図24は特許文献1で開示された食品等を収納する収納容器をプレス成形するための成形装置の概略構造を示す分解斜視図であり、図25は図24で示した成形装置に使用される被成形体を示す斜視図である。
これらの図を参照して、成形装置50は、第1の型部材51と、図18で示す被成形体である円形状のシート83a〜83eを重ね合わせた積層シート群85を介して第1の型部材51に対向する第2の型部材52とから構成されている。尚、積層シート群85のシート83a〜83eの各々は、紙シートと、この紙シートに貼り合わされたフィルムとで構成されている。
第1の型部材51は、円筒形状を有しており、その上壁は内部方向に傾斜し、且つ、その表面には中心軸から放射状に広がる第1の段溝53が形成されている。又、内壁57には第2の段溝54が形成されており、第1の段溝53と第2の段溝54とは相互に連続するように接続されている。
一方、第2の型部材52は、円柱形状を有する杵状押棒58と、杵状押棒58がその中心部に形成された開口56に対して出し入れ自在となっている円錐体55とから構成されている。杵状押棒58の側壁には、その軸方向に歯車状溝が形成されており、円錐体55の側壁には傘歯車状溝が形成されている。歯車状溝及び傘歯車状溝の各々の凹部分は、第1の段溝53及び第2の段溝54の凸部分の数と位置とに対応するように設けられている。
このように構成された成形装置50によって、第1の型部材51上に図18で示す積層シート群85を、シート83a〜83eの各々の上述したフィルムの面が上方となるように載置する。その後、第2の型部材52の円錐体55及び杵状押棒58を移動させて積層紙シート85をプレス成形することによって、複数の収納容器が一度に収納容器群として形成される。このような収納容器群について説明する。
図26はこの収納容器群を示す正面図であり、図27は図26で示したXXVII−XXVIIラインの断面図であり、図28は図26で示したXXVIII−XXVIIIラインの断面図である。
これらの図を参照して、収納容器群80は、各々が重なり合った収納容器5a〜5eによって構成されている。最上部に位置する収納容器5aは、円形形状の底部11aと、底部11aの外周から外方上方に立ち上がり、その全周に亘って均一に上方に延びる同一形状の襞9a〜9n(nは襞の数)が形成された同一高さの側壁部12aとを備えている。従って、図27を参照して、収納容器5aにおいては、底部11aの中心点Sを回転軸として、n回(この例では36回)回転対称性を有している。
そして、収納容器5aの下部に位置する収納容器5b〜5eの各々は、収納容器5aと相似状に形成されているため、同様にn回回転対称性を有している。そして、図28で示すように互いの底部11a〜11eの各々及び側壁部12a〜12eの各々が接触あるいは近接した状態となっている。つまり、最上部に位置する収納容器5aは最も内寸が小さく、最下部に位置する収納容器5eは最も内寸が大きくなる。
次に、このような収納容器群を自動的にトレー等にセットするための収納容器供給装置(カップ供給装置)について説明する。
図29は特許文献2で開示されたカップ供給装置の全体構成を示す概略斜視図である。
図を参照して、カップ供給装置は、天板62のカップ通過穴の周囲4箇所に設けられた丸棒よりなる積層カップガイド63と、収納容器の周縁部を吸引するための側面吸着ブロック65a、65bと、天板2の下方に配置された吸引用ケーシング66に取り付けられた、吸引口68a、68bが形成されたメイン吸着ノズル67と、吸着ノズル67の下方に設けられたトレー搬送コンベア73とから主に構成されている。
吸引用ケーシング66は、昇降及び上下反転駆動(図の一点鎖線で示す状態)可能となっているため、吸引用ケーシング66に取り付けられているメイン吸着ノズル67も同様の移動が可能となる。更に、吸引用ケーシング66にはリングブロワ69がフレキシブルホースを介して接続されており、リングブロワ69によって吸引用ケーシング66を介してメイン吸着ノズル67の吸引口68a、68bから空気の吸引がおこなわれる。尚、リングブロア69は、側面吸着ブロック65a、65bにも、フレキシブルホースを介して接続されている。
次に、このように構成されたカップ供給装置の動作について説明する。
まず、上下を反転させた収納容器群80a〜80nを、積層カップガイド63を介して天板62上に載置する。そして、メイン吸着ノズル67を上昇させ、天板62のカップ通過穴を介して収納容器であるカップ5a(図示せず)の底部に接触させる。この状態でリングブロア69を作動させると、メイン吸着ノズル67にカップ5aの底部及び周縁部の各々が吸着される。この時、カップ5aの上部に位置するカップ5b(図示せず)の周縁部も、カップ5aの周縁部と共に吸着されようとする。しかしながら、カップ5bの周縁部は側面吸着ブロック65a、65bによって外方向に吸引されるため、カップ5aは確実に単体でメイン吸着ノズル67に吸着される。次に、メイン吸着ノズル67を、カップ5aを吸着した状態のまま下降させ、吸引用ケーシング66を反転させる。そして、トレー搬送コンベア73上のトレー74上で空気の吸引を停止すると、カップ5aは自重によってトレー74内に落下する。従って、カップ5aは効率的且つ確実にトレー74内に配置される。
図1はこの発明の第1の実施の形態による充填容器を示す正面図であり、図2は図1で示したII−IIラインから見た図であり、図3は図1で示したIII−IIIラインの断面図である。
これらの図を参照して、この実施の形態による充填容器3を構成する重なり合った収納容器5a〜5eの各々は、図26で示した収納容器群の収納容器の各々と同一である。即ち、図24及び図25で示した成形装置及び積層シート群によって形成された収納容器の各々と同一である。従って、最上部に位置する収納容器5eは、襞の数をnとすると、底部11eの中心点Oを回転軸としてn回回転対称性を有していると共に、収納容器5eと相似状に形成された収納容器5a〜5dもn回回転対称性を有している。しかしながら、この実施の形態にあっては、収納容器5a〜5eの配置構成が図26の収納容器と大きく異なっている。この相違点について説明する。
充填容器3においては、最上部に位置する収納容器5eが最も内寸が大きく、収納容器5eの下部に位置する収納容器5dは、収納容器5eよりも内寸が小さい。そして、下部にいくにつれて収納容器5a〜5eの内寸が小さくなるように配置されている。従って、最下部に位置する収納容器5aは最も内寸が小さいことになる。
充填容器3はこのように構成されているため、図3で示す通り、上部に位置する収納容器5b〜5eの各々は、下部に位置する収納容器5a〜5dの各々に入り込む虞が無いため、収納容器5a〜5eの各々の底部11a〜11e同士が接触あるいは近接しない。従って、充填容器3の収納容器5a、5bの各々の側壁部12a、12bの上端同士の距離Yは、図26で示した収納容器5d、5eの各々の側壁部の上端同士の距離Xより長くなる。即ち、図26で示した成形時の収納容器の各々の側壁部の状態に比べて、上部に位置する収納容器5b〜5eの側壁部12b〜12eの各々の上端が、下部に位置する収納容器5a〜5dの側壁部12a〜12dの各々の上端より十分上の位置となる。従って、収納容器供給装置を用いた収納容器の供給時において、次に供給すべき収納容器が認識しやすく、又、底部同士の接触あるいは近接が無い。そのため、収納容器5a〜5eの各々が剥がれ易く、これらの分離が容易となり供給不良が低減する。
次に、このような充填容器3の第1の製造方法について説明する。
図4は図1で示した充填容器の第1の製造方法を概略的に示した模式図である。
まず(1)を参照して、水平な作業台41上に従来の収納容器群80を載置する。そして、最上部の収納容器5aの底部及び側壁部を吸着ノズル45によって空気を吸引して吸着させる。
次に、(2)を参照して、収納容器5aを吸着させた状態のまま吸着ノズル45を作業台41のスペースに移動した後、吸着ノズル45による吸着を解除し、収納容器5aを載置する。
次に、(3)を参照して、吸着ノズル45の位置を収納容器5aが除かれた収納容器群80に戻し、最上部に位置する収納容器5bの底部及び側壁部を収納容器5aと同様に吸着する。そして、(2)と同様に収納容器5bを吸着した状態のまま吸着ノズルを移動させ、内寸の小さな収納容器5aの上に内寸の大きな収納容器5bを各々の襞の位置を合わせて相似状に重ねる。尚、上述した通り、収納容器群80においては最上部に位置する収納容器5aの内寸が最も小さく、下部にいくに従って内寸が大きくなっている。従って、収納容器5bは収納容器5aよりも若干内寸が大きいため、互いに接触あるいは近接状態にならない。
次に、(4)を参照して、(3)の作業を繰り返すことによって、収納容器群80において最も内寸の小さい収納容器5aから上部にいくにつれて内寸が大きくなる収納容器5b〜5eが配置される。このようにして、充填容器3を製造することができる。
尚、内寸の小さな収納容器5aの上に内寸の大きな収納容器5bを重ねる際、収納容器5bを平面視における収納容器5aの回転対称位置から90°回転させて重ね合わせても良い。上述した通り、収納容器5a、5bは平面視においてn回回転対称性を有しているため、収納容器5bは問題無く収納容器5aに重なり合う。しかしながら、このように収納容器5bを配置すると、上述したプレス成形時において互いに接する収納容器5aの襞の各々と収納容器5bの襞の各々とが不一致となって互いが重なり合う。つまり、プレス成形された収納容器5a〜5eの各々に形成された襞同士は、厳密に言えば同一に形成されているとは言えないため、収納容器5a〜5eの対応する襞の各々を異ならせて重ね合わせることによって襞同士のなじみが少なくなり、これらが更に分離しやすい状態となる。尚、上部に位置する収納容器5b〜5eの各々の回転は90°に限らず、これらの襞の各々と、下部に位置する収納容器5a〜5dの各々のプレス成形時において互いに接する襞の各々とが対応しないように回転して重ね合わせれば良い。
次に、収納容器供給装置に供給するために、このような充填容器を複数重ね合わせて形成する充填容器群について説明する。
図5は図1で示した充填容器よりなる充填容器群の分解正面図であり、図6は図1で示した充填容器よりなる充填容器群の正面図であり、図7は図6で示したVII−VIIラインの断面図であり、図8は図7で示したVIII−VIIIラインの断面図である。
まず図5を参照して、複数の同一形状の充填容器3a〜3cを、平面視において各々の回転対称位置が同一となるように、第1の充填容器3aの上に第2の充填容器3bを重ね合わせて配置すると共に、第2の充填容器3bの上に第3の充填容器3cを重ね合わせて配置する。即ち、第1の充填容器3aの最上部の収納容器5eの上に第2の充填容器5bの最下部の収納容器5fを重ね合わせて配置すると共に、第2の充填容器5bの最上部の収納容器5jの上に第3の充填容器3cの最下部の収納容器5kを重ね合わせて配置する。すると、図6で示す充填容器群7となる。
図6〜図8を合わせて参照して、充填容器群7においては、第1の充填容器3aの最上部に位置する内寸の大きな収納容器5e内に、第2の充填容器3bの最下部に位置する内寸の小さな収納容器5fが入り込んだ状態となっている。即ち、第1の充填容器3aの収納容器5eの底部11eと第2の充填容器3bの収納容器5fの底部11fとが接触あるいは近接した状態となっている。そのため、図6で示すように、収納容器5eの側壁部12eの上端と収納容器5fの側壁部12fの上端との距離Zが第1の充填容器3aの収納容器5a〜5eの各々の側壁部の上端同士の距離Yより短くなる。即ち、収納容器5fの側壁部12fの上端が収納容器5eの側壁部12eの上端より十分上の位置とはならない。尚、第2の充填容器3bの最上部の収納容器5jの側壁部の上端と第3の充填容器3cの最下部の収納容器5kの側壁部の上端との距離Z及びこれらの状態についても、第1の充填容器3aと第2の充填容器3bとの状態と同様である。
従って、収納容器供給装置による充填容器群7の収納容器5a〜5o(一部図示せず)の各々の供給時における、収納容器5e、5f間及び収納容器5j、5k間、即ち充填容器3a〜3cが切り替わる際の供給時において供給不良が発生する可能性がある。
そこで、このような供給不良を防ぐための充填容器群について説明する。
図9はこの発明の第2の実施の形態による収納容器の平面図である。
図を参照して、この実施の形態による収納容器5a〜5eよりなる収納容器群15の基本的な構成は、図26で示した収納容器群と同様であるので、相違点を中心に説明する。
この実施の形態においては、収納容器5aの側壁部12aに形成された複数の襞9a〜9(n−2)と共に、その水平断面形状が隣接する襞9a〜9(n−2)の1つの水平断面形状と異なる特定襞20a、20bが形成されている。特定襞20a、20bは同一形状であると共に、底部11aの中心点Pを通る回転軸に対して対向する位置に設けられている。従って、収納容器5aは、中心点Pを回転軸として、図9で示す状態及びこの状態から180°回転した状態の2回回転対称性を有している。尚、収納容器5b〜5eにおいても、収納容器5aと相似状に形成されているため、同様に2回回転対称性を有している。
収納容器5a〜5eはこのように形成されているため、例えば、中心点Pを回転軸として収納容器5aを90°回転させると、特定襞20a、20bが二点鎖線で示す位置に移動する。そして、この状態で収納容器5aを収納容器5aの下部に位置する内径の大きな収納容器5bの上に襞9a〜9(n−2)を合わせて重ねた時、収納容器5aの特定襞20a、20bが、下方に位置する収納容器5bの特定襞と各々の位置が一致しない状態となる。即ち、収納容器5a、5bの各々の回転対称位置が一致しない状態となる。
そして、収納容器5a〜5eの各々を、各々がこの一致しない状態となるように回転させて重ね合わせる。すると、各々の襞9a〜9(n−2)と特定襞20a、20bとの間で干渉状態が生じる。従って、図26で示したようなn回(36回)回転対称性を有する収納容器と比べて、底部の各々が接触あるいは近接せず、内寸の小さな収納容器5a〜5dの各々の側壁部の上端が内寸の大きな収納容器5b〜5eの各々の側壁部の上端より十分上の位置となる。この関係は、内寸が最大の収納容器5eの上に内寸が最小の収納容器5aを重ね合わせても同様の効果を奏する。又、特定襞20a、20bは中心点Pに対して対向する位置に設けられているため、このように収納容器5a〜5eを重ねてもその状態が安定する。このような効果についての具体的な説明は後述する。
次に、この実施の形態による収納容器群15のプレス成形方法について説明する。
基本的なプレス成形方法は従来のものと同様であるので、再度図24及び図25を参照して、相違点を中心に説明する。この実施の形態による収納容器群15のプレス成形にあっては、第1の型部材51の第1の段溝53、第2の段溝54、第2の型部材52の歯車状溝及び傘歯車状溝の各々の溝の一部分を変形する。即ち、図9で示す特定襞20a、20bに対応する位置の各々に、特定襞20a、20bの形状に対応する特定溝を形成する。そして、従来と同様に第1の型部材51及び第2の型部材52によって、積層シート群85をプレス成形することによって、図9で示した特定溝20a、20bを備える収納容器群15が形成される。
次に、この実施の形態による収納容器5a〜5eよりなる充填容器について説明する。
図10は図9で示した収納容器から第1の製造方法で製造された充填容器の正面図であって、第1の実施の形態の図1に対応するものである。
図を参照して、この実施の形態による充填容器3は、図9で示した収納容器群15から製造されており、その収納容器5a〜5eの各々の配置構成及び製造方法は第1の実施の形態と同様である。尚、収納容器5a〜5eの各々を配置する際には、各々の回転対称位置が同一となるように配置されているため、斜線で示す特定襞20a(図示せず)の各々及び特定襞20bの各々は上下に整列した状態となっている。尚、この実施の形態による充填容器3の効果は、第1の実施の形態と同様である。
次に、収納容器供給装置に供給するために、このような充填容器を複数重ね合わせて形成する充填容器群について説明する。
図11は図10で示した充填容器よりなる充填容器群の分解正面図であり、図12は図10で示した充填容器よりなる充填容器群の正面図であり、図13は図12で示したXIII−XIIIラインの断面図であり、図14は図13で示したXIV−XIVラインの断面図である。
まず図11を参照して、複数の同一形状の充填容器3a〜3cにおいて、最下部に配置される第1の充填容器3aに対して、平面視における第1の充填容器3aの回転対称位置と同一の位置から、矢印で示すように第2の充填容器3bを90°回転させて重ね合わせる。即ち、第1の充填容器3aの回転対称位置と第2の充填容器3bの回転対称位置とが一致しない状態で互いを重ね合わせる。又、第3の充填容器3cにおいては、第1の充填容器3aと同一の回転対称位置となるように第2の充填容器3bに重ね合わせる。つまり、充填容器3a〜3cの各々の回転対称位置は、上下の充填容器3a〜3cの各々の回転対称位置に一致しない状態で重ね合わせる。すると、図12で示す充填容器群7となる。
次に、図12〜図14を合わせて参照して、充填容器群7においては先に述べたように、第1の充填容器3aの最上部の(内寸が最大の)収納容器5eの底部11eと、第2の充填容器3bの最下部の(内寸が最小の)収納容器5fの底部11fとに一定の間隔が生じている。即ち、図12で示すように、収納容器5eの側壁部12eの上端と収納容器5fの側壁部12fの上端との距離Aは、第1の充填容器3aの収納容器5a〜5eの各々の側壁部の上端同士の距離Yとほぼ同一である。
上述した通り、第1の充填容器3aと第2の充填容器3bとの回転対称位置は一致していない。そのため、第1の充填容器3aの収納容器5eの特定襞20a、20bの内面と第2の充填容器3bの収納容器5fの通常の襞9a、9bの外面とが接触している。即ち、これらが干渉した状態となるため、第2の充填容器3bはこの状態から下方に移動することが無い。従って、図6で示した充填容器群に比べて、特定襞20a、20bの形状を配慮することで、第2の充填容器3bの最下部の収納容器5fの側壁部12fの上端が第1の充填容器3aの最上部の収納容器5eの側壁部12eの上端より十分上の所望の位置に設定することが可能となる。そのため、収納容器供給装置での収納容器の供給時において、第2の充填容器3bから第1の充填容器3aに供給が移る際、第2の充填容器3bの最下部の収納容器5fの分離が容易となる。そして、このような第1の充填容器3aと第2の充填容器3bとの関係は、第2の充填容器3bと第3の充填容器3cとの関係においても同様である。
又、充填容器3a〜3cの各々の特定襞20a〜20f(一部図示せず)は、各々の底部の中心点に対して対向する位置に設けられているため、上述のように充填容器3a〜3cを重ねた時、収納容器5e、5jは、図14に示されているように対向する2箇所によって収納容器5f、5kと接触するため、これらの重ねた状態が安定する。従って、収納容器5a〜5oの分離がより安定する。
図15は図9で示した収納容器から第2の製造方法で製造された充填容器の分解正面図である。
図を参照して、第2の製造方法にあっては、図4で示した第1の製造方法と基本的には同一であるので、その相違点を中心に説明する。
第2の製造方法にあっては、最下部に配置される収納容器5aに対して、平面視における収納容器5aの回転対称位置と同一の位置から、矢印で示すように収納容器5aより内寸の大きい収納容器5bを90°回転させて重ね合わせる。即ち、収納容器5aと収納容器5bとは、相似状ではなく、各々の回転対称位置が一致しない状態で互いを重ね合わせる。更に、収納容器5cにおいては、収納容器5aと同一の回転対称位置となるように収納容器5bに重ね合わせる。つまり、上部に位置する収納容器5b、5cの各々の回転対称位置は、下部に位置する収納容器5a、5bの各々の回転対称位置に一致しない状態で重ね合わせる。このようにして収納容器5a〜5e(一部図示せず)を順次重ね合わせると、図16で示す充填容器となる。
図16は図9で示した収納容器から第2の製造方法で製造された充填容器の正面図であって、第1の実施の形態の図1に対応するものであり、図17は図16で示したXVII−XVIIラインの断面図である。
これらの図を参照して、充填容器3を構成する収納容器5a〜5eの各々は、上部に位置するにつれて内寸が大きくなるため、図1で示した充填容器と同様に底部11a〜11e同士が接触あるいは近接しない。更に、収納容器5a〜5eの各々は、上部に位置する収納容器5b〜5eの各々と、下部に位置する収納容器5a〜5dの各々との回転対称位置が一致しないように重ね合っている。従って、収納容器5a〜5eの特定襞20a〜20j(一部図示せず)の各々と収納容器5a〜5eの通常の襞の各々とが常に干渉した状態となる。
従って、充填容器3の収納容器5a、5bの各々の側壁部12a、12bの上端同士の距離Zは、図1で示した収納容器5a、5bの各々の側壁部の上端同士の距離Yより長くなる。即ち、図1で示した収納容器の各々の側壁部の状態に比べて、上部に位置する収納容器5b〜5eの側壁部12b〜12eの各々の上端が、下部に位置する収納容器5a〜5dの側壁部12a〜12dの各々の上端より更に上の位置となる。従って、収納容器供給装置を用いた収納容器の供給時において、収納容器5a〜5eの各々が更に剥がれ易くなる。
次に、このような充填容器を複数重ね合わせて形成する充填容器群について説明する。
図18は図16で示した充填容器よりなる充填容器群の分解正面図であり、図19は図16で示した充填容器よりなる充填容器群の正面図であり、図20は図19で示したXX−XXラインの断面図であり、図21は図20で示したXXI−XXIラインの拡大断面図である。
まず図18を参照して、充填容器3a〜3cの配置構成は、図11で示したものと同一である。即ち、最下部に位置する第1の充填容器3aの最上部の収納容器5eと、第1の充填容器3aの上部に位置する第2の充填容器3bの最下部の収納容器5fとの回転対称位置が一致しないように、矢印で示すように第2の充填容器3bを90°回転して重ね合わせる。更に、第3の充填容器3cの最下部の収納容器5kの回転対称位置を、第1の充填容器3aの最上部の収納容器5eの回転対称位置と同一にして、第3の充填容器3cを第2の充填容器3bの上に重ね合わせる。すると、図19で示す充填容器群7となる。
次に、図19〜図21を合わせて参照して、充填容器群7においては、図12で示した充填容器群と同様に、第1の充填容器3aの最上部の収納容器5eと、第2の充填容3bの最下部の収納容器5fとの回転対称位置が一致していない。従って、これらが干渉した状態となるため、第2の充填容器3bはこの状態から下方に移動することが無い。そして、第2の充填容器3bと第3の充填容器3cとの関係も同様であるため、充填容器群7は図12で示した充填容器群と同様の効果を発揮する。
尚、第1の充填容器3aの最上部の収納容器5eは内寸が最大であるのに対して、第2の充填容器3bの最下部の収納容器5fは内寸が最小である。従って、図19で示すように、収納容器5eの側壁部12eの上端と収納容器5fの側壁部12fの上端との距離Bは、第1の充填容器3aにおける収納容器5a〜5eの側壁部12a〜12eの各々の上端部同士の距離Zより短くなる。この距離Bは、図12で示した距離Aと同一長さである。従って、図12で示した充填容器群に対して、収納容器供給装置での収納容器の供給時において、第1の充填容器3aの収納容器5a〜5e、第2の充填容器3bの収納容器5f〜5j及び第3の充填容器3cの収納容器5k〜5oの各々の分離が更に容易となる。
図22はこの発明の第3の実施の形態による収納容器の平面図であって、第2の実施の形態の図9に対応するものである。
図を参照して、収納容器群15は、長円状の積層シート群をプレス成形して形成されており、各々が重なり合った収納容器5a〜5eによって構成されている。最上部に位置する収納容器5aは、平面視において長円状の底部11aと、底部11aの円弧状の部分の外周から外方上方に立ち上がる同一高さの第1側壁部12aと、底部11aの直線状の部分の外周から外方上方に立ち上がる、第1側壁部12aとほぼ同一高さの第2側壁部12bとを備えている。第1側壁部12aには、その全周に亘って均一に上方に延びる同一形状の複数の襞9と、隣接する襞9の水平断面形状と異なる断面形状の特定襞20とが形成されている。従って、収納容器5aにおいては、底部11aの中心点Qを回転軸として、1回回転対称性を有している。尚、収納容器5aが特定襞20を有さない場合、その収納容器5aにおいては2回回転対称性を有することになる。即ち、収納容器5aは特定襞20によって(2−1)回回転対称性となる。
そして、収納容器5aの下部に位置する収納容器5b〜5eの各々は、収納容器5aと相似状に形成されているため、同様に1回回転対称性を有している。尚、この実施の形態による収納容器群15の収納容器5a〜5eの効果、この実施の形態による収納容器5a〜5eよりなる充填容器の効果及びこの充填容器よりなる充填容器群の効果については、第2の実施の形態と同様である。
図23はこの発明の第4の実施の形態による収納容器の平面図であって、第2の実施の形態の図9に対応するものである。
図を参照して、収納容器群15は、コーナーが円弧状に形成された正方形状の積層シート群をプレス成形して形成されており、各々が重なり合った収納容器5a〜5eによって構成されている。最上部に位置する収納容器5aは、正方形状の底部11aと、底部11aの四隅の各々から外方上方に立ち上がる同一高さの第1側壁部12aと、底部11aの外周から外方上方に立ち上がる、第1側壁部12aとほぼ同一高さの第2側壁部12bとを備えている。又、第1側壁部12aには、均一に上方に延びる同一形状の複数の襞9が形成されていると共に、対向する一組の第2側壁部12bの各々には、上方に延びる同一形状の変形部21a、21bとが形成されている。従って、収納容器5aにおいては、底部11aの中心点Rを回転軸として、2回回転対称性を有している。尚、収納容器5aが変形部21a、21bを有さない場合、その収納容器5aにおいては4回回転対称性を有することになる。即ち、収納容器5aは変形部21a、21bによって(4−2)回回転対称性となる。
そして、収納容器5aの下部に位置する収納容器5b〜5eの各々は、収納容器5aと相似状に形成されているため、同様に2回回転対称性を有している。尚、この実施の形態による収納容器群15の収納容器5a〜5eの効果、この実施の形態による収納容器5a〜5eよりなる充填容器の効果及びこの充填容器よりなる充填容器群の効果については、第3の実施の形態と同様である。
尚、上記の各実施の形態では、積層シート群の各シートは紙シートとこの紙シートに貼り合わされたフィルムとで構成されているが、例えば紙シートのみ、フィルムシートのみ、紙シートの両面にフィルムシートを貼り合わせたもの又はアルミ箔等、他の素材で構成されていても良い。
又、上記の各実施の形態では、積層シート群は5枚のシートによって構成されているが、5枚に限らず他の複数枚のシートによって構成されていても良い。
更に、上記の各実施の形態では、3個の充填容器によって充填容器群が形成されているが、充填容器群は少なくとも2個以上の充填容器によって構成されていれば良い。
更に、上記の第1の実施の形態では、充填容器群における第1の充填容器と第2の充填容器とは、同一の回転対称位置で重ね合わされているが、例えば、襞同士の位置をずらすようにして第1の充填容器と第2の充填容器との回転対称位置を異ならせて重ね合わせても良い。その場合、第2〜第4の実施の形態による充填容器群と同様の効果を発揮する。
更に、上記の第1の実施の形態では、収納容器はn回(36回)回転対称性を有しているが、収納容器は1回回転対称性であっても、充填容器としての効果を同様に発揮する。
更に、上記の第2の実施の形態では、収納容器の各々には特定数の襞が形成されているが、襞はn(nは2以上の自然数)個形成されていれば他の個数でも良い。又、その際、特定襞によって平面視において多くとも(n−1)回回転対称性を有するものになっていれば良い。
更に、上記の第2の実施の形態では、特定襞は回転軸に対して対向する位置に2個設けられているが、収納容器の各々が2n(nは2以上の自然数)個の襞を有していれば、特定襞は、多くとも(2n−1)回回転軸に対して対向位置に少なくとも2の倍数設けられていれば、重ね合わせた状態が安定するため尚良い。又は、特定襞は1個でも良い。
更に、上記の第2の実施の形態では、第1の製造方法によって製造された充填容器よりなる充填容器群においては、第2の充填容器を90°回転させて第1の充填容器に重ね合わせているが、90°以外の回転位置であっても、第1の充填容器と第2の充填容器との回転対称位置が不一致であれば良い。
更に、上記の第2の実施の形態では、第2の製造方法によって製造された充填容器の収納容器の各々は、各々が下部に位置する収納容器に対して90°回転した状態で重ね合わされているが、90°回転に限らず、平面視において上部に位置する収納容器の回転対称位置と下部に位置する収納容器の回転対称位置とが不一致となるように重ね合わされていれば良い。
更に、上記の第2及び第3の実施の形態では、特定襞は特定形状に形成されているが、特定襞は、隣接する通常の襞の少なくとも1つの水平断面形状と異なるように形成されていれば、他の形状であっても良い。
更に、上記の第2〜第4の実施の形態では、第1の製造方法によって製造された充填容器よりなる充填容器群において、上下の充填容器の回転対称位置が一致しないように充填容器の各々を重ね合わせているが、第1の充填容器の最上部の収納容器の回転対称位置に対して、少なくとも第1の充填容器の上に重ねるように配置される第2の充填容器の最下部の収納容器の回転対称位置が一致しないように互いが重ね合うように構成されていれば良い。
更に、上記の第3及び第4の実施の形態では、収納容器群は特定形状に形成されているが、底部と、底部の外周から外方上方に立ち上がり、その一部に少なくとも複数の襞が形成された略同一高さの側壁部とを備え、平面視においてm(mは2以上の自然数)回回転対称性を有する複数の収納容器において、側壁部の一部を変形させることによって、平面視において多くとも(m−1)回回転対称性を有するように形成したものであれば、他の形状であっても良い。
更に、上記第4の実施の形態では、変形部は特定形状に形成されているが、変形部は、第1側壁部又は第2側壁部の少なくとも一部を変形させたものであれば、他の形状であっても良い。
この発明は充填容器及び充填容器群に関し、特に、複数のシート状の被成形体を重ねた状態でプレス成形することによって一体的に形成される収納容器を用いた充填容器及び充填容器群に関するものである。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、充填容器を構成する収納容器の各々の分離が容易な充填容器及び充填容器群を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、食品等を充填するために供給される複数の充填容器であって、充填容器は、同一形状の複数のシート状の被成形体を重ねた状態でプレス成形することによって一体的に形成され、各々が、底部と、底部の外周から外方上方に立ち上がる略同一高さの側壁部とを備えた複数の収納容器が分離され、内寸の小さな収納容器の上に内寸の大きな収納容器を相似状に順次重ねるようにして構成され、被成形体は円形シート状であり、収納容器の各々は、底部が円形形状に形成されると共に、側壁部には、その全周に亘って上方に延びるn(nは2以上の自然数)個の襞が形成され、平面視においてn回回転対称性を有し、内寸の小さな収納容器の襞の各々と、プレス成形時にこれに接する内寸の大きな収納容器の襞の各々とが対応しないように、これらは重ねられるものである。
このように構成すると、成形時の収納容器の側壁部の状態に比べて、内寸の大きな収納容器の側壁部の上端が内寸の小さな収納容器の側壁の上端より十分上の位置となると共に、底部同士が接触あるいは近接しない。又、内寸の小さな収納容器の襞の各々と、プレス成形時に一体的に形成されたこれに接する内寸の大きな収納容器の襞の各々とが不一致になる。
請求項2記載の発明は、請求項1の充填容器を複数重ね合わせて供給するための充填容器群であって、第1の充填容器と、第1の充填容器の上に重ねるように配置される第2の充填容器とを備え、平面視において、第1の充填容器の最上部の収納容器の回転対称位置に対して、少なくとも第2の充填容器の最下部の収納容器の回転対称位置が一致しないように互いに重ね合わされるものである。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、成形時の収納容器の側壁部の状態に比べて、内寸の大きな収納容器の側壁部の上端が内寸の小さな収納容器の側壁の上端より十分上の位置となると共に、底部同士が接触あるいは近接しないため、充填容器の供給時において、これらの収納容器の分離が容易となる。又、内寸の小さな収納容器の襞の各々と、プレス成形時に一体的に形成されたこれに接する内寸の大きな収納容器の襞の各々とが不一致になるため襞同士のなじみが少なくなり、重ね合わされた収納容器の分離が更に容易となる。
請求項2記載の発明は、第2の充填容器の最下部の収納容器の側壁部の上端が第1の充填容器の最上部の収納容器の側壁部の上端より十分上の位置になるため、第2の充填容器から第1の充填容器に供給が移る際、第2の充填容器の最下部の収納容器の分離が容易となる。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、食品等を充填するために供給される複数の充填容器であって、充填容器は、同一形状の複数のシート状の被成形体を重ねた状態でプレス成形することによって一体的に形成され、各々が、底部と、底部の外周から外方上方に立ち上がる略同一高さの側壁部とを備えた複数の収納容器が分離され、収納容器の開放部を上とすると、内寸の小さな収納容器の上に内寸の大きな収納容器を相似状に順次重ねるようにして構成され、被成形体は円形シート状であり、収納容器の各々は、底部が円形形状に形成されると共に、側壁部には、その全周に亘って上方に延びるn(nは2以上の自然数)個の襞が形成され、平面視においてn回回転対称性を有し、内寸の小さな収納容器の襞の各々と、プレス成形時にこれに接する内寸の大きな収納容器の襞の各々とが対応しないように、これらは重ねられるものである。