JP6305139B2 - 車体の前部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ショックアブソーバを支持する左、右のストラットタワーと、左、右のストラットタワーの後側に配設されたカウルと、カウルとフロアパネルとの間に配設されたダッシュパネルとを備えた自動車の車体の前部構造に関すものである。
従来、車体の前部構造として、例えば特許文献1に記載のものがある。すなわち、図4ないし図6に示すように、ルーフのないオープンカーの前部車体51は、車幅方向左,右外側に車両前後方向に延びるよう配設されたアッパメンバ(車体骨格部材)52,52と、左、右のアッパメンバ52の車内側に配設され、前輪に連結された図示省略のショックアブソーバの上部が固定されたストラットタワー53,53と、左、右のストラットタワー53の後側に左、右のアッパメンバ52どうしを車幅方向に連結するよう配設されたカウル54と、カウル54とフロアパネル61との間を覆うように配設され、前部車体51をエンジンルームEと車室Rとに画成するダッシュパネル55とを備えている。なお、図中、本実施形態でいう前後、左右とはシートに着座した状態で見た前後、左右を意味する。
そして、左、右のアッパメンバ52の後端部には、上下方向に延びるフロントピラー59,59の上端部が結合され、左、右のフロントピラー59の下端部には前後方向に延びるロッカパネル60,60の前端部が結合されている。さらに、両フロントピラー59には、ほぼ門型のフロントフレーム部59aが結合され、このフロントフレーム部59aとカウル54とで囲まれた開口にはフロントガラス58が配設されている。
また、両ロッカパネル60の間にはフロアパネル61が結合され、このフロアパネル61の前縁部はダッシュパネル55の下縁部に結合されている。両アッパメンバ52の下方には前後方向に延びるサイドメンバ62,62が配設され、これら左、右のサイドメンバ62の前端面には車幅方向に延びるクロスメンバ63が配設され、両アッパメンバ52の前端部それぞれと両サイドメンバ62それぞれとの前後方向中途部とは結合部材64,64により結合されている。上記した両ストラットタワー53それぞれは、両アッパメンバ52、両サイドメンバ62および両結合部材64それぞれに結合されている。
さらに、カウル54は、前斜め上向きに延びる前壁部54aと、この前壁部54aの下縁に続いて後方に屈曲して延びる底壁部54bと、底壁部54bの後縁に続いて後斜め上方に屈曲して延びる後壁部54cとを有する上方に開放された大略断面ハット形状をなしており、後壁部54cの上縁部54dにより、シール部材を介してフロントガラス8の下縁部が支持されている。また前記後壁部54cには、カウルアウタ65が結合されている。
また、カウル54の前壁部54aは、底壁部54bから上向きに延びる下側傾斜部54eと、下側傾斜部54eから前方に略水平に延びる下側フランジ部54fと、下側フランジ部54fから上向きに延びる上側傾斜部54gと、上側傾斜部54gから前方に略水平に延びる上側フランジ部54hとを有し、下側フランジ部54fの左、右側端部は左、右のストラットタワー53それぞれの上壁部53aの後側部分に溶接により結合されている。前壁部54aには、これの車幅方向略全長に渡る長さを有するリインホース部材70が配設されている。
このリインホース部材70は、カウル54の下側フランジ部54fに当接する下フランジ部70aと、下フランジ部70aに続いて前斜め上方に起立して延びる縦壁部70bと、縦壁部70bに続いて上側フランジ部54hに当接するように前方に延びる上フランジ部70cとを有し、カウル54の下側フランジ部54fの下面には、ダッシュパネル55の上縁部55aが下側フランジ部54fを挟んでリインホース部材70の下フランジ部70aと対向するように配置されている。
そして、リインホース部材70の上フランジ部70cはカウル54の上側フランジ部54hに溶接により結合されており、下フランジ部70aは、カウル54の下側フランジ部54fとともに、ダッシュパネル55の上縁部55aに3枚重ねて溶接により結合されている。また、リインホース部材70の下フランジ部70aの左、右側端部は、カウル54の下側フランジ部54f、ストラットタワー53の上壁部53aおよびダッシュパネル55の上縁部55aに4枚重ねて溶接により結合されている。
さらに、リインホース部材70の左、右端部70dは左、右のアッパメンバ52それぞれに溶接され、リインホース部材70に形成されたフランジ部70eはアッパメンバ52のカウルサイド部52aに溶接により結合されている。こうして、カウル54の前壁部54aを左、右のストラットタワー53の上壁部53aに結合し、前壁部54aにリインホース部材70を結合して車幅方向に延びる筒状の閉断面部71を形成している。
特開2012−201300号公報(段落0013〜0029および図1ないし図3参照)
しかし近年、車高の高い車両が開発され、このような車両に上記した従来のオープンカーにおける前部車体1の構造をそのまま適用すると、カウル54とストラットタワー53との間の間隔が大きくなることから、ストラットタワー53からの突き上げ荷重に対してカウル54が構造部材として機能し難くなり、従来のような閉断面部71に設けて補強するだけでは、車高の高い車両における剛性が不十分になり、カウル54の板厚を厚くするなどの補強対策が必要になり、重量およびコストの上昇を招くという問題が生じる。
本発明は、重量およびコストの上昇を招くことなく、車体の捻じれ荷重に対してはこれをいなし、車体前部の剛性の向上を図れるようにすることを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明の車体の前部構造は、車幅方向における左、右外側に車両前後方向に延びるよう配設された左、右の車体骨格部材と、前記左、右の車体骨格部材の車内側に配設され前輪懸架装置のショックアブソーバを支持する左、右のストラットタワーと、前記左、右のストラットタワーの後側に前記左、右の車体骨格部材同士を連結するよう配設されたカウルと、前記カウルとフロアパネルとの間に配設されたダッシュパネルとを備えた自動車の車体の前部構造において、前記ダッシュパネルの前方であって前記左、右のストラットタワー間に車幅方向に延び前記カウルを構成するカウルインナの下側に重畳されて前記カウルインナとの間に閉断面部を形成するように配設される補強部材を備え、前記補強部材は、前記左、右のストラットタワーを橋渡すように配設され、前記閉断面部の中央部分の断面積が両端よりも小さく形成され、平面視および/または正面視で前記カウルがアーチ形状を有することを特徴としている(請求項1)。
請求項1に係る発明によれば、ダッシュパネルの前方であって左、右のストラットタワー間に車幅方向に延びカウルインナの下側に重畳して配設されカウルインナとの間に閉断面部を形成する補強部材を配設し、この補強部材による閉断面部の中央部分の断面積が両端よりも小さくなるように、カウルを平面視および/または正面視でアーチ形状に形成したため、カウルの板厚を厚くすることなく、車体の捻じれ荷重に対してはこれをいなしつつカウルの剛性を向上することができ、重量およびコストの上昇を招くことなく、車体前部の剛性の向上を図ることが可能になる。
本発明の一実施形態におけるカウルを示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。 図1のB−B線における断面図である。 図1のA−A線における断面図である。 従来の車体の前部構造の斜視図である。 図4の一部の斜視図である。 図4のカウルの斜視図である。
つぎに、本発明に係る車体の前部構造の一実施形態について、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。
本実施形態における前部構造を適用した前部車体は、車高が高くなっている点を除き、基本的には上記した図4ないし図6とほぼ同じであり、図4を参照すると、車幅方向左,右外側に車両前後方向に延びるよう配設されたアッパメンバ(車体骨格部材)52,52と、左、右のアッパメンバ52の車内側に配設され、前輪に連結されたショックアブソーバの上端部が固定されたストラットタワー53,53を備え、左、右のストラットタワー53の後側に左、右のアッパメンバ52どうしを車幅方向に連結するように配設されたカウルと、このカウルとフロアパネル61との間を覆うように配設され、前部車体51をエンジンルームEと車室Rとに画成するダッシュパネル55とを備えている。
本実施形態では、図4ないし図6における前部車体51において車高を高くしたことに伴い、カウルの構造が、図4のリインホース部材70と結合されたカウル54とは大きく異なる。すなわち、図1(a),(b)に示すように、本実施形態におけるカウル1は、カウルインナ2と、本発明における補強部材であるカウルロアインナ3と、カウルアウタ4とを備え、平面視および正面視の両方でアーチ形状を有する。
そして、図2、図3に示すように、カウルインナ2は、左、右のストラットタワー53間に車幅方向に延び、ダッシュパネル55に溶接されて結合されている。カウルロアインナ3は、断面ほぼL字状を有し、左、右のストラットタワー53間に車幅方向に延び、カウルインナ2の下側に重畳して配設されてカウルインナ2との間に閉断面部5を形成し、ダッシュパネル55に溶接されて結合されている。カウルアウタ4は、カウルロアインナ3の上側に配設され、ダッシュパネル55に溶接されて結合されている。ここで、カウルロアインナ3の左右両端のフランジ部が、アッパメンバ52のカウルサイド部52aに溶接により結合されている。
したがって、上記した実施形態によれば、ダッシュパネルの前方であって左、右のストラットタワー53間に車幅方向に延びカウルインナ2の下側に重畳されてカウルインナ2との間に閉断面部5を形成するカウルロアインナ3を配設するとともに、左、右のストラットタワー53を橋渡すようにカウルロアインナ3を配設し、このカウルロアインナ3による閉断面部5の中央部分の断面積が両端よりも小さくなるように、カウル1を平面視および正面視でアーチ形状に形成したため、カウル1を構成する各部材の板厚を厚くすることなく、車体の捻じれ荷重に対してはこれをいなしつつカウル1の剛性を向上することができ、重量およびコストの上昇を招くことなく、車体前部の剛性の向上を図ることができる。
また、カウル1をアーチ形状にしたことで、衝突時におけるカウルサイド部52aの内倒れを支えることができ、ボデーの変形を抑制することが可能になる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。
例えば、上記した実施形態は、カウル1を平面視および正面視の両方でアーチ形状を成すようにした場合について説明したが、カウル1は、平面視または正面視の少なくとも一方でアーチ形状を有するものであればよい。
また、上記した実施形態では、オープンカーよりも車高の高い車体に本発明を適用した例について説明したが、本発明の適用範囲はこの種の車高の高い車体に限定されるものではない。
1 …カウル
2 …カウルインナ
3 …カウルロアインナ
4 …カウルアウタ
5 …閉断面部
52 …アッパメンバ(車体骨格部材)
53 …ストラットタワー
55 …ダッシュパネル
61 …フロアパネル

Claims (1)

  1. 車幅方向における左、右外側に車両前後方向に延びるよう配設された左、右の車体骨格部材と、前記左、右の車体骨格部材の車内側に配設され前輪懸架装置のショックアブソーバを支持する左、右のストラットタワーと、前記左、右のストラットタワーの後側に前記左、右の車体骨格部材同士を連結するよう配設されたカウルと、前記カウルとフロアパネルとの間に配設されたダッシュパネルとを備えた自動車の車体の前部構造において、
    前記ダッシュパネルの前方であって前記左、右のストラットタワー間に車幅方向に延び前記カウルを構成するカウルインナの下側に重畳されて前記カウルインナとの間に閉断面部を形成するように配設される補強部材を備え、
    前記補強部材は、前記左、右のストラットタワーを橋渡すように配設され、
    前記閉断面部の中央部分の断面積が両端よりも小さく形成され、平面視および/または正面視で前記カウルがアーチ形状を有することを特徴とする車体の前部構造。
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