JP2014161605A

JP2014161605A - 水素付加装置および腹膜透析装置

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Publication number: JP2014161605A
Application number: JP2013036971A
Authority: JP
Inventors: Nobukatsu Morisawa; 紳勝森澤; Masaaki Nakayama; 昌明中山
Original assignee: Nihon Trim Co Ltd
Current assignee: Nihon Trim Co Ltd
Priority date: 2013-02-27
Filing date: 2013-02-27
Publication date: 2014-09-08

Abstract

【課題】液体に水素を付加することができ、特に腹膜透析用の透析液への水素の付加に適した装置を提供する。
【解決手段】水素を選択的に透過させるガス透過性膜で形成された、液体を搬送するための流路と、流路の一部を水素運搬流体で囲むための水素付加部とを備え、水素運搬流体に含まれる水素をガス透過性膜を通過させることで、前記液体に水素を付加する水素付加装置、ならびに、水素を選択的に透過させるガス透過性膜で形成された、腹膜透析用の透析液を搬送するための流路と、流路の一部を水素運搬流体で囲むための水素付加部と、流路を通過する透析液の流量、水素付加の効率の情報に基づき、流路を通過した透析液の溶存水素濃度、圧力および流量を調整するように構成された制御部とを備える腹膜透析装置。
【選択図】図１

Description

本発明は、液体に水素を付加するための水素付加装置に関する。また本発明は、腹膜透析用の透析液に水素を付加し、水素を溶存させた透析液を透析患者に投与するための腹膜透析装置に関する。

腎機能が低下し、水分量の調節と尿素などの老廃物を含む体内有害物質の除去を行うための尿の排泄ができない腎不全患者のための有効な治療法の一つに、血液透析が知られている。血液透析は、血液ポンプを用いて血液を体外に引き出し、これを透析器（ダイアライザー）を介して透析液と血液とを接触させることにより、濃度勾配による拡散現象を利用して体内有害物質および水分を除去した後、再び体内に戻す（返血）操作を連続して行う治療法である。

近年、透析において透析患者に酸化ストレスが発生することが知られている。これは、透析時に発生する活性酸素が原因であると考えられており、この活性酸素を消去して酸化ストレスの軽減を図るための透析装置として、たとえば特許第３１９３２９５号（特許文献１）では、電気分解装置の電解槽内で陰極側に生成される電解還元水の持つ抗酸化作用を応用した透析装置が提案されている。このような血液透析システムに追加する電解水透析システムでは、透析液に水素を溶存させるための電解モジュールを逆浸透（ＲＯ）装置の前段に備え、透析液中の溶存水素をダイアライザーを介して患者の血液に送りこむことで、透析患者の酸化ストレスを緩和することができる。

一方、腹膜透析は、患者自身が行う比較的負担の軽い透析方法であり、血液透析システムとは異なる方法で既製の透析液を患者腹腔内に送り込み、老廃物を回収する。このような腹膜透析の場合、システム形態の相違のため、血液透析の場合と同様の手段では、電解モジュールを適用することができなかった。このため、腹膜透析に適した、透析患者における酸化ストレスを軽減するための手段が求められていた。

特許第３１９３２９５号

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、液体に水素を付加することができ、特に腹膜透析用の透析液への水素の付加に適した装置を提供することである。

本発明の水素付加装置は、水素を選択的に透過させるガス透過性膜で形成された、液体を搬送するための流路と、流路の一部を水素運搬流体で囲むための水素付加部とを備え、水素運搬流体に含まれる水素をガス透過性膜を通過させることで、前記液体に水素を付加することを特徴とする。

本発明の水素付加装置において、前記液体は透析液であることが好ましく、腹膜透析用の透析液であることがより好ましい。

また本発明の水素付加装置において、前記液体は医療用輸液製剤または飲料であってもよい。

本発明の水素付加装置において、前記水素運搬流体は、水素が溶存した液体または水素を含む気体であることが好ましい。

本発明はまた、水素を選択的に透過させるガス透過性膜で形成された、腹膜透析用の透析液を搬送するための流路と、流路の一部を水素運搬流体で囲むための水素付加部と、流路を通過する透析液の流量、水素付加の効率の情報に基づき、流路を通過した透析液の溶存水素濃度、圧力および流量を調整するように構成された制御部とを備える、腹膜透析装置についても提供する。

本発明によれば、液体に水素を付加することができ、特に腹膜透析用の透析液への水素の付加に適した装置を提供することができる。

本発明の好ましい一例の水素付加装置１を模式的に示す図である。本発明の腹膜透析装置１１の全体を模式的に示す図である。

（水素付加装置）
図１は、本発明の好ましい一例の水素付加装置１を模式的に示す図である。本発明の水素付加装置１は、ガス透過性膜５で形成された、液体４を搬送するための流路２と、流路２の一部を水素運搬流体６で囲むための水素付加部３とを備え、水素運搬流体６に含まれる水素をガス透過性膜５を通過させることで、前記液体４に水素を付加することを特徴とする。ここで、本発明における「水素」は、分子状水素または水素ガスを指す。

本発明の水素付加装置１において、流路２を形成するガス透過性膜５としては、水素を選択的に透過させることができる細孔を有し、かつ、液体を透過させない膜であれば特に制限されるものではなく、従来公知の適宜の材質で形成された膜をチューブ状にしたものが用いられ得る。このようなガス透過性膜５の好適な具体例としては、水素透過膜（田中貴金属製）などを挙げることができる。

流路２は、その内部を液体４を通過させる間に、水素付加部３において、水素運搬流体６から水素をガス透過性膜５を通過させ、液体４中に溶存させるために水素運搬流体６との十分な接触面積を有する長さであれば、その長さについては特に制限されない。水素付加部３としては、その内部に水素運搬流体６を収容することができ、かつ、流路２の一部を囲むように構成されていればよく、その具体的な構造については特に制限されるものではない。

本発明の水素付加装置１において、水素を付加させる液体４は、特に制限されるものではないが、透析液、特に、電解モジュールを組み込むことが困難な腹膜透析システムにおいて、電解モジュールを組み込んだのと同程度に水素を透析液中に溶存させ、透析患者の酸化ストレスを軽減することができることから、腹膜透析用の透析液が特に好ましい。勿論、液体４は血液透析用の透析液であってもよい。

また、液体４は、たとえば、医療用輸液製剤であってもよく、また、水、いわゆるスポーツドリンクなどを含む清涼飲料、ジュースなどの飲料であってもよい。本発明の水素付加装置１により、所望の濃度で水素を溶存させた医療用輸液製剤、飲料を効率的に提供することができる。また、本発明における液体４は、これらに限定されず、医療用途の水素水であってもよい。

本発明の水素付加装置１において、水素運搬流体６は、水素が溶存した液体または水素を含む気体であることが好ましい。図１には、水素付加部３に水素供給装置７が繋がれ、水素供給装置７から水素付加部３に水素運搬流体６が供給される一方で、水素付加部３から排出された水素運搬流体６が水素供給装置７に戻され、循環されるように構成された例が示されている。水素供給装置７は、水素運搬流体６に水素を付加し得るのであれば特に制限されるものではなく、たとえば電気分解装置、水素ガス貯蔵装置などで構成すればよい。

本発明の水素付加装置１により、液体４に付加される水素の濃度は、用途に応じて適宜選択されればよい。たとえば、液体４が腹膜透析用の透析液である場合、付加される水素の濃度は５０〜１０００ｐｐｂの範囲内であることが好ましく、１００〜８００ｐｐｂの範囲内であることがより好ましい。水素運搬流体６中の水素の濃度も、液体４に付加したい水素の濃度に応じて予め調整すればよい。

（腹膜透析装置）
上述した本発明の水素付加装置は、腹膜透析装置に特に好適に適用される。本発明の腹膜透析装置は、ガス透過性膜５で形成された、腹膜透析用の透析液４を搬送するための流路２と、流路２の一部を水素運搬流体６で囲むための水素付加部３と、流路２を通過する透析液４の流量、水素付加の効率の情報に基づき、流路２を通過した透析液４の溶存水素濃度、圧力および流量を調整するように構成された制御部とを備え、水素運搬流体６に含まれる水素をガス透過性膜５を通過させることで、前記透析液４に水素を付加するように構成される。

ここで、図２は、本発明の腹膜透析装置１１の全体を模式的に示す図である。図２に示すように、腹膜透析用の透析液４は、たとえば、Ａ液（塩化ナトリウム、ブドウ糖などの成分）が収容された第１の腹膜透析バッグ１４ａと、Ｂ液（乳酸ナトリウムなどの成分）が収容された第２の腹膜透析バッグ１４ｂとを備える既製の腹膜透析バッグを用い、Ａ液とＢ液とを混合することで、調製される。このように調製された透析液４は、腹膜透析液回路を介して、透析患者１３の体内に送り込まれる。

図２に示す例では、腹膜透析液回路として、上述した流路２、水素付加部３、水素供給装置７および制御部を備える腹膜透析管理装置１２が、調製された透析液４と透析患者１３との間に介在され、この腹膜透析管理装置１２において、水素運搬流体６に含まれる水素をガス透過性膜５を通過させることで、透析液４に水素を付加する。この際、制御部により、流路２を通過する透析液４の流量、水素付加の効率の情報に基づき、流路２を通過した透析液４の溶存水素濃度、圧力および流量が調整される。このようにして水素が付加された透析液１５が、腹膜透析用の透析液として、透析患者１３に投与される。透析液は、腹膜透析管理装置１２で適度に加温され、時間当たりの規定流量分が透析患者１３の腹膜に送り込まれるように構成される。なお、本発明の腹膜透析装置１１において、腹膜透析管理装置１２と水素付加部３とは、一体的に構成されていてもよいし、別体であっても勿論よい。

本発明の腹膜透析装置１１において、たとえば、透析液４は、ガス透過性膜５で形成された流路２を、腹膜透析管理装置１２の引き込み（作動圧）により流れ、一定時間内に一定量を通過するように構成される。また、腹膜透析管理装置１２の制御部により、腹膜透析用の透析液中に付加された水素の濃度を調整するために、水素運搬流体６における水素濃度、流量、圧力などを適宜調整するようにする。この水素運搬流体６における水素濃度、流量、圧力などの調整は、マニュアルによるものでも良いし、センサーとプロセッサーをさらに備え、自動的に調整するように構成されてもよい。なお、制御部は、公知のＣＰＵを適宜組み合わせるなどすれば実現することができる。

また図２に示す例では、透析患者１３から、腹膜内で老廃物交換が進んだ腹膜透析液の排液１６が、腹膜透析管理装置１２に一旦戻された後、排液１７として腹膜透析管理装置１２から排出されるように構成されている。このような本発明の腹膜透析装置１１により、血液透析の場合に電気分解装置を適用したのと同等の酸化ストレスの低減効果を得ることが可能となる。

１水素付加装置、２流路、３水素付加部、４液体、５ガス透過性膜、６水素運搬流体、７水素供給装置、１１腹膜透析装置、１２腹膜透析管理装置、１３透析患者、１４ａ第１の腹膜透析バッグ、１４ｂ第２の腹膜透析バッグ、１５透析液、１６腹膜透析液の排液、１７排液。

Claims

水素を選択的に透過させるガス透過性膜で形成された、液体を搬送するための流路と、
流路の一部を水素運搬流体で囲むための水素付加部とを備え、
水素運搬流体に含まれる水素をガス透過性膜を通過させることで、前記液体に水素を付加する、水素付加装置。
前記液体が透析液である、請求項１に記載の水素付加装置。
前記透析液が腹膜透析用の透析液である、請求項２に記載の水素付加装置。
前記液体が医療用輸液製剤である、請求項１に記載の水素付加装置。
前記液体が飲料である、請求項１に記載の水素付加装置。
前記水素運搬流体が、水素が溶存した液体または水素を含む気体である、請求項１〜５のいずれかに記載の水素付加装置。
水素を選択的に透過させるガス透過性膜で形成された、腹膜透析用の透析液を搬送するための流路と、
流路の一部を水素運搬流体で囲むための水素付加部と、
流路を通過する透析液の流量、水素付加の効率の情報に基づき、流路を通過した透析液の溶存水素濃度、圧力および流量を調整するように構成された制御部とを備え、
水素運搬流体に含まれる水素をガス透過性膜を通過させることで、前記透析液に水素を付加する、腹膜透析装置。