樹脂が分散等した不揮発分20質量%の水性樹脂組成物を得た。
<実施例2〜8及び比較例1〜6>
表3〜6にそれぞれ記載の配合割合に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、それぞれ水性樹脂組成物を調製した。
〔水分散安定性の評価方法〕
実施例及び比較例で得た水性樹脂組成物を温度23℃及び相対湿度23%の条件下に静置させた。前記静置を開始したときから24時間後に水性樹脂組成物の沈殿または分離が目視で確認できたものを「×」、前記静置を開始したときから1ヶ月後に水性樹脂組成物の沈殿または分離が目視で確認できたものを「△」、前記静置を開始したときから3か月以上経過しても沈殿等が見られなかったものを「○」と評価した。
〔ブロッキング性の評価方法〕
2軸延伸されたポリプロピレン基材に、前記実施例及び比較例で得た水性樹脂組成物を、乾燥膜厚が3μmとなるように塗布し、85℃で10分間、熱風乾燥機を用いて乾燥することによって、ポリプロピレン基材の表面にプライマー層が積層した積層体を得た。前記ポリプロピレン基材の表面にプライマー層が積層した積層体を、温度23℃及び相対湿度65%の環境下に置き、そのプライマー層の表面に、他方の2軸延伸されたポリプロピレン基材(W)を積層し、6.5MPaの力で30秒間荷重した。
その後、前記した他方のポリプロピレン基材(W)を、前記プライマー層の表面から除去する際の密着性をもとに、プライマー層のブロッキング性を下記基準により評価した。
○;プライマー層の表面から前記ポリプロピレン基材(W)を容易に除去することができ、前記ポリプロピレン基材(W)の表面にプライマー層が付着していなかった。
△;プライマー層の表面から前記ポリプロピレン基材(W)を容易に除去することができたが、前記ポリプロピレン基材(W)の表面にプライマー層が若干、付着していた。
×;プライマー層の表面から前記ポリプロピレン基材(W)を除去するためにある程度の力を加える必要があり、除去した前記ポリプロピレン基材(W)の表面にはプライマー層が付着していた。
〔基材とプライマー層との密着性(初期)<セロハン粘着テープ剥離試験>〕
2軸延伸されたポリプロピレン基材に、前記実施例及び比較例で得た水性樹脂組成物を、乾燥膜厚が3μmとなるように塗布し、85℃で10分間、熱風乾燥機を用いて乾燥することによって、ポリプロピレン基材の表面にプライマー層が積層した試験板を得た。前記プライマー層の表面に、ニチバン株式会社製の24mm幅の粘着テープを貼付した。
次いで、前記粘着テープを前記プライマー層に対して垂直方向に引張り、前記粘着テープをプライマー層の表面から剥がした際の、前記プライマー層の表面の状態を、下記評価基準に従って目視で評価した。
◎;試験板を構成する基材表面からプライマー層が全く剥離しなかった。
○;試験板を構成する基材表面から、ごく一部のプライマー層が剥離した。基材表面にプライマーが積層した全面積のうち20%未満の範囲のプライマー層が、試験板を構成する基材表面から剥離した。
△;試験板を構成する基材表面から、ごく一部のプライマー層が剥離した。基材表面にプライマーが積層した全面積のうち20%以上50%未満の範囲のプライマー層が、試験板を構成する基材表面から剥離した。
×;試験板を構成するプライマー層の全面積に対して50%以上の範囲のプライマー層が、試験板を構成する基材表面から剥離した。
〔積層体の作製方法〕
2軸延伸されたポリプロピレン基材に、前記実施例及び比較例で得た水性樹脂組成物を、乾燥膜厚が3μmとなるように塗布し、85℃で10分間、熱風乾燥機を用いて乾燥することによってプライマー層を形成した。
次に、前記プライマー層の表面に、メチルメタクリレートとエチルアクリレートとメタクリル酸とを重合して得られるアクリル樹脂及び水を含有する上塗り塗料を塗布し、85℃で10分間、熱風乾燥機を用いて乾燥することによって、前記プライマー層の表面に上塗り層1が積層した積層体1を得た。
また、上塗り塗料としてサランラテックス(旭化成株式会社製)を使用すること以外は、上記と同様の方法で、前記プライマー層の表面に上塗り層2が積層した積層体2を得た。
また、上塗り塗料の代わりに、セロファン印刷用グラビアインキ(白色、酸化チタンとトルエンと酢酸エチルとメチルエチルケトンとを含有するインキ)を使用し、前記プライマー層の表面の全面に印刷することによって、前記プライマー層の表面に印刷層が積層した積層体3を得た。
〔プライマー層と上塗り剤との密着性(初期)<セロハン粘着テープ剥離試験>〕
前記積層体1〜3を構成する上塗り層及び印刷層の表面に、ニチバン株式会社製の24mm幅の粘着テープを貼付した。
次いで、前記粘着テープを前記上塗り層及び印刷層に対して垂直方向に引張り、前記粘着テープを上塗り層及び印刷層の表面から剥がした際の、前記上塗り層及び印刷層の表面の状態を、下記評価基準に従って目視で評価した。
◎;プライマー層の表面から上塗り層及び印刷層が全く剥離しなかった。
○;プライマー層の表面から、ごく一部の上塗り層及び印刷層が剥離した。上塗り層及び印刷層が積層した部分の面積に対して20%未満の範囲の上塗り層及び印刷層が、前記プライマー層の表面から剥離した。
△;プライマー層の表面から、ごく一部の上塗り層及び印刷層が剥離した。上塗り層及び印刷層を備えた部分の面積に対して20%以上50%未満の範囲の上塗り層及び印刷層が、前記プライマー層の表面から剥離した。
×;上塗り層及び印刷層を備えた部分の面積に対して50%以上の範囲の上塗り層及び印刷層が、前記プライマー層の表面から剥離した。
Figure 2014189568
Figure 2014189568
Figure 2014189568
Figure 2014189568

Claims (12)

  1. 粘着付与剤(A)が水性樹脂(B)によって水性媒体(C)中に分散されたものであることを特徴とする水性樹脂組成物。
  2. 前記粘着付与剤(A)の一部または全部が、前記水性樹脂(B)粒子中に内在し複合樹脂粒子(D)を形成したものである請求項1に記載の水性樹脂組成物。
  3. 前記複合樹脂粒子(D)が、前記粘着付与剤(A)を含むコア層と、前記水性樹脂(B)を含むシェル層とから構成されるコアシェル複合樹脂(D1)である請求項2に記載の水性樹脂組成物。
  4. 前記粘着付与剤(A)が、ロジン化合物、テルペン樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、脂肪族環式構造を有するポリエステル樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂及びキシレン樹脂からなる群より選ばれる1種以上である請求項1に記載の水性樹脂組成物。
  5. 前記水性樹脂(B)が、20,000〜60,000の範囲の重量平均分子量を有するものである請求項1に記載の水性樹脂組成物。
  6. 前記水性樹脂(B)がウレタン樹脂(B1)である請求項1に記載の水性樹脂組成物。
  7. 前記水性樹脂(B)が、ポリカルボン酸(b1−1)の全量に対して芳香族ポリカルボン酸を70質量%〜100質量%含有するポリカルボン酸(b1−1)とポリオール(b1−2)とを反応させて得られる芳香族ポリエステルポリオール(b1)、ポリカルボン酸(b2−1)の全量に対して芳香族ポリカルボン酸を20質量%以上70質量%未満含有するポリカルボン酸(b2−1)とポリオール(b2−2)とを反応させて得られる芳香族ポリエステルポリオール(b2)、及び、親水性基を有するポリオール(b3)を含有するポリオール、ポリイソシアネート、ならびに、必要に応じて鎖伸長剤を反応させて得られるウレタン樹脂(B2)である請求項1に記載の水性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性樹脂組成物からなるプライマー。
  9. 基材の表面の一部または全部に、請求項8記載のプライマーを塗布することによってプライマー層を積層し、前記プライマー層の表面の一部または全部に、印刷インクを印刷して形成される印刷層、または、ビニル樹脂を含有する上塗り塗料を塗布することによって形成される上塗り層を有することを特徴とする積層体。
  10. 前記基材が2軸延伸フィルムである請求項9に記載の積層体。
  11. 請求項8または9に記載の積層体からなる包装材料。
  12. 請求項8または9に記載の積層体からなる食品包装材料。
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