JP2014187155A - 熱電変換素子用組成物およびその用途 - Google Patents

熱電変換素子用組成物およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性高分子を含有する熱電変換組成物を提供する。
【解決手段】導電性高分子と、下記一般式で表される化合物とを含有する熱電変換組成物。
Figure 2014187155

(式中、Aは、直接結合、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基を表し、Xは、直接結合、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を表し、Mは、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は熱電変換素子用組成物、ならびにこれを用いて得られる熱電変換膜と熱電変換素子に関する。
熱電変換組素子は、熱と電力を変換する素子である。2種類の異なる金属または半導体を接合して、両端に温度差を生じさせると起電力が生じるゼーベック効果を利用する。大きな電位差を得るためにp型半導体、n型半導体を組み合わせて使用される。
熱電変換素子は、多数の素子を板状、または円筒状に組み合わせた熱電モジュールとして使用される。熱電変換素子材料としては、例えば、常温から500Kまではビスマス・テルル系(Bi−Te系)、常温から800Kまでは鉛・テルル系(Pb−Te系)常温から1000Kまではシリコン・ゲルマニウム系(Si−Ge系)などが使用されている。熱電変換素子を利用した熱電発電は地上用発電、人工衛星用の電源として利用されている。
これらの無機材料を用いる熱電変換素子は、しばしば希少元素を含むまたは有害物質を含む。また加工がしにくい上に、剛直なためにフレキシブル性に優れた熱電変換素子は形成できないといった課題を抱えている。そのため、汎用化が困難であり、有機材料を熱変換材料に用いる研究が進められている。中でも導電性高分子が有望であり、特許文献1にポリアニリンを用いた熱変換素子が、特許文献2にポリ(3−アルキルチオフェン)を用いた熱変換素子が、また特許文献3にポリフェニレンビニレンを用いた熱変換素子が、また特許文献4にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(これを以下「PEDOT」ということがある。)を用いた熱電変換素子がそれぞれ開示されている。
しかし、これら導電性高分子を用いた熱電変換素子の課題として、ゼーベック係数および熱電変換効率指数(ZT)が不十分であることが挙げられる。この課題を改善するため、これらの導電性高分子に少量のドーパントを添加することにより熱電変換効率指数(ZT)を向上させている。
特に、PEDOTに代表されるチオフェン系高分子は、優れた導電性を有するホール移動型半導体として知られている。PEDOTにポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)のような高分子電解質を添加することにより、「ドーパント」として導電性と、水への可溶性とを付与させており、比較的高い熱電変換効率指数(ZT)を示すことが知られている。
また、PEDOTに、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)のような高分子電解質を添加すると共に、エチレングリコール、ジメチルスルホキド、n−メチルピロリドンあるいはジメチルホルムアミドような高沸点溶媒を加えることにより、熱電変換効率指数(ZT)を一層向上させ熱電変換素子に応用した報告がされている。
しかし、従来技術では熱電変換効率指数(ZT)は不十分であるという問題、また、高沸点溶媒でも溶媒の揮発は避けられないため経時での安定性が不十分であり耐久性が十分に得られない問題があった。
特開2000−323758号公報 特開2003−332638号公報 特開2003−332639号公報 特開2012−84821号公報
無機材料や従来の導電性高分子材料を用いた熱電変換素子の問題を解決し、加工性や柔軟性に優れ、さらには、高い熱電変換効率指数(ZT)を持つ熱電変換素子を提供することである。
本願発明の目的は、熱電変換性能に優れ、かつ、熱的安定性、耐久性に優れる導電性高分子を含有する熱電変換組成物を提供することである。更には、前記熱電変換組成物を用いることで、熱電変換性能に優れる熱電変換膜および熱電変換素子を提供することである。
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、導電性高分子と、一般式[1]で表される化合物とを含有する熱電変換成物が熱電変換性能に優れ、熱的安定性、耐久性に優れる組成物であることを見出し、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、導電性高分子と、下記一般式[1]で表される化合物とを含有することを特徴とする熱電変換組成物に関する。
一般式[1]
Figure 2014187155
(式[1]中、Aは、直接結合、置換もしくは未置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の2価の脂肪族複素環基、または、置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環基を表し、
Xは、直接結合、酸素原子、窒素原子、または、硫黄原子を表し、
Mは、リチウム原子、ナトリウム原子、または、カリウム原子を表す。)
また本発明は、導電性高分子が、下記一般式[2]で表されるユニットおよび/または下記一般式[3]で表されるユニットおよび/または下記一般式[3a]で表されるユニットを有することを特徴とする上記熱電変換組成物に関する。
一般式[2]
Figure 2014187155
(式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。)
一般式[3] 一般式[3a]
Figure 2014187155


(式中、R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。)
また本発明は、上記熱電変換組成物を用いて得られる熱電変換膜に関する。
また本発明は、上記熱電変換組成物を用いて得られる熱電変換素子に関する。
本発明の熱電変換組成物は、熱電変換性能に優れ、熱的安定性、耐久性に優れる。 また、本発明の熱電変換素子は熱電変換性能に優れ、工場や廃棄物焼却場などの廃熱の利用に好適に使用することができる。
以下、詳細にわたって本発明を説明する。
まず、一般式[1]におけるAは、直接結合、置換または未置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の2価の脂肪族複素環基、または、置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環基を表す。
ここで、2価の脂肪族炭化水素基としては、メチレン、エチレン、プロピリデン、トリメチレン、1,4−シクロヘキシリデン等が挙げられる。
また、2価の芳香族炭化水素基としては、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、1,8−ナフチレン、フェナントジレン等が挙げられる。
また、2価の脂肪族複素環基としては、2,5−ピロジイル、3,4−ピロジイル、2,6−ピペリジイル、2,3―ピペラジイル、2,5―ピペラジイル等が挙げられる。
また、2価の芳香族複素環基としては、2,3−フラリイル、3,4−リロリイル、2,5−チオリイル、3,4−イソオキソリイル、2,5−チアソリイル等が挙げられる。
また、Aに置換することができる置換基としては、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基等が挙げられる。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
ここで、脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を指し、そのようなものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基が挙げられる。
また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といった炭素数2〜18のアルケニル基が挙げられる。
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といった炭素数2〜18のアルキニル基が挙げられる。
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といった炭素数3〜18のシクロアルキル基が挙げられる。
さらに、芳香族炭化水素基としては、単環、縮合環、環集合炭化水素基が挙げられる。ここで、単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の炭素数6〜18の単環芳香族炭化水素基が挙げられる。
また、縮合環炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の炭素数10〜18の縮合環炭化水素基が挙げられる。
また、環集合炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基等の炭素数12〜18の環集合炭化水素基が挙げられる。
また、脂肪族複素環基としては、2−ピラゾリノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、2−モルホリニル基といった炭素数3〜18の脂肪族複素環基が挙げられる。
また、芳香族複素環基としては、トリアゾリル基、3−オキサジアゾリル基、2−フラニル基、3−フラニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロ−リル基、2−ピロ−リル基、3−ピロ−リル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、3−ピラゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、N−アクリジニル基、2−チオフェニル基、3−チオフェニル基、ビピリジル基、フェナントロリル基といった炭素数2〜18の芳香族複素環基が挙げられる。
また、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基といった炭素数1〜8のアルコキシル基が挙げられる。
また、アリ−ルオキシ基としては、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基といった炭素数6〜14のアリ−ルオキシ基が挙げられる。
また、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基といった炭素数1〜8のアルキルチオ基が挙げられる。
また、アリ−ルチオ基としては、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基といった炭素数6〜14のアリ−ルチオ基が挙げられる。
また、置換アミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(m−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−ビフェニリル)アミノ基、ビス[4−(4−メチル)ビフェニリル]アミノ基、N−α−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−β−ナフチル−N−フェニルアミノ基等の炭素数2〜26の置換アミノ基が挙げられる。
また、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、アニソイル基、シンナモイル基等の炭素数2〜14のアシル基が挙げられる。
また、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜14のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
また、アリ−ルオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜14のアリ−ルオキシカルボニル基が挙げられる。
また、アルキルスルホニル基としては、メシル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基等の炭素数2〜14のアルキルスルホニル基が挙げられる。
また、アリ−ルスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の炭素数2〜14のアリ−ルスルホニル基が挙げられる。
本発明で用いられる一般式[1]で表される化合物の代表例を、以下の表1に示すが、本発明は、この代表例に限定されるものではない。
Figure 2014187155
Figure 2014187155
Figure 2014187155
Figure 2014187155
次に、一般式[2]における、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。
一般式[2]中のR1およびR2における、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基は、それぞれ、Aの置換基におけるハロゲン原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基と同義である。
これらR1およびR2における、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。そのような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基等が挙げられる。これらの置環基の例としては、前述のものが挙げられる。
次に、一般式[3]および一般式[3a]における、R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。
一般式[3]および一般式[3a]中のR3およびR4における、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基は、それぞれ、Aの置換基におけるハロゲン原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基と同義である。
これらR3およびR4における、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。そのような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基等が挙げられる。これらの置環基の例としては、前述のものが挙げられる。
本発明で用いられる一般式[2]、一般式[3]および一般式[3a]で表されるユニットの代表例を以下の表2に示すが、本発明は、この代表例に限定されるものではない。
Figure 2014187155
Figure 2014187155
Figure 2014187155
まず、本発明の導電性高分子について以下に説明する。
本発明の熱電変換組成物に含有される導電性高分子は、電気伝導性を有する高分子であれば特に制限されない。例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレンが挙げられる。また、これらの混合物であっても良い。なかでも、導電性により優れるという観点から、ポリチオフェンが好ましい。
ポリチオフェンは、チオフェン骨格のユニット(繰り返し単位)を有するものであれば特に制限されない。また、ポリチオフェンとしては、例えば、ポリアニオンの存在下でカチオン的に帯電したものを使用することができる。また、ポリチオフェンは、一般式[2]もしくは一般式[3]で表されるユニットをそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて有することができる。
ポリチオフェンが2種以上のユニットを有する場合、ポリチオフェンはコポリマーとなる。ポリチオフェンコポリマーは、その配列について特に制限されない。例えば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーを有するコポリマーが挙げられる。
ポリチオフェンが有することができるドーパントは、特に限定されないが、ポリチオフェンへの可溶性付与の観点から高分子電解質が望ましい。高分子電解質は側鎖もしくは主鎖にアニオンを有するものが望ましい。高分子電解質としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸を有するものを挙げることができる。なかでも、水への分散安定性の観点から、ポリスチレンスルホン酸(PSS)が望ましい。
導電性高分子はその製造法について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。導電性高分子としてのポリチオフェンは、例えば、チオフェン骨格を有するモノマーを化学的または電気化学的に酸化重合することによって製造することができる。
ポリチオフェンの製造の際に使用されるモノマーは、チオフェン骨格を有する化合物であれば特に制限されない。例えば、上記のチオフェン骨格を有するユニットに対応するものが挙げられる。具体的には、例えば、3,4−アルキレンジオキシチオフェンが挙げられる。3,4−アルキレンジオキシチオフェンが有するアルキレン基としては、置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキレン基が挙げられる。具体的には、例えば、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−シクロヘキシレン基が挙げられる。置換基としては、例えば、スルホネート基、スルホン酸基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基が挙げられる。
また、導電性高分子として市販品を使用することができる。ポリチオフェンの市販品としては、例えば、Baytron P(Bayer社製)として供給されている、チオフェン含有ポリマーの安定化された分散体が挙げられる。導電性高分子はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
導電性高分子に添加する一般式[1]で表される化合物の量は、導電性、熱的安定性により優れるという観点から、導電性高分子100重量部に対して、0.1重量部以上であるのが好ましく、1〜100重量部であるのがより好ましく、20〜50重量部であるのがさらに好ましい。
本発明の熱電変換組成物は、導電性高分子および、一般式[1]で表される化合物のほかに、本発明の効果を損なわない範囲でさらに添加剤を含有することができる。添加剤は、特に制限されない。例えば、フィルム形成剤、架橋剤、結合剤、本発明の熱電変換組成物に含有される化合物以外のドーパント、艶消し剤、界面活性剤、塗被助剤、寸法安定性を改善するためのポリマーラティス、増粘剤、増粘防止剤、粘度改質剤、硬膜剤、帯電防止剤、色素、顔料、カブリ防止剤、滑剤、酸化防止剤、接着性付与材を含むことができる。添加剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
混合時にさらに溶媒を添加することによって、製膜性を高くすることができる。溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、メチルプロピルカーボネートのような炭酸エステル類;プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、メチルアセテート、エチルアセテートのようなエステル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、グリコールエーテルのようなエーテル類;これらにフッ素などの置換基を導入した化合物が挙げられる。溶媒はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の熱電変換組成物はその製造について特に制限されない。導電性高分子、化合物および必要に応じて使用することができる添加剤を、例えば、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機による機械撹拌、撹拌子による撹拌、超音波を利用する撹拌によって混合し、本発明の熱電変換組成物を製造する方法が挙げられる。また、溶媒を使用する場合、例えば、ビーズミル、三本ロールを用いて導電性高分子および化合物を混合させて、本発明の熱電変換組成物を製造することができる。
本発明の熱電変換組成物は、水系および/または溶媒系の分散体として得ることができる。
本発明の熱電変換組成物を適用することができる基材は、特に制限されない。基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ(ビニルアセタール)、セルローストリアセテート、セルロースニトレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ガラス、シリコンウエハが挙げられる。
基材は可撓性のフィルム支持体であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。また、 基材は、用途に応じて透明又は不透明であってよい。
本発明の熱電変換膜を基材の上に製造する方法について以下に説明する。
本発明の熱電変換膜を基材の上に製造する場合、その製造方法としては、例えば、熱電変換組成物を基材の上に塗布する塗布工程と、必要に応じて、熱電変換組成物を乾燥させて熱電変換膜を形成する乾燥工程とを有する製造方法が挙げられる。
塗布工程は、熱電変換組成物を基材の上に塗布し、基材の上に熱電変換組成物の塗膜を形成する工程である。塗布工程において、熱電変換組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、ラングミュアーブロジッド(LB)膜形成法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、インクジェット法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、ディップ法、遠心成型法、押出成形法、インジェクション成形法、インフレーション成形法、光パターン形成方法等が挙げられる。
本発明の熱電変換組成物には、熱電変換性能を高めるために無機熱電材料から成る微粒子を加えても良い。無機熱電材料としては、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系、(Ca、Sr、Bi)Co25系などを挙げることができ、具体的には、Bi2Te3、PbTe、AgSbTe2、GeTe、Sb2Te3、NaCo24、 CaCoO3、SrTiO3、ZnO、SiGe、FeSi2、Ba8Si46、MnSi1.73、ZnSb、Zn4Sb3、GeFe3CoSb12、LaFe3CoSb12などが挙げられる。このとき、上記の無機熱電材料に、不純物を加えて半導体としての極性(p型、n型)や導電率を制御して利用しても良い。
乾燥工程は、付与工程後、熱電変換組成物の塗膜を乾燥させて、熱電変換膜を形成する工程である。なお、乾燥工程は、必要に応じて設けることができる。乾燥工程において塗膜を加熱して乾燥させる場合、温度は、80〜150℃であるのが好ましい。
本発明の熱電変換組成物は熱的安定性に優れるので乾燥工程における温度を高くすることができ、生産性に優れる。
本発明の熱電変換素子を製造する場合、その製造方法は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
熱電変換素子は、熱電変換組成物を用いて得た熱電変換膜に二つの電極を取り付けることで作成することが出来る。
電極としては、金属、合金、および半導体を好適に用いることが出来るが、とりわけ導電率が高いことから金属および合金が好ましく、金、銀、銅、アルミニウムおよびそれらの合金が好ましい。
電極は、真空蒸着法、電極材料箔や電極材料膜を有するフィルムの熱圧着、電極材料の微粒子を分散したペーストの塗布、などで形成することが出来る。この中では、プロセスが簡便な観点で、電極材料箔や電極材料膜を有するフィルムの熱圧着、電極材料を分散したペーストの塗布による電極の形成が好ましい。
熱電変換膜と二つの電極の位置関係の代表例としては、本発明の熱電変換膜の両端に電極が形成されている場合、2つの電極で本発明の熱電変換膜が挟持されている場合、の2つが挙げられる。
例えば、基材に熱電変換膜を形成した後に、その両端に銀ペーストを塗布することで本発明の熱電変換膜の両端に電極が形成されている熱電素子を作成出来る。また、例えば、基材上に銀ペーストを塗工することで電極膜を形成し、その上に本発明の熱電変換膜を形成し、さらにその上に、銀ペーストを塗工することで、2つの電極で本発明の熱電変換膜が挟持されている熱電素子が形成できる。
熱電変換膜の両端に電極が形成されている場合、2つの電極間の距離を広くとることが容易であり、結果として2つの電極間で大きな温度差を発生させて熱電変換を行うことが出来る。
2つの電極で本発明の熱電変換膜が挟持されている場合は、二つの電極間の距離を広くすることは難しい。なぜならば、熱電変換膜の膜厚に依存するためである。このため、2つの電極間に大きな温度差を発生させることは難しい。しかし、基材に対して垂直な方向の温度差を利用できることから、発熱体に貼り付けるなどの形で利用することが可能であり、熱源の広い面積の活用が容易い点で好ましい。
また、熱電素子を、直列に接続することで高い電圧を発生させることが可能であり、並列に接続することで大きな電流を発生させることが可能である。また、2つ以上の熱電素子を接続することも可能である。
本発明の熱電素子を他の熱電材料から成る熱電素子と組み合わせることも有効である。例えば、無機熱電材料としては、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系、(Ca、Sr、Bi)Co25系などを挙げることができ、具体的には、Bi2Te3、PbTe、AgSbTe2、GeTe、Sb2Te3、NaCo24、 CaCoO3、SrTiO3、ZnO、SiGe、FeSi2、Ba8Si46、MnSi1.73、ZnSb、Zn4Sb3、GeFe3CoSb12、LaFe3CoSb12などが挙げられる。このとき、上記の無機熱電材料に、不純物を加えて極性(p型、n型)や導電率を制御して利用しても良い。有機熱電材料としては、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、フラーレンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
複数の熱電素子を接続する場合、1つの基材に集積した状態で接続して利用することも出来る。この際、本発明の熱電素子に対してn型としての極性を示す熱電材料から成る熱電素子を組み合わせ、直列に接続することは、熱電素子を緻密に集積することが容易と成るために好ましい。
熱電変換組成物については、従来、導電性高分子の導電性を高くするために、二次ドーパントとして高沸点溶媒を添加することが提案されていた(例えば、特許文献4)。しかしながら、高沸点溶媒であっても揮発は避けられず、成分組成が変化しやすい。このため、高沸点溶媒を含む組成物を電気・電子材料として応用することを考える場合、そのような組成物は電気的特性が不安定となるおそれがあった。また、有機溶媒は可燃性であるため、信頼性、安全性が低く、応用範囲が狭くなるという問題があった。
また、従来、導電性高分子にドーパントを添加する場合、ドーパントの量を極微量とすることによって、導電性高分子の導電性が大幅に向上することが知られている。一般的に、ドーパント自身が有する導電性は、ドープ後の導電性高分子の導電性よりも著しく低い。このため、ドーパントを必要以上に導電性高分子に添加しても、導電性高分子と大量のドーパントを含む組成物の導電性は、導電性高分子よりも向上しないので、結果としてそれらを用いた熱電変換組成物による熱電変換素子では熱電変換性能指数(ZT)は低下する。
また、導電性高分子にドーパントとして、高分子電解質を大量に混合することは、導電性を著しく低下させるというのがこれまでの通説であった。例えば、PEDOTには導電性の付与を目的としてPSSのような高分子電解質が添加されている。このように、PEDOTのような導電性高分子にドーパントとして高分子電解質(塩)を大量に混合することは、導電性を著しく低下させると考えられていた。 しかしながら、本願発明により、導電性高分子に、ドーパントとして、一般式[1]で示される化合物を加えることで、導電性高分子の導電性をより優れたものとすることができ、結果優れた熱電変換性能指数(ZT)とすることができる。
以下、本発明を実施例で説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例の説明中、部は重量部、% は重量% を表す。また、「Mn 」は、数平均分子量を表す。
まず、本発明の一般式[1]の化合物は、以下に示すように前駆体(1)と無水アンモニアをトリエチルアミン等の弱塩基性の有機溶媒を用いて反応させることで前駆体(2)を調製し、さらに前駆体(2)を従来公知の方法で塩交換することで得た。
Figure 2014187155
ここで前駆体(1)および(2)のXおよびAは一般式[1]におけるXおよびAと同義であり、目的とする一般式[1]の化合物に合わせて選択される。
また、本発明の一般式[1]で表される化合物は、米国特許第4387222号に記載のように調製することができる。前駆体(1)は、例えば、米国特許第3542864号、同第5318674号、同第3423299号、同第3951762号、同第3623963号、同第2732398号、およびS.Temple、J.Org.Chem.,33(1),344(1968),D.D.DesMarteau,Inorg.Chem.,32, 5007(1993)に記載のように、当該分野において公知のさまざまな方法によって調製することができる。
合成例1
57 mlの脱イオン水中に、0.27gの表3の化合物(21)、6.53g のポリスチレンスルホン酸18%水溶液(Mn:70,000)、0.54gの過硫酸アンモニウムおよび、15mgの硫酸鉄(III)を加え、室温にて24 時間攪拌することにより、導電性樹脂(1) の水分散液を得た(固形分2.0%)。
合成例2〜7
表3の化合物(21)の代わりに、表3の化合物(22)〜(27)を用いた以外は、合成例1と同様にして導電性樹脂の水分散液を得た(固形分2.0%)。
合成例8
表3の化合物(21)の代わりに、表3の化合物(21)と表3の化合物(25)の1:1(モル比)混合物を用いた以外は、合成例1と同様にして導電性樹脂の水分散液を得た(固形分2.0%)。
合成例9
表3の化合物(21)の代わりに、表3の化合物(21)と表3の化合物(26)の1:1(モル比)混合物を用いた以外は、合成例1と同様にして導電性樹脂の水分散液を得た(固形分2.0%)。
合成例10
表3の化合物(21)の代わりに、表3の化合物(21)と表3の化合物(30)の1:1(モル比)混合物を用いた以外は、合成例1と同様にして導電性樹脂の水分散液を得た(固形分2.0%)。
合成例11〜13
表3の化合物(21)の代わりに、表3の化合物(28)、(31)、(32)を用いた以外は、合成例1と同様にして導電性樹脂の水分散液を得た(固形分2.0%)。
合成例14
表3の化合物(21)の代わりに、表3の化合物(28)と表3の化合物(26)の1:1(モル比)混合物を用いた以外は、合成例1と同様にして導電性樹脂の水分散液を得た(固形分2.0%)。
合成例15
表3の化合物(21)の代わりに、表3の化合物(21)と表3の化合物(28)の1:1(モル比)混合物を用いた以外は、合成例1と同様にして導電性樹脂の水分散液を得た(固形分2.0%)。
Figure 2014187155
Figure 2014187155
Figure 2014187155
以下、表4に、合成例1〜15で合成した導電性樹脂を示す。尚、合成例1〜15で合成した導電性樹脂には、ポリスチレンスルホン酸が、下記ポリマー1に対し4.3倍の重量比率で混合している。また、n、mは、1〜100,000の整数である。
Figure 2014187155

Figure 2014187155

Figure 2014187155
ここで、無次元熱電性能指数(ZT)とその導出に関して説明する。ZTは以下の式で表される。
ZT=(S2・σ・T)/κ
ここで、Sはゼーベック係数(V/K)、σは導電率(S・m)、κは熱伝導率(W/(m・K))である。熱伝導率κは以下の式で表される。
κ=α・ρ・C
ここで、αは熱拡散率(m2/s)、ρは密度(kg/m3)、Cは比熱容量(J/(kg・K))である。
ゼーベック係数と導電率はZEM−2(アルバック理工製)、熱拡散率は周期加熱法熱拡散率測定装置FTC−1(アルバック理工製)、比熱容量は示差走査熱量測定装置DSC6200(セイコーインスツル製)を用いて測定し、密度は文献値より1.45(g/cm3)と見なしてZTの算出を行った。
実施例1
洗浄したポリイミド基材上に、導電性高分子の水分散液PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシ)−2,5−チオフェン/ポリスチレンスルホン酸、(Bayer社製BAYTRON P)を2.0gと、本発明の表1中の化合物(1)(東京化成 製品番号H1057 1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホンイミドリチウム)を表5に示す量、2−イソプロピルアルコール1.0gを混合させ、これを、バーコーター(No.8)を用いて、PET板上に塗工し、100℃にて3分間加熱乾燥させて熱電変換膜(膜厚30μm)を得た。この熱電変換膜に関して、100℃の環境におけるZTを、作製直後および耐久試験後(60℃の環境下に100時間)についてそれぞれ算出した結果を表5に示す。
また、この熱電変換膜を幅1mm×長さ40mmの短冊状に基材と一緒に切り出し、粘着層を有するポリイミドフィルムの粘着面に2mm間隔で接着した。さらに、熱電変換膜と熱電対を形成するニッケル箔(厚み20μm)を、幅1mm×長さ40mmの短冊状に切り出し、ポリイミドフィルムの粘着面で短冊状熱電変換膜の間に設置した。導電性ペーストのドータイトD−500(藤倉化成株式会社制)を用いて、熱電変換膜の1つの端部とニッケル箔の1つの端部を電気的に接続することで単位熱電対を形成し、ポリイミドフィルム上に10対の単位熱電対を設け、これらの単位熱電対を直列に接続して熱電変換素子を作製した。
この熱電変換素子の片側に配置される複数の電気的接続部分を温接点としてヒーターと接触させて、室温で発電実験を行った。温接点温度が105℃の場合、もう一方の複数の電気的接続部分すなわち冷接点は25℃であって室温とほぼ同じとなり、十分な温度差が2つの接点間で得られた。このときの電流-電圧特性から求めた最大出力電力を表5に示す。
表5
Figure 2014187155
実施例2
導電性高分子の水分散液として、ポリチオフェン誘導体(ポリ(チオフェン−3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2,5−ジイル)、スルホン化 2% in ethylene glycol monobutyl ether/water, 3:2, electronic grade(Aldrch社製)を使用した以外は、実施例1と同様に熱電変換膜および熱電変換素子を作成・評価した。結果を表6に示す。結果を表6に示す。
表6
Figure 2014187155
実施例3
導電性高分子の水分散液として、表4の導電性高分子(1)を使用した以外は、実施例1と同様に熱電変換膜および熱電変換素子を作成・評価した。結果を表7に示す。結果を表7に示す。
表7
Figure 2014187155
実施例4〜22
導電性高分子の水分散液として、表4の導電性高分子(1)を使用し、2次ドーパントとして表8に記載の表1の化合物を0.025g(導電性高分子固形分に対して50%)添加した以外は、熱電変換膜および熱電変換素子を作成・評価した。結果を表8に示す。
表8
Figure 2014187155
実施例23〜36
導電性高分子の水分散液として、表9に記載の表4の導電性高分子を使用し、2次ドーパントとして表1の化合物(1)を0.025g(導電性高分子固形分に対して50%)添加した以外は、実施例1と同様に熱電変換膜および熱電変換素子を作成・評価した。結果を表9に示す。
表9
Figure 2014187155
比較例1
実施例1において、表1中の化合物(1)の代わりに、エチレングリコールを用いて導電性膜を作成した以外は、実施例1と同様に熱電変換膜および熱電変換素子を作成・評価した。結果を表10に示す。
表10
Figure 2014187155
表5〜10を見て明らかなように、本発明の組成物は、比較例1で作成した熱電変換膜よりも、高いZTが得られ、かつ、耐熱保存安定性が高い結果が得られた。また、表5〜13を見て明らかなように、本発明の組成物はいずれも、比較例1で作成した熱電変換素子よりも高い最大出力電力が得られた。
以上より、本発明の組成物を用いることで、熱電変換性能に優れ、かつ、熱的安定性に優れる導電性高分子を含有する熱電変換組成物が得られることがわかった。更には、本発明の組成物を用いることで熱電変換性能に優れる熱電変換素子が得られることがわかった。

Claims (4)

  1. 導電性高分子と、下記一般式[1]で表される化合物とを含有することを特徴とする熱電変換組成物。
    一般式[1]
    Figure 2014187155
    (式中、Aは、直接結合、置換もしくは未置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の2価の脂肪族複素環基、または、置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環基を表し、
    Xは、直接結合、酸素原子、窒素原子、または、硫黄原子を表し、
    Mは、リチウム原子、ナトリウム原子、または、カリウム原子を表す。)
  2. 導電性高分子が、下記一般式[2]で表されるユニットおよび/または下記一般式[3]で表されるユニットおよび/または下記一般式[3a]で表されるユニットを有することを特徴とする請求項1記載の熱電変換組成物。
    一般式[2]
    Figure 2014187155
    (式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。)


    一般式[3] 一般式[3a]
    Figure 2014187155




    (式中、R3およびR4は互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルコキシル基、置換もしくは未置換のアリ−ルオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。)
  3. 請求項1または2記載の熱電変換組成物を用いて得られる熱電変換膜。
  4. 請求項1または2記載の熱電変換組成物を用いて得られる熱電変換素子。
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