JP7138513B2 - ガラス壁 - Google Patents
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以上のように、特許文献1~特許文献3による耐震壁の場合、格子及び座屈補剛材の外周部に設けられた矩形状の枠材を形成する鋼材の厚肉化や拡幅を図ると、格子及び座屈補剛材の外周部に位置する枠材が視覚的に目立つことになり、外観が損なわれてしまう、という問題があった。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のガラス壁は、柱梁架構の内部側に設けられる、複数の斜め格子状鋼材同士の間にガラス板が設置されたガラス壁であって、前記柱梁架構の内周面に沿って設置される枠組み鋼材と、前記枠組み鋼材の下面、または側面の少なくとも1面以上に設けられ、前記ガラス板を支持する補剛鋼材と、を備えており、前記補剛鋼材は、前記ガラス板毎に前記枠組み鋼材に溶接接合されていることを特徴とする。
また、ガラス壁の外周部分は、枠組み鋼材のみでなく、補剛鋼材が断続的に枠組み鋼材に溶接されて枠組み本体が形成されている。よって、本願発明の枠組み本体は、枠組み鋼材単体に比べて、曲げモーメントに対する任意断面の変形のしにくさを表わす断面二次モーメントを大きくし、ガラス板を強固に接合させたガラス壁を実現した。また、補剛鋼材を間欠的に設けることで、補剛鋼材に必要な鋼材量が少なくなるので、ガラス壁の重量増加を抑えることができる。
また、ガラス板の下側側面が、斜め格子状鋼材または補剛鋼材に接して配置され、ガラス板を隙間無く斜め格子状鋼材や補剛鋼材で支持されるために、ガラス板と斜め格子状鋼材、または補剛鋼材が溶接された枠組み鋼材を強固に接合させたガラス壁が実現できる。
以下、添付図面を参照して、本発明によるガラス壁を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係るガラス窓の概略構成を示す正面図を図1に示す。
図1に示されるように、ガラス壁10は、建物1の躯体を構成する柱梁架構2に設けられている。建物1の躯体は、水平方向に間隔をあけて設けられた複数本の柱3と、互いに隣り合う柱3間に架設された複数本の梁4と、を備えている。柱梁架構2は、建物1の躯体において、水平方向で互いに隣り合う2本の柱3と、これら2本の柱3の間に架設された上下の梁4とにより構成されている。
ここで、柱3は、柱梁架構2において上方に設けられた梁4との接合部の下側に、下方から上方に向かって水平断面積がテーパ状に拡大する鉛直ハンチ部3dを有している。また、柱3の柱脚部3bは、上方から下方に向かって水平断面積がテーパ状に拡大している。
ガラス壁10は、このような柱梁架構2の内部側に設けられる。ガラス壁10は、枠組み鋼材20と、格子部30と、ガラス板40と、補剛鋼材50と、を備えている。ガラス壁は、図1に示すように、柱梁架構の内部側のRC躯体部分の内部側に設定されている。
縦材21および横材22は、帯状に延びる金属板、いわゆるフラットバーからなり、その板面が柱梁架構2の内周面2a、2bに向くように配設する。なお、縦材21および横材22を構成する材料はフラットバーに限定されるものではなく、例えばH形鋼や溝型鋼等、適宜他の材料を用いることもできる。
柱梁架構2の内周面2a、2bには、複数本のアンカー部材5が設けられている。各アンカー部材5は、柱梁架構2の内周面2a、2bを構成する柱3の柱側面3a、梁4の梁側面4aから直交して、柱梁架構2の内部側に突出するよう設けられている。
また、枠組み鋼材20と柱梁架構2との間には、図示しない鉄筋を配設することもできる。
さらに、枠組み鋼材20と柱梁架構2との間には、無収縮モルタル6が充填されている。頭付きスタッドボルト23、アンカー部材5は、無収縮モルタル6中に定着されている。これにより、枠組み鋼材20と柱梁架構2とは、頭付きスタッドボルト23、無収縮モルタル6、及びアンカー部材5を介して、応力伝達可能な状態で接合されている。
図1~図3に示されるように、格子部30は、格子状に組まれた複数本の斜め格子状鋼材31からなる。各斜め格子状鋼材31は、枠組み鋼材20の縦材21および横材22に対して所定の角度で傾斜している。斜め格子状鋼材31には、図1、図2の紙面において左方から右方に向かって斜め上方に延びる第一斜材31aと、図1、図2の紙面において左方から右方に向かって斜め下方に延びる第二斜材31bと、が設けられている。第一斜材31a、第二斜材31bは、それぞれ、等間隔で複数本が設けられている。第一斜材31a、第二斜材31bは、それぞれ、帯状に延びる金属板、いわゆるフラットバーからなり、柱梁架構2の内側で、その板面が斜め上方または斜め下方を向くよう設けられている。第一斜材31aと第二斜材31bとは、互いに直交して斜め格子状に組まれている。第一斜材31aと第二斜材31bとは、その交差部分で互いに溶接接合されている。第一斜材31a、第二斜材31bの両端部は、枠組み鋼材20を構成する縦材21または横材22に溶接接合されている。
図3に示されるように、斜め格子状鋼材31(第一斜材31a、第二斜材31b)は、その板幅寸法W1が、枠組み鋼材20を構成する縦材21、横材22の板幅寸法W2よりも小さく設定されている。斜め格子状鋼材31は、その板幅方向の中心を、枠組み鋼材20を構成する縦材21、横材22の板幅方向の中心に合わせて配置されている。
図2に示されるように、開口32に組み込まれるガラス板40aの四辺には、所定の厚さのサッシュ枠42a、42bが設けられている。ガラス板40aにおいて、上側の二辺に設けられるサッシュ枠42aは、下側の二辺に設けられるサッシュ枠42bよりも、厚み寸法が小さく設定されている。サッシュ枠42a、42bは、それぞれ、ゴムシートおよび樹脂ライナーを積層したものからなり、ガラス板40aの各辺にそれぞれ接着剤等により接着されている。
また、各開口32において、ガラス板40aの下側の二辺は、その下側に位置する斜め格子状鋼材31(第一斜材31a、第二斜材31b)の上面に対し、前記サッシュ枠42bを介して接して配置されている。
各開口33において、ガラス板40bで上側を向く辺(短辺)と、その上側に位置する斜め格子状鋼材31(第一斜材31a、第二斜材31b)の下面との間には、隙間45bが形成されている。具体的には、各開口33の上側に位置する斜め格子状鋼材31の下面には、サッシュ枠38bが設けられている。ガラス板40bの上側を向く辺(短辺)に設けられたサッシュ枠43aと、その上側に位置する斜め格子状鋼材31の下面に設けられたサッシュ枠38bとの間に、所定寸法の隙間45bが形成されている。
補剛鋼材50は、枠組み鋼材20の下面、側面の少なくとも1面以上に設けられている。本実施形態では、補剛鋼材50は、枠組み鋼材20の下面および両側面に設けられている。図2、図3に示されるように、枠組み鋼材20の縦材21、横材22において、枠組み鋼材20の内側面20s、20tに溶接接合されている。補剛鋼材50は、枠組み鋼材20の縦材21、横材22に沿って延びる帯状の金属板、いわゆるフラットバーからなり、その板面が枠組み鋼材20の内側面20s、20tに対向するよう設けられている。補剛鋼材50は、各開口33に設けられている。すなわち、補剛鋼材50は、枠組み鋼材20を構成する縦材21、横材22において、開口33の両側に位置する第一斜材31aの端部と、第二斜材31bの端部との間に設けられている。このようにして、補剛鋼材50は、ガラス板40b毎に、枠組み鋼材20に溶接接合されている。
図3に示されるように、補剛鋼材50は、その板幅寸法W3が、斜め格子状鋼材31(第一斜材31a、第二斜材31b)の板幅寸法W1と同等とされている。補剛鋼材50は、その板幅方向の中心を、枠組み鋼材20を構成する縦材21、横材22の板幅方向の中心に合わせて配置されている。
図4に示されるように、各補剛鋼材50には、ガラス板40bの長辺をサポートするサポート部材60が設けられている。サポート部材60は、断面L字状で、鋼材または樹脂材等から形成され、補剛鋼材50に沿って延びている。サポート部材60は、ガラス板40bの両側にそれぞれ設けられ、補剛鋼材50にビス等で固定されている。ガラス板40bの両面と、サポート部材60との間には、樹脂材等からなるスペーサ61が挟み込まれている。
このようなサポート部材60により、ガラス板40bが、補剛鋼材50に対し、ガラス板40bの板厚方向に位置ズレするのを抑える。
このようなサポート部材60は、ガラス板40bの長辺に限らず、ガラス板40bの短辺や、ガラス板40aの各辺に設けることもできる。
さらに、ガラス壁10は、ガラス板40を使用しているため、外観が向上し、開放感を得ることや、採光を行うことも可能である。
このような構成によれば、ガラス板40を支持する補剛鋼材50が、枠組み鋼材20に溶接されているので、枠組み鋼材20が補剛鋼材50によって補強される。これにより、枠組み鋼材20を構成する縦材21、横材22の板厚を薄くすることが可能となる。したがって、ガラス板40を固定する枠組み鋼材20を厚肉化したり拡幅することなく、ガラス壁10の耐力を高めることができる。また、補剛鋼材50がガラス板40毎に設けられることで、ガラス板40を隙間無く強固に接合させることができる。
このような構成によれば、ガラス板40と、その上方の斜め格子状鋼材31との間に隙間45bが形成されているため、斜め格子状鋼材31が弾性変形した際には、斜め格子状鋼材31とガラス板40bとが接触して、ガラス板40bに軸力が発生するのを抑えることができる。斜め格子状鋼材31が一定以上変形した際には、ガラス板40bには、圧縮力のみが伝達され、ガラス板40bによる座屈補剛が可能となる。
次に、本発明によるガラス壁の第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態で示すガラス壁は、上記第一実施形態に対し、補剛鋼材50Bおよび枠組み鋼材20Bの構成のみが異なる。したがって、以下の説明では、補剛鋼材50Bおよび枠組み鋼材20Bの構成のみを説明し、上記第一実施形態と共通する構成については、図中に同符号を付してその説明を省略する。
本発明の第二実施形態に係るガラス窓の要部を示す斜視断面図を図5に示す。
図5に示されるように、ガラス壁10Bは、枠組み鋼材20Bと、格子部30と、ガラス板40と、補剛鋼材50Bと、を備えている。
係止材72は、枠組み鋼材20Bを構成する縦材21、横材22の延伸方向に間隔をあけて複数枚が設けられている。係止材72は、枠組み鋼材20Bを構成する縦材21、横材22から、枠組み鋼材20Bの外側に直交して突出し、縦材21、横材22の板幅方向に連続している。
ウェブ材71および係止材72は、枠組み鋼材20Bと柱梁架構2との隙間に充填された無収縮モルタル6(図1参照)に埋設されて定着されている。
各補剛鋼材50Bは、ガラス板40bの長さ方向の寸法が、ガラス板40bの長辺より小さく、枠組み鋼材20Bの縦材21、横材22の板幅方向に延びている。このようにして、補剛鋼材50Bは、ガラス板40b毎に、枠組み鋼材20Bに溶接接合されている。
このような構成によれば、補剛鋼材50Bを間欠的に設けることで、補剛鋼材50Bに必要な鋼材量が少なくなるので、ガラス壁10Bの重量増加を抑えることができる。
また、ウェブ材71および係止材72が無収縮モルタル6に定着されることで、枠組み鋼材20Bの無収縮モルタル6による定着強度が高められるため、その分、枠組み鋼材20Bの外側に設ける頭付きスタッドボルト(または後施工アンカーボルト)23の本数を低減することが可能となる。
2a、2b 内周面 40、40a、40b ガラス板
10、10B ガラス壁 45a、45b 隙間
20、20B 枠組み鋼材 50、50B 補剛鋼材
Claims (2)
- 柱梁架構の内部側に設けられる、複数の斜め格子状鋼材同士の間にガラス板が設置されたガラス壁であって、
前記柱梁架構の内周面に沿って矩形状に設置される枠組み鋼材と、
前記枠組み鋼材の下側枠面および両側枠面に溶接接合によって互いに離間して複数箇所設けられ、前記ガラス板を支持する補剛鋼材と、
前記枠組み鋼材の内部側に設けられ、前記枠組み鋼材と接合される複数の前記斜め格子状鋼材と、
前記複数の斜め格子状鋼材同士の間、及び前記複数の斜め格子状鋼材と前記補剛鋼材との間に設置される前記ガラス板と、を備えていることを特徴とするガラス壁。 - 前記ガラス板の四辺には、所定の厚さのサッシュ枠が設けられ、
前記ガラス板の上側の二辺と、その上側に位置する前記斜め格子状鋼材の下面との間に隙間が形成され、
前記ガラス板の下側の二辺は、その下側に位置する前記斜め格子状鋼材の上面に対し、前記サッシュ枠を介して支持されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス壁。
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