JP2014172938A - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性、難燃性及び耐衝撃性に優れた成形体を得ることができるポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)主鎖がポリカーボネート−ポリオルガノシロキサンの繰り返し単位が10〜68であり、ポリオルガノシロキサンユニットを1.0〜15.0質量%含有するポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)、および繰り返し単位が72〜150のポリオルガノシロキサンユニットを0.1〜2.8質量%含有するポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)を含む樹脂混合物100質量部、並びに(B)有機スルホン酸のアルカリ金属塩及び有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種0.01〜0.08質量部を含有する、ポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)主鎖がポリカーボネート−ポリオルガノシロキサンの繰り返し単位が10〜68であり、ポリオルガノシロキサンユニットを1.0〜15.0質量%含有するポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)、および繰り返し単位が72〜150のポリオルガノシロキサンユニットを0.1〜2.8質量%含有するポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)を含む樹脂混合物100質量部、並びに(B)有機スルホン酸のアルカリ金属塩及び有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種0.01〜0.08質量部を含有する、ポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、自己消火性を有しているが、OA機器、情報・通信機器、家庭電化機器などの電気・電子分野においては、より高度の難燃性を要求される用途がある。例えば、ポリカーボネート樹脂として、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン(以下、PC−POSと称する。)共重合体を用い、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンを含有するポリカーボネート樹脂組成物からなる難燃性樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)も知られているが、ポリテトラフルオロエチレンを使用するため、この難燃性樹脂組成物を用いて成形した成形体は透明性が低下するという問題がある。
また、透明性を損なうことなく難燃性を改良するために、有機アルカリ金属塩又は有機アルカリ土類金属塩、及び有機シロキサンを配合する方法(例えば、特許文献2参照)も知られている。
また、透明性を損なうことなく難燃性を改良するために、有機アルカリ金属塩又は有機アルカリ土類金属塩、及び有機シロキサンを配合する方法(例えば、特許文献2参照)も知られている。
特許文献2に記載の樹脂組成物では、難燃性及び耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)の全てに優れた成形体を得られる樹脂組成物であるとは言えず、更なる改良の余地があった。
そこで、本発明の課題は、透明性、難燃性及び耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)に優れた成形体を得ることができる樹脂組成物ポリカーボネート樹脂組成物を提供することになる。また、透明性、難燃性及び耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)に優れた成形体を提供することにある。
そこで、本発明の課題は、透明性、難燃性及び耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)に優れた成形体を得ることができる樹脂組成物ポリカーボネート樹脂組成物を提供することになる。また、透明性、難燃性及び耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)に優れた成形体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、耐衝撃性及び難燃性が優れることが知られているポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(以下、PC−POSと略すことがある。PC−POSについては、特許第2662310号公報参照。)のうち、ある特定のPC−POSの組み合わせを特定比率で用い、有機スルホン酸のアルカリ金属塩及び有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種を特定量配合した樹脂組成物であれば、透明性、難燃性及び耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)のいずれにも優れた樹脂組成物となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[6]に関する。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[6]に関する。
[1](A)主鎖が一般式(I)で表される繰り返し単位及び一般式(II)で表される繰り返し単位(但し、n=10〜68)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)、及び主鎖が一般式(I)で表される繰り返し単位及び一般式(II)で表される繰り返し単位(但し、n=72〜150)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)を含み、(A)成分中、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)中の一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が1.0〜15.0質量%であり、且つポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)中の一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が0.1〜2.8質量%である樹脂混合物100質量部、並びに
(B)有機スルホン酸のアルカリ金属塩及び有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種0.01〜0.08質量部
を含有するポリカーボネート樹脂組成物。
〔式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキル基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。a及びbは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。
R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。nは、平均繰り返し数である。〕
[2]前記(B)成分が、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩及びパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種である、上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]厚み3mmの成形体のISO13468に基づいて測定された全光線透過率が85%以上となる、上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]厚み2mmの成形体のUL94燃焼試験による評価がV−0となる、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]臭素系難燃剤を含まない、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
(B)有機スルホン酸のアルカリ金属塩及び有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種0.01〜0.08質量部
を含有するポリカーボネート樹脂組成物。
R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。nは、平均繰り返し数である。〕
[2]前記(B)成分が、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩及びパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種である、上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]厚み3mmの成形体のISO13468に基づいて測定された全光線透過率が85%以上となる、上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]厚み2mmの成形体のUL94燃焼試験による評価がV−0となる、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]臭素系難燃剤を含まない、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、透明性、難燃性及び耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)のいずれにも優れた成形体を得ることができるポリカーボネート樹脂組成物を提供する。またこのポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる、透明性、難燃性及び耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)のいずれにも優れた成形体を提供することができる。
特に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、厚み2mmの成形体を作成し、この比較的薄い成形体を用いた場合にも、UL94燃焼試験の評価にてV−0を達成することができるため、難燃性に非常に優れた成形品を製造することができる。
特に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、厚み2mmの成形体を作成し、この比較的薄い成形体を用いた場合にも、UL94燃焼試験の評価にてV−0を達成することができるため、難燃性に非常に優れた成形品を製造することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、下記特定の(A)成分100質量部及び下記特定の(B)成分0.01〜0.08質量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物である。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有する成分について詳細に説明する。なお、本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいと言える。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有する成分について詳細に説明する。なお、本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいと言える。
[(A)樹脂混合物]
(A)成分の樹脂混合物は、(A)主鎖が一般式(I)で表される繰り返し単位及び一般式(II)で表される繰り返し単位(但し、n=10〜68)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)、及び主鎖が一般式(I)で表される繰り返し単位及び一般式(II)で表される繰り返し単位(但し、n=72〜150)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)を含み、(A)成分中、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)中の一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が1.0〜15.0質量%であり、且つポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)中の一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が0.1〜2.8質量%である樹脂混合物である。
PC−POS(A−1)及びPC−POS(A−2)は、いずれも、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の樹脂混合物は、(A)主鎖が一般式(I)で表される繰り返し単位及び一般式(II)で表される繰り返し単位(但し、n=10〜68)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)、及び主鎖が一般式(I)で表される繰り返し単位及び一般式(II)で表される繰り返し単位(但し、n=72〜150)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)を含み、(A)成分中、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)中の一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が1.0〜15.0質量%であり、且つポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)中の一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が0.1〜2.8質量%である樹脂混合物である。
PC−POS(A−1)及びPC−POS(A−2)は、いずれも、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、フルオレンジイル基、炭素数7〜15のアリールアルキル基、炭素数7〜15のアリールアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。a及びbは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。
R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。nは、平均繰り返し数である。〕
R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。nは、平均繰り返し数である。〕
一般式(I)中、R1及びR2がそれぞれ独立して示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示し、以下、同様である。)、各種ペンチル基、各種ヘキシル基が挙げられる。R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルコキシ基としては、アルキル基部位が前記アルキル基である場合が挙げられる。
R1及びR2としては、いずれも、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。
Xが表すアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。Xが表すアルキリデン基としては、エチリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。Xが表すシクロアルキレン基としては、シクロペンタンジイル基やシクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキレン基が好ましい。Xが表すシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシリデン基、2−アダマンチリデン基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキリデン基が好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキリデン基がより好ましい。Xが表すアリールアルキル基とは、アリール部位とアルキル部位が結合した二価の連結基のことであり、アリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。Xが表すアリールアルキリデン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示し、以下、同様である。)、各種ペンチル基、各種ヘキシル基が挙げられる。R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルコキシ基としては、アルキル基部位が前記アルキル基である場合が挙げられる。
R1及びR2としては、いずれも、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。
Xが表すアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。Xが表すアルキリデン基としては、エチリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。Xが表すシクロアルキレン基としては、シクロペンタンジイル基やシクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキレン基が好ましい。Xが表すシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシリデン基、2−アダマンチリデン基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキリデン基が好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキリデン基がより好ましい。Xが表すアリールアルキル基とは、アリール部位とアルキル部位が結合した二価の連結基のことであり、アリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。Xが表すアリールアルキリデン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
一般式(II)中、R3及びR4がそれぞれ独立して示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R3及びR4がそれぞれ独立して示すアルキル基、アルコキシ基としては、R1及びR2の場合と同じものが挙げられる。R3及びR4がそれぞれ独立して示すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
なお、R3及びR4としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基であり、いずれもメチル基であることがより好ましい。
なお、R3及びR4としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基であり、いずれもメチル基であることがより好ましい。
(A)成分は、後述するように、上記(A−1)成分と(A−2)成分のいずれにも該当しないポリカーボネート系樹脂を(A−3)成分として含有していてもよい。
ここで、(A−1)成分と(A−2)成分の配合割合は、下記のように樹脂混合物中、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)中の一般式(II)で表される単位の含有量が1.0〜15.0質量%であり、且つポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)中の一般式(II)で表される単位の含有量が0.1〜2.8質量%となるように調整すればよい。例えば、樹脂混合物中に上記(A−1)成分と(A−2)成分のいずれにも該当しないポリカーボネート系樹脂(A−3)を含んでいてもよい場合には、樹脂混合物中の(A−1)成分の割合としては、40〜95質量%、45〜93質量%、50〜91質量%を好ましく例示することができる。樹脂混合物中の(A−2)成分の割合としては、5〜40質量%、7〜37質量%、9〜34質量%を好ましく例示することができる。
また、例えば、樹脂混合物中に上記(A−1)成分と(A−2)成分のいずれにも該当しないポリカーボネート系樹脂(A−3)を含んでいない場合には、樹脂混合物中の(A−1)成分の割合としては、60〜95質量%、63〜93質量%、66〜91質量%を好ましく例示することができる。樹脂混合物中の(A−2)成分の割合としては、5〜40質量%、7〜37質量%、9〜34質量%を好ましく例示することができる。
ここで、(A−1)成分と(A−2)成分の配合割合は、下記のように樹脂混合物中、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)中の一般式(II)で表される単位の含有量が1.0〜15.0質量%であり、且つポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)中の一般式(II)で表される単位の含有量が0.1〜2.8質量%となるように調整すればよい。例えば、樹脂混合物中に上記(A−1)成分と(A−2)成分のいずれにも該当しないポリカーボネート系樹脂(A−3)を含んでいてもよい場合には、樹脂混合物中の(A−1)成分の割合としては、40〜95質量%、45〜93質量%、50〜91質量%を好ましく例示することができる。樹脂混合物中の(A−2)成分の割合としては、5〜40質量%、7〜37質量%、9〜34質量%を好ましく例示することができる。
また、例えば、樹脂混合物中に上記(A−1)成分と(A−2)成分のいずれにも該当しないポリカーボネート系樹脂(A−3)を含んでいない場合には、樹脂混合物中の(A−1)成分の割合としては、60〜95質量%、63〜93質量%、66〜91質量%を好ましく例示することができる。樹脂混合物中の(A−2)成分の割合としては、5〜40質量%、7〜37質量%、9〜34質量%を好ましく例示することができる。
上記式(II’)中、R3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。Yは単結合、脂肪族又は芳香族を含む有機残基を示す。nは、平均繰り返し数である。
R3〜R6としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基である。Yとしては、好ましくはアルキル基を有するフェノール系化合物の残基であり、アリルフェノール由来の有機残基やオイゲノール由来の有機残基がより好ましい。
また、一般式(II)で表される繰返し単位を含む構造としては、下記式(II'')であることも好ましい。
R3〜R6としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基である。Yとしては、好ましくはアルキル基を有するフェノール系化合物の残基であり、アリルフェノール由来の有機残基やオイゲノール由来の有機残基がより好ましい。
また、一般式(II)で表される繰返し単位を含む構造としては、下記式(II'')であることも好ましい。
上記式(II'')中、R3〜R6、Y及びnは、前記一般式(II')中のものと同様であり、好ましいものも同じである。
mは、0又は1を示す。
Zは、後出する一般式(2)中のZと同じく、ハロゲン、−R7OH、−R7COOH、−R7NH2、−COOH又は−SHを示し、該R7は直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、環上にアルコキシ基を有してもよいアリール置換アルキレン基、アリーレン基を示す。
また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基を示す。該ジイソシアネート化合物由来の2価の基の具体例については後述する。
mは、0又は1を示す。
Zは、後出する一般式(2)中のZと同じく、ハロゲン、−R7OH、−R7COOH、−R7NH2、−COOH又は−SHを示し、該R7は直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、環上にアルコキシ基を有してもよいアリール置換アルキレン基、アリーレン基を示す。
また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基を示す。該ジイソシアネート化合物由来の2価の基の具体例については後述する。
PC−POS(A−1)では、上記一般式(II)で表される構成単位における平均繰り返し数(n)は10〜68であり、好ましくは20〜65、より好ましくは25〜60、さらに好ましくは30〜55である。一方、PC−POS(A−2)では、上記一般式(II)で表される構成単位における平均繰り返し数(n)は72〜150であり、好ましくは75〜140、より好ましくは78〜130、さらに好ましくは80〜120である。平均繰り返し数(n)の下限値は、難燃性及び耐衝撃性の観点から設定され、上限値は、透明性の観点から設定される。
平均繰り返し数(n)の値は、核磁気共鳴(NMR)測定により算出された値である。
このような特定のPC−POS(A−1)と特定のPC−POS(A−2)とを用い、後述する(B)成分を所定量混合することにより、透明性、難燃性及び耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)を全て優れたものとすることができる。
平均繰り返し数(n)の値は、核磁気共鳴(NMR)測定により算出された値である。
このような特定のPC−POS(A−1)と特定のPC−POS(A−2)とを用い、後述する(B)成分を所定量混合することにより、透明性、難燃性及び耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)を全て優れたものとすることができる。
PC−POS(A−1)及びPC−POS(A−2)の粘度平均分子量(Mv)は、いずれも、好ましくは14,000〜28,000であり、より好ましくは15,000〜26,000であり、さらに好ましくは16,000〜24,000、特に好ましくは16,000〜22,000である。PC−POSの粘度平均分子量がこの範囲であれば、成形体の耐衝撃性が十分となり、PC−POSの粘度が大きくなり過ぎずに製造時の生産性が安定的になり、薄肉の成形も容易となる。
なお、粘度平均分子量(Mv)は、20℃における塩化メチレン溶液の極限粘度〔η〕を測定し、Schnellの式(〔η〕=1.23×10-5×Mv0.83)より算出した値である。
なお、粘度平均分子量(Mv)は、20℃における塩化メチレン溶液の極限粘度〔η〕を測定し、Schnellの式(〔η〕=1.23×10-5×Mv0.83)より算出した値である。
本発明では、透明性、難燃性及び耐衝撃性(特に低温における耐衝撃性)の全てを改善する観点から、前記(A)成分中、PC−POS(A−1)中の一般式(II)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量を1.0〜15.0質量%とし、且つPC−POS(A−2)中の一般式(II)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量を0.1〜2.8質量%とする。なお、一般式(II)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量は、詳細には、難燃性と耐衝撃性の観点から上記の下限値が設定され、耐熱性と透明性の観点から上記の上限値が設定される。
同様の観点から、前記(A)成分中、PC−POS(A−1)中の一般式(II)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量は、好ましくは、1.0〜10.0質量%であり、より好ましくは1.5〜8.0質量%、より好ましくは2.0〜7.0質量%、さらに好ましくは2.0〜6.5質量%、特に好ましくは2.5〜6.0質量%である。
また、同様の観点から、前記(A)成分中、PC−POS(A−2)中の一般式(II)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量は、好ましくは、0.1〜2.5質量%、より好ましくは0.1〜2.3質量%、さらに好ましくは0.3〜2.3質量%、特に好ましくは0.5〜2.1質量%である。
ここで、PC−POS中の構成単位の含有量は、核磁気共鳴(NMR)測定により算出された値である。
同様の観点から、前記(A)成分中、PC−POS(A−1)中の一般式(II)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量は、好ましくは、1.0〜10.0質量%であり、より好ましくは1.5〜8.0質量%、より好ましくは2.0〜7.0質量%、さらに好ましくは2.0〜6.5質量%、特に好ましくは2.5〜6.0質量%である。
また、同様の観点から、前記(A)成分中、PC−POS(A−2)中の一般式(II)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量は、好ましくは、0.1〜2.5質量%、より好ましくは0.1〜2.3質量%、さらに好ましくは0.3〜2.3質量%、特に好ましくは0.5〜2.1質量%である。
ここで、PC−POS中の構成単位の含有量は、核磁気共鳴(NMR)測定により算出された値である。
PC−POS(A−1)及びPC−POS(A−2)の製造方法に特に制限はなく、公知のPC−POSの製造方法、例えば、特開2010−241943号公報等に記載の方法を参照して容易に製造することができる。
具体的には、予め製造された芳香族ポリカーボネートオリゴマーと、末端に反応性基を有するポリオルガノシロキサンとを、非水溶性有機溶媒(塩化メチレン等)に溶解させ、二価フェノール系化合物(ビスフェノールA等)のアルカリ性化合物水溶液(水酸化ナトリウム水溶液等)を加え、重合触媒として第三級アミン(トリエチルアミン等)や第四級アンモニウム塩(トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等)を用い、末端停止剤(p−t−ブチルフェノール等の1価フェノール)の存在下、界面重縮合反応させることにより製造できる。なお、前記ポリオルガノシロキサンの使用量を調整することなどにより、一般式(II)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量を前記範囲内に調整することができる。
上記界面重縮合反応後、適宜静置して水相と非水溶性有機溶媒相とに分離し[分離工程]、非水溶性有機溶媒相を洗浄(好ましくは塩基性水溶液、酸性水溶液、水の順に洗浄)し[洗浄工程]、得られた有機相を濃縮[濃縮工程]、粉砕[粉砕工程]及び乾燥する[乾燥工程]ことによって、PC−POSを得ることができる。
具体的には、予め製造された芳香族ポリカーボネートオリゴマーと、末端に反応性基を有するポリオルガノシロキサンとを、非水溶性有機溶媒(塩化メチレン等)に溶解させ、二価フェノール系化合物(ビスフェノールA等)のアルカリ性化合物水溶液(水酸化ナトリウム水溶液等)を加え、重合触媒として第三級アミン(トリエチルアミン等)や第四級アンモニウム塩(トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等)を用い、末端停止剤(p−t−ブチルフェノール等の1価フェノール)の存在下、界面重縮合反応させることにより製造できる。なお、前記ポリオルガノシロキサンの使用量を調整することなどにより、一般式(II)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量を前記範囲内に調整することができる。
上記界面重縮合反応後、適宜静置して水相と非水溶性有機溶媒相とに分離し[分離工程]、非水溶性有機溶媒相を洗浄(好ましくは塩基性水溶液、酸性水溶液、水の順に洗浄)し[洗浄工程]、得られた有機相を濃縮[濃縮工程]、粉砕[粉砕工程]及び乾燥する[乾燥工程]ことによって、PC−POSを得ることができる。
また、PC−POSは、下記一般式(1)で表される二価フェノールと、下記一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンと、ホスゲン、炭酸エステル又はクロロホーメートとを共重合させることによっても製造できる。
mは0又は1を示し、Zはハロゲン、−R7OH、−R7COOH、−R7NH2、−COOH又は−SHを示し、R7は直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、環上にアルコキシ基を有してもよいアリール置換アルキレン基、アリーレン基を示す。
好ましくは、Y'は、単結合、脂肪族又は芳香族を含み、SiとO又はSiとZに結合している有機残基を示す。R3〜R6としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基である。nは上記と同じであり、mは0又は1を示す。
Zとしては、好ましくは−R7OH、−R7COOH、−R7NH2、−COOH又は−SHである。該R7は、前記同様、直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、環上にアルコキシ基を有してもよいアリール置換アルキレン基、アリーレン基を示す。
PC−POSの原料である一般式(1)で表される二価フェノールとしては、特に限定されないが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕が好適である。二価フェノールとしてビスフェノールAを用いた場合、一般式(I)において、Xがイソプロピリデン基であり、且つa=b=0のPC−POSとなる。
ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;4,4’−ジヒロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のジヒドロキシジアリールフルオレン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等のジヒドロキシジアリールアダマンタン類;4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタエン等が挙げられる。
これらの二価フェノールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;4,4’−ジヒロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のジヒドロキシジアリールフルオレン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等のジヒドロキシジアリールアダマンタン類;4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタエン等が挙げられる。
これらの二価フェノールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンは、オレフィン性の不飽和炭素−炭素結合を有するフェノール類(好ましくはビニルフェノール、アリルフェノール、オイゲノール、イソプロペニルフェノール等)を、所定の重合度(n;繰り返し数)を有するポリオルガノシロキサン鎖の末端に、ハイドロシラネーション反応させることにより容易に製造することができる。上記フェノール類は、アリルフェノール又はオイゲノールであることがより好ましい。
一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンとしては、R3〜R6がいずれもメチル基であるものが好ましい。
一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンとしては、例えば、以下の一般式(2−1)〜(2−9)の化合物が挙げられる。
一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンとしては、例えば、以下の一般式(2−1)〜(2−9)の化合物が挙げられる。
上記一般式(2−1)〜(2−9)中、R3〜R6、及びnは、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。また、R8はアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を示し、cは正の整数を示し、通常1〜6の整数である。
また、R8としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基である。
これらの中でも、重合の容易さの観点においては、一般式(2−1)で表されるフェノール変性ポリオルガノシロキサンが好ましい。また、入手の容易さの観点においては、一般式(2−2)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、一般式(2−3)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンが好ましい。
また、R8としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基である。
これらの中でも、重合の容易さの観点においては、一般式(2−1)で表されるフェノール変性ポリオルガノシロキサンが好ましい。また、入手の容易さの観点においては、一般式(2−2)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、一般式(2−3)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンが好ましい。
上記フェノール変性ポリオルガノシロキサンは、公知の方法により製造することができる。製造法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
まず、シクロトリシロキサンとジシロキサンとを酸性触媒存在下で反応させ、α,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンを合成する。このとき、シクロトリシロキサンとジシロキサンとの仕込み比を変えることで所望の平均繰り返し単位を持つα,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンを合成することができる。次いで、ヒドロシリル化反応用触媒の存在下に、このα,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンにアリルフェノールやオイゲノール等の不飽和脂肪族炭化水素基を有するフェノール化合物を付加反応させることで、所望の平均繰り返し単位を有するフェノール変性ポリオルガノシロキサンを製造することができる。
また、この段階では、低分子量の環状ポリオルガノシロキサンや過剰量の上記フェノール化合物が不純物として残存するために、減圧下で加熱し、これらの低分子化合物を留去することが好ましい。
まず、シクロトリシロキサンとジシロキサンとを酸性触媒存在下で反応させ、α,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンを合成する。このとき、シクロトリシロキサンとジシロキサンとの仕込み比を変えることで所望の平均繰り返し単位を持つα,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンを合成することができる。次いで、ヒドロシリル化反応用触媒の存在下に、このα,ω−ジハイドロジェンオルガノポリシロキサンにアリルフェノールやオイゲノール等の不飽和脂肪族炭化水素基を有するフェノール化合物を付加反応させることで、所望の平均繰り返し単位を有するフェノール変性ポリオルガノシロキサンを製造することができる。
また、この段階では、低分子量の環状ポリオルガノシロキサンや過剰量の上記フェノール化合物が不純物として残存するために、減圧下で加熱し、これらの低分子化合物を留去することが好ましい。
さらに、PC−POSは、一般式(1)で表される二価フェノールと、下記一般式(3)で表されるポリオルガノシロキサンと、ホスゲン、炭酸エステル又はクロロホーメートとを共重合させることによって製造されたものでもよい。一般式(3)は一般式(2)とジイソシアネート化合物の反応生成物である。
一般式(3)式中、R3〜R6、n、m、Y'、Zは、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。
また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基を示し、例えば、以下の一般式(3−1)〜(3−4)で表される2価の基が挙げられる。
また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基を示し、例えば、以下の一般式(3−1)〜(3−4)で表される2価の基が挙げられる。
前述のとおり、(A)成分としては、本発明の効果を損なわない程度に、(A−1)成分及び(A−2)成分以外のポリカーボネート系樹脂(A−3)が含まれていてもよい。該(A−3)成分としては、芳香族二価フェノール系化合物が用いられて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよいし、脂肪族二価フェノール系化合物が用いられて得られる脂肪族ポリカーボネート樹脂であってもよいし、脂肪族二価水酸基含有化合物が用いられて得られる脂肪族ポリカーボネート樹脂であってもよいし、芳香族二価フェノール系化合物と脂肪族二価フェノール系化合物とを併用して得られる芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂であってもよい。当該(A−3)成分は、樹脂混合物(A)中に含まれる、一般式(II)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量を調整するために用いることができる。
これらの中でも、(A−3)成分としては、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
該(A−3)成分のポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量は、物性面の観点から、好ましくは10,000〜40,000、より好ましくは13,000〜30,000である。
これらの中でも、(A−3)成分としては、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
該(A−3)成分のポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量は、物性面の観点から、好ましくは10,000〜40,000、より好ましくは13,000〜30,000である。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂は、前記一般式(II)で表される構造を含む繰り返し単位を有していないものであり、かつ主鎖が下記一般式(III)で表される繰り返し単位からなるものであることが好ましい。このような芳香族ポリカーボネート樹脂としては、特に制限はなく種々の公知の芳香族ポリカーボネート樹脂を使用できる。
[式中、R9及びR10は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。X’は単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示す。c及びdは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。]
R9及びR10の具体例としては、前記R1及びR2と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。R9及びR10としては、より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。X’の具体例としては、前記Xと同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。c及びdは、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
R9及びR10の具体例としては、前記R1及びR2と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。R9及びR10としては、より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。X’の具体例としては、前記Xと同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。c及びdは、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂は、具体的には、反応に不活性な有機溶媒、アルカリ水溶液の存在下、芳香族二価フェノール系化合物及びホスゲンと反応させた後、第三級アミンもしくは第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加して重合させる界面重合法や、芳香族二価フェノール系化合物をピリジン又はピリジンと不活性溶媒の混合溶液に溶解し、ホスゲンを導入し直接製造するピリジン法等従来の芳香族ポリカーボネートの製造法により得られるものを使用できる。
上記の反応に際し、必要に応じて、分子量調節剤(末端停止剤)、分岐化剤等が使用される。
なお、上記芳香族二価フェノール系化合物としては、下記一般式(III')で表されるものが挙げられる。
[式中、R9、R10及びX’は前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。]
該芳香族二価フェノール系化合物の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカリ系、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
これらの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系2価フェノールが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。
上記の反応に際し、必要に応じて、分子量調節剤(末端停止剤)、分岐化剤等が使用される。
なお、上記芳香族二価フェノール系化合物としては、下記一般式(III')で表されるものが挙げられる。
該芳香族二価フェノール系化合物の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカリ系、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
これらの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系2価フェノールが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂は、前記芳香族二価フェノール系化合物の代わりに脂肪族二価水酸基含有化合物、又は脂肪族二価フェノール系化合物を用いることによって製造できる。
なお、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂は、前述の通り、芳香族二価フェノール系化合物と脂肪族二価フェノール系化合物を併用することによって製造できる。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂は、前記芳香族二価フェノール系化合物の代わりに脂肪族二価水酸基含有化合物、又は脂肪族二価フェノール系化合物を用いることによって製造できる。
なお、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂は、前述の通り、芳香族二価フェノール系化合物と脂肪族二価フェノール系化合物を併用することによって製造できる。
ポリカーボネート樹脂組成物に上記(A−1)成分と(A−2)成分以外のポリカーボネート系樹脂(A−3)を含有させる場合、その含有量に特に制限は無いが、(A)成分中、通常、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
[(B)有機スルホン酸のアルカリ金属塩及び/又は有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩]
本発明では、難燃性を向上させるために、(B)成分として、有機スルホン酸のアルカリ金属塩及び有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種(以下、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩と総称することもある。)を特定量配合する。
有機スルホン酸としては、パーフルオロアルカンスルホン酸及びポリスチレンスルホン酸等が挙げられる。
また、アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩及びセシウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩及びバリウム塩等が挙げられる。
有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、有機スルホン酸ナトリウム塩、有機スルホン酸カリウム塩及び有機スルホン酸セシウム塩から選択される少なくとも1種が好ましい。
本発明では、難燃性を向上させるために、(B)成分として、有機スルホン酸のアルカリ金属塩及び有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種(以下、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩と総称することもある。)を特定量配合する。
有機スルホン酸としては、パーフルオロアルカンスルホン酸及びポリスチレンスルホン酸等が挙げられる。
また、アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩及びセシウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩及びバリウム塩等が挙げられる。
有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、有機スルホン酸ナトリウム塩、有機スルホン酸カリウム塩及び有機スルホン酸セシウム塩から選択される少なくとも1種が好ましい。
(B)成分としては、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、及び、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩としては、例えば、下記一般式(12)で表されるものが挙げられる。
(式中、dは1〜10の整数を示し、Mはリチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウム等のアリカリ金属、又はマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等のアルカリ土類金属を示し、eはMの原子価を示す。)
これらの金属塩としては、例えば、特公昭47−40445号公報に記載されているものが該当する。
パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩としては、例えば、下記一般式(12)で表されるものが挙げられる。
これらの金属塩としては、例えば、特公昭47−40445号公報に記載されているものが該当する。
一般式(12)において、パーフルオロアルカンスルホン酸としては、例えば、パーフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロプロパンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロメチルブタンスルホン酸、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロヘプタンスルホン酸及びパーフルオロオクタンスルホン酸等を挙げることができる。特に、これらのカリウム塩が好ましく用いられる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上記のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩以外の有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩を使用することもできる。このような有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、例えば、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ジフェニルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸及びこれらのフッ素置換体などの有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩が挙げられる。これらの中でも、ジフェニルスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩は、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩と同じくらい好ましい。
また、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩としては、下記一般式(13)で表されるスルホン酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂のアルカリ(土類)金属塩が挙げられる。
(式(13)中、Qはスルホン酸塩基を示し、R11は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。sは1〜5の整数を示し、tはモル分率を示し、0<t≦1である。)
ここで、Qのスルホン酸塩基は、スルホン酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩であり、金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等が挙げられる。
また、R11は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であるが、好ましくは水素原子又はメチル基である。
sは1〜5の整数であり、tは、0<t≦1の関係である。そのため、スルホン酸塩基Qは、芳香環に対して、全置換したもの、部分置換したものを含んでもよい。
ここで、Qのスルホン酸塩基は、スルホン酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩であり、金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等が挙げられる。
また、R11は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であるが、好ましくは水素原子又はメチル基である。
sは1〜5の整数であり、tは、0<t≦1の関係である。そのため、スルホン酸塩基Qは、芳香環に対して、全置換したもの、部分置換したものを含んでもよい。
有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩の含有量は、(A)樹脂混合物100質量部に対して、0.01〜0.08質量部であり、好ましくは0.02〜0.07質量部、より好ましくは0.03〜0.06質量部である。この範囲であると、難燃性を十分に向上することができるため好ましい。(A)樹脂混合物100質量部に対して0.01質量部以上であれば難燃性に優れ、0.08質量部以下であれば透明性を維持できる。
[その他の成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない程度において、適宜、その他の成分を含有させることができる。
その他の成分としては、例えば、前記(A−1)成分〜(A−3)成分以外の熱可塑性樹脂、補強剤、充填材、酸化防止剤、帯電防止剤、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、滑剤、離型剤、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)、難燃剤及び耐衝撃改良剤等の添加剤が挙げられる。
ここで、その他の成分はハロゲンを含まないものが好ましい。例えば、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ハロゲン系難燃剤、特に臭素系難燃剤を実質的に含有しない方が好ましい。安全性並びに廃棄又は焼却時の環境への影響の観点から、ハロゲンを含まない方が良いからである。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ハロゲン系難燃剤、特に臭素系難燃剤を含有させなくても、高い難燃性を有している点で有利である。
ポリカーボネート樹脂組成物に上記その他の成分を含有させる場合、その含有量に特に制限は無いが、(A)成分100質量部に対して、通常、それぞれ、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、特に好ましくは0.5質量部以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない程度において、適宜、その他の成分を含有させることができる。
その他の成分としては、例えば、前記(A−1)成分〜(A−3)成分以外の熱可塑性樹脂、補強剤、充填材、酸化防止剤、帯電防止剤、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、滑剤、離型剤、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)、難燃剤及び耐衝撃改良剤等の添加剤が挙げられる。
ここで、その他の成分はハロゲンを含まないものが好ましい。例えば、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ハロゲン系難燃剤、特に臭素系難燃剤を実質的に含有しない方が好ましい。安全性並びに廃棄又は焼却時の環境への影響の観点から、ハロゲンを含まない方が良いからである。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ハロゲン系難燃剤、特に臭素系難燃剤を含有させなくても、高い難燃性を有している点で有利である。
ポリカーボネート樹脂組成物に上記その他の成分を含有させる場合、その含有量に特に制限は無いが、(A)成分100質量部に対して、通常、それぞれ、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、特に好ましくは0.5質量部以下である。
[混練・成形]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分、さらには、必要に応じてその他の成分を所定量混練することにより得られる。混練方法としては、混練方法としては、特に制限されず、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いる方法が挙げられる。また、混練に際の加熱温度は、通常、好ましくは240〜330℃、より好ましくは250〜320℃である。
成形方法としては、従来公知の各種成形方法を用いることができ、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法等が挙げられる。
なお、ポリカーボネート樹脂以外の含有成分は、あらかじめ、ポリカーボネート樹脂又は他の熱可塑性樹脂と溶融混練しておき、即ち、マスターバッチとして添加することもできる。
また、ポリカーボネート樹脂組成物は、ペレット化してから射出成形することが好ましい。射出成形には、一般的な射出成形法もしくは一般的な射出圧縮成形法を、又はガスアシスト成形法等の特殊成形法を用いることができ、このようにして成形体を製造することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分、さらには、必要に応じてその他の成分を所定量混練することにより得られる。混練方法としては、混練方法としては、特に制限されず、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いる方法が挙げられる。また、混練に際の加熱温度は、通常、好ましくは240〜330℃、より好ましくは250〜320℃である。
成形方法としては、従来公知の各種成形方法を用いることができ、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法等が挙げられる。
なお、ポリカーボネート樹脂以外の含有成分は、あらかじめ、ポリカーボネート樹脂又は他の熱可塑性樹脂と溶融混練しておき、即ち、マスターバッチとして添加することもできる。
また、ポリカーボネート樹脂組成物は、ペレット化してから射出成形することが好ましい。射出成形には、一般的な射出成形法もしくは一般的な射出圧縮成形法を、又はガスアシスト成形法等の特殊成形法を用いることができ、このようにして成形体を製造することができる。
本発明の成形体を外観部材として使用する場合には、ヒートサイクル成形法、高温金型、断熱金型等の外観を向上させる成形技術を用いることが好ましい。
また、部品に難燃化が求められる場合は、難燃性を有する樹脂材料との積層成形、二色成形等の成形技術を用いることが好ましい。
金属部品のインサート成形、アウトサート成形を行うことにより発熱源からの熱伝達効率を高めることができるので、高発熱源を有する場合には有効な方法となる。
大型薄肉の射出成形体を得るためには、射出圧縮成形や高圧又は超高圧の射出成形を用いることが好ましく、部分的な薄肉部を有する成形体の成形には、部分圧縮成形等を用いることもできる。
また、部品に難燃化が求められる場合は、難燃性を有する樹脂材料との積層成形、二色成形等の成形技術を用いることが好ましい。
金属部品のインサート成形、アウトサート成形を行うことにより発熱源からの熱伝達効率を高めることができるので、高発熱源を有する場合には有効な方法となる。
大型薄肉の射出成形体を得るためには、射出圧縮成形や高圧又は超高圧の射出成形を用いることが好ましく、部分的な薄肉部を有する成形体の成形には、部分圧縮成形等を用いることもできる。
こうして得られる本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、厚み3mmの成形体としたとき、ISO13468に基づいて測定された全光線透過率が好ましくは85%以上となる。全光線透過率は高いほど好ましいが、例えば、製造容易性の観点から、92%、91%、90%を全光線透過率の上限として例示することができる。従って、全光線透過率は、85%以上92%以下、85%以上91%以下、85%以上90%以下を例示することができる。
実施例に記載の方法に従って測定したヘーズは、2.0以下であり、好ましいものでは1.8以下、より好ましいものでは1.6以下である。ヘーズは低いほど好ましいが、製造容易性の観点から、下限として、0.3、0.5、0.7、0.8を例示することができる。従って、ヘーズは、0.3以上1.8以下、0.5以上1.8以下、0.7以上1.8以下、0.8以上1.8以下、0.3以上1.6以下、0.5以上1.6以下、0.7以上1.6以下、0.8以上1.6以下を例示することができる。
また、実施例に記載の方法に従って測定した23℃でのIZOD衝撃強度が700J/m2以上であることが好ましく、より好ましくは730J/m2以上、さらに好ましくは740J/m2以上である。23℃でのIZOD衝撃強度の強度は高いほど好ましいが、製造容易の観点から上限として、850J/m2、820J/m2を例示することができる。従って、実施例に記載の方法に従って測定した23℃でのIZOD衝撃強度が700J/m2以上850J/m2以下、730J/m2以上850J/m2以下、740J/m2以上850J/m2以下、700J/m2以上820J/m2以下、730J/m2以上820J/m2以下、740J/m2以上820J/m2以下を例示することができる。
実施例に記載の方法に従って測定した−30℃でのIZOD衝撃強度が480J/m2以上であることが好ましく、より好ましくは500J/m2以上、さらに好ましくは510J/m2以上である。−30℃でのIZOD衝撃強度の強度は高いほど好ましいが、製造容易の観点から上限として、630J/m2、600J/m2を例示することができる。従って、実施例に記載の方法に従って測定した−30℃でのIZOD衝撃強度が480J/m2以上630J/m2以下、500J/m2以上630J/m2以下、510J/m2以上630J/m2以下、480J/m2以上600J/m2以下、500J/m2以上600J/m2以下、510J/m2以上600J/m2以下を例示することができる。
さらに、実施例に記載の方法に従って測定した燃焼試験では、厚み2.0mm及び3.0mmのいずれの成形体であっても、V−0を達成することができる。
上記のようにして得られたポリカーボネート樹脂組成物のペレットを用い、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法等を利用して成形することにより、成形体を製造することができる。
実施例に記載の方法に従って測定したヘーズは、2.0以下であり、好ましいものでは1.8以下、より好ましいものでは1.6以下である。ヘーズは低いほど好ましいが、製造容易性の観点から、下限として、0.3、0.5、0.7、0.8を例示することができる。従って、ヘーズは、0.3以上1.8以下、0.5以上1.8以下、0.7以上1.8以下、0.8以上1.8以下、0.3以上1.6以下、0.5以上1.6以下、0.7以上1.6以下、0.8以上1.6以下を例示することができる。
また、実施例に記載の方法に従って測定した23℃でのIZOD衝撃強度が700J/m2以上であることが好ましく、より好ましくは730J/m2以上、さらに好ましくは740J/m2以上である。23℃でのIZOD衝撃強度の強度は高いほど好ましいが、製造容易の観点から上限として、850J/m2、820J/m2を例示することができる。従って、実施例に記載の方法に従って測定した23℃でのIZOD衝撃強度が700J/m2以上850J/m2以下、730J/m2以上850J/m2以下、740J/m2以上850J/m2以下、700J/m2以上820J/m2以下、730J/m2以上820J/m2以下、740J/m2以上820J/m2以下を例示することができる。
実施例に記載の方法に従って測定した−30℃でのIZOD衝撃強度が480J/m2以上であることが好ましく、より好ましくは500J/m2以上、さらに好ましくは510J/m2以上である。−30℃でのIZOD衝撃強度の強度は高いほど好ましいが、製造容易の観点から上限として、630J/m2、600J/m2を例示することができる。従って、実施例に記載の方法に従って測定した−30℃でのIZOD衝撃強度が480J/m2以上630J/m2以下、500J/m2以上630J/m2以下、510J/m2以上630J/m2以下、480J/m2以上600J/m2以下、500J/m2以上600J/m2以下、510J/m2以上600J/m2以下を例示することができる。
さらに、実施例に記載の方法に従って測定した燃焼試験では、厚み2.0mm及び3.0mmのいずれの成形体であっても、V−0を達成することができる。
上記のようにして得られたポリカーボネート樹脂組成物のペレットを用い、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法等を利用して成形することにより、成形体を製造することができる。
本発明の成形体としては、射出成形体(射出圧縮を含む)であることが好ましい。
本発明の成形体は、例えば、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジ等の、OA機器、家庭電化製品、電気・電子機器のハウジングや各種部品等に用いられる。
本発明の成形体は、例えば、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジ等の、OA機器、家庭電化製品、電気・電子機器のハウジングや各種部品等に用いられる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
各例で得られた樹脂組成物の性能試験は、次のとおりに行った。
(1)全光線透過率:透明性
射出成形で得た厚み3mmの平板を用い、ISO13468に準拠して全光線透過率を測定した。値が大きいほど、透明性に優れることを示す。85%以上が好ましい。
(2)ヘーズ:透明性
射出成形で得た厚み3mmの平板を用い、ISO14782に準拠してヘーズを測定した。値が小さいほど、透明性に優れることを示す。2.0以下が好ましい。
(3)アイゾット衝撃強度(IZOD):耐衝撃性
厚み1/8インチの試験片を用いて、ASTM規格D−256に準拠し、測定温度23℃及び−30℃にてIZOD衝撃強度を測定し、耐衝撃性の指標とした。特に、−30℃にて500J/m以上であるものは、低温での耐衝撃性に優れていると言える。
(4)UL94燃焼試験:難燃性
厚み2.0mm及び3.0mmの2つの試験片(長さ12.7mm、幅12.7mm)を用いて、アンダーライターズラボラトリー・サブジェクト94(UL94)燃焼試験に準拠して垂直燃焼試験を行い、V−0、V−1及びV−2に分類して評価した。V−0に分類されるものが難燃性に優れることを示す。特に、厚み2.0mmの試験片においてもV−0となる程度の難燃性が求められる。
各例で得られた樹脂組成物の性能試験は、次のとおりに行った。
(1)全光線透過率:透明性
射出成形で得た厚み3mmの平板を用い、ISO13468に準拠して全光線透過率を測定した。値が大きいほど、透明性に優れることを示す。85%以上が好ましい。
(2)ヘーズ:透明性
射出成形で得た厚み3mmの平板を用い、ISO14782に準拠してヘーズを測定した。値が小さいほど、透明性に優れることを示す。2.0以下が好ましい。
(3)アイゾット衝撃強度(IZOD):耐衝撃性
厚み1/8インチの試験片を用いて、ASTM規格D−256に準拠し、測定温度23℃及び−30℃にてIZOD衝撃強度を測定し、耐衝撃性の指標とした。特に、−30℃にて500J/m以上であるものは、低温での耐衝撃性に優れていると言える。
(4)UL94燃焼試験:難燃性
厚み2.0mm及び3.0mmの2つの試験片(長さ12.7mm、幅12.7mm)を用いて、アンダーライターズラボラトリー・サブジェクト94(UL94)燃焼試験に準拠して垂直燃焼試験を行い、V−0、V−1及びV−2に分類して評価した。V−0に分類されるものが難燃性に優れることを示す。特に、厚み2.0mmの試験片においてもV−0となる程度の難燃性が求められる。
[製造例1]ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体1(PC−PDMS1;(A−1)成分)の製造
(1.オリゴマー合成工程)
5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に後から溶解するビスフェノールA(BPA)に対して2,000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、これにBPA濃度が13.5質量%になるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。 このBPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr、塩化メチレンを15L/hrの流量で、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器を出た反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hrの流量で添加して反応を行なった。槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。
このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーは濃度329g/L、クロロホーメート基濃度0.74mol/Lであった。
(1.オリゴマー合成工程)
5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に後から溶解するビスフェノールA(BPA)に対して2,000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、これにBPA濃度が13.5質量%になるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。 このBPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr、塩化メチレンを15L/hrの流量で、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器を出た反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hrの流量で添加して反応を行なった。槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。
このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーは濃度329g/L、クロロホーメート基濃度0.74mol/Lであった。
(2.PC−PDMS1製造工程)
次いで、邪魔板、パドル型攪拌翼及び冷却用ジャケットを備えた50L槽型反応器に、上記で製造したポリカーボネートオリゴマー溶液15L、塩化メチレン9.0L、ジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数(n)が40であるアリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサン(PDMS)384g及びトリエチルアミン8.8mL、を仕込み、攪拌下でここに6.4質量%水酸化ナトリウム水溶液1,389gを加え、10分間ポリカーボネートオリゴマーとアリルフェノール末端変性PDMSの反応を行った。
この重合液に、p−t−ブチルフェノール(PTBP)の塩化メチレン溶液(PTBP137gを塩化メチレン2.0Lに溶解したもの)、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH577gと亜二チオン酸ナトリウム2.0gを水8.4Lに溶解した水溶液にBPA1,012gを溶解させたもの)を添加し、50分間重合反応を実施した。
希釈のために塩化メチレン10Lを加え、10分間攪拌した後、PC−PDMSを含む有機相と過剰のBPA及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。
こうして得られたPC−PDMSの塩化メチレン溶液を、その溶液に対して順次、15容積%の0.03mol/L NaOH水溶液、0.2mol/L塩酸で洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.01μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。
洗浄により得られたPC−PDMSの塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下120℃で乾燥し、PC−PDMS1を得た。
得られたPC−PDMS1のNMR測定により求めたジメチルシロキサン残基の量は6.0質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.5、粘度平均分子量(Mv)は約17,700であった。
次いで、邪魔板、パドル型攪拌翼及び冷却用ジャケットを備えた50L槽型反応器に、上記で製造したポリカーボネートオリゴマー溶液15L、塩化メチレン9.0L、ジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数(n)が40であるアリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサン(PDMS)384g及びトリエチルアミン8.8mL、を仕込み、攪拌下でここに6.4質量%水酸化ナトリウム水溶液1,389gを加え、10分間ポリカーボネートオリゴマーとアリルフェノール末端変性PDMSの反応を行った。
この重合液に、p−t−ブチルフェノール(PTBP)の塩化メチレン溶液(PTBP137gを塩化メチレン2.0Lに溶解したもの)、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH577gと亜二チオン酸ナトリウム2.0gを水8.4Lに溶解した水溶液にBPA1,012gを溶解させたもの)を添加し、50分間重合反応を実施した。
希釈のために塩化メチレン10Lを加え、10分間攪拌した後、PC−PDMSを含む有機相と過剰のBPA及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。
こうして得られたPC−PDMSの塩化メチレン溶液を、その溶液に対して順次、15容積%の0.03mol/L NaOH水溶液、0.2mol/L塩酸で洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.01μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。
洗浄により得られたPC−PDMSの塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下120℃で乾燥し、PC−PDMS1を得た。
得られたPC−PDMS1のNMR測定により求めたジメチルシロキサン残基の量は6.0質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.5、粘度平均分子量(Mv)は約17,700であった。
[製造例2]ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体2(PC−PDMS2;(A−1)成分)の製造
ジメチルシロキサン単位の繰返し数(n)が40であるアリルフェノール末端変性PDMSの使用量を384gから224gへ変更したこと以外は製造例1と同様に実施した。
得られたPC−PDMS2のジメチルシロキサン残基の量は3.5質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.6、粘度平均分子量(Mv)は約17,700であった。
ジメチルシロキサン単位の繰返し数(n)が40であるアリルフェノール末端変性PDMSの使用量を384gから224gへ変更したこと以外は製造例1と同様に実施した。
得られたPC−PDMS2のジメチルシロキサン残基の量は3.5質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.6、粘度平均分子量(Mv)は約17,700であった。
[製造例3]ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体3(PC−PDMS3;(A−1)成分)の製造
ジメチルシロキサン単位の繰返し数(n)が40であるアリルフェノール末端変性PDMS224gの代わりに、ジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数(n)が50であるアリルフェノール末端変性PDMS224gを用いた以外は製造例2と同様に実施した。
得られたPC−PDMS3のジメチルシロキサン残基の量は3.5質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.5、粘度平均分子量(Mv)は約17,700であった。
ジメチルシロキサン単位の繰返し数(n)が40であるアリルフェノール末端変性PDMS224gの代わりに、ジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数(n)が50であるアリルフェノール末端変性PDMS224gを用いた以外は製造例2と同様に実施した。
得られたPC−PDMS3のジメチルシロキサン残基の量は3.5質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.5、粘度平均分子量(Mv)は約17,700であった。
[製造例4]ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体4(PC−PDMS4;(A−2)成分)の製造
ジメチルシロキサン単位の繰返し数(n)が50であるアリルフェノール末端変性PDMS224gの代わりに、ジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数(n)が90であるアリルフェノール末端変性PDMSを384g用いた以外は製造例3と同様に実施した。
得られたPC−PDMS4のジメチルシロキサン残基の量は6.0質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.5、粘度平均分子量(Mv)は約17,700であった。
ジメチルシロキサン単位の繰返し数(n)が50であるアリルフェノール末端変性PDMS224gの代わりに、ジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数(n)が90であるアリルフェノール末端変性PDMSを384g用いた以外は製造例3と同様に実施した。
得られたPC−PDMS4のジメチルシロキサン残基の量は6.0質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.5、粘度平均分子量(Mv)は約17,700であった。
[製造例5]ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体5(PC−PDMS5;(A−2)成分)の製造
ジメチルシロキサン単位の繰返し数(n)が90であるアリルフェノール末端変性PDMS384gの代わりに、ジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数(n)が110であるアリルフェノール末端変性PDMSを224g用いた以外は製造例4と同様に実施した。
得られたPC−PDMS5のジメチルシロキサン残基の量は3.5質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.4、粘度平均分子量(Mv)は約17,700であった。
ジメチルシロキサン単位の繰返し数(n)が90であるアリルフェノール末端変性PDMS384gの代わりに、ジメチルシロキサン単位の平均繰り返し数(n)が110であるアリルフェノール末端変性PDMSを224g用いた以外は製造例4と同様に実施した。
得られたPC−PDMS5のジメチルシロキサン残基の量は3.5質量%、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は47.4、粘度平均分子量(Mv)は約17,700であった。
[実施例1〜8及び比較例1〜8]
表2に示す割合(単位:質量部)で各成分を配合し、酸化防止剤として「IRGAFOS168」(商品名、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、BASF社製)を(A)成分100質量部に対して0.10質量部混合した後に、ベント付き二軸押出機「TEM−35B」(機種名、東芝機械株式会社製)によって樹脂温度280℃で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを、射出成形機を用い、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の成形条件で射出成形して試験片を得た。
得られた試験片を用いて上記方法に従って、透明性、耐衝撃性及び難燃性の評価を行った。その結果を表2に示す。
表2に示す割合(単位:質量部)で各成分を配合し、酸化防止剤として「IRGAFOS168」(商品名、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、BASF社製)を(A)成分100質量部に対して0.10質量部混合した後に、ベント付き二軸押出機「TEM−35B」(機種名、東芝機械株式会社製)によって樹脂温度280℃で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを、射出成形機を用い、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の成形条件で射出成形して試験片を得た。
得られた試験片を用いて上記方法に従って、透明性、耐衝撃性及び難燃性の評価を行った。その結果を表2に示す。
(表2中の注釈の説明)
*1:製造例1で得たPC−PDMS1、(A−1)成分
*2:製造例2で得たPC−PDMS2、(A−1)成分
*3:製造例3で得たPC−PDMS3、(A−1)成分
*4:製造例4で得たPC−PDMS4、(A−2)成分
*5:製造例5で得たPC−PDMS5、(A−2)成分
*6:「タフロンFN1700A」(商品名、出光興産株式会社製、p−t−ブチルフェノールを末端基に有するビスフェノールAタイプの芳香族ポリカーボネート、粘度平均分子量17,700)、(A−3)成分
*7:「エフトップKFBS」(商品名、三菱マテリアル電子化成株式会社製、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム)
*8:V−2評価に達しなかった。
*1:製造例1で得たPC−PDMS1、(A−1)成分
*2:製造例2で得たPC−PDMS2、(A−1)成分
*3:製造例3で得たPC−PDMS3、(A−1)成分
*4:製造例4で得たPC−PDMS4、(A−2)成分
*5:製造例5で得たPC−PDMS5、(A−2)成分
*6:「タフロンFN1700A」(商品名、出光興産株式会社製、p−t−ブチルフェノールを末端基に有するビスフェノールAタイプの芳香族ポリカーボネート、粘度平均分子量17,700)、(A−3)成分
*7:「エフトップKFBS」(商品名、三菱マテリアル電子化成株式会社製、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム)
*8:V−2評価に達しなかった。
表2より、本発明の一態様のポリカーボネート樹脂組成物は、透明性、耐衝撃性及び難燃性のいずれにも優れていることがわかる。特に、−30℃という低温での耐衝撃性にも優れていることが分かる。
一方、比較例1〜6より、(A−1)成分と(A−2)成分を特定比率で併用していない樹脂組成物の場合には、透明性、耐衝撃性及び難燃性の全てを満足させられないことがわかる。
比較例7のように、(A−2)成分中の一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が2.8質量%を超えると、透明性が大幅に低下した。また、比較例8のように、(B)成分の配合量が(A)成分100質量部に対して0.08質量部を超えていると、透明性が必ずしも満足のいくものではなく、さらに厚み2mmの試験片では難燃性が不十分となった。
一方、比較例1〜6より、(A−1)成分と(A−2)成分を特定比率で併用していない樹脂組成物の場合には、透明性、耐衝撃性及び難燃性の全てを満足させられないことがわかる。
比較例7のように、(A−2)成分中の一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が2.8質量%を超えると、透明性が大幅に低下した。また、比較例8のように、(B)成分の配合量が(A)成分100質量部に対して0.08質量部を超えていると、透明性が必ずしも満足のいくものではなく、さらに厚み2mmの試験片では難燃性が不十分となった。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、透明性、耐衝撃性及び難燃性に優れるため、これらの特性を必要とする分野、例えば、電子・電気機器、情報・通信機器、家庭電化製品、OA機器や、自動車分野、建材分野等に好適に使用することができる。
Claims (6)
- (A)主鎖が一般式(I)で表される繰り返し単位及び一般式(II)で表される繰り返し単位(但し、n=10〜68)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)、及び主鎖が一般式(I)で表される繰り返し単位及び一般式(II)で表される繰り返し単位(但し、n=72〜150)を含むポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)を含み、(A)成分中、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−1)中の一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が1.0〜15.0質量%であり、且つポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(A−2)中の一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が0.1〜2.8質量%である樹脂混合物100質量部、並びに
(B)有機スルホン酸のアルカリ金属塩及び有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種0.01〜0.08質量部
を含有するポリカーボネート樹脂組成物。
R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。nは、平均繰り返し数である。〕 - 前記(B)成分が、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩及びパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 厚み3mmの成形体のISO13468に基づいて測定された全光線透過率が85%以上となる、請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 厚み2mmの成形体のUL94燃焼試験による評価がV−0となる、請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 臭素系難燃剤を含まない、請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
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