JP2019068056A - 光電変換素子 - Google Patents

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悟 下村
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圭亮 浅香
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修平 山本
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大輔 北澤
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Abstract

【課題】良質な電子輸送層を形成し、低照度環境における光電変換効率に優れた光電変換素子を提供すること。【解決手段】正極2、光電変換層3、電子輸送層4および負極5をこの順に有する光電変換素子であって、電子輸送層4が、金属酸化物と、特定構造を有する化合物を含む光電変換素子。【選択図】図2

Description

本発明は光電変換素子に関する。
太陽電池は、現在深刻さを増すエネルギー問題に対して有力な環境に優しいエネルギー源として注目されている。現在、太陽電池の光電変換素子の半導体材料としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などの無機物が使用されている。しかし、無機半導体を用いて製造される太陽電池は、火力発電などの発電方式と比べてコストが高いために、一般家庭に広く普及するには至っていない。コスト高の要因は主として、真空かつ高温下で半導体薄膜を形成するプロセスにある。そこで、製造プロセスの簡略化が期待される半導体材料として、共役系重合体や有機結晶などの有機半導体や有機色素を用いた有機太陽電池が検討されている。このような有機太陽電池においては、半導体材料を塗布法で作製することが可能なため、製造プロセスを大幅に簡略化することができる。
また、一方で、身の回りの僅かな光エネルギーを活用するエネルギーハーベスティング用途でも太陽電池の需要は高まりつつある。エネルギーハーベスティング用途ではさまざまな利用シーンに対応できる、屋外用途での直射日光から屋内環境での微弱光まで、幅広い照度で高い光電変換効率を実現することが求められている。従来の太陽光発電で用いられている結晶シリコン系太陽電池等は特に低照度環境での光電変換効率は低く、現在低照度用としてはアモルファスシリコン太陽電池が主に用いられている。近年、有機太陽電池がこの低照度環境において高い光電変換効率を実現できることして検討がなされている。
有機太陽電池の光電変換効率を向上させる方法の一つとして、電子輸送層を発電層と負極の間に設置する方法が挙げられる。電子輸送層の材料としては酸化亜鉛などの金属酸化物が用いられる。特許文献1においては、電子輸送層としてゾルゲル法で酸化亜鉛膜を形成する際の酸化亜鉛前駆体溶液へのエタノールアミン添加により発電性能の向上効果が得られることが示されている。
特開2013−58714号公報
しかしながら、このような効果を有する添加剤としては、エタノールアミン以外の物質が知られておらず、特に、低照度環境における発電性能を向上させ得る物質が求められていた。本発明は、低照度環境においてより高い発電性能を実現する光電変換素子を提供することを目的とするものである。
本発明者らが検討を重ねた結果、エタノールアミン添加効果はアミン基の電子供与性に起因していること、すなわち、亜鉛との相互作用の強さに起因していることが示唆された。本発明者らはこの相互作用に着目し検討を行った結果、後述する一般式(1)、(2)または(3)のいずれかで示される化合物を添加することで、低照度環境における優れた発電性能を実現する光電変換素子が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、少なくとも正極、光電変換層、電子輸送層および負極をこの順に有する光電変換素子であって、前記電子輸送層が、金属酸化物と、下記一般式(1)、(2)または(3)のいずれかで表される化合物を含むことを特徴とする光電変換素子である。
Figure 2019068056
(一般式(1)〜(3)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、または、炭素数12以下の、アルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基である。
は、それぞれ独立に、直接結合、または、1〜6個の酸素原子または窒素原子を含んでもよい、炭素数12以下のn+1価(nは自然数)の鎖状連結基である。
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、アミド基、チオール基、シリル基、ボリル基、スルホニル基、スルホ基、脂環式複素環基、または一般式(3−1)で表される基である。
Figure 2019068056
一般式(3−1)中、Arは、炭素数12以下の、アリール基またはヘテロアリール基であり、Yは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、アルコキシ基またはアシル基であり、mは1〜5の整数、kは自然数である。)
本発明によれば、低照度環境における光電変換効率に優れた光電変換素子を提供することができる。
本発明の光電変換素子の一態様を示す模式図 本発明の光電変換素子の別の態様を示す模式図
<光電変換素子>
次に、本発明の光電変換素子について説明する。本発明において光電変換素子とは、光エネルギーを電気に変換、および逆に電気エネルギーを光に変換する素子のことを指す。本発明の光電変換素子は、少なくとも正極、光電変換層、電子輸送層および負極をこの順に有するものである。図1は本発明の光電変換素子の一実施形態を示す模式図である。図1に示す実施形態は、基板(1)/正極(2)/光電変換層(3)/電子輸送層(4)/負極(5)の順で積層されてなる光電変換素子である。また、本発明の光電変換素子は、図2に示す実施形態のように、基板(1)/負極(5)/電子輸送層(4)/光電変換層(3)/正極(2)の順で積層されたものであってもよい。しかしながら、本発明の光電変換素子は、図1および図2に示す態様に限定されるものではない。また、本発明の光電変換素子は、少なくとも正極、光電変換層、電子輸送層および負極をこの順に有している限り、各層の間に他の層を有する態様を排除するものではない。
〔基板〕
光電変換素子は、一般に、基板上に各層を形成することで作製される。基板は、光電変換層に用いられる材料の種類や用途に応じて、電極材料や有機半導体層が積層できる基板、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス、アルミニウム、鉄、銅、およびステンレスなどの合金、等の無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレンポリメチルメタクリレート、エポキシ樹脂やフッ素系樹脂等の有機材料から任意の方法によって作製されたフィルムや板が使用可能である。また、基板側から光を入射して用いる場合は、上記に示した各基板に光透過性を持たせておくことが好ましく、特に80%以上の光透過性を持たせておくことがより好ましい。ここで、光透過率とは、
[透過光強度(W/m)/入射光強度(W/m)]×100(%)
で与えられる値である。
〔電極(正極・負極)〕
本発明の光電変換素子の正極または負極は光透過性を有する。正極または負極は、少なくともいずれか一方が光透過性を有すればよく、両方が光透過性を有してもよい。ここで光透過性を有するとは、光透過率が0%を超えることをいう。光透過性を有する電極は、光電変換層に入射光が到達して起電力が発生する程度に光が透過すればよく、具体的には400nm以上900nm以下の全ての波長領域において光透過率が20〜100%であることが好ましく、より好ましくは60〜100%である。また、光透過性を有する電極の厚さは十分な導電性が得られればよく、材料によって異なるが、20nm〜300nmが好ましい。なお、光透過性を有しない電極は、導電性があれば十分であり、厚さも特に限定されない。
電極材料としては、金、白金、銀、銅、鉄、亜鉛、錫、アルミニウム、インジウム、クロム、ニッケル、コバルト、スカンジウム、バナジウム、イットリウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、などの金属のほか、インジウム酸化物、スズ酸化物、モリブデン酸化物、ニッケル酸化物などの金属酸化物、複合金属酸化物(インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)など)が挙げられる。上記以外の金属として、アルカリ金属やアルカリ土類金属、具体的にはリチウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、なども好ましく用いられる。さらに、上記の金属からなる合金や上記の金属の積層体からなる電極も好ましく用いられる。また、グラファイト、グラファイト層間化合物、カーボンナノチューブ、グラフェン、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体を含む電極も好ましく用いられる。また、上記の電極は2種以上の材料から成る混合層であってもよく、異なる材料からなる2層以上の層が積層された積層構造を持つものであってもよい。
本発明において、正極に用いられる導電性材料は、光電変換層とオーミック接合するものであることが好ましい。後述する正孔輸送層を用いた場合においては、正極に用いられる導電性材料は正孔輸送層とオーミック接合するものであることが好ましい。また、負極に用いられる導電性材料は、電子輸送層とオーミック接合するものであることが好ましい。
〔正孔輸送層〕
本発明の有機起電力素子では、正極と光電変換層の間に正孔輸送層を設けてもよい。前記正孔輸送層を形成する材料としては、正孔輸送性材料、例えば、ポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール重合体、ポリアニリン重合体、ポリフラン重合体、ポリピリジン重合体、ポリカルバゾール重合体などの導電性高分子や、フタロシアニン誘導体(HPc、CuPc、ZnPcなど)、ポルフィリン誘導体、アセン系化合物(テトラセン、ペンタセンなど)などのp型半導体特性を示す低分子有機化合物、グラフェンや酸化グラフェンなどの炭素化合物、MoOなどの酸化モリブデン(MoO)、WOなどの酸化タングステン(WO)、NiOなどの酸化ニッケル(NiO)、Vなどの酸化バナジウム(VO)、ZrOなどの酸化ジルコニウム(ZrO)、CuOなどの酸化銅(CuO)、ヨウ化銅、RuOなどの酸化ルテニウム(RuO)、Reなどの酸化ルテニウム(ReO)などの無機材料が好ましく用いられる。中でも、ポリチオフェン系重合体であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やPEDOTにポリスチレンスルホネート(PSS)が添加されたもの(以下、PEDOT:PSSと記載する場合がある)、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステンがより好ましく用いられる。
正孔輸送層を形成する材料のうち、無機材料を用いて正孔輸送層を形成する方法としては、その金属塩や金属アルコキシドなどの前駆体溶液を塗布した後、加熱して層を形成する方法や、ナノ粒子分散液を基板に塗布して層を形成する方法が挙げられる。このとき、前記無機材料は、加熱温度や時間、及びナノ粒子の合成条件により、完全には反応が進行しておらず、部分的に加水分解したり、部分的に縮合したりすることで、中間生成物となっていたり、前駆体と中間生成物、最終生成物などの混合物となっていても良い。
正孔輸送層は単独の化合物から成る層であっても良いし、2種以上の化合物から成る混合層、または積層構造であってもよい。また、前記正孔輸送層は光電変換層から電極への正孔輸送を著しく妨げない範囲において、正孔輸送性を有しない物質を含んでいても良い。例えば、塗布性、平滑性を向上させる界面活性剤、粘度調整剤、バインダー樹脂、フィラー等が挙げられる。前記正孔輸送層の厚さは0.1nm〜1000nmの厚さが好ましく、より好ましくは0.5nm〜100nm、さらに好ましくは5nm〜50nmである。
〔光電変換層〕
次に、本発明の光電変換素子における光電変換層について説明する。光電変換層は、少なくとも後述する電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を含む。前記光電変換層の構造として、例えば、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の混合物を含む層からなる構造、電子供与性有機材料からなる層と電子受容性有機材料からなる層を積層した構造、電子供与性有機材料からなる層と電子受容性有機材料からなる層の間に、これらの混合物からなる層を積層した構造などが挙げられる。これらのうち、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の混合物を含む層からなる構造がより好ましい。前記混合物の混合方法としては特に限定されるものではないが、所望の比率で溶媒に添加した後、加熱、撹拌、超音波照射などの方法を1種または複数種組み合わせて溶媒中に溶解させる方法が挙げられる。
光電変換層は、電子供与性有機材料および/または電子受容性有機材料を2種以上含有してもよい。
光電変換層における電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率は特に限定されないが、電子供与性有機材料:電子受容性有機材料(ドナーアクセプター比)が、1:99〜99:1の範囲であることが好ましく、10:90〜90:10の範囲であることがより好ましく、20:80〜60:40の範囲であることがさらに好ましい。
なお、後述するように、光電変換素子用材料が一層の有機半導体層を形成する場合は、上述の含有比率はその一層に含まれる電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率となり、光電変換層が二層以上の積層構造である場合は、有機半導体層全体における電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率を意味する。
光電変換層は、本発明の目的を阻害しない範囲において、界面活性剤やバインダー樹脂、フィラー等の他の成分を含んでいてもよい。
光電変換層の厚さは、電子供与性有機材料および電子受容性有機材料が光吸収によって光電変換を生じるのに十分な厚さであればよい。前記光電変換層の厚さは、材料によって異なるが、10nm〜1000nmが好ましく、50nm〜500nmがより好ましい。
電子供与性有機材料は、p型半導体特性を示す有機化合物であれば特に限定されない。例えば、ポリチオフェン系重合体、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体、キノキサリン−チオフェン系共重合体、チオフェンーベンゾジチオフェン系共重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体などの共役系重合体、H2フタロシアニン(H2Pc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)等のフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(NPD)等のトリアリールアミン誘導体、4,4’−ジ(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体(ターチオフェン、クウォーターチオフェン、セキシチオフェン、オクチチオフェンなど)等の低分子有機化合物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
ポリチオフェン系重合体とは、チオフェン骨格を主鎖に有する共役系重合体を指し、側鎖を有するものも含む。具体的には、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−デシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェンなどが挙げられる。
2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体とは、チオフェン骨格と2,1,3−ベンゾチアジアゾール骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。下記式において、nは1〜1000の整数を示す。
Figure 2019068056
キノキサリン−チオフェン系共重合体とは、チオフェン骨格とキノキサリン骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。キノキサリン−チオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。下記式において、nは1〜1000の整数を示す。
Figure 2019068056
チオフェン−ベンゾジチオフェン系重合体とは、チオフェン骨格とベンゾジチオフェン骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。チオフェン−ベンゾジチオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。下記式において、nは1〜1000の整数を示す。
Figure 2019068056
ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体とは、p−フェニレンビニレン骨格を主鎖に有する共役系重合体を指し、側鎖を有するものも含む。具体的には、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]などが挙げられる。
上記のように例示した電子供与性有機半導体の中でも、下記一般式(4)〜(6)のいずれかで表される骨格を有する共役系重合体は、1,8−ジヨードオクタンを添加剤に用いた際に、光電変換特性が向上することが多数報告されており(例えば、特許第05829734号明細書、「アドヴァンスト マテリアルズ(Advanced Materials)」、2010年、22巻、E135−E138頁、「ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミストリー(Journal of the American Chemistry)、2010年、132巻、7595−7597頁、」、「マクロモルキュールズ(Macromolecules)、2012年、45巻、6923−6929頁、」、「アドヴァンスト マテリアルズ(Advanced Materials)」、2011年、23巻、3315−3319頁など)、本発明の組成物の電子供与性有機半導体として含まれていると好ましい。
Figure 2019068056
(上記一般式(4)中、Rはそれぞれ同じでも異なっていても良く、アルキル基、アルコキシ基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアリール基またはチオアルコキシ基を示す。Xはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄、セレンまたは酸素原子を表す。)
(上記一般式(5)中、Rはアルコキシカルボニル基またはアルカノイル基を表す。Yは水素原子またはハロゲンを表す。)
(上記一般式(6)中、Rはアルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基または置換されていてもよいアリール基を示す。)
上記の骨格構造を有する共役系重合体の中でも、広い光吸収波長領域と深いHOMO準位を有することから高い光電変換特性が得られる下記一般式(7)で表される共役系重合体が本発明の組成物の電子供与性有機半導体としてより好ましい。
Figure 2019068056
(上記一般式(7)中、R、R、X、Yは、上記一般式(4)および(5)と同様である。)
本発明における光電変換層中に含まれる電子受容性有機材料は、n型半導体特性を示す有機物であれば特に限定されない。例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(NTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンズイミダゾール(PTCBI)、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ナフチルテトラカルボキシジイミド(PTCDI−CH)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、2,5−ジ(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)等のオキサゾール誘導体、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入した誘導体(CN−PPV)などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。安定でキャリア移動度の高いn型半導体であることから、フラーレン誘導体が好ましく用いられる。
フラーレン誘導体の具体例として、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94を始めとする無置換のものと、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−C61−PCBM、または[60]PCBM)、[5,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドヘキシルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドドデシルエステル、フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル([70]PCBM)を始めとする置換誘導体などが挙げられる。なかでも、60PCBM、70PCBMがより好ましい。
〔電子輸送層〕
本発明の光電変換素子は、金属酸化物と、前述の一般式(1)、(2)または(3)のいずれかで示される化合物を含む電子輸送層を有する。
一般式(1)、(2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、または、炭素数12以下の、アルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基である。Rは、分子構造の観点から、好ましくは炭素数12以下のアルキル基またはアルケニル基であり、より好ましくは炭素数12以下の直鎖状のアルキル基である。また、金属酸化物の前駆体溶液への溶解性を考慮して、Rは炭素数6以下であることが好ましく、炭素数3以下であることがより好ましい。
ここで、炭素数12以下のアルキル基とは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基のような飽和脂肪族炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基である。
炭素数12以下のアルケニル基とは、例えばビニル基、プロペニル基、ブテニル基などの炭素−炭素二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素基を表し、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。好ましくはビニル基、プロペニル基である。
炭素数12以下のアルキニル基とは、例えばエチニル基、プロピニル基、ブチニル基などの炭素−炭素三重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素基を表し、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。好ましくはエチニル基、プロピニル基である。
一般式(2)、(3)中、Rは、それぞれ独立に、直接結合、または、1〜6個の酸素原子または窒素原子を含んでもよい、炭素数12以下のn+1価(nは自然数)の鎖状連結基である。金属酸化物の前駆体溶液への溶解性を考慮して、Rは炭素数6以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。また、ピペラジン部位とXが有効に金属酸化物の金属と相互作用するために、構造的な自由度を確保する観点から、Rは炭素数1以上であることが好ましい。Rにおける鎖状連結基は、アルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基を主骨格とし、一部の炭素原子が酸素原子または窒素原子に置換されてもよい。このアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は上記Rと同様である。Rは、炭素数12以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数6以下のアルキル基であることが特に好ましい。
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、アミド基、チオール基、シリル基、ボリル基、スルホニル基、スルホ基、脂環式複素環基、または一般式(3−1)で表される基である。なお、「それぞれ独立に」とは、n個のXのそれぞれが互いに異なる基であってもよいことを意味する。
一般式(3−1)中、Arは、炭素数12以下の、アリール基またはヘテロアリール基であり、Yは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、アルコキシ基またはアシル基であり、mは1〜5の整数、kは自然数である。なお、「それぞれ独立に」とは、k個のY、あるいは一般式(3−1)で示されるm個の「−R−(Y)」のそれぞれが互いに異なる基であってもよいことを意味する。
におけるハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。好ましくはフッ素原子、塩素原子である。
におけるアミノ基とは、水素原子を二つ含む1級アミン基、水素原子と置換基を1つずつ含む2級アミン基、置換基を2つ含む3級アミン基のいずれかであり、その置換基としては炭素数12以下の、アルキル基、アルケニル基、及び、アミノ基が置換したアルキル基、アルケニル基である。好ましくは1級アミン基、2級アミン基であるメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、2−アミノエチルアミノ基、4−ピペリジルアミノ基、3級アミン基である、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ビス(2−アミノエチル)アミノ基である。より好ましくは1級アミン基、2−アミノエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基である。
におけるシリル基とは、例えばトリメチルシリル基、ジメチルエチルシリル基などのアルキルシリル基、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基などのシリルエーテルを含むアルコキシシリル基、また、例えばジメチルヒドロキシシリル基などのシラノール基を含む基である。好ましくはトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基である。
におけるボリル基とは、例えばジエチルボリル基、ジメシチルフルオロボリル基、ジヒドロキシボリル基、ジメトキシボリル基、エチルエトキシボリル基、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル基などが挙げられる。好ましくはジヒドロキシボリル基、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル基である。
におけるスルホニル基とは、例えば塩化スルホニル基、メチルスルホニル基、エチルスルホン酸エステル基などが挙げられる。また、Xにおけるスルホ基は、塩型であっても酸型であってもよく、イオン化していてもよい。
における脂環式複素環基とは、例えばピロリジル基、ピペリジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、オキソニル基、テトラヒドロチオフェニル基、ジオキサル基、などが挙げられる。好ましくはピロリジル基、ピペリジル基である。
一般式(3−1)のArにおける炭素数12以下のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アズレニル基などが挙げられる。
一般式(3−1)のArにおける炭素数12以下のヘテロアリール基としては、例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾジチエニル基、フェノキサチエニル基、キサンテニル基、ベンゾフラニル基、チアントレニル基、インドリジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、キノキサリニル基、シロール基、ベンゾシロール基などが挙げられる。
金属酸化物との相互作用を形成する上で立体的障害とならないために、Arは炭素数6以下のアリール基またはヘテロアリール基であることが好ましい。より好ましくはピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基である。
なお、Arは本発明の効果を決定的に阻害しない範囲で「−R−(Y)」以外の置換基を有していてもよい。
一般式(3−1)のYにおけるハロゲン原子、アミノ基は、上記Xと同様である。スルホ基は、塩型であっても酸型であってもよく、イオン化していてもよい。。
一般式(3−1)のYにおけるアルコキシ基とは、エーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を表し、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよく、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
一般式(3−1)のYにおけるアシル基とは、例えばアルデヒド基、アセチル基、エタノイル基などのケトン基を介した水素原子、またはアルキル基や、アセトアミド基、メチルアミド基、ジメチルアミド基などアミド基を介した水素原子、またはアルキル基である。このアルキル基は炭素数6以下が好ましく、3以下であることがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては下記のような構造が挙げられるが特に限定されるものではない。
Figure 2019068056
一般式(2)で表される化合物の具体例としては下記のような構造が挙げられるが特に限定されるものではない。
Figure 2019068056
一般式(3)で表される化合物の具体例としては下記のような構造が挙げられるが特に限定されるものではない。
Figure 2019068056
、及びYは金属酸化物中の金属と相互作用を形成しやすい電子供与性基が好ましく、具体的にはヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基が含まれることが好ましい。特にヒドロキシ基、アミノ基が含まれることが好ましい。
前記電子輸送層に含まれる金属酸化物としてはTiOなどの酸化チタン(TiO)、ZnOなどの酸化亜鉛(ZnO)、SiOなどの酸化ケイ素(SiO)、SnOなどの酸化錫(SnO)、WOなどの酸化タングステン(WO)、Taなどの酸化タンタル(TaO)、BaTiOなどのチタン酸バリウム(BaTi)、BaZrOなどのジルコン酸バリウム(BaZr)、ZrOなどの酸化ジルコニウム(ZrO)、HfOなどの酸化ハフニウム(HfO)、Alなどの酸化アルミニウム(AlO)、Yなどの酸化イットリウム(YO)、ZrSiOなどのケイ酸ジルコニウム(ZrSi)などが挙げられる。これらの中でも少なくとも亜鉛、チタン、すず、インジウムのいずれかを含む金属酸化物が好ましく、少なくとも亜鉛またはチタンを含む金属酸化物がさらに好ましく、酸化亜鉛が特に好ましい
電子輸送層は、キャリアを取り出すのに適した界面状態を形成できるとともに、電極間の短絡を防止する効果があり、その効果を発揮するに十分な厚さがあればよいが、厚くし過ぎると電子輸送効率が低下することがある。所望する光電変換素子の光電変換効率に応じて適宜最適な膜厚に設定すればよいため一概に言えるものではないが、一般的には0.1nm〜1000nmの厚さが好ましく、より好ましくは0.5nm〜100nm、さらに好ましくは5nm〜50nmである。
前記金属酸化物で電子輸送層を形成する方法として、その金属塩や金属アルコキシドなどの前駆体溶液を塗布した後、加熱して層を形成する方法や、ナノ粒子分散液を基板に塗布して層を形成する方法がある。このとき、加熱温度や時間、及びナノ粒子の合成条件により、完全には反応が進行しておらず、部分的に加水分解したり、部分的に縮合したりすることで、中間生成物となっていたり、前駆体と中間性生物、最終生成物などの混合物となっていても良い。
電子輸送層は、金属酸化物および上記一般式(1)〜(3)のいずれかで示される化合物以外の物質を含むことができる。このような物質としては、例えば、電子受容性有機材料(1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ナフチルテトラカルボキシジイミド、オキサゾール誘導体(2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、トリアゾール誘導体(3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等)、フェナントロリン誘導体、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入した誘導体(CN−PPV))のようにn型半導体特性を示す有機材料が電子輸送層に好ましく用いられる。
また、イオン性の置換フルオレン系ポリマー(「アドバンスド マテリアルズ(Advanced Materials)」、2011年、23巻、4636−4643頁、「オーガニック エレクトロニクス(Organic Electronics)」、2009年、10巻、496−500頁)や、イオン性の置換フルオレン系ポリマーと置換チオフェン系ポリマーの組み合わせ(「ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサイエティー(Journal of the American Chemical Society)」、2011年、133巻、8416−8419頁)などのイオン性化合物、ポリエチレンオキサイド(「アドバンスド マテリアルズ(Advanced Materials)」、2007年、19巻、1835−1838頁)なども電子輸送層に好ましく用いられる。
また、イオン性基を有する化合物、例えば、アンモニウム塩、アミン塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、硫酸塩、硝酸塩、アセトナート塩、オキソ酸塩、ハロゲン化物ならびに金属錯体なども電子輸送層として用いることができる。具体的には塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルピリジニウムブロミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、酪酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、ヘプタデカフルオロノナン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、1−ヘキサデカンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、リン酸モノドデシルナトリウム、亜鉛アセチルアセトナート、クロム酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、六フッ化ジルコニウム酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、テトラクロロ亜鉛酸アンモニウム、オルトチタン酸テトライソプロピル、ニッケル酸リチウム、過マンガン酸カリウム、銀フェナントロリン錯体、銀−テトラシアノキノジメタン錯体(AgTCNQ)や特開2013−58714記載の電子輸送層に用いられる化合物なども好ましく用いられる。
また、Siなどの窒化ケイ素(SiN)のような窒化物、CdSなどの硫化カドミウム(CdS)、ZnSeなどのセレン化亜鉛(ZnSe)、ZnSなどの硫化亜鉛(ZnS)、CdTeなどのテルル化カドミウム(CdTe)のような半導体、リチウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属、フッ化リチウムやフッ化セシウムなどの金属フッ化物などの無機材料も電子輸送層に好ましく用いることができる。
本発明の光電変換素子は、1つ以上の電荷再結合層を介して2層以上の光電変換層を積層(タンデム化)して直列接合を形成してもよい。例えば、基板/正極/第1の光電変換層/第1の電子輸送層/電荷再結合層/第2の光電変換層/第2の電子輸送層/負極という積層構成を挙げることができる。このように積層することにより、開放電圧をより高くすることができる。なお、正極と第1の光電変換層の間、および、電荷再結合層と第2の光電変換層の間に上述の正孔輸送層を設けてもよく、第1の光電変換層と電荷再結合層の間、および、第2の光電変換層と負極の間に上述の正孔輸送層を設けてもよい。
ここで用いられる電荷再結合層は、複数の光電変換層が光吸収できるようにするため、光透過性を有する必要がある。また、電荷再結合層は、十分に正孔と電子が再結合するように設計されていればよいので、必ずしも膜である必要は無く、例えば光電変換層上に一様に形成された金属クラスターであってもかまわない。
電荷再結合層には、金、白金、クロム、ニッケル、リチウム、マグネシウム、カルシウム、錫、銀、アルミニウムなどからなる数オングストロームから数十オングストローム程度の光透過性を有する非常に薄い金属膜や金属クラスター(合金を含む)、ITO、IZO、AZO、GZO、FTO、酸化チタンや酸化モリブデンなどの光透過性の高い金属酸化物膜およびクラスター、PEDOT:PSSなどの導電性有機材料膜、またはこれらの複合体等が用いられる。
<光電変換素子の製造方法>
次に、本発明の光電変換素子の製造方法について、以下に例を挙げて説明する。
まず、基板上にITOなどの電極(図2に示す態様では負極)をスパッタリング法などにより形成する。
次に負極の上に電子輸送層を形成する。その手法としては、金属塩や金属アルコキシドなどの前駆体溶液に、上記一般式(1)、(2)または(3)のいずれかで表される化合物を混合した溶液を塗布・加熱して形成する方法や、金属酸化物のナノ粒子分散液と上記一般式(1)、(2)または(3)のいずれかで表される化合物を混合した溶液を混合して、または別々に基板に塗布・乾燥して層を形成する方法などを用いることができる。塗布法には、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、スプレー法など何れの方法を用いることができ、塗膜厚さ制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択すればよい。
次に、電子供与性有機半導体材料、および電子受容性有機材料を含む光電変換素子用材料を溶媒に溶解させて溶液を作り、電子輸送層上に塗布し光電変換層を形成する。このとき用いられる溶媒は、有機半導体が溶媒中に適当に溶解または分散できるものであれば特に限定されないが、有機溶媒が好ましく、例えば、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、などの脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、などのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、などのエステル類、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、などのエーテル類、アンモニア、エタノールアミンなどのアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、二硫化炭素、1,8−オクタンジチオールなどのチオール類、アセトニトリル、アクリロニトリルなどのニトリル類、酢酸、乳酸などの脂肪酸類、ピリジンなどの複素環式化合物類、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、エチニルベンゼン、テトラリン、アニソール、フェネトール、ベラトロール、1,3−ジメトキシベンゼン、1,2,4−トリメトキシベンゼン、2−メトキシトルエン、2,5−ジメチルアニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、アセトフェノン、2,3−ベンゾフラン、1,4−ベンゾジオキサン、アニリン、などの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,8−ジブロモオクタン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,7−ジヨードヘプタン、1,8−ジヨードオクタンなどのハロゲン炭化水素類などが挙げられる。中でも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、テトラリン、アニソール、フェネトール、ベラトロール、1,3−ジメトキシベンゼン、1,2,4−トリメトキシベンゼン、2−メトキシトルエン、2,5−ジメチルアニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレンなどの芳香族炭化水素類や、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,8−ジブロモオクタン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,7−ジヨードヘプタン、1,8−ジヨードオクタンなどのハロゲン炭化水素類などが挙げられる。なお、これらを2種以上混合して用いてもよい。
電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を混合して光電変換層を形成する場合は、本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料を所望の比率で溶媒に添加し、加熱、攪拌、超音波照射などの方法を用いて溶解させ溶液を作り、透明電極上に塗布する。また、電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を積層して光電変換層を形成する場合は、例えば、電子供与性有機材料の溶液を塗布して電子供与性有機材料を有する層を形成した後に、電子受容性有機材料の溶液を塗布して電子受容性有機材料を有する層を形成することにより、光電変換層を形成することができる。電子供与性有機材料および電子受容性有機材料が、分子量が1000以下程度の低分子量体である場合には、蒸着法を用いて光電変換層を形成することも可能である。
光電変換層の形成には、前述の電子輸送層と同様の塗布法や蒸着法などいずれの方法も用いることができ、膜厚制御や配向制御など、得ようとする光電変換層特性に応じて形成方法を選択すればよい。例えばスピンコート塗布を行う場合には、本発明の電子供与性有機材料、および電子受容性有機材料が1〜20g/lの濃度(本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料と溶媒を含む溶液の体積に対する、本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の重量)であることが好ましく、この濃度にすることで厚さ5〜200nmの均質な光電変換層を得ることができる。形成した光電変換層に対して、溶媒を除去するために、減圧下または不活性雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)などでアニーリング処理を行ってもよい。アニーリング処理の好ましい温度は40℃〜300℃、より好ましくは50℃〜200℃である。このアニーリング処理は、下記正孔輸送層、正極の形成後に行ってもよい。
次に光電変換層と正極の間に正孔輸送層を設置する場合は、前述の各種成膜法によって光電変換層上に正孔輸送層を形成する。所望の正孔輸送性材料(PEDOT:PSSなど)の塗布液を調製し、光電変換層上に塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて溶媒を除去することで形成できる。塗布法には、前述の電子輸送層の形成の場合と同様の塗布法を用いることができる。また、金属酸化物などの前駆体溶液を光電変換層上に塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて反応を進行させることでも形成できる。
次に光電変換層、または、正孔輸送層の上に電極(このケースの場合正極)を形成する。銀などの金属電極(この場合負極に相当)を真空蒸着法やスパッタ法により形成しても良く、金属粒子等を含む導電性ペーストを塗布することで形成してもよい。金属電極を蒸着形成する際、正孔輸送層を真空蒸着した場合は、引き続き、真空を保持したまま続けて形成することが好ましい。
なお、以上は最初に基板上に負極を形成し、負極側から順に層を形成して光電変換素子を作成する方法について説明したが、基板上に電極(正極)をスパッタリング法などにより形成し、当該電極の上に、一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物を含む正孔輸送層、光電変換層、電子輸送層、および電極(負極)をこの順に形成する光電変換素子製造方法も挙げられる。この場合、光電変換素子の積層構造が逆になり、正孔輸送層は光電変換層の下に形成されることになるが、その他は前記同様である。
本発明の光電変換素子は、光電気変換機能、光整流機能などを利用した種々のデバイスへの応用が可能である。例えば太陽電池、電子素子(光センサ、光スイッチ、フォトトランジスタなど)、光記録材(光メモリなど)、撮像素子、発光素子などに有用である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また実施例等で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
ITO:インジウム錫酸化物
PEDOT:ポリエチレンジオキシチオフェン
PSS:ポリスチレンスルホネート
A−1:下記式で表される化合物(nは重合度)
Figure 2019068056
[60]PCBM:フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル
THF:テトラヒドロフラン
n−BuLi:ノルマルブチルリチウム
[合成例1]
化合物A−1を式1に示す方法で合成した。なお、化合物(1−i)はジャーナルオブザアメリカンケミカルソサエティ(Journal of the American Chemical Society)、2009年、131巻、7792−7799頁に記載されている方法を参考に、化合物(1−p)はアンゲバンテケミ インターナショナルエディション(Angewandte Chem Internatioal Edition)、2011年、50巻、9697−9702頁に記載されている方法を参考にして合成した。
Figure 2019068056
メチル−2−チオフェンカルボキシレート(東京化成工業(株)製)38g(0.27mol)およびクロロメチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)108g(1.34mol)を0℃で撹拌しているところに、四塩化スズ(和光純薬工業(株)製)125g(0.48mol)を1時間かけて加え、その後室温で8時間撹拌した。撹拌終了後、水100mlを0℃でゆっくり加え、クロロホルムで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで溶媒を乾燥後、溶媒を減圧除去した。得られた茶褐色固体をメタノールから再結晶することにより化合物(1−b)を薄黄色固体(24.8g、収率39%)として得た。化合物(1−b)のH−NMRの測定結果を以下に示す。なお、H−NMR測定にはFT−NMR装置((株)日本電子製JEOL JNM−EX270)を用いた。
H−NMR(270MHz,CDCl):7.71(s,1H),4.79(s,1H),4.59(s,1H),3.88(s,3H)ppm。
上記化合物(1−b)24.8g(0.10mmol)をメタノール(佐々木化学工業(株)製)1.2Lに溶解させ、60℃で撹拌しているところに硫化ナトリウム(アルドリッチ社製)8.9g(0.11mol)のメタノール溶液100mlを1時間かけて滴下し、さらに60℃で4時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧除去し、クロロホルム200mlと水200mlを加え、不溶物をろ別した。有機層を水で2回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧除去した。粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、クロロホルム)で精製することにより化合物(1−c)を白色固体(9.8g、収率48%)として得た。化合物(1−c)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,CDCl):7.48(s,1H),4.19(t,J=3.0Hz,2H),4.05(t,J=3.0Hz,2H),3.87(s,3H)ppm。
上記化合物(1−c)9.8g(49mmol)に水100mlついで3M水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、80℃で4時間加熱撹拌した。反応終了後、濃塩酸15mlを0℃で加え、析出した固体をろ取し、水で数回洗浄した。得られた固体を乾燥し、化合物(1−d)を白色固体(8.9g、収率98%)として得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):7.46(s,1H),4.18(t,J=3.2Hz,2H),4.01(t,J=3.2Hz,2H)ppm。
上記化合物(1−d)1.46g(7.8mmol)を脱水テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)60mlに溶解し、−78℃で撹拌しているところに、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M、和光純薬工業(株)製)10.7ml(17.2mmol)を滴下し、−78℃で1時間攪拌した。次いでN−フルオロベンゼンスルホンイミド(東京化成工業(株)製)4.91g(15.6mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液20mlを−78℃で10分間かけて滴下し、室温で12時間攪拌した。反応終了後、水50mlをゆっくり加えた。3M塩酸を加えて水層を酸性にした後、クロロホルムで3回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、酢酸エチル)で副生成物を除去した後に酢酸エチルから再結晶することで化合物(1−e)を薄黄色粉末(980mg、収率61%)として得た。化合物(1−e)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,DMSO−d):13.31(brs,1H),4.20(t,J=3.0Hz,2H),4.03(t,J=3.0Hz,2H)ppm。
上記化合物(1−e)800mg(3.9mmol)の脱水ジクロロメタン(和光純薬工業(株)製)溶液10mlに、オキサリルクロリド(東京化成工業(株)製)1ml、次いでジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)1滴を加え、室温で3時間攪拌した。溶媒と過剰の塩化オキサリルを減圧除去することで、化合物(1−f)を黄色オイルとして得た。化合物(1−f)はそのまま次の反応に用いた。
上記化合物(1−f、粗精製物)のジクロロメタン溶液10mlを1−オクタノール(和光純薬工業(株)製)1.3g(10mmol)およびトリエチルアミン(和光純薬工業(株)製)800mg(8mmol)のジクロロメタン溶液15mlに室温で加え、6時間室温で撹拌した。反応溶液を1M塩酸で2回、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、クロロホルム)で精製することにより化合物(1−g)を薄黄色固体(1.12g、収率90%)として得た。化合物(1−g)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,CDCl):4.27(t,J=6.7Hz,2H),4.16(t,J=3.0Hz,2H),4.01(t,J=3.0Hz,2H),1.72(m,2H),1.5−1.3(m,12H),0.88(t,J=7.0Hz,3H)ppm。
上記化合物(1−g)1.1g(3.5mmol)の酢酸エチル溶液40mlに、メタクロロ安息香酸(ナカライテスク(株)製)630mg(3.6mmol)の酢酸エチル溶液10mlを0℃で滴下し、室温で5時間攪拌した。溶媒を減圧除去した後に無水酢酸30mlを加え、3時間加熱還流した。溶媒を再び減圧除去した後にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ジクロロメタン:ヘキサン=1:1)で精製することにより化合物(1−h)を薄黄色オイル(1.03g、収率94%)として得た。化合物(1−h)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,CDCl):7.65(d,J=2.7Hz,1H),7.28(dd,J=2.7Hz and 5.4Hz,1H),4.31(t,J=6.8Hz,2H),1.75(m,2H),1.42−1.29(m,12H),0.89(t,J=6.8Hz,3H)ppm。
上記化合物(1−h)1.0g(3.2mmol)のジメチルホルムアミド溶液20mlに、N−ブロモスクシンイミド(和光純薬工業(株)製)1.25g(7.0mmol)を室温で加え、3時間室温で撹拌した。反応終了後、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液10mlを加え、5分間攪拌した。酢酸エチル80mlを加え、有機層を水で5回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、クロロホルム:ヘキサン=1:3)で精製することにより化合物(1−i)を薄黄色固体(1.2g、収率79%)として得た。化合物(1−i)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,CDCl):4.32(t,J=6.5Hz,2H),1.75(m,2H),1.42−1.29(m,12H),0.89(t,J=6.8Hz,3H)ppm。
ジエチルアミン(和光純薬工業(株)製)110g(1.5mol)のジクロロメタン溶液300mlに、3−チオフェンカルボニルクロリド(和光純薬工業(株)製)100g(0.68mol)を0℃で1時間かけて加え、室温で3時間攪拌した。撹拌終了後、水200mlを加え、有機層を水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留することにより、化合物(1−k)を淡橙色液体(102g、収率82%)として得た。化合物(1−k)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,CDCl):7.47(dd,J=3.2Hz and 1.0Hz,1H),7.32(dd,J=5.0Hz and 3.2Hz,1H),7.19(dd,J=5.0Hz and 1.0Hz,1H),3.43(brs,4H),1.20(t,J=6.5Hz,6H)ppm。
上記化合物(1−k)73.3g(0.40mol)の脱水テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)溶液400mlに、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M、和光純薬工業(株)製)250ml(0.40mol)を0℃で30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で4時間攪拌した。撹拌終了後、水100mlをゆっくり加えしばらく撹拌した後、反応混合物を水800mlに注いだ。析出した固体をろ取し、水、メタノール、ついでヘキサンの順で洗浄することにより化合物(1−l)を黄色固体(23.8g、収率27%)として得た。化合物(1−l)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,CDCl):7.69(d,J=4.9Hz,2H),7.64(d,J=4.9Hz,2H)ppm。
チオフェン42g(0.50mol)の脱水テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)溶液400mlに、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M、和光純薬工業(株)製)250ml(0.40mol)を−78℃で30分間かけて滴下した。反応混合物を−78℃で1時間攪拌した後、2−エチルヘキシルブロミド(和光純薬工業(株)製)76.4g(0.40mol)を−78℃で15分間かけて滴下した。反応溶液を室温で30分間撹拌した後、60℃で6時間加熱撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を室温まで冷却し、水200mlおよびジエチルエーテル200mlを加えた。有機層を水で2回、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留することで化合物(1−n)を無色液体(28.3g、36%)として得た。化合物(1−n)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,CDCl):7.11(d,4.9Hz,1H),6.92(dd,4.9Hz and 3.2Hz,1H),6.76(d,J=3.2Hz,1H),2.76(d,J=6.8Hz,2H),1.62(m,1H),1.4−1.3(m,8H),0.88(m,6H)ppm。
上記化合物(1−n)17.5g(89mmol)の脱水テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)溶液400mlに、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M、和光純薬工業(株)製)57ml(89mmol)を0℃で30分間かけて滴下した。反応溶液を50℃で1時間撹拌した後、上記化合物(1−l)4.9g(22mmol)を50℃で加え、そのまま1時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を0℃に冷却し、塩化すず二水和物(和光純薬工業(株)製)39.2g(175mmol)を10%塩酸80mlに溶かした溶液を加え、室温で1時間撹拌した。撹拌終了後、水200ml、ジエチルエーテル200mlを加え、有機層を水で2回、次いで飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン)で精製することにより化合物(1−o)を黄色オイル(7.7g、収率59%)として得た。化合物(1−o)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,CDCl):7.63(d,J=5.7Hz,1H),7.45(d,J=5.7Hz,1H),7.29(d,J=3.6Hz,1H),6.88(d,J=3.6Hz,1H),2.86(d,J=7.0Hz,2H),1.70−1.61(m,1H),1.56−1.41(m,8H),0.97−0.89(m,6H)ppm。
上記化合物(1−o)870mg(1.5mmol)の脱水テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)溶液25mlに、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M、和光純薬工業(株)製)2.0ml(3.3mmol)を−78℃でシリンジを用いて加え、−78℃で30分間、室温で30分間攪拌した。反応混合物を−78℃まで冷却した後、トリメチルスズクロリド(和光純薬工業(株)製)800mg(4.0mmol)を−78℃で一度に加え、室温で4時間撹拌した。撹拌終了後、ジエチルエーテル50mlおよび水50mlを加え5分間室温で撹拌した後、有機層を水で2回、次いで飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで溶媒を乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた橙色オイルをエタノールより再結晶することで、化合物(1−p)を薄黄色固体(710mg、収率52%)として得た。化合物(1−p)のH−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz,CDCl):7.68(s,2H),7.31(d,J=3.2Hz,2H),6.90(d,J=3.2Hz,2H),2.87(d,J=6.2Hz,4H),1.69(m,2H),1.40−1.30(m,16H),1.0−0.9(m,12H),0.39(s,18H)ppm。
化合物(1−i)71mg(0.15mmol)および化合物(1−p)136mg(0.15mmol)をトルエン(和光純薬工業(株)製)4mlおよびジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)1mlに溶解させたところに、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(東京化成工業(株)製)5mgを加え、窒素雰囲気下、100℃で15時間撹拌した。次いで、ブロモベンゼン(東京化成工業(株)製)15mgを加え、100℃にて1時間撹拌した。次いで、トリブチル(2−チエニル)すず(東京化成工業(株)製)40mgを加え、100℃にてさらに1時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール100mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。次いでソックスレー抽出器を用いてアセトン、ヘキサンの順で洗浄した。次に、得られた固体をクロロホルムに溶解させ、セライト(ナカライテスク(株)製)、次いでシリカゲルカラム(遊離液、クロロホルム)に通した後、溶媒を減圧留去した。得られた固体を再度クロロホルムに溶解させた後、メタノールに再沈殿し、化合物A−1(85mg)を得た。重量平均分子量は25,000、数平均分子量は16,000であった。なお、平均分子量(数平均分子量、重量平均分子量)はGPC装置(クロロホルムを送液したTOSOH社製、高速GPC装置HLC−8320GPC)を用い、絶対検量線法によって算出した。重合度nは以下の式で算出した。
重合度n=[(重量平均分子量)/(繰り返しユニットの分子量)]
[実施例1]
水5μLとエタノール溶媒(和光純薬工業(株)製)0.5mLを、酢酸亜鉛2水和物(和光純薬工業(株)製)10mgの入ったサンプル瓶の中に加え、熱溶解した。ここに、さらにN,N’−ジメチルピペラジン(和光純薬工業(株)製)を0.5体積%の割合で加えて溶液Aを得た。
3,4,5−トリメトキシトルエン(東京化成工業(株)製)を2体積%の割合で混合したクロロホルム溶媒0.2mLを、化合物A−1 2.7mg、[70]PCBM(ソレーヌ社製)3.3mgの入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で30分間超音波照射することにより溶液Cを得た。
PEDOT:PSS水溶液(CLEVIOS P VP AI4083)と水と2−プロパノール(和光純薬工業(株)製)とを40:35:25の体積%で混合し、溶液Cを得た。
スパッタリング法により負極となるITO透明導電層を125nm堆積させたガラス基板を38mm×46mmに切断した後、ITOをフォトリソグラフィー法により38mm×13mmの長方形状にパターニングした。得られた基板の光透過率を日立分光光度計U−3010で測定した結果、400nm〜900nmの全ての波長領域において85%以上であった。この基板をアルカリ洗浄液(フルウチ化学(株)製、“セミコクリーン”EL56)で10分間超音波洗浄した後、超純水で洗浄した。この基板を30分間UV/オゾン処理した後に、上記の溶液Aをガラス基板上に滴下し、スピンコートした後、ホットプレート上で150℃,30分間加熱することで、酸化亜鉛とN,N’−ジメチルピペラジンを含む、約30nm厚の電子輸送層を成膜した。
次に、溶液Bを電子輸送層上に滴下し、スピンコートした後、ホットプレート上で80℃,5分間加熱乾燥することで膜厚約300nmの光電変換層を形成した。
さらに、溶液Cを光電変換層上に滴下し、スピンコートした後、ホットプレート上で80℃,5分間加熱することで正孔輸送層を形成した。
その後、基板と正極用マスクを真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度を1×10−3Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱法によって正極となる銀層を200nmの厚さに蒸着した。作製した素子の上下の電極から引き出し電極を輸送、帯状のITO層と銀層が重なり合う部分の面積が5mm×5mmである光電変換素子を作製した。
このようにして作製された光電変換素子の上下の電極をヒューレット・パッカード社製ピコアンメーター/ボルテージソース4140Bに接続して、大気下でITO層側から蛍光灯(200Lux)を照射し続け、印加電圧を−1Vから+2Vまで変化させたときの電流値を測定した。得られた電流値より発電量(μW/cm)を算出した結果、5.5μW/cmであった。
[実施例2]
溶液AにN,N’−ジメチルピペラジンを添加する代わりに、4−(4−メチル−1−ピペラジル)アニリン(東京化成工業(株)製)0.2重量%添加した他は、実施例1と全く同様にして光電変換素子を作製して、発電量(μW/cm)の測定を行った結果、6.4μW/cmであった。
[実施例3]
溶液AにN,N’−ジメチルピペラジンを添加する代わりに、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン(東京化成工業(株)製)0.2重量%添加した他は、実施例1と全く同様にして光電変換素子を作製して、発電量(μW/cm)の測定を行った結果、8.8μW/cmであった。
[実施例4]
溶液AにN,N’−ジメチルピペラジンを添加する代わりに、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(東京化成工業(株)製)0.2重量%添加した他は、実施例1と全く同様にして光電変換素子を作製して、発電量(μW/cm)の測定を行った結果、9.1μW/cmであった。
[実施例5]
溶液AにN,N’−ジメチルピペラジンを添加する代わりに、2―(1―ピペラジニル)エチルアミン(富士フイルム和光純薬(株)製)0.2重量%添加した他は、実施例1と全く同様にして光電変換素子を作製して、発電量(μW/cm)の測定を行った結果、10.0μW/cmであった。
[比較例1]
溶液AにN,N’−ジメチルピペラジンを添加する代わりに、エタノールアミン(東京化成工業(株)製)1重量%添加した他は、実施例1と全く同様にして光電変換素子を作製して、発電量(μW/cm)の測定を行った結果、4.9μW/cmであった。
1 基板
2 正極
3 光電変換層
4 電子輸送層
5 負極

Claims (8)

  1. 少なくとも正極、光電変換層、電子輸送層および負極をこの順に有する光電変換素子であって、前記電子輸送層が、金属酸化物と、下記一般式(1)、(2)または(3)のいずれかで表される化合物を含むことを特徴とする光電変換素子。
    Figure 2019068056
    (一般式(1)〜(3)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、または、炭素数12以下の、アルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基である。
    は、それぞれ独立に、直接結合、または、1〜6個の酸素原子または窒素原子を含んでもよい、炭素数12以下のn+1価(nは自然数)の鎖状連結基である。
    は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、アミド基、チオール基、シリル基、ボリル基、スルホニル基、スルホ基、脂環式複素環基、または一般式(3−1)で表される基である。
    Figure 2019068056
    一般式(3−1)中、Arは、炭素数12以下の、アリール基またはヘテロアリール基であり、Yは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、アルコキシ基またはアシル基であり、mは1〜5の整数、kは自然数である。)
  2. 前記電子輸送層が、上記一般式(1)または(2)で表される化合物であって、一般式(1)または(2)中、Rが炭素数12以下のアルキル基である化合物を含む、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記電子輸送層が、上記一般式(2)または(3)で表される化合物であって、一般式(2)または(3)中、Xがヒドロキシ基、アミノ基、チオール基またはスルホ基である化合物を含む、請求項1に記載の光電変換素子。
  4. 前記電子輸送層が、上記一般式(2)または(3)で表される化合物であって、一般式(2)または(3)中、Rがアルキル基である化合物を含む、請求項1または3に記載の光電変換素子。
  5. 前記電子輸送層が、上記一般式(3)で表される化合物であって、一般式(3)中、Xが一般式(3−1)で表され、Yがヒドロキシ基、アミノ基、チオール基またはスルホ基である化合物を含む、請求項1に記載の光電変換素子。
  6. 前記金属酸化物が亜鉛またはチタンを含む金属酸化物である、請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 前記金属酸化物が酸化亜鉛である、請求項6に記載の光電変換素子。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の光電変換素子を用いてなる太陽電池。
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