JP5440546B2 - 結晶成長方法 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶成長方法、結晶基板、および半導体デバイスに関し、たとえば良好な結晶性を維持するとともに大面積の結晶の成長方法、結晶基板、および半導体デバイスに関する。
3.4eVのエネルギーバンドギャップおよび高い熱伝導率を有するGaN(窒化ガリウム)結晶などのAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶は、短波長の光デバイスやパワー電子デバイスなどの半導体デバイス用の材料として注目されている。このような結晶を成長させるために、従来から、たとえばHVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy:ハイドライド気相成長)法を採用することができる。HVPE法は、成長速度が速く、容易に結晶を成長できる。
HVPE法によって、サファイアやGaAs(ガリウム砒素)等の異種基板上に、AlxInyGa(1-x-y)N結晶を成長させる場合、結晶系の違いや格子不整合による結晶の割れや、転位密度の増大などが生じてしまう。そのため、たとえば特開2004−331453号公報(特許文献1)などに、結晶系の違いや格子定数差を緩和させるために、バッファ層を種基板上に形成し、該バッファ層上に結晶を成長させる方法が開示されている。
しかし、上記特許文献1などに記載のバッファ層を形成する方法で結晶成長させると、結晶系の違いや格子定数差を緩和させることはできるものの、歪みを完全に抑制することができない。そのため、大面積の結晶を成長させようとすると、成長させる際の反りが大きくなり、割れの発生や、結晶性の劣化、成長させる結晶面内での結晶軸のばらつきを招いてしまう。その結果、現在、成長可能な結晶の面積は2インチ程度である。
このような問題を回避するために、同種基板を種基板として用いることが考えられるが、実用的な同種基板を得られる方法として、現在確立されているのは、HVPE法で成長させた結晶から作製する方法である。しかし、現状では、2インチ程度の同種基板が得られないため、大面積成長ができない。
特開2004−331453号公報
以上のように、現状ではAlxInyGa(1-x-y)N結晶の成長面積は、大きくても2インチ程度であり、成長させた結晶の大面積化には限界があるという問題がある。
それゆえ本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、結晶性を良好に維持するとともに、成長させる結晶の面積を大きくする結晶成長方法、結晶基板、および半導体デバイスを提供することである。
本発明の結晶成長方法は、複数の種基板を、種基板の成長する面が{001}面に対して−5度以上5度以下傾斜している表面となるように種基板の側部側にずらして配置する配置工程と、ハイドライド気相成長法により、複数の種基板の各々の表面上にAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させる成長工程とを備えている。成長工程では、複数の種基板の各々の表面上に成長した結晶の各々が一体化するように1100℃を超えて1300℃以下の温度で成長させることを特徴としている。
また、本発明の結晶成長方法は、複数の種基板を、種基板の側部側にずらして配置する配置工程と、ハイドライド気相成長法により、複数の種基板の各々の表面上にAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させる成長工程とを備えている。そして、成長工程では、複数の種基板の各々の表面上に成長した結晶の各々が一体化するように成長させることを特徴としている。
本発明の結晶成長方法によれば、各々の種基板の面積が小さいので、成長した各々の結晶の反りを小さくでき、割れなどを防止できる。各々の種基板上の成長する結晶の反りが小さいことから、各々の結晶間の結晶軸のずれも小さく、また、その小さなずれによる歪みについても一体化する際に緩和される効果が現れる。その結果、割れることなく一体化する結晶の結晶性を良好に維持できる。すなわち、結晶性が良好で、かつ成長させる結晶面内の結晶軸のばらつきが小さな大面積の結晶の成長を図ることができる。上記表面上に結晶を成長させることによって、結晶を一体化して成長させやすい。
上記結晶成長方法において好ましくは、種基板は、サファイア、炭化シリコン、窒化アルミニウム、および窒化ガリウムのいずれかであってもよい。また、上記結晶成長方法において好ましくは、種基板は、サファイア、炭化シリコン、および窒化アルミニウムのいずれかであり、成長工程では、種基板の温度は、1100℃を超えて1400℃以下であることを特徴としている。これにより、結晶を一体化して成長させることができる。
上記結晶成長方法において好ましくは、種基板は、サファイア、炭化シリコン、および窒化アルミニウムのいずれかであり、成長工程では、種基板の温度は、1150℃を超えて1400℃以下であることを特徴としている。これにより、結晶性をより向上して結晶を成長させやすい。また、成長する結晶をスライスする際の割れを防止できる。
上記結晶成長方法において好ましくは、種基板は、窒化ガリウムであり、成長工程では、種基板の温度は、1100℃を超えて1300℃以下であることを特徴としている。
窒化ガリウム基板は品質の良いものが得られやすいことに加えて、その格子定数から、種基板として用いることにより、品質のよい結晶を成長させることができる。また、上記温度範囲とすることによって、種基板の損傷を抑えつつ、結晶を一体化させることができる。
上記結晶成長方法において好ましくは、種基板は、窒化ガリウムであり、成長工程では、種基板の温度は1150℃を超えて1250℃以下であることを特徴としている。
窒化ガリウム基板は品質の良いものが得られやすいことに加えて、その格子定数から、種基板として用いることにより、品質のよい結晶を成長させることができる。また、上記温度範囲とすることによって、結晶性をより向上して結晶を成長させやすく、長尺の結晶の成長が可能となる。また、成長する結晶をスライスする際の割れを防止できる。
上記結晶成長方法においては好ましくは、成長工程では、複数の種基板間の(100)方向および(010)方向および(001)方向の結晶軸のずれが、すべて1度以内となるように配置されている表面上に各々の結晶を成長させることを特徴としている、上記表面上に結晶を成長させることによって、結晶を一体化して成長させやすい。
上記結晶成長方法においては好ましくは、成長工程では、複数の種基板間の(100)方向および(010)方向および(001)方向の結晶軸のずれが、すべて0.2度以内となるように配置されている表面上に各々の結晶を成長させることを特徴としている、上記表面上に結晶を成長させることによって、結晶を一体化して成長させやすいことに加えて、一体化した結晶の結晶性が良好となる。
上記結晶成長方法において好ましくは、成長工程では、一体化した結晶の不純物濃度が1×1018cm-3以下となるように結晶を成長させることを特徴としている。上記結晶成長方法により、種基板の表面上に上記範囲の不純物濃度の低い結晶を得られる。
上記結晶成長方法において好ましくは、成長工程では、一体化した結晶はn型不純物がドーピングされるように結晶を成長させることを特徴としている。
これにより、種基板の表面上に、発光素子や電子素子などの半導体デバイスの基板に好適な結晶を成長できる。
上記結晶成長方法において好ましくは、n型不純物は、酸素およびシリコンの少なくともいずれか一方であることを特徴としている。
上記不純物を意図的にドーピングして制御できるので、種基板の表面上に所望の結晶を得られる。
上記結晶成長方法において好ましくは、成長工程では、一体化した結晶の厚みが200μm以上となるように成長させることを特徴としている。これにより、種基板の表面上に成長した結晶の基板化が実現可能になる。
本発明の結晶基板は、上記結晶成長方法により得られる被成長基板から少なくとも種基板を除去して得られる。これにより、結晶性を良好に維持して、面積の大きい結晶基板を得られる。
なお、上記「被成長基板」とは、種基板と、種基板上に形成された結晶とを備えるものを意味する。
本発明の半導体デバイスは、上記結晶基板を備えている。結晶性を良好に維持して、面積の大きい結晶基板を備えているので、有用な半導体デバイスを得られる。
本発明の結晶成長方法によれば、複数の種基板の表面上に結晶を成長させるので、成長させる結晶の結晶性を良好に維持するとともに、成長させる結晶の結晶性を良好に維持し、成長させる結晶面内の結晶軸のばらつきを小さくするとともに、成長させる結晶の面積を大きくすることができる。
本発明の実施の形態における結晶成長方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1における結晶成長方法に用いるHVPE装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態1における結晶成長方法に用いる種基板の上面図である。 本発明の実施の形態1における被成長基板を示す概略側面図である。 本発明の実施の形態1における別の被成長基板を示す概略側面図である。 本発明の実施の形態2における結晶基板を示す概略側面図である。 本発明の実施の形態3における半導体デバイスを示す概略断面図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1〜図5を参照して、本発明の実施の形態1における結晶成長方法を説明する。なお、図1は、本発明の実施の形態1における結晶成長方法を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施の形態1における結晶成長方法に用いるHVPE装置を示す概略図である。図3は、本発明の実施の形態1における結晶成長方法に用いる種基板の上面図である。図4は、本発明の実施の形態1における被成長基板を示す概略側面図である。図5は、本発明の実施の形態1における別の被成長基板を示す概略側面図である。
まず、図1〜図3に示すように、複数の種基板10を、種基板の側部11側にずらして配置する配置工程(S10)を実施する。すなわち、図2に示すHVPE装置100を構成する基板ホルダー108上に、複数の種基板10をその側部11をずらした状態で配列している。
具体的には、図3に示すように、配置工程(S10)では、複数の種基板10を組み合わせて大きな表面積を有する第2の種基板15を形成している。
また、配置工程(S10)では、図2および図3に示すように、複数の種基板10の側部11が隣り合う(並列する)ように、配列することが好ましい。これにより、後述する成長工程(S20)において、複数の種基板10の各々の表面12上に成長した結晶の各々が一体化するように成長させることが容易にできる。なお、種基板10の側部11とは、種基板10の外周縁の一部を意味する。
また、配置工程(S10)では、種基板10が重ならないように配置されることが好ましい。また、各々の種基板10の表面12上に成長させる結晶を一体化させる観点から、隣り合う種基板10の隙間を狭くして配置することがより好ましい。たとえば成長させる結晶がGaN(窒化ガリウム)である場合には、隣り合う種基板10の間隔は200μm以下であることが好ましい。
配置される各々の種基板10は、成長させる結晶の結晶性が良好になる面積であることが好ましい。たとえば成長させる結晶がGaN(窒化ガリウム)である場合には、各々の種基板10の面積は20cm以下であることが好ましい。20cm以下とすることによって、成長させる結晶の品質をより良好にできる。
また、種基板10は2枚以上配置されていれば特に限定されない。
また、種基板10の形状は特に限定されず、図3に示すように平面形状が四角形などの矩形であってもよいし、円形であってもよいが、並列に配置できる観点から四角形であることが好ましい。
次に、図1、図2、および図4に示すように、ハイドライド気相成長法により、複数の種基板10の各々の表面12上に結晶20を成長させる成長工程(S20)を実施することが好ましい。成長工程(S20)では、複数の種基板10の各々の表面12上に成長した結晶20の各々が一体化するように成長させる。これにより、図4に示す種基板10と、種基板10上に成長した結晶20とを備えた被成長基板30が得られる。
具体的には、まず、種基板10を加熱して所定の温度に保持する。保持される種基板10の温度は、種基板10がサファイア、炭化シリコン、および窒化アルミニウムのいずれかである場合には、1100℃を超えて1400℃以下とすることが好ましく、1150℃を超えて1400℃以下とすることがより好ましい。本願発明者は、種基板10がサファイア、炭化シリコン、および窒化アルミニウムのいずれかである場合には、種基板10の温度を1100℃以下の温度とすると、種基板10の(001)面上の結晶成長では、結晶を一体化する成長ができなかったことに対して、1100℃を超える温度にすると、一体化して結晶が成長することを、新たに見出したことに基づくもので、このことにより結晶を一体化させた大面積の成長が可能となるのである。また、1150℃を超える温度とすることによって、得られる結晶20の結晶性が向上するとともに、被成長基板30をスライスおよび研磨したときに結晶20の割れの発生を低減できるので、歩留まりを向上できることを見出した。一方、種基板10の温度を1400℃以下とすることによって、成長させる結晶の生成速度よりも分解速度が大きくなることを防止できるため、成長速度の低下を防止できることを見出した。
種基板10が窒化ガリウムであることが好ましく、この場合は、成長工程(S20)では、種基板10の温度は、1100℃を超えて1300℃以下であることが好ましく、1150℃を超えて1250℃以下であることがより好ましい。窒化ガリウム基板は品質の良いものが得られやすいことに加えて、その格子定数から、種基板10として用いることにより、より品質の良い結晶を成長させることができる。種基板10を、1100℃を超える温度にすることにより、一体化して結晶が成長し、大面積の成長が可能となる。種基板10の温度が1150℃を超えると、得られる結晶性がより向上することに加えて、被成長基板30をスライスおよび研磨したときに結晶20の割れの発生を低減できるので、歩留まりを向上できる。一方、種基板10の温度を1300℃以下とすることによって、種基板10の分解速度を遅くできるので、種基板10の損傷を抑制できることを見出した。また、種基板10の温度を1250℃以下とすることによって、長時間に渡って結晶を成長させる場合でも種基板10の損傷を抑制できるので、長尺または厚みの大きい結晶を成長できることを見出した。
なお、上記種基板10の温度は、種基板加熱用の局所加熱機構(基板ヒータ)などを用いた加熱など任意の方法により、上記範囲内に制御することができる。
次に、上記所定の温度に保持される種基板10上に、HVPE法により結晶20を成長させる。HVPE法により結晶を成長させることによって、複数の種基板10の各々の表面12上に成長した結晶の各々が一体化する。また、HVPE法により成長させる結晶20は、AlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶である。
実施の形態1における結晶成長方法は、たとえば図2に示すHVPE装置100を用いて行なう。HVPE装置100は、第1ガスボンベ101と、第2ガスボンベ102と、第1ガス入口103と、第2ガス入口104と、ソースボート105と、ヒータ106と、排気口107と、基板ホルダー108と、石英反応管110とを備えている。
HVPE装置100は、たとえば横型反応炉としている。第1ガスは、たとえばNH3(アンモニア)ガスとし、第1ガスボンベ101にはNH3ガスが充填されている。第2ガスは、たとえばHCl(塩化水素)ガスとし、第2ガスボンベ102には、たとえばHClガスが充填されている。ソースボート105は、たとえばGa(ガリウム)が充填されている。ヒータ106は、HVPE装置100の内部をたとえば1100℃まで加熱する能力を有している。排気口107は、反応後のガスを外部に排出するための部材である。
なお、HVPE装置100は、第1ガスおよび第2ガスのキャリアガスとしてH2(水素)ガス、窒素ガス、アルゴンガスなどのキャリアガスが充填されているキャリアガスボンベ(図示せず)を備えていてもよい。
また、HVPE装置100は、種基板加熱用の局所加熱機構(基板ヒータ)を備えていることが好ましい。局所加熱機構は、たとえば基板ホルダー108に埋め込んだ抵抗加熱ヒータを用いることができる。
HVPE法により結晶成長させる方法は、まず、ソースボート105に原料、たとえばGaを供給する。そして、ソースボート105を加熱する。そして、第2ガス入口104を開ける。そして、第2ガス入口104から供給される第2ガスボンベ102に貯蔵されている第2ガスとソースボート105の原料とを反応させて反応ガス、たとえば原料がGaの場合には塩化ガリウムを生成する。そして、第1ガス入口103を開ける。そして、反応ガスと第1ガス入口103から供給される第1ガスボンベ101に貯蔵されている第1ガスとを種基板10の表面12に当たるように流して(供給して)反応させる。なお、種基板10に供給されるガスの流れは、常に一定となるようにすることが好ましい。また、ヒータ106により、HVPE装置100の内部をたとえば700℃以上1100℃以下の温度で加熱する。また、排気口107で、反応後のガスを外部に排出する。
この際、種基板10の{001}面(c面)に対して−5度以上5度以下傾斜している表面12上に各々の結晶20を成長させることが好ましい。c面と同じまたはc面に近い面(c面に対して−5度以上5度以下)上に結晶20を成長させると、複数の種基板10の各々の表面12上に成長する結晶の各々が一体化しやすくなる。なお、集合面を{}で示している。
また、複数の種基板10間の(100)方向および(010)方向および(001)方向の結晶軸のずれが、すべて1度以内となるように配置されている表面12上に各々の結晶20を成長させることが好ましい。複数の種基板10の各々の表面12上に成長する結晶の各々が一体化しやすくなる。
また、複数の種基板10間の(100)方向および(010)方向および(001)方向の結晶軸のずれが、すべて0.2度以内となるように配置されている表面12上に各々の結晶20を成長させることが好ましい。複数の種基板10の各々の表面12上に成長する結晶の各々が一体化しやすくなることに加えて、一体化した結晶の結晶性を良好にすることができる。
成長工程(S20)を実施すると、図4に示すように、複数の種基板10の各々の表面12上に成長した結晶20の各々が一体化して、1つの結晶20となる。すなわち、各々の種基板10の合計の面積と実質的に同一の大面積の結晶20が得られる。種基板10上に形成される結晶20は、種基板10の各々の表面12上に成長されてなり、各々の表面12上に成長した各々の結晶の反りは小さい。そのため、各々の結晶間の結晶軸のずれが小さくなることに加えて、種基板10間の境界でその結晶軸のずれによる歪みも緩和されて、割れなどが発生せず、かつ結晶性が良好で、成長させる結晶面内の結晶軸のばらつきを小さくできる。
なお、HVPE法では、バックグラウンドからの不純物汚染が少ないため、成長工程(S20)では、一体化した結晶20の不純物濃度が1×1018cm-3となるように結晶成長させることができる。
また、成長工程(S20)では、一体化した結晶20はn型不純物がドーピングされるように結晶20を成長させることができる。上述したように、結晶20は、混入する不純物濃度が低いため、目的に応じて特定の不純物を所定量ドーピングすることによって、目的に応じた結晶を成長させることが容易である。
n型不純物は、ドーピングのし易さの観点から、O(酸素)およびSi(シリコン)の少なくともいずれか一方であることが好ましい。
n型不純物をドーピングする方法は特に限定されないが、AlxInyGa(1-x-y)N結晶の原料ガス(第1および第2のガスなど)とともにn型不純物を含有するガスを反応させる方法が、実施し易さの観点から好的に用いられる。たとえば、Siをドーピングする場合には、SiH2Cl2(ジクロロシラン)ガス、またはSiCl4(四塩化シリコン)ガスなどが、Oをドーピングする場合には、O2ガスなどを用いることができる。
また、成長工程(S20)では、一体化した結晶20の厚みDが200μm以上となるように成長させることが好ましい。HVPE法は、結晶成長速度が大きいため、成長時間を制御することによって、大きな厚みDを有する結晶を成長させることができる。厚みDを200μm以上とすることによって、各種半導体デバイスの基板として単独で用いることができる結晶を容易に得られる。
また、成長工程(S20)では、第1ガスの流量、第2ガスの流量、原料の種類、または原料の量などを調整することにより、結晶20の厚みDや結晶20の材質などを適宜変更できる。
なお、実施の形態1における配置工程(S10)では、図2〜図4に示すように、複数の種基板10を側部11が隣り合うように配列し、成長工程(S20)で種基板10の表面12上に結晶を成長させているが、複数の種基板10の側部11側にずらして配置すれば特にこれに限定されない。配置工程(S10)では、たとえば図5に示すように、複数の種基板10のうち隣り合う種基板10の側部11が一部重なるように配置してもよい。
以上説明したように、本発明の実施の形態1における結晶成長方法によれば、複数の種基板10を、種基板10の側部11側にずらして配置する配置工程(S10)と、ハイドライド気相成長法により、複数の種基板10の各々の表面12上にAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶20を成長させる成長工程(S20)とを備え、成長工程(S20)では、複数の種基板10の各々の表面12上に成長した結晶20の各々が一体化するように成長させることを特徴としている。異種の種基板を用いる場合、その種基板の面積が大きくなると、成長させる際の反りが大きくなり割れが発生したり、結晶の結晶性が悪くなる。また、同種の種基板を用いると、そのような問題はないが、現状では2インチ程度の同種の種基板か得られないので、成長面積をそれ以上に大きくできない。しかし、実施の形態1における結晶成長方法では、各々の種基板10の面積が小さいので、種基板10として同種基板を用いることができ、種基板10が異種基板でも各々の種基板10の表面12から割れなどが生じず、結晶性が良好な結晶を成長できる。また、結晶成長速度が高いHVPE法により結晶20を成長させているので、各々の種基板10の表面12から成長する結晶が一体化しやすい。そのため、結晶性(品質)を良好に維持して、一体化した結晶20の大面積化を図ることができる。よって、種基板10の各々の面積によらず、複数の種基板10の合計の面積(ただし、各々の種基板10が重なっている場合には重なっている面積を除く)と実質的に同一の大面積のAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させることができる。
上記結晶成長方法において好ましくは、種基板10は、サファイア、炭化シリコン、および窒化アルミニウムのいずれかであり、成長工程(S20)では、種基板10の温度は、1100℃を超えて1400℃以下であることを特徴としている。種基板10がサファイア、炭化シリコン、および窒化アルミニウムのいずれかである場合には、1100℃を超える温度とすることによって、種基板10の表面12上に成長する結晶が横方向への成長も促進されるため、種基板10の各々の表面12上に成長した結晶20の各々が一体化することが可能となる。一方、種基板10の温度を1400℃以下とすることによって、成長させる結晶の生成速度よりも分解速度が大きくなることを防止できるため、成長速度の低下を防止できる。
上記結晶成長方法において好ましくは、種基板10は、サファイア、炭化シリコン、および窒化アルミニウムのいずれかであり、成長工程(S20)では、種基板10の温度は、1150℃を超えて1400℃以下であることを特徴としている。1150℃を超える温度とすることによって、得られる結晶20の結晶性が向上するとともに、除去工程(S30)で被成長基板30をスライスおよび研磨したときに結晶20の割れの発生を低減できるので、歩留まりを向上できる。一方、種基板10の温度を1400℃以下とすることによって、成長させる結晶の生成速度よりも分解速度が大きくなることを防止できるため、成長速度の低下を防止できる。
上記結晶成長方法において好ましくは、種基板10は、窒化ガリウムであり、成長工程(S20)では、種基板10の温度は、1100℃を超えて1300℃以下であることを特徴としている。窒化ガリウム基板は品質の良いものが得られやすいことに加えて、その格子定数から、種基板10として用いることにより、品質のよい結晶20を成長させることができる。また、1100℃を超える温度とすることによって、各々の結晶の一体化が可能となる。一方、1300℃以下の温度とすることによって、分解速度を抑制して、種基板10の損傷を抑制できる。
上記結晶成長方法において好ましくは、種基板10は、窒化ガリウムであり、成長工程(S20)では、種基板10の温度は1150℃を超えて1250℃以下であることを特徴としている。1150℃を超える温度とすることによって、得られる結晶性がより向上することに加えて、被成長基板30をスライスおよび研磨したときの結晶20の割れの発生を低減できるので、歩留まりを向上できる。1250℃以下の温度とすることによって、長時間に渡って成長させる場合でも種基板10の損傷を抑制できるので、長尺の結晶20を成長できる。
なお、種基板10は、GaN結晶を成長させる場合には、種基板10はGaN基板であることが好ましい。これにより、種基板10と成長させる結晶が同種であり、格子定数などの物性定数が同じであるので、結晶性をより良好に維持するとともに、一体化した結晶を成長させやすい。
上記結晶成長方法において好ましくは、成長工程(S20)では、種基板10の{001}面に対して−5度以上5度以下傾斜している表面12上に各々の結晶20を成長させることを特徴としている。当該表面12上に結晶20を成長させることによって、結晶20を一体化して成長させやすい。
上記結晶成長方法において好ましくは、成長工程(S20)では、複数の種基板10間の(100)方向および(010)方向および(001)方向の結晶軸のずれが、すべて1度以内となるように配置されている表面12上に各々の結晶20を成長させることを特徴としている。当該表面12上に結晶20を成長させることによって、結晶20を一体化して成長させやすい。
上記結晶成長方法において好ましくは、成長工程(S20)では、複数の種基板10間の(100)方向および(010)方向および(001)方向の結晶軸のずれが、すべて0.2度以内となるように配置されている表面12上に各々の結晶20を成長させることを特徴としている。当該表面12上に結晶20を成長させることによって、結晶20を一体化して成長させやすいことに加えて、一体化した結晶の結晶性を良好にできる。
上記結晶成長方法において好ましくは、成長工程(S20)では、一体化した結晶20の不純物濃度が1×1018cm-3以下となるように結晶を成長させることを特徴としている。実施の形態1における結晶成長方法により、種基板10の表面12上に上記範囲の不純物濃度の低い結晶20を得られる。
上記結晶成長方法において好ましくは、成長工程(S20)では、一体化した結晶20はn型不純物がドーピングされるように結晶を成長させることを特徴としている。これにより、発光素子や電子素子などの半導体デバイスの基板に好適な一体化した結晶20を種基板10の表面12上に成長できる。
上記結晶成長方法において好ましくは、n型不純物は、酸素およびシリコンの少なくともいずれか一方であることを特徴としている。上記不純物を意図的にドーピングして制御できるので、種基板10の表面12上に所望の結晶20を得られる。
上記結晶成長方法において好ましくは、成長工程(S20)では、一体化した結晶20の厚みDが200μm以上となるように成長させることを特徴としている。これにより、種基板10の表面12上に成長した結晶20の基板化が実現可能になる。
(実施の形態2)
図6を参照して、本発明の実施の形態2における結晶基板について説明する。図6に示すように、実施の形態2における結晶基板40は、実施の形態1における結晶成長方法により得られる被成長基板30から少なくとも種基板10を除去して得られる。なお、図6は、本発明の実施の形態2における結晶基板を示す概略側面図である。
具体的には、図6に示すように、たとえば、種基板10と、種基板10の各々の表面12上に成長した結晶のうち、結晶の各々が一体化していない部分とを除去する。
除去する方法としては、たとえば切断または研削などの方法を用いることができる。なお、切断とは、電着ダイヤモンドホイールの外周刃を持つスライサーなどで機械的に被成長基板30の結晶20を分割(スライス)することをいう。研削とは、ダイヤモンド砥石を持つ研削設備などで被成長基板30の種基板10と、種基板10の各々の表面12上に成長した結晶のうち、結晶の各々が一体化していない部分とを機械的に削り取ることをいう。
また、被成長基板30の除去する部分は、上述した部分に特に限定されず、たとえば結晶20の表面12に平行な面や表面12に対して任意の傾きを有する面をスライスすることもできる。
また、結晶基板40の表面について、研磨などをさらに実施してもよい。研磨する方法については特に限定されず、任意の方法を採用できる。
除去することにより、図6に示すような、一体化した結晶20のみからなる結晶基板40が得られる。
以上説明したように、本発明の実施の形態2における結晶基板40は、上記結晶成長方法により得られる被成長基板30から少なくとも種基板10を除去して得られる。これにより、結晶性を良好に維持して、面積の大きい結晶基板40を得られる。
(実施の形態3)
図7を参照して、本発明の実施の形態3における半導体デバイスを説明する。実施の形態3における半導体デバイスは、実施の形態2の結晶基板40を備えている。なお、図7は、本発明の実施の形態3における半導体デバイスを示す概略断面図である。
図7に示すように、実施の形態3では、半導体デバイスとして、発光ダイオード200としている。発光ダイオード200は、結晶基板40と、結晶基板40の裏面上に形成されたn型電極201と、結晶基板40の表面上に形成されたn型バッファ層202と、n型バッファ層202上に形成されたn型障壁層203と、n型障壁層203上に形成された井戸層204と、井戸層204上に形成されたp型障壁層205と、p型障壁層205上に形成されたp型コンタクト層206と、p型コンタクト層206上に形成されたp型電極207とを備えている。
なお、実施の形態3では、半導体デバイスの一例として発光ダイオードを例に挙げて説明したが、特にこれに限定されない。半導体デバイスとしては、たとえば発光ダイオード、レーザダイオードなどの発光素子、整流器、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)などの電子素子、温度センサ、圧力センサ、放射線センサ、可視−紫外光検出器などの半導体センサ、SAWデバイス(Surface Acoustic Wave Device:表面弾性波素子)などが挙げられる。
以上説明したように、本発明の実施の形態3における半導体デバイスによれば、実施の形態2における結晶基板40を備えている。半導体デバイスは、結晶性を良好に維持するとともに、大面積である結晶基板40を備えているので、優れた半導体デバイスを、1枚の結晶基板40から、従来より多数得られる。特に、大きな面積が必要な大電力デバイスなどには、その効果が大きい。
なお、実施の形態2における結晶基板40は、半導体デバイスの基板に好適に用いることができる。
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、実施の形態1の結晶成長方法にしたがって、図2に示すHVPE装置100を用いて、結晶を成長させた。具体的には、まず、配置工程(S10)では、石英反応管110の内部に9枚の種基板を、種基板の側部側に隙間ができないように縦3枚、横3枚の平面形状が正方形状になるように並列に配置した。種基板は、鏡面研磨後に、研磨によるダメージ層が除去された窒化ガリウム基板を用いた。また、各々の種基板は、30mm四方の平面形状が略正方形で、{100}面および{010}面がその端面に出ていた。厚みは400μmであった。また、各々の種基板の表面の面方位は、{001}面であった。また、各々の種基板間の(100)方向および(010)方向および(001)方向の結晶軸のずれが、すべて0.2度以内であった。
また、NH3ガスを内部に充填した第1ガスボンベ101と、HClを内部に充填した第2ガスボンベ102とを準備した。そして、ソースボート105にGaを充填した。
次に、成長工程(S20)を実施した。具体的には、第1または第2ガス入口103,104を介してキャリアガスとして水素ガスを導入しながらヒータ106の加熱温度を900℃に上昇させた。また、種基板の温度が1200℃となるように種基板の裏面側に設置された基板ヒータにより種基板を加熱した。
そして、ヒータ106の加熱温度を900℃に維持するとともに、種基板の温度を1200℃に維持した状態で、第2ガス入口104を開けて、第2ガス入口104から供給されるHClガスとソースボート105のGa(ガリウム)とを反応させて、GaCl(塩化ガリウム)ガスを生成した。
そして、第1ガス入口103を開けて、成長工程(S20)で種基板に生成したGaClガスと第1ガス入口103から供給されるNH3ガスとを種基板の表面に当たるように流して、反応させて、種基板の表面上にGaN結晶を成長させた。
なお、HClガスおよびNH3ガスの分圧をそれぞれ調整して、多結晶が発生せず、かつ結晶の成長速度が30μm/h以上となるようにした。
そして、厚みDが400μmのGaN結晶を種基板の表面上に成長させた後、GaN結晶の温度を室温まで降下させた。これにより、種基板と、種基板の表面上に成長されたGaN結晶とを備える被成長基板を得た。
(実施例2)
実施例2では、基本的には実施例1と同様の結晶成長方法を行なったが、GaN結晶の厚みDを10mmまで成長させた点においてのみ異なる。
(実施例3)
実施例3では、基本的には実施例1と同様の結晶成長方法を行なったが、第1および第2ガスとして、塩化水素ガスおよびアンモニアガスに加えて、ジクロロシラン(SiH2Cl2)をさらに導入した点においてのみ異なる。これにより、種基板と、種基板の表面上に形成されたn型不純物としてシリコンを含むGaN結晶とを備える被成長基板を得た。
(実施例4)
実施例4では、基本的には実施例1と同様の結晶成長方法を行なったが、種基板の温度を1300℃にした点においてのみ異なる。
(実施例5)
実施例5では、基本的には実施例2と同様の結晶成長方法を行なったが、種基板の温度を1150℃にした点においてのみ異なる。
(実施例6)
実施例6では、基本的には実施例2と同様の結晶成長方法を行なったが、種基板の温度を1250℃にした点においてのみ異なる。
(実施例7)
実施例7では、基本的には実施例2と同様の結晶成長方法を行なったが、種基板の温度を1300℃にした点においてのみ異なる。
(比較例1)
比較例1では、基本的には実施例1と同様の結晶成長方法を行なったが、種基板の温度を1100℃とした点においてのみ異なる。
(比較例2)
比較例2では、基本的には実施例1と同様の結晶成長方法を行なったが、種基板の温度を1000℃とした点においてのみ異なる。
(比較例3)
比較例3では、基本的には、実施例1と同様の結晶成長方法を行なったが、種基板の温度を1400℃とした点においてのみ異なる。
(測定方法)
実施例1〜7および比較例1〜3の結晶成長方法により得られた被成長基板を石英反応管110から取り出して結晶の状態を目視および光学顕微鏡でそれぞれ観察した。
また、実施例2、5、6の被成長基板は、得られたGaN結晶を除去前の種基板の表面に対して平行な方向にスライスして、厚みDが400μmであるGaN結晶基板を10枚作製し、作製した基板の状態を目視および光学顕微鏡で確認した。
また、実施例1、3、4について、被成長基板から種基板を研削により除去して得られたGaN結晶を鏡面研磨した後、研磨によるダメージ層を除去して、90mm角のGaN結晶基板を得た。さらに、10枚の実施例2、5、6のGaN結晶基板について、鏡面研磨した後、研磨によるダメージ層を除去して、90mm角のGaN結晶基板を得た。実施例1、3、4および10枚の実施例2、6のGaN結晶基板についてXRD(X-ray diffraction:X線回折法)による結晶分析をそれぞれ行なった。
また、実施例1、3、4および10枚の実施例2、6のGaN結晶基板についてSIMS(Secondary Ion-microprobe Mass Spectrometer:二次イオン質量分析)による分析を行なって、不純物濃度を測定した。
(測定結果)
実施例1〜6および比較例1〜3の被成長基板について外観を観察した結果、実施例1〜6では、種基板の表面上に90mm角の面積でGaN結晶が一体となって割れなく成長していたことが確認できた。
一方、比較例1、2の被成長基板については、一体化して成長しなかった。また、比較例3の被成長基板については、種基板が損傷を受けて成長しなかった。この結果から、種基板は窒化ガリウムであり、成長工程では種基板の温度は1100℃を超えて1300℃以下とすることによって、成長させる結晶を一体化できることが確認できた。
また、実施例7の外観を観察した結果、種基板が成長中に徐々に損傷を受けて、成長の途中から異常成長となっていた。実施例4、6では、問題なく一体化して成長していた結果とあわせると、種基板の温度が1250℃を超えて1300℃以下では、結晶厚さ400μmのような薄い結晶の成長では、問題なく一体化成長するが、結晶厚さ10mmのような厚い結晶の成長では、種基板の損傷が蓄積されて、成長途中に異常成長を引き起こしてしまうことがわかった。すなわち、種基板の温度が1100℃を超えて1250℃以下することによって、一体化して成長する結晶厚みを厚く成長できることが確認できた。
また、実施例2、5、6の被成長基板からスライスして得られたGaN結晶基板の状態を確認したところ、実施例2、6のものは10枚とも割れていなかった。一方、実施例5のものは、10枚中4枚が割れていた。この結果から、種基板は窒化ガリウムであり、成長工程では種基板の温度は1150℃を超えて1250℃以下とすることによって、一体化して成長する結晶の厚みを厚くでき、成長させた結晶をスライスする際の割れを防止できることが確認できた。
また、実施例1、3、4および10枚の実施例2、6のGaN結晶基板のXRDによる結晶性分析の結果、(004)面のロッキングカーブの半値幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)がすべて40秒以下と良好であった。この結果から、種基板は窒化ガリウムであり、成長工程では種基板の温度は1100℃を超えて1300℃以下とすることによって、成長させる結晶を一体化できるとともに、良好な結晶性を実現できることが確認できた。
また、SIMSによる不純物濃度の測定の結果、実施例1、4、および10枚の実施例2、6のGaN結晶基板については、最も多く含まれていた不純物である酸素の濃度が2×1017cm-3であって、GaN結晶基板に含まれる不純物の濃度のすべてを合わせても1×1018cm-3以下であった。実施例3のGaN結晶基板については、最も多く含まれていた不純物としてシリコンが最も多く含まれており、そのシリコンの濃度は1×1018cm-3程度であった。
なお、実施例3では、シリコン源としてジクロロシランを用いたが、ジクロロシランの代わりに、または共に四塩化シリコン(SiCl4)を用いても、実施例3と同様の結果が得られることが推定される。また、ジクロロシランや四塩化シリコン以外のシリコン源を用いても、実施例3と同様の結果が得られることが推定される。
(比較例4)
比較例4では、基本的には、実施例1と同様の結晶成長方法を行なったが、種基板をサファイアとした点、および種基板の温度を1450℃とした点においてのみ異なる。その結果、窒化ガリウム結晶の生成よりも分解が速くなり、窒化ガリウム結晶が成長しなかった。また、種基板の温度を1450℃とすると、原料ガスの条件を変更したいずれの条件であっても、同様に、窒化ガリウム結晶の生成よりも分解が速くなり、窒化ガリウム結晶が成長しなかった。比較例4によれば、種基板がサファイアの場合には、1400℃を超えると、結晶が成長しないことが確認できた。
本発明の実施例によれば、複数の種基板を側部側にずれるように配置し、種基板の表面上に結晶成長させると、結晶性を良好に維持して、一体化して成長し、大面積の結晶基板を得られることが確認できた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の結晶成長方法により得られるAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶は、良好な結晶性を維持するとともに、大面積化を測ることができる。そのため、たとえば発光ダイオード、レーザダイオードなどの発光素子、整流器、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、HEMTなどの電子素子、温度センサ、圧力センサ、放射線センサ、可視−紫外光検出器などの半導体センサ、SAWデバイスなどに好適に用いることができる。
10 種基板、11 側部、12 表面、15 第2の種基板、20 結晶、30 被成長基板、40 結晶基板、100 HVPE装置、101 第1ガスボンベ、102 第2ガスボンベ、103 第1ガス入口、104 第2ガス入口、105 ソースボート、106 ヒータ、107 排気口、108 基板ホルダー、110 石英反応管、200 発光ダイオード、201 n型電極、202 n型バッファ層、203 n型障壁層、204 井戸層、205 p型障壁層、206 p型コンタクト層、207 p型電極。

Claims (8)

  1. 複数の種基板を、前記種基板の成長する面が{001}面に対して−5度以上5度以下傾斜している表面となるように前記種基板の側部側にずらして配置する配置工程と、
    ハイドライド気相成長法により、複数の前記種基板の各々の表面上にAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)結晶を成長させる成長工程とを備え、
    前記成長工程では、複数の前記種基板の各々の表面上に成長した前記結晶の各々が一体化するように1100℃を超えて1300℃以下の温度で成長させることを特徴とする、結晶成長方法。
  2. 前記種基板は、サファイア、炭化シリコン、窒化アルミニウム、および窒化ガリウムのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の結晶成長方法。
  3. 前記成長工程では、複数の前記種基板間の(100)方向および(010)方向および(001)方向の結晶軸のずれが、すべて1度以内となるように配置されている表面上に各々の前記結晶を成長させること特徴とする、請求項1または請求項2に記載の結晶成長方法。
  4. 前記成長工程では、複数の前記種基板間の(100)方向および(010)方向および(001)方向の結晶軸のずれが、すべて0.2度以内となるように配置されている表面上に各々の前記結晶を成長させること特徴とする、請求項1または請求項2に記載の結晶成長方法。
  5. 前記成長工程では、一体化した前記結晶の不純物濃度が1×1018cm-3以下となるように前記結晶を成長させることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の結晶成長方法。
  6. 前記成長工程では、一体化した前記結晶はn型不純物がドーピングされるように前記結晶を成長させることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の結晶成長方法。
  7. 前記n型不純物は、酸素およびシリコンの少なくともいずれか一方であることを特徴とする、請求項6に記載の結晶成長方法。
  8. 前記成長工程では、一体化した前記結晶の厚みが200μm以上となるように成長させることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の結晶成長方法。
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