JP5622482B2 - 耐震壁 - Google Patents
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Description
また、第二の発明に係る耐震壁は、複数の開口部を形成する格子と、前記開口部に配設された板状部材である座屈補剛材と、前記座屈補剛材の各辺に沿って配設された圧縮伝達部材と、を備える耐震壁であって、前記格子は、傾斜した状態で軸方向に力を伝達する複数の斜材からなり、少なくとも前記座屈補剛材の上側の辺に沿って配設された前記圧縮部材と前記斜材との間に隙間が形成されることも特徴としている。
また、座屈補剛材と斜材との間に隙間が形成されているため、斜材が変形した際の補剛効果による圧縮力以外の荷重が座屈補剛材に作用することが防止される。そのため、機能的および意匠的に優れた耐震壁を従来の耐震壁と比較して安価に構築することが可能となる。
また、前記圧縮伝達部材が、前記座屈補剛材の縁部に沿って形成された係止部を備えていてもよい。
つまり、低次の座屈モードが発生すると、斜材の面外変形が座屈補剛材により拘束され、前記低次の座屈モードよりも高次の座屈モードが発生するように隙間が設定されている。
本実施形態の耐震壁1は、図1に示すように、左右に立設された柱2,2と、これらの柱2,2に横設されている上下の梁3,3とにより形成された梁柱架構4の内側空間に配設されている。
第一斜材12aおよび第二斜材12bは、互いのスリット(図示せず)同士を噛み合わせることにより格子10を構成している。
スリットは、斜材12同士の交差部に形成された凹字状の溝であって、斜材12の板厚と同じ幅で、かつ、斜材12の幅(壁厚方向の長さ)の半分程度の深さに形成されている。
また、格子10は、斜材12の両端を、枠材30の内面に溶接接合することにより、枠材30に一体に固定されている。
なお、圧縮伝達部材40は必要に応じて配設すればよく、省略してもよい。また、圧縮伝達部材40を構成する材料は限定されるものではない。
緩衝弾性材41は、斜材12と座屈補剛材20(圧縮伝達部材40)とが接触する際の衝撃等を吸収することが可能な強度と板厚を備えつつ、座屈補剛材20による斜材12の補剛機能を妨げることがないように構成されている。
なお、緩衝弾性材41は、必要に応じて配設すればよく、省略してもよい。
隙間21の高さdは、地震時に生じた斜材12の低次の座屈モードを高次の座屈モードに移行させることが可能な範囲に設定されている。本実施形態では、隙間21の範囲を斜材12の長さに対して1/300〜1/100の範囲に設定するが、隙間21の高さdはこれに限定されるものではない。
係止部材51の他方の片は、斜材12に突き合わせられた状態で、留具52により斜材12に固定されている。
緩衝材53を構成する材料は、緩衝材53の形状寸法等は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
枠材30は、格子10の外周囲を覆うように形成されており、斜材12,12と枠材30との間に三角形状の開口部11’が形成されている。
ここで、取り付けに使用する充填材6は、格子10と梁柱架構4の一体化が可能であれば、モルタルに限定されるものではない。また、格子10の梁柱架構4への取り付け方法は限定されるものではなく、例えば摩擦工法等を採用してもよい。
また、格子材10は、斜材12同士を接合することにより形成されているため、耐震壁1に引張力が作用した場合であっても、斜材12により受け持つことを可能としている。
つまり、耐震壁1は、斜材12が座屈することを許容しつつ、座屈がある程度進行した時点で高次の座屈モードに移行させることにより耐震壁としての耐力を維持している。
また、斜材12として、比較的肉厚の薄いフラットバーを採用しているため、景観性に優れている。
本実証実験では、座屈補剛材20により両側から挟まれた圧縮鋼材10’(斜材12)に対して圧縮力を作用させた際の変位を測定することにより、耐震壁1の実用性について検証した。
また、圧縮鋼材10’と台座M4との間にも回転支承M3が介設されている。
載荷試験装置Mは、圧縮鋼材10’の両端に対応して回転支承M3,M3が配設されているため、圧縮鋼材10’に対して、軸方向への圧縮力が作用する。
座屈補剛材20の設置は、取付ガイド50を介して、上側の辺と枠鋼材60との間および圧縮鋼材10’側の辺と圧縮鋼材10’との間に隙間21を有した状態で行う(図2(a)参照)。
なお、本実証実験では、試験体1’の圧縮鋼材10’と座屈補剛材20との隙間21を2mmにした場合(試験I)と、4mmにした場合(試験II)の2種類の実験を行った。
なお、図4において、Kcalは圧縮鋼材10’の弾性剛性計算値、Pyは式1により算出された圧縮鋼材10’の降伏耐力、Peは式2により算出された圧縮鋼材10’の座屈耐力である。
sA :圧縮鋼材の断面積
sσy:圧縮鋼材の降伏点(引張試験結果:本実験では298N/mm2を使用)
Pe=sA×sσcr … 式2
sσcr:座屈応力度(式3により算出)
sσcr={1−0.4×(λ/Λ)2×sσy} … 式3
λ:細長比(本実験では91)
Λ:限界細長比(本実験では107)
なお、試験Iでは、座屈補剛材20の上辺の隙間21がなくなった時点(−4mm付近)で上下方向の圧縮力が座屈補剛材20にも分散されている。
つまり、フラットバーにより構成された格子10に座屈が生じた場合であっても、ガラス板からなる座屈補剛材20が座屈を拘束して高次の座屈モードに移行させるため、耐震壁1の耐力を維持することが可能であることが実証された。
例えば、耐震壁は、新築の建物に採用してもよいし、既存の建物に採用してもよい。
10 格子
11 開口部
12 斜材
20 座屈補剛材
21 隙間
40 圧縮伝達部材
42 係止部
Claims (4)
- 複数の開口部を形成する格子と、
前記開口部に配設された座屈補剛材と、を備える耐震壁であって、
前記格子は、傾斜した状態で軸方向に力を伝達する複数の斜材からなり、
少なくとも前記座屈補剛材の上側の辺と前記斜材の下面との間に隙間が形成され、
前記隙間は、前記斜材に座屈が生じた際に、前記斜材が前記座屈補剛材に当接して低次の座屈モードから高次の座屈モードに移行する範囲に設定されることを特徴とする、耐震壁。 - 複数の開口部を形成する格子と、
前記開口部に配設された板状部材である座屈補剛材と、
前記座屈補剛材の各辺に沿って配設された圧縮伝達部材と、を備える耐震壁であって、
前記格子は、傾斜した状態で軸方向に力を伝達する複数の斜材からなり、
少なくとも前記座屈補剛材の上側の辺に沿って配設された前記圧縮伝達部材と前記斜材との間に隙間が形成されていることを特徴とする、耐震壁。 - 前記座屈補剛材は、矩形状のガラス板で構成されるとともに、
前記斜材は鋼製であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の耐震壁。 - 前記圧縮伝達部材が、前記座屈補剛材の縁部に沿って形成された係止部を備えていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の耐震壁。
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