JP2014162426A - ストラットタワー補強構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両左右両側に設けられた一対のストラットタワー20,20と、車幅方向に延在する延在部材30と、ストラットタワー20,20のそれぞれと延在部材30とを連結する一対の連結部材10,10とを備え、連結部材10,10によるストラットタワー20,20と延在部材30との間の力の伝達経路に溶接部が形成され、連結部材10,10は、ストラットタワー20,20と延在部材30との相対変位に応じて弾性変形するように屈曲形成された屈曲部13を有する。
【選択図】図3
Description
ストラットタワーには、走行時の路面反力が入力されるため、剛性が要求される。特に操舵輪のストラットタワーの場合、剛性を高めることにより、操縦性を向上させることができる。このため、従来の車両には、左右のストラットタワーを相互に連結するストラットタワーバーが装着されたものがある。これにより、両ストラットタワーの剛性が向上し、一方(例えば右方)のストラットタワーの変形量と他方(例えば左方)のストラットタワーの変形量との相違が抑制されて、操縦安定性が確保される。
特許文献1の構造は、一方のストラットタワーが一方のガセットを介してカウルトップの一端部に連結され、同様に、他方のストラットタワーが他方のガセットを介してカウルトップの他端部に連結される。各ガセットは、その前部を対応するストラットタワーに溶接で接合され、その後部をカウルトップに溶接で接合される。すなわち、一方及び他方のガセットとカウルトップとは、左右のストラットタワーを連結している。これにより、ストラットタワーバーが装着された場合と同様に、ストラットタワーの変形量の相違が抑制される。
しかしながら、溶接部やその周辺(以下、これらをまとめて「溶接部」という)は、応力が繰り返し作用すると破損するおそれがある。さらに、特許文献1の構造のようにガセットとストラットタワーとの間やガセットとカウルトップとの間が溶接で接合される場合、溶接部が破損すると車体剛性を高めることができなくなる。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
すなわち、前記ストラットタワーは、前記連結部材を介して前記延在部材により互いに連結されている。
また、前記ストラットタワーと前記延在部材との間の力の伝達経路に形成された前記溶接部には、前記連結部材における溶接部はもちろん、前記連結部材と前記ストラットタワーとを接合する溶接部や前記連結部材と前記延在部材とを接合する溶接部も含まれる。
(3)前記延在部材は、前記ストラットタワーの車両後方に設けられ、前記連結部材は、前記ストラットタワーに接合された第一フランジ部と、前記延在部材に接合された第二フランジ部と、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部とを接続する面部とを有し、前記屈曲部は、前記面部に形成され車両側面視で屈曲していることが好ましい。
(4)前記連結部材は前記ストラットタワーに接合された第一連結部材と前記延在部材に接合された第二連結部材とを有し、前記溶接部は前記第一連結部材と前記第二連結部材との間に形成されることが好ましい。
(5)前記屈曲部は、前記第一連結部材に形成されることが好ましい。
(6)前記延在部材は、カウルトップであることが好ましい。
この補強構造では、路面からの力が伝わり、連結部材によるストラットタワーと延在部材との間の力の伝達経路に形成された溶接部に過剰な応力が作用すれば、溶接部の破損を招くが、ストラットタワーと延在部材とを連結する連結部材は、ストラットタワーと延在部材との相対変位に応じて弾性変形するように屈曲形成された屈曲部を有するため、溶接部に作用する応力が吸収されて軽減されることにより、溶接部の破損を回避することができる。
また、下記の実施形態では、車両の前進方向を前方とし、この逆方向を後方とし、重力の作用方向を下方とし、この逆方向を上方とし、これらの前後方向及び上下方向の何れにも直交する方向を車幅方向とする。なお、車両の前進方向に向いたときの左方を単に左方といい、この逆方向を単に右方という。
〔構成〕
はじめに、図1を参照して、ストラットタワー補強構造に係る各部材を説明する。
ストラットタワー20は、エンジンルーム1の左右両側にそれぞれ設けられている。つまり、左前輪用のストラットタワー20と右前輪用のストラットタワー20とが対をなして配設されている。これらのストラットタワー20,20は、それぞれ上に凸の形状に形成された車体パネルの一部である。
各ストラットタワー20の後方には、上方から順にカウルトップ(延在部材)30及びダッシュパネル40が設けられている。これらのカウルトップ30及びダッシュパネル40は、何れも車幅方向に延在しており、各左端部が左前輪用のストラットタワー20の後方に位置し、各右端部が右前輪用のストラットタワー20の後方に位置している。
各ストラットタワー20の前方には、車輪(ここでは前輪)の上方を覆うフェンダーシールドパネル50が設けられている。
各ストラットタワー20の車幅方向外側には、エンジンルーム1の側壁の一部であるアッパインナフレームパネル60が設けられ、また、各ストラットタワー20の車幅方向内側には、車体前部の骨格構造であるフロントサイドメンバ70が設けられている。
上面パネル21には、ストラット2aやスプリング2bの上端に装備されたスプリングサポート3(二点鎖線で示す)が取り付けられる。この上面パネル21の周縁部21a(図2では前側の周縁部に符号を付す)には、側面パネル22が溶着されている。
上記したように、ストラットタワー20にはサスペンション2を支持するスプリングサポート3が取り付けられるため、走行時の路面反力が入力されると、ストラットタワー20は変形し、カウルトップ30に対して相対的に変位する。
カウルトップ30は、ストラットタワー20から離隔して設けられる。このカウルトップ30は、アッパパネル31とインナパネル32とロアパネル33とを有し、複数のパネルが接合された骨格部材である。
インナパネル32は、カウルトップ30の後部に配置され、エンジンルーム1の上部と車室9とを隔てている。このインナパネル32の下部32bは、その前側にロアパネル33の後部33aが溶着され、その後側にダッシュパネル40の上部40aが溶着されている。
また、ロアパネル33は、その後部33a及び上部33bが何れもフランジ状に形成されており、後部33aと上部33bとを接続する本体部33cが断面L字型(アングル型)に形成されている。この本体部33cは、ガセット10が溶着され、ここでは、後部33aから前方に延びて上方に折れ曲がって上部33bに至る断面形状となっている。
アッパ面部11bは、ロアガセットパネル12にスポット溶接で接合される面部である。すなわち、アッパガセットパネル11とロアガセットパネル12との間には溶接部が形成される。
ロアフランジ部12aは、ストラットタワー20と接合される部分であり、具体的には、図3に示すようにストラットタワー20の上面パネル21における周縁部21a及び側面パネル22における上縁部22aにスポット溶接で接合されるフランジ部である。言い換えれば、上面パネル21の周縁部21aと側面パネル22の上縁部22aとが重ね合わされた箇所に、ロアフランジ12aが溶着される。このため、ロアフランジ部12aとストラットタワー20との間には溶接部が形成される。なお、図4(b)には、ロアフランジ部12aに接合されるストラットタワー20の接合縁部を二点鎖線で示す。
第一面部121は、アッパガセットパネル11と接合される面部であり、具体的には、アッパガセットパネル11のアッパ面部11bとスポット溶接により形成された溶接部で接合される面部である。
詳細には、第一面部121に対して第二面部122が一方(ここでは後方)に傾斜するように折れ目f2が設けられ、第二面部122に対して第三面部123が他方(ここでは前方)に傾斜するように折れ目f3が設けられる。逆に言えば、折れ目f2が、第一面部121に対して第二面部122を後方に傾斜させ、折れ目f3が、第二面部122に対して第三面部123を前方に傾斜させている。このように、折れ目f2,f3は、互いに逆方向にロア面部12bを折り曲げている。
上記のアッパ面部11b及びロア面部12bは、アッパフランジ部11aとロアフランジ部12aとを接続している。
この側壁部12cの下部は、ストラットタワー20及びアッパインナフレームパネル60(図1参照)にスポット溶接で接合され、側壁部12cの下部とストラットタワー20及びアッパインナフレームパネル60との間には溶接部が形成される。これによりストラットハウス20の補強(車幅方向の剛性向上)がされている。
なお、図4に示すように、アッパガセットパネル11のアッパフランジ部11a及びアッパ面部11b並びにロアガセットパネル12のロアフランジ部12a及びロア面部12bのそれぞれに形成される溶接部は、車幅方向に間隔をおいて複数設けられる。
本実施形態のストラットタワー補強構造は上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
車両走行時に路面反力がサスペンション2を通じてストラットタワー20に入力されると、ストラットタワー20は変形する。しかしながら、ストラットタワー20は、ガセット10を介してカウルトップ30に連結されているため、変形が抑制される。また、カウルトップ30には各ストラットタワー20がそれぞれガセット10を介して連結されているため、一対のストラットタワー20,20では変形量の相違が抑制される。
スポット溶接により形成された各溶接部には、ストラットタワー20とカウルトップ30との間で力が伝達される際に応力が集中するが、この応力は屈曲部13により吸収されて軽減される。これにより、各溶接部の破損を効果的に回避することができる。
一方、屈曲部13が車両側面視で屈曲しているため、面部11b,12bを有するガセット10の断面二次モーメントを確保することができる。言い換えれば、車幅方向に沿った形状が維持されるようにガセット10の剛性を確保することができる。これにより、ストラットタワー20の車幅方向への変形を抑制することができる。
次に、図5を参照して本発明の一実施形態に係る変形例について説明する。本変形例の第一変形例〜第四変形例に係るストラットタワー補強構造は、ガセットの形状が上述のガセット10の形状と異なる。さらに、第四変形例では、ストラットタワー及びカウルトップの形状又は位置関係が上述のストラットタワー20及びカウルトップ30の形状又は位置関係も異なる。なお、図5(a)〜(d)はそれぞれ図3に対応した箇所を示す断面図である。
以下の説明では、構成の異なる点を説明する。なお、ここで説明する点を除いては、上述の一実施形態の構成と同様の構成となっている。同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
このように、一実施形態で上述のロアガセットパネル12にだけ屈曲部13が設けられるものに限らず、アッパガセットパネル11Aにも屈曲部13Bが設けられていてもよい。
この場合、アッパガセットパネル11Aに形成された屈曲部13Bは、アッパガセット11Aとロアガセット12Bとの間に形成された溶接部の接合力よりも小さな力で弾性変形するように構成される。
このように、アッパガセットパネル12Bにのみ屈曲部13Bが設けられていてもよい。
第一変形例及び第二変形例で上述のように、屈曲部13Cの形状は、ストラットタワー20とカウルトップ30との相対変位に応じて弾性変形するように屈曲形成されていれば、任意の形状を採用することができる。
第三変形例のガセット10Cを用いたストラットタワー補強構造によれば、上述した一実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
第四変形例のガセット10Dを用いたストラットタワー補強構造によれば、上述した一実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上述の一実施形態では、ガセット10をストラットタワー20の上面パネル21における周縁部21a及び側面パネル22における上縁部22aに溶着したものを説明したが、ガセット10のストラットタワー20への溶着箇所は任意であり、例えばガセット10をストラットタワー20の上面パネル21にだけ溶着してもよいし側面パネル22にだけ溶着してもよい。同様に、ガセット10をカウルトップ30のロアパネル33に溶着したものを説明したが、ガセット10のカウルトップ30への溶着箇所は任意である。ただし、ストラットタワー20とカウルトップ30とを接続する長さは短くなるに従って力が効率よく伝達されるため、この接続長が短くなるようなガセット10の溶着箇所を設定することが好ましい。
上述の一実施形態では、溶接部がスポット溶接により形成されるものを示したが、溶接部は隅肉溶接などの他の溶接方法により形成されていてもよい。
2 サスペンション装置
2a ストラット
10 ガセット(連結部材)
11 アッパガセットパネル(第二連結部材)
11a アッパフランジ部(第二フランジ部)
11b アッパ面部
12 ロアガセットパネル(第一連結部材)
12a ロアフランジ部(第一フランジ部)
12b ロア面部
12c 側壁部
13 屈曲部
20 ストラットタワー(延在部材)
21 上面パネル
21a 周縁部
22 側面パネル
22a 上縁部
30 カウルトップ(延在部材)
31 アッパパネル
32 インナパネル
33 ロアパネル
33c 本体部
40 ダッシュパネル
50 フェンダーシールドパネル
60 アッパインナフレームパネル
70 フロントサイドメンバ
f1 折れ目
f2 折れ目
f3 折れ目
* 溶接部
Claims (6)
- 車両左右両側に設けられた一対のストラットタワーと、
車幅方向に延在する延在部材と、
前記ストラットタワーのそれぞれと前記延在部材とを連結する一対の連結部材とを備え、
前記連結部材による前記ストラットタワーと前記延在部材との間の力の伝達経路に溶接部が形成され、
前記連結部材は、前記ストラットタワーと前記延在部材との相対変位に応じて弾性変形するように屈曲形成された屈曲部を有する
ことを特徴とする、ストラットタワー補強構造。 - 前記溶接部は、スポット溶接により形成された
ことを特徴とする、請求項1記載のストラットタワー補強構造。 - 前記延在部材は、
前記ストラットタワーの車両後方に設けられ、
前記連結部材は、
前記ストラットタワーに接合された第一フランジ部と、
前記延在部材に接合された第二フランジ部と、
前記第一フランジ部と前記第二フランジ部とを接続する面部とを有し、
前記屈曲部は、
前記面部に形成され、車両側面視で屈曲している
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のストラットタワー補強構造。 - 前記連結部材は、
前記ストラットタワーに接合された第一連結部材と、
前記延在部材に接合された第二連結部材とを有し、
前記溶接部は、前記第一連結部材と前記第二連結部材との間に形成された
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のストラットタワー補強構造。 - 前記屈曲部は、前記第一連結部材に形成された
ことを特徴とする、請求項4記載のストラットタワー補強構造。 - 前記延在部材は、カウルトップである
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のストラットタワー補強構造。
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