JP2019187909A - 腹膜透析用の透析液 - Google Patents

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Masaaki Nakayama
昌明 中山
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Abstract

【課題】腹膜の劣化を抑制することができる腹膜透析用の透析液を提供する。【解決手段】水素含有腹膜透析液の製造装置1は、水素透過性の水素水バッグ2と、水素水バッグ2に接続された水素水生成装置3と、透析液6が収容された水素透過性の透析液バッグ4とを備えている。水素水生成装置3は、電気分解処理を行うことにより、水素水バッグ2に貯蔵される水素水5を生成する。腹膜透析用の透析液の溶存水素濃度が30〜550ppbである。【選択図】図1

Description

本発明は、腹膜透析用の透析液に関する。
腎機能が低下し、水分量の調節と尿素などの老廃物を含む体内有害物質の除去を行うための尿の排泄ができない腎不全患者のための有効な治療法の一つに、腹膜透析が知られている。
この腹膜透析は、患者の腹腔の内部に透析液を注入することによって、患者の腹膜の毛細血管内に存在する老廃物や水分を除去する方法であり、体液(血液)よりも浸透圧の高い腹膜透析液を注入し、腹膜を介した体液と腹膜透析液との間の浸透圧の差を利用して、患者から老廃物や水分を除去する。
例えば、水素を含有していない透析液を利用した腹膜透析が提案されている。より具体的には、ブドウ糖を浸透圧物質として細胞外液濃度に準じた電解質組成を有する溶液が腹膜透析用の透析液として開示されている(例えば、非特許文献1,2参照)。腹膜透析は、短期的、数年間程度使用する治療液としては安全かつ経済的な透析方法であるが、治療を通じて、経年的な腹膜劣化が生じるため、長期間、例えば10年以上を超えて腹膜透析を行うことは容易ではないという問題があった。
より具体的には、腹膜透析治療期間の長期化に伴い、腹膜組織は病理学的には、腹膜表面の中皮細胞脱落、中皮下組織の線維性肥厚や硬化、腹膜の毛細血管から細静脈の血管壁肥厚・血管腔の閉塞を呈し、さらには腹膜表面にフィブリンの析出が認められるようになる。
Honda K, Hamada C, Nakayama M, Miyazaki M, Sherif AM, Harada T, Hirano H. Impact of uremia, diabetes, and peritoneal dialysis itself on the pathogenesis of peritoneal sclerosis: a quantitative study of peritoneal membrane morphology. Clin J Am Soc Nephrol. 2008;3(3):720-8. Krediet RT, Struijk DG. Peritoneal changes in patients on long-term peritoneal dialysis. Nat Rev Nephrol. 2013;9(7):419-29.
ここで、腹膜透析は、安全かつ経済的な透析方法であるが、治療を通じて、経時的な腹膜劣化が生じるため、長期間、腹膜透析を行うことが必ずしも容易ではないという問題があった。
より具体的には、臨床的には透析効率や除水能の低下、及び腹膜の非感染性炎症、腹膜や腸管の癒着等が発生し、結果として、腹膜透析患者の過半数以上が10年以内に血液透析へ移行する必要があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、腹膜の劣化を抑制することができる腹膜透析用の透析液を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の腹膜透析用の透析液は、溶存水素濃度が30〜550ppbであることを特徴とする。
本発明によれば、腹膜組織が保護されるため、腹膜透析に起因する腹膜の劣化を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る腹膜透析用の透析液の製造装置の構成を示す概念図である。 本発明の実施形態に係る水素水生成装置における電解槽を示す図である。 本実施形態に係る溶存水素濃度調整装置による溶存水素濃度の調整方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施形態に係る腹膜透析装置の構成を示す図である。 実施例1における腹膜中皮細胞の顕微鏡写真である。 比較例1における腹膜中皮細胞の顕微鏡写真である。 参考例1における腹膜中皮細胞の顕微鏡写真である。 実施例2における中皮細胞の細胞数を反映すると考えられるMesothelinの変化を示す図である。 実施例2における中皮細胞の細胞数を反映すると考えられるCA125の変化を示す図である。 実施例2における腹腔内の炎症反応の程度を反映するとされるHyaluronic acidの変化を示す図である。
図1は、本発明の実施形態に係る腹膜透析用の透析液(以下、単に、「透析液」と記す。)の製造装置の構成を示す概念図であり、図2は、本発明の実施形態に係る水素水生成装置における電解槽を示す図である。
この水素含有腹膜透析液の製造装置1は、水素透過性の水素水バッグ2と、水素水バッグ2に接続された水素水生成装置3と、透析液6が収容された水素透過性の透析液バッグ4とを備えている。
水素水バッグ2は、透析液バッグ4に収容された透析液6に供給される水素を含有する水(以下、「水素水」という。)5を収容するためのものである。
また、本発明における透析液6は、塩化ナトリウム(NaCl)、乳酸ナトリウム(CNaO)、塩化カルシウム(CaCl・2HO)、及び塩化マグネシウム(MgCl・6HO)等の各種電解質を成分として含有し、浸透圧物質としてブドウ糖を主成分とするものや、当該ブドウ糖の代わりに、イコデキストリンを含有する被ブドウ糖液が使用される。
水素水生成装置3は、電気分解処理を行うことにより、水素水バッグ2に貯蔵される水素水5を生成するためのものである。
また、本実施形態の水素水生成装置3は、図2に示す、固体高分子膜(固体高分子膜電解質膜)10を有する電解槽20を備えている。
この電解槽20は、図2に示すように、上述の固体高分子膜10と、固体高分子膜10を介して、互いに対向して配置され、電解槽20への給電を行う給電体である陽極11、及び陰極12と、固体高分子膜10と陽極11との間、及び固体高分子膜10と陰極12との間に配置された誘電体層13とを備えている。
なお、図2に示すように、陽極11と陰極12は、電気的に接続されており、これらの固体高分子膜10、陽極11、陰極12、及び誘電体層13は、電解槽本体15の内部に収容されている。
また、図2に示すように、電解槽本体15には、電気分解が行われる水(即ち、循環する水素水5)を電解槽本体15内に導入するための導入路16が形成されている。
陽極11、及び陰極12の材料としては、例えば、チタンや白金などが挙げられる。
また、誘電体層13を形成する材料としては、例えば、チタンや白金などが挙げられる。
また、固体高分子膜10は、電気分解により、陽極11側で発生したオキソニウムイオン(H)を陰極12側へと移動させる役割を有するものである。
この固体高分子膜10としては、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系の樹脂材料により形成されたものを好適に使用することができる。より具体的には、ナフィオン(デュポン社製)、Flemion(旭硝子社製)、Aciplex(旭硝子社製)などの市販品を、本発明における固体高分子膜10として好適に用いることができる。
そして、このような固体高分子膜10を用いた水素水生成装置3における電気分解では、陰極12における水素の生成原料としてオキソニウムイオン(H)が使用され、水素水生成装置3における電気分解処理の際に、OHイオンが発生しない。従って、溶存水素の量を増やすために、高い電流値で電気分解処理を行った場合であっても、水素水5のpHが変化しない。
従って、pHの上限値に起因して、水素水5の溶存水素濃度が抑制されてしまうという不都合を生じることがなくなり、所望の高い電流値で電気分解処理を行い、水素水5の溶存水素濃度を向上させることが可能になる。その結果、必要な溶存水素濃度を有する水素水5を得ることが可能になる。
そして、上述の電気分解処理により生成した水素水5は、電解槽本体15の陰極側に形成された送水路18により、水素水生成装置3に接続された水素水バッグ2へと送られる。なお、電気分解処理により、陽極側で発生した溶存酸素水19は、電解槽本体15の陽極側に形成された排水路21により、外部へと排出される。
なお、図1に示すように、水素含有腹膜透析液の製造装置1には、水素水バッグ2及び水素水生成装置3に接続されたポンプ36と、水素水バッグ2と水素水生成装置3との間において、水素水5を循環させる循環路37が設けられており、このポンプ36と循環路37により、水素水バッグ2に貯蔵された水素水5が水素水生成装置3に供給される構成となっている。
水素透過性を有する透析液バッグ4の内部には透析液6が収容されており、図1に示すように、透析液バッグ4が、水素水を含有する水素水バッグ2に接触する構成となっている。そして、図1に示すように、水素水5に含まれる水素が、時間の経過とともに、水素透過性を有する水素水バッグ2及び透析液バッグ4を介して、透析液6へと移動し、透析液6中に水素が溶解する構成となっている。
即ち、本実施形態においては、水素水5が収容され、透析液バッグ4と接触した状態で水素を透析液6に供給する水素水バッグ2を備えているため、透析液バッグ4を水素水バッグ2に接触させることにより、水素を透析液6に供給することができる。従って、水素ガスに起因する危険性を伴うことなく、衛生面に優れる水素含有腹膜透析液を製造することができる。
なお、透析液バッグ4を水素水バッグ2に接触させた状態で、水素水バッグ2に収容された水素水5を所定の温度(患者の体温近傍の温度、例えば、33〜35℃)に加熱することにより、透析液6への水素の移動が促進される。
また、本実施形態においては、水素水バッグ2上に透析液バッグ4を積層する構成としているため、空気よりも軽い水素を、効率よく、透析液6に供給することができる。
水素水バッグ2を形成する材料は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラジウム合金、及びシリコン等の水素透過性を有する材料を使用することができる。より具体的には、水素透過膜(田中貴金属(株)製)、隔膜T−25(東亜DKK(株)製)などが挙げられる。
また、透析液バッグ4を形成する材料は、特に限定されず、例えば、上述のポリエチレン、ポリプロピレン等の水素透過性を有する材料を使用することができる。
また、本実施形態においては、図1に示すように、透析液バッグ4を覆うとともに、水素非透過性を有する被覆部材7を備えている。この被覆部材7を形成する材料は、水素非透過性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、アルミニウム、鉛、スズ、鉄、銅、ステンレス、及びそれらを被覆したプラスチック等を使用することができる。
そして、このような被覆部材7を設けることにより、水素透過性を有する透析液バッグ4から水素が外部へと放出され、透析液6中の水素濃度が低下するという不都合の発生を防止することができる。
また、図1に示すように、透析液バッグ4は、透析カテーテル43(図4参照)に接続される接続部8を有しており、この接続部8は、透析液バッグ4と水素水バッグ2との接触部分(境界部分)14以外の部分に形成されている。従って、接続部8と水素水バッグ2との接触に起因する接続部8の汚染を防止することができる。
そして、今回、30〜550ppbの溶存水素濃度を有する透析液6を使用することにより、腹膜細胞の機能低下に起因する腹膜劣化を軽減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
より具体的には、30〜550ppbの溶存水素濃度を有する本発明の透析液6を患者50に投与することにより、透析液6にお含有される水素が、創傷治癒機転等の細胞機能の低下を軽減するため、腹膜中皮細胞の形態変化を抑制する(即ち、腹膜組織を保護する)ことができる。従って、腹膜透析に起因する腹膜の劣化を抑制することが可能になる。
なお、透析液6の溶存水素濃度は、自動腹膜装置(APD)では30〜550ppbの範囲で使用すること可能であり、持続携行式腹膜透析(CAPD)では30〜230ppbの範囲で使用することが可能である。また、透析液6の溶存水素濃度は、30〜80ppbが好ましい。溶存水素濃度が30ppb未満の場合、溶存水素濃度が低すぎるため、上述の腹膜中皮細胞の傷害を抑制する効果が十分に得られない場合がある。
次に、溶存水素濃度調整装置による溶存水素濃度の調整方法について説明する。図3は、本実施形態に係る溶存水素濃度調整装置による溶存水素濃度の調整方法を説明するためのフローチャートである。
本実施形態においては、センサーを使用したフィードバック制御を使用して、電気分解を行うことにより、透析液6(即ち、透析液バッグ4が接触する水素水バッグ2に収容された水素水5)中の溶存水素濃度を所望の濃度に保つ構成としている。
より具体的には、図1に示すように、本実施形態における水素含有腹膜透析液の製造装置1は、透析液6における溶存水素濃度を調整するための溶存水素濃度調整装置30を備えている。
この溶存水素濃度調整装置30は、上述の水素水生成装置3と、水素水バッグ2の内部に設けられ、水素水バッグ2に収容される水素水5の溶存水素濃度を検知するためのセンサー31を備えている。
このセンサー31は、溶存水素濃度を検知できるものであれば特に限定されず、例えば、隔膜型ポーラログラフ方式を利用した溶存水素電極(東亜ディーケーケー社製、商品名:溶存水素濃度計DH−35A)を使用することができる。
また、溶存水素濃度調整装置30は、センサー31に接続され、水素水生成装置3による電気分解処理の電解電流を決定する電解電流決定手段33と、電解電流決定手段33、及び水素水生成装置3に接続され、水素水生成装置3に対して電解電流を供給する電解電流供給手段34と、電解電流決定手段33に接続され、溶存水素濃度の目標値のデータを記憶する記憶手段35とを備えている。
そして、図3に示すように、まず、センサー31が、水素水生成装置3に入水する水(水素水バッグ2に収容された水素水5)の溶存水素濃度を検知する(ステップS1)。
次に、センサー31により検知された水素水5の溶存水素濃度のデータが、電解電流決定手段33に送信される(ステップS2)。
次に、電解電流決定手段33が、記憶手段35に記憶された溶存水素濃度の目標値(本実施形態においては、30〜550ppbの範囲内にある所望の水素濃度、例えば、400ppb)に関するデータを読み出す(ステップS3)。
次に、電解電流決定手段33は、センサー31により検知された溶存水素濃度の値Cと、記憶手段35から読み出した溶存水素濃度の目標値Cとを比較する。即ち、電解電流決定手段33は、センサー31により検知された溶存水素濃度の値Cが記憶手段35から読み出した溶存水素濃度の目標値(所望の溶存水素濃度)Cと同じ(即ち、C=C)か否かを判断する(ステップS4)。
そして、電解電流決定手段33は、センサー31により検知された溶存水素濃度の値Cが記憶手段35から読み出した溶存水素濃度の目標値Cと異なる(即ち、C<C、またはC>C)場合、溶存水素濃度が不足している(減少している)、または過剰である(増加している)と判断し、水素水生成装置3に入水する水の溶存水素濃度が目標値Cとなるように、水素水生成装置3による電気分解処理の電解電流を決定する(ステップS5)。そして、電解電流決定手段33は、水素水生成装置3に対して電解電流を供給する電解電流供給手段34へ、決定した電解電流に関する信号を送信する(ステップS6)。
次に、電解電流供給手段34は、入力された信号に基づく電解電流を、水素水生成装置3へ供給し、水素水生成装置3において、水素水生成装置3に入水した水の溶存水素濃度が目標値Cとなるように、電気分解処理が行われる(ステップS7)。
一方、電解電流決定手段33は、センサー31により検知された溶存水素濃度の値Cが記憶手段35から読み出した溶存水素濃度の目標値C(即ち、C=C)の場合、溶存水素濃度が不足、または過剰していないと判断する。この場合、上述したステップS5〜ステップS7の処理は行わない。
以上のように、本実施形態においては、水素溶解装置である水素水生成装置3により、水素水バッグ2に貯蔵された水素水5の溶存水素濃度を目標値Cに保つ構成としている。従って、水素水バッグ2と接触する透析液バッグ4に収容された透析液6において、所望の溶存水素濃度を得ることができる。
即ち、センサー31を使用したフィードバック制御を使用して、電気分解を行うことにより、透析液6(即ち、透析液バッグ4が接触するに水素水バッグ2に収容された水素水5)中の溶存水素濃度を所望の濃度に保つことが可能になる。
そして、図1に示すように、製造された透析液6が、腹膜透析装置40へ供給されるとともに、供給された透析液6が、腹膜透析装置40から患者へ供給され、患者の血液の浄化が行われる。
この腹膜透析装置40は、図4に示すように、透析装置本体41と、製造された透析液6が導入され、当該透析液6を透析装置本体41に供給する供給管42と、透析装置本体41及び患者50の腹腔に接続され、患者50に対して透析液6を供給する透析カテーテル43と、使用されなかった透析液6を廃棄するための廃液処理タンク44と、透析装置本体41と廃液処理タンク44とを接続する接続管45とを備えている。
そして、供給管42を介して、透析液6が透析装置本体41に供給され、透析装置本体41により、透析カテーテル43を介して、患者50の腹腔に透析液6を注入する注液処理、及び腹腔から透析液6を排出する排液処理が行われる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
(実施例1)
<透析液の製造>
上述の図1に示す水素含有腹膜透析液の製造装置を使用して、腹膜透析用の透析液を製造した。より具体的には、まず、透析液を収容した透析液バッグを、水素水を含有する水素水バッグ(溶存水素濃度:400ppbに調整)に12時間、接触させ、水素水に含まれる水素を、水素透過性を有する水素水バッグ及び透析液バッグを介して透析液へと移動させることにより、溶存水素濃度が400ppbである透析液を調製した。
なお、透析液における溶存水素濃度は、隔膜型ポーラログラフ方式を利用した溶存水素電極(東亜ディーケーケー社製、商品名:溶存水素濃度計DH−35A)を使用することにより、確認した。
また、水素水生成装置として、腹膜透析水素付加装置((株)日本トリム社製)を用いて、流速が3L/minの条件で、電流を4Aに設定して定電流電気分解を行うことにより電解水素水(溶存水素水)を得た。なお、pHの測定にはpHメータ(φ260、ベックマン社製)を用いた。
また、透析液としては、市販の透析液(バクスター製、商品名:ダイアニール PD-2 2.5)を使用した。この透析液の組成は、以下の通りである。
ブドウ糖(C6H12O6):2.27w/v%、塩化ナトリウム(NaCl):0.538 w/v%、乳酸ナトリウム(C3H5NaO3):0.448 w/v%、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O):0.0257 w/v%、塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O):0.00508 w/v%
<透析液の投与>
次に、試験用のラット(健康な8匹のオスであるSprague-Dawley rat、年齢:8〜10週齢)を用意し、製造した上述の透析液(溶存水素濃度:400ppb)を1日1回、20mlを10日間連続で腹腔内投与を行った。
<腹膜中皮細胞の評価>
透析液の投与終了後、2日目に、ラットの逆測壁側の腹膜組織を採取し、腹膜組織を評価した。より具体的には、採取した腹膜組織に対してマッソントリクローム染色を行い、光学顕微鏡により、染色後の腹膜組織を観察した。以上の結果を図5に示す。
(比較例1)
水素を含有させなかったこと以外は、実施例1と同様にして、透析液を製造した。次いで、実施利1と同様にして、透析液の投与を行うとともに、腹膜中皮細胞の評価を行った。以上の結果を図6に示す。
(参考例1)
また、参考例(腹膜透析液を投与していないコントロール群)として、実施例1と同じ試験用のラット(健康な8匹のオスであるSprague-Dawley rat、年齢:8〜10週齢)を用意するとともに、実施例1と同様にして、腹膜中皮細胞の評価を行った。以上の結果を図7に示す。
図5〜図7に示すように、比較例1においては、中皮細胞の表面(図6の矢印の部分)おいて立体状の形態変化が生じており、腹膜が劣化しているが、実施例1においては、中皮細胞の表面(図5の矢印の部分)における形態変化が殆ど見られなかった。以上より、溶存水素濃度が30〜550ppbである透析液の投与により、腹膜の劣化を抑制することができることが分かる。
(実施例2)
<サロゲートマーカーによる評価>
まず、水素水を含有する水素水バッグ(溶存水素濃度を30ppbに調整)を用いて、溶存水素濃度が400ppbである透析液を調製した。
次に、6名の腹膜透析患者に対して、製造した透析液を、1日1回既存液に換えて14日間、使用して腹膜透析を行い、腹膜排液中のサロゲートマーカー(Mesothelin、CA125、Hyaluronic acid)を検査した。以上の結果を図8〜図10に示す。
図8、図9に示すように、通常、変化しにくい中皮細胞増殖を反映するマーカーであるMesothelinでは6名中3名が上昇し、CA125では6名中2名が上昇した。以上より、腹膜傷害を修復するために中皮細胞の増殖が行われていることが分かる。
また、図10に示すように、Hyaluronic acidでは6名中4名が低下しており、腹膜内の炎症が低減していることが分かる。
以上説明したように、本発明は、腹膜透析用の透析液に、特に、有用である。
1 水素含有腹膜透析液の製造装置
2 水素水バッグ
3 水素水生成装置
4 透析液バッグ
5 水素水
6 透析液
7 被覆部材
8 接続部
9 積層体
10 固体高分子膜
11 陽極
12 陰極
13 誘電体層
14 水素水バッグと透析液バッグとの境界部分
15 電解槽本体
16 導入路
18 送水路
19 溶存酸素水
20 電解槽
21 排水路
30 溶存水素濃度調整装置
31 センサー
33 電解電流決定手段
34 電解電流供給手段
35 記憶手段
36 ポンプ
40 腹膜透析装置
41 透析装置本体
42 供給管
43 透析カテーテル
44 廃液処理タンク
45 接続管
50 患者

Claims (4)

  1. 溶存水素濃度が30〜550ppbであることを特徴とする腹膜透析用の透析液。
  2. 溶存水素濃度が30〜230ppbであることを特徴とする請求項1に記載の腹膜透析用の透析液。
  3. 溶存水素濃度が30〜80ppbであることを特徴とする請求項1に記載の腹膜透析用の透析液。
  4. 腹膜中皮細胞の形態変化を抑制する活性を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の腹膜透析用の透析液。
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