JP2014162649A - SiC基板、SiC基板の製造方法、SiCエピタキシャル基板 - Google Patents
SiC基板、SiC基板の製造方法、SiCエピタキシャル基板 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、エピタキシャル層の基底面転位を抑制するSiC基板およびその製造方法、またSiCエピタキシャル基板の提供を目的とする。
【解決手段】
本発明のSiC基板は、c軸に垂直な面からオフ角だけ傾いた主面を有するSiC基板であって、主面表面の基底面転位の80%以上につき、転位線方向とオフ角のオフ方向とのなす角が45°以上90°以下である。
【選択図】図3
【解決手段】
本発明のSiC基板は、c軸に垂直な面からオフ角だけ傾いた主面を有するSiC基板であって、主面表面の基底面転位の80%以上につき、転位線方向とオフ角のオフ方向とのなす角が45°以上90°以下である。
【選択図】図3
Description
この発明は、SiCエピタキシャル層から基底面転位を除去する技術に関する。
炭化珪素(SiC)は、珪素(Si)に比べてバンドギャップが大きく、絶縁破壊電界強度、飽和電子速度、および熱伝導度などの物性値が優れており、半導体パワーデバイス材料として優れた性質を有する。特に、SiCを用いたパワーデバイスは電力損失の大幅な低減・小型化等が可能で、電源電力変換時の省エネルギー化を実現するため、電気自動車の高性能化、太陽電池システム等の高機能化等、低炭素社会を実現する上でキーデバイスとなる可能性を有している。
SiCパワーデバイスの製造にあたり、予めCVD法(熱化学気相堆積法)等によりSiCバルク基板上に半導体デバイスの活性領域をエピタキシャル成長することが必須である。ここで活性領域とは、結晶中におけるドーピング濃度及び膜厚が精密に制御された上で作りこまれている成長方向軸を含む断面領域を指す。バルク基板に加えてエピタキシャル成長膜が必要とされる理由は、デバイスの設計仕様によりドーピング濃度と膜厚がほぼ規定されるからであり、また、通常、バルク基板のドーピング濃度より一層の高精度の制御性が求められるためである。
SiC単結晶基板には、多くの貫通転位が存在しており、これらは貫通螺旋転位、貫通刃状転位、基底面転位の3種類に大別される。貫通螺旋転位、貫通刃状転位はc軸(<0001>)方向に進行する転位であり、基底面転位は基底面に平行して存在している転位を指す。これらの転位の内、基底面転位がエピタキシャル成長膜へ引き継がれ、デバイスの駆動領域に存在すると、通電によって基底面転位が積層欠陥に拡張し、SiCデバイスの信頼性に悪影響を与える(非特許文献1)。
通常、SiCパワーデバイスを作製するSiCのエピタキシャル基板は、オフ角を有するSiC基板の(0001)面(si面)上にステップフロー成長法で製造される。オフ角の無いon−axis基板を用いれば基底面転位は伝播されないが、ステップフロー成長が起こり難くなり、良好な結晶性を有するSiCエピタキシャル成長膜が得られないため、現状では生産性なども考慮して、1°以上10°以下のオフ角を有するSiC基板(オフ基板)が採用されている。オフ基板上において、SiC単結晶中の基底面転位の殆どはSiCエピタキシャル成長により貫通刃状転位に変換されるが、一部はエピタキシャル成長膜へ引き継がれてしまう。そこで、エピタキシャル成長膜に引き継がれる基底面転位を低減し、基底面転位の少ないエピタキシャル成長膜の形成技術が強く求められている。
前述したように、エピタキシャル成長膜の基底面転位はSiC基板から引き継がれ、形成される。従って、エピタキシャル成長膜の基底面転位を低減するためには、もともと基底面転位の少ないSiC単結晶基板を用いるか、もしくはエピタキシャル成長による基底面転位の伝播を抑制することが必要となる。
SiCバルク単結晶の転位を低減する方法として、例えば特許文献1は、(11−22)面を表面とするSiC単結晶基板上に、CVD法によりエピタキシャル膜を成長させることで貫通転位をエピタキシャル膜の側面から排出させ、その後更に、昇華法により単結晶基板をバルク状に成長させることで、結晶欠陥の少ないSiC単結晶を得る手法を提案している。
また、特許文献2は、(0001)面から例えば60°傾いた面を第1成長面として結晶成長した後、<0001>を回転軸として例えば90°回転させた方向に、再度(0001)面から例えば60°傾いた面を露出させ、結晶成長する。この作業を繰り返し行うことで、SiC単結晶の転位密度を指数関数的に減少する手法を提案している。
S. Ha et al., "Nucleation sites of recombination-enhanced stacking fault formation in silicon carbide p-i-n diodes", J. Appl. Phys., 2004, Vol.96, pp393-398.
しかしながら、特許文献1では、(11−22)面から結晶成長させているため、通常用いられる(0001)面や(000−1)面を主面に持つSiC基板をバルク成長後に取り出す際に多くの無駄が生じ、産業的観点から不利である。更に、CVD法によるエピタキシャル成長膜の側面から貫通転位を排出するためには、例えば4インチ基板の場合、約5.4mm厚ものエピタキシャル成長膜が必要となり、これも産業的に不利となる。
また、特許文献2では、転位密度を低減するために、少なくとも2回以上、結晶成長を繰り返す必要があり、加えて、大面積の基板を得るためには、各結晶成長における成長膜厚を厚くする必要があり、産業的に不利となる。
さらに、特許文献1、特許文献2の技術によれば、<0001>方向に対し垂直方向に進行する基底面転位を容易に大幅に低減することは困難である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、エピタキシャル層の基底面転位を抑制するSiC基板およびその製造方法、またSiCエピタキシャル基板の提供を目的とする。
本発明のSiC基板は、c軸に垂直な面からオフ角だけ傾いた主面を有するSiC基板であって、主面表面の基底面転位の80%以上につき、転位線方向とオフ角のオフ方向とのなす角が45°以上90°以下である。
本発明のSiC基板の製造方法は、(a)c軸に垂直な面から第1オフ方向に第1オフ角だけ傾斜した第1主面を有するSiC基板を準備する工程と、(b)SiC基板の第1主面上にエピタキシャル成長を行う工程と、(c)工程(b)の後、SiC基板を種基板としてバルク結晶成長を行う工程と、(d)工程(c)の後、c軸に垂直な面から第1オフ方向とは異なる第2オフ方向に第2オフ角だけ傾斜した第2主面を有するようにSiC基板を切り出す工程とを備える。これにより、表面の基底面転位の方向を一方向に揃えたSiC基板が形成される。
本発明のSiC基板は、c軸に垂直な面からオフ角だけ傾いた主面を有するSiC基板であって、主面表面の基底面転位の80%以上につき、転位線方向とオフ角のオフ方向とのなす角が45°以上90°以下である。そのため、このSiC基板の主面上にエピタキシャル成長を行うと、SiC基板主面表面の基底面転位はエピタキシャル層に引き継がれず、エピタキシャル層の基底面転位が抑制される。
本発明のSiC基板の製造方法は、(a)c軸に垂直な面から第1オフ方向に第1オフ角だけ傾斜した第1主面を有するSiC基板を準備する工程と、(b)SiC基板の第1主面上にエピタキシャル成長を行う工程と、(c)工程(b)の後、SiC基板を種基板としてバルク結晶成長を行う工程と、(d)工程(c)の後、c軸に垂直な面から第1オフ方向とは異なる第2オフ方向に第2オフ角だけ傾斜した第2主面を有するようにSiC基板を切り出す工程とを備える。これにより、表面の基底面転位の方向を一方向に揃えたSiC基板が形成される。
SiC単結晶基板上にエピタキシャル成長を行う際の、基底面転位から貫通刃状転位への変換率について述べる。
出願人は、エピタキシャル成長膜の基底面転位の抑制を目的として鋭意研究を行っていく中で、SiCエピタキシャル成長における基底面転位の変換率が、SiC基板のオフ方向とSiC基板表面における基底面転位の転位線方向との関係に密接に関連していることを発見した。
図1は、SiC基板をKOH(溶融水酸化カリウム)エッチングした際の基底面転位のエッチピットを示している。ここで示す4H−SiC基板は、(0001)面からオフ方向10(<11−20>)にオフ角度4°の傾斜を有する主面を有している。基底面転位のエッチピットは図1に示すシェル形状であり、エッチピットの長軸方向が基底面転位の転位線方向11と一致する。すなわち、エッチピットを観察することにより、基底面転位の数や転位線方向11を評価することができる。以下、基底面転位の転位線方向11をKOHエッチングによるシェルピットの長軸方向と定義し、また、SiC基板表面における基底面転位の転位線方向11とオフ方向10とのなす角度をθとする。また、特に指定が無い場合は、θは前記なす角度の絶対値とする。
図2は、(0001)面から4°傾斜したSiC基板表面における基底面転位の転位線方向の分布を示す。縦軸は基底面転位の存在割合を示し、横軸はSiC基板のオフ方向と基底面転位の転位線方向がなす角度θを示している。これによると、角度θによらず基底面転位の存在割合はほぼ一定である。すなわち、通常、SiC基板中の基底面転位の転位線は様々な方向を向いていることが分かる。この現象は、SiC基板のオフ角やオフ方向によらず生じる。
図3は、上記SiC基板表面上にエピタキシャル成長させて形成したエピタキシャル基板表面における基底面転位の転位線方向の分布を示す。この図より、SiC基板表面とは異なり、全ての基底面転位の転位線方向は、オフ方向とのなす角度θが30°以下、更に言えば、その殆どが15°以下となっていることが分かる。つまり、SiC基板表面では基底面転位の転位線方向がバラバラであっても、SiC基板表面から成長したエピタキシャル層では、基底面転位の転位線方向はオフ方向とほぼ平行、具体的には、オフ方向とのなす角度θが±30°以内に揃い、更には、80%以上が±15°以内に揃う。
そこで、エピタキシャル成長前後のエッチピットをより詳細に調査したところ、基底面転位の変換率と基底面転位の転位線方向の関係が明らかになった。エピタキシャル成長による基底面転位の変換率と、SiC単結晶基板に存在する基底面転位の転位線方向とオフ方向のなす角度θとの関係を図4に示す。図4より、0≦θ<30°では約85%の基底面転位が、30°≦θで95%以上の基底面転位が、45°≦θになるとほぼすべての基底面転位が、エピタキシャル成長により貫通刃状転位に変換されることがわかる。つまり、基底面転位の転位線方向とオフ方向のなす角度θが45°以上90°以下となるSiC基板の表面にエピタキシャル成長することによって、基底面転位のないSiCエピタキシャル基板が得られることが分かった。
なお、上述した角度θと基底面転位の変換率の関係は、<11−20>方向にオフ角を有する4°オフSiC基板上に限定されず、異なるオフ方向、異なるオフ角度を有するSiC基板上においても実現する。
<A.実施の形態1>
実施の形態1では、基底面転位の転位線方向とオフ方向のなす角度が45°以上90°以下となるSiC基板を製造する。このSiC基板上にエピタキシャル層を形成すれば、エピタキシャル層中に基底面転位は殆ど存在しない。
実施の形態1では、基底面転位の転位線方向とオフ方向のなす角度が45°以上90°以下となるSiC基板を製造する。このSiC基板上にエピタキシャル層を形成すれば、エピタキシャル層中に基底面転位は殆ど存在しない。
<A−1.製造方法>
実施の形態1に係るSiC基板の製造方法を以下に説明する。まず、c軸に垂直な面を傾けた主面を有するSiC単結晶基板を準備する。例えば、c面((000−1)面)やSi面((0001)面)を結晶成長面とするSiCバルク単結晶基板からワイヤーソー等を用いて切り出すことにより、(0001)面を<11−20>方向(第1オフ方向)に傾けた面を主面とするSiC単結晶基板を準備する。ここで、オフ角は1°以上10°以下とする。なぜなら、オフ角が1°以下では、ステップフロー成長が起こりにくくなるため、切り出した基板上への良好なエピタキシャル成長が困難となり、10°以上では、エピタキシャル成長における基底面転位の変換率が著しく低下するためである。
実施の形態1に係るSiC基板の製造方法を以下に説明する。まず、c軸に垂直な面を傾けた主面を有するSiC単結晶基板を準備する。例えば、c面((000−1)面)やSi面((0001)面)を結晶成長面とするSiCバルク単結晶基板からワイヤーソー等を用いて切り出すことにより、(0001)面を<11−20>方向(第1オフ方向)に傾けた面を主面とするSiC単結晶基板を準備する。ここで、オフ角は1°以上10°以下とする。なぜなら、オフ角が1°以下では、ステップフロー成長が起こりにくくなるため、切り出した基板上への良好なエピタキシャル成長が困難となり、10°以上では、エピタキシャル成長における基底面転位の変換率が著しく低下するためである。
次に、SiC単結晶基板の表面に、CVD法を用いてSiCエピタキシャル成長膜を成長させる(エピタキシャル成長工程)。キャリアガスには水素を用い、原料ガスには、シランやジシランに代表されるシリコン含有ガスと、プロパンやメタンに代表される炭素含有ガスを用いる。また、これらの原料ガス流量比であるC/Si比は0.5から1.5とする。更に、不純物のドーパントガスとして、窒素やアルミニウムを添加する。これらのガスは、SiC単結晶基板を設置し1400℃から1800℃に加熱された反応炉に導入され、SiC単結晶基板上にエピタキシャル成長を行いSiCエピタキシャル基板を形成する。反応炉の圧力は1kPaから30kPaとする。また、成長速度を速めるためにハロゲン系ガスを導入してもよい。
なお、エピタキシャル成長の前処理として、切り出したSiC単結晶基板の表面を鏡面加工、好ましくはCMP処理しておくことが望ましい。これは、エピタキシャル成長における基底面転位の変換率を向上させるためである。また、エピタキシャル成長膜の不純物として、例えば窒素を用い、不純物濃度は1×1015〜1×1019cm−3とする。基底面転位の変換率は不純物濃度によって変化しないため、SiC単結晶基板の濃度に合わせて選択することができる。また、エピタキシャル成長膜厚は100nm以上100μm以下とする。成長条件により一概には規定できないが、100nm以下では基底面転位の変換が不十分となり、基底面転位を効果的に低減することができない。また、100μm以上では、通常用いられるエピタキシャル成長速度ではエピタキシャル成長時間が長時間になり、産業的に不利となる。このようにして成長させたエピタキシャル成長膜表面の基底面転位密度は、SiC基板と比較して大幅に低減されており、更に転位線の進行方向は、前述したように第1オフ方向にほぼ平行、具体的には±30°以内の方向に揃っている。
次に、SiCエピタキシャル基板を種結晶として、昇華法により再度SiCバルク単結晶を成長させる(バルク成長工程)。具体的には、坩堝内にSiC原料粉末と種結晶を対面して設置し、Arなどの減圧不活性ガス雰囲気中で2000℃から2400℃程度に加熱する。加熱時、SiC種結晶の温度をSiC原料粉末の温度より数10℃から数100℃低くすることで、昇華再成長を促進させる。こうして、基底面転位の転位線方向が一方向に揃ったSiCバルク単結晶が得られる。ここで成長させるバルク単結晶の高さは、10mm以下であることが好ましい。なぜなら、バルク単結晶の高さが10mm以上になると、バルク結晶成長過程で温度分布による熱応力が生じ、基底面転位の転位線方向が変化したり、新たに基底面転位が発生したりして、先のエピタキシャル成長工程でオフ方向に限定した基底面転位の転位線進行方向がばらばらになってしまうためである。
次に、SiCバルク単結晶からワイヤーソー等を用いてSiC基板を切り出す。このとき、切り出したSiC基板のオフ方向は、先のエピタキシャル成長工程で作製したSiCエピタキシャル基板表面の法線を回転軸として、第1オフ方向から45°以上90°以下回転させた方向とする。以下、この方向を第2オフ方向とする。また、第2オフ方向のオフ角は1°以上10°以下とする。なぜなら、オフ角が1°以下では、ステップフロー成長が起こりにくくなるため、切り出した基板上への良好なエピタキシャル成長が困難となり、10°以上では、エピタキシャル成長における基底面転位の変換率が著しく低下するためである。
切り出したSiC基板では、少なくとも80%以上の基底面転位の転位線方向が、基板のオフ方向(第2オフ方向)から45°以上90°以下回転させた方向に限定される。全ての基底面転位が第2オフ方向に対して45°以上90°以下回転させた方向にならないのは、先のバルク成長工程で、基底面転位の転位線方向が変化したり、新たに発生したりするものがあるためである。
以上の工程を経て、基底面転位の転位線方向とSiC基板のオフ方向のなす角度が45°以上90°以下となるSiC基板が製造できる。また、その基底面転位の転位線方向は概ね第1オフ方向に一致する。
第2オフ方向は、一概に規定はされないが、例えば、エピタキシャル成長工程において、Si面((0001)面)を第1オフ方向<11−20>に傾けた面を、SiC単結晶基板のエピタキシャル成長面とする場合、第2オフ方向を<2−1−10>もしくは<−12−10>方向とすると、基底面転位の転位線方向と第2オフ方向のなす角度は60°となる。すなわち、基底面転位の進行方向とSiC基板のオフ方向(第2オフ方向)のなす角度を約60°に揃えたSiC基板を得ることができる。また、<11−20>、<2−1−10>、<−12−10>は結晶構造的に同義な方向とみなせるため、第1オフ方向を<2−1−10>、<−12−10>としても、通常使用されている<11−20>オフ基板となんら変わることなく、その後のエピタキシャル成長プロセスやデバイスプロセスを行うことが可能である。
<A−2.変形例>
以上の説明では、具体例として、第1オフ方向と第2オフ方向のなす角度を60°とし、第1オフ方向を<11−20>、第2オフ方向を<2−1−10>または<−12−10>としたが、第1、第2オフ方向はこれらに限定されない。第1オフ方向と第2オフ方向のなす角度が45°以上90°以下であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
以上の説明では、具体例として、第1オフ方向と第2オフ方向のなす角度を60°とし、第1オフ方向を<11−20>、第2オフ方向を<2−1−10>または<−12−10>としたが、第1、第2オフ方向はこれらに限定されない。第1オフ方向と第2オフ方向のなす角度が45°以上90°以下であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
また、具体例として、(0001)面を第1、第2オフ方向に傾けた面からエピタキシャル成長、バルク単結晶成長をそれぞれ行ったが、c軸方向に平行な法線ベクトルを有する(000−1)面を第1、第2オフ方向に傾けた面からエピタキシャル成長、バルク単結晶成長をそれぞれ行っても良い。
また、バルク成長工程では昇華法を用いたが、CVD法を用いてバルク単結晶を成長させても良い。CVD法では、昇華法と比較して温度分布が小さく、それに伴って熱応力も小さくなるため、基底面転位の成長方向の変化や新たな基底面転位の発生は殆ど無い。そのため、成長させるバルク単結晶の高さは10mm以下に限定されない。
<A−3.効果>
本実施の形態のSiC基板は、c軸に垂直な面からオフ角だけ傾いた主面を有するSiC基板であって、主面表面の基底面転位の80%以上につき、転位線方向とオフ角のオフ方向とのなす角が45°以上90°以下である。よって、この基板上にエピ成長することで、基底面転位のないエピタキシャル基板が得られる。
本実施の形態のSiC基板は、c軸に垂直な面からオフ角だけ傾いた主面を有するSiC基板であって、主面表面の基底面転位の80%以上につき、転位線方向とオフ角のオフ方向とのなす角が45°以上90°以下である。よって、この基板上にエピ成長することで、基底面転位のないエピタキシャル基板が得られる。
また、基底面転位の転位線方向の角度は、ばらつきにおいて30°未満に揃っている。この基板上にエピ成長することで、基底面転位のないエピタキシャル基板が得られる。
また、SiC基板のオフ角は、1°以上とすることでステップフロー成長が可能で、10°以下とすることで、エピタキシャル層における基底面転位の変換率を高くすることができる。
本実施の形態のSiC基板の製造方法は、(a)c軸に垂直な面から第1オフ方向に第1オフ角だけ傾斜した第1主面を有するSiC基板を準備する工程と、(b)SiC基板の第1主面上にエピタキシャル成長を行う工程と、(c)工程(b)の後、SiC基板を種基板としてバルク結晶成長を行う工程と、(d)工程(c)の後、c軸に垂直な面から第1オフ方向とは異なる第2オフ方向に第2オフ角だけ傾斜した第2主面を有するようにSiC基板を切り出す工程とを備える。工程(b)でエピタキシャル層上の基底面転位は第1オフ方向と平行な方向(±30°未満)に揃うので、工程(d)でSiC基板表面の基底面転位の転位線方向は、オフ角から第2オフ角±30°の角度に限定される。従って、SiC基板上にエピタキシャル層を形成すれば、エピタキシャル層中の基底面転位を抑制することが可能である。
また、本実施の形態のSiC基板の製造方法において、第2オフ方向は、第1オフ方向から第1主面の法線を軸に45°以上90°以下回転させた方向であるので、SiC基板表面の基底面転位の転位線方向は、第2オフ方向から15°以上120°以下の方向に限定される。そのうちの大半は、第2オフ方向から45°以上90°以下の方向に限定される。よって、この基板上にエピ成長することで、基底面転位のないエピタキシャル基板が得られる。
また、本実施の形態のSiC基板の製造方法において、第1、第2オフ角は、1°以上とすることでステップフロー成長が可能で、10°以下とすることでエピタキシャル層における基底面転位の変換率を高くすることができる。
また、本実施の形態のSiC基板の製造方法において、第1オフ方向は<11−20>で、第2オフ方向は<2−1−10>又は<−12−10>とすれば、第2オフ方向は第1オフ方向に対して60°の傾きとなり、SiC基板表面の基底面転位の転位線方向は、第2オフ方向から30°以上90°以下の方向に限定される。そのうちの大半は、第2オフ方向から45°以上90°以下の方向に限定される。よって、この基板上にエピ成長することで、基底面転位のないエピタキシャル基板が得られる。
また、本実施の形態のSiC基板の製造方法において、前記工程(c)では、昇華法を用いてバルク結晶成長を行うことにより、高速でバルク単結晶成長を行うことができる。また、その場合には、成長させるバルク単結晶の高さを10mm以下とすることにより、バルク結晶成長過程で生じる熱応力により、基底面転位の転位線進行方向がばらばらになることを防ぐ。
あるいは、本実施の形態のSiC基板の製造方法において、前記工程(c)では、CVD法を用いてバルク結晶成長を行っても良い。CVD法によれば、バルク結晶成長過程で温度分布が小さいため、基底面転位の転位線進行方向を揃えながらバルク単結晶を高さ10mm以上に成長させることができる。
<B.実施の形態2>
実施の形態2では、実施の形態1で作製したSiC基板上に、CVD法によりエピタキシャル成長させてSiCエピタキシャル基板を形成する。なお、エピタキシャル成長の前処理として、切り出したSiC基板の表面を鏡面加工、好ましくはCMP処理しておくことが望ましい。これは、エピタキシャル成長における基底面転位の変換率を向上させるためである。
実施の形態2では、実施の形態1で作製したSiC基板上に、CVD法によりエピタキシャル成長させてSiCエピタキシャル基板を形成する。なお、エピタキシャル成長の前処理として、切り出したSiC基板の表面を鏡面加工、好ましくはCMP処理しておくことが望ましい。これは、エピタキシャル成長における基底面転位の変換率を向上させるためである。
実施の形態1で作製したSiC基板では、基底面転位の転位線方向とSiC基板のオフ方向のなす角度が45°以上90°以下に限定されている。その表面上にエピタキシャル成長することで、SiC基板に存在する基底面転位の変換率はほぼ100%となり、基底面転位が殆ど存在しないエピタキシャル成長膜を形成することができる。また、このエピタキシャル成長膜は、所望のデバイス特性を得られるよう、膜厚、不純物濃度を調整することが可能である。
実施の形態2のSiCエピタキシャル基板は、実施の形態1のSiC基板と、当該SiC基板の主面上に形成されたエピタキシャル層とを備えるので、エピタキシャル層上に基底面転位が殆どない。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
10 オフ方向、11 転位線方向。
Claims (12)
- c軸に垂直な面からオフ角だけ傾いた主面を有するSiC基板であって、
前記主面表面の基底面転位の80%以上につき、転位線方向と前記オフ角のオフ方向とのなす角が45°以上90°以下である、SiC基板。 - 前記基底面転位の転位線方向の角度は、ばらつきにおいて30度未満に揃っている、
請求項1に記載のSiC基板。 - 前記オフ角は1°以上10°以下である、
請求項1又は2に記載のSiC基板。 - (a)c軸に垂直な面から第1オフ方向に第1オフ角だけ傾斜した第1主面を有するSiC基板を準備する工程と、
(b)前記SiC基板の前記第1主面上にエピタキシャル成長を行う工程と、
(c)工程(b)の後、前記SiC基板を種基板としてバルク結晶成長を行う工程と、
(d)工程(c)の後、c軸に垂直な面から前記第1オフ方向とは異なる第2オフ方向に第2オフ角だけ傾斜した第2主面を有するように前記SiC基板を切り出す工程とを備える、
SiC基板の製造方法。 - 前記第2オフ方向は、前記第1オフ方向から前記第1主面の法線を軸に45°以上90°以下回転させた方向である、
請求項4に記載のSiC基板の製造方法。 - 前記第1、第2オフ角は1°以上10°以下である、
請求項4又は5に記載のSiC基板の製造方法。 - 前記第1オフ方向は<11−20>で、
前記第2オフ方向は<2−1−10>又は<−12−10>である、
請求項4〜6のいずれかに記載のSiC基板の製造方法。 - 前記工程(c)は、昇華法を用いてバルク結晶成長を行う工程である、
請求項4〜7のいずれかに記載のSiC基板の製造方法。 - 前記工程(c)は、高さ10mm以下のバルク単結晶を形成する工程である、
請求項8に記載のSiC基板の製造方法。 - 前記工程(c)は、CVD法を用いてバルク結晶成長を行う工程である、
請求項4〜7のいずれかに記載のSiC基板の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のSiC基板と、
前記SiC基板の前記主面上に形成されたエピタキシャル層とを備える、
SiCエピタキシャル基板。 - 請求項4〜10のいずれかに記載のSiC基板の製造方法により製造されたSiC基板と、
前記SiC基板の前記第2主面上に形成されたエピタキシャル層とを備える、
SiCエピタキシャル基板。
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