JP2014169093A - 電子レンジ用紙カップ - Google Patents

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Abstract

【目的】電子レンジで使用しても焦げつきにくく,かつ安定性に優れた電子レンジ用紙カップを提供する。
【構成】胴部材11と底部材12と外筒部材13とから構成され,胴部材の下端部11Bが内側に屈曲され,底部材の周縁部12Aの外面に被さるように接合されており,外筒部材は胴部材の外側に被せられ,かつ固定され,外筒部材の下端が,底部材の周縁部に接合する胴部材下端屈曲部11Bよりも外方(下方)に突出している。
【選択図】図1

Description

この発明は電子レンジ用紙カップ(紙容器)に関する。電子レンジ用とは,電子レンジのみのためのものと限定する趣旨ではなく,電子レンジで使えるという意味である。
従来技術
紙カップは即席食品,スナック菓子類のみならず,飲料,惣菜等の容器として広く使用されている。これらの紙カップに食料品,飲料水等を入れたまま電子レンジで加熱,調理する場合もある。
紙カップに内容物を入れて電子レンジで加熱,調理した場合,紙カップの胴部材の下端部を延ばして形成された,いわゆる糸じりの部分に焦げを生じる場合があるという問題がある。特に,紙が重なる接合部分では発熱量が大きいので(放熱量は大きくはならない),蓄熱し易く,焦げが発生し易いと考えられている。他方,内容物に接している部分では発生した熱が内容物によって奪われるので焦げは発生しにくくなる。
特開平11−115411号公報
特許文献1には,胴部材と底部材とから構成され,胴部材の下端部が内側に屈曲され,底部材の周縁部の外面に被さるように接合されている電子レンジ用紙カップが記載されている。
また,底部材の周縁部が外面に折り返され,この折り返し部分に上記胴部材下端部が接合されている態様も記載されている。
特許文献1に記載の電子レンジ用紙カップは,胴部材の下端部を延ばして形成された,いわゆる糸じりが無く,胴部材の下端部が屈曲されて底面部の周縁部の外面に接合されることにより,フラット・ボトムの形となり,紙カップの底部付近のすべての部分が内容物と接しているので,電子レンジで加熱しても焦げの発生を招きにくい。
しかしながら,特許文献1のフラット・ボトムは,胴部材の下端部を屈曲して底面部の周縁部の外面に接合することにより形成しているから,充分な安定性が得られるとは限らず,その自立性について改善が求められていた。
特許文献1には紙カップの底部を安定させるために,底部材の中央部が内方向に突出するように,すなわち外から見て凹状に変形させる態様も記載されているが,底部材の剛性が低いと,内容物の重量により底部材の中央部が外から見て凸状の方向に変形してしまい,外から見て凹状の形状を保持できない場合がある。
この発明は,電子レンジで使用しても焦げにくいという特徴をもつフラット・ボトム形状を持つ紙カップの安定性を高めることを目的とする。
この発明はまた,上記紙カップの断熱性を高めることを目的とする。
この発明による電子レンジ用紙カップは,胴部材と底部材と外筒部材とから構成され,上記胴部材の下端部が内側に屈曲され,上記底部材の周縁部の外面に被さるように接合されており,上記外筒部材は上記胴部材の外側に被せられ,かつ固定され,上記外筒部材の下端が,上記底部材の周縁部に接合する上記胴部材下端屈曲部よりも外方に突出しているものである。
この発明による,電子レンジ用紙カップは,胴部材と底部材との接合部分等の紙が重なる接合部分が内容物と接する構造となっているので,電子レンジで加熱しても焦げにくいものとなっている。また,胴部材の外側に被せられ,かつ固定される上記外筒部材の下端が上記底部材の周縁部に接合する上記胴部材下端屈曲部よりも外方(下方)に突出しているので,この外筒部材の下端により電子レンジ用紙カップは安定的に自立する。これにより,紙カップの安定性が高まる。上記外筒部材によって上記胴部材の外側に断熱空間を形成することができるので,外筒部材,とくにその下端部に焦げが発生しにくいとともに,紙カップの断熱性を高めることができる。
この発明による一実施態様では,上記外筒部材の下端に内側への返しが形成されている。返しは,外筒部材の下端部を内側にカールさせる,同下端部を内側に折り重ねるなどの態様により実現できる。電子レンジ用紙カップの安定性が一層高まる。
好ましい実施態様では胴部材および底部材の内面に熱可塑性樹脂膜が形成される。これにより液体等の内容物に適するものとなるとともに,胴部材の下端屈曲部と底部材の周縁部との接合が樹脂による熱溶着により達成できる。
好ましい実施態様では,上記底部材の周縁部が外面に折り返され,この折り返し部分に上記胴部材下端屈曲部が接合されている。底部材および胴部材の内面に樹脂膜が形成されている場合に,底部材の外周端面の端面処理をすることなく,液体の内容物を入れることが可能である。さらに他の実施態様では,上記底部材の周縁部が外面に折り返され,上記胴部材の内側に屈曲された下端部の先端部が内側に折り返されてつくられたこの折り返し部分が,上記底部材と上記底部材の折り返し部分との間に挟まれ,上記底部材の折り返し部分に,上記折り返し先端部を除く上記胴部材下端屈曲部が接合されている。
実施例による電子レンジ用紙カップの一部を破断して(断面端面図として)示す正面図である。 他の実施例による電子レンジ用紙カップの一部を破断して(断面端面図として)示す正面図である。 胴部材と底部材との接合部分の変形例を示す紙カップ底部の拡大断面図である。 胴部材と底部材との接合部分のさらに他の変形例を示す紙カップ底部の拡大断面図である。
図1はこの発明の実施例による電子レンジ用紙カップの一部を破断して示す正面図である。
電子レンジ用紙カップ10は,胴部材11と底部材12と外筒部材(スリーブ)13とから構成されている。胴部材11は上部の径が大きく,下にいくほど径の小さくなる円筒状で,上端部は外側に巻かれ,いわゆるカール(トップカール部)11Aとなっている。胴部材11の下端部は内側にほぼ直角に屈曲されている(屈曲部を11Bで示す)。底部材12は円形で,胴部材11の下端部内にぴったりと嵌り,その周縁部12Aの外面に胴部材11の屈曲部11Bが被さるように接合している(たとえば,後述する熱可塑性樹脂による熱接着(熱溶着)または接着剤による接着)。内容物によっては必要に応じて,底部材12の周端面には端面処理が施される。端面処理とは,表面(少なくとも一面)が樹脂膜(フイルム)で被覆されている紙部材の端面に液体が染み込まないよう,端面を樹脂で覆う処理であり,端面テープ貼,スカイブ法などがある。
外筒部材13は下部よりも上部の径がやや大きい筒状体であり,下端部が内側に巻かれカール13Aを形成している。この外筒部材13内に,底部材12を有する胴部材11が上からすっぽりと入る(嵌入される)。そして,外筒部材13の上端が胴部材11のカール11Aの内側のすき間に入り,外筒部材13の下端部のカール13Aが胴部材11の外周下端(屈曲部11Bが屈曲している角部)に斜め下から(または下から)(外方から)当り,胴部材11が外筒部材13から脱落するのを防止するとともに,胴部材11の外面と外筒部材13の内面との間に断熱空間(間隙)を形成する。外筒部材13は胴部材11に接着剤で固定される。たとえば外筒部材13の上端部付近の胴部材11との間隙が狭くなっている箇所で,胴部材11の外面と外筒部材13の内面との間を数箇所で接着剤により固定(接着)する。外筒部材13の上端付近とカール11Aの内側とを接着してもよいし,外筒部材13のカール13Aと胴部材11の外周下端とを接着してもよい。外筒部材13のカール13A(下端)は,底部材12の周縁部12Aに接合する胴部材屈曲部11Bよりも外方(下方)に突出している。外筒部材の下端部は円環状に連続せずに,複数の部分に,脚のように分離していてもよい(複数の部分の間に間隙がある)。
下部のカール13Aを丸く湾曲したものではなく,扁平に湾曲したもの,極端にはカールを両側から押圧して密着させたもの,または外筒部材13の下端を折り返して重ねたものでもよい。外筒部材13の下端は胴部材11の下部に接していることが好ましい。
胴部材11と外筒部材13との間に断熱空間(層)が形成されているので,この紙カップ10は断熱効果(保温効果)を有する。外筒部材を波形加工(フルーテッド)を施した波形加工紙(段加工紙)または発泡加工を施した発泡加工紙により形成してもよい(波形加工により形成される空間,発泡樹脂内の小さな空隙がそれぞれ断熱空間となる)。これらの場合に,外筒部材を胴部材に接着により固定することが可能であり,また下端部のカール等の形成は必ずしも必要ではない。
図2は他の実施例を示している。図2において図1に示すものと同一物には同一符号を付し,重複説明を避ける。
図2に示す電子レンジ用紙カップ10Aにおいては,底部材12の周縁部が外面(外側)に折り返され(折り返された円環状部分を符号12Bで示す),この折り返し部分12Bの外面に胴部材11の屈曲部11Bが接着(熱溶着)されている。外筒部材13の下端部,すなわちカール13Aは,胴部材11の屈曲部11Bよりも外方(下方)に突出している。この電子レンジ用紙カップ10Aは,後述するように,胴部材11および底部材12の少なくとも最内層に熱可塑性樹脂膜が形成されている場合には,底部材12の外周端面の端面処理を行うことなく,液体の内容物に対応することができるとともに,胴部材11の屈曲部11Bと底部材12の折り返し部分12Bとをこの熱可塑性樹脂膜の熱溶着により接合することができる。また,底部材12の両面に熱可塑性樹脂膜を形成すれば,折り返し部分12Bと底部材12外面とをこの樹脂の熱溶着により接合することができる。
図3は,図2に示す胴部材11の下端部と底部材12の周縁部との接合についての変形例を示している。胴部材11の下端部の屈曲部11Bが底部材12の折り返し部分12Bよりも(紙カップの中心に向って)伸びており,この伸びた部分(符号11B1 で示す)が底部材12の外面に接合(熱溶着,接着)(固定)されている。
図4はさらに他の変形例を示すものであり,やや複雑な構造となっている。胴部材11の屈曲部11Bの先端部に折り返し部分11Cがあり,この折り返し部分11Cが,底部材12の外周部分12Cと折り返し部分12Bとの間に挟まれている。これらの互いに挟み込んでいる部分12C,11C,12B,11Bは少なくとも部分的に,好ましくは全面的に,互いに接合(接着,熱溶着)(固定)されていることが好ましい。図3,図4いずれの変形例においても外筒部材13のカール13A下端は胴部材11の屈曲部11Bよりも外方(下方)に突出している。
図4の変形例では,胴部材11の屈曲部11Bが底部材12の折り返し部分12Bの外面に被さるように接合しているということができるが,胴部材11の折り返し部分11Cが底部の外周部分12Cの外面に被さるように接合しているといってもよい。胴部材11と底部材12との熱溶着のためには胴部材11の内面と底部材12の内面に熱可塑性樹脂膜が形成されているとよいが,さらに底部材12の両面に熱可塑性樹脂膜が形成されていると一層好ましい。
なお,上記の図面において,細かい部分を分りやすく表現するために胴部材11,底部材12,外筒部材13の断面はやや誇張して厚く描いてあり,胴部材11の屈曲部11B等の幅もやや大き目に描かれている点などを,図面を見るにあたって考慮していただきたい。
上記電子レンジ用紙カップの少なくとも胴部材11および底部材12は紙を主強度材とし,上述したように,最内層および/または最外層に熱可塑性樹脂層を有するものであることが好ましい。最内層の熱可塑性樹脂は,内容物の保護,特に液状の物質を入れても洩れない等の機能をもつ。熱可塑性樹脂は具体的には,ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),ポリエステル,エチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。厚さとしては,15〜60μmの範囲が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は,押し出し加工あるいはラミネート加工によって,最内層に形成される。これらの樹脂の膜(フイルム)を最内層および/または最外層に形成することにより,熱シールによる貼り合わせが可能となるという利点もある。すなわち,底部材12の周縁部12Aまたは折り返された円環状部分(周縁部)12Bと胴部材11の屈曲部11Bとの接着,底部の外周部分12C,底部材12の折り返し部分12B,胴部材11の折り返し部分11C,屈曲部11B等間の接着,1枚のブランク材を筒状に形成してその両端を貼り合わせることにより胴部材11を形成するときの両端の接着等を,これらの熱可塑性樹脂の熱溶着により行うことができる。最内層の樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いることも可能である。この場合には,貼り合わせのために接着剤を用いることが好ましい。
外筒部材13は,その最外層に上述した各種樹脂層を設けることが好ましい。
胴部材11,底部材12,外筒部材13とも,もちろん三層以上の層構造とし,両面に樹脂膜を形成してもよい。たとえば,ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層,発泡ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層,ポリプロピレン樹脂層/紙層/ポリプロピレン樹脂層などが挙げられる。
主強度材となる紙としては,紙カップ成形適性の良いカップ厚紙を使用することが好ましい。坪量は,とくに限定されないが,紙カップ成形適性上,150〜350g/m2の範囲がより好ましい。
一例として,胴部材11の材料として,外面から低密度PE40μm/カップ厚紙280g/m2/低密度PEと高密度PEとの混合樹脂25μmの構成の材料を使用し,底部材12の材料として,外面から低密度PE30μm/カップ厚紙220g/m2/低密度PE25μmの構成の材料を挙げることができる。外筒部材13の材料としてカップ厚紙270g/m2を使用することができる。
以上のように上述した電子レンジ用紙カップ10,10Aは,胴部材11と底部材12との接着部分等の紙が重なる接合部分が内容物と接する構造となっているので,電子レンジで加熱しても焦げにくいものとなっている。また,外筒部材13の下端部(カール13A)が,底部材の周縁部に接合する胴部材の下端屈曲部11Bよりも突出しているので,外筒部材13の下端(カール13A)で安定的に自立する。これにより,紙カップの安定性が高まる。外筒部材13に接して,またはその内部に断熱空間があるから,さらにカール13Aの内部にも空間があるから,外筒部材そのものも焦げにくい構造となっている。上記の紙カップは必要に応じて蓋が被せられるか,または蓋が胴部材11のカール11Aに接合(接着,熱溶着)されるのはいうまでもない。
10,10A 電子レンジ用紙カップ
11 胴部材
11B 屈曲部
11C 折り返し部分(屈曲部)
12 底部材
12A,12B 周縁部
13 外筒部材

Claims (5)

  1. 胴部材と底部材と外筒部材とから構成され,
    上記胴部材の下端部が内側に屈曲され,上記底部材の周縁部の外面に被さるように接合されており,
    上記外筒部材は上記胴部材の外側に被せられ,かつ固定され,上記外筒部材の下端が,上記底部材の周縁部に接合する上記胴部材下端屈曲部よりも外方に突出している,
    電子レンジ用紙カップ。
  2. 上記底部材の周縁部が外面に折り返され,この折り返し部分に上記胴部材下端屈曲部が接合されている,請求項1に記載の電子レンジ用紙カップ。
  3. 上記底部材の周縁部が外面に折り返され,上記胴部材の内側に屈曲された下端部の先端部が内側に折り返されてつくられたこの折り返し部分が,上記底部材と上記底部材の折り返し部分との間に挟まれ,上記底部材の折り返し部分に,上記折り返し先端部を除く上記胴部材下端屈曲部が接合されている,請求項1に記載の電子レンジ用紙カップ。
  4. 上記外筒部材によって上記胴部材の外側に断熱空間が形成されている,請求項1から3のいずれか一項に記載の電子レンジ用紙カップ。
  5. 上記外筒部材の下端に内側への返しが形成されている,請求項1から4のいずれか一項に記載の電子レンジ用紙カップ。
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