JP2014176867A - 鋳片引抜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定期点検及び交換などのメンテナンスをする際に、連続鋳造設備から外部へ取り出すことが容易とされた鋳片引抜装置を提供する。
【解決手段】複数のストランドで構成された連続鋳造設備30に設けられていて、鋳片32を引き抜く一対のピンチロール6を備えた少なくとも1つのロールスタンド2と、ピンチロール6に回転駆動力を付与する駆動装置3と、駆動装置3からロールスタンド2に回転駆動力を伝える伝達軸4とを備えた鋳片引抜装置1において、前記駆動装置3は、前記ロールスタンド2の下方であって、当該駆動装置3に備えられた出力軸13が上方に向くように配置され、前記出力軸13には、伝達軸4が連結されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、連続鋳造設備を構成する鋳片引抜装置に関する。
一般に、連続鋳造設備では、取鍋により運ばれてきた溶鋼がタンディッシュに注がれ、注がれた溶鋼はタンディッシュを経て鋳型に注入される。注入された溶鋼は鋳型下部から鋳片として引き抜かれ、この鋳片はサポートロールで保持されながらさらに下流側へと引き抜かれる。鋳片を引き抜くためのピンチ力は、鋳片の搬送路(パスラインと呼ぶこともある)に沿って配備された鋳片引抜装置により付与される。
鋳片引抜装置は、パスラインを介して上下に対向する一対若しくは複数対のピンチロールと、これらピンチロール間の間隔を拡縮する拡縮装置を有したロールスタンドと、各対のピンチロールを回転駆動させるロ−ル回転駆動装置と、で構成されている。この鋳片引抜装置は、各対のピンチロールにパスライン上に搬送される鋳片を挟持させ、この状態で各ピンチロールをパスライン下流側に向けて回転駆動させることにより鋳片をパスライン上流側から下流側に引き抜く装置である。
このように、鋳片をパスライン上流側から下流側に引き抜く装置としては、特許文献1や特許文献2に開示されたものがある。
特許文献1は、多ストランドの湾曲型連続鋳造設備において、曲率半径が異なる湾曲部の上流位置と下流位置及び水平部の鋳辺案内通路に沿って配置する各ピンチロールユニットの上方の架構上に電動機及び減速機等の駆動装置を搭載し、該駆動装置の駆動力を下方のピンチロール側へ伸びる長尺なユニバーサルスピンドルを介して駆動ロール端部に設置したウォーム減速機に伝える構成とし、かつ、上記湾曲部の曲率の異なる上流位置と下流位置及び水平部の3ヵ所に配置する各ピンチロールユニットに組み込む上記駆動ロールは、鋳片を挟む上下一対のロールを鋳片案内方向に沿って複数対間隔をあけて組み込み、これら複数対の上下ロールは、上下ロールの中心を結ぶ互いに平行となるとともに上ロールの下ロールに対する摺動方向が平行となるように設定し、上記3ヵ所に配置するピンチロールに互換性を持たせた鋳片引抜装置を開示する。
特許文献2は、上下駆動ロールの組それぞれ個別に、駆動用電動機とこの駆動用電動機に直結された減速機とで構成された駆動装置を設けるとともに、この駆動装置が連続鋳造設備の鋳型下の架構上に出力軸を鋳片パスラインに向けて配置されている鋳片引抜装置を開示する。
また、特許文献1及び特許文献2の鋳片引抜装置以外に、鋳片引抜装置としては、特許文献3のものがある。
特公昭62−32019号公報 特許3204594号公報 実公平3−44368号公報
特許文献1の鋳片引抜装置においては、同文献の図4及び図5に示すように、駆動装置が、ロールスタンドの上方に配置されている。また、特許文献2の鋳片引抜装置においても、同文献の図2に示すように、NO.2ストランド用の駆動装置が、NO.2ストランド用のウォーム減速機のほぼ真上に配置されている。同様に、NO.3ストランド用の駆動装置が、NO.3ストランド用のウォーム減速機のほぼ真上に配置されている。このような鋳片引抜装置に対し、定期点検及び交換などのメンテナンスをする際には、連続鋳造設備からこの鋳片引抜装置(ロールスタンド)を外部へ取り出すことが必要となる。
また、特許文献3に開示された鋳片引抜装置も、上記した鋳片引抜装置と同様の構成となっている。
しかしながら、特許文献1〜特許文献3に開示されたような鋳片引抜装置では、駆動装置がロールスタンドのほぼ真上に配置されており、このロールスタンドを連続鋳造設備の上方に引き上げて外部へ取り出す場合、ロールスタンドと駆動装置とが干渉する虞がある。また、特許文献3に開示された鋳片引抜装置においては、同文献の図2に示すように、ロールスタンドが、No.1ストランド、No.2ストランド、No.3ストランドでそれぞれ異なる形式のもの用いられており、鋳片引抜装置を交換する際に用いられる交換用のガイドレールを設置することができない問題もある。
上記した干渉の問題を回避するためには、ストランド間隔を広げ、鋳片引抜装置を取り出すスペースを確保するといった措置が有効かもしれないが、ストランドの間隔を広げると、連続鋳造設備が大型になってしまう虞がある。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、定期点検及び交換などのメンテナンスをする際に、連続鋳造設備から外部へ取り出すことが容易とされた鋳片引抜装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る鋳片引抜装置は、複数のストランドで構成された連続鋳造設備に設けられていて、鋳片を引き抜く少なくとも一対のピンチロールを備えた少なくとも1つのロールスタンドと、前記ピンチロールに回転駆動力を付与する駆動装置と、前記駆動装置からロールスタンドに回転駆動力を伝える伝達軸とを備えた鋳片引抜装置において、前記駆動装置は、前記ロールスタンドの下方であって、当該駆動装置に備えられた出力軸が上方に向くように配置され、前記出力軸には、伝達軸が連結されていることを特徴とする。
好ましくは、前記駆動装置は、一のストランドと当該一のストランドに隣接する他のストランドとの間であってその下方に配置されているとよい。
好ましくは、前記駆動装置に連結された伝達軸は、各ストランドに向かって上方に延設され、前記ロールスタンドの動力入力部に連結されているとよい。
好ましくは、前記駆動装置を構成する電動機用減速機に備えられた回転出力軸は、当該の軸心が鋳片を引き抜く方向に対して、水平面への投影において交差するように配置されているとよい。
本発明の鋳片引抜装置を用いることで、鋳片引抜装置の上方のスペースを広く確保することができ、鋳片引抜装置の交換を容易にすることができる。
本発明の鋳片引抜装置の正面図である。 No.2ストランドに配備された鋳片引抜装置を動力入力部側から見た側面図であって、図1のB側から見た図である。 連続鋳造設備の概略構成を示す斜視図である。 本発明の鋳片引抜装置の変形例を示す正面図である。
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
図3には、本実施形態の鋳片引抜装置1が備えられる連続鋳造設備30の概略が示されている。
図3に示される連続鋳造設備は、多ストランド用の湾曲型の連続鋳造設備30であり、鋳型31の下端から引き抜かれた鋳片32(ブルーム、ビレット)は、複数のサポートロール33で支持されつつ緩やかに曲げられ、最後は水平方向に引き抜かれるようになる。つまり、連続鋳造設備30は、鋳型31の下端を始端部として湾曲状にパスラインが終端部まで延びている。
図3に示される連続鋳造設備30は、2本のストランドを有するものとなっているが、これは例示であって、図1に示すように、連続鋳造設備30は3ストランド以上の多ストランド型であってもよい。
図3に示すように、連続鋳造設備30は、溶鋼を一時的に蓄え鋳型31へ注入するタンディッシュ34と、溶鋼を鋳造する鋳型31と、鋳型31から出たブルーム等の鋳片32
を支えつつ移送する複数のサポートロール33とを有している。また、パスラインの中途部から終端部の間(図3中のA)の複数位置に鋳片引抜装置1が配備されている。
また、各ストランドの下方には、圧延工程において排出される冷却水や金属ストリップより剥離したスケールを捕集し押し流すスケールスルース(図示せず)が配置されている。そのスケールスルースの底部よりも下方(湾曲部はストランドの外側)、すなわち基礎床面Fの下方には、カルバートと呼ばれる地下空間が形成され、各ストランドの下方を横断するようになっている。
このような構成の連続鋳造設備30では、取鍋により運ばれてきた溶鋼がタンディッシュ34に注がれ、注がれた溶鋼はタンディッシュ34に設けた浸漬ノズル35を介して鋳型31に注入される。鋳型31では注入された溶鋼が冷却(1次冷却)され、その表面部のみが凝固した状態の鋳片32となって、鋳型31下部から引き抜かれる。
パスラインに沿って引き抜かれた鋳片32は、各サポートロール33で保持されながら、鋳片引抜装置1が配備された湾曲状のパスラインの始端部から終端部に向けて通過する。その時、鋳片32はパスラインを通過している間に冷却(2次冷却)されている。そして、冷却されて水平になった鋳片32は、下流側に備えられたガス切断機(図示せず)で所定の長さに切断され、鋳片32が形成される。
なお、連続鋳造設備30では、同一鋼種の鋳造を連続的に行うことはもちろん、鋼種の異なる溶鋼を連続的に供給し、成分の異なった鋳片32が連なるように製造することもある。
図1、図2に示す如く、鋳片引抜装置1は、鋳型31から搬送される鋳片32を挟持して引き抜く上下一対のピンチロール6を複数備えたロールスタンド2と、各ピンチロール6に回転駆動力を付与する駆動装置3と、駆動装置3からロールスタンド2に回転駆動力を伝える伝達軸4と、を備えている。加えて、駆動装置3からの回転駆動力を所定の回転速度に減速するロールスタンド用減速機5が取付けられている。
図2に示す如く、ロールスタンド2には、上下一対のピンチロール6がパスラインに沿って複数(3体)連なるように配備されており、この3体のピンチロール6は、パスラインの左右両側に立設されるように設けられたサイドフレーム7に取り付けられている。
サイドフレーム7の下方には、パスラインに垂直で外方突出状にフランジが設けられたベースフレーム8が備えられている。このベースフレーム8は、基礎床面Fに対してボルト等の締結具(図示せず)を介して締結される。サイドフレーム7の下端部にはパスラインに垂直で外方突出状にフランジが設けられ、ベースフレーム8の上端部にはパスラインに垂直で外方突出状にフランジが設けられ、ボルト等の締結具(図示せず)を介して突出状フランジ部が相互に締結される。これにより、ロールスタンド2はベースフレーム8を介して基礎床面Fに固定される。また、上下一対のピンチロール6を上下方向で互いに近接離間可能に枢支するロール枢支機構9がロールスタンド2に備えられている。
ロールスタンド2を構成するサイドフレーム7の一方の外壁面には、カップリングで接続された上下一対のロールスタンド用減速機5が取り付けられている。本実施形態のロールスタンド用減速機5は、駆動装置3からの回転駆動力が入力される「動力入力部」であり、ウォームホイールとウォームギアで構成されたウォーム減速機を用いている。上側のウォーム減速機は上側のピンチロール6に連結され、下側ウォーム減速機は下側のピンチロール6に連結されている。そして、下側のウォーム減速機の入力軸10と、後述する駆動装置3(駆動用電動機11)からの回転駆動力を伝達する長尺の伝達軸4の上端側とがユニバーサルジョイントにより連結されている。伝達軸4の下端側は、後述する駆動装置3から延設される出力軸13に連結されている。
なお、本実施形態では、ロールスタンド用減速機5としてホローシャフト形ウォーム減速機を使用しているが、ピンチロール6に連接することができる直交減速機であれば、どのようなものであってもよい。また、本実施形態では、上下一対のピンチロール6をそれぞれ駆動させているが、上下のどちらか一方のピンチロール6だけを駆動させてもよい。
ロールスタンド2に備えられたピンチロール6に回転駆動力を付与する駆動装置3は、駆動用電動機11と、この電動機に連結される電動機用減速機12と、この減速機12と
それぞれのピンチロール6に設けられているウォーム減速機とを連結する伝達軸4と、を備えている。この駆動装置3は、ロールスタンド2の下側に形成された床面M(地下床面)に、上下一対のピンチロール6に対応する台数分配置されている。
上述した鋳片引抜装置1では、駆動用電動機11で発生した回転駆動力が電動機用減速機12、伝達軸4、ロールスタンド用減速機5を介して、上下一対のピンチロール6に伝達されることにより、この上下一対のピンチロール6が回転し、上下一対のピンチロール6に挟持された鋳片32を引き抜くようにしている。
なお、本実施形態に採用しているロールスタンド2の作動態様及び駆動力伝達構造は、基本的に従来のものと変わりはないので、その詳細な説明は省略する。
次に、上述した鋳片引抜装置1の配置について説明する。
本発明に係る鋳片引抜装置1は、図3のAに示す位置、すなわち連続鋳造設備30の曲げ部(湾曲部)から矯正部にかけて配置されているものである。
図1は、本発明の鋳片引抜装置1を正面から見た図であり、紙面の左右方向が装置における左右方向とする。また、図2(b)は、No.2ストランドに配備された鋳片引抜装置1をロールスタンド用減速機5側から見た側面図であって、図1のB側から見た図であり、図2(a)は、図2(b)のC−C断面図(平面図)であり、紙面の左をパスラインの上流側、紙面の右をパスラインの下流側とする。つまり、紙面の左側から右側に向かって鋳片が引き抜かれるようにとなっている。
本実施形態の場合、図1に示すように、3つのパスライン、つまり、3本のストランドが連続鋳造設備30に備えられている。なお、この3本のストランドを紙面に向かって左側からNo.1ストランド(#1)、No.2ストランド(#2)、No.3ストランド(#3)とする。
まず、No.1ストランド(#1)に配置された鋳片引抜装置1のロールスタンド2は、図1に示す如く、ロールスタンド用減速機5(動力入力部)が左側になるように配置されている。
次に、No.2ストランド(#2)に配置されたロールスタンド2は、ロールスタンド用減速機5が左側になるように配置されている。また、No.3ストランド(#3)に配置されたロールスタンド2は、ロールスタンド用減速機5が右側になるように配置されている。No.4ストランド(#4)が存在しない場合は、No.3ストランド(#3)に配置されたロールスタンド2を、No.1ストランド(#1)およびNo.2ストランド(#2)と同様にロールスタンド用減速機5が左側になるように配置してもよい。
例えば、No.4ストランド(#4)、No.5ストランド(#5)、No.6ストランド(#6)が存在するような場合、No.4ストランドに配置されたロールスタンド2はロールスタンド用減速機5が左側になるように配置され、No.5ストランドに配置されたロールスタンド2はロールスタンド用減速機5が右側になるように配置され、No.6ストランドに配置されたロールスタンド2はロールスタンド用減速機5が右側になるように配置するのが好ましい。
一方、図1、図2に示すように、ロールスタンド2を駆動させる駆動装置3は、3本のストランドの下方に設けられた地下空間の床面Mにそれぞれ配置されている。この床面Mは、連続鋳造設備30が配備される基礎床面Fの地下構造として形成されている。
図1に示すように、駆動装置3は、駆動用電動機11と、この駆動用電動機11の側方に設置された電動機用減速機12Aと直交ギヤボックス12Bとで構成されている。電動機用減速機12Aの出力軸と直交ギヤボックス12Bの入力軸とはカップリング(図示せず)を介して連接されている。駆動用電動機11は横置きとされ、駆動用電動機11の回転出力軸は電動機用減速機12Aに入力される。電動機用減速機12Aで減速された回転駆動力は、直交ギヤボックス12Bの上面から上方突出状に設けられた出力軸13へと出力される。この出力軸13と伝動軸4の下端側がユニバーサルジョイントで連結されている。このように横置きで駆動装置3を配備することで、地下空間の高さを低くすることができる。
なお、図1では、駆動用電動機11の左側に電動機用減速機12Aと直交ギヤボックス
12Bが配備されているが、駆動用電動機11の右側に電動機用減速機12Aと直交ギヤボックス12Bが配備されていてもよい。また、電動機用減速機12Aの回転出力軸と直交ギヤボックス12Bの回転入力軸とを平行に配置するのが好ましいが、これら回転出力軸と回転入力軸とを平行にすることができない場合は、例えば等速ボールジョイントなどの等速自在継手を使用すればよい。
また、出力軸13と伝達軸4の下端側がユニバーサルジョイントで連結されているため、出力軸13と伝動軸4とは完全に同軸になっていなくてもよく、交差するように配備されていてもよい。加えて、ロールスタンド2に設けられたウォーム減速機の入力軸10と伝達軸4の上端側とがユニバーサルジョイントにより連結されているため、入力軸10と伝達軸4とは同軸状でなくでもよい。そのため、ロールスタンド2の略下方に駆動装置3は存在していればよく、伝動軸4が斜め上方に突出状とされていてもよい。また、直交ギヤボックス12Bの出力軸とロールスタンド用減速機5の入力軸10とを平行に配置するのが好ましいが、これら出力軸と入力軸とを平行にすることができない場合は例えば等速ボールジョイントなどの等速自在継手を使用すればよい。
図1に示す如く、No.1ストランドに配置されたロールスタンド2を駆動させる駆動装置3は、No.1ストランドとNo.2ストランドとの間の略中央部下方に設けられ、且つ駆動用電動機11の回転出力軸が左方向を向くように横置きで配置されている。
また、図2(b)のC−C断面である図2(a)に示す如く、駆動装置3は、床面Mの上面に連続鋳造設備30の上流側から下流側(鋳片引抜方向)に向けて連なるように複数配置されており、電動機用減速機12Aに備えられた回転出力軸は、当該回転出力軸の軸心が鋳片を引き抜く方向に対して、水平面への投影において交差(直交)するように配置されている。つまり、電動機用減速機12Aの回転出力軸の軸心を含む垂直方向の平面と、鋳片を引き抜く方向を含む垂直方向の平面とが交差するように配置されている。
このように配置することで、上流側の駆動装置3と下流側の駆動装置3とが非干渉とすることができる。特に、上下一対のピンチロール6がパスラインに沿って3体連なるように配備されたロールスタンド2で、上流側のロールスタンド用減速機5と下流側のロールスタンド用減速機5とが近接している場合、駆動装置3を上述したような配置にすることが望ましい。なぜならば、上流側のロールスタンド用減速機5と下流側のロールスタンド用減速機5とが近接している場合において、鋳片引抜方向に平行に駆動用電動機11の回転出力軸を配置すると、駆動装置3が鋳片引抜方向に延びるように配置され、隣接する駆動装置3に干渉する虞があるためである。なお、電動機用減速機12Aの回転出力軸の軸心が鋳片を引き抜く方向に対して、平面視で水平方向に斜めに配置してもよい。
また、No.2ストランドに配置されたロールスタンド2を駆動させる駆動装置3も、No.2ストランドとNo.3ストランドとの間の略中央部下方に設けられ、且つ駆動用電動機11の回転出力軸が左方向を向くように横置きで配置されている。このように配置された駆動装置3は、床面Mの上面であって連続鋳造設備30の上流側から下流側に向けて連なるように複数配置されている。
つまり、駆動装置3は、各ストランドに配備されたロールスタンド2のロールスタンド用減速機5(動力入力部)の下方に配置され、ロールスタンド用減速機5と直交ギヤボックス12Bとが、略同一直線上に配置されている。一組のピンチロール6に一つの駆動装置3が対応するように設けられて、直交ギヤボックス12Bはストランドに沿うように略一直線上に上流側から下流側に配備され駆動装置3はストランドに沿うように上流側から下流側に配備されている。
そして、駆動装置3からの回転駆動力をロールスタンド2に伝達する伝達軸4は、駆動装置3の直交ギヤボックス12Bから各ストランドに向かって上方に立ち上がるように延設され、ロールスタンド2の動力入力部5に連結されている。この伝達軸4は、連続鋳造設備30が配備される基礎床面Fを垂直に貫通するように設けられた貫通孔内を貫通するようになっている。この貫通孔は、伝達軸4ごとに設けているが、複数の伝達軸4共通の貫通孔にしてもよい。
以上述べた如く、駆動装置3を隣接するストランドの間の略中央部下方に鋳片引抜方向
(前後方向とも呼ぶ)に沿って一列に並んで配置することで、ロールスタンド2の上方の空間を大きく空けることができる。これにより、鋳片引抜装置1(ロールスタンド2)の交換を容易にすることができる。
また、図4に示すように、駆動用電動機11と電動機用減速機12Aとが一体として構成されている駆動装置3を上下方向に直立した状態、すなわち出力軸13を上方に向くように配備してもよい。この場合、直交ギヤボックス12Bを用いなくても、出力軸13と伝達軸4とを連結することができる。このように駆動装置3を直立した状態で配備することで、隣接配置が可能となり、地下空間におけるスペースを小さくすることができる。すなわち、駆動装置3の配置の自由度が向上するようになる。
また、駆動装置3を各ストランドの下方に配置し隣接するストランドの駆動装置3が相互に干渉しないように適宜配置しさえすれば、隣接するストランドの間隔を小さくする(狭める)ことができる。それ故、連続鋳造設備30全体としての左右方向の幅を狭めることができ、連続鋳造設備30の規模をコンパクトにすることができる。そして、コンパクトになった連続鋳造設備30を狭小エリアに建設することができ、且つ建設コストの増加も抑えることができる。また、耐火物のコスト増を抑えた小型のタンディッシュ34を用いることができる。また、各ストランドに配置されたロールスタンド2として、同じ形状や形式の装置を使用することができ、コストダウンに資することが可能となる。また、連続鋳造設備30の湾曲部では、ロールスタンド2の交換を容易にするためのガイドレールを設置することができる。
なお、これまでの技術では、駆動装置3を鋳片引抜装置1本体に配置することが一般的であったが、本発明の鋳片引抜装置1を用いることで、駆動装置3を高温の鋳片32から離れた場所に設置することができ、保守点検も容易になる。
また、伝達軸4として、ヨーク式のようなユニバーサルジョイントで連結されたスピンドル軸を採用したが、等速ボールジョイントなどの等速自在継手で連結されたスピンドル軸を伝達軸4として採用してもよい。
本実施形態では、駆動装置3の出力軸13とホローシャフト形ウォーム減速機5の入力軸10とを1本のユニバーサルスピンドル(伝達軸4)で連接しているが、複数の伝達軸4を用いて、駆動装置3の出力軸13とウォーム減速機5の入力軸10とを連結することも可能である。例えば、基礎床面F近傍に「中間軸」を設けて、駆動装置3の出力軸13と中間軸とをユニバーサルスピンドルで連結し、中間軸とホローシャフト形ウォーム減速機の入力軸とを別のユニバーサルスピンドルで連結することも可能である。
この場合、本実施形態の伝達軸4に比べて短尺のユニバーサルスピンドルを使用することができる。そのため、鋳片引抜装置1へのユニバーサルスピンドルの着脱作業が容易になる。さらに、中間軸の近傍において、基礎床面Fの貫通孔を塞げば、貫通孔から地下空間(床面M)への流下水を止水することができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、連続鋳造設備30の矯正部(水平部)に配置された鋳片引抜装置1について詳細に説明したが、パスラインの湾曲部などに配置された鋳片引抜装置1であっても適用可能である。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 鋳片引抜装置
2 ロールスタンド
3 駆動装置
4 伝達軸(ユニバーサルスピンドル)
5 ロールスタンド用減速機(動力入力部)
6 ピンチロール
7 サイドフレーム
8 ベースフレーム
9 ロール枢支機構
10 入力軸
11 駆動用電動機
12A 電動機用減速機
12B 直交ギヤボックス
13 出力軸
30 連続鋳造設備
31 鋳型
32 鋳片
33 サポートロール
34 タンディッシュ
35 浸漬ノズル
F 基礎床面
M 床面(地下床面)

Claims (4)

  1. 複数のストランドで構成された連続鋳造設備に設けられていて、鋳片を引き抜く少なくとも一対のピンチロールを備えた少なくとも1つのロールスタンドと、前記ピンチロールに回転駆動力を付与する駆動装置と、前記駆動装置からロールスタンドに回転駆動力を伝える伝達軸とを備えた鋳片引抜装置において、
    前記駆動装置は、前記ロールスタンドの下方であって、当該駆動装置に備えられた出力軸が上方に向くように配置され、
    前記出力軸には、伝達軸が連結されていることを特徴とする鋳片引抜装置。
  2. 前記駆動装置は、一のストランドと当該一のストランドに隣接する他のストランドとの間であってその下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鋳片引抜装置。
  3. 前記駆動装置に連結された伝達軸は、各ストランドに向かって上方に延設され、前記ロールスタンドの動力入力部に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳片引抜装置。
  4. 前記駆動装置を構成する電動機用減速機に備えられた回転出力軸は、当該の軸心が鋳片を引き抜く方向に対して、水平面への投影において交差するように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳片引抜装置。
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