JP2014179889A - 周波数逓倍回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】変換損失が少ない周波数逓倍回路を提供する。
【解決手段】周波数逓倍回路は、アノードが出力側接続点4に接続されたダイオード1aと、カソードが出力側接続点4に接続されたダイオード1bと、一端がダイオード1aのカソードに接続され、他端が入力側接続点3に接続された伝送線路10aと、一端がダイオード1bのアノードに接続され、他端が入力側接続点3に接続された伝送線路10bと、出力側接続点4に接続されたフィルタ11と、を有する。入力側接続点3に供給された入力基本波信号と該入力基本波信号の奇数次高調波とが出力側接続点4からフィルタ11に供給される。フィルタ11は、出力側接続点4から供給された入力基本波信号を、遮断する、または、出力側接続点4側へ反射させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、周波数逓倍回路に関する。
ミリ波帯等の高周波帯では、低位相雑音である発振器を実現することが難しい。そのため、低周波数信号源からの信号を高周波数に変換する周波数逓倍回路が使用されることが多い。
図8に、周波数逓倍回路の一例として、アンチパラレルダイオードペア(以下、APDP)を使用した3逓倍回路を示す。
図8に示した3逓倍回路では、非線形素子として、2つのダイオード1a、1bを互いに逆向きに並列接続したAPDP2が使用されている。APDP2の入力側接続点3、及び、出力側接続点4には、それぞれ、LC直列共振器5a、5bが接続されている。
LC直列共振器5aでは、キャパシタ6a(素子値CR1)とインダクタ7a(素子値LR1)とが3次高調波周波数で直列共振し、入力側接続点3が3次高調波周波数で短絡となる。これにより、APDP2で生成された3次高調波信号を反射させて、信号源8(インピーダンスZs)に出力させないようにすると共に、3次高調波信号を負荷9(インピーダンスZl)に効率的に供給する。
また、LC直列共振器5bでは、キャパシタ6b(素子値CR2)とインダクタ7b(素子値LR2)とが入力基本波信号の周波数(基本波周波数)で直列共振し、出力側接続点4が基本波周波数で短絡となる。これにより、入力基本波信号を反射させて、負荷9に出力させないようにする。
上記3逓倍回路では、各ダイオード1a、1bに流れる電流Ia、Ibは、信号源8によるダイオード励振電圧をVdとすると、それぞれ、以下の式1、2で表される。


ここで、Isはダイオードの飽和電流、αはq/kTである。kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
また、電流Ia、Ibをテーラー展開すると、それぞれ、以下の式3、4で表される。


従って、APDP2で生成される高周波電流Ioutは、以下の式5で与えられ、奇数次成分のみを含む。

生成された高周波信号の内、基本波成分は、LC直列共振器5bにより除去され、負荷9には、奇数次高調波、特に、最低次の3次成分を多く含む高周波信号が供給される。
上記の3逓倍回路に関連する技術が特許文献1に記載されている。
特開平09−275319号公報
図8に示した3逓倍回路においては、上記の式5で表される通り、ダイオードの電圧−電流変換の3次特性のみが、3次高調波の生成に寄与するが、最も大きな非線形性である2次特性、及び、比較的大きな4次特性を利用することができないため、変換損失が大きいという問題がある。
特許文献1に記載の3逓倍回路においても、上記問題が生じる。
本発明の目的は、変換損失が少ない周波数逓倍回路を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
第1及び第2の端子と、
アノードが前記第1の端子に接続された第1のダイオードと、
カソードが前記第1の端子に接続された第2のダイオードと、
一端が前記第1のダイオードのカソードに接続され、他端が前記第2の端子に接続された第1の伝送線路と、
一端が前記第2のダイオードのアノードに接続され、他端が前記第2の端子に接続された第2の伝送線路と、
前記第1の端子に接続された第1のフィルタと、を有し、
前記第2の端子に供給された入力基本波信号と該入力基本波信号の奇数次高調波とが前記第1の端子から前記第1のフィルタに供給され、前記第1のフィルタは、前記第1の端子から供給された前記入力基本波信号を、遮断する、または、前記第1の端子側へ反射させる、周波数逓倍回路が提供される。
本発明によれば、周波数逓倍回路の変換損失を低減できる。
本発明の第1の実施形態の3逓倍回路を示すブロック図である。 図1に示す3逓倍回路における、電気長θEを変化させた場合の2次高調波及び4次高調波の電圧振幅の変化を示す特性図である。 図1に示す3逓倍回路における、電気長θEを変化させた場合の3次高調波出力電力の変化を示す特性図である。 本発明の第2の実施形態の3逓倍回路を示すブロック図である。 図3に示す3逓倍回路における、電気長θ0を変化させた場合の最大の3次高調波出力電力の変化を示す特性図である。 図3に示す3逓倍回路における、電気長θEと最大の3次高調波出力電力が得られる電気長θ0 との関係を示す特性図である。 本発明の第3の実施形態の3逓倍回路を示すブロック図である。 図5に示す3逓倍回路における、基本波周波数を変化させた場合の3次高調波出力電力の変化を示す特性図である。 図5に示す3逓倍回路の変形例を示すブロック図である。 本発明の関連技術である3逓倍回路を示すブロック図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態の3逓倍回路を示す。
図1を参照すると、3逓倍回路は、非線形素子としてのAPDP20と、フィルタ11とを有する。
APDP20は、2つのダイオード1a、1b、2つの伝送線路10a、10b、入力側接続点3、及び出力側接続点4を有する。
ダイオード1a、1bは、互いに逆向きになるように並列に接続されている。ダイオード1aのカソードは、伝送線路10aを介して入力側接続点3に接続され、ダイオード1bのアノードは、伝送線路10bを介して入力側接続点3に接続されている。ダイオード1aのアノード及びダイオード1bのカソードは、出力側接続点4に接続されている。
伝送線路10a、10bはいずれも、特性インピーダンスZEを有し、かつ、入力基本波周波数に対して電気長θEを有する。
フィルタ11は、出力側接続点4に接続されている。信号源8(インピーダンスZs)が入力側接続点3に接続され、負荷9(インピーダンスZl)がフィルタ11を介して出力側接続点4に接続される。
フィルタ11は、APDP20の出力側接続点4から出力された信号のうち、信号源8から供給された入力基本波信号(入力基本波周波数)を出力側接続点4側へ反射させ、負荷9側に出力させないように構成されている。フィルタ11として、入力基本波周波数を遮断する帯域除去型フィルタ、入力基本波周波数を遮断し、所望の奇数次高調波(ここでは、3次高調波)を通過させる帯域通過型フィルタ、或いは、高域通過型フィルタを用いることができる。
上記の構成によれば、伝送線路10a、10bのリアクタンスにより、ダイオード1a、1bの信号入力側における2次、及び、4次高調波電圧振幅を大きくすることができる。ダイオード1a、1bの電圧−電流変換の2次特性により、2次、及び、4次高調波電圧と入力基本波信号の電圧(入力基本波電圧)とから、付加的な3次高調波が生成される。これにより、3逓倍回路の変換損失を低減することができる。
以下に、本実施形態の3逓倍回路の動作原理を詳細に説明する。
偶数次高調波は、2つのダイオード1a、1b間で逆相となるため、APDP20の入力側接続点3は、仮想接地点になる。
各ダイオード1a、1bで生成された2n次高調波電流

(nは自然数)が、伝送線路10a、10bに流入すると、そのリアクタンスにより励起される2n次高調波電圧

は、以下の式6で表される。

ここで、X2nは2n次高調波周波数におけるリアクタンスの絶対値|ZEtan(2nθE)|である。
式6において、正負の符号は、tan(2nθE)が正の場合に負、負の場合に正である。なお、以降の式において、複号同順である。
一方、基本波、及び、奇数次高調波は、2つのダイオード1a、1b間で同相である。そのため、伝送線路10a、10bの特性インピーダンスZEが信号源8のインピーダンスZsの2倍である場合、2つのダイオード1a、1bから信号源8を見たインピーダンスZMCは、電気長θEに依存せず、一定値Zsをとる。
また、信号源8から供給される励振電圧Vdを、時間tで変化する振幅V1、角周波数ωの正弦波v1(t)=V1sinωtとすると、ダイオード1aの電圧−電流変換の2次特性により生成される電流i2_a(t)は、以下の式7で表される。

電流i2_a(t)により励起される電圧の内、2次高調波電圧v2_a(t)は、式6で示す通り、電流に対してπ/2の位相差を生じるので、以下の式8で表される。

ここで、2次高調波電圧振幅V2は、Isα2V1 2X2/4である。
更に、ダイオード1aの電圧−電流変換の2次特性によって、励振電圧v1(t)と2次高調波電圧v2_a(t)との合成電圧V1sinωt±V2sin2ωtから生成される高調波電流ia_X2(t)は、以下の式9で表される。

ダイオード1bについても同様に計算すると、ダイオード1bにより生成される高調波電流ib_X2(t)は、以下の式10で表される。

従って、励振電圧と2次高調波電圧との合成電圧により、APDP20から出力される、高調波電流iout_X2_1+2(t)は、以下の式11で表される。

また、ダイオードの電圧−電流変換の2次特性によって、励振電圧と4次高調波電圧との合成電圧から生成され、APDP20から出力される、高調波電流iout_X2_1+4(t)を同様に計算すると、以下の式12で表される。

ここで、4次高調波電圧振幅V4は、Isα4V1 4X4/192である。
また、式5で表される電圧−電流変換の3次特性によって、APDP20から出力される高調波電流iout_X3(t)は、以下の式13で表される。

式11〜式13の3次高調波成分に着目して合成すると、本実施形態の3逓倍回路における3次高調波電流i3_out_total(t)は、以下の式14で表される。

ここで、位相φは、以下の式15で表される。

2次高調波電圧振幅V2、及び、4次高調波電圧振幅V4が大きいほど、3次高調波電流は大きくなることが分かる。ここで、|V2+V4|は、以下の式16で表される。

従って、伝送線路10a、10bの電気長θEが、22.5度(4次高調波に対して1/4波長に相当)、及び、45度(2次高調波に対して1/4波長に相当)の場合に、正接が無限大となるため、3次高調波電流が、非常に大きくなる。つまり、2次、及び、4次高調波に対して、各ダイオード1a、1bから、入力側接続点3を見たインピーダンスが、開放となる場合に、3次高調波電流が、非常に大きくなる。
図2A及び図2Bに、電気長θEを変化させた場合の、本実施形態の3逓倍回路の変換特性を計算した結果を示す。
図2Aは、ダイオード1a、1bの端子間に印加される2次、及び、4次高調波電圧振幅V2、V4を示し、図2Bは、3次高調波出力電力を示す。計算では、信号源8のインピーダンスZsを50Ω、負荷9のインピーダンスZlを50Ω、伝送線路10a、10bの特性インピーダンスZEを100Ω、入力基本波周波数を20GHz(出力周波数60GHz)、入力電力を20dBmとした。
また、フィルタ11には、図8に示した、シャントに接続した20GHzで共振するLC直列共振器5b(CR2=0.20pF、LR2=0.32nH)を使用した。
なお、図2Bにおいて、「実施の形態1」と「比較例」が示されている。「実施の形態1」は、本実施形態の3逓倍回路の結果であり、「比較例」は、図8に示した3逓倍回路の結果である。「比較例」の計算では、LC共振器5a(60GHzで共振)の素子値は、CR1=CR2/3、LR1=LR2/3であり、LC共振器5bの素子値は、フィルタ11と同じである。
図2Aの結果によれば、式16で示す通り、2次、及び、4次高調波電圧振幅V2、V4は、それぞれ、電気長θEが45度程度、22.5度程度(加えて、正接関数の周期性に起因して、67.5度程度)を中心として、上に凸の形状のグラフとなる傾向が見られる。なお、単調には、上に凸の形状となっていないが、これは、式6〜式16の計算では、再帰的に生成される高調波成分を無視する等の近似をしているためである。
図2A及び図2Bの結果から、3次高調波出力電力は、電圧振幅特性を反映していることが確認できる。
図2Bに示すように、「実施の形態1」の出力電力は、電気長θEが22.5度程度で最大となっており、入力側に3次高調波を反射させるフィルタが無いにもかかわらず、「比較例」に比べて、大きな出力電力を得ることができている。
なお、電気長θEが45度程度よりも、22.5度程度で、出力電力が大きくなっているのは、式16に示す通り、十分な入力電力により、2次高調波(励振電圧振幅V1の2乗)よりも4次高調波(励振電圧振幅V1の4乗)に起因する成分が大きくなったためである。
ここで、本実施形態の3逓倍回路が効果的であるためには、3次高調波出力電力が、最大値の半分以上程度であることが望ましい。すなわち、図2Bの「実施の形態1」の結果によれば、電気長θEの望ましい範囲は、15〜38度(4次高調波に対して1/6〜5/12波長に相当)である。
上記の図2A及び図2Bの説明では、本実施形態の3逓倍回路の効果を明確にするために、伝送線路10a、10bの特性インピーダンスZEを信号源8のインピーダンスZsの2倍とした。これにより、2つのダイオード1a、1bから信号源8を見た、基本波、及び、奇数次高調波インピーダンスZMCは、電気長θEに依存しないため、3次高調波出力電力の変化は、偶数時高調波のみに起因することになる。
しかしながら、伝送線路10a、10bの特性インピーダンスZEは、信号源8のインピーダンスZsの2倍に限定されない。その場合は、奇数次高調波の影響を考慮した設計を行えば良い。
本実施形態の3逓倍回路において、励振電圧Vdの振幅をできるだけ大きくするために、出力側接続点4がショートとなることが望ましい。そのため、出力側接続点4がショートとなるように、フィルタ11と出力側接続点4との間に、位相を調整するための伝送線路を挿入しても良い。
(第2の実施形態)
図3に、本発明の第2の実施形態の3逓倍回路を示す。
図3を参照すると、本実施形態の3逓倍回路は、図1に示した3逓倍回路のAPDP20の入力側接続点3側にフィルタ12及び伝送線路13を有する。入力側接続点3より出力側の構成は、第1の実施形態と同じであるため、ここでは、説明を省略する。
伝送線路13は、特性インピーダンスZ0を有し、かつ、入力基本波周波数に対する電気長θ0を有する。フィルタ12は、伝送線路13を介して入力側接続点3に接続されている。このフィルタ12により、APDP20で生成された3次高調波信号をAPDP20側へ反射させ、信号源8側へ出力させない。
フィルタ12として、所望の奇数次高調波(ここでは、3次高調波)を遮断する帯域除去型フィルタ、所望の奇数次高調波(ここでは、3次高調波)を遮断し、入力基本波を通過させる帯域通過型フィルタ、或いは、低域通過型フィルタを使用することができる。
フィルタ12の3次高調波周波数における反射位相をθF(0度≦θF<360度)とすると、伝送線路13の電気長θ0は、以下の式17で表される。

この場合、2つのダイオード1a、1bから信号源8を見た、3次高調波インピーダンスZMCを0、すなわち、短絡にすることができる。その結果、APDP20で生成された3次高調波信号のうち、入力側接続点3から信号源8側へ向かう3次高調波信号を入力側接続点3側へ反射させることができるので、3次高調波信号を負荷9に効率的に供給することができる。
図4A及び図4Bは、本実施形態の3逓倍回路の変換特性を計算結果に基づいて説明するための図である。
図4Aに、電気長θEを固定して、電気長θ0を変化させた場合の最大の3次高調波出力電力の変化を示し、図4Bに、電気長θEと最大の3次高調波出力電力が得られる電気長θ0の関係を示す。
ここでは、正接関数の対称性から便宜的に、電気長θEが0〜45度の範囲の計算結果を示す。計算では、信号源8のインピーダンスZsを50Ω、負荷9のインピーダンスZlを50Ω、伝送線路10a、10bの特性インピーダンスZEを100Ω、伝送線路13の特性インピーダンスZ0を50Ω、入力基本波周波数を20GHz(出力周波数60GHz)、入力電力を20dBmとした。また、フィルタ11、12には、それぞれ、図8に示したシャントに接続したLC直列共振器5b、5aを使用した。LC直列共振器5a、5bの素子値は、図2A及び図2Bの計算で用いた値と同じである。
なお、図4Aにおいて、「実施の形態1」、「実施の形態2」及び「比較例」が示されている。「実施の形態2」は、本実施形態の3逓倍回路の計算結果であり、「実施の形態1」は、第1の実施形態の3逓倍回路の計算結果であり、「比較例」は、図8に示した3逓倍回路の計算結果である。「実施の形態1」と「比較例」は、図2Bと同じである。
図4A及び図4Bの結果から、本実施形態の3逓倍回路によれば、第1の実施形態と比較して、より大きな3次高調波出力電力を得られることが分かる。また、比較例と比較すると、常に、より大きな出力電力を得られることが分かる。
ここで、本実施形態の3逓倍回路における3次高調波出力電力の最大値の電気長θEの依存性は、第1の実施形態とほぼ同じである。すなわち、3次高調波出力電力が、最大となる電気長θEを決めた後、独立して、電気長θ0を決めることができる。
図4Bの結果によれば、電気長θ0と電気長θEの和が50〜60度で、最大の3次高調波出力電力が得られている。これは、フィルタ12の反射位相θFが180度(3次高調波周波数で短絡)であることを考慮すると、ほぼ、式17を満足する。ここで、3次高調波出力電力が、最大値の半分以上となるのは、最大値が得られる電気長θ0から±10〜15度程度の範囲である。
本実施形態の3逓倍回路においても、励振電圧Vdの振幅をできるだけ大きくするために、出力側接続点4がショートとなることが望ましい。そのため、出力側接続点4がショートとなるように、フィルタ11と出力側接続点4との間に、位相を調整するための伝送線路を挿入しても良い。
(第3の実施形態)
図5に、本発明の第3の実施形態の3逓倍回路を示す。
図5を参照すると、本実施形態の3逓倍回路は、非線形素子であるAPDP21とフィルタ11を有する。
APDP21は、2つのダイオード1a、1b、4つの伝送線路10c〜10f、スイッチ15、入力側接続点3及び出力側接続点4を有する。
ダイオード1a、1bは、互いに逆向きになるように並列に接続されている。ダイオード1aのカソードは、直列に接続された2つの伝送線路10c、10eを介して入力側接続点3に接続され、ダイオード1bのアノードは、直列に接続された2つの伝送線路10d、10fを介して入力側接続点3に接続されている。ダイオード1aのアノード及びダイオード1bのカソードは、出力側接続点4に接続されている。
伝送線路10c、10dはいずれも、特性インピーダンスZE1を有し、かつ、入力基本波周波数に対する電気長θE1を有する。伝送線路10e、10fはいずれも、特性インピーダンスZE2を有し、かつ、入力基本波周波数に対する電気長θE2を有する。
伝送線路10cと伝送線路10eの接続端子14aと、伝送線路10dと伝送線路10fの接続端子14bとの間には、スイッチ15が接続されている。スイッチ15は、電界効果型やバイポーラ型のトランジスタ等により構成される。スイッチ15の導通/非導通状態は、制御端子16から入力される信号により制御される。
フィルタ11は、出力側接続点4に接続されている。信号源8(インピーダンスZs)が入力側接続点3に接続され、負荷9(インピーダンスZl)がフィルタ11を介して出力側接続点4に接続される。
APDP21の出力側接続点4から出力された信号のうち、信号源8から供給された入力基本波信号(入力基本波周波数)を出力側接続点4側へ反射させ、負荷9側に出力させないように構成されている。フィルタ11として、入力基本波周波数を遮断する帯域除去型フィルタ、入力基本波周波数を遮断し、所望の奇数次高調波(ここでは、3次高調波)を通過させる帯域通過型フィルタ、或いは、高域通過型フィルタを用いることができる。
本実施形態の3逓倍回路によれば、スイッチ15の導通/非導通状態を切り替えることで、偶数次高調波における仮想接地点を移動させることができる。その結果、2次、及び、4次高調波に対して、1/4波長となる周波数を変化させることができる。すなわち、3逓倍回路の変換特性の周波数依存性を変化させることができる。
図6に、本実施形態の3逓倍回路における、スイッチ15の状態を切り替えた場合の3次高調波出力電力の周波数特性を計算した結果を示す。図6において、「比較例」は、図4Aに示したものと同じである。
この計算では、信号源8のインピーダンスZsを50Ω、負荷9のインピーダンスZlを50Ω、伝送線路10c、10dの特性インピーダンスZE1及び伝送線路10e、10fの特性インピーダンスZE2を共に100Ω、伝送線路10c、10dの電気長θE1を15度、伝送線路10e、10fの電気長θE2を20度、入力基本波周波数を20GHz(出力周波数60GHz)、入力電力を20dBmとした。また、フィルタ11には、図8に示したシャントに接続したLC直列共振器5bを使用した。
図6の結果によれば、スイッチ14の状態を非導通から導通に切り替えることにより、各ダイオード1a、1bから見た仮想接地点までの電気長が小さくなるため、周波数特性が高周波化することが分かる。
本実施形態の3逓倍回路では、ダイオード1aと入力側接続点3との間の第1の伝送線路は、2つの区間(伝送線路10c、10e)に分割され、ダイオード1bと入力側接続点3との間の第2の伝送線路も、2つの区間(伝送線路10d、10f)に分割されているが、これに限定されない。第1及び第2の伝送線路を分割する区間の数(すなわち、直列に接続する伝送線路の数)は3つ以上であってもよい。
なお、第1及び第2の伝送線路を分割する区間の数を3つ以上にする場合は、区間毎に、第1及び第2の伝送線路間の電気的な導通、非導通を切り替えるスイッチを設ける。この場合、各スイッチの導通/非導通状態を切り替えることで、偶数次高調波における仮想接地点を移動させる。分割区間数を多くすることで、偶数次高調波における仮想接地点の移動をより細かく制御することができる。
また、伝送線路10c〜10fは、折り曲げたもの、例えば、図7に示す伝送線路10g〜10jのような、線対称軸に対してメアンダ状に折り曲げたものであっても良い。この場合、接続端子14a、14bから、スイッチ15が導通時の仮想接地点までの距離を小さくしたままで、偶数次高調波に対して差動となる、伝送線路10gと伝送線路10hの距離、及び、伝送線路10iと伝送線路10jの距離を大きくすることができる。これにより、伝送線路間の結合を小さくすることができるため、結合による電気長の短縮効果を低減でき、必要な電気長を、より小さな物理長で得ることができる。
本実施形態の3逓倍回路においても、励振電圧Vdの振幅をできるだけ大きくするために、出力側接続点4がショートとなることが望ましい。そのため、出力側接続点4がショートとなるように、フィルタ11と出力側接続点4との間に、位相を調整するための伝送線路を挿入しても良い。
また、本実施形態の3逓倍回路のAPDP21は、第2の実施形態の3逓倍回路のAPDP20に適用することができる。この場合は、第2の実施形態で説明した通り、フィルタ12が、APDP21で生成された3次高調波信号のうち、入力側接続点3からの3次高調波信号を入力側接続点3側へ反射させるので、3次高調波信号を負荷9に効率的に供給することができる。
以上の第1乃至第3の実施形態の説明では、特性インピーダンスが単一である均質な伝送線路の例を示したが、所望の電気長が得られれば、伝送線路は均質でなくても構わない。例えば、伝送線路の線幅が、周期的に変化する等しても構わない。
また、逓倍回路の入力端子、及び、出力端子に、それぞれ、信号源、及び、負荷を直接に接続した例を示したが、逓倍回路と、信号源、及び、負荷との間に、適宜、整合回路等が挿入されていてもよい。
また、逓倍数が3の逓倍回路の例を示したが、逓倍数は3以外の奇数、例えば、5でも構わない。逓倍数が5の場合には、基本波と4次高調波、或いは、基本波と6次高調波とが、ダイオードの電圧−電流変換の2次特性により混合され、所望5次高調波が生成される。この場合、4次、或いは、6次高調波電圧振幅が大きくなるように、例えば、第1の実施形態の場合では、伝送線路10a、10bを、それぞれの高調波に対して、1/4波長(4次の場合、θE=22.5度、6次の場合、θE=15度)程度にすれば良い。
また、本発明は、以下の付記1〜12のような形態をとり得るが、これら形態に限定されない。
(付記1)
第1及び第2の端子と、
アノードが前記第1の端子に接続された第1のダイオードと、
カソードが前記第1の端子に接続された第2のダイオードと、
一端が前記第1のダイオードのカソードに接続され、他端が前記第2の端子に接続された第1の伝送線路と、
一端が前記第2のダイオードのアノードに接続され、他端が前記第2の端子に接続された第2の伝送線路と、
前記第1の端子に接続された第1のフィルタと、を有し、
前記第2の端子に供給された入力基本波信号と該入力基本波信号の奇数次高調波とが前記第1の端子から前記第1のフィルタに供給され、前記第1のフィルタは、前記第1の端子から供給された前記入力基本波信号を、遮断する、または、前記第1の端子側へ反射させる、周波数逓倍回路。
(付記2)
前記入力基本波信号の所定の偶数次高調波が前記第1及び第2のダイオード間で逆相であり、該所定の偶数次高調波に対して、前記第1及び第2のダイオードから見た前記第1の端子側のインピーダンスが開放である、付記1に記載の周波数逓倍回路。
(付記3)
前記第1及び第2のダイオードは、前記入力基本波信号の基本波電圧と、前記入力基本波信号の2次高調波電圧または4次高調波電圧もしくは該2次、4次高調波電圧の両方とから、付加的な3次高調波を生成する、付記2に記載の周波数逓倍回路。
(付記4)
前記所定の偶数次高調波は、前記入力基本波信号の2次高調波または4次高調波である、付記3に記載の周波数逓倍回路。
(付記5)
前記第1のフィルタは、前記入力基本波信号を遮断する帯域除去型フィルタ、前記入力基本波信号を遮断し、前記入力基本波信号の所望の奇数次高調波を通過させる帯域通過型フィルタ、或いは、高域通過型フィルタである、付記1から4のいずれか1項に記載の周波数逓倍回路。
(付記6)
前記第2の端子に接続された第3の伝送線路と、
前記第3の伝送線路を介して前記第2の端子に接続された第2のフィルタと、をさらに有し、
前記入力基本波信号は、前記第3の伝送線路及び第2のフィルタを介して前記第2の端子に供給され、
前記第2のフィルタは、前記第2の端子から前記第3の伝送線路を介して供給される、前記入力基本波信号の所定の奇数次高調波を、遮断する、または、前記第2の端子側に反射させる、付記1から5のいずれか1項に記載の周波数逓倍回路。
(付記7)
前記入力基本波信号の奇数次高調波が前記第1及び第2のダイオード間で同相であり、前記所定の奇数次高調波に対して、前記第1及び第2のダイオードから見た前記第2の端子側のインピーダンスが短絡である、付記6に記載の周波数逓倍回路。
(付記8)
前記第2のフィルタは、前記入力基本波信号の所望の奇数次高調波を遮断する帯域除去型フィルタ、前記入力基本波信号の所望の奇数次高調波を遮断し、前記入力基本波信号を通過させる帯域通過型フィルタ、或いは、低域通過型フィルタである、付記6または7に記載の周波数逓倍回路。
(付記9)
前記第1及び第2の伝送線路はそれぞれ、複数の区間に分割されており、該区間毎に、前記第1及び第2の伝送線路間の電気的な導通、非導通を切り替えるスイッチを有する、付記1から8のいずれか1項に記載の周波数逓倍回路。
(付記10)
前記第1及び第2の伝送線路の各区間は、折り曲げた形状を有する、付記9に記載の周波数逓倍回路。
(付記11)
前記第1の伝送線路の各区間と前記第2の伝送線路の各区間とは、互いに線対称に配置されており、線対称軸に対して、メアンダ状に形成されていることを特徴とする付記9に記載の周波数逓倍回路。
(付記12)
前記第1の端子と前記第1のフィルタの間に位相調整用の伝送線路をさらに有する、付記1から11のいずれか1項に記載の周波数逓倍回路。
1a、1b ダイオード
3 入力側接続点
4 出力側接続点
8 信号源
9 負荷
10a〜10j、13 伝送線路
11、12 フィルタ
14a、14b 接続端子
15 スイッチ
16 制御端子
20、21 アンチパラレルダイオードペア

Claims (10)

  1. 第1及び第2の端子と、
    アノードが前記第1の端子に接続された第1のダイオードと、
    カソードが前記第1の端子に接続された第2のダイオードと、
    一端が前記第1のダイオードのカソードに接続され、他端が前記第2の端子に接続された第1の伝送線路と、
    一端が前記第2のダイオードのアノードに接続され、他端が前記第2の端子に接続された第2の伝送線路と、
    前記第1の端子に接続された第1のフィルタと、を有し、
    前記第2の端子に供給された入力基本波信号と該入力基本波信号の奇数次高調波とが前記第1の端子から前記第1のフィルタに供給され、前記第1のフィルタは、前記第1の端子から供給された前記入力基本波信号を、遮断する、または、前記第1の端子側へ反射させる、周波数逓倍回路。
  2. 前記入力基本波信号の所定の偶数次高調波が前記第1及び第2のダイオード間で逆相であり、該所定の偶数次高調波に対して、前記第1及び第2のダイオードから見た前記第1の端子側のインピーダンスが開放である、請求項1に記載の周波数逓倍回路。
  3. 前記第1及び第2のダイオードは、前記入力基本波信号の基本波電圧と、前記入力基本波信号の2次高調波電圧または4次高調波電圧もしくは該2次、4次高調波電圧の両方とから、付加的な3次高調波を生成する、請求項2に記載の周波数逓倍回路。
  4. 前記所定の偶数次高調波は、前記入力基本波信号の2次高調波または4次高調波である、請求項3に記載の周波数逓倍回路。
  5. 前記第2の端子に接続された第3の伝送線路と、
    前記第3の伝送線路を介して前記第2の端子に接続された第2のフィルタと、をさらに有し、
    前記入力基本波信号は、前記第3の伝送線路及び第2のフィルタを介して前記第2の端子に供給され、
    前記第2のフィルタは、前記第2の端子から前記第3の伝送線路を介して供給される、前記入力基本波信号の所定の奇数次高調波を、遮断する、または、前記第2の端子側に反射させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の周波数逓倍回路。
  6. 前記入力基本波信号の奇数次高調波が前記第1及び第2のダイオード間で同相であり、前記所定の奇数次高調波に対して、前記第1及び第2のダイオードから見た前記第2の端子側のインピーダンスが短絡である、請求項5に記載の周波数逓倍回路。
  7. 前記第1及び第2の伝送線路はそれぞれ、複数の区間に分割されており、該区間毎に、前記第1及び第2の伝送線路間の電気的な導通、非導通を切り替えるスイッチを有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の周波数逓倍回路。
  8. 前記第1及び第2の伝送線路の各区間は、折り曲げた形状を有する、請求項7に記載の周波数逓倍回路。
  9. 前記第1の伝送線路の各区間と前記第2の伝送線路の各区間とは、互いに線対称に配置されており、線対称軸に対して、メアンダ状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の周波数逓倍回路。
  10. 前記第1の端子と前記第1のフィルタの間に位相調整用の伝送線路をさらに有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の周波数逓倍回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110880917A (zh) * 2018-09-05 2020-03-13 瑞昱半导体股份有限公司 三倍频器及其方法

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