JP5622482B2 - 耐震壁 - Google Patents

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Description

本発明は、新築または既存の建物に配設される耐震壁に関する。
建物の耐震性を向上させることを目的として、柱と梁から形成される既設梁柱架構の内側空間に、現場打ち鉄筋コンクリート耐震壁を配置する場合がある。
ところが、鉄筋コンクリート耐震壁は、梁柱架構の内側空間をコンクリートにより塞いでしまうため、採光性を確保することができず、意匠的な設計等の自由度が制限されてしまう場合があった。
そのため、特許文献1には、梁柱架構の内周面に沿って形成された矩形状の周辺枠組み鉄骨と、この周辺枠組み鉄骨内においてフラットバーを組み合わせることにより形成された格子と、格子の開口部に組み込まれて座屈補剛材として機能するガラスブロックと、を備えてなる耐震壁が開示されている。
特開2006−257654号公報
ところが、特許文献1に記載の耐震壁は、座屈補剛材たるガラスブロックの全周を格子に取り付けているため、格子に変位が生じた際に、ガラスブロックに対して圧縮力以外の力が大きく作用するおそれがあった。そのため、圧縮力以外の力によりガラスブロックが破損することのないように、十分な耐力を備えたガラス素材を採用する必要があり、材料費が嵩む場合があった。
本発明は、前記の問題点を解決するものであり、経済的に構築することが可能な耐震壁を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、第一の発明に係る耐震壁は、複数の開口部を形成する格子と、前記開口部に配設された座屈補剛材と、を備える耐震壁であって、前記格子は、傾斜した状態で軸方向に力を伝達する複数の斜材からなり、少なくとも前記座屈補剛材の上側の辺と前記斜材の下面との間に隙間が形成され、前記隙間は、前記斜材に座屈が生じた際に、前記斜材が前記座屈補剛材に当接して低次の座屈モードから高次の座屈モードに移行する範囲に設定されることを特徴としている。
また、第二の発明に係る耐震壁は、複数の開口部を形成する格子と、前記開口部に配設された板状部材である座屈補剛材と、前記座屈補剛材の各辺に沿って配設された圧縮伝達部材と、を備える耐震壁であって、前記格子は、傾斜した状態で軸方向に力を伝達する複数の斜材からなり、少なくとも前記座屈補剛材の上側の辺に沿って配設された前記圧縮部材と前記斜材との間に隙間が形成されることも特徴としている。
かかる耐震壁によれば、斜材に座屈が生じた場合に、座屈補剛材が斜材に当接することにより斜材の面外変形が拘束されるようになるので、耐震壁としての耐力を維持することができる。
また、座屈補剛材と斜材との間に隙間が形成されているため、斜材が変形した際の補剛効果による圧縮力以外の荷重が座屈補剛材に作用することが防止される。そのため、機能的および意匠的に優れた耐震壁を従来の耐震壁と比較して安価に構築することが可能となる。
前記耐震壁において、前記座屈補剛材は、矩形状のガラス板で構成されるとともに、前記斜材は鋼製であることを特徴としている。
また、前記圧縮伝達部材が、前記座屈補剛材の縁部に沿って形成された係止部を備えていてもよい。
かかる耐震壁は、斜材と板状部材との間に圧縮伝達部材が介設されているため、板状部材が斜材に接触することがないので、板状部材の縁部への応力集中を避けることができる。
また、前記圧縮伝達部材が、縦断性係数が300N/mm以上の材料からなれば、斜材に座屈が生じた際に、圧縮力を座屈補剛材に伝達するため、座屈モードを高次の座屈モードに移行させて耐震壁の耐力を維持することができる。
前記隙間が、地震時に前記斜材に生じた低次の座屈モードを高次の座屈モードに移行させることが可能な範囲に設定されているため、斜材に座屈が発生した後も耐震壁の耐力を維持することが可能となる。
つまり、低次の座屈モードが発生すると、斜材の面外変形が座屈補剛材により拘束され、前記低次の座屈モードよりも高次の座屈モードが発生するように隙間が設定されている。
本発明によれば、機能的および意匠的に優れた耐震壁を経済的に構築することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る耐震壁を示す正断面図である。 (a)は図1に示す耐震壁の一部分を示す拡大断面図、(b)は圧縮伝達部材の一例を示す拡大断面図である。 実証実験モデルを示す正面図である。 本実施形態の実証実験結果であって、(a)は試験Iの荷重と変位の関係を示すグラフ、(b)は試験IIの荷重と変位の関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は座屈モードを示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の耐震壁1は、図1に示すように、左右に立設された柱2,2と、これらの柱2,2に横設されている上下の梁3,3とにより形成された梁柱架構4の内側空間に配設されている。
耐震壁1は、複数の開口部11,11,…を有する格子10と、これらの開口部11,11,…を閉塞するように配設された座屈補剛材20,20,…と、梁柱架構4の内周面に沿って形成された枠材30とを備えている。
格子10は、傾斜した状態で軸方向に力を伝達する複数の斜材12,12,…により構成されている。
斜材12は、いわゆるフラットバーからなり、その板面が梁柱架構4の内周面に向くように配設されているとともに、両端が枠材30に固定されている。
斜材12には、梁3に対して45°の角度で配設された第一斜材12aと、梁3に対して135°の角度で配設され、第一斜材12aと直交する第二斜材12bが存在している。なお、第一斜材12aおよび第二斜材12bの傾斜角は限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
複数の第一斜材12a,12a,…および複数の第二斜材12b,12b,…は、それぞれ等間隔で配設されている。
第一斜材12aおよび第二斜材12bは、互いのスリット(図示せず)同士を噛み合わせることにより格子10を構成している。
スリットは、斜材12同士の交差部に形成された凹字状の溝であって、斜材12の板厚と同じ幅で、かつ、斜材12の幅(壁厚方向の長さ)の半分程度の深さに形成されている。
斜材12同士は、その噛み合わせ部分(交差部分)において溶接接合されている。
また、格子10は、斜材12の両端を、枠材30の内面に溶接接合することにより、枠材30に一体に固定されている。
なお、格子10の形成方法は限定されるものではなく、例えば、第一斜材12a同士の間に分割された第二斜材12bを配置することにより形成してもよいし、分割された第一斜材12aおよび第二斜材12bを接合することにより形成してもよい。また、格子10を構成する斜材12の本数は限定されるものではなく、耐震壁1に要求される耐力や斜材12の断面寸法等に応じて適宜設定すればよい。
第一斜材12aと第二斜材12bとを交差するように組み合わせることで、同一寸法の正方形の開口部11が複数形成される。また、格子10の周縁部には、直角二等辺三角形の開口部11’が形成されている。開口部11’は、第一斜材12aと第二斜材12bと枠材30とにより囲まれることで形成される。
なお、開口部11の形状は、正方形に限定されるものではなく、例えば長方形に形成されていてもよいし、また、位置に応じて異なる寸法に形成されていてもよい。また、開口部11の数は限定されるものではない。
座屈補剛材20は、矩形状のガラス板(板状部材)で構成されている。本実施形態では、いわゆる強化ガラスを採用している。なお、開口部11’に配設される座屈補剛材20は、開口部11’の形状に応じて直角二等辺三角形のガラス板で構成されている。
座屈補剛材20は、格子10の各開口部11(11’)に配設される。すなわち、斜材12を挟んで両側に座屈補剛材20が配置されている。また、座屈補剛材20は、斜材12の幅方向中央(耐震壁1の前後方向中央)に沿って配置される。
座屈補剛材20の四辺には、圧縮伝達部材40が各辺に沿って配設されている(図2(a)参照)。また、圧縮伝達部材40と座屈補剛材20との間には、緩衝弾性材41が介設されている。
ガラス板により構成された座屈補剛材20が、鋼製の斜材12に直に接触するとガラス板の縁部に局所的な応力が作用する場合があるが、圧縮伝達部材40を介設すると、応力集中を緩和することができる。また、圧縮伝達部材40は、斜材12が座屈した際の圧縮力を座屈補剛材20に伝達する。
圧縮伝達部材40は、座屈補剛材20の辺よりもわずかに短い長さの樹脂製の板材であって、座屈補剛材20の角部(正面視した際の両端部)以外の辺(端面)に対して配置されている。本実施形態の圧縮伝達部材40は、縦断性係数が300N/mm以上の材料により構成されている。
なお、圧縮伝達部材40は必要に応じて配設すればよく、省略してもよい。また、圧縮伝達部材40を構成する材料は限定されるものではない。
また、圧縮伝達部材40は板状の部材に限定されるものではない。例えば、図2(b)に示す圧縮伝達部材40’のように、座屈補剛材20の前面および後面の縁部に沿った係止部42,42を有していることで、断面視コ字状に形成されていてもよい。圧縮伝達部材40’によれば、座屈補剛材20の縁部(端部)を覆うことで、より効果的にガラス板の縁部に局所的な応力が集中することを緩和することができる。
緩衝弾性材41は、座屈補剛材20と圧縮伝達部材40との間に介設された緩衝材であって、ゴム板等の比較的柔らかい材質の弾性材により構成されている。
緩衝弾性材41は、斜材12と座屈補剛材20(圧縮伝達部材40)とが接触する際の衝撃等を吸収することが可能な強度と板厚を備えつつ、座屈補剛材20による斜材12の補剛機能を妨げることがないように構成されている。
なお、緩衝弾性材41は、必要に応じて配設すればよく、省略してもよい。
座屈補剛材20の上側の辺と斜材12の下面との間には、隙間21が形成されている。
隙間21の高さdは、地震時に生じた斜材12の低次の座屈モードを高次の座屈モードに移行させることが可能な範囲に設定されている。本実施形態では、隙間21の範囲を斜材12の長さに対して1/300〜1/100の範囲に設定するが、隙間21の高さdはこれに限定されるものではない。
本実施形態では、座屈補剛材20の上側の2辺に上載された圧縮伝達部材40と斜材12との間に隙間21を形成した場合について説明したが、斜材12の下面に圧縮伝達部材40を取り付け、圧縮伝達部材40と座屈補剛材20との間に隙間を形成してもよい。
座屈補剛材20の下側の2辺は、斜材12の上面に圧縮伝達部材40を介して載置されている。つまり、座屈補剛材20のV字状の2辺は当該2辺の下側に配設された斜材12によって支持されている。
座屈補剛材20は、図2(a)に示すように、取付ガイド50を介して前後(面外方向)に抜け出すことがないように配設されている。
取付ガイド50は、L字状を呈する前後一対の係止部材51と、係止部材51を斜材12に固定する留具52とを備えて構成されている。
係止部材51は、座屈補剛材20に面する一方の片が隙間21の高さdよりも大きな高さを有して構成されており、座屈補剛材20の前後方向のズレを防止している。
係止部材51の他方の片は、斜材12に突き合わせられた状態で、留具52により斜材12に固定されている。
留具52は、ボルト52aとナット52bとにより構成されている。ボルト52aは、斜材12の上下に配設された係止部材51,51の他方の片に形成されたボルト孔と、斜材12に形成されたボルト孔を貫通し、ナット52bはボルト52aの先端に螺着される。
係止部材51と、座屈補剛材20との間には、緩衝材53が介設されており、座屈補剛材20のがたつきを抑えるとともに、座屈補剛材20に圧縮力以外の力、例えば面外方向(耐震壁1の前後方向)に作用する力等、が作用することを防止している。
緩衝材53は、樹脂等により構成されており、開口部11内における座屈補剛材20の面外方向(耐震壁1の前後方向)への移動を抑制し、かつ、面内方向(図1において上下左右)への移動を制限することがないように構成されている。
緩衝材53を構成する材料は、緩衝材53の形状寸法等は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
取付ガイド50の構成は前記の構成に限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。また、取付ガイド50は、座屈補剛材20の全周を覆うように配置されていてもよいし、部分的に座屈補剛材20を係止するように構成されていてもよい。
枠材30は、図1に示すように、梁柱架構4の内面に隙間を有して形成された正面視矩形状の部材である。
枠材30は、左右の柱2,2の内面に沿って配設された左右の縦材31,31と、上下の梁3,3の内面に沿って配設された上下の横材32,32と、により形成されている。
縦材31および横材32は、いわゆるフラットバーをその板面が梁柱架構4の内周面に向くように配設する。なお、縦材31および横材32を構成する材料はフラットバーに限定されるものではなく、例えばH形鋼や溝型鋼等を使用するなど、適宜材料を選定して使用すればよい。
枠材30は、格子10の外周囲を覆うように形成されており、斜材12,12と枠材30との間に三角形状の開口部11’が形成されている。
枠材30の外周囲には、アンカー33,33,…が突設されている。(アンカー33は、柱2または梁3と枠材30との間の隙間に配設される。)また、柱2および梁3にも、アンカー5,5,…が植設されている。
耐震壁1は、枠材30の外周囲と梁柱架構4との隙間に充填されたモルタル等の充填材6にアンカー33,33,…が定着することで、梁柱架構4に固定される。
ここで、取り付けに使用する充填材6は、格子10と梁柱架構4の一体化が可能であれば、モルタルに限定されるものではない。また、格子10の梁柱架構4への取り付け方法は限定されるものではなく、例えば摩擦工法等を採用してもよい。
このように、耐震壁1は、梁柱架構4の内側空間において、斜材12が斜めに連続するように配設されているため、建物に作用する外力に対して梁柱架構4の耐力や剛性が増強する。
また、格子材10は、斜材12同士を接合することにより形成されているため、耐震壁1に引張力が作用した場合であっても、斜材12により受け持つことを可能としている。
耐震壁1の主材として、フラットバーからなる斜材12と、ガラス板からなる座屈補剛材20を採用することで、鋼材量を大幅に削減することが可能となるため、経済的に耐震壁1を構築することができる。
フラットバーからなる斜材12,12,…を組み合わせてなる格子10の開口部11に、座屈補剛材20を配置しているため、斜材12の座屈が制御されて、耐震壁1としての耐力を維持することができる。
また、座屈補剛材20の上側の2辺と斜材12の下面との間には、隙間21が形成されているため、座屈補剛材20に対して圧縮力以外に力が作用することが防止されている。そのため、比較的曲げ耐力の弱い座屈補剛材20(ガラス板)による座屈補剛が可能となる。また、座屈補剛材20に対して補強を行う必要もない。
また、隙間21は、地震時に生じた斜材12の低次の座屈モードを高次の座屈モードに移行させることが可能な範囲に設定されているため、斜材12に座屈が生じた場合であっても、耐震壁1としての耐力を維持することが可能である。
つまり、耐震壁1は、斜材12が座屈することを許容しつつ、座屈がある程度進行した時点で高次の座屈モードに移行させることにより耐震壁としての耐力を維持している。
座屈補剛材20としてガラス板を使用しているため、景観性に優れ、また、採光も可能である。
また、斜材12として、比較的肉厚の薄いフラットバーを採用しているため、景観性に優れている。
また、圧縮伝達部材40が、縦断性係数が300N/mm以上の材料により構成されているため、斜材12に座屈が生じて、圧縮伝達部材40に圧縮力が作用した際に、座屈補剛材20に当該圧縮力を伝達し、座屈モードを高次の座屈モードに移行させることが可能となる。そのため、斜材12に座屈が生じた後でも、耐震壁1としての耐力を維持することができる。なお、圧縮伝達部材40の縦断性係数が小さすぎる(柔らかい)と、圧縮力を吸収してしまい、座屈補剛効果が得られない場合がある。
以下、本実施形態に係る耐震壁1について、実施した実証実験を示す。
本実証実験では、座屈補剛材20により両側から挟まれた圧縮鋼材10’(斜材12)に対して圧縮力を作用させた際の変位を測定することにより、耐震壁1の実用性について検証した。
本実証実験で使用した試験体1’(耐震壁1)は、図3に示すように、圧縮鋼材10’と、圧縮鋼材10’を両側から挟むように配設された座屈補剛材20,20と、圧縮鋼材10’と座屈補剛材20,20の外周囲を覆う枠鋼材60と、により構成されている。
試験体1’は、圧縮鋼材10’に圧縮力が作用するように、載荷試験装置Mに、圧縮鋼材10’が垂直になるように配置する。
加圧板M1と圧縮鋼材10’との間には、ロードセルM2と回転支承M3が介設されていて、加圧板M1からの圧縮力が、圧縮鋼材10’に集中的に作用するように構成されている。
また、圧縮鋼材10’と台座M4との間にも回転支承M3が介設されている。
圧縮鋼材10’には、断面寸法が16×120mmのフラットバーを使用する。
載荷試験装置Mは、圧縮鋼材10’の両端に対応して回転支承M3,M3が配設されているため、圧縮鋼材10’に対して、軸方向への圧縮力が作用する。
座屈補剛材20には、15mm厚の正方形状の強化ガラス板を使用した。
座屈補剛材20の設置は、取付ガイド50を介して、上側の辺と枠鋼材60との間および圧縮鋼材10’側の辺と圧縮鋼材10’との間に隙間21を有した状態で行う(図2(a)参照)。
枠鋼材60は、圧縮鋼材10’と同じ断面寸法のフラットバーからなる縦材61,61と横材62,62とを組み合わせることにより矩形状に形成されている。上下の横材62,62の中間部には、圧縮鋼材10’が立設されている。なお、圧縮鋼材10’と横材62,62とは、溶接接合されている。
本実証実験では、加圧板M1により、試験体1’(圧縮鋼材10’)に対して下方向の圧縮力を作用させ、圧縮鋼材10’に設置されたセンサーにより荷重を測定するとともに、試験体1’の高さ方向の変位を測定した。
なお、本実証実験では、試験体1’の圧縮鋼材10’と座屈補剛材20との隙間21を2mmにした場合(試験I)と、4mmにした場合(試験II)の2種類の実験を行った。
試験Iおよび試験IIの結果を、それぞれ図4(a)および(b)に示す。なお、図4(a)および(b)では、縦軸に荷重の大きさ、横軸に高さ方向の変位量を示す。
なお、図4において、Kcalは圧縮鋼材10’の弾性剛性計算値、Pは式1により算出された圧縮鋼材10’の降伏耐力、Pは式2により算出された圧縮鋼材10’の座屈耐力である。
A×σ … 式1
:圧縮鋼材の断面積
σ:圧縮鋼材の降伏点(引張試験結果:本実験では298N/mmを使用)
A×σcr … 式2
σcr:座屈応力度(式3により算出)
σcr={1−0.4×(λ/Λ)×σ} … 式3
λ:細長比(本実験では91)
Λ:限界細長比(本実験では107)
図4(a)に示すように、圧縮鋼材10’に圧縮力を作用させると、弾性剛性計算値Kcalに沿って荷重が増加する。その後、圧縮鋼材10’の座屈耐力Pを超えるまで荷重が増加し、450kN程度まで達した後(B1)、一旦低下する。そして、430kN程度まで低下した後(C1)増加に転じる。これは、グラフ中のB1において圧縮鋼材10’が1次座屈(図5(a))したものの、C1において圧縮鋼材10’が座屈補剛材20に当接し、さらなる荷重低下が阻止されたことを意味する。
C1で増加に転じた後、荷重が480kN付近に達すると(B2)、再び荷重が低下する。これは、B2において、2次座屈が発生したことを意味する。そして、C2において圧縮鋼材10’が座屈補剛材20に当接し、荷重が増加に転じる。
なお、試験Iでは、座屈補剛材20の上辺の隙間21がなくなった時点(−4mm付近)で上下方向の圧縮力が座屈補剛材20にも分散されている。
試験IIでは、座屈補剛材20の上辺の隙間21の高さdを大きくすることで、上下方向の圧縮力(載荷試験装置Mによる圧縮力)が、座屈補剛材20に直接作用することを防止した状態とした。
図4(b)に示すように、試験IIでは、圧縮鋼材10’に1次座屈B1,2次座屈B2,3次座屈B3…(図5(a)〜(c))が生じた場合であっても、グラフ中のC1,C2,C3において圧縮鋼材10’が座屈補剛材20に当接し、高次の座屈モードに移行することが実証された。
以上の結果により、本実施形態の耐震壁1は、斜材12に座屈が生じた場合であっても、斜材12を挟む座屈補剛材20,20により座屈を制御して、高次の座屈モードに移行させることが可能となる。
つまり、フラットバーにより構成された格子10に座屈が生じた場合であっても、ガラス板からなる座屈補剛材20が座屈を拘束して高次の座屈モードに移行させるため、耐震壁1の耐力を維持することが可能であることが実証された。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、耐震壁は、新築の建物に採用してもよいし、既存の建物に採用してもよい。
また、前記実施形態では、梁柱架構4内に耐震壁1を構築する場合について説明したが、本発明の耐震壁の設置箇所は限定されるものでない。
また、前記実施形態では、座屈補剛材としてガラス板を採用した場合について説明したが、座屈補剛材を構成する材料は限定されるものではない。例えば、鋼板や木板またはアクリルやポリカーボネート等の樹脂性の板材等を使用してもよい。
1 耐震壁
10 格子
11 開口部
12 斜材
20 座屈補剛材
21 隙間
40 圧縮伝達部材
42 係止部

Claims (4)

  1. 複数の開口部を形成する格子と、
    前記開口部に配設された座屈補剛材と、を備える耐震壁であって、
    前記格子は、傾斜した状態で軸方向に力を伝達する複数の斜材からなり、
    少なくとも前記座屈補剛材の上側の辺と前記斜材の下面との間に隙間が形成され、
    前記隙間は、前記斜材に座屈が生じた際に、前記斜材が前記座屈補剛材に当接して低次の座屈モードから高次の座屈モードに移行する範囲に設定されることを特徴とする、耐震壁。
  2. 複数の開口部を形成する格子と、
    前記開口部に配設された板状部材である座屈補剛材と、
    前記座屈補剛材の各辺に沿って配設された圧縮伝達部材と、を備える耐震壁であって、
    前記格子は、傾斜した状態で軸方向に力を伝達する複数の斜材からなり、
    少なくとも前記座屈補剛材の上側の辺に沿って配設された前記圧縮伝達部材と前記斜材との間に隙間が形成されていることを特徴とする、耐震壁。
  3. 前記座屈補剛材は、矩形状のガラス板で構成されるとともに、
    前記斜材は鋼製であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の耐震壁
  4. 前記圧縮伝達部材が、前記座屈補剛材の縁部に沿って形成された係止部を備えていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の耐震壁。
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