JP2014173864A - 放射線検出装置および試料分析装置 - Google Patents

放射線検出装置および試料分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】容易にエネルギー校正が必要か否かを判断することができる放射線検出装置を提供する。
【解決手段】 放射線検出装置100は、放射線Sxを検出して、当該放射線Sxのエネルギーに応じた波高を有するパルス信号とし、パルス信号の波高をエネルギーに変換して、放射線スペクトルを生成する放射線検出装置であって、放射線スペクトルに現れるピークの帰属を行う定性分析部42と、帰属されたピークに基づいて、波高を放射線エネルギーに変換するためのエネルギー変換値を算出する変換値算出部44と、算出されたエネルギー変換値に基づいて、エネルギー校正が必要か否かを判定するエネルギー校正判定部45と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射線検出装置および試料分析装置に関する。
放射線検出装置は、X線やγ線等の放射線を検出して放射線スペクトルを生成する装置である。このような放射線検出装置として、エネルギー分散型X線検出装置(Energy Dispersive X−ray spectroscopy、EDS)や、波長分散型X線検出装置(Wavelength−Dispersive X−ray spectroscopy、WDS)が知られている。
エネルギー分散型X線検出装置では、マルチチャンネルアナライザー(Multi Channel Analyzer、MCA)によって波高分布が形成される。この時点では、波高値に対する分布であるために、X線スペクトルになっていない。そこで、波高値をX線エネルギーに変換することによって、初めてX線スペクトルとなる。波高値(ch)をX線エネルギーEに変換するためには、一般的に、下記式(1)が用いられる。
E=ゲイン×ch+オフセット・・・(1)
エネルギー分散型の検出器では、例えば、既知元素を含有するエネルギー校正用標準試料を測定して、式(1)のゲインとオフセットを求めることで、エネルギー校正が行われる。
例えば、エネルギー分散型の検出器を用いた蛍光X線検出装置では、検出器やその後段の信号処理回路の経時変化などによって、エネルギー位置ずれ、つまり蛍光X線スペクトルの横軸位置のずれが生じる場合がある。エネルギー位置ずれがある程度大きくなると、例えば、ある元素のスペクトル線が存在しても、そのスペクトル線に対応したエネルギーとその元素に対応した理論的なエネルギーとの乖離が大きくなり、そのスペクトル線が当該元素に対応したものであると同定されないおそれがある。あるいは、そのスペクトル線が他の元素に対応したものであると誤った帰属がなされるおそれがある。そこで、上記のようなエネルギー位置のずれを修正するために、エネルギー校正が行われる。
例えば、特許文献1には、シャッターに、直接、エネルギー校正用の標準試料を配設することにより、標準試料を装置内部に常備して、標準試料交換の手間を省き、エネルギー校正を迅速かつ簡単にした蛍光X線分析装置が開示されている。
従来、上記のようなエネルギー校正作業の要否は、分析者自身が判断している。具体的には、例えば、装置の使用時間や使用回数などを管理しておき、所定の使用時間経過ごと、あるいは所定の使用回数ごとにエネルギー校正が必要であると判断し、エネルギー校正用試料を用いたエネルギー校正を実施している。
特開平10−48161号公報
しかしながら、上記のような方法では、エネルギー校正が必要な状態であるか否かを必
ずしも適切に知ることはできない。そのため、エネルギー校正が必要でないにもかかわらず、エネルギー校正を実施してしまうことがある。
また、不必要なエネルギー校正を避けようとしてエネルギー校正の頻度を下げると、例えば複数の試料に対する連続測定の途中でエネルギー位置ずれが許容範囲を超えてしまうおそれがある。その場合、どの時点でエネルギー位置ずれが許容範囲を超えたのか不明であるため、すでに得られた測定結果の全てを信頼性がないものとして廃棄するか、あるいは測定結果の1つ1つについて正しい結果か否かを評価する作業が必要となる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、容易にエネルギー校正が必要か否かを判断することができる放射線検出装置および試料分析装置を提供することができる。
(1)本発明に係る放射線検出装置は、
放射線を検出して、当該放射線のエネルギーに応じた波高を有するパルス信号とし、前記パルス信号の波高をエネルギーに変換して、放射線スペクトルを生成する放射線検出装置であって、
前記放射線スペクトルに現れるピークの帰属を行う定性分析部と、
帰属された前記ピークに基づいて、前記波高を前記放射線エネルギーに変換するためのエネルギー変換値を算出する変換値算出部と、
算出された前記エネルギー変換値に基づいて、エネルギー校正が必要か否かを判定するエネルギー校正判定部と、
を含む。
このような放射線検出装置によれば、定性分析によって帰属されたピークに基づいて、エネルギー変換値を算出し、エネルギー校正が必要か否かを判定することができる。これにより、例えばエネルギー校正用の標準試料の測定を行わなくても、含まれる元素が未知の試料の測定から、エネルギー校正が必要か否かを判定することができる。したがって、容易にエネルギー校正が必要か否かを判断することができる。
(2)本発明に係る放射線検出装置において、
前記エネルギー校正判定部の判定結果に基づいて、エネルギー校正が必要か否かを通知する通知部を含んでいてもよい。
(3)本発明に係る放射線検出装置において、
前記エネルギー校正判定部によってエネルギー校正が必要と判定された場合に、前記変換値算出部で算出された前記エネルギー変換値を用いて、エネルギー校正を行うエネルギー校正部を含んでいてもよい。
(4)本発明に係る放射線検出装置において、
帰属された前記ピークに基づいて、前記エネルギー変換値を算出するか否かを判定する変換値算出判定部を含み、
前記変換値算出判定部によって前記エネルギー変換値を算出しないと判定された場合に、前記変換値算出部は、前記エネルギー変換値の算出を行わなくてもよい。
(5)本発明に係る放射線検出装置において、
前記変換値算出部は、帰属された前記ピークに対応する元素の標準スペクトルまたは基底関数に基づいて、前記エネルギー変換値を算出してもよい。
(6)本発明に係る放射線検出装置において、
帰属された前記ピークに基づいて、前記波高を前記放射線エネルギーに変換するためのエネルギー分解能校正値を算出する分解能算出部と、
算出された前記エネルギー分解能校正値に基づいて、エネルギー分解能の校正が必要か否かを判定する分解能校正判定部と、
を含んでいてもよい。
(7)本発明に係る試料分析装置は、
本発明に係る放射線検出装置を含む。
このような試料分析装置によれば、定性分析によって帰属されたピークに基づいて、エネルギー変換値を算出し、エネルギー校正が必要か否かを判定することができる。これにより、例えばエネルギー校正用の標準試料の測定を行わなくても、含まれる元素が未知の試料の測定から、エネルギー校正が必要か否かを判定することができる。したがって、容易にエネルギー校正が必要か否かを判断することができる。
本実施形態に係る試料分析装置の構成を示す図。 本実施形態の放射線検出装置の処理部の処理の一例を示すフローチャート。 マルチチャンネルアナライザーで作成された波高分布図の一例を示す図。 スペクトル生成部で生成されたX線スペクトルの一例を示す図。 定性分析の結果の一例を示す図。 エネルギー変換値の算出方法を説明するための図。 第1変形例に係る放射線検出装置の構成を示す図。 第1変形例の放射線検出装置の処理部の処理の一例を示すフローチャート。 第2変形例に係るエネルギー変換値の算出方法を説明するための図。 第2変形例に係るエネルギー変換値の算出方法を説明するための図。 第3変形例に係る放射線検出装置の構成を示す図。 エネルギー分解能について説明するための図。 第3変形例の放射線検出装置の処理の一例を示すフローチャート。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 試料分析装置の構成
まず、本実施形態に係る試料分析装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る試料分析装置1の構成を示す図である。
試料分析装置1は、本発明に係る放射線検出装置を含んで構成されている。ここでは、本発明に係る放射線検出装置として、放射線検出装置100を用いた場合について説明する。
試料分析装置1は、励起源2と、放射線検出装置100と、を含んで構成されている。
試料分析装置1は、励起源2が試料Sに一次X線Pxを照射し、一次X線Pxを照射することにより試料Sから発生した二次X線(蛍光X線、もしくは特性X線)Sxを、放射線検出装置100で検出する。試料分析装置1は、例えば、エネルギー分散型の蛍光X線分析装置である。
励起源2は、試料Sに一次X線Pxを照射する。励起源2は、例えば、X線管、および高圧電源を含んで構成されている。励起源2は、図示はしないが、例えばフィラメントから発生した熱電子を高電圧で加速させ、金属ターゲットに衝突させて、一次X線Pxを発生させる。
放射線検出装置100は、図1に示すように、検出器10と、パルスプロセッサー20と、マルチチャンネルアナライザー30と、処理部40と、操作部50と、表示部52と、記憶部54と、記録媒体56と、を含んで構成されている。
検出器10は、二次X線Sxを検出する。検出器10は、例えば、シリコン単結晶にリチウムをドリフトさせたSi(Li)検出器、Siにドリフト電圧を印加したシリコンドリフト検出器等の半導体検出器である。検出器10は、エネルギー分散型の検出器である。検出器10は、階段の各段の高さが入射X線のエネルギー(波長)に対応する階段波(ステップ波)を出力する。
パルスプロセッサー20は、検出器10の出力信号(階段波)の各段の高さをその高さに比例したパルスに変換して、パルス信号を出力する。
マルチチャンネルアナライザー30は、入力されたパルス信号の波高値に応じて各パルスを弁別した後にそれぞれ計数し、波高分布図を作成する。具体的には、マルチチャンネルアナライザー30は、まず、パルスプロセッサー20の出力信号(アナログパルス信号)を、デジタル化する。そして、デジタル化されたパルス信号の波高値を取得し、1つのパルス(ピーク)ごとに、その波高値に応じて弁別して計数し、波高分布図を作成する。マルチチャンネルアナライザー30は、各パルス信号の波高を、マルチチャンネルアナライザー30の各チャンネルに対応させ、チャンネルごとに計数されたパルス数から波高分布図(図3参照)を作成する。
操作部50は、ユーザーが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部40に出力する。操作部50の機能は、キーボード、マウス、タッチパネル型ディスプレイなどのハードウェアにより実現することができる。
表示部52は、処理部40によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。表示部52は、例えばエネルギー校正の要否を表示することができる。
記憶部54は、処理部40のワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。記録媒体56(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部40は、記録媒体56に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。記録媒体56には、処理部40の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶することができる。
処理部40は、X線スペクトルを生成する処理、X線スペクトルに現れるピークの帰属を行う処理(定性分析処理)、波高を放射線エネルギーに変換するためのエネルギー変換値を算出する処理、エネルギー校正が必要か否かを判定する処理、エネルギー校正が必要か否かを通知する処理、エネルギー変換値を算出するか否かを判定する処理などの処理を行う。処理部40の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部40は、スペクト
ル生成部41と、定性分析部42と、変換値算出判定部43と、変換値算出部44と、エネルギー校正判定部45と、通知部46と、を含んで構成されている。
スペクトル生成部41は、マルチチャンネルアナライザー30が作成した波高分布図(図3参照)に基づいて、X線スペクトル(図4参照)を生成する処理を行う。具体的には、スペクトル生成部41は、波高分布図の横軸のチャンネル(波高値)chを、下記のエネルギー変換式(1)を用いて、エネルギーEに変換して、X線スペクトルを生成する。
E=A×ch+B・・・(1)
ここで、AおよびBは、エネルギー変換値であり、Aはゲイン、Bはオフセットである。ゲインAおよびオフセットBは、エネルギー変換式(1)の係数である。
エネルギー変換値A,Bは、エネルギー校正を行うことによって得られる。ここで、エネルギー校正とは、エネルギー位置(X線スペクトルの横軸)の位置ずれを修正することをいう。適切なエネルギー変換値A,Bの値を算出することで、エネルギー位置のずれを修正することができ、エネルギー校正を行うことができる。
定性分析部42は、X線スペクトルに現れるピークの帰属を行う定性分析処理を行う。放射線検出装置100では、例えば、元素が持つ特性X線のエネルギー値の情報が記憶部54にデータベース(特性X線データベース)として保持されており、定性分析部42は、当該特性X線データベースに基づいて、X線スペクトルの各ピークについて元素の帰属を行う。定性分析部42は、公知の定性分析方法を用いて、定性分析を行うことができる。
変換値算出判定部43は、帰属されたピークに基づいて、エネルギー変換値を算出するか否かを判定する処理を行う。変換値算出判定部43は、帰属された各ピークがエネルギー変換値を算出するには適さない場合に、エネルギー変換値を算出しないと判定する。
後述する変換値算出部44のエネルギー値の算出方法では、ピークが互いに近接していたり、重なったりしている場合、エネルギー変換値を精度よく算出することが困難である。エネルギー変換値を精度よく算出するためには、エネルギー変換値の算出に用いる2つのピークのエネルギー値の差が1keV以上である望ましい。したがって、変換値算出判定部43は、X線スペクトルにおいて、帰属されたピークのうち、ピーク間のエネルギー値の差が1keV以上のものがない場合に、エネルギー変換値を算出しないと判定する。
なお、エネルギー変換値の算出を行うか否かの判定基準はこれに限定されず、例えば、対象となるピークの半値幅が、当該ピークのエネルギー位置から想定される放射線検出装置100のエネルギー分解能よりも大きいか否かで判定してもよい。すなわち、変換値算出判定部43は、対象となるピークの半値幅が、放射線検出装置100のエネルギー分解能よりも大きい場合に、対象となるピークが他のピークと重なっているものとして、エネルギー変換値を算出しないと判定してもよい。
変換値算出部44は、帰属されたピークに基づいて、波高をX線エネルギーに変換するためのエネルギー変換値A,B(エネルギー変換式(1)の係数)を算出する処理を行う。
ここで、元素αと帰属されたピークのエネルギー値をXα、元素βと帰属されたピークのエネルギー値をXβ、元素αの特性X線エネルギーをEα、元素βの特性X線エネルギーをEβとすると、エネルギー変換式(1)から、ゲインAおよびオフセットBは、それ
ぞれ下記の式で表わされる。
A=(Eβ−Eα)/(Xβ−Xα)・・・(2)
B=(Eβ×Xα−Eα×Xβ)/(Xβ−Xα)・・・(3)
変換値算出部44は、式(2)および式(3)からエネルギー変換値(ゲインAおよびオフセットB)を算出する。変換値算出部44は、帰属されたピークのエネルギー値Xα,Xβを、生成されたX線スペクトルから2つのピークを選択することにより取得し、元素α、βの特性X線エネルギーEα,Eβを、記憶部54の特性X線データベースから取得する。X線スペクトルから選択される2つのピークは、ケミカルシフトの影響が小さい1keV以上のピークであることが望ましい。
なお、エネルギー変換値A,Bの算出方法はこれに限定されず、例えば、生成されたX線スペクトルから2つ以上のピークを選択して最小二乗法を用いてエネルギー変換値A,Bを算出してもよい。また、例えば、生成されたX線スペクトルの1つのピークから、オフセットBを固定値として、ゲインAのみを算出してもよい。また、例えば、生成されたX線スペクトルの1つのピークから、ゲインAを固定値として、オフセットBのみを算出してもよい。
エネルギー校正判定部45は、算出されたエネルギー変換値A,Bに基づいて、エネルギー校正が必要か否かを判定する処理を行う。エネルギー校正判定部45は、例えば、算出されたエネルギー変換値A,Bと、基準値との差に基づいて、エネルギー校正が必要か否かを判定する。基準値としては、例えば、前回のエネルギー校正で算出されたエネルギー変換値A,Bの値を用いることができる。すなわち、エネルギー校正判定部45は、エネルギー変換値A,Bの変化の程度に基づいて、エネルギー校正が必要か否かを判定する。
具体的には、エネルギー校正判定部45は、例えば、今回算出されたエネルギー変換値A,Bと前回算出されたエネルギー変換値A,Bとの差が、設定された閾値よりも大きい場合に、エネルギー校正が必要であると判定する。エネルギー校正判定部45は、例えば、今回算出されたゲインAと前回算出されたゲインAとの差および今回算出されたオフセットBと前回算出されたオフセットBとの差の少なくとも一方が、設定された各閾値よりも大きい場合に、エネルギー校正が必要と判定する。当該閾値は、任意に設定されることができる。
通知部46は、エネルギー校正判定部45の判定結果に基づいて、エネルギー校正が必要か否かを通知する処理を行う。通知部46は、エネルギー校正判定部45によってエネルギー校正が必要と判定された場合に、エネルギー校正が必要である旨をユーザーに通知する。通知は、例えば、表示部52へのメッセージの表示、警告灯(図示せず)の点灯、ブザー等の音による通知等によって行われる。通知の方法は特に限定されない。
なお、通知部46は、エネルギー校正判定部45によってエネルギー校正が不要と判定された場合に、エネルギー校正が不要である旨をユーザーに通知してもよい。
1.2. 試料分析装置の動作
次に、本実施形態に係る試料分析装置1の動作について、図面を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る放射線検出装置100の処理部40の処理の一例を示すフローチャートである。
試料分析装置1では、励起源2が試料Sに一次X線Pxを照射すると、試料Sから二次
X線Sxが発生する。検出器10は、この二次X線Sxを検出して、階段の各段の高さが入射X線のエネルギー(波長)に対応する階段波を出力する。そして、パルスプロセッサー20は、検出器10の出力信号(階段波)の各段の高さをその高さに比例したパルスに変換して、パルス信号を出力する。
マルチチャンネルアナライザー30は、パルスプロセッサー20の出力信号(アナログパルス信号)をデジタル化し、各パルス信号の波高をマルチチャンネルアナライザー30の各チャンネルに対応させ、チャンネルごとに計数されたパルス数から波高分布図を作成する。
図3は、マルチチャンネルアナライザー30で作成された波高分布図の一例を示す図である。波高分布図は、図3に示すように、横軸をチャンネル(波高値)、縦軸をカウント数(計数値)としたヒストグラムである。
スペクトル生成部41は、マルチチャンネルアナライザー30で作成された波高分布図から、X線スペクトルを生成する処理を行う(スペクトル生成処理S100)。具体的には、スペクトル生成部41は、図3に示す波高分布図の横軸のチャンネル(波高値)chを、エネルギー変換式(1)を用いて、エネルギーEに変換して、X線スペクトルを生成する。ここでは、ゲインAおよびオフセットBの値として、前回のエネルギー校正で算出したゲインAの値aおよびオフセットBの値bを用いている。すなわち、ここでは、エネルギー変換式(1)は以下のように表わされる。
E=a×ch+b
スペクトル生成部41は、上記式を用いて図3に示す波高分布図の横軸のチャンネル(波高値)chを、エネルギーEに変換して、X線スペクトルを生成する。
図4は、スペクトル生成部41で生成されたX線スペクトルの一例を示す図である。図4に示すように、X線スペクトルでは、横軸がX線エネルギーに変換されている。
次に、定性分析部42が、X線スペクトルに現れるピークの帰属を行う(定性分析処理S102)。定性分析部42は、記憶部54に記憶されている特性X線データベースに基づいて、定性分析を行う。
図5は、定性分析の結果の一例を示す図である。図5に示すように、定性分析部42は、X線スペクトルに現れるピーク(主要なピーク)に対して、元素の帰属を行う。
次に、変換値算出判定部43が、帰属されたピークに基づいて、エネルギー変換値の算出を行うか否かを判定する(変換値算出判定処理S104)。ここでは、変換値算出判定部43は、X線スペクトルにおいて、帰属されたピーク間のエネルギー値の差が1keV以上のものがある場合に、エネルギー変換値の算出を行うと判定し、帰属されたピーク間のエネルギー値の差が1keV以上のものがない場合に、エネルギー変換値の算出を行わないと判定する。
変換値算出判定部43が、エネルギー変換値の算出を行わないと判定した場合(S106でNOの場合)、処理部40は処理を終了する。すなわち、この場合、エネルギー校正を行うか否かの判定は行われない。
一方、変換値算出判定部43が、エネルギー変換値の算出を行うと判定した場合(S106でYESの場合)、変換値算出部44は、帰属されたピークに基づいて、エネルギー
変換値A,Bを算出する(エネルギー変換値算出処理S108)。変換値算出部44は、図5に示す帰属されたピークからエネルギー変換値A,Bの算出に適したピークを選択し、式(2)および式(3)からエネルギー変換値(ゲインAおよびオフセットB)を算出する。
図6は、エネルギー変換値A,Bの算出方法を説明するための図である。図6では、スペクトル生成部41で生成されたX線スペクトルを点で示し、元素α、元素βの各標準スペクトルを実線で示している。
また、下記表1は、図6に示すX線スペクトルにおいて帰属されたピークのエネルギー値Xα,Xβと、元素α,βの特性X線エネルギーEα,Eβと、を示す表である。
Figure 2014173864
変換値算出部44は、ピークのエネルギー値Xα,Xβを、生成されたX線スペクトルから2つのピークを選択することにより取得し、元素α、βの特性X線エネルギーEα,Eβを、記憶部54に記憶されている特性X線データベースから取得する。
変換値算出部44は、下記のように、表1に示す値から、式(2)を用いてゲインAを算出し、式(3)を用いてオフセットBを算出する。
A=(Eβ−Eα)/(Xβ−Xα
=(12.000−3.000)/(11.921−2.954)=1.004
B=(Eα×Xβ−Eβ×Xα)/(Xβ−Xα
=(3.000×11.921−12.000×2.954)/(11.921−2.954)=0.035
次に、エネルギー校正判定部45が、変換値算出部44が算出したエネルギー変換値A,Bに基づいて、エネルギー校正が必要か否かを判定する(エネルギー校正要否判定処理S110)。エネルギー校正判定部45は、例えば、今回算出されたゲインAの値(A=a=1.004)と前回算出されたゲインAの値(A=a)との差|a−a|が、予め設定されたゲインの閾値よりも大きい場合、または、今回算出されたオフセットBの値(B=b=0.035)と前回算出されたオフセットBの値(B=b)との差|b−b|が、予め設定されたオフセットの閾値よりも大きい場合、エネルギー校正が必要と判定する。
すなわち、エネルギー校正判定部45は、差|a−a|および差|b−b|の少なくとも一方が、それぞれ設定されている閾値よりも大きい場合に、エネルギー校正が必要と判定する。
また、エネルギー校正判定部45は、ゲインAの差|a−a|が、ゲインの閾値以下、かつ、オフセットの差|b−b|が、オフセットの閾値以下の場合、エネルギー校正が不要と判定する。
エネルギー校正判定部45が、エネルギー校正が必要と判定した場合(S112でYESの場合)、通知部46は、表示部52に、エネルギー校正が必要である旨のメッセージを表示させ、ユーザーに通知する(通知処理S114)。そして、処理部40は処理を終了する。
一方、エネルギー校正判定部45が、エネルギー校正が不要と判定した場合(S112でNOの場合)、処理部40は処理を終了する。なお、このとき、通知部46が、表示部52に、エネルギー校正が不要である旨のメッセージを表示させもよい。
本実施形態に係る放射線検出装置100および試料分析装置1は、例えば、以下の特徴を有する。
放射線検出装置100では、X線スペクトルに現れるピークの帰属を行う定性分析部42と、帰属されたピークに基づいて、パルス信号の波高をX線エネルギーに変換するためのエネルギー変換値A,Bを算出する変換値算出部44と、算出されたエネルギー変換値A,Bに基づいて、エネルギー校正が必要か否かを判定するエネルギー校正判定部45を含んで構成されている。そのため、放射線検出装置100によれば、定性分析によって帰属されたピークに基づいて、エネルギー変換値を算出し、エネルギー校正が必要か否かを判定することができる。これにより、例えばエネルギー校正用の標準試料の測定を行わなくても、含まれる元素が未知の試料の測定から、エネルギー校正が必要か否かを判定することができる。そのため、容易にエネルギー校正が必要か否かを判断することができる。
したがって、放射線検出装置100によれば、例えば、通常の被検試料の測定時においても、エネルギー校正が必要か否かを判定することができる。これにより、例えば、エネルギー校正が必要でないにもかかわらず、エネルギー校正を実施してしまうことを防ぐことができる。また、例えば、複数の試料に対する連続測定の途中でエネルギー位置ずれが許容範囲を超えてしまうことを防ぐことができる。
放射線検出装置100によれば、エネルギー校正判定部45の判定結果に基づいて、エネルギー校正が必要か否かを通知する通知部46を含むため、エネルギー校正が必要か否かを、ユーザーが適切に把握することができる。
放射線検出装置100によれば、帰属されたピークに基づいて、エネルギー変換値A,Bを算出するか否かを判定する変換値算出判定部43を含み、変換値算出判定部43によってエネルギー変換値A,Bを算出しないと判定された場合に、変換値算出部44は、エネルギー変換値A,Bの算出を行わないため、不正確なエネルギー変換値A,Bが算出されることを防ぐことができる。
試料分析装置1によれば、本発明に係る放射線検出装置を含むため、上述したように、容易にエネルギー校正が必要か否かを判断することができる。
3. 変形例
次に、本実施形態に係る放射線検出装置および試料分析装置の変形例について説明する。以下に示す変形例に係る放射線検出装置および試料分析装置において、本実施形態に係る放射線検出装置100および試料分析装置1の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
(1)第1変形例
まず、第1変形例について説明する。図7は、第1変形例に係る放射線検出装置200の構成を示す図である。
放射線検出装置200は、図7に示すように、エネルギー校正部210を含んで構成されている。
エネルギー校正部210は、エネルギー校正判定部45によってエネルギー校正が必要と判定された場合に、変換値算出部44で算出されたエネルギー変換値A,Bを用いて、エネルギー校正を行う。具体的には、エネルギー校正部210は、エネルギー変換式(1)のエネルギー変換値A,Bを、今回のエネルギー校正で算出されたエネルギー変換値A,Bに変更する処理を行う。
次に、放射線検出装置200の動作について説明する。図8は、放射線検出装置200の処理部40の処理の一例を示すフローチャートである。図8において、図2の処理と同様の処理については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図8に示すように、エネルギー校正判定部45が、エネルギー校正が必要と判定した場合(S112でYESの場合)、通知部46は、表示部52に、エネルギー校正が必要である旨のメッセージを表示させる(通知処理S114)。
次に、エネルギー校正部210は、変換値算出部44で算出されたゲインAの値a=1.004およびオフセットBの値b=0.035を用いて、エネルギー校正を行う(エネルギー校正処理S116)。具体的には、エネルギー校正部210は、前回算出されたゲインAの値aおよびオフセットBの値bに変えて、今回算出されたゲインAの値a=1.004およびオフセットBの値b=0.035を用いて、エネルギー変換式(1)を以下のように変更する。
E=a×ch+b=1.004×ch+0.035
これにより、エネルギー校正を行うことができる。そして、処理部40は処理を終了する。
なお、放射線検出装置200では、通知処理S114を行わずに、エネルギー校正処理S116を行ってもよい。この場合、通知部46は、エネルギー校正処理S116が行われた後に、表示部52に、エネルギー校正が行われた旨のメッセージを表示させてもよい。
放射線検出装置200によれば、エネルギー校正判定部45によってエネルギー校正が必要と判定された場合に、変換値算出部44で算出されたエネルギー変換値A,Bを用いて、エネルギー校正を行うことができる。そのため、放射線検出装置200によれば、エネルギー校正の自動化を図ることができる。
(2)第2変形例
次に、第2変形例について説明する。
上述した放射線検出装置100では、変換値算出部44が、式(2)および式(3)を用いて、エネルギー変換値A,Bを算出したが、変換値算出部44は、帰属されたピークに対応する元素の標準スペクトルに基づいて、エネルギー変換値A,Bを算出してもよい。
具体的には、変換値算出部44は、まず、帰属されたピークに対応する元素の標準スペクトルにて、スペクトルフィッティング(回帰分析)を行い、残差または決定係数等のフ
ィッティングの度合い(あてはまりの程度)を決定する値を求める。次に、このフィッティングの度合いを決定する値がよくなるように(所望の範囲内になるように)、エネルギー変換値を変更して、エネルギー変換値A,Bの値を収束計算する処理を行う。これにより、エネルギー変換値A,Bの値を算出することができる。
なお、ここでは、変換値算出部44は、標準スペクトルを用いて、スペクトルフィッティングを行う場合について説明したが、ガウス関数等のスペクトル形状を示す基底関数を用いて、スペクトルフィッティングを行ってもよい。
次に、本変形例に係る変換値算出部44の処理(エネルギー変換値算出処理S108)について、図面を参照しながら説明する。図9および図10は、本変形例に係るエネルギー変換値A,Bの算出方法を説明するための図である。図9および図10では、スペクトル生成部41で生成されたX線スペクトルを点で示し、フィッティングの結果を実線で示し、元素αのプロファイルを一点鎖線で示し、元素βのプロファイルを点線で示している。
変換値算出部44は、図9に示すように、定性分析部42で帰属された元素αの標準スペクトルおよび元素βの標準スペクトル(または基底関数)にてスペクトルフィッティングを行い、元素αのプロファイルおよび元素βのプロファイルを得て、残差や決定係数等のフィッティングの度合いを決定する値を取得する。図9の例では、決定係数は、0.96である。
次に、変換値算出部44は、ゲインAおよびオフセットBの値を変更して、図10に示すように、よりフィッティングの度合いが所望の範囲となるように(図10の例では、決定係数は1.0)、ゲインAおよびオフセットBの値を収束計算する。このようにして、変換値算出部44は、エネルギー変換値(ゲインAおよびオフセットB)を算出することができる。
本変形例によれば、例えば、エネルギー変換値A,Bの値を算出するためのピークが互いに近接していたり、重なったりしている場合でも、エネルギー変換値A,Bの値を精度よく算出することができる。
(3)第3変形例
次に、第3変形例について説明する。図11は、第3変形例に係る放射線検出装置300の構成を示す図である。
上述した放射線検出装置100では、変換値算出部44が、定性分析によって帰属されたピークに基づいて、エネルギー変換値を算出し、エネルギー校正判定部45が、エネルギー校正が必要か否かを判定していた。これにより、放射線検出装置100では、エネルギー校正が必要か否かを容易に判断することができた。
これに対して、放射線検出装置300では、図11に示すように、さらに、分解能算出部310と、分解能校正判定部320と、を含んで構成されており、分解能算出部310が、帰属されたピークのエネルギー値に基づいて、エネルギー分解能校正値(システムノイズに関連した分散σ)を算出し、分解能校正判定部320が、算出されたエネルギー分解能校正値(分散σ)に基づいて、エネルギー校正が必要か否かを判定する。これにより、放射線検出装置300では、エネルギー分解能の校正が必要か否かを容易に判断することができる。
ここで、エネルギー分散型の検出器を用いた放射線検出装置では、検出器10やその後
段のパルスプロセッサー20やマルチチャンネルアナライザー30等の信号処理回路の経時変化などによってエネルギー位置だけではなく、エネルギー分解能も変化する場合がある。エネルギー分解能が変化すると、放射線検出装置における定量計算において、スペクトル解析時にピークの強度を正確に求めることができずに、正確な定量結果が得られない場合がある。
図12は、エネルギー分解能について説明するための図である。図12では、標準スペクトルを実線で示し、スペクトル生成部41で生成されたX線スペクトルを点線で示している。
図12に示すように、X線スペクトルのピーク幅が、標準スペクトルのピーク幅と異なっていれば、決定係数や残差等のフィッティングの度合いを示す値が悪くなる。X線スペクトルのピークに対するフィッティングの度合いがよくなるように、標準スペクトルのピーク幅を変更することにより、エネルギー分解能の校正を行うことができる。ここで、エネルギー分解能の校正とは、標準スペクトルのピーク幅を決定する下記式(4)の分散σを求めることをいう。
σ=ConstA・E+σ ・・・(4)
ここで、Eはエネルギーであり、σはエネルギーEでの分解能であり、σはシステムノイズに関連した分散であり、ConstAは、検出器の種類に依存した定数である。なお、各元素の標準スペクトルは、例えば、記憶部54に記憶されている特性X線データベースに登録されている。この特性X線データベースに登録されている各元素の標準スペクトルのピーク幅は、上記式(4)によって決定される。
分解能算出部310は、変換値算出部44でエネルギー変換値A,Bが算出された後に、当該エネルギー変換値A,Bを用いて変換されたX線スペクトルに対して、標準スペクトルのピーク幅(分散σ)を変更して、スペクトルフィッティングを行い、残差または決定係数等のフィッティングの度合いを決定する値がよくなるように(所望の範囲内になるように)、ピーク幅(分散σ)の値を収束計算する処理を行う。これにより、分散σの値を算出することができる。
分解能校正判定部320は、分解能算出部310で算出されたピーク幅(分散σ)に基づいて、エネルギー分解能の校正が必要か否かを判定する処理を行う。分解能校正判定部320は、例えば、算出されたピーク幅(分散σ)と、基準値との差に基づいて、エネルギー分解能の校正が必要か否かを判定する。基準値としては、例えば、前回のエネルギー分解能の校正で算出されたピーク幅(分散σ)を用いることができる。
具体的には、例えば、分解能校正判定部320は、今回算出されたピーク幅(分散σ)と前回算出されたピーク幅(分散σ)との差が、設定された閾値よりも大きい場合に、エネルギー分解能の校正が必要であると判定する。当該閾値は、任意に設定されることができる。
なお、ここでは、エネルギー分解能の校正として、標準スペクトルのピーク幅を求める場合について説明したが、ガウス関数等のスペクトル形状を示す基底関数のピーク幅を求めて、エネルギー分解能の校正を行ってもよい。
次に、放射線検出装置300の動作について説明する。図13は、放射線検出装置300の処理部40の処理の一例を示すフローチャートである。図13において、図2および図8の処理と同様の処理については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図13に示すように、エネルギー校正判定部45が、エネルギー校正が必要と判定した場合(S112でYESの場合)、通知部46は、表示部52に、エネルギー校正が必要である旨のメッセージを表示させる(通知処理S114)。
次に、エネルギー校正部210は、変換値算出部44で算出されたゲインAの値a=1.004およびオフセットBの値b=0.035を用いて、エネルギー校正を行う(エネルギー校正処理S116)。具体的には、エネルギー校正部210は、前回算出されたゲインAの値aおよびオフセットBの値bに変えて、今回算出されたゲインAの値a=1.004およびオフセットBの値b=0.035を用いて、エネルギー変換式(1)を以下のように書きかえる。
E=a×ch+b=1.004×ch+0.035・・・(5)
これにより、エネルギー校正を行うことができる。
次に、分解能算出部310は、上記式(5)を用いて、再度、X線スペクトルを作成し、当該X線スペクトルに対して、元素αの標準スペクトルおよび元素βの標準スペクトル(または基底関数)のピーク幅(σ)を変更してスペクトルフィッティングを行い、残差や決定係数等のフィッティングの度合いが所望の範囲となるように、ピーク幅(分散σ)を収束計算する(分解能算出処理S118)。
次に、分解能校正判定部320は、分解能算出部310が算出したピーク幅(分散σ)に基づいて、エネルギー校正が必要か否かを判定する(分解能校正要否判定処理S120)。
分解能校正判定部320は、例えば、今回算出されたピーク幅の値(分散σ=σ(a))と前回算出されたピーク幅の値(分散σ=σ(b))との差|σ(a)−σ(b)|が、予め設定されたピーク幅(分散σ)の閾値よりも大きい場合、エネルギー分解能の校正が必要と判定する。また、分解能校正判定部320は、差|σ(a)−σ(b)|が、予め設定されたピーク幅(分散σ)の閾値以下の場合、エネルギー分解能の校正が不要と判定する。
分解能校正判定部320が、エネルギー分解能の校正が必要と判定した場合(S122でYESの場合)、通知部46は、表示部52に、エネルギー分解能の校正が必要である旨のメッセージを表示させ、ユーザーに通知する。そして、処理部40は処理を終了する。
一方、分解能校正判定部320が、エネルギー分解能の校正が不要と判定した場合(S122でNOの場合)、処理部40は処理を終了する。
なお、放射線検出装置300は、分解能校正判定部320によってエネルギー校正が必要と判定された場合に、分解能算出部310で算出されたピーク幅(分散σ)の値を用いて、エネルギー分解能の校正を行う分解能校正部(図示せず)を含んで構成されていてもよい。具体的には、分解能校正部は、特性X線の標準スペクトルのピーク幅を決定する式(4)のσの値を、算出された分散σの値に変更する処理を行う。
放射線検出装置300によれば、エネルギー校正が必要か否かに加えて、エネルギー分解能の校正が必要か否かを容易に判断することができる。これにより、例えば、エネルギー分解能の校正が必要でないにもかかわらず、エネルギー分解能の校正を実施してしまう
ことを防ぐことができる。
なお、上述した実施形態は、一例であってこれらに限定されるわけではない。
例えば、上述した放射線検出装置100,200,300は、蛍光X線Sxを検出して、X線スペクトルを生成する蛍光X線分析装置であったが、本発明に係る放射線検出装置は、その他の放射線(例えばγ線)を検出して、放射線スペクトル(例えばγ線スペクトル)を生成する装置であってもよい。
また、例えば、上述した試料分析装置1の励起源2(図1、図7、図11参照)は、X線Pxを試料Sに照射していたが、励起源2は、電子線、イオン、γ線等を試料Sに照射して、試料SからX線Sxを発生させてもよい。すなわち、本発明に係る試料分析装置は、蛍光X線装置に限定されず、電子プローブマイクロアナライザー、本発明に係る放射線検出装置を搭載した透過電子顕微鏡(TEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)、および走査電子顕微鏡等の電子顕微鏡などであってもよい。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…試料分析装置、2…励起源、10…検出器、20…パルスプロセッサー、30…マルチチャンネルアナライザー、40…処理部、41…スペクトル生成部、42…定性分析部、43…変換値算出判定部、44…変換値算出部、45…エネルギー校正判定部、46…通知部、50…操作部、52…表示部、54…記憶部、56…記録媒体、100…放射線検出装置、200…放射線検出装置、210…エネルギー校正部、300…放射線検出装置、310…分解能算出部、320…分解能校正判定部

Claims (7)

  1. 放射線を検出して、当該放射線のエネルギーに応じた波高を有するパルス信号とし、前記パルス信号の波高を放射線エネルギーに変換して、放射線スペクトルを生成する放射線検出装置であって、
    前記放射線スペクトルに現れるピークの帰属を行う定性分析部と、
    帰属された前記ピークに基づいて、前記波高を前記放射線エネルギーに変換するためのエネルギー変換値を算出する変換値算出部と、
    算出された前記エネルギー変換値に基づいて、エネルギー校正が必要か否かを判定するエネルギー校正判定部と、
    を含む、放射線検出装置。
  2. 請求項1において、
    前記エネルギー校正判定部の判定結果に基づいて、エネルギー校正が必要か否かを通知する通知部を含む、放射線検出装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記エネルギー校正判定部によってエネルギー校正が必要と判定された場合に、前記変換値算出部で算出された前記エネルギー変換値を用いて、エネルギー校正を行うエネルギー校正部を含む、放射線検出装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    帰属された前記ピークに基づいて、前記エネルギー変換値を算出するか否かを判定する変換値算出判定部を含み、
    前記変換値算出判定部によって前記エネルギー変換値を算出しないと判定された場合に、前記変換値算出部は、前記エネルギー変換値の算出を行わない、放射線検出装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記変換値算出部は、帰属された前記ピークに対応する元素の標準スペクトルまたは基底関数に基づいて、前記エネルギー変換値を算出する、放射線検出装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    帰属された前記ピークに基づいて、前記波高を前記放射線エネルギーに変換するためのエネルギー分解能校正値を算出する分解能算出部と、
    算出された前記エネルギー分解能校正値に基づいて、エネルギー分解能の校正が必要か否かを判定する分解能校正判定部と、
    を含む、放射線検出装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の放射線検出装置を含む、試料分析装置。
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