JP2014172837A - 油中水型乳化化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリヒドロキシステアリン酸を0.5〜5.0質量%と、1気圧における沸点が220℃以下の揮発性炭化水素油を3.0〜30.0質量%と、疎水化処理金属酸化物を0.5〜50質量%と、有機変性粘土鉱物を0.1〜8.0質量%と、非イオン性界面活性剤を0.1〜10.0質量%とを少なくとも含有する油中水型乳化化粧料。
【選択図】なし
Description
本発明に係る油中水型乳化化粧料は、(A)ポリヒドロキシステアリン酸と、(B)1気圧における沸点が220℃以下の揮発性炭化水素油と、(C)疎水化処理金属酸化物と、(D)有機変性粘土鉱物と、(E)非イオン性界面活性剤とを少なくとも含有する。
ポリヒドロキシステアリン酸は、主として12−ヒドロキシステアリン酸の重合体であり、その重合度は3〜12が好ましく、更に好ましくは重合度4〜8である。ポリヒドロキシステアリン酸は、顔料分散性に優れたエステル油である。本発明者らは、このポリヒドロキシステアリン酸を肌に塗布して流水すると水を弾くが、石鹸を泡立てると多少の泡立ちが見られたことから、他のエステル油やスクワランなどの炭化水素油とは異なり、耐水性のみならず洗浄剤と馴染みやすい性質を有することを見出した。
揮発性炭化水素油としては、1気圧における沸点が220℃以下のもの、好ましくは200℃以下のものを使用する。1気圧における沸点が220℃以下の揮発性炭化水素油は、シリコーン系揮発油剤などの他の油剤と比較して、ポリヒドロキシステアリン酸の溶解性が高く、ポリヒドロキシステアリン酸を油剤成分中に均一に分散させる作用に優れており、油中水型乳化化粧料の洗浄性を高めることができる。一方、シリコーン系揮発油剤などの他の油剤は、ポリヒドロキシステアリン酸との溶解性が低いため、皮膚への塗布後にシリコーン系揮発油剤などの油剤が揮発しても、ポリヒドロキシステアリン酸が皮膚表面に均一に残らず、洗浄剤と馴染みにくい場所が存在し、洗浄性を低下させる。また、1気圧における沸点が220℃以下の揮発性炭化水素油は、油中水型乳化化粧料の塗布後に、速やかに揮発するため、べたつきがなく、みずみずしい感触を得るという効果を有する。
疎水化処理金属酸化物は、好ましくは、疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は酸化チタンである。酸化亜鉛及び/又は酸化チタンとしては、特に制限されることはなく、化粧料に通常用いられる酸化亜鉛及び/又は酸化チタンを広く挙げることができる。好ましくはより分散性に優れたものであり、例えば必要に応じて公知の方法で疎水性に表面処理したものを用いることができる。表面処理の方法としては、メチルポリシロキサン等のシリコーン処理、パーフルオロアルキルリン酸エステル等によるフッ素処理、N−アシルグルタミン酸等によるアミノ酸処理、その他、レシチン処理、金属石鹸処理、脂肪酸処理、アルキルリン酸エステル処理等が挙げられる。なかでも、シリコーン表面処理を施した酸化亜鉛及び/又は二酸化チタンが好ましい。
また、酸化チタンは紫外線散乱効果を高めるために、微粒子状に調製されたものであってもよい。微粒子二酸化チタンとしては、制限はされないが、好ましくは平均一次粒子径が5nm以上、好ましくは10nm以上である。
有機変性粘土鉱物は、好ましくは、水膨潤性粘土鉱物を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理したカチオン変性粘土鉱物である。有機変性粘土鉱物は、油中水型乳化化粧料において油剤と合わせることにより乳化助剤として用いられるが、ベタつきを抑えることができ、洗浄剤の泡立ちを助ける効果がある。水膨潤性粘土鉱物は、水で膨潤する粘土鉱物であり、化粧料に一般に使用されるものを用いることができる。水膨潤性粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、ラポナイト、ヘクトライト等のモンモリロナイト、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウム、リチウムテニオライト等の合成雲母などが挙げられるが、好ましくは、ヘクトライト、ベントナイトである。第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、例えば、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等である。
非イオン性界面活性剤はHLB値が2〜8のものを用いることが好適である。HLB値をこの範囲とすることにより、油中水型乳化化粧料の耐水性及び洗浄性を両立することできる。HLB値が8を超えると耐水性が低下する場合があり、HLB値が2未満であると、顔料の分散性や洗浄性が低下する場合がある。非イオン性界面活性剤は、化粧料等に通常使用されているものから適宜選択される1種又は2種以上であってよい。
シリコーン系の非イオン性界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン重合体、シリコーン鎖分岐型メチルポリシロキサン共重合体、アルキル鎖・シリコーン鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、ポリグリセリン変性シリコーン等などが挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、市販されているものとしては例えば、KF−6012、6017、6028、6038、6104(信越化学工業社製)、SS−2910、BY22−008M、BY11−030、5200Formulation Aid(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)などが挙げられる。
油中水型乳化化粧料には、その他の成分として、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、油剤、アルコール類、保湿剤、糖類、防腐剤、抗菌剤、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子増粘剤、油ゲル化剤、皮膜形成剤、中和剤、pH調整剤、粉体成分等を含有させることができる。また、ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗炎症剤、冷感剤、制汗剤、美白剤等の他の化粧成分や薬効成分、生理活性成分、香料、色素等の成分を含有させることもできる。これらの成分の油中水型乳化化粧料中の含有量は、化粧料の使用感、耐水性及び洗浄性を損なわない限り、当業者が適宜調整することができる。
紫外線散乱剤としては、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等の無機粉末を用いることができる。
保湿剤として、例えば、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール、ブドウ糖、果糖、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン、乳酸ナトリウム、シクロデキストリン、ピロリドンカルボン酸及びその塩、天然及び合成のセラミド類等が挙げられる。
防腐剤及び抗菌剤としては、例えば、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等が挙げられる。
水溶性高分子あるいは増粘剤としては、例えば、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、タマリンドガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、デキストリン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ベントナイト等を挙げられる。
油ゲル化剤としては、ショ糖パルミチン酸エステル、デンプンパルミチン酸エステル、バクモンドウステアリン酸エステル等の多糖脂肪酸エステル、アルキル変性無水ケイ酸等を挙げられる。
中和剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム等が挙げられる。pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
油中水型乳化化粧料は、常法に従って製造することができる。例えば、油系成分を均一に混合したものに粉体成分を分散させ、その後、水系成分を添加・混合して乳化することにより製造する。油系には、(A)ポリヒドロキシステアリン酸、(B)揮発性炭化水素油、及び(D)有機変性粘土鉱物、(E)非イオン性界面活性剤、さらに必要に応じて(F)その他の成分である上記非水溶性成分や油剤を含有させることが好ましい。粉体成分には、(C)疎水化処理金属酸化物、及び任意に(F)その他の成分である上記記載の粉体成分が含まれる。水系は、例えば、(F)その他の成分である上記記載の水系成分を任意に溶解させた精製水である。これらの成分の含有量は、油中水型乳化化粧料における終濃度が、上記した好ましい範囲となるようにする。
一方、従来の油中水型乳化化粧料(図3(a)、11)は、ポリヒドロキシステアリン酸を含有せず、また沸点の低い揮発性炭化水素油ではなく比較的沸点の高いシリコーン系揮発油剤又はその他揮発性油剤を含有する。従来の油中水型乳化化粧料(図3(b)、11)を皮膚(図3(b)、10)に塗布すると、シリコーン系揮発油剤又はその他揮発性油剤(図3(b)、3)は徐々に揮発する。従来の油中水型乳化化粧料(図3(b)、11)は、水又は汗(図3(b)、5)を水滴(図3(b)、6)として弾き返し、耐水性を発揮する。しかし、この油中水型乳化化粧料(図3(c)、11)は、洗浄剤(図3(c)、12)を適用しても、洗浄剤を弾いてしまい、洗浄剤と馴染みにくい性質を有する。このため、洗浄剤(図3(c)、12)を用いて洗浄しても、従来の油中水型乳化化粧料(図3(d)、11)の膜は十分には除去されず、その大部分は皮膚表面に残存してしまう。
一方、図4には、従来の日焼け止め化粧料を、実際に皮膚に塗布して、UVランプを照射した際の写真が示されている。この従来の日焼け止め化粧料は、ポリヒドロキシステアリン酸を含有しておらず、また沸点の低い揮発性炭化水素油をほとんど含有せずに沸点の比較的高い油剤を含有する点で、図2で使用した日焼け止め化粧料とは異なる。従来の日焼け止め化粧料の塗布前(図4(a))には、皮膚はUVランプに反応していないが、塗布直後(図4(b))には、塗布部分がUVランプに反応して紫色を呈していた。皮膚上に流水を行った後(図4(c))でも、塗布直後(図4(b))と同様に、UVランプ照射下で紫色を呈しており、従来の日焼け止め化粧料の耐水性が高いことが示された。次いで、日焼け止め化粧料を、洗浄剤を使用して洗浄した後(図4(d))、UVランプを照射すると、依然として塗布部分が紫色に反応しており、日焼け止め化粧料が皮膚表面に残存していた。よって、従来の日焼け止め化粧料は、耐水性は高いものの、洗浄性が劣っており、日焼け止め専用クレンジング剤による除去が必要であった。
表1に示す組成の日焼け止め乳液(二層分離タイプ)を次の方法で調製した。
成分(5)〜(11)を75℃に加熱し、ディスパーで攪拌をして均一に混合して油系とした。次に、成分(1)〜(4)、(12)〜(14)を油系に添加してディスパーで十分に混合分散を行った。次に、成分(15)〜(18)を75℃に加熱し、均一に混合した後、この水系を油系に添加し、ホモミキサーを用いて高速攪拌(6000rpm)で乳化混合して室温まで冷却して、日焼け止め乳液を得た。
上腕内側部の皮膚上の一定部分を分光色彩計(SD5000、日本電色製)にて測色し、ブランクとした。次に、同じ部分に4mg/cm2になるように化粧料を塗布して測色した。その後、15℃〜25℃の流水に5分間さらした後、軽く水気を拭き取り15分間乾燥させた。乾燥後、さらに色彩計にて測色し、次の式により化粧料の残存率とし、これが高いほど耐水性が高いと評価した。
残存率(%)=ΔEC−A/ΔEB−A×100
ΔEB−A:塗布後とブランクの色差
ΔEC−A:流水処理後とブランクの色差
上腕内側部の皮膚上の一定部分を分光色彩計(SD5000、日本電色製)にて測色し、ブランクとした。次に、同じ部分に4mg/cm2になるように化粧料を塗布して測色した。その後、ボディシャンプー3gで泡立てた上で手の平で数回擦り、15℃〜25℃の水で洗浄した。そして軽く水気を拭き取り15分間乾燥させた。乾燥後、さらに測色し、次の式により化粧料の残存率とし、これが低いほど洗浄性が高いと評価した。
残存率(%)=ΔEC−A/ΔEB−A×100
ΔEB−A:塗布後とブランクの色差
ΔEC−A:ボディシャンプー洗浄後とブランクの色差
女性被験者(25〜45歳)20名に化粧料を前腕に使用して、その時の使用感を官能評価した。5項目(のび・みずみずしさ、ざらつき感、白残り、べたつき、しっとり感)について、アンケートの結果から次の基準で評価した。
(評価基準)
◎:20名中、15名以上が良好と回答した
○:20名中、10〜14名が良好と回答した
△:20名中、5〜9名が良好と回答した
×:20名中、4名未満が良好と回答した
以下に示す組成の日焼け止め化粧料(クリームタイプ)を、成分(1)〜(10)を均一に混合して油系とし、次に成分(11)〜(15)を均一に混合した水系を油系に添加して乳化混合することにより調製した。
(組成) (質量%)
(1) デカメチルシクロペンタシロキサン 10
(2) イソステアリン酸処理微粒子酸化チタン 5
(「MT−150EX」(株)テイカ社製)
(3) ジメチコン処理微粒子酸化亜鉛(「FINEX-50LP」堺化学(株)社製) 5
(4) イソドデカン 5
(5) トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5
(6) パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシ 3
(7) ソルビタンセスキイソステアリン酸エステル 2
(8) ポリエーテル変性シリコーン(「KF−6017」信越化学工業(株)社製) 2
(9) ポリヒドロキシステアリン酸 1
(10)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 2
(11)グリセリン 5
(12)ジプロピレングリコール 5
(13)塩化ナトリウム 1
(14)フェノキシエタノール 0.3
(15)精製水 残余
以下に示す組成のリキッドファンデーションを、成分(1)〜(11)を均一に混合して油系とし、次に成分(12)〜(16)を均一に混合した水系を油系に添加して乳化混合することにより調製した。
(組成) (質量%)
(1) デカメチルシクロペンタシロキサン 10
(2) シリコーン処理酸化チタン 8
(「SA-チタンCR-50(100%)」三好化成(株)社製)
(3) シリコーン処理ベンガラ 1
(4) シリコーン処理黄酸化鉄 2.5
(5) シリコーン処理黒酸化 0.3
(6) シリコーン処理タルク 1.2
(6) メチルフェニルポリシロキサン 5
(7) イソドデカン 10
(8) ポリヒドロキシステアリン酸 3
(9) ポリエーテル変性シリコーン(「KF−6038」信越化学工業(株)社製) 2
(10)ポリグリセンリン変性シリコーン 2
(11)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1.5
(12)グリセリン 5
(13)1,3−ブチレングリコール 3
(14)硫酸マグネシウム 0.7
(15)フェノキシエタノール 0.3
(16)精製水 残余
2 揮発性炭化水素油
3 シリコーン系揮発油剤又はその他揮発性油剤
5 水又は汗
6 水滴
10 皮膚
11 従来の油中水型乳化化粧料
12 洗浄剤
Claims (5)
- ポリヒドロキシステアリン酸を0.5〜5.0質量%と、
1気圧における沸点が220℃以下の揮発性炭化水素油を3.0〜30.0質量%と、
疎水化処理金属酸化物を0.5〜50質量%と、
有機変性粘土鉱物を0.1〜8.0質量%と、
非イオン性界面活性剤を0.1〜10.0質量%と
を少なくとも含有する油中水型乳化化粧料。 - 前記揮発性炭化水素油が、イソドデカン及びドデカンから選択される1種又は2種の混合物である、請求項1に記載の油中水型乳化化粧料。
- 前記疎水化処理金属酸化物が、疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は酸化チタンである、請求項1又は2に記載の油中水型乳化化粧料。
- 前記有機変性粘土鉱物が、水膨潤性粘土鉱物を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理したカチオン変性粘土鉱物である、請求項1〜3のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
- 前記非イオン性界面活性剤が、HLB値が2〜8の非イオン性界面活性剤から選択される1種又は2種以上の混合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
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