JP2014183841A - 植物自動収穫機、植物自動収穫プログラムおよび植物自動収穫方法 - Google Patents

植物自動収穫機、植物自動収穫プログラムおよび植物自動収穫方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圃場内を自律的に走行しながらアスパラガスや菊等の植物を自動的に収穫し、収穫コストの低減や収穫効率の向上を実現するとともに、農業従事者の高齢化や人手不足等による生産量の低下を防止することができる植物自動収穫機、植物自動収穫プログラムおよび植物自動収穫方法を提供する。
【解決手段】圃場内の植物を自動的に収穫する植物自動収穫機1であって、圃場における自己位置を推定する自己位置推定部102と、自己位置及び複数枚の植物画像に基づいて植物の位置情報を含む育成マップを作成する育成マップ作成部103とを有し、育成マップ作成部103は、植物画像から植物の三次元形状を再構成するとともに当該植物を曲線分で近似し、当該曲線分の先端部および基端部のカメラ座標系における位置情報を算出し、当該カメラ座標系における位置情報から変換した圃場座標系における位置情報を前記植物の位置情報として前記育成マップに登録する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、植物の収穫技術に関し、特に、アスパラガスや菊等の収穫に手間のかかる植物を人手によらず自動的に収穫するのに好適な植物自動収穫機、植物自動収穫プログラムおよび植物自動収穫方法に関するものである。
従来、アスパラガスや菊等の植物は、商品としての性質上、育成具合を観察して一本一本人手により収穫されているため、手間も時間もかかり人件費が高くなるという問題がある。特にアスパラガスは早朝に短時間で収穫しなければ商品価値が落ちるため重労働である。また、一つの株の中でもアスパラガスによってそれぞれ成長度合いが異なり、その日に収穫できるものと翌日以降に収穫すべきものとをその都度選別して収穫作業を進めなければならず、自動化が極めて難しい作物である。さらに、農業従事者の高齢化や人手不足等により生産量や収穫量の低下も懸念されている。そこで、アスパラガスを自動的に収穫する技術として、例えば、特許第5023259号公報には、アスパラガスが所定長さに成長したものを自動的に判別して切断するためのアスパラガス切断可否自動判定装置が提案されている(特許文献1)。
特許第5023259号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、畝に沿ってレールを敷設しなければならないため、広大な圃場には適用が困難である。また、当該レールの施工に時間やコストがかかるため、現実的には一般的な農家が導入することも難しく、産業的な実用化には課題が多い。さらに、特許文献1に係る装置は、一定距離ごとに停止する間欠移動式であるため、連続的に収穫することができず、作業効率が低いという問題もある。
一方、上述したようにアスパラガス等の植物は、一つの株に密集して育っているところ、個々のアスパラガスによって育成度合いに差があるため、すべてを同時に収穫することはできない。したがって、アスパラガスのような植物を自動的に収穫する機械としては収穫できる程度に成長したものと未だ成長の乏しいものとを精度良く選別し、収穫してもよいアスパラガスだけを適切に収穫できることが求められている。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、圃場内を自律的に走行しながらアスパラガスや菊等の植物を自動的に収穫し、収穫コストの低減や収穫効率の向上を実現するとともに、農業従事者の高齢化や人手不足等による生産量の低下を防止することができる植物自動収穫機、植物自動収穫プログラムおよび植物自動収穫方法を提供することを目的としている。
本発明に係る植物自動収穫機は、圃場内の植物を自動的に収穫する植物自動収穫機であって、前記圃場における自己位置を推定する自己位置推定部と、前記自己位置推定部により推定された自己位置および前記植物を異なる方向から撮影した複数枚の植物画像に基づいて、前記植物の位置情報を含む育成マップを作成する育成マップ作成部と、前記育成マップ作成部により作成された育成マップに基づいて、前記植物ごとに収穫手段による収穫位置が設定された収穫経路計画を作成する収穫経路計画作成部と、前記収穫経路計画作成部により作成された収穫経路計画に基づいて、前記収穫手段を前記収穫位置に移動させる収穫手段制御部とを有する。
また、本発明の一態様として、前記育成マップ作成部は、前記複数枚の植物画像から前記植物の三次元形状を再構成するとともに当該植物を曲線分で近似し、当該曲線分の先端部および基端部のカメラ座標系における位置情報を算出し、当該カメラ座標系における位置情報から変換した圃場座標系における位置情報を前記植物の位置情報として前記育成マップに登録してもよい。
さらに、本発明の一態様として、収穫経路計画作成部は、前記育成マップ作成部により近似された前記植物の曲線分の長さが所定値以上である場合、前記収穫経路計画に対して収穫位置を設定するとともに、前記曲線分の長さが所定値よりも小さい場合、前記収穫経路計画に対して前記収穫手段が当該植物と接触しない退避位置を設定してもよい。
また、本発明の一態様として、前記収穫手段は、前記植物を切断する切断カッターと、この切断カッターにより切断された植物を両側から狭持して搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトを回転させるベルト駆動モータとを有しており、前記収穫手段制御部は、前記搬送ベルトによる搬送速度の水平成分が、前記植物自動収穫機の移動速度と一致するように前記ベルト駆動モータの回転数を制御してもよい。
さらに、本発明の一態様として、前記収穫手段は、前記植物を両側から狭持して搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトの終端部下方に設けられ前記植物を緩衝しつつ滑り落とす緩衝シュートとを有しており、前記搬送ベルトは、一方の終端部が他方の終端部よりも短く形成されているとともに、前記緩衝シュートの滑落面は、前記搬送ベルトの終端部から前記植物の排出方向に向けて斜め上向きに傾斜されていてもよい。
また、本発明の一態様として、前記緩衝シュートは、平面視において、前記緩衝シュートの滑落方向が前記植物の排出方向と略垂直となるように配置されていてもよい。
さらに、本発明の一態様として、前記自己位置推定部は、前記圃場に配置されたランドマークを異なる方向から撮影した一対のランドマーク画像に基づいて、前記圃場における自己位置を推定するものでもよく、前記ランドマークが熱源ランドマークである場合、前記自己位置推定部は、前記植物自動収穫機に設けられたサーモグラフィカメラから一対のランドマーク画像を取得して前記熱源ランドマークを検出し、当該熱源ランドマークのカメラ座標系における位置情報を算出して圃場座標系における位置情報へ変換し、当該圃場座標系における位置情報に基づいて自己位置を推定してもよい。
また、本発明の一態様として、前記熱源ランドマークは、温度を制御する温度コントローラと、この温度コントローラと前記熱源ランドマークとの接続を切り替えるスイッチャーと、このスイッチャーおよび前記温度コントローラを制御するランドマーク制御手段とによって温度制御されており、前記自己位置推定部により推定された自己位置に基づいて、発熱させる前記熱源ランドマークを決定し、前記ランドマーク制御手段へ指示するランドマーク制御部を有していてもよい。
また、本発明に係る植物自動収穫プログラムは、圃場内の植物を自動的に収穫する植物自動収穫プログラムであって、前記圃場における自己位置を推定する自己位置推定部と、前記自己位置推定部により推定された自己位置および前記植物を異なる方向から撮影した複数枚の植物画像に基づいて、前記植物の位置情報を含む育成マップを作成する育成マップ作成部と、前記育成マップ作成部により作成された育成マップに基づいて、前記植物ごとに収穫手段による収穫位置が設定された収穫経路計画を作成する収穫経路計画作成部と、前記収穫経路計画作成部により作成された収穫経路計画に基づいて、前記収穫手段を前記収穫位置に移動させる収穫手段制御部としてコンピュータを機能させる。
さらに、本発明に係る植物自動収穫方法は、圃場内の植物を自動的に収穫する植物自動収穫方法であって、前記圃場における自己位置を推定する自己位置推定ステップと、前記自己位置推定ステップにおいて推定された自己位置および前記植物を異なる方向から撮影した複数枚の植物画像に基づいて、前記植物の位置情報を含む育成マップを作成する育成マップ作成ステップと、前記育成マップ作成ステップにおいて作成された育成マップに基づいて、前記植物ごとに収穫手段による収穫位置が設定された収穫経路計画を作成する収穫経路計画作成ステップと、前記収穫経路計画作成ステップにおいて作成された収穫経路計画に基づいて、前記収穫手段を前記収穫位置に移動させる収穫手段制御ステップとを有している。
本発明によれば、圃場内を自律的に走行しながらアスパラガスや菊等の植物を自動的に収穫し、収穫コストの低減や収穫効率の向上を実現するとともに、農業従事者の高齢化や人手不足等による生産量の低下を防止することができる。
本発明に係る植物自動収穫機の一実施形態を前方から見た斜視図である。 本実施形態の植物自動収穫機を示す全体ブロック図である。 本実施形態の収穫手段を示す(a)平面図および(b)側面図である。 本実施形態において、収穫手段を移動させる機構を示す斜視図である。 本実施形態において、熱源ランドマークの制御に係る構成を示すブロック図である。 本実施形態において、植物撮像手段の配置状態を示す斜視図である。 本実施形態において、圃場に熱源ランドマークを配置した状態を示す平面図である。 本実施形態の植物自動収穫機、植物自動収穫プログラムおよび植物自動収穫方法により植物を収穫する際のフローチャートである。 図8における自己位置推定・補正処理を示すフローチャートである。 図8における育成マップ作成処理を示すフローチャートである。 図8における収穫経路計画作成処理を示すフローチャートである。 図8における収穫手段制御処理を示すフローチャートである。 本実施形態において、収穫手段による収穫動作を示す側面図である。 本発明に係る収穫手段の他の実施形態を示す(a)平面図、および(b)終端部から見た背面図である。 他の実施形態において、搬送ベルトから排出された植物が収容容器へ収容されるまでの動作を示す側面図である。
以下、本発明に係る植物自動収穫機、植物自動収穫プログラムおよび植物自動収穫方法の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明において、植物とは、アスパラガス等の茎菜類や、菊等の花卉類の他、収穫作業を必要とするあらゆる植物を含む概念である。
本実施形態の植物自動収穫機1は、図1および図2に示すように、主として、収穫手段2と、ランドマーク撮像手段3と、通信手段4と、自己位置検出手段5と、入力手段6と、走行手段7と、植物撮像手段8と、記憶手段9と、演算処理手段10とを有している。以下、各構成手段について詳細に説明する。
収穫手段2は、植物を収穫するとともに収納容器11へと搬送するものである。本実施形態において、収穫手段2は、図3に示すように、植物を切断する切断カッター21と、この切断カッター21により切断された植物を両側から狭持して搬送する搬送ベルト22と、この搬送ベルト22を駆動させるベルト駆動モータ23とを有している。
また、収穫手段2は、畝の全幅に渡る収穫を可能とするため左右方向にスライド自在に構成されており、かつ、未成熟の植物は収穫しないようにするため上下方向に退避可能に構成されている。具体的には、図4に示すように、後方にかけて上向きに傾斜された上下ガイドフレーム24と、左右方向に水平に固定された水平ガイドフレーム25の双方に、DCサーボモータ26で回転制御されるボールネジ27が設けられている。そして、各ボールネジ27を正逆回転させることによって収穫手段2が上下ガイドフレーム24に沿って昇降するとともに、水平ガイドフレーム25に沿って左右方向に移動し、後述する収穫位置または退避位置に高精度に位置決めできるようになっている。
ランドマーク撮像手段3は、植物自動収穫機1が自己位置を推定するために圃場に配置されるランドマークを撮像し、ランドマーク画像として出力するものである。本実施形態では、周囲とは異なる温度に制御することが可能な熱源ランドマーク12を用いているため、物体の熱分布を画像データとして取得するサーモグラフィカメラをステレオタイプに配置してランドマーク撮像手段3としている。なお、通常のランドマークを用いる場合には、ステレオカメラ等をランドマーク撮像手段3として使用してもよい。
なお、本実施形態では、熱源ランドマーク12として、電流を流すと一方の面から反対側の面に熱を移動させるペルチェ素子を利用している。また、図5に示すように、熱源ランドマーク12の温度を制御する温度コントローラ13と、この温度コントローラ13と複数の熱源ランドマーク12との接続を切り替えるスイッチャー14と、このスイッチャー14および温度コントローラ13を制御するコンピュータボード等のランドマーク制御手段15とによって、複数の熱源ランドマーク12のそれぞれが温度制御されるようになっている。
通信手段4は、上述したランドマーク制御手段15とデータの送受信を行うものである。本実施形態において、通信手段4は、Wi−Fi(Wireless Fidelity)等の無線LANインターフェースから構成されている。また、通信手段4は、後述するとおり、ランドマーク制御部106からのコマンド信号をランドマーク制御手段15へ送信するとともに、ランドマーク制御手段15から熱源ランドマーク12に関する各種の情報を受信するようになっている。
自己位置検出手段5は、植物自動収穫機1の位置情報および姿勢情報からなる自己位置を検出するものである。本実施形態において、自己位置検出手段5は、移動距離を検出するエンコーダと、対象物との相対的な距離・方角を検出する測域センサと、姿勢を検出する光ファイバジャイロスコープとから構成されている(いずれも図示せず)。エンコーダは、後述する駆動車輪71と車輪駆動モータ73とを連動させるチェーンに設けられ、その回転数から移動距離を検出するようになっている。また、光ファイバジャイロスコープは、光の干渉を利用して植物自動収穫機1の機械的な回転から姿勢(向き)を検出するようになっている。
入力手段6は、演算処理手段10に対して各種のデータや命令を入力するものである。本実施形態において、入力手段6は、キーボードやタッチパネル等から構成されており、後述する各種の初期値等を演算処理手段10へ入力するようになっている。
走行手段7は、植物自動収穫機1を圃場等で走行させるものである。本実施形態において、植物自動収穫機1は、収穫手段2を搭載するスペースや重心バランスを考慮して、図1に示すように、畝を跨ぐ門型形状に構成されている。このため、走行手段7は、前方の左右に設けられた一対の駆動車輪71,71と、後方の左右に設けられた一対の従動車輪72,72と、各駆動車輪71,71を独立に駆動する一対の車輪駆動モータ73,73とを有している。このような独立駆動方式を採用することにより、信地旋回が可能となり小さい圃場でも小回りが利くという利点がある。また、前輪同士および後輪同士を連結する車軸が不要なため門型形状の機体に適している。
植物撮像手段8は、植物の位置情報を取得するために植物を複数方向から撮像するものである。本実施形態において、植物撮像手段8は、4台のネットワークカメラで構成されており、図6に示すように、植物を4方向から撮影しうるように植物自動収穫機1の進行方向後方における下方位置に配置されている。また、本実施形態では、後述するとおり、視体積交差法を用いて植物の三次元形状を再構成するため、各ネットワークカメラの背景位置に背景ボード81が配置されており、各植物画像から植物に相当する画像領域を抽出し易くなっている。なお、本実施形態では、高精度に植物を認識するため、4つの植物撮像手段8を用いているが、この数に限定されるものではなく、少なくとも複数あればよい。
記憶手段9は、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段10が演算処理を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。本実施形態において、記憶手段9は、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等で構成されており、図3に示すように、プログラム記憶部91と、初期値記憶部92と、育成マップ記憶部93と、収穫経路計画記憶部94とを有している。以下、各構成部について詳細に説明する。
プログラム記憶部91には、本実施形態の植物自動収穫プログラム1aがインストールされている。そして、演算処理手段10が植物自動収穫プログラム1aを実行することにより、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを後述する各構成部として機能させるようになっている。
初期値記憶部92は、植物自動収穫機1が自己位置を推定するために必要な各種の初期値を記憶するものである。本実施形態では、圃場座標系における原点の座標、圃場座標系における各熱源ランドマーク12の位置座標、圃場座標系における植物自動収穫機1の走行開始位置の座標、および収穫対象となる畝の全長等を初期値として記憶するようになっている。
育成マップ記憶部93は、後述する育成マップ作成部103により作成された育成マップを記憶するものである。本実施形態において、育成マップとは、圃場内の各植物ごとに育成度合いに応じた収穫の有無を選別するためのものであり、圃場内の各植物ごとに付されたIDに対応付けて、当該植物の先端部および基端部の圃場座標系における位置情報(三次元座標)を記憶させたものである。また、当該位置情報については取得した日時を加えて育成マップに登録することにより、各植物の生育状況を把握するデータベースとして利用することも可能となる。なお、育成マップは、上記内容に限定されるものではなく、畝ごとにIDを付し、当該畝IDと植物IDによって各植物を特定するようにしてもよい。また、位置情報から植物の傾斜角度や長さを予め算出し、育成マップに登録しておいてもよい。
収穫経路計画記憶部94は、植物ごとに収穫手段2による収穫位置が設定された収穫経路計画を記憶するものである。具体的には、収穫経路計画には、圃場内の各植物について、収穫手段2の切断カッター21を当該植物の根元近傍に配置させる収穫位置が設定されている。また、本実施形態では、収穫するには早過ぎる植物については、収穫せずに残しておくため、収穫手段2が当該植物と接触しない退避位置を収穫経路計画に設定するようになっている。なお、収穫位置および退避位置のそれぞれは、収穫手段2の上下方向位置および左右方向位置として設定される。
演算処理手段10は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、記憶手段9にインストールされた植物自動収穫プログラム1aを実行することにより、図3に示すように、走行手段制御部101と、自己位置推定部102と、育成マップ作成部103と、収穫経路計画作成部104と、収穫手段制御部105と、ランドマーク制御部106として機能するようになっている。以下、各構成部について詳細に説明する。
走行手段制御部101は、植物自動収穫機1が畝に沿って真っ直ぐ走行するように走行手段7を制御するものである。本実施形態において、走行手段制御部101は、初期値記憶部92から植物自動収穫機1の走行開始位置および畝の全長等を取得して畝に沿う走行経路を把握する。そして、自己位置推定部102により推定された自己位置を取得し、当該自己位置が当該走行経路から外れないように補正しつつ、畝の終点位置まで走行させるように制御する。
具体的には、走行手段制御部101は、自己位置推定部102により推定された自己位置の姿勢(機体の方向)が走行経路からズレた場合、当該ズレを補正するのに必要な各車輪駆動モータ73,73の回転速度を算出する。そして、当該補正後の回転速度を示す駆動信号を各車輪駆動モータ73,73へ出力するようになっている。
自己位置推定部102は、圃場における植物自動収穫機1の自己位置を推定するものである。本実施形態において、自己位置推定部102は、まず、ランドマーク撮像手段3としてのサーモグラフィカメラから、圃場に配置された熱源ランドマーク12を異なる方向から撮影した左右一対のランドマーク画像を取得し、各ランドマーク画像から熱源ランドマーク12を検出する。
具体的には、熱源ランドマーク12の設定温度帯に該当する画素を上下左右の4近傍でラベリング処理した後、当該ラベリング領域におけるxy座標の各最大値および各最小値によって定義される矩形領域をランドマーク候補領域とする。そして、当該ランドマーク候補領域内の画素のうち、設定温度帯の画素が所定の割合以上であり、かつ、当該ランドマーク候補領域の縦横比が熱源ランドマーク12の縦横比に近似するものだけを熱源ランドマーク12として検出する。
つぎに、自己位置推定部102は、各熱源ランドマーク12のカメラ座標系における位置情報を算出して圃場座標系における位置情報へ変換し、当該圃場座標系における位置情報に基づいて自己位置を推定する。具体的には、面積相関法によるブロックマッチングを用いて各ランドマーク画像の視差を算出し、三角測量の原理によって各熱源ランドマーク12のカメラ座標系における位置情報および姿勢情報を算出する。ここで、カメラ座標系の原点と、植物自動収穫機1の座標系における原点との位置関係は既知であるから、当該位置関係に基づいてカメラ座標系の位置情報および姿勢情報を圃場座標系の位置情報および姿勢情報へと変換し、当該圃場座標系における位置情報および姿勢情報を自己位置として推定する。
また、本実施形態において、自己位置推定部102は、別途、自己位置検出手段5からも自己位置を取得し、上述したランドマークを用いて推定した自己位置と合わせて統合的に処理するセンサ・フュージョンという手法を採り入れている。このセンサ・フュージョンにより、単一の推定手段や測定手段のみに頼ることがないため、高精度な自己位置の推定が実現される。なお、自己位置推定部102は、自己位置検出手段5により検出された自己位置のみを用いて自己位置を推定してもよい。
育成マップ作成部103は、各植物の収穫や管理に用いる育成マップを作成するものである。本実施形態において、育成マップ作成部103は、自己位置推定部102により推定された自己位置および植物を異なる方向から撮影した複数枚の植物画像に基づいて、植物の位置情報を含む育成マップを作成する。
具体的には、育成マップ作成部103は、まず、植物撮像手段8としてのネットワークカメラから、植物を4方向から撮影した4枚1セットの植物画像を取得する。そして、これら植物画像と、予め背景ボード81のみを撮影した各カメラの背景画像との差分画像をそれぞれ作成し、これら差分画像と各植物画像から4枚のマスク画像を作成する。つづいて、これらマスク画像から視体積交差法を用いて三次元ボクセルデータを構築することで、植物の三次元形状を再構成する。
つぎに、育成マップ作成部103は、構築した三次元ボクセルデータのうち上下左右前後の6近傍で連結しているものをグループ化するとともに、各グループの構成ボクセルが所定の個数(植物の体積に相当する個数)に満たないボクセル群をノイズとして取り除く。そして、後に残った各ボクセル群が植物の一本一本に相当するものであるとして、当該各ボクセル群に植物IDを付した立体情報を各植物ごとに生成する。
つづいて、育成マップ作成部103は、立体情報に基づいて各植物を曲線分で近似し、当該曲線分の先端部および基端部のカメラ座標系における位置情報を取得する。そして、当該位置座標を自己位置推定部102により推定された自己位置に基づいて、圃場座標系における位置情報へと変換し、これを当該植物の位置情報を含む育成マップとして育成マップ記憶部93に登録する。
なお、本発明において、曲線分とは、先端部および基端部を含む複数の制御点に関する情報を有する曲線状の線分のみならず、先端部および基端部の情報のみからなる直線状の線分も含む概念である。また、本実施形態において、育成マップ作成部103は、各植物の生育状況を把握するデータベースとして育成マップを利用するため、位置情報を取得した日時を合わせて登録するようになっている。
なお、本実施形態において、育成マップ作成部103は、各植物画像セットにおいて検出された植物の同一性を判定し、データが重複してしまうのを防止している。具体的には、育成マップ作成部103は、各植物についての位置情報および前記曲線分の長さを取得し、双方のデータが所定の閾値範囲内にある植物については、同一の植物であるとしてデータを統合するようになっている。また、本実施形態では、高精度に植物を認識するため、4枚1セットの植物画像を用いているが、少なくとも2枚あればよい。
収穫経路計画作成部104は、植物を収穫する際の経路を予め計画した収穫経路計画を作成するものである。本実施形態において、収穫経路計画作成部104は、育成マップ作成部103により作成された育成マップに基づいて、植物ごとに収穫手段2による収穫位置が設定された収穫経路計画を作成するようになっている。
具体的には、収穫経路計画作成部104は、育成マップ記憶部93内の育成マップを参照し、各植物の位置情報や、育成マップ作成部103により近似された前記曲線分の長さを取得する。そして、当該曲線分の長さが所定値以上である場合、収穫経路計画に対して収穫位置を設定するとともに、当該曲線分の長さが所定値よりも小さい場合、収穫経路計画に対して収穫手段2が当該植物と接触しない退避位置を設定し、収穫経路計画記憶部94に保存するようになっている。なお、本実施形態では、曲線分の長さとして、先端部と基端部との直線距離を用いているが、曲線に沿った長さを使用してもよい。
収穫手段制御部105は、植物を正確かつ丁寧に収穫しうるように収穫手段2を制御するものである。本実施形態において、収穫手段制御部105は、収穫経路計画作成部104により作成された収穫経路計画を収穫経路計画記憶部94から取得する。そして、切断カッター21の切断位置であり、かつ、搬送ベルト22による把持位置が、各植物に到達する前に収穫手段2を当該植物に対応する収穫位置または退避位置へ移動させるようになっている。
なお、本実施形態では、収穫経路計画として収穫位置および退避位置を設定しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、曲線分の曲率が所定値以上の植物に対しては、切断カッター21で切断可能であり、かつ、搬送ベルト22に把持されない位置を収穫経路計画に設定してもよい。これにより、アスパラガス等のように、曲がっていると商品価値のない植物については収穫せずに切り倒し、当該植物に余計な養分を奪われるのを防止することが可能となる。
また、本実施形態において、収穫手段制御部105は、植物を収穫する際の損傷をできるだけ低減するため、搬送ベルト22の搬送速度を制御している。具体的には、収穫手段制御部105は、走行手段7から植物自動収穫機1の移動速度を取得するとともに、搬送ベルト22の搬送速度を取得する。そして、搬送ベルト22による搬送速度の水平成分が、植物自動収穫機1の移動速度と一致するようにベルト駆動モータ23の回転数を制御するようになっている。搬送速度の水平成分が移動速度よりも大きい場合、植物に引張方向の負荷がかかるし、搬送速度の水平成分が移動速度よりも小さい場合、植物に押圧方向の負荷がかかり品質を損ねてしまうからである。
ランドマーク制御部106は、植物自動収穫機1から熱源ランドマーク12を遠隔制御するものである。具体的には、ランドマーク制御部106は、自己位置推定部102により推定された自己位置に基づいて、発熱させる熱源ランドマーク12を決定する。そして、当該熱源ランドマーク12を指定するコマンドを通信手段4を介してランドマーク制御手段15へ送信し指示するようになっている。なお、本実施形態では、ランドマーク制御部106が、別途、温度コントローラ13の設定温度や、作動または停止等を指示するとともに、ランドマーク制御手段15に問い合わせ信号を送信することにより、熱源ランドマーク12の動作状況を取得しうるようになっている。
つぎに、本実施形態の植物自動収穫プログラム1aによって実行される植物自動収穫機1、および植物自動収穫方法の作用について図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、図7に示すように、畝の周りに複数の熱源ランドマーク12を配置した圃場において、植物を収穫する場合について説明する。また、以下の説明において、同一若しくは相当するステップについては同一の符号を付して再度の説明を省略する。
本実施形態の植物自動収穫機1を用いて圃場の植物を収穫する場合、収穫対象となる畝の始点に植物自動収穫機1を配置した後、図8に示すように、入力手段6を用いて圃場座標系における原点の座標、圃場座標系における各熱源ランドマーク12の位置座標、圃場座標系における植物自動収穫機1の走行開始位置の座標、および収穫対象となる畝の全長等を初期値として入力し、初期値記憶部92に記憶させる(ステップS1)。なお、植物自動収穫機1の走行開始位置は手入力してもよく、自己位置推定部102により推定された自己位置を用いてもよい。
つぎに、走行手段制御部101からの制御により植物自動収穫機1が畝に沿って走行を開始すると(ステップS2)、自己位置推定部102による自己位置推定・補正処理(ステップS3)および育成マップ作成部103による育成マップ作成処理(ステップS4)が開始される。
自己位置推定・補正処理(ステップS3)では、図9に示すように、自己位置推定部102が、ランドマーク撮像手段3としてのサーモグラフィカメラから、圃場に配置された熱源ランドマーク12を異なる方向から撮影した左右一対のランドマーク画像を取得し(ステップS31)、各ランドマーク画像から熱源ランドマーク12を検出する(ステップS32)。
つぎに、自己位置推定部102は、各熱源ランドマーク12の圃場座標系における位置情報および姿勢情報からなる自己位置を算出するとともに(ステップS33)、別途、自己位置検出手段5からも自己位置を取得し(ステップS34)、両者を統合的に処理して自己位置を推定する(ステップS35)。これにより、GPS(Global Positioning System)からの位置情報を受信しにくいビニールハウスや屋内施設、あるいはホワイトアスパラ等を栽培する真っ暗な圃場等においても高精度に自己位置が検出されるため、植物自動収穫機1の自律移動が可能となる。
ステップS34で取得した姿勢情報と、ステップS35で推定された姿勢情報との間にズレがある場合、走行手段制御部101が当該ズレを補正するのに必要な各車輪駆動モータ73,73の回転速度を算出し、当該回転速度に対応する駆動信号を各車輪駆動モータ73,73へ出力する(ステップS37)。これにより、植物自動収穫機1は常に、畝に沿って真っ直ぐに走行することとなる。
なお、本実施形態では、ランドマーク制御部106が逐次、自己位置推定部102により推定された自己位置に基づいて、図7のように配置された複数の熱源ランドマーク12のうち、次に発熱させるべき熱源ランドマーク12を決定し、設定温度等と合わせてランドマーク制御手段15へ指示している。また、ランドマーク制御部106は、ランドマーク制御手段15からスイッチャー14によって切り替えられた熱源ランドマーク12に関する情報を受信することにより、ランドマーク撮像手段3により撮像された熱源ランドマーク12を特定するようになっている。
以上のような自己位置推定・補正処理(ステップS3)が行われるのと同時並行で、育成マップ作成部103による育成マップ作成処理(ステップS4)が行われる。この育成マップ作成処理(ステップS4)では、図10に示すように、まず、育成マップ作成部103が、植物撮像手段8としてのネットワークカメラから、4枚1セットの植物画像を取得するとともに、自己位置推定部102により推定された自己位置を取得する(ステップS41)。
つぎに、育成マップ作成部103は、1セットの植物画像内に撮像された植物の三次元形状を再構成するとともに(ステップS42)、ノイズをフィルタリングし(ステップS43)、各植物についての立体情報を生成する(ステップS44)。これにより、走行中の畝に生育する各植物の立体情報が高精度に認識される。
つづいて、育成マップ作成部103は、各植物を曲線分で近似するとともに(ステップS45)、当該曲線分の先端部および基端部のカメラ座標系における位置情報を算出し(ステップS46)、当該位置座標を圃場座標系における位置情報へと変換する(ステップS47)。これにより、各植物の位置情報および当該位置情報を取得した日時を含む育成マップが育成マップ記憶部93に登録されるため、各植物の生育状況を把握するデータベースとしても利用可能となる。
また、本実施形態では、育成マップ作成部103が、各植物画像セットにおいて検出された植物の同一性を判定し(ステップS48)、重複したデータを排除している。これにより、異なる植物画像セットにおいて撮像された同一の植物が、異なる植物として認識されるのが防止されるため、育成マップの信頼性が向上する。
上述した自己位置推定・補正処理(ステップS3)および育成マップ作成処理(ステップS4)は、植物自動収穫機1の走行中、所定の時間間隔で繰り返し実行され(ステップS5:NO)、走行手段制御部101によって畝の終点が検出されると(ステップS5:YES)、走行を終了する(ステップS6)。
上述した育成マップの作成が完了すると、収穫経路計画作成部104による収穫経路計画作成処理が行われる(ステップS7)。具体的には、図11に示すように、まず、収穫経路計画作成部104が、育成マップ記憶部93内の育成マップを参照し、各植物の位置情報や、各植物を近似させた前記曲線分の長さを取得する(ステップS71)。
そして、当該曲線分の長さが所定値以上である場合(ステップS72:YES)、収穫位置を設定する一方(ステップS73)、当該曲線分の長さが所定値よりも小さい場合(ステップS72:NO)、退避位置を設定する(ステップS74)。これにより、収穫すべき大きさに生育した植物に対しては、適切な刈り取り位置が設定されるとともに、収穫すべき大きさに達していない未熟な植物は、収穫されることなく圃場に残される。
以上の処理は、全ての植物について収穫経路計画が設定されるまで繰り返され(ステップS75:NO)、全植物についての設定が完了すると(ステップS75:YES)、図8のフローチャートへと戻る。なお、本実施形態では、植物自動収穫機1が育成マップを作成するために畝の終点まで走行した後(ステップS6)、当該畝の始点までバックしながら上述した収穫経路計画を作成する(ステップS7)。
以上のように収穫経路計画が作成された畝については、植物の自動収穫が実行可能となる。具体的には、植物自動収穫機1を当該収穫経路計画に対応する畝の始点にセットした後、上記と同様、初期値を入力するとともに(ステップS1)、畝に沿って走行を開始する(ステップS2)。そして、走行中は常に、自己位置推定部102による自己位置推定・補正処理(ステップS3)を実行しながら、収穫手段制御部105による収穫手段制御処理を実行する(ステップS8)。
具体的には、図12に示すように、収穫手段制御部105が、収穫経路計画記憶部94から収穫経路計画を取得し(ステップS81)、切断カッター21の切断位置(かつ、搬送ベルト22による把持位置)が各植物に到達する前に、収穫手段2を当該植物に設定された収穫位置または退避位置へ移動させる(ステップS82)。これにより、収穫時期に達した植物のみが収穫される一方、未熟な植物は収穫されることがない。
そして、切断カッター21の切断位置かつ搬送ベルト22による把持位置が、各植物の位置に到達すると(ステップS83:YES)、図13に示すように、切断カッター21が植物の根元を切断すると同時に、搬送ベルト22が切断された植物を両側から狭持し、所定の収容容器へと搬送する(ステップS84)。これにより、植物自動収穫機1は走行しながら植物を傷つけることなく迅速に収穫することが可能となる。
また、本実施形態では、収穫手段制御部105が、収穫手段2の位置合わせを行うのと同時に、搬送ベルト22の搬送速度を制御している。具体的には、収穫手段制御部105は、植物自動収穫機1の移動速度を取得するとともに(ステップS85)、搬送ベルト22の搬送速度を取得する(ステップS86)。そして、搬送速度の水平成分が移動速度と一致していなければ(ステップS87:NO)、当該搬送速度の水平成分が移動速度と同調するようにベルト駆動モータ23の回転数を制御する(ステップS88)。これにより、収穫手段2が植物を収穫する際にかかる負荷が最小限に抑制されるため、植物の品質を損ねるのを防止する。
以上のような本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1.圃場内の畝に沿って自律的に走行しながらアスパラガスや菊等の収穫に手間のかかる植物を自動的に収穫することができる。
2.植物の収穫コストの低減や収穫効率の向上を実現し、農業従事者の高齢化や人手不足等による生産量や収穫量の低下を防止することができる。
3.育成マップにより植物の生育状況をデータベース化でき、当該生育状況に応じて植物を計画的に収穫することができる。
4.従来、収穫作業の自動化が極めて困難であった植物に対して、収穫時期に達した植物のみを収穫するとともに、収穫時期に達しない植物を収穫しない動作を自動的に実行することができる。
5.収穫手段2が植物を収穫する際に掛かる負荷を最低限に低減でき、収穫した植物の品質が損なわれるのを防止することができる。
6.熱源ランドマーク12の利用により、GPSからの位置情報を受信しにくいビニールハウスや屋内施設、あるいはホワイトアスパラ等を栽培する真っ暗な圃場等においても自己位置を高精度に検出し、自律走行や自動収穫を行うことができる。
7.植物自動収穫機1と熱源ランドマーク12との間でデータを送受信することにより、リアルタイムで自律走行を行うことができる。
なお、本発明に係る植物自動収穫機1、植物自動収穫プログラム1aおよび植物自動収穫方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
例えば、上述した本実施形態では、自己位置を推定する手段として、熱源ランドマーク12およびサーモグラフィカメラを使用しているが、この構成に限定されるものではなく、LED等の光源ランドマークおよびステレオデジタルカメラ等を用いて自己位置を推定してもよい。
また、上述した本実施形態では、発熱させるべき熱源ランドマーク12等の決定を植物自動収穫機1側のランドマーク制御部106によって行っているが、この構成に限定されるものではない。すなわち、植物自動収穫機1の自己位置を逐次、通信手段4を介してランドマーク制御手段15へ送信し、ランドマーク制御手段15側で発熱させるべき熱源ランドマーク12等を決定するようにしてもよい。
さらに、上述した本実施形態では、育成マップの作成後(ステップS6)、畝の始点までバックしながら収穫経路計画を作成しているが(ステップS7)、当該ステップS7の実行タイミングは上記に限定されるものではない。例えば、収穫手段制御処理(ステップS8)の中で、各植物を収穫する直前に一本ずつ収穫経路計画を作成してもよい。
また、上述した本実施形態では、ノート型のパーソナルコンピュータが植物自動収穫機1に搭載されており、当該コンピュータによって、記憶手段9や演算処理手段10等が構成されている。このため、当該コンピュータは、育成マップを作成するための育成マップ作成装置として単独で利用することもできる。
また、上述した本実施形態では、一対の搬送ベルト22,22が略同一長さに形成されているが、この構成に限定されるものではない。上記構成の場合、搬送ベルト22の終端部から排出された植物は収納容器11へと自然落下するが、排出方向が左右に振れて安定しない上、落下中の植物の姿勢が不規則になる。このため、アスパラガス等のように、先端が損傷しやすい植物の場合、先端から落下すると、損傷したり割れたりしてしまうおそれがある。
そこで、収穫手段2の他の実施形態として、図14(a)に示すように、一対の搬送ベルト22,22のうち、一方の終端部を他方の終端部よりも短く形成するとともに、図14(b)に示すように、搬送ベルト22の終端部下方に、植物を緩衝しつつ滑り落とす緩衝シュート28を設置するようにしてもよい。このとき、図15に示すように、緩衝シュート28の滑落面が、搬送ベルト22の終端部から植物の排出方向に向けて斜め上向きに傾斜した状態で配置する。
上記構成により、長さの異なる搬送ベルト22が、図14(a)に示すように、短い搬送ベルト22側に傾斜された斜め方向に植物を排出するため、排出方向が一定となり規則性を持つこととなる。そして、当該排出方向に向けて斜め上向きに傾斜された緩衝シュート28が、植物の先端を上方に向けた状態で受け止めて緩衝し、下端から優しく滑り落とす。
また、上記他の実施形態においては、図14(a)に示すように、平面視において、緩衝シュート28の滑落方向が植物の排出方向と略垂直となるように緩衝シュート28を配置することが好ましい。この構成により、緩衝シュート28が植物を線で受け止め易くなるため、最も効果的に緩衝する。
以上のような他の実施形態の収穫手段2によれば、アスパラガス等のように、先端が損傷しやすい植物であっても、収容時の落下に起因する損傷や割れの発生を低減し、商品価値が損なわれるのを防止することができる。
なお、図14および図15に示した実施形態では、緩衝シュート28の基端部が、長い方の搬送ベルト22の下方に固定され、短い方の搬送ベルト22側へ下向きに傾斜されているが、この構成に限定されるものではなく、短い方の搬送ベルト22の下方に緩衝シュート28の基端部を固定し、長い方の搬送ベルト22側へ下向きに傾斜されていてもよい。
1 植物自動収穫機
1a 植物自動収穫プログラム
2 収穫手段
3 ランドマーク撮像手段
4 通信手段
5 自己位置検出手段
6 入力手段
7 走行手段
8 植物撮像手段
9 記憶手段
10 演算処理手段
11 収納容器
12 熱源ランドマーク
13 温度コントローラ
14 スイッチャー
15 ランドマーク制御手段
21 切断カッター
22 搬送ベルト
23 ベルト駆動モータ
24 上下ガイドフレーム
25 水平ガイドフレーム
26 DCサーボモータ
27 ボールネジ
28 緩衝シュート
71 駆動車輪
72 従動車輪
73 車輪駆動モータ
81 背景ボード
91 プログラム記憶部
92 初期値記憶部
93 育成マップ記憶部
94 収穫経路計画記憶部
101 走行手段制御部
102 自己位置推定部
103 育成マップ作成部
104 収穫経路計画作成部
105 収穫手段制御部
106 ランドマーク制御部

Claims (8)

  1. 圃場内の植物を自動的に収穫する植物自動収穫機であって、
    前記圃場における自己位置を推定する自己位置推定部と、
    前記自己位置推定部により推定された自己位置および前記植物を異なる方向から撮影した複数枚の植物画像に基づいて、前記植物の位置情報を含む育成マップを作成する育成マップ作成部とを有し、
    前記育成マップ作成部は、前記複数枚の植物画像から前記植物の三次元形状を再構成するとともに当該植物を曲線分で近似し、当該曲線分の先端部および基端部のカメラ座標系における位置情報を算出し、当該カメラ座標系における位置情報から変換した圃場座標系における位置情報を前記植物の位置情報として前記育成マップに登録する、植物自動収穫機。
  2. 前記育成マップ作成部により作成された育成マップに基づいて、前記植物ごとに収穫手段による収穫位置が設定された収穫経路計画を作成する収穫経路計画作成部を有し、
    収穫経路計画作成部は、前記育成マップ作成部により近似された前記植物の曲線分の長さが所定値以上である場合、前記収穫経路計画に対して収穫位置を設定するとともに、前記曲線分の長さが所定値よりも小さい場合、前記収穫経路計画に対して前記収穫手段が当該植物と接触しない退避位置を設定する、請求項1に記載の植物自動収穫機。
  3. 前記収穫手段は、前記植物を切断する切断カッターと、この切断カッターにより切断された植物を両側から狭持して搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルトを回転させるベルト駆動モータとを有しており、
    前記収穫経路計画作成部は、前記曲線分の曲率が所定値以上の前記植物に対して、前記切断カッターで切断可能であり、かつ、前記搬送ベルトに把持されない位置を前記収穫経路計画に設定する、請求項2に記載の植物自動収穫機。
  4. 前記育成マップ作成部は、前記複数枚の植物画像と、各植物画像を撮影した各カメラの背景画像との差分画像をそれぞれ作成し、これら差分画像と各植物画像とから作成される各マスク画像から三次元ボクセルデータを構築することで、前記植物の三次元形状を再構成する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の植物自動収穫機。
  5. 前記育成マップ作成部は、前記三次元ボクセルデータのうち上下左右前後の6近傍で連結しているものをグループ化するとともに、各グループの構成ボクセルが前記植物の体積に相当する個数に満たないボクセル群をノイズとして取り除く、請求項4に記載の植物自動収穫機。
  6. 前記育成マップ作成部は、前記植物の位置情報および前記曲線分の長さの双方のデータが所定の閾値範囲内にある植物については、同一の植物であるとしてデータを統合する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の植物自動収穫機。
  7. 圃場内の植物を自動的に収穫する植物自動収穫プログラムであって、
    前記圃場における自己位置を推定する自己位置推定部と、
    前記自己位置推定部により推定された自己位置および前記植物を異なる方向から撮影した複数枚の植物画像に基づいて、前記植物の位置情報を含む育成マップを作成する育成マップ作成部としてコンピュータを機能させるとともに、
    前記育成マップ作成部は、前記複数枚の植物画像から前記植物の三次元形状を再構成するとともに当該植物を曲線分で近似し、当該曲線分の先端部および基端部のカメラ座標系における位置情報を算出し、当該カメラ座標系における位置情報から変換した圃場座標系における位置情報を前記植物の位置情報として前記育成マップに登録する、植物自動収穫プログラム。
  8. 圃場内の植物を自動的に収穫する植物自動収穫方法であって、
    前記圃場における自己位置を推定する自己位置推定ステップと、
    前記自己位置推定ステップにおいて推定された自己位置および前記植物を異なる方向から撮影した複数枚の植物画像に基づいて、前記植物の位置情報を含む育成マップを作成する育成マップ作成ステップとを有し、
    前記育成マップ作成ステップでは、前記複数枚の植物画像から前記植物の三次元形状を再構成するとともに当該植物を曲線分で近似し、当該曲線分の先端部および基端部のカメラ座標系における位置情報を算出し、当該カメラ座標系における位置情報から変換した圃場座標系における位置情報を前記植物の位置情報として前記育成マップに登録する、植物自動収穫方法。
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