JP2007223878A - Iii族窒化物結晶の製造方法およびiii族窒化物結晶基板 - Google Patents

Iii族窒化物結晶の製造方法およびiii族窒化物結晶基板 Download PDF

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Abstract

【課題】低転位密度のIII族窒化物結晶を得ることができるIII族窒化物結晶の製造方法およびその方法により得られるIII族窒化物結晶基板を提供する。
【解決手段】石英反応管の内部における、ハロゲン化ガリウムガス、ハロゲン化インジウムガスおよびハロゲン化アルミニウムガスからなる群から選択された少なくとも1種のガスとアンモニアガスとを含む原料ガスの反応によって、下地基板の表面上にIII族窒化物結晶を成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であって、III族窒化物結晶の成長中に下地基板の温度を変化させるIII族窒化物結晶の製造方法とその方法により得られるIII族窒化物結晶基板である。
【選択図】図1

Description

本発明は、III族窒化物結晶の製造方法およびその方法により得られるIII族窒化物結晶基板に関する。
III族窒化物結晶の中でもGaN(以下、「窒化ガリウム」ということもある)結晶は、3.4eVのエネルギバンドギャップおよび高い熱伝導率を有しているため、短波長の光デバイスやパワー電子デバイスなどの半導体デバイス用の材料として注目されている。
このGaN結晶の従来の製造方法としては、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法を用いる方法がある。図1に、HVPE法による従来のGaN結晶の製造方法に用いられる製造装置の一例の模式的な構成を示す。この製造装置は、石英反応管1と、石英反応管1の内部にガスを導入するためのガス導入管2、3と、石英反応管1の外部に設置されているヒータ5、6と、下地基板を加熱するための基板ヒータ7と、石英反応管1に連結されている排ガス処理装置8とを含む。
この石英反応管1の内部にガリウム(Ga)が収容されたガリウムボート4と下地基板9を設置する。そして、ガス導入管2からキャリアガス(N2、ArまたはH2など)およびアンモニアガス(NH3)を石英反応管1の内部に導入するとともに、ガス導入管3からキャリアガスおよび塩化水素ガス(HCl)を導入し、ヒータ5、6および基板ヒータ7によって、ガリウムボート4および下地基板9を加熱する。これにより、ガリウムボート4中のガリウムと塩化水素ガスとが反応して塩化ガリウムガスが生成し、生成した塩化ガリウムガスがアンモニアガスと反応して下地基板9の表面上にGaN結晶10が成長する。
GaN結晶10の成長後は、ヒータ5、6および基板ヒータ7による加熱を中止し、GaN結晶10および下地基板9の温度を室温程度まで降下させる。その後、GaN結晶10および下地基板9を石英反応管1から取り出し、下地基板9を研削により除去することでGaN結晶10が製造される。
Daniela GOGOVA et al., "High-Quality 2" Bulk-Like Free-Standing GaN Grown by Hydride Vapour Phase Epitaxy on a Si-doped Metal Organic Vapour Phase Epitaxial GaN Template with an Ultra Low Dislocation Density", Japanese Journal of Applied Physics, Vol.44, No.3, 2005, pp.1181-1185
HVPE法によって、サファイア基板やGaAs基板などの異種の下地基板上にGaN結晶を成長させる場合、結晶系の違いや格子定数差を緩和するために種々の方法でバッファ層を形成する必要があるが、バッファ層と成長界面にて転位が多発してしまう問題がある。
また、この問題を回避するために、下地基板の表面上に形成したSiO2膜などでマスクパターンを形成し、マスクパターン上で横方向成長させることによって成長界面からの影響を低減させるEpitaxial Lateral Overgrowth(ELO)法があるが、横方向成長した部分が接合するときに転位が発生してしまう。
さらに、HVPE法で作製したGaN結晶自体を下地基板として用いてGaN結晶を成長させる方法もあるが、現在は品質の良いGaN結晶が得られておらず下地基板自体の結晶方位のゆらぎが大きいため、そのことが転位発生の原因となってしまう。
転位は、作製するデバイスの性能に大きく影響を及ぼすためにできるだけ少ない方がよいが、上記のように現状では低転位密度のGaN結晶の製造が困難である。
たとえば、非特許文献1においては、サファイア基板上にMOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法でGaN結晶を成長した下地基板の表面上にHVPE法でGaN結晶を成長させてGaN自立基板を作製しているが、転位密度は2×107cm-2と未だ転位は多い状況である。
そこで、本発明の目的は、低転位密度のIII族窒化物結晶を得ることができるIII族窒化物結晶の製造方法およびその方法により得られるIII族窒化物結晶基板を提供することにある。
本発明は、石英反応管の内部における、ハロゲン化ガリウムガス、ハロゲン化インジウムガスおよびハロゲン化アルミニウムガスからなる群から選択された少なくとも1種のガスとアンモニアガスとを含む原料ガスの反応によって、下地基板の表面上にIII族窒化物結晶を成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であって、III族窒化物結晶の成長中に下地基板の温度を変化させることを特徴とするIII族窒化物結晶の製造方法である。
ここで、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、下地基板の温度を800℃以上1500℃以下の範囲で変化させることが好ましい。
また、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、III族窒化物結晶の成長開始時における下地基板の温度は1100℃よりも高く1500℃以下であることが好ましい。
また、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、III族窒化物結晶の成長開始時における下地基板の温度は1150℃以上1400℃以下であることが好ましい。
また、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、III族窒化物結晶の成長厚みが20μm以上になるまで下地基板の温度を1100℃よりも高く1500℃以下とすることが好ましい。
また、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、III族窒化物結晶の成長厚みが20μm以上になるまで下地基板の温度を1150℃以上1400℃以下とすることが好ましい。
また、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、III族窒化物結晶の成長厚みが20μmよりも厚い時点で下地基板の温度を800℃以上1100℃以下とすることが好ましい。
また、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法において、ハロゲン化ガリウムガス、ハロゲン化インジウムガスおよびハロゲン化アルミニウムガスからなる群から選択された少なくとも1種のガスは、ガリウム、インジウムおよびアルミニウムからなる群から選択された少なくとも1種のIII族元素とハロゲンガスとを反応させて生成させることができる。ここで、ハロゲンガスは塩化水素ガスであることが好ましい。
また、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、下地基板が、サファイア、炭化シリコン、窒化ガリウムまたは窒化アルミニウムのいずれかからなることが好ましい。
また、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、不純物濃度が1×1018cm-3以下であるIII族窒化物結晶を成長させることが好ましい。
また、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、n型不純物がドーピングされたIII族窒化物結晶を成長させてもよい。ここで、n型不純物が酸素およびシリコンの少なくとも一方であることが好ましい。
また、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、200μm以上の厚さのIII族窒化物結晶を成長させることが好ましい。
さらに、本発明は、上記のいずれかに記載の製造方法により得られたIII族窒化物結晶からなるIII族窒化物結晶基板である。
本発明によれば、低転位密度のIII族窒化物結晶を得ることができるIII族窒化物結晶の製造方法およびその方法により得られるIII族窒化物結晶基板を提供することができる。
以下、本発明の一例として下地基板の表面上にGaN結晶を製造する場合について説明する。なお、本発明において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
本発明においては、図1に示す製造装置を用いてGaN結晶10を成長させる際に、下地基板9の温度を変化させながらGaN結晶10を成長させることに特徴がある。その他の説明は上記の背景技術の欄における説明と同様である。
すなわち、図1に示す製造装置においてGaN結晶10を成長させる際に、GaN結晶10の成長初期は下地基板9の温度を比較的高温にし、その後は成長初期の温度よりも低い温度でGaN結晶10を成長させる。これにより、成長初期のGaN結晶10に発生する転位を抑制し、その後は下地基板9の温度を低下させてGaN結晶10を成長させた場合でも成長初期のGaN結晶10から引き継がれる転位の数が減少するため、全体として低転位密度のGaN結晶10を得ることができる。また、比較的高温で成長させられるのは成長初期の段階のみであるため、高温での成長に必要とされる原料ガス量もごくわずかに抑えることができ、製造コストの増大も抑制することができるのである。
ここで、GaN結晶10の成長開始時から成長終了時までの間、下地基板9の温度は800℃以上1500℃以下の範囲で変化させられることが好ましい。下地基板9の温度が800℃未満となった場合には結晶性の良いGaN結晶10を得ることができないおそれがあるとともにGaN以外の副生成物やGaの飛沫が多発するおそれがある。また、下地基板9の温度が1500℃を超えた場合にはGaN結晶10の成長時においてGaN結晶10の生成速度よりも分解速度の方が著しく大きくなってGaN結晶10の成長速度が低下するおそれがある。
また、GaN結晶10の成長速度を確保して、GaN結晶10の成長初期におけるGaN結晶10の結晶性を良好にするという観点からは、GaN結晶10の成長開始時における下地基板の温度を1100℃よりも高く1500℃以下とすることが好ましく、1150℃以上1400℃以下とすることがより好ましい。
また、GaN結晶10の成長初期に発生する転位を十分に抑制するという観点からは、GaN結晶10の成長厚みが20μm以上になるまで下地基板9の温度を1100℃よりも高く1500℃以下とすることが好ましく、1150℃以上1400℃以下とすることがより好ましい。
また、図1に示す石英反応管1の内部に導入される原料ガス量を低減する観点からは、GaN結晶10の成長厚みが20μmよりも厚い時点で下地基板9の温度を800℃以上1100℃以下とすることが好ましい。
本発明の方法によって得られたGaN結晶10からGaN結晶基板を製造する観点からは、GaN結晶10は200μm以上の厚さに成長させられることが好ましい。
本発明によって得られたGaN結晶10は、たとえば、鏡面研磨された後に鏡面研磨によるダメージ層を除去することによってGaN結晶基板とすることができる。また、本発明によって得られたGaN結晶10を所定の厚みに切断した後に鏡面研磨し、鏡面研磨によるダメージ層を除去することによってもGaN結晶基板とすることができる。
上記においては、III族窒化物結晶の一例としてGaN結晶を成長させる場合について説明したが、本発明においては、GaN結晶に限られず、AlxGayInzN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z≠0)の式で表わされるIII族窒化物結晶を製造することができる。なお、上記の式において、Alはアルミニウムを示し、Gaはガリウムを示し、Inはインジウムを示し、Nは窒素を示す。また、上記の式において、xはAlの組成比を示し、yはGaの組成比を示し、zはインジウムの組成を示す。また、本発明においては、GaN結晶の場合と同様に、上記の式で表わされるIII族窒化物結晶からIII族窒化物結晶基板を製造することができることは言うまでもない。
また、上記においては、石英反応管1の内部におけるハロゲン化ガリウムガスとアンモニアガスとを含む原料ガスの反応によって下地基板9の表面上にGaN結晶10を成長させる場合について説明したが、本発明においては、石英反応管の内部におけるハロゲン化ガリウムガス、ハロゲン化インジウムガスおよびハロゲン化アルミニウムガスからなる群から選択された少なくとも1種のガスとアンモニアガスとを含む原料ガスの反応によって、下地基板の表面上にIII族窒化物結晶を成長させることができる。
ここで、ハロゲン化ガリウムガスは、たとえば上記のように、ハロゲンガスとガリウムとを反応させて生成することができる。また、ハロゲン化インジウムガスは、たとえば、ハロゲンガスとインジウムとを反応させて生成することができる。また、ハロゲン化アルミニウムガスは、たとえば、ハロゲンガスとアルミニウムとを反応させて生成することができる。なお、ハロゲン化ガリウムガス、ハロゲン化インジウムガスおよびハロゲン化アルミニウムガスを安定して生成する観点から、ハロゲンガスは塩化水素ガスであることが好ましい。
また、本発明において、下地基板としては、サファイア、炭化シリコン、窒化ガリウムまたは窒化アルミニウムのいずれかからなる基板が用いられることが好ましい。特に、下地基板が窒化ガリウムからなる場合には、AlxGayInzN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z≠0)の式で表わされるIII族窒化物結晶との格子整合性が良好であるため、より結晶性の高いIII族窒化物結晶を製造することができる傾向にある。
また、本発明において成長させられるIII族窒化物結晶の不純物濃度は、純度を高くする観点からは、1×1018cm-3以下であることが好ましい。
また、本発明においては、上記の原料ガスにn型不純物を含むガスを加えて石英反応管の内部に導入することによって、n型不純物がドーピングされたIII族窒化物結晶を成長させることもできる。ここで、n型不純物は特に限定されないが、酸素およびシリコンの少なくとも一方であることが好ましい。
本発明におけるIII族窒化物結晶からなるIII族窒化物結晶基板は、光デバイス(発光ダイオード、レーザダイオードなど)、電子デバイス(整流器、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、HEMTなど)、半導体センサ(温度センサ、圧力センサ、放射線センサ、可視−紫外光検出器など)といった半導体デバイス、またはSAWデバイス、振動子、共振子、発振器、MEMS部品、圧電アクチュエータなどの基板として用いることが可能である。すなわち、本発明におけるIII族窒化物結晶基板の表面上に半導体層や金属層などを積層することなどによって、たとえば上記のようなデバイスを製造することができる。
(実施例1)
図1に示す石英反応管1の内部に、鏡面研磨後に研磨によるダメージ層が除去された窒化ガリウムからなる下地基板9を設置した。この下地基板9の口径は2インチで厚さは400μmであった。また、下地基板9の表面の面方位は(0001)であった。
そして、石英反応管1の内部にガス導入管2、3からキャリアガスとして高純度の水素ガスを導入しながらヒータ5、6の加熱温度を1000℃に上昇させるとともに基板ヒータ7の加熱温度を1300℃に上昇させた。
続いて、ガス導入管2からアンモニアガスを、ガス導入管3から塩化水素ガスをそれぞれキャリアガスとともに導入した。ここで、アンモニアガスと塩化水素ガスの分圧を調整し、多結晶が発生せず、かつ成長速度が20μm/h以上となるようにした。
そして、基板ヒータ7の加熱温度を維持したまま20μmの厚さになるまでGaN結晶10を成長(すなわち、GaN結晶10の成長開始時から20μmの厚さになるまでの下地基板9の温度は1300℃となる)させた後、基板ヒータ7の加熱温度を1050℃に低下するとともにアンモニアガスと塩化水素ガスの分圧をそれぞれ1/8に低下させてGaN結晶10の厚みが400μmとなるまで成長を続けた(すなわち、GaN結晶10の厚さが20μmを超えてから成長終了時までの下地基板9の温度は1050℃となる)。この場合、石英反応管1の内部におけるアンモニアガスと塩化水素ガスの分圧をそれぞれ1/8に低下させた場合でも多結晶が発生せず、かつ、GaN結晶の成長速度を20μm/h以上とすることができる。
GaN結晶10の成長終了後、GaN結晶10の温度を室温まで低下させて、下地基板9の表面上に成長したGaN結晶10を石英反応管1から取り出した。そして、下地基板9を研削により除去することによって得られたGaN結晶10を鏡面研磨した後、ダメージ層を除去することによって、実施例1のGaN結晶基板を製造した。
この実施例1のGaN結晶基板の表面を350℃のKOH−NaOH混合融液でエッチングすると、転位に対応するエッチピットが形成された。そして、このエッチピットの数をカウントすることにより転位密度を評価したところ、実施例1のGaN結晶基板の転位密度は5×105cm-2であり低転位密度であることが確認された。
また、実施例1のGaN結晶基板についてXRD(X線回折法)による結晶性分析を行なったところ、(004)面のロッキングカーブの半値幅が40秒と良好であった。また、実施例1のGaN結晶基板の表面粗さは、10μm角の範囲でのRMS(Root Mean Square:平均自乗平方根)測定値で50nm以下であり良好であった。また、実施例1のGaN結晶基板についてSIMS(二次イオン質量分析)による分析を行なったところ、最も多く含まれていた不純物である酸素の濃度は2×1017cm-3程度であって、実施例1のGaN結晶基板に含まれる不純物の濃度をすべて合わせても1×1018cm-3以下であった。
(実施例2)
実施例1と同一の条件および同一の方法によりGaN結晶10を5mmの厚さに成長させた後に窒化ガリウムからなる下地基板9を研削により完全に除去した。そして、GaN結晶10を除去前の下地基板9の表面に平行な方向に切断して500μmの厚さのGaN結晶を4枚製造した。そして、これら4枚のGaN結晶をそれぞれ鏡面研磨した後にダメージ層を除去することによって、4枚の実施例2のGaN結晶基板を製造した。
そして、これら4枚の実施例2のGaN結晶基板の表面を350℃のKOH−NaOH混合融液でエッチングすると、転位に対応するエッチピットが形成された。そして、このエッチピットの数をカウントすることにより転位密度を評価したところ、4枚の実施例2のGaN結晶基板の転位密度はそれぞれ5×105cm-2以下であり低転位密度であることが確認された。
また、4枚の実施例2のGaN結晶基板についてXRDによる結晶性分析を行なったところ、(004)面のロッキングカーブの半値幅はそれぞれ40秒以下と良好であった。また、4枚の実施例2のGaN結晶基板の表面粗さは、10μm角の範囲でのRMS測定値でそれぞれ50nm以下であり良好であった。また、4枚の実施例2のGaN結晶基板はそれぞれ透明であり、それぞれのGaN結晶基板について不純物の混入が少なく高純度であることが確認された。また、4枚の実施例2のGaN結晶基板についてそれぞれSIMSによる分析を行なったところ、それぞれのGaN結晶基板に最も多く含まれていた不純物である酸素の濃度は2×1017cm-3程度であった。また、4枚の実施例2のGaN結晶基板にそれぞれ含有されているすべての不純物の合計濃度をそれぞれ算出したところ、それぞれのGaN結晶基板で1×1018cm-3以下であった。
(実施例3)
アンモニアガスおよび塩化水素ガスなどに加えてシリコンを含むガスを導入したこと以外は実施例1と同一の方法および同一の条件で図1に示す窒化ガリウムからなる下地基板9の表面上にGaN結晶10を成長させた。そして、下地基板9を除去することによって、シリコンを含む厚さ400μmのGaN結晶10を製造した。そして、このGaN結晶10を鏡面研磨した後にダメージ層を除去することによって実施例3のGaN結晶基板を製造した。
そして、実施例3のGaN結晶基板の表面を350℃のKOH−NaOH混合融液でエッチングすると、転位に対応するエッチピットが形成された。そして、このエッチピットの数をカウントすることにより転位密度を評価したところ、実施例3のGaN結晶基板の転位密度は5×105cm-2以下であり低転位密度であることが確認された。
また、実施例3のGaN結晶基板についてXRDによる結晶性分析を行なったところ、(004)面のロッキングカーブの半値幅は40秒以下と良好であった。また、実施例3のGaN結晶基板についてSIMSによる分析を行なったところ、不純物としてシリコンが最も多く含まれており、そのシリコンの濃度は1×1018cm-3程度であった。
(比較例1)
GaN結晶の成長開始時から成長終了時にわたって、ヒータ5、6の加熱温度を1000℃、基板ヒータ7の加熱温度を1050℃に維持するとともに、アンモニアガスと塩化水素ガスの分圧を実施例1の基板ヒータ7の加熱温度が1300℃の時の1/8としたこと以外は、実施例1と同一の方法および同一の条件でGaN結晶10を成長させ、GaN結晶基板(比較例1のGaN結晶基板)を製造した。
そして、比較例1のGaN結晶基板の表面を350℃のKOH−NaOH混合融液でエッチングすると、転位に対応するエッチピットが形成された。そして、このエッチピットの数をカウントすることにより転位密度を評価したところ、比較例1のGaN結晶基板の転位密度は5×107cm-2と、実施例1〜3のGaN結晶基板と比較して転位密度が高いことが確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、低転位密度のIII族窒化物結晶を得ることができるIII族窒化物結晶の製造方法およびその方法により得られるIII族窒化物結晶基板を提供することができる。
GaN結晶の製造方法に用いられる製造装置の一例の模式的な構成を示す図である。
符号の説明
1 石英反応管、2,3 ガス導入管、4 ガリウムボート、5,6 ヒータ、7 基板ヒータ、8 排ガス処理装置、9 下地基板、10 GaN結晶。

Claims (15)

  1. 石英反応管の内部における、ハロゲン化ガリウムガス、ハロゲン化インジウムガスおよびハロゲン化アルミニウムガスからなる群から選択された少なくとも1種のガスとアンモニアガスとを含む原料ガスの反応によって、下地基板の表面上にIII族窒化物結晶を成長させるIII族窒化物結晶の製造方法であって、III族窒化物結晶の成長中に下地基板の温度を変化させることを特徴とする、III族窒化物結晶の製造方法。
  2. 前記下地基板の温度を800℃以上1500℃以下の範囲で変化させることを特徴とする、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記III族窒化物結晶の成長開始時における前記下地基板の温度は1100℃よりも高く1500℃以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記III族窒化物結晶の成長開始時における前記下地基板の温度は1150℃以上1400℃以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  5. 前記III族窒化物結晶の成長厚みが20μm以上になるまで前記下地基板の温度を1100℃よりも高く1500℃以下とすることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  6. 前記III族窒化物結晶の成長厚みが20μm以上になるまで前記下地基板の温度を1150℃以上1400℃以下とすることを特徴とする、請求項1、2または4のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  7. 前記III族窒化物結晶の成長厚みが20μmよりも厚い時点で前記下地基板の温度を800℃以上1100℃以下とすることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  8. ハロゲン化ガリウムガス、ハロゲン化インジウムガスおよびハロゲン化アルミニウムガスからなる群から選択された少なくとも1種のガスは、ガリウム、インジウムおよびアルミニウムからなる群から選択された少なくとも1種のIII族元素とハロゲンガスとを反応させて生成させることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  9. 前記ハロゲンガスが塩化水素ガスであることを特徴とする、請求項8に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  10. 前記下地基板が、サファイア、炭化シリコン、窒化ガリウムまたは窒化アルミニウムのいずれかからなることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  11. 不純物濃度が1×1018cm-3以下であるIII族窒化物結晶を成長させることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  12. n型不純物がドーピングされたIII族窒化物結晶を成長させることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  13. 前記n型不純物が酸素およびシリコンの少なくとも一方であることを特徴とする、請求項12に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  14. 200μm以上の厚さのIII族窒化物結晶を成長させることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載の製造方法により得られたIII族窒化物結晶からなる、III族窒化物結晶基板。
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