JP2020017611A - 光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐光性に優れた光電変換素子を提供する。【解決手段】少なくとも陰極2、電子取出し層3、光電変換層4、および陽極5をこの順に有する光電変換素子であって、電子取出し層3が、金属酸化物と、電子供与性基および2つ以上の結合性官能基を有する有機化合物を含むとともに、金属酸化物と、有機化合物の少なくとも一部が結合性官能基の反応により形成された結合基を介して結合した無機/有機複合構造を有する光電変換素子。【選択図】図1
Description
本発明は光電変換素子に関する。
太陽電池は、現在深刻さを増すエネルギー問題に対して有力な環境に優しいエネルギー源として注目されている。現在、太陽電池の光電変換素子の半導体材料としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などの無機物が使用されている。しかし、無機半導体を用いて製造される太陽電池は、火力発電などの発電方式と比べてコストが高いために、一般家庭に広く普及するには至っていない。コスト高の要因は主として、真空かつ高温下で半導体薄膜を形成するプロセスにある。そこで、製造プロセスの簡略化が期待される半導体材料として、共役系重合体や有機結晶などの有機半導体や有機色素を用いた有機太陽電池が検討されている。このような有機太陽電池においては、半導体材料を塗布法で作製することが可能なため、製造プロセスを大幅に簡略化することができる。
しかし、共役系重合体などを用いた有機太陽電池は、従来の無機半導体を用いた太陽電池と比べて光電変換効率および光や熱に対する耐久性が低いために、まだ実用化には至っていない。有機太陽電池の実用化のためには、さらに、高い光電変換効率を長時間持続させるという高耐久性が必須である。
有機太陽電池の光電変換効率および耐久性を向上させる方法の一つとして、電子取出し層を光電変換層と陰極の間に設置する方法が挙げられる。電子取出し層としては、例えば、酸化チタン(特許文献1)や酸化亜鉛(特許文献2)を用いたものが報告されている。
また、エタノールアミン溶液を電子取出し層である酸化亜鉛層上に塗布処理することで表面エネルギー準位が調整され、光電変換効率が向上することが開示されている(非特許文献1)。
さらに、アミノアルキルシランなど、電子供与性基を有する有機化合物を電子取出し層と強固に結合させることで電子供与性基の遊離等が抑制され、耐熱性が向上することが報告されている(特許文献3)。
「アドヴァンスト マテリアルズ(Advanced Materials)」、2014年、26巻、494−500頁
本発明者らは、耐久性の向上のためには、無機酸化物と、電子供与性基を有する有機化合物が結合を形成した電子取出し層が有効であると考えた。しかしながら、特許文献3に開示されているような電子取出し層の無機化合物と電子供与性基がシリル基などで結合した電子取出し層を有する素子構成では、熱的負荷による電子供与性基の遊離等の抑制等により優れた耐熱性を得られるものの、耐光性については十分な評価がなされていなかった。
本発明は、耐光性に優れた光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者らは電子供与性基の固定化に着目し検討を行った結果、電子供与性基および2つ以上の結合性官能基を有する有機化合物を添加することで、電子供与性基を電子取出し層表面に固定化し、界面状態を安定化することで優れた耐光性を実現する光電変換素子が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、少なくとも陰極、電子取出し層、光電変換層、および陽極をこの順に有する光電変換素子であって、前記電子取出し層が、金属酸化物と、電子供与性基および2つ以上の結合性官能基を有する有機化合物を含むとともに、前記金属酸化物と、前記有機化合物の少なくとも一部が前記結合性官能基の反応により形成された結合基を介して結合した無機/有機複合構造を有する光電変換素子である。
本発明によれば、耐久性に優れた光電変換素子を提供することができる。
<光電変換素子>
本発明の光電変換素子について説明する。本発明において光電変換素子とは、光エネルギーを電気に変換、および逆に電気エネルギーを光に変換する素子のことを指す。図1は本発明の光電変換素子の一態様を示す断面図である。図1の光電変換素子は、基板1の上に、陰極2、電子取出し層3、光電変換層4および陽極5をこの順に有している。また、本発明の光電変換素子は、少なくとも陰極、電子取出し層、光電変換層、および陽極をこの順に有している限り、各層の間に他の層を有する態様を排除するものではない。
本発明の光電変換素子について説明する。本発明において光電変換素子とは、光エネルギーを電気に変換、および逆に電気エネルギーを光に変換する素子のことを指す。図1は本発明の光電変換素子の一態様を示す断面図である。図1の光電変換素子は、基板1の上に、陰極2、電子取出し層3、光電変換層4および陽極5をこの順に有している。また、本発明の光電変換素子は、少なくとも陰極、電子取出し層、光電変換層、および陽極をこの順に有している限り、各層の間に他の層を有する態様を排除するものではない。
〔基板〕
光電変換素子は、一般に、基板上に各層を形成することで作製される。基板は、光電変換層に用いられる材料の種類や用途に応じて、電極材料や有機半導体層が積層できる基板、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス、アルミニウム、鉄、銅、およびステンレスなどの合金、等の無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレンポリメチルメタクリレート、エポキシ樹脂やフッ素系樹脂等の有機材料から任意の方法によって作製されたフィルムや板が使用可能である。また、基板側から光を入射して用いる場合は、上記に示した各基板に光透過性を持たせておくことが好ましく、特に80%以上の光透過性を持たせておくことがより好ましい。ここで、光透過率とは、
[透過光強度(W/m2)/入射光強度(W/m2)]×100(%)
で与えられる値である。
光電変換素子は、一般に、基板上に各層を形成することで作製される。基板は、光電変換層に用いられる材料の種類や用途に応じて、電極材料や有機半導体層が積層できる基板、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス、アルミニウム、鉄、銅、およびステンレスなどの合金、等の無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレンポリメチルメタクリレート、エポキシ樹脂やフッ素系樹脂等の有機材料から任意の方法によって作製されたフィルムや板が使用可能である。また、基板側から光を入射して用いる場合は、上記に示した各基板に光透過性を持たせておくことが好ましく、特に80%以上の光透過性を持たせておくことがより好ましい。ここで、光透過率とは、
[透過光強度(W/m2)/入射光強度(W/m2)]×100(%)
で与えられる値である。
〔電極(陰極・陽極)〕
本発明の光電変換素子の陰極または陽極は光透過性を有する。陰極または陽極は、少なくともいずれか一方が光透過性を有すればよく、両方が光透過性を有してもよい。ここで光透過性を有するとは、光透過率が0%を超えることをいう。光透過性を有する電極は、光電変換層に入射光が到達して起電力が発生する程度に光が透過すればよく、具体的には400nm以上900nm以下の全ての波長領域において光透過率が20〜100%であることが好ましく、より好ましくは60〜100%である。また、光透過性を有する電極の厚さは十分な導電性が得られればよく、材料によって異なるが、20nm〜300nmが好ましい。なお、光透過性を有しない電極は、導電性があれば十分であり、厚さも特に限定されない。
本発明の光電変換素子の陰極または陽極は光透過性を有する。陰極または陽極は、少なくともいずれか一方が光透過性を有すればよく、両方が光透過性を有してもよい。ここで光透過性を有するとは、光透過率が0%を超えることをいう。光透過性を有する電極は、光電変換層に入射光が到達して起電力が発生する程度に光が透過すればよく、具体的には400nm以上900nm以下の全ての波長領域において光透過率が20〜100%であることが好ましく、より好ましくは60〜100%である。また、光透過性を有する電極の厚さは十分な導電性が得られればよく、材料によって異なるが、20nm〜300nmが好ましい。なお、光透過性を有しない電極は、導電性があれば十分であり、厚さも特に限定されない。
電極材料としては、金、白金、銀、銅、鉄、亜鉛、錫、アルミニウム、インジウム、クロム、ニッケル、コバルト、スカンジウム、バナジウム、イットリウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、などの金属のほか、インジウム酸化物、スズ酸化物、モリブデン酸化物、ニッケル酸化物などの金属酸化物、複合金属酸化物(インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)など)が挙げられる。上記以外の金属として、アルカリ金属やアルカリ土類金属、具体的にはリチウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、なども好ましく用いられる。さらに、上記の金属からなる合金や上記の金属の積層体からなる電極も好ましく用いられる。また、グラファイト、グラファイト層間化合物、カーボンナノチューブ、グラフェン、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体を含む電極も好ましく用いられる。また、上記の電極は2種以上の材料から成る混合層であってもよく、異なる材料からなる2層以上の層が積層された積層構造を持つものであってもよい。
本発明において、陽極に用いられる導電性材料は、光電変換層とオーミック接合するものであることが好ましい。後述する正孔取出し層を用いた場合においては、陽極に用いられる導電性材料は正孔取出し層とオーミック接合するものであることが好ましい。また、陰極に用いられる導電性材料は、電子取出し層とオーミック接合するものであることが好ましい。
〔電子取出し層〕
本発明の光電変換素子は、金属酸化物と、電子供与性基および2つ以上の結合性官能基を有する有機化合物(以下、単に「有機化合物」という場合がある)とを含む。
本発明の光電変換素子は、金属酸化物と、電子供与性基および2つ以上の結合性官能基を有する有機化合物(以下、単に「有機化合物」という場合がある)とを含む。
金属酸化物としては、例えば、TiO2などの酸化チタン(TiOx)、ZnOなどの酸化亜鉛(ZnOx)、SiO2などの酸化ケイ素(SiOx)、SnO2などの酸化錫(SnOx)、In2O3などの酸化インジウム(InOx)、MoO3などの酸化モリブデン(MoOx)、WO3などの酸化タングステン(WOx)、Ta2O3などの酸化タンタル(TaOx)、BaTiO3などのチタン酸バリウム(BaTixOy)、BaZrO3などのジルコン酸バリウム(BaZrxOy)、ZrO2などの酸化ジルコニウム(ZrOx)、HfO2などの酸化ハフニウム(HfOx)、Al2O3などの酸化アルミニウム(AlOx)、Y2O3などの酸化イットリウム(YOx)、ZrSiO4などのケイ酸ジルコニウム(ZrSixOy)などが挙げられる。また、電子取出し効率や電子移動の観点から、少なくとも亜鉛、チタン、すず、インジウムのいずれかを含むことがより好ましく、少なくとも亜鉛、チタンを含むことがさらに好ましく、酸化亜鉛が特に好ましい。また、前記電子取出し層は、電子取出しや電子移動を阻害しない範囲において、上記金属酸化物以外のものを含んでいてもよい。したがって、金属酸化物層を形成する際に、金属塩や金属アルコキシドなどの前駆体溶液を塗布・加熱して形成する方法や、ナノ粒子分散液を基板に塗布して層を形成する方法を用いた場合において、加熱温度や時間、及びナノ粒子の合成条件により、完全には反応が進行しておらず、部分的に加水分解したり、部分的に縮合したりすることで、中間生成物となったり、前駆体と中間生成物、最終生成物などの混合物となったりしても良い。
有機化合物の電子供与性基は、金属酸化物の表面エネルギー準位を相対的に上昇させるだけの影響を及ぼすことができる基であれば特に限定されない。すなわち、「アドヴァンスト マテリアルズ(Advanced Materials)」、2014年、26巻、494−500頁にあるように、X線光電子分光(XPS)や、紫外光電子分光(UPS)で測定した電子取出し層のフェルミ準位が小さくなる効果があればよい。電子供与性基は電子供与性の効果を阻害しない範囲で置換されていてもよい。また、有機化合物は2つ以上の電子供与性基を有するものであってもよく、その場合2種類以上の電子供与性基を有していてもよい。
このような電子供与性基としては、例えば、アミノ基、芳香族アミノ基、アルコキシ基、チエニル基、フラニル基などが挙げられる。アミノ基とは、1級アミノ基(−NH2)、2級アミノ基(−NHR1)または3級アミノ基(−NR2R3)を指す。ここでR1〜R3は電子供与性の効果を阻害しない範囲での任意の有機基であり、結合して環を形成していてもよい。芳香族アミノ基とは、例えば、ピリジル基、ピリジルアミノ基、アニリル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、イミダゾール基、イミダゾリル基などの芳香族性を有するアミノ基をいう。アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのエーテル結合を介した炭化水素基を指す。電子供与性基は好ましくはアミノ基であり、電子供与性の強さから、1級アミノ基を含むことがより好ましい。
有機化合物の結合性官能基とは、金属酸化物またはその前躯体の構成原子(例えば、水酸基など)との反応により結合基を形成する官能基であり、結合基は二価以上の基であれば、その化学構造は特に限定されないが、強い結合力が得られる点で、シリル基、ホスホニル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニル基のいずれかであることが好ましく、特にシリル基であることが最も好ましい。結合性官能基としては、アルコキシシリル基、クロロシリル基、スルホニルクロリド基、カルボキシ基、リン酸基またはチオール基が好ましい。本発明において有機化合物は結合性官能基を2つ以上有するものであり、その場合2種類以上の結合性官能基を有していてもよい。
有機化合物は下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
(式(1)中、X1は電子供与性基、Y1、Y2は結合性官能基、R1、R2は炭素数12以下の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表す。)
中でも、R1およびR2は、金属酸化物の前駆体溶液、または溶媒への溶解性を考慮して炭素数12以下のアルキル基であることが特に好ましい。
中でも、R1およびR2は、金属酸化物の前駆体溶液、または溶媒への溶解性を考慮して炭素数12以下のアルキル基であることが特に好ましい。
具体的に有機化合物としては、例えば、ビス[3−(トリメトシキシリル)プロピル]アミン、ビス[3−(トリエトシキシリル)プロピル]アミン、N,N’−ビス[3−(トリメトシキシリル)プロピル]エタン−1,2−ジアミン、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]尿素、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素、[3−(トリエトキシシリル)プロピル]カルバミン酸2−プロビニルなどが挙げられる。中でもビス[3−(トリメトシキシリル)プロピル]アミン、ビス[3−(トリエトシキシリル)プロピル]アミンが特に好ましい。なお、これらを2種以上混合して用いてもよい。
本発明において、電子取出し層は、金属酸化物と、電子供与性基および2つ以上の結合性官能基を有する有機化合物の少なくとも一部が反応により形成された結合基を介して結合した構造を有するが、本明細書においてはこのような構造を無機/有機複合構造と称するものとする。ここで、「少なくとも一部が」とは、金属酸化物と結合していない有機化合物が一部に存在することを排除するものではないことを意味する。このような無機/有機複合構造を分子内に複数有することにより、電子供与性基が固定化され、電子取出し層が安定した耐久性に優れたものとなる。
無機/有機複合構造は、金属酸化物および有機化合物が混合した状態で結合した混合型、あるいは金属酸化物を含む層の表面に有機化合物が結合した積層型の構造であることができる。電子取出し層が金属酸化物および有機化合物が混合した状態で結合した混合型である場合、電子輸送を担う金属酸化物部位の含有比率が多い方が好ましく、有機化合物部位は電子輸送を阻害しない程度に少ないほうが好ましい。このとき、金属酸化物および有機化合物の含有比率は特に限定されないが、金属酸化物が重量比率で50%以上であることが好ましい。本発明においては、電子供与性基を電子取出し層表面に固定化することが望ましいため、積層型が特に好ましい。さらに、発電性能との両立の観点から、電子供与性基が電子取出し層に満遍なく存在する混合型の無機/有機複合構造からなる層の表面に更に有機化合物を結合させた、混合型と積層型が複合した無機/有機複合構造を有する電子取出し層を形成することも好ましい態様である。
電子取出し層は、本発明の効果を阻害しない範囲において、金属酸化物および有機化合物以外の物質を含んでいてもよい。例えば、電子輸送性を有する物質、特に、光電変換層に含まれる電子受容性有機半導体として挙げたようなn型半導体特性を示す電子輸送性有機物を含むことは、電子輸送性を更に向上させるために好ましい態様の一つである。
その他、光電変換層から陰極への電子の取出しを著しく妨げない範囲において、電子輸送性を有していない物質も含んでいてもよい。これらの物質は、金属酸化物および/または有機化合物と混合層を形成していてもよいし、これらとは別に積層されていてもよい。
電子取出し層は、電子取出しに十分な厚さがあればよいが、厚くし過ぎると電子取出し効率が低下することがある。所望する光電変換素子の光電変換効率に応じて適宜最適な膜厚に設定すればよいため一概に言えるものではないが、一般的には0.1nm〜1000nmの厚さが好ましく、より好ましくは0.5nm〜100nm、さらに好ましくは5nm〜50nmである。
本発明の光電変換素子は、1つ以上の電荷再結合層を介して2層以上の光電変換層を積層(タンデム化)して直列接合を形成してもよい。例えば、基板/陰極/第1の電子取出し層/第1の光電変換層/電荷再結合層/第2の電子取出し層/第2の光電変換層/陽極という積層構成を挙げることができる。この場合、電荷再結合層は隣接する光電変換層の陰極および陽極を兼ねていると考えることができる。このように積層することにより、開放電圧を向上させることができる。なお、電荷再結合層と第1の光電変換層の間、および陽極と第2の光電変換層の間に上述の正孔取出し層を設けてもよい。
ここで用いられる電荷再結合層は、複数の光電変換層が光吸収できるようにするため、光透過性を有する必要がある。また、電荷再結合層は、十分に正孔と電子が再結合するように設計されていればよいので、必ずしも膜である必要は無く、例えば光電変換層上に一様に形成された金属クラスターであってもかまわない。従って、電荷再結合層には、上述の金、白金、クロム、ニッケル、リチウム、マグネシウム、カルシウム、錫、銀、アルミニウムなどから成る数オングストロームから数十オングストローム程度の光透過性を有する非常に薄い金属膜や金属クラスター(合金を含む)、ITO、IZO、AZO、GZO、FTO、酸化チタンや酸化モリブデンなどの光透過性の高い金属酸化物膜およびクラスター、PSSが添加されたPEDOTなどの導電性有機材料膜、またはこれらの複合体等が用いられる。例えば、銀を、真空蒸着法を用いて水晶振動子膜厚モニター上で数オングストローム〜1nmとなるように蒸着すれば、一様な銀クラスターが形成できる。その他にも、酸化チタン膜を形成するならば、アドヴァンスト マテリアルズ(Advanced Materials)、2006年、18巻、572−576頁に記載のゾルゲル法を用いればよい。ITO、IZOなどの複合金属酸化物であるならば、スパッタリング法を用いて製膜すればよい。これら電荷再結合層形成法や種類は、電荷再結合層形成時の光電変換層への非破壊性や、次に積層される光電変換層の形成法等を考慮して適当に選択すればよい。
〔光電変換層〕
次に、本発明の光電変換素子における光電変換層について説明する。光電変換層は、少なくとも後述する電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を含む。前記光電変換層の構造として、例えば、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の混合物を含む層からなる構造、電子供与性有機材料からなる層と電子受容性有機材料からなる層を積層した構造、電子供与性有機材料からなる層と電子受容性有機材料からなる層の間に、これらの混合物からなる層を積層した構造などが挙げられる。これらのうち、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の混合物を含む層からなる構造がより好ましい。前記混合物の混合方法としては特に限定されるものではないが、所望の比率で溶媒に添加した後、加熱、撹拌、超音波照射などの方法を1種または複数種組み合わせて溶媒中に溶解させる方法が挙げられる。光電変換層は、電子供与性有機材料および/または電子受容性有機材料を2種以上含有してもよい。
次に、本発明の光電変換素子における光電変換層について説明する。光電変換層は、少なくとも後述する電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を含む。前記光電変換層の構造として、例えば、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の混合物を含む層からなる構造、電子供与性有機材料からなる層と電子受容性有機材料からなる層を積層した構造、電子供与性有機材料からなる層と電子受容性有機材料からなる層の間に、これらの混合物からなる層を積層した構造などが挙げられる。これらのうち、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の混合物を含む層からなる構造がより好ましい。前記混合物の混合方法としては特に限定されるものではないが、所望の比率で溶媒に添加した後、加熱、撹拌、超音波照射などの方法を1種または複数種組み合わせて溶媒中に溶解させる方法が挙げられる。光電変換層は、電子供与性有機材料および/または電子受容性有機材料を2種以上含有してもよい。
光電変換層における電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率は特に限定されないが、電子供与性有機材料:電子受容性有機材料(ドナーアクセプター比)が、1:99〜99:1の範囲であることが好ましく、10:90〜90:10の範囲であることがより好ましく、20:80〜60:40の範囲であることがさらに好ましい。
なお、後述するように、光電変換素子用材料が一層の有機半導体層を形成する場合は、上述の含有比率はその一層に含まれる電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率となり、光電変換層が二層以上の積層構造である場合は、有機半導体層全体における電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率を意味する。
光電変換層は、本発明の目的を阻害しない範囲において、界面活性剤やバインダー樹脂、フィラー等の他の成分を含んでいてもよい。
光電変換層の厚さは、電子供与性有機材料および電子受容性有機材料が光吸収によって光電変換を生じるのに十分な厚さであればよい。前記光電変換層の厚さは、材料によって異なるが、10nm〜1000nmが好ましく、50nm〜500nmがより好ましい。
電子供与性有機材料は、p型半導体特性を示す有機化合物であれば特に限定されない。例えば、ポリチオフェン系重合体、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体、キノキサリン−チオフェン系共重合体、チオフェンーベンゾジチオフェン系共重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体などの共役系重合体、H2フタロシアニン(H2Pc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)等のフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(NPD)等のトリアリールアミン誘導体、4,4’−ジ(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体(ターチオフェン、クウォーターチオフェン、セキシチオフェン、オクチチオフェンなど)等の低分子有機化合物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
ポリチオフェン系重合体とは、チオフェン骨格を主鎖に有する共役系重合体を指し、側鎖を有するものも含む。具体的には、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−デシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェンなどが挙げられる。
2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体とは、チオフェン骨格と2,1,3−ベンゾチアジアゾール骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。2,1,3−ベンゾチアジアゾール−チオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。下記式において、nは1〜1000の整数を示す。
キノキサリン−チオフェン系共重合体とは、チオフェン骨格とキノキサリン骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。キノキサリン−チオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。下記式において、nは1〜1000の整数を示す。
チオフェン−ベンゾジチオフェン系重合体とは、チオフェン骨格とベンゾジチオフェン骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。チオフェン−ベンゾジチオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。下記式において、nは1〜1000の整数を示す。
ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体とは、p−フェニレンビニレン骨格を主鎖に有する共役系重合体を指し、側鎖を有するものも含む。具体的には、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]などが挙げられる。
上記のように例示した電子供与性有機半導体の中でも、下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される骨格を有する共役系重合体は、1,8−ジヨードオクタンを添加剤に用いた際に、光電変換特性が向上することが多数報告されており(例えば、特許第05829734号明細書、「アドヴァンスト マテリアルズ(Advanced Materials)」、2010年、22巻、E135−E138頁、「ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミストリー(Journal of the American Chemistry)、2010年、132巻、7595−7597頁、」、「マクロモルキュールズ(Macromolecules)、2012年、45巻、6923−6929頁、」、「アドヴァンスト マテリアルズ(Advanced Materials)」、2011年、23巻、3315−3319頁など)、本発明の組成物の電子供与性有機半導体として含まれていると好ましい。
(上記一般式(2)中、R3はそれぞれ同じでも異なっていても良く、アルキル基、アルコキシ基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアリール基またはチオアルコキシ基を示す。X2はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄、セレンまたは酸素原子を表す。)
(上記一般式(3)中、R4はアルコキシカルボニル基またはアルカノイル基を表す。Y3は水素原子またはハロゲンを表す。)
(上記一般式(4)中、R5はアルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基または置換されていてもよいアリール基を示す。)
上記の骨格構造を有する共役系重合体の中でも、広い光吸収波長領域と深いHOMO準位を有することから高い光電変換特性が得られる下記一般式(5)で表される共役系重合体が本発明の組成物の電子供与性有機半導体としてより好ましい。
(上記一般式(3)中、R4はアルコキシカルボニル基またはアルカノイル基を表す。Y3は水素原子またはハロゲンを表す。)
(上記一般式(4)中、R5はアルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基または置換されていてもよいアリール基を示す。)
上記の骨格構造を有する共役系重合体の中でも、広い光吸収波長領域と深いHOMO準位を有することから高い光電変換特性が得られる下記一般式(5)で表される共役系重合体が本発明の組成物の電子供与性有機半導体としてより好ましい。
(上記一般式(5)中、R3、R4、X2、Y3は、上記一般式(2)および(3)と同様である。)
本発明における光電変換層中に含まれる電子受容性有機材料は、n型半導体特性を示す有機物であれば特に限定されない。例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(NTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンズイミダゾール(PTCBI)、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ナフチルテトラカルボキシジイミド(PTCDI−C8H)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、2,5−ジ(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)等のオキサゾール誘導体、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入した誘導体(CN−PPV)などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。安定でキャリア移動度の高いn型半導体であることから、フラーレン誘導体が好ましく用いられる。
本発明における光電変換層中に含まれる電子受容性有機材料は、n型半導体特性を示す有機物であれば特に限定されない。例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(NTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンズイミダゾール(PTCBI)、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ナフチルテトラカルボキシジイミド(PTCDI−C8H)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、2,5−ジ(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)等のオキサゾール誘導体、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入した誘導体(CN−PPV)などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。安定でキャリア移動度の高いn型半導体であることから、フラーレン誘導体が好ましく用いられる。
フラーレン誘導体の具体例として、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94を始めとする無置換のものと、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−C61−PCBM、または[60]PCBM)、[5,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドヘキシルエステル、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドドデシルエステル、フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル([70]PCBM)を始めとする置換誘導体などが挙げられる。なかでも、60PCBM、70PCBMがより好ましい。
〔正孔取出し層〕
本発明の光電変換素子では、正極と光電変換層の間に正孔取出し層を設けてもよい。前記正孔取出し層を形成する材料としては、正孔輸送性材料、例えば、ポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール重合体、ポリアニリン重合体、ポリフラン重合体、ポリピリジン重合体、ポリカルバゾール重合体などの導電性高分子や、フタロシアニン誘導体(H2Pc、CuPc、ZnPcなど)、ポルフィリン誘導体、アセン系化合物(テトラセン、ペンタセンなど)などのp型半導体特性を示す低分子有機化合物、グラフェンや酸化グラフェンなどの炭素化合物、MoO3などの酸化モリブデン(MoOx)、WO3などの酸化タングステン(WOx)、NiOなどの酸化ニッケル(NiOx)、V2O5などの酸化バナジウム(VOx)、ZrO2などの酸化ジルコニウム(ZrOx)、Cu2Oなどの酸化銅(CuOx)、ヨウ化銅、RuO4などの酸化ルテニウム(RuOx)、Re2O7などの酸化ルテニウム(ReOx)などの無機材料が好ましく用いられる。中でも、ポリチオフェン系重合体であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やPEDOTにポリスチレンスルホネート(PSS)が添加されたもの(以下、PEDOT:PSSと記載する場合がある)、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステンがより好ましく用いられる。
本発明の光電変換素子では、正極と光電変換層の間に正孔取出し層を設けてもよい。前記正孔取出し層を形成する材料としては、正孔輸送性材料、例えば、ポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール重合体、ポリアニリン重合体、ポリフラン重合体、ポリピリジン重合体、ポリカルバゾール重合体などの導電性高分子や、フタロシアニン誘導体(H2Pc、CuPc、ZnPcなど)、ポルフィリン誘導体、アセン系化合物(テトラセン、ペンタセンなど)などのp型半導体特性を示す低分子有機化合物、グラフェンや酸化グラフェンなどの炭素化合物、MoO3などの酸化モリブデン(MoOx)、WO3などの酸化タングステン(WOx)、NiOなどの酸化ニッケル(NiOx)、V2O5などの酸化バナジウム(VOx)、ZrO2などの酸化ジルコニウム(ZrOx)、Cu2Oなどの酸化銅(CuOx)、ヨウ化銅、RuO4などの酸化ルテニウム(RuOx)、Re2O7などの酸化ルテニウム(ReOx)などの無機材料が好ましく用いられる。中でも、ポリチオフェン系重合体であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やPEDOTにポリスチレンスルホネート(PSS)が添加されたもの(以下、PEDOT:PSSと記載する場合がある)、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステンがより好ましく用いられる。
正孔取出し層を形成する材料のうち、無機材料を用いて正孔取出し層を形成する方法としては、その金属塩や金属アルコキシドなどの前駆体溶液を塗布した後、加熱して層を形成する方法や、ナノ粒子分散液を基板に塗布して層を形成する方法が挙げられる。このとき、前記無機材料は、加熱温度や時間、及びナノ粒子の合成条件により、完全には反応が進行しておらず、部分的に加水分解したり、部分的に縮合したりすることで、中間生成物となっていたり、前駆体と中間生成物、最終生成物などの混合物となっていても良い。
正孔取出し層は単独の化合物から成る層であっても良いし、2種以上の化合物から成る混合層、または積層構造であってもよい。また、前記正孔取出し層は光電変換層から電極への正孔輸送を著しく妨げない範囲において、正孔輸送性を有しない物質を含んでいても良い。例えば、塗布性、平滑性を向上させる界面活性剤、粘度調整剤、バインダー樹脂、フィラー等が挙げられる。前記正孔取出し層の厚さは0.1nm〜1000nmの厚さが好ましく、より好ましくは0.5nm〜100nm、さらに好ましくは5nm〜50nmである。
<光電変換素子の製造方法>
次に、本発明の光電変換素子の製造方法について、以下に例を挙げて説明する。
次に、本発明の光電変換素子の製造方法について、以下に例を挙げて説明する。
まず基板上に電極(陰極)をスパッタリング法などにより形成する。そして、当該電極の上に、電子取出し層を形成する。
本発明の電子取出し層は無機/有機複合構造を有するが、前述のように、無機/有機複合構造は、金属酸化物および有機化合物が混合した状態で結合した混合型と、金属酸化物を含む層の表面に有機化合物が結合した積層型の構造をとることができる。
混合型の無機/有機複合構造を有する電子取出し層を作成する場合、金属酸化物またはその前躯体と、有機化合物とを含む電子取出し層用材料を溶媒と混合し、加熱、攪拌、超音波照射などの方法を用いて溶解させて溶液を調製する。このとき、溶液中で金属酸化物またはその前躯体と、有機化合物とは接触した状態で存在しているため、この溶液を電極上に塗工して層を形成した後、金属酸化物と有機化合物を結合させる反応を行う。
また、金属酸化物またはその前躯体と、有機化合物を含む電子取出し層用材料を溶媒と混合し、溶液中で金属酸化物またはその前躯体と、有機化合物とを結合させる反応を行った後、この溶液を電極上に塗布等して層を形成することによっても、同様の無機/有機複合構造を有する電子取出し層を形成することができる。
また、積層型の無機/有機複合構造を有する電子取出し層を作成する場合は、金属酸化物またはその前駆体からなる層をまず電極上に形成した後、有機化合物の溶液を当該層表面に塗工して有機化合物層を形成し、両層の界面において両者が接触した状態で金属酸化物と有機化合物を結合させる反応を行うことで、無機/有機複合構造を形成することができる。金属酸化物を含む層の形成方法としては、真空蒸着法やスパッタ法により製膜する方法や、金属酸化物の分散液(例えば、ナノ粒子分散液)を電極上に塗布し、熱処理する方法を用いることができる。
また、混合型の無機/有機複合構造からなる層の表面に更に有機化合物を結合させた、混合型と積層型が複合した無機/有機複合構造を有する電子取出し層を形成することも好ましい態様である。
金属酸化物の前駆体を用いた場合には、有機化合物との結合反応と同時に前駆体から金属酸化物へと変化することが好ましい。例えば、有機化合物の結合性官能基がアルコキシシリル基、クロロシリル基等である場合には、金属酸化物の前駆体として、加熱等によって酸化する金属化合物(例えば、金属塩や金属アルコキシドなど)を用いることで、加熱によって当該前駆体を金属酸化物へと変化させると同時に金属酸化物と有機化合物とを結合させる反応を行うことができる。ただし、金属酸化物の前駆体を金属酸化物に変化せしめる反応と、金属酸化物と有機化合物の結合反応は、別の工程として行われるものであってもよい。また、前駆体の金属酸化物への変化が不完全であっても、電子取出し層が十分な電子輸送性を有していればよく、これらの反応後に金属酸化物の一部が前駆体のままで残存していたとしても、本発明の範囲から排除されるべきものではない。
金属酸化物の前躯体としては、例えば、金属塩や金属アルコキシド化合物などが挙げられ、具体的には、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、酪酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛、ビス(8−キノリノラト)亜鉛、メタバナジン酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、六フッ化ジルコニウム酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、テトラクロロ亜鉛酸アンモニウム、オルトチタン酸テトライソプロピル、ニッケル酸リチウム、過マンガン酸カリウム、銀フェナントロリン錯体、AgTCNQ、チタンアルコキシド化合物(ビス(2,4−ペンタンジオナト)チタン(IV)オキシド、テトラブトキシチタン、チタニウムイソブトキシド、オルトチタン酸テトライソプロピルなど)、亜鉛アルコキシド化合物(亜鉛tert−ブトキシドなど)や特開2013−58714記載の電子輸送層に用いられる化合物などが挙げられる。
金属酸化物の分散液としては、例えば、酸化亜鉛ナノ粒子分散液、酸化亜鉛ナノロッド分散液、酸化チタンナノ粒子分散液などが挙げられる。
混合に用いる溶媒としては、水、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキシルなどの脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、γ−ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジメチルカーボネートなどのエステル類、エチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、イソクロマン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリムなどのエーテル類、アンモニア、エタノールアミンなどのアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、スルホランなどのスルホン類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、二硫化炭素、1,8−オクタンジチオールなどのチオール類、アセトニトリル、アクリロニトリルなどのニトリル類、酢酸、乳酸などの脂肪酸類、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジンなどの複素環式化合物類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、スチレン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシルベンゼン、エチニルベンゼン、テトラリン、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、ベラトロール、1,3−ジメトキシベンゼン、1,2,4−トリメトキシベンゼン、2−メトキシトルエン、2,5−ジメチルアニソール、o−クロロフェノール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレン、1−メチルナフタレン、o−ジヨードベンゼン、アセトフェノン、2,3−ベンゾフラン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、1,4−ベンゾジオキサン、酢酸フェニル、安息香酸メチル、クレゾール、アニリン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,1,1,2―テトラクロロエタン、1,1,1,3−テトラクロロプロパン、1,2,2,3−テトラクロロプロパン、1,1,2,3−テトラクロロプロパン、ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロプロパン、ヘプタクロロプロパン、1−ブロモプロパン、1,2−ジブロモプロパン、2,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,2,3−トリブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,7−ジブロモヘプタン、1,8−ジブロモオクタン、1−ヨードプロパン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,7−ジヨードヘプタン、1,8−ジヨードオクタンなどのハロゲン炭化水素類などが挙げられる。中でも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、テトラリン、アニソール、フェネトールベラトロール、1,3−ジメトキシベンゼン、1,2,4−トリメトキシベンゼン、2−メトキシトルエン、2,5−ジメチルアニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレンなどの芳香族炭化水素類や、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,2,3−トリブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,8−ジブロモオクタン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,7−ジヨードヘプタン、1,8−ジヨードオクタンなどのハロゲン炭化水素類などを用いることができる。なお、これらを2種以上混合して用いてもよい。
金属酸化物またはその前躯体と、有機化合物を含む電子取出し層用材料溶液や、金属酸化物またはその前躯体と結合した有機化合物を含む電子取出し層用材料溶液を陰極に塗布する際、あるいは金属酸化物またはその前躯体溶液を陰極に塗布する際や、有機化合物を含む溶液を金属酸化物を含む層の表面に塗布する際には、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、スプレー法、真空蒸着法など何れの方法を用いてもよく、膜厚制御や配向制御など、得ようとする膜質に応じて形成方法を選択すればよい。
次に、電子供与性有機半導体材料、および電子受容性有機材料を含む光電変換素子用材料を溶媒に溶解させて溶液を作り、電子取出し層上に塗布し光電変換層を形成する。このとき用いられる溶媒は、有機半導体が溶媒中に適当に溶解または分散できるものであれば特に限定されないが、有機溶媒が好ましく、例えば、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、などの脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、などのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、などのエステル類、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、などのエーテル類、アンモニア、エタノールアミンなどのアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、二硫化炭素、1,8−オクタンジチオールなどのチオール類、アセトニトリル、アクリロニトリルなどのニトリル類、酢酸、乳酸などの脂肪酸類、ピリジンなどの複素環式化合物類、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、エチニルベンゼン、テトラリン、アニソール、フェネトール、ベラトロール、1,3−ジメトキシベンゼン、1,2,4−トリメトキシベンゼン、2−メトキシトルエン、2,5−ジメチルアニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、アセトフェノン、2,3−ベンゾフラン、1,4−ベンゾジオキサン、アニリン、などの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,8−ジブロモオクタン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,7−ジヨードヘプタン、1,8−ジヨードオクタンなどのハロゲン炭化水素類などが挙げられる。中でも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、テトラリン、アニソール、フェネトール、ベラトロール、1,3−ジメトキシベンゼン、1,2,4−トリメトキシベンゼン、2−メトキシトルエン、2,5−ジメチルアニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレンなどの芳香族炭化水素類や、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,8−ジブロモオクタン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,7−ジヨードヘプタン、1,8−ジヨードオクタンなどのハロゲン炭化水素類などが挙げられる。なお、これらを2種以上混合して用いてもよい。
電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を混合して光電変換層を形成する場合は、本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料を所望の比率で溶媒に添加し、加熱、攪拌、超音波照射などの方法を用いて溶解させ溶液を作り、透明電極上に塗布する。また、電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を積層して光電変換層を形成する場合は、例えば、電子供与性有機材料の溶液を塗布して電子供与性有機材料を有する層を形成した後に、電子受容性有機材料の溶液を塗布して電子受容性有機材料を有する層を形成することにより、光電変換層を形成することができる。電子供与性有機材料および電子受容性有機材料が、分子量が1000以下程度の低分子量体である場合には、蒸着法を用いて光電変換層を形成することも可能である。
光電変換層の形成には、前述の電子取出し層と同様の塗布法や蒸着法などいずれの方法も用いることができ、膜厚制御や配向制御など、得ようとする光電変換層特性に応じて形成方法を選択すればよい。例えばスピンコート塗布を行う場合には、本発明の電子供与性有機材料、および電子受容性有機材料が1〜20g/lの濃度(本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料と溶媒を含む溶液の体積に対する、本発明の電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の重量)であることが好ましく、この濃度にすることで厚さ5〜200nmの均質な光電変換層を得ることができる。形成した光電変換層に対して、溶媒を除去するために、減圧下または不活性雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)などでアニーリング処理を行ってもよい。アニーリング処理の好ましい温度は40℃〜300℃、より好ましくは50℃〜200℃である。このアニーリング処理は、下記正孔取出し層、正極の形成後に行ってもよい。
次に光電変換層と正極の間に正孔取出し層を設置する場合は、前述の各種成膜法によって光電変換層上に正孔取出し層を形成する。所望の正孔輸送性材料(PEDOT:PSSなど)の塗布液を調製し、光電変換層上に塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて溶媒を除去することで形成できる。塗布法には、前述の電子輸送層の形成の場合と同様の塗布法を用いることができる。また、金属酸化物などの前駆体溶液を光電変換層上に塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて反応を進行させることでも形成できる。
次に光電変換層、または、正孔取出し層の上に電極(このケースの場合正極)を形成する。銀などの金属電極(この場合負極に相当)を真空蒸着法やスパッタ法により形成しても良く、金属粒子等を含む導電性ペーストを塗布することで形成してもよい。金属電極を蒸着形成する際、正孔取出し層を真空蒸着した場合は、引き続き、真空を保持したまま続けて形成することが好ましい。
なお、以上は最初に基板上に陰極を形成し、陰極側から順に層を形成して光電変換素子を作成する方法について説明したが、基板上に電極(陽極)をスパッタリング法などにより形成し、当該電極の上に、正孔取出し層、光電変換層、無機/有機複合構造を有する電子取出し層、および電極(陰極)をこの順に形成する光電変換素子製造方法も挙げられる。この場合、光電変換素子の積層構造が逆になり、電子取出し層は光電変換層上に形成されることになるが、その他は前記同様である。
本発明の光電変換素子は、光電気変換機能、光整流機能などを利用した種々のデバイスへの応用が可能である。例えば光電池(太陽電池など)、電子素子(光センサ、光スイッチ、フォトトランジスタなど)、光記録材(光メモリなど)、撮像素子、発光素子などに有用である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また実施例等で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
ITO:インジウム錫酸化物
PEDOT:ポリエチレンジオキシチオフェン
PSS:ポリスチレンスルホネート
A−1:下記式で表される化合物(nは重合度)
ITO:インジウム錫酸化物
PEDOT:ポリエチレンジオキシチオフェン
PSS:ポリスチレンスルホネート
A−1:下記式で表される化合物(nは重合度)
[60]PCBM:フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル
THF:テトラヒドロフラン
n−BuLi:ノルマルブチルリチウム
[合成例1]
化合物A−1を式1に示す方法で合成した。なお、化合物(1−i)はジャーナルオブザアメリカンケミカルソサエティ(Journal of the American Chemical Society)、2009年、131巻、7792−7799頁に記載されている方法を参考に、化合物(1−p)はアンゲバンテケミ インターナショナルエディション(Angewandte Chem Internatioal Edition)、2011年、50巻、9697−9702頁に記載されている方法を参考にして合成した。
THF:テトラヒドロフラン
n−BuLi:ノルマルブチルリチウム
[合成例1]
化合物A−1を式1に示す方法で合成した。なお、化合物(1−i)はジャーナルオブザアメリカンケミカルソサエティ(Journal of the American Chemical Society)、2009年、131巻、7792−7799頁に記載されている方法を参考に、化合物(1−p)はアンゲバンテケミ インターナショナルエディション(Angewandte Chem Internatioal Edition)、2011年、50巻、9697−9702頁に記載されている方法を参考にして合成した。
メチル−2−チオフェンカルボキシレート(東京化成工業(株)製)38g(0.27mol)およびクロロメチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)108g(1.34mol)を0℃で撹拌しているところに、四塩化スズ(和光純薬工業(株)製)125g(0.48mol)を1時間かけて加え、その後室温で8時間撹拌した。撹拌終了後、水100mlを0℃でゆっくり加え、クロロホルムで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで溶媒を乾燥後、溶媒を減圧除去した。得られた茶褐色固体をメタノールから再結晶することにより化合物(1−b)を薄黄色固体(24.8g、収率39%)として得た。化合物(1−b)の1H−NMRの測定結果を以下に示す。なお、1H−NMR測定にはFT−NMR装置((株)日本電子製JEOL JNM−EX270)を用いた。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.71(s,1H),4.79(s,1H),4.59(s,1H),3.88(s,3H)ppm。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.71(s,1H),4.79(s,1H),4.59(s,1H),3.88(s,3H)ppm。
上記化合物(1−b)24.8g(0.10mmol)をメタノール(佐々木化学工業(株)製)1.2Lに溶解させ、60℃で撹拌しているところに硫化ナトリウム(アルドリッチ社製)8.9g(0.11mol)のメタノール溶液100mlを1時間かけて滴下し、さらに60℃で4時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧除去し、クロロホルム200mlと水200mlを加え、不溶物をろ別した。有機層を水で2回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧除去した。粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、クロロホルム)で精製することにより化合物(1−c)を白色固体(9.8g、収率48%)として得た。化合物(1−c)の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.48(s,1H),4.19(t,J=3.0Hz,2H),4.05(t,J=3.0Hz,2H),3.87(s,3H)ppm。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.48(s,1H),4.19(t,J=3.0Hz,2H),4.05(t,J=3.0Hz,2H),3.87(s,3H)ppm。
上記化合物(1−c)9.8g(49mmol)に水100mlついで3M水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、80℃で4時間加熱撹拌した。反応終了後、濃塩酸15mlを0℃で加え、析出した固体をろ取し、水で数回洗浄した。得られた固体を乾燥し、化合物(1−d)を白色固体(8.9g、収率98%)として得た。
1H−NMR(270MHz,DMSO−d6):7.46(s,1H),4.18(t,J=3.2Hz,2H),4.01(t,J=3.2Hz,2H)ppm。
1H−NMR(270MHz,DMSO−d6):7.46(s,1H),4.18(t,J=3.2Hz,2H),4.01(t,J=3.2Hz,2H)ppm。
上記化合物(1−d)1.46g(7.8mmol)を脱水テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)60mlに溶解し、−78℃で撹拌しているところに、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M、和光純薬工業(株)製)10.7ml(17.2mmol)を滴下し、−78℃で1時間攪拌した。次いでN−フルオロベンゼンスルホンイミド(東京化成工業(株)製)4.91g(15.6mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液20mlを−78℃で10分間かけて滴下し、室温で12時間攪拌した。反応終了後、水50mlをゆっくり加えた。3M塩酸を加えて水層を酸性にした後、クロロホルムで3回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、酢酸エチル)で副生成物を除去した後に酢酸エチルから再結晶することで化合物(1−e)を薄黄色粉末(980mg、収率61%)として得た。化合物(1−e)の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(270MHz,DMSO−d6):13.31(brs,1H),4.20(t,J=3.0Hz,2H),4.03(t,J=3.0Hz,2H)ppm。
1H−NMR(270MHz,DMSO−d6):13.31(brs,1H),4.20(t,J=3.0Hz,2H),4.03(t,J=3.0Hz,2H)ppm。
上記化合物(1−e)800mg(3.9mmol)の脱水ジクロロメタン(和光純薬工業(株)製)溶液10mlに、オキサリルクロリド(東京化成工業(株)製)1ml、次いでジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)1滴を加え、室温で3時間攪拌した。溶媒と過剰の塩化オキサリルを減圧除去することで、化合物(1−f)を黄色オイルとして得た。化合物(1−f)はそのまま次の反応に用いた。
上記化合物(1−f、粗精製物)のジクロロメタン溶液10mlを1−オクタノール(和光純薬工業(株)製)1.3g(10mmol)およびトリエチルアミン(和光純薬工業(株)製)800mg(8mmol)のジクロロメタン溶液15mlに室温で加え、6時間室温で撹拌した。反応溶液を1M塩酸で2回、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、クロロホルム)で精製することにより化合物(1−g)を薄黄色固体(1.12g、収率90%)として得た。化合物(1−g)の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):4.27(t,J=6.7Hz,2H),4.16(t,J=3.0Hz,2H),4.01(t,J=3.0Hz,2H),1.72(m,2H),1.5−1.3(m,12H),0.88(t,J=7.0Hz,3H)ppm。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):4.27(t,J=6.7Hz,2H),4.16(t,J=3.0Hz,2H),4.01(t,J=3.0Hz,2H),1.72(m,2H),1.5−1.3(m,12H),0.88(t,J=7.0Hz,3H)ppm。
上記化合物(1−g)1.1g(3.5mmol)の酢酸エチル溶液40mlに、メタクロロ安息香酸(ナカライテスク(株)製)630mg(3.6mmol)の酢酸エチル溶液10mlを0℃で滴下し、室温で5時間攪拌した。溶媒を減圧除去した後に無水酢酸30mlを加え、3時間加熱還流した。溶媒を再び減圧除去した後にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ジクロロメタン:ヘキサン=1:1)で精製することにより化合物(1−h)を薄黄色オイル(1.03g、収率94%)として得た。化合物(1−h)の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.65(d,J=2.7Hz,1H),7.28(dd,J=2.7Hz and 5.4Hz,1H),4.31(t,J=6.8Hz,2H),1.75(m,2H),1.42−1.29(m,12H),0.89(t,J=6.8Hz,3H)ppm。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.65(d,J=2.7Hz,1H),7.28(dd,J=2.7Hz and 5.4Hz,1H),4.31(t,J=6.8Hz,2H),1.75(m,2H),1.42−1.29(m,12H),0.89(t,J=6.8Hz,3H)ppm。
上記化合物(1−h)1.0g(3.2mmol)のジメチルホルムアミド溶液20mlに、N−ブロモスクシンイミド(和光純薬工業(株)製)1.25g(7.0mmol)を室温で加え、3時間室温で撹拌した。反応終了後、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液10mlを加え、5分間攪拌した。酢酸エチル80mlを加え、有機層を水で5回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、クロロホルム:ヘキサン=1:3)で精製することにより化合物(1−i)を薄黄色固体(1.2g、収率79%)として得た。化合物(1−i)の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):4.32(t,J=6.5Hz,2H),1.75(m,2H),1.42−1.29(m,12H),0.89(t,J=6.8Hz,3H)ppm。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):4.32(t,J=6.5Hz,2H),1.75(m,2H),1.42−1.29(m,12H),0.89(t,J=6.8Hz,3H)ppm。
ジエチルアミン(和光純薬工業(株)製)110g(1.5mol)のジクロロメタン溶液300mlに、3−チオフェンカルボニルクロリド(和光純薬工業(株)製)100g(0.68mol)を0℃で1時間かけて加え、室温で3時間攪拌した。撹拌終了後、水200mlを加え、有機層を水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留することにより、化合物(1−k)を淡橙色液体(102g、収率82%)として得た。化合物(1−k)の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.47(dd,J=3.2Hz and 1.0Hz,1H),7.32(dd,J=5.0Hz and 3.2Hz,1H),7.19(dd,J=5.0Hz and 1.0Hz,1H),3.43(brs,4H),1.20(t,J=6.5Hz,6H)ppm。
上記化合物(1−k)73.3g(0.40mol)の脱水テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)溶液400mlに、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M、和光純薬工業(株)製)250ml(0.40mol)を0℃で30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で4時間攪拌した。撹拌終了後、水100mlをゆっくり加えしばらく撹拌した後、反応混合物を水800mlに注いだ。析出した固体をろ取し、水、メタノール、ついでヘキサンの順で洗浄することにより化合物(1−l)を黄色固体(23.8g、収率27%)として得た。化合物(1−l)の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.69(d,J=4.9Hz,2H),7.64(d,J=4.9Hz,2H)ppm。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.69(d,J=4.9Hz,2H),7.64(d,J=4.9Hz,2H)ppm。
チオフェン42g(0.50mol)の脱水テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)溶液400mlに、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M、和光純薬工業(株)製)250ml(0.40mol)を−78℃で30分間かけて滴下した。反応混合物を−78℃で1時間攪拌した後、2−エチルヘキシルブロミド(和光純薬工業(株)製)76.4g(0.40mol)を−78℃で15分間かけて滴下した。反応溶液を室温で30分間撹拌した後、60℃で6時間加熱撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を室温まで冷却し、水200mlおよびジエチルエーテル200mlを加えた。有機層を水で2回、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留することで化合物(1−n)を無色液体(28.3g、36%)として得た。化合物(1−n)の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.11(d,4.9Hz,1H),6.92(dd,4.9Hz and 3.2Hz,1H),6.76(d,J=3.2Hz,1H),2.76(d,J=6.8Hz,2H),1.62(m,1H),1.4−1.3(m,8H),0.88(m,6H)ppm。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.11(d,4.9Hz,1H),6.92(dd,4.9Hz and 3.2Hz,1H),6.76(d,J=3.2Hz,1H),2.76(d,J=6.8Hz,2H),1.62(m,1H),1.4−1.3(m,8H),0.88(m,6H)ppm。
上記化合物(1−n)17.5g(89mmol)の脱水テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)溶液400mlに、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M、和光純薬工業(株)製)57ml(89mmol)を0℃で30分間かけて滴下した。反応溶液を50℃で1時間撹拌した後、上記化合物(1−l)4.9g(22mmol)を50℃で加え、そのまま1時間撹拌した。撹拌終了後、反応溶液を0℃に冷却し、塩化すず二水和物(和光純薬工業(株)製)39.2g(175mmol)を10%塩酸80mlに溶かした溶液を加え、室温で1時間撹拌した。撹拌終了後、水200ml、ジエチルエーテル200mlを加え、有機層を水で2回、次いで飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン)で精製することにより化合物(1−o)を黄色オイル(7.7g、収率59%)として得た。化合物(1−o)の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.63(d,J=5.7Hz,1H),7.45(d,J=5.7Hz,1H),7.29(d,J=3.6Hz,1H),6.88(d,J=3.6Hz,1H),2.86(d,J=7.0Hz,2H),1.70−1.61(m,1H),1.56−1.41(m,8H),0.97−0.89(m,6H)ppm。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.63(d,J=5.7Hz,1H),7.45(d,J=5.7Hz,1H),7.29(d,J=3.6Hz,1H),6.88(d,J=3.6Hz,1H),2.86(d,J=7.0Hz,2H),1.70−1.61(m,1H),1.56−1.41(m,8H),0.97−0.89(m,6H)ppm。
上記化合物(1−o)870mg(1.5mmol)の脱水テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)溶液25mlに、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M、和光純薬工業(株)製)2.0ml(3.3mmol)を−78℃でシリンジを用いて加え、−78℃で30分間、室温で30分間攪拌した。反応混合物を−78℃まで冷却した後、トリメチルスズクロリド(和光純薬工業(株)製)800mg(4.0mmol)を−78℃で一度に加え、室温で4時間撹拌した。撹拌終了後、ジエチルエーテル50mlおよび水50mlを加え5分間室温で撹拌した後、有機層を水で2回、次いで飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで溶媒を乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた橙色オイルをエタノールより再結晶することで、化合物(1−p)を薄黄色固体(710mg、収率52%)として得た。化合物(1−p)の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.68(s,2H),7.31(d,J=3.2Hz,2H),6.90(d,J=3.2Hz,2H),2.87(d,J=6.2Hz,4H),1.69(m,2H),1.40−1.30(m,16H),1.0−0.9(m,12H),0.39(s,18H)ppm。
1H−NMR(270MHz,CDCl3):7.68(s,2H),7.31(d,J=3.2Hz,2H),6.90(d,J=3.2Hz,2H),2.87(d,J=6.2Hz,4H),1.69(m,2H),1.40−1.30(m,16H),1.0−0.9(m,12H),0.39(s,18H)ppm。
化合物(1−i)71mg(0.15mmol)および化合物(1−p)136mg(0.15mmol)をトルエン(和光純薬工業(株)製)4mlおよびジメチルホルムアミド(和光純薬工業(株)製)1mlに溶解させたところに、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(東京化成工業(株)製)5mgを加え、窒素雰囲気下、100℃で15時間撹拌した。次いで、ブロモベンゼン(東京化成工業(株)製)15mgを加え、100℃にて1時間撹拌した。次いで、トリブチル(2−チエニル)すず(東京化成工業(株)製)40mgを加え、100℃にてさらに1時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール100mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。次いでソックスレー抽出器を用いてアセトン、ヘキサンの順で洗浄した。次に、得られた固体をクロロホルムに溶解させ、セライト(ナカライテスク(株)製)、次いでシリカゲルカラム(遊離液、クロロホルム)に通した後、溶媒を減圧留去した。得られた固体を再度クロロホルムに溶解させた後、メタノールに再沈殿し、化合物A−1(85mg)を得た。重量平均分子量は25,000、数平均分子量は16,000であった。なお、平均分子量(数平均分子量、重量平均分子量)はGPC装置(クロロホルムを送液したTOSOH社製、高速GPC装置HLC−8320GPC)を用い、絶対検量線法によって算出した。重合度nは以下の式で算出した。
重合度n=[(重量平均分子量)/(繰り返しユニットの分子量)]
[実施例1]
水5μLとエタノール溶媒(和光純薬工業(株)製)0.5mLを、酢酸亜鉛2水和物(和光純薬工業(株)製)10mgの入ったサンプル瓶の中に加え、熱溶解した。ここに、エタノールアミン(東京化成工業(株)製)を1体積%の割合で加えて溶液Aを得た。
重合度n=[(重量平均分子量)/(繰り返しユニットの分子量)]
[実施例1]
水5μLとエタノール溶媒(和光純薬工業(株)製)0.5mLを、酢酸亜鉛2水和物(和光純薬工業(株)製)10mgの入ったサンプル瓶の中に加え、熱溶解した。ここに、エタノールアミン(東京化成工業(株)製)を1体積%の割合で加えて溶液Aを得た。
ブタノール溶媒(和光純薬工業(株)製)にビス[3−(トリメトシキシリル)プロピル]アミン(東京化成工業(株)製)を1体積%の割合で加えて溶液Bを得た。
3,4,5−トリメトキシトルエン(東京化成工業(株)製)を5体積%の割合で混合したクロロホルム溶媒0.2mLを、化合物A−1 2.7mg、[60]PCBM(ソレーヌ社製)3.3mgの入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で30分間超音波照射することにより溶液Cを得た。
PEDOT:PSS水溶液(CLEVIOS P VP AI4083)と水と2−プロパノール(和光純薬工業(株)製)とを40:35:25の体積%で混合し、溶液Dを得た。
スパッタリング法により陰極となるITO透明導電層を125nm堆積させたガラス基板を38mm×46mmに切断した後、ITOをフォトリソグラフィー法により38mm×13mmの長方形状にパターニングした。得られた基板の光透過率を日立分光光度計U−3010で測定した結果、400nm〜900nmの全ての波長領域において85%以上であった。この基板をアルカリ洗浄液(フルウチ化学(株)製、“セミコクリーン”EL56)で10分間超音波洗浄した後、超純水で洗浄した。この基板を30分間UV/オゾン処理した後に、上記の溶液Aをガラス基板上に滴下し、スピンコートした後、ホットプレート上で150℃,30分間加熱した。同基板上に上記の溶液Bを滴下、スピンコートした後、ホットプレート上で150℃,10分間加熱することで、約20nm厚の電子取出し層を形成した。
次に、溶液Cを電子取出し層上に滴下し、スピンコートした後、ホットプレート上で80℃,5分間加熱乾燥することで膜厚約300nmの光電変換層を形成した。
さらに、溶液Dを光電変換層上に滴下し、スピンコートした後、ホットプレート上で80℃,5分間加熱することで正孔取出し層を形成した。
その後、基板と正極用マスクを真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度を1×10−3Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱法によって正極となる銀層を200nmの厚さに蒸着した。作製した素子の上下の電極から引き出し電極を輸送、帯状のITO層と銀層が重なり合う部分の面積が5mm×5mmである光電変換素子を作製した。
このようにして作製された光電変換素子の上下の電極をヒューレット・パッカード社製ピコアンメーター/ボルテージソース4140Bに接続して、大気下でITO層側から蛍光灯(200Lux)を照射し続け、印加電圧を−1Vから+2Vまで変化させたときの電流値を測定した。得られた電流値より発電量(μW/cm2)を算出した。 次に、光電変換素子に対して大気中でITO層側から擬似太陽光(分光計器株式会社製 OTENTO−SUNIII、スペクトル形状:AM1.5、強度:100mW/cm2)を照射し続け、光処理を行った後、先ほどと同様にして光照射時の電流−電圧特性の測定を行い、光処理後の発電量の保持率が80%に低下するまでの耐久時間を測定した。以下、の実施例および比較例では、本実施例における耐久時間を1.0とし、それに対する相対値として耐久時間を示す。
[実施例2]
溶液Bにビス[3−(トリメトシキシリル)プロピル]アミンを添加する代わりに、ビス[3−(トリエトシキシリル)プロピル]アミン(東京化成工業(株)製)1重量%添加した他は、実施例1と全く同様にして光電変換素子を作製して、発電量(μW/cm2)の測定を行った結果、耐久時間は0.90(相対値)であった。
溶液Bにビス[3−(トリメトシキシリル)プロピル]アミンを添加する代わりに、ビス[3−(トリエトシキシリル)プロピル]アミン(東京化成工業(株)製)1重量%添加した他は、実施例1と全く同様にして光電変換素子を作製して、発電量(μW/cm2)の測定を行った結果、耐久時間は0.90(相対値)であった。
[比較例1]
溶液Bを用いなかった他は、実施例1と全く同様にして光電変換素子を作製して、発電量(μW/cm2)の測定を行った結果、耐久時間は0.60(相対値)であった。
溶液Bを用いなかった他は、実施例1と全く同様にして光電変換素子を作製して、発電量(μW/cm2)の測定を行った結果、耐久時間は0.60(相対値)であった。
[比較例2]
溶液Bにビス[3−(トリメトシキシリル)プロピル]アミンを添加する代わりに、3−アミノプロピルトリエトキシシランを1重量%添加した他は、実施例1と全く同様にして光電変換素子を作製して、発電量(μW/cm2)の測定を行った結果、耐久時間は0.55(相対値)であった。
溶液Bにビス[3−(トリメトシキシリル)プロピル]アミンを添加する代わりに、3−アミノプロピルトリエトキシシランを1重量%添加した他は、実施例1と全く同様にして光電変換素子を作製して、発電量(μW/cm2)の測定を行った結果、耐久時間は0.55(相対値)であった。
1 基板
2 陰極
3 電子取出し層
4 光電変換層
5 陽極
2 陰極
3 電子取出し層
4 光電変換層
5 陽極
Claims (9)
- 少なくとも陰極、電子取出し層、光電変換層、および陽極をこの順に有する光電変換素子であって、前記電子取出し層が、金属酸化物と、電子供与性基および2つ以上の結合性官能基を有する有機化合物を含むとともに、
前記金属酸化物と、前記有機化合物の少なくとも一部が前記結合性官能基の反応により形成された結合基を介して結合した無機/有機複合構造を有する光電変換素子。 - 前記結合性官能基が、アルコキシシリル基、クロロシリル基、スルホニルクロリド基、カルボキシ基、リン酸基、チオール基から選択される官能基である、請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 前記電子供与性基が、アミノ基、芳香族アミノ基、アルコキシ基、チエニル基およびフラニル基から選択される基である、請求項1〜3いずれかに記載の光電変換素子。
- 前記電子取出し層が、上記一般式(1)で表される化合物であって、一般式(1)中、R1およびR2が炭素数12以下のアルキル基である化合物を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記金属酸化物が亜鉛またはチタンを含む金属酸化物である、請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記金属酸化物が酸化亜鉛である、請求項6に記載の光電変換素子。
- 前記無機/有機複合構造が、前記金属酸化物を含む層の表面に前記有機化合物が結合した積層型の構造である、請求項1〜7のいずれかに記載の光電変換素子。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の光電変換素子を用いてなる太陽電池。
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CN113838977A (zh) * | 2020-06-08 | 2021-12-24 | 中国科学院苏州纳米技术与纳米仿生研究所 | 一种钙钛矿太阳能电池及其制备方法 |
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2018
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CN113838977A (zh) * | 2020-06-08 | 2021-12-24 | 中国科学院苏州纳米技术与纳米仿生研究所 | 一种钙钛矿太阳能电池及其制备方法 |
CN113838977B (zh) * | 2020-06-08 | 2024-03-19 | 中国科学院苏州纳米技术与纳米仿生研究所 | 一种钙钛矿太阳能电池及其制备方法 |
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