JP2014185422A - 複合耐震パネル並びにそれを用いた耐震構造及び耐震施工法 - Google Patents

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吉男 松下
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Abstract

【課題】様々な種類の軸組み乃至それを備えた構造物に適用でき、中でも、ラーメン構造を備えた構造物に適用でき、特に、高度な耐震性が要求されるRC造校舎にも適用可能であり、又、軸組みによって形成されるフレーム内に人が出入り可能な開口部を残すことができる耐震パネルが求められている。
【解決手段】複合耐震パネル1は、水平方向に並置される複数の金属板2,2と、複数の金属板2,2がそれぞれ備える複数の隅にそれぞれ配置される複数の火打ち板3,3,3,3と、複数の金属板2,2にそれぞれ対角方向に延在する張力場(図3(B)の二つの
X型張力場6,6参照)が独立して形成されるよう複数の金属板2,2の水平方向間に位置する間柱部4aを含み、複数の金属板2,2の外周をそれぞれ囲むよう該複数の金属板2,2を支持し、さらに複数の火打ち板3,3,3,3を支持し、且つ軸組み10の上下の梁11,11に少なくとも支持される、枠組み4と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合耐震パネルに関し、特に、構造物の軸組みに装着されて構造物の耐震性を改善する複合耐震パネルに関し、中でも、ラーメン構造ないし剛接合されたフレームを備えた構造物、例えば、RC造(鉄筋コンクリート造)の構造物に好適に適用される複合耐震パネルに関する。
予想される大地震又は高度成長時に建設された構造物の経年劣化を鑑みると、構造物の耐震補強は注目せざるを得ない状況である。特に、校舎のような公共建築物又は幹線道路に面したビルディングには、高度な耐震性が望まれている。
RC造校舎の耐震補強法としては、ラーメン構造を持ったフレーム内に鉄骨の斜材(ブレース)を装着する方法がよく行われている。このようなブレースは、フレームを形成する左右の柱間に亘って配置する必要がある。このため、ブレースが邪魔になり、フレーム内に人が出入り可能な開口部を設置することが困難になるという問題が生じる。
他の耐震補強法として、耐震パネルを用いた耐力壁の増設によるものがある。本出願人らは、特許文献1において下記の耐震パネルを提案し、その適用の一例として伝統的木造建築物を紹介した:
「軸組構造を有する構造物の耐震性を改善するよう軸組みの開口部に挿入されて該軸組みに装着される耐震パネルであって、所定値以下の大きさの揺れに対しては弾性変形し、該所定値を超える大きさの揺れに対しては塑性変形することにより前記軸組みに印加される地震エネルギを吸収する矩形状の薄板と、前記薄板の全辺に設けられ、前記軸組みに取り付けられることにより該薄板を全辺に亘って該軸組みに拘束させる枠と、前記薄板の隅部にそれぞれ配置され、前記枠と一体化されると共に前記薄板と面接触する複数の火打ち板と、を有する、ことを特徴とする耐震パネル。」。
また、特許文献2には、水平方向に延在する細い波型リブと横桟とが鉛直方向に積層され、積層された複数の波型リブと横桟を囲む細い外枠を備える耐震パネルユニットが提案されている。また、特許文献2には、このユニットを一つのフレームに格子状に配列、すなわち、水平方向にも鉛直方向にも複数のユニットを配列した耐震補強構造が提案されている。
特許第4825940号公報 特開2012−26081号公報
しかしながら、特許文献2の耐震パネルは、それ自体も、又、格子状に複数個組み合わせた状態においても、剛性が不足しているため、耐震パネルの内側にある波型リブが地震エネルギを十分に吸収する前に、耐震パネル全体が大きく座屈してしまうおそれがある。したがって、この耐震パネルを高度な耐震性が望まれるRC造校舎などに適用することは困難である。
かくして、様々な種類の軸組み乃至それを備えた構造物に適用でき、中でも、ラーメン構造を備えた構造物に適用でき、特に、高度な耐震性が要求されるRC造校舎にも適用可能であり、又、軸組みによって形成されるフレーム内に人が出入り可能な開口部を残すことができる耐震パネルが求められている。
第1の視点に係る複合耐震パネルは下記の要素を備えている。
水平方向に並置される複数の金属板;
複数の金属板がそれぞれ備える複数の隅にそれぞれ配置される複数の火打ち板;
複数の金属板に独立して形成され、該金属板の対角方向に延在する張力場;
複数の金属板の水平方向間に位置する間柱部;
間柱部を含み、複数の金属板の外周をそれぞれ囲むよう該複数の金属板を支持し、さらに複数の火打ち板を支持し、該上下の梁に少なくとも支持される、枠組み。
なお、張力場とは、地震時、張力を受けてしわを発生し、地震エネルギを吸収する部分である。また、枠組みは、金属板に張力場が形成されてその地震エネルギ吸収機能が有効に発揮されるまで、複合耐震パネルの全体形状ないし金属板の拘束状態が十分に保持されるよう、金属板よりも強固な構造ないし断面性能を有する。
第2の視点に係る耐震構造は、第1の視点の複合耐震パネルが構造物の軸組みによって形成される少なくとも一つのフレームに、該フレーム内に開口部を残して装着されることを特徴とする。
第3の視点に係る耐震施工法は、第1の視点の複合耐震パネルを、構造物の軸組みのうち少なくとも上下の梁に取り付けることを特徴とする。
第1〜第3の視点は、下記の効果に貢献する。
(a)複合耐震パネルにおいて、複数の金属板の外周をそれぞれ囲む枠組み、例えば、鉄骨製の枠組みによって、複合耐震パネル全体に関して十分な剛性が確保されると共に金属パネルの拘束効果が得られる。これによって、金属板に張力場が形成されて地震エネルギを吸収する前に、金属板が壊れてしまうことが高度に防止される。
(b)枠組みは、水平方向に並設された複数の金属パネル間に挿入された間柱部を有している。これによって、複数の独立した張力場の形成が担保され、複数の張力場が水平方向に並んで形成されることにより、一枚の金属板しか備えていない耐震パネルに比べて、水平耐力および地震エネルギの吸収能が倍加される。また、軸組みを構成する柱ないし柱と梁の接合部にかかる応力が減少し、柱のせん断破壊又は構造物の層破壊が可及的に防止される。
(c)複合耐震パネルを、軸組みが形成する一つのフレーム内に、人が出入り可能な大きさ開口部を残して装着しても、耐震性を改善することができる。その理由は、梁がその有効長さが短いためにせん断破壊を起こしても、柱ないし柱と梁の接合部のせん断破壊が高度に防止され、構造物の崩壊には至らず、むしろ地震エネルギを吸収する結果となるからである。
(d)金属板は薄くてよく軽量であるため、複合耐震パネルの装着による外力(鉛直荷重、地震荷重)の増加が抑制される。
(e)金属板を軸組みによって形成されるフレームに直接取り付けるよりも、枠組みを介して金属板をフレームに取り付けた方が、金属板の固定が容易であり、加えて、枠組みとフレームの両者による相乗的な金属板拘束効果が得られる。
(f)以上より、複合耐震パネルは、高度な耐震性が要求される校舎などのRC造構造物の耐震性改善に有益であり、中でも、軸組みが形成するフレーム内に人が出入り可能な開口部を残すことが求められる構造物の耐震性改善に有益である。
本発明の一実施形態に係る複合耐震パネル及びそれが装着された構造物の軸組みの一部を示す軸組図である。 図1に示した複合耐震パネルの組立て状態を示す部分斜視図である。 (A)は、一枚の金属パネルから構成される比較例に係る耐震パネルの機能を説明する図であり、(B)は、図1に示した実施形態に係る複合耐震パネルの機能を説明する図である。 (A)は、耐震パネルが装着されていない比較例に係る軸組みの破壊モードを示す図であり、(B)は、図1に示した実施形態に係る複合耐震パネルが装着された軸組みの破壊モードを示す図である。 (A)〜(D)は、図1に示した実施形態に係る複合耐震パネルの施工例をそれぞれ示す模式図である。 比較試験の結果を示す荷重−変位グラフである。 比較試験の結果を示す図であって、実施形態に係る複合耐震パネルが装着されたRCフレームに形成されたクラックを示す図である。 比較試験の結果を示す図であって、複合耐震パネルが装着されていないRCフレームに形成されたクラックを示す図である。
好ましくは、複合耐震パネルは、複数の金属板の外周をそれぞれ囲むと共に複数の金属板の外周と枠組みとの間を接続し、さらに、複数の火打ち板と枠組みとの間を接続する、複数の中枠を備えている。このような中枠は、金属板の取り付け、例えば、鉄骨製の枠組みに対する取り付けを容易化する。また、複数の金属板を備える複合耐震パネルは、一枚の金属板しか備えていない耐震パネルに比べて、一枚の金属板の寸法を小さくすることができるため、金属板の取り付けや交換が容易である。
好ましい複合耐震パネルにおいて、複数の金属板は複数の中枠内にそれぞれ収容され、複数の中枠は枠組み内にそれぞれ収容され、枠組みは軸組みによって形成される一つのフレーム内に収容される。これによって、上述した金属板の機能が担保される。
好ましい複合耐震パネルにおいて、枠組みは複数のH形鋼の組み合わせから形成され、複数の中枠は複数のL形鋼の組み合わせからそれぞれ形成され、L形鋼の一方のフランジが金属板の縁部に接合され、同L形鋼の他方のフランジが記H形鋼の一方のフランジに接合され、直角に組み合わされた二本のL型鋼に一枚の前記火打ち板が接合される。このような枠組み構造は、金属板の面外座屈を防止する。
好ましい複合耐震パネルにおいて、金属板は、厚さ(板厚)方向が互いに平行となるよう水平方向に複数列配置され、鉛直方向に一行配置される。すなわち、水平方向に複数の金属板が並置され、鉛直方向には一枚の金属板が配置される。
枠組みは、軸組みの梁又は柱と一体とみなせる部分に支持されてもよい。
金属板には、例えば、SS400等の構造材用の鋼板、又は、SUS304、SUS307等の構造材用のステンレス鋼板を用いることができる。
金属板が薄すぎると極めて稀な大地震における地震エネルギを十分に吸収できず、又、金属板が厚すぎると他の部分に負荷がかかる。したがって、金属板の厚さは、目標とする耐震性能に合わせて定められるものであるが、一例として、0.4〜10mmの範囲、さらには0.5〜5mmの範囲が好ましい。
より有効なX型張力場が水平方向に併設されるよう、金属板の縦横比(鉛直方向高さ/水平方向幅)は、1〜3の範囲が好ましい。
枠組みは、金属板よりも高剛性で、安価な型鋼ないし鉄骨から構成できる。枠組みの金属板厚み方向の幅は、金属板の厚さに対して、好ましくは5〜300倍の範囲、さらに好ましくは10〜100倍の範囲であることが好ましい。
複数の金属板の縁部にそれぞれ装着される中枠は、各種形鋼を組み合わせて構成することができる。例えば、中枠の一辺を二本のL形鋼(山形鋼)から構成する。中枠の主たる機能は、金属板と枠組みを繋げることであるから、中枠を鋼以外の軽量な材料から形成してもよい。
火打ち板は、張力場の幅を広くするような形状が好ましく、例えば、三角形状に形成される。
実施形態1
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る複合耐震パネル及びそれが取り付けられた構造物の軸組みの一部を示す軸組図である。
図1を参照すると、構造物の軸組み10は、上下の梁11,11,,,11と左右の柱12,12,,,12を有している。上下の梁11,11,,,11と左右の柱12,12,,,12は互いに剛接合され、ラーメン構造をもった複数のフレーム13が形成されている。実施形態の複合耐震パネル1は、いくつかのフレーム13内に装着され、軸組み10を有する構造物の耐震性を改善する耐力壁となる。複合耐震パネル1は、フレーム13内に開口部14を残してフレーム13に装着しても、耐震性を改善することができる。
複合耐震パネル1は、水平方向に並置される複数の金属板2と、複数の金属板2がそれぞれ備える複数の隅にそれぞれ配置される複数の火打ち板3と、複数の金属板2よりも高剛性な枠組み4と、を有している。図示の金属板2は四角形であるから、金属板2の四隅に、金属板2を拘束して、張力場(図3(B)に示す張力場6を参照)の発生幅を拡大する四枚の火打ち板3が配置されている。
枠組み4は、複数の金属板2にそれぞれ対角方向に延在する張力場が独立して形成されるよう、特に、X型張力場(図3(B)に示す二つのX型の張力場6,6を参照)が形成されるよう、複数の金属板の水平方向間に位置する間柱部4aを含んでいる。枠組み4は、複数の金属板2の外周をそれぞれ囲むよう複数の金属板2を支持し、さらに複数の火打ち板3を支持している。枠組み4は、上下の梁11,11に複数のアンカー15を介して支持されている。枠組み4は、さらに、図中右側の柱12に接続ないし支持されていてもよい。
さらに、複合耐震パネル1は、各要素を接続するための複数の中枠5を備えている。各々の中枠5は、金属板2,2の外周をそれぞれ囲むと共に、金属板2,2と枠組み4の間を接続し、さらに、複数の火打ち板3と枠組み4との間を接続している。
また、金属板2が可及的に面外座屈しないよう、複数の金属板2は複数の中枠5内にそれぞれ収容され、複数の中枠5は枠組み4内にそれぞれ収容され、枠組み4は軸組み10によって形成される一つのフレーム13内に収容される。
図2は、図1に示した複合耐震パネルの組立て状態を示す部分斜視図である。なお、図2では、図示の都合上、上側のH形鋼および2本のL形鋼の図示を省略している。
図1および図2を参照すると、複合耐震パネル1を水平方向に区分するよう鉛直方向に延在する間柱部4aと、複合耐震パネル1の外周を囲む部分とから構成される枠組み4は、複数本のH形鋼21を、溶接ないしボルトにより接合して形成される。H型鋼21の一方のフランジ21aは金属板2に対面し、同他方のフランジ21bは梁11又は柱12に対面して接合される。
中枠5は、複数本のL形鋼22の組み合わせから形成される。中枠5の一辺は二本のL形鋼22,22から形成される。二本のL形鋼22,22の一方のフランジ22a,22aは、ボルト23によって金属板2の表裏面にそれぞれ接合されている。一方のフランジ22a,22aによって、金属板2の縁部が挟持される。二本のL形鋼22,22の他方のフランジ22b,22bは、ボルト23によって、H形鋼21の一方のフランジ21aに接合している。
直角二等辺三角形状の火打ち板3は、直角に組み合わされた二本のL型鋼22,22の一方のフランジの端面に溶接によって接合され、さらに、ボルト23によって金属板2に接合される。
次に、図3(A)および(B)並びに図4(A)および(B)を参照して、実施形態の複合耐震パネルの機能を、比較例と対比しながら説明する。図3(A)は、一枚の金属板から構成される比較例に係る耐震パネルの機能を説明する図であり、図3(B)は、図1に示した実施形態に係る複合耐震パネルの機能を説明する図である。
[比較例:一つのX型張力場]
図3(A)を参照すると、比較例に係る耐震パネル101は、一枚の金属板102しか有さないから、耐震パネル101には一つのX型張力場106しか形成されず、吸収できる地震エネルギは小さなものとなる。加えて、金属板102の水平方向幅が広いため、枠組み104による拘束が十分に機能せず、金属板102に過大な面外変形が局所的に発生するおそれがある。
[実施形態:複数のX型張力場]
一方、図3(B)を参照すると、実施形態の複合耐震パネル1は、高剛性な間柱部4aで隔てられた2枚の金属板2,2を備えていることによって、各金属板2にX型張力場6,6が形成され、複合耐震パネル1全体としては、水平方向に隣接する二つのX型張力場6,6が形成され、吸収できる地震エネルギは大きなものとなる。これによって、複合耐震パネル1およびそれが装着される軸組み10の耐力が向上される。また、各金属板2の外周は、高剛性な枠組み4によって完全に囲まれているため、枠組み4による拘束が十分に機能して、金属板2に過大な変形が局所的に発生することが防止される。
図4(A)は、耐震パネルが装着されていない比較例に係る軸組みの破壊モードを示す図であり、図4(B)は、図1に示した実施形態に係る複合耐震パネルが装着された軸組みの破壊モードを示す図である。
[比較例:柱破壊型]
図4(A)を参照すると、比較例において、軸組み10には、耐震パネルが装着されていない。このため、過大な地震力が軸組み10に作用すると、柱12ないしそれと梁11の接合部付近にヒンジ(破壊点)17が発生し、柱破壊型の層破壊が発生するおそれがある。
[実施形態:梁破壊型]
一方、図4(B)を参照して、実施形態においては、軸組み10に複合耐震パネル1が装着されているため、大きな地震力が軸組み10に作用しても、ヒンジ(破壊点)17は梁11に発生し、柱12には発生しない。すなわち、梁破壊型の破壊が起こるため、層破壊が高度に防止される。
実施形態2
図5(A)〜(D)は、図1に示した実施形態に係る複合耐震パネルの施工例をそれぞれ示す軸組図である。
図5(A)を参照すると、複合耐震パネル1は、複合耐震パネル1の一側に開口部14を残して、軸組み10によって形成されるフレーム13内に装着されている。複合耐震パネル1は、上下の梁11,11および他側の柱12に、複数のアンカー15を介して支持されている。開口部14には、人が出入りする扉などが設置できる。
図5(B)を参照すると、複合耐震パネル1は、その両側に開口部14,14が残るよう、軸組み10によって形成されるフレーム13内に装着されている。複合耐震パネル1は、上下の梁11,11に、複数のアンカー15を介して支持されている。
図5(C)を参照すると、複合耐震パネル1は、軸組み10によって形成されるフレーム13内に、非耐力壁である間仕切り18と併設されている。複合耐震パネル1は、コンパクトな構成を有するため、他種の壁と併用することが容易である。
図5(D)を参照すると、校舎などの構造物の内廊下側において、複合耐震パネル1は、フレーム13内に開口部14を残して設置されている。
比較試験
図1に示した実施形態に係る複合耐震パネル1が装着されたRCフレーム(RC造の軸組み)に、地震力に相当する水平方向の荷重を左右から交互に印加して水平方向の変位を測定し、又、RCフレームにクラックが形成されるまで荷重を印加してクラックの位置や幅を計測した。比較のため、耐震パネルが装着されていないRCフレームに対して、同様の試験を行った。この比較試験の実験条件を下記に示し、図6並びに図7及び図8に、比較試験の結果を示す。なお、比較試験は、1/3モデルで行った。
[比較試験の実験条件]
・実験方法:静的加力試験(軸力有り)
・加力方法:想定した変形が生じるまで加力
・想定した変形(層間変形角)1/1000,1/500,1/300,1/250,1/200,1/150,1/120,1/100,1/75,1/50
・複合耐震パネル
・・金属板:PL3(厚さ3mm、幅1200mm、高さ1982mmのステンレス鋼板)
・・枠組み H形鋼の組み合わせ 柱部 H-200×200×8×12(SN400B)
梁部 H-294×200×8×12(SN400B)
・・火打ち板:PL6(厚さ6mm、等辺長200mmの直角二等辺三角形ステンレス鋼板)
・・中枠:L形鋼の組み合わせ 2L-65×65×6(SN400B)
・軸組み(フレーム) RC造
図6は、比較試験の結果を示す荷重−変位グラフである。図6を参照すると、複合耐震パネル1が装着されたRCフレームは、それが装着されていないRCフレームに対して、約2倍ないしそれ以上の耐力を示した。また、複合耐震パネル1が装着されたRCフレームにおいては、極めて稀な大地震に対応する層間変形角1/80以内で水平方向荷重の低下が見られず、少なくとも層間変形角1/80以内できわめて高い耐力と粘り強さを有することが分かった。なお、複合耐震パネル1が装着されたRCフレームの場合、右加力に対しては層間変形角が約1/42、左加力に対してはフレーム変形角が約1/75で測定不能となったが、この理由は、複合耐震パネル1やそれが装着されたRCフレームが破壊されたためではなく、変位測定用の左側の歪ゲージが測定不能となったためである。
図7は、比較試験の結果を示す図であって、図1に示した実施形態に係る複合耐震パネル1が装着されたRCフレームに形成されたクラックを示す図である。図7を参照すると、実施形態の複合耐震パネル1が装着されたRCフレームにおいては、大きなクラックは梁に形成されている。したがって、複合耐震パネル1の装着によって、梁破壊型の破壊が優先され、層破壊が高度に防止されることが分かる。
図8は、比較試験の結果を示す図であって、複合耐震パネルが装着されていないRCフレームに形成されたクラックを示す図である。図8を参照すると、複合耐震パネルが装着されていないRCフレームにおいては、大きなクラックが柱ないし柱と梁の接合部付近に集中して形成され、柱破壊型の層破壊が発生するおそれがあることが分かる。
耐震補強計算例
図1に示したような、実施形態に係る複合耐震パネル1を実際の構造物に適用した場合の有効性を計算した。対象となる構造物は、下記のとおりである。
[耐震補強の対象となる構造物]
用途:校舎
構造種別:RC造
構造形式:耐震壁付ラーメン構造
階数:地上三階
形状:内廊下を挟んで内廊下の両側に教室が配置されている
上記校舎の一階と二階において、内廊下と教室を仕切る間仕切り壁が設置されている位置に、計12枚の複合耐震パネルを装着した場合の耐震性能を計算したところ、桁行方向のIs(耐震診断指標)値は、三階で1.00、二階および一階で1.20であった。得られたIs値は、校舎に望まれるIs値0.7を優に上回っており、実施形態の複合耐震パネル1の有効性が確認された。
本発明の複合耐震パネルは、各種の軸組み、例えば、ラーメン構造や耐震壁付ラーメン構造をもった軸組みに好適に適用され、又、各種造りの構造物、例えば、RC造、RS造若しくはS造又はこれらの造りが混合された構造物に好適に適用される。また、本発明の複合耐震パネルは、構造物の室内外に設置可能であり、例えば、校舎の場合、内廊下あるいは外廊下などに設置できる。
1 複合耐震パネル
2 金属板
3 火打ち板
4 枠組み
4a 間柱部
5 中枠
6 X型張力場
6,6 複数のX型張力場
10 軸組み
11 梁
12 柱
13 フレーム
14 開口部
15 アンカー
17 ヒンジ(破壊点)
18 間仕切り(非耐力壁)
21 H形鋼
21a 一方のフランジ
21b 他方のフランジ
22 L形鋼
22a 一方のフランジ
22b 他方のフランジ
23 ボルト

Claims (6)

  1. 構造物の軸組みに装着されて該構造物の耐震性を改善する複合耐震パネルであって、
    水平方向に並置される複数の金属板と、
    前記複数の金属板がそれぞれ備える複数の隅にそれぞれ配置される複数の火打ち板と、
    前記複数の金属板にそれぞれ対角方向に延在する張力場が独立して形成されるよう前記複数の金属板の水平方向間に位置する間柱部を含み、前記複数の金属板の外周をそれぞれ囲むよう該複数の金属板を支持し、さらに前記複数の火打ち板を支持し、且つ前記軸組みの上下の梁に少なくとも支持される、枠組みと、
    を備える、ことを特徴とする複合耐震パネル。
  2. 前記複数の金属板の外周をそれぞれ囲むと共に該複数の金属板と前記枠組みとの間を接続し、さらに、前記複数の火打ち板と前記枠組みとの間を接続する、複数の中枠を備える、ことを特徴とする請求項1記載の複合耐震パネル。
  3. 前記複数の金属板は、前記複数の中枠内にそれぞれ収容され、
    前記複数の中枠は、前記枠組み内にそれぞれ収容され、
    前記枠組みは、前記軸組みによって形成される一つのフレーム内に収容される、
    ことを特徴とする請求項2記載の複合耐震パネル。
  4. 前記枠組みは複数のH形鋼の組み合わせから形成され、前記複数の中枠は複数のL形鋼の組み合わせからそれぞれ形成され、
    前記L形鋼の一方のフランジが前記金属板の縁部に接合され、該L形鋼の他方のフランジが前記H形鋼の一方のフランジに接合され、
    直角に組み合わされた二本の前記L型鋼に一枚の前記火打ち板が接合される、
    ことを特徴とする請求項2又は3記載の複合耐震パネル。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の複合耐震パネルが、構造物の軸組みによって形成される少なくとも一つのフレームに、該フレーム内に開口部を残して装着されることを特徴とする耐震構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の複合耐震パネルを、構造物の軸組みのうち少なくとも上下の梁に取り付けることを特徴とする耐震施工法。
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