WO2018181074A1 - 血液透析用の透析液 - Google Patents

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Abstract

血液透析用の透析液は、溶存水素濃度が30~550ppbである。本透析液によれば、活性酸素を消去して酸化ストレスを軽減することができる。

Description

血液透析用の透析液
 本発明は、血液透析用の透析液に関する。
 腎機能が低下し、水分量の調節と尿素などの老廃物を含む体内有害物質の除去を行うための尿の排泄ができない腎不全患者のための有効な治療法の一つに、血液透析が知られている。
 この血液透析は、血液ポンプを用いて血液を体外に引き出し、透析器(ダイアライザー)を介して透析液と血液とを接触させることにより、濃度勾配による拡散現象を利用して、血液から体内有害物質および水分を除去した後、再び、血液を体内に戻す(返血)操作を連続して行う治療法である。
 この透析液としては、例えば、逆浸透膜(RO膜)で処理され、純化した水(以下、「逆浸透水」という。)に、バブリングにより水素ガスを接触させて、逆浸透水に水素を溶存させることにより、水素が溶存する透析液を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-13349号公報
 ここで、近年、上記従来の透析液を使用する血液透析において透析患者に酸化ストレスが発生することが知られている。これは、透析時に発生する活性酸素が原因であると考えられており、この酸化ストレスにより、治療中や治療直後の血圧変動や、治療後の痒みや倦怠感等の合併症が引き起こされるため、原因となる活性酸素を消去して酸化ストレスの軽減を図る必要がある。
 しかし、上記特許文献1に記載の透析液では、活性酸素を消去することが困難であり、酸化ストレスの軽減を図ることができないという問題があった。
 そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、活性酸素を消去して酸化ストレスを軽減することができる透析液を提供することを目的とする。
 上記目的を達成するために、本発明の血液透析用の透析液は、溶存水素濃度が30~550ppbであることを特徴とする。
 本発明によれば、透析患者における抗酸化作用を高めることができるため、酸化ストレスに起因する様々な合併症を抑制することが可能になる。
本発明の実施形態に係る血液透析用の透析液の製造装置の構成を示す概念図である。 本発明の実施形態に係る血液透析用の透析液の製造装置の電解水生成装置における電解槽を示す図である。 本発明の実施形態に係る透析装置を示す図である。 実施群における痒みの強度を訴求する患者の割合を示す図である。 実施群における痒みの頻度を訴求する患者の割合を示す図である。 比較群における痒みの強度を訴求する患者の割合を示す図である。 比較群における痒みの頻度を訴求する患者の割合を示す図である。 実施群における倦怠感の強度を訴求する患者の割合を示す図である。 比較群における倦怠感の強度を訴求する患者の割合を示す図である。 実施群及び比較群における抗高血圧剤(降圧薬)の一日投与量(DDD)の変化を示す図である。
 図1は、本発明の実施形態に係る血液透析用の透析液の製造装置の構成を示す概念図である。また、図2は、本発明の実施形態に係る血液透析用の透析液の製造装置の電解水生成装置における電解槽を示す図である。
 本発明における「血液透析用の透析液」は、血液濾過、血液透析濾過など他の血液浄化療法の際の置換液、補充液等の輸液としても用いることもできる。
 また、血液透析用の透析液の成分としては、Na(ナトリウムイオン)、K(カリウムイオン)、Ca2+(カルシウムイオン)、Mg2+(マグネシウムイオン)、Cl(塩化物イオン)、CHCOO(酢酸イオン)、HCO (重炭酸イオン)等の各種電解質や、ブドウ糖、乳酸、クエン酸、糖類、多糖類、アミノ酸等の血液透析用の透析液の成分として好適な成分が挙げられる。
 以下、本発明における「血液透析用の透析液」を「透析液」と記す。
 図1に示すように、透析液の製造装置1は、透析液調製用水の製造装置10と、透析液調製装置26とを備えている。
 この透析液調製用水の製造装置10は、プレフィルター3と、プレフィルター3に接続された軟水化装置4と、軟水化装置4に接続されたカーボンフィルター(活性炭処理装置)5と、カーボンフィルター5に接続された電解水生成装置7と、電解水生成装置7に接続された電解水タンク8と、電解水タンク8に接続された逆浸透膜処理装置9と、逆浸透膜処理装置9に接続されたUF(Ultra Filter)モジュール30とを備えている。
 プレフィルター3は、原水2(硬度成分であるカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの溶解固形物を含む硬水)から不純物(例えば、鉄錆や砂粒子)を除去するためのものである。
 軟水化装置4は、原水2から、イオン交換によって硬度成分を置換反応により除去し、軟水とする処理を行うためのものである。なお、本実施形態においては、原水2として、水道水や井戸水、地下水などを用いることができる。
 カーボンフィルター5は、軟水化装置4により処理された原水に対して、多孔質の吸着物質である活性炭を用いて、原水中に含まれる残留塩素、クロラミン、有機物などを物理的な吸着作用により除去する処理を行うためのものである。
 なお、上述の軟水化装置4、及びカーボンフィルター5としては、公知のものを使用することができる。
 電解水生成装置7は、水素溶解装置として機能するものであり、カーボンフィルター5により処理された原水2に対して、電気分解処理を行うことにより、透析液調製用水として使用される水素が溶存した水(溶存水素水)を生成するためのものである。
 また、本実施形態の電解水生成装置7は、図2に示す、固体高分子膜(固体高分子電解質膜)14を有する電解槽20を備えている。
 この電解槽20は、図2に示すように、上述の固体高分子膜14と、固体高分子膜14を介して、互いに対向して配置され、電解槽20への給電を行う給電体である陽極11、及び陰極12と、固体高分子膜14と陽極11との間、及び固体高分子膜14と陰極12との間に配置された誘電体層13とを備えている。
 なお、図2に示すように、陽極11と陰極12は、電気的に接続されており、これらの固体高分子膜14、陽極11、陰極12、及び誘電体層13は、電解槽本体15の内部に収容されている。
 また、図2に示すように、電解槽本体15には、電気分解が行われる原水2を電解槽本体15内に導入するための導入路16が形成されている。
 陽極11、及び陰極12の材料としては、例えば、チタンや白金などが挙げられる。
 また、誘電体層13を形成する材料としては、例えば、チタンや白金などが挙げられる。
 また、固体高分子膜14は、電気分解により、陽極11側で発生したオキソニウムイオン(H)を陰極12側へと移動させる役割を有するものである。
 この固体高分子膜14としては、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系の樹脂材料により形成されたものを好適に使用することができる。より具体的には、ナフィオン(デュポン社製)、Flemion(旭硝子社製)、Aciplex(旭硝子社製)などの市販品を、本発明における固体高分子膜14として好適に用いることができる。
 そして、このような固体高分子膜14を用いた電解水生成装置7における電気分解では、陰極12における水素の生成原料としてオキソニウムイオン(H)が使用され、電解水生成装置7における電気分解処理の際に、OHイオンが発生しない。従って、溶存水素の量を増やすために、高い電流値で電気分解処理を行った場合であっても、処理水のpHが変化しない。
 従って、pHの上限値に起因して、処理水の溶存水素濃度が抑制されてしまうという不都合を生じることがなくなり、所望の高い電流値で電気分解処理を行い、処理水の溶存水素濃度を向上させることが可能になる。その結果、必要な溶存水素濃度を有する処理水を得ることが可能になる。
 そして、上述の電気分解処理により生成した処理水(溶存水素水)17は、電解槽本体15の陰極側に形成された送水路18により、電解水生成装置7に接続された電解水タンク8へと送られる。なお、電気分解処理により、陽極側で発生した溶存酸素水19は、電解槽本体15の陽極側に形成された排水路21により、外部へと排出される。
 電解水タンク8は、電解水生成装置7により生成した溶存水素水を貯蔵するためのものである。
 逆浸透膜処理装置9は、半透膜を境界にして、濃度の異なる溶液がある場合、低濃度の溶液から高濃度の溶液へ水が移動する現象(浸透)に対し、高濃度の溶液側に圧力を加えることにより、高濃度側の溶液から低濃度側の溶液へ水を移動させ、低濃度側に浸透した水を得る処理(逆浸透膜処理)を行うためのものである。
 そして、この逆浸透膜処理装置9により、上述の一連の処理で得られた原水から、微量金属類などの不純物をさらに除去することができるため、ISO13959(透析用水基準)に規定される水質基準を満たす水(逆浸透水)を得ることが可能になる。
 この逆浸透膜処理装置9は、図1に示すように、電解水生成装置7により生成した溶存水素水に対して、上述の逆浸透膜処理を行う逆浸透膜36と、逆浸透膜処理がなされた逆浸透水を貯蔵するための逆浸透水タンク37とを備えている。
 UFモジュール30は、逆浸透水25中に含まれる菌や微生物を除去する処理を施すためのものである。
 そして、図1に示すように、UFモジュール30には、透析液調製装置26が接続されており、UFモジュール30による処理が行われた逆浸透水25は、透析液調製用水として透析液調製装置26へと供給される。
 透析液調製装置26では、供給された逆浸透水25と透析原液とを混合した透析液27が調製されるとともに、この透析液27が、透析液調製装置26に接続された透析装置40へ供給され、患者50の血液の浄化が行われる。即ち、透析液調製装置26は、調製した透析液27を、透析装置40へ供給する透析液供給装置としても機能するものである。
 図3は、本発明の実施形態に係る透析装置を示す図である。図3に示すように、透析装置40は、動脈側血液回路44及び静脈側血液回路45からなる血液回路49と、動脈側血液回路44及び静脈側血液回路45に接続され、血液回路49を流れる血液を浄化する血液浄化装置であるダイアライザー43とを備えている。
 また、透析装置40は、透析液調製装置26及びダイアライザー43に接続され、透析液調製装置26において調製された透析液27をダイアライザー43に導入するための透析液導入路41と、ダイアライザー43に接続され、ダイアライザー43に導入された透析液27を血液中の老廃物とともに排出するための透析液排出路42とを備えている。
 更に、透析装置40は、動脈側血液回路44に設けられた血液循環用のポンプ46、及び気泡除去装置47と、静脈側血液回路45に設けられた気泡除去装置48とを備えている。
 なお、ダイアライザー43は、図3に示すコネクタ(カプラ)51~54を介して、透析液導入路41、透析液排出路42、動脈側血液回路44、及び静脈側血液回路45と接続されている。そして、ダイアライザー43は、これらのコネクタ51~54に対して着脱可能に装着される構成となっている。
 そして、本実施形態においては、動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針(いずれも不図示)を患者50に穿刺した状態で、ポンプ46を駆動させると、患者50の血液は、気泡除去装置47により除泡がなされるとともに、動脈側血液回路44を通ってダイアライザー43に送られ、このダイアライザー43によって、血液の浄化が行われる。なお、気泡除去装置47により除泡がなされないと、気泡が血液に入り、気泡による塞栓症のおそれがある。
 また、透析装置40は気泡検出器(不図示)を備えており、気泡検出器において気泡が通過すると、気泡アラ-ムを発生して動作を停止する(即ち、ポンプ46を停止するとともに、血液回路を外部から遮断し、体内に空気が入るのを防止する)。従って、この場合、透析装置40を確認して再起動する必要があるため、安定した透析を実施することが困難になるとともに、透析に長時間を要するという問題がある。
 次いで、ダイアライザー43によって浄化が行われた血液は、気泡除去装置48により除泡がなされるとともに、静脈側血液回路45を通って患者50の体内に戻る構成となっている。
 ダイアライザー43の内部には、所定の内径(例えば、200μm)を有する複数の中空糸が収容されており、この中空糸の内部が血液の流路になるとともに、中空糸の外周面とダイアライザー43の筐体部の内周面との間が、透析液27の流路となっている。
 また、中空糸には、その外周面と内周面とを貫通した微少な孔が多数形成されて、中空糸の壁が半透膜となっており、この半透膜を介して、血液中の不純物等が透析液27内に透過するよう構成されている。
 そして、今回、30~550ppbの溶存水素濃を有する透析液27を使用することにより、透析時に発生する活性酸素を消去して酸化ストレスを軽減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
 より具体的には、本発明の逆浸透水25を含有する透析液27を患者50に投与することにより、血中ミエロペルオキシザーゼならびに単球走化性促進因子(MCP-1)の低下が生じ、生体の酸化ストレス、及び炎症反応が軽減される。従って、酸化ストレスに起因する痒みや倦怠感、高血圧症等の合併症を抑制することが可能になる。
 即ち、本発明の透析液27は、30~550ppbの溶存水素濃度を有し、透析患者50における抗酸化作用を高めることができるため、酸化ストレスに起因する様々な合併症を抑制することが可能になる。
 なお、透析液27の溶存水素濃度は、30~550ppbが好ましく、30~230ppbがより好ましい。これは、溶存水素濃度が30ppb未満の場合、溶存水素濃度が低すぎるため、上述の倦怠感の抑制等の効果を十分に得られない場合があるためである。また、550ppb以下の場合は、透析液27における気泡の発生を効果的に抑制することができ、特に、230ppb以下の場合は、透析液27における気泡の発生を効果的に抑制して、安全かつ安定して透析を行うことができるためである。
 慢性維持血液透析患者は国内に30万人超存在するが、低い生活の質(QOL)、多くの併存疾患、それによる高い死亡率や心血管合併症の発症率が問題である。これらの原因は、各患者の特有の医学的背景が影響しているが、それに加えて、透析治療自体によって発生する生体障害、すなわち生体非適合性(透析液や透析機器と生体細胞との接触によって発生する酸化ストレスや微小炎症反応)が深く関与していることが明らかにされてきた。
 本発明においては、この透析中の生体障害性を緩和する点にある。我々は基礎的研究にて、分子状水素ガスが含有される電気分解水が抗酸化、抗炎症効果を有すること、本発明における溶存水素水を用いて作製した透析液は、細胞障害性が抑制されることを確認した。
 これを踏まえて開発したのが本透析液である。この透析液の臨床的な使用によって、血液透析患者のQOL向上と合併症抑制を達成することができ、患者の社会、家庭生活への復帰を支援することができる。
 即ち、本発明の透析液を使用することにより、透析関連疲労自覚症状の増悪抑制、皮膚掻痒感自覚症状の増悪抑制、血圧変動の緩和と降圧薬処方量の減量、死亡及び非致死的心血管合併症の発症リスクの抑制を行うことができる。また、これらに対して、本透析液は、副作用を伴うことなく臨床的に安全に効果を発揮する。
 以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
 (実施群:患者140例)
 <透析液の製造>
 上述の図1に示す透析液調製用水の製造装置を使用して、透析液調製用水を製造した。
 より具体的には、まず、原水(水道水)をプレフィルターでろ過した後、軟水化装置とカーボンフィルターを使用して処理し、この処理水を電解水生成装置に供給し、電解水素水(溶存水素水)を得た。
 なお、電解水生成装置として、電解水素水生成器((株)日本トリム社製、商品名:TRIMION HD-24D)を用いて、流速が12L/minの条件で、電流を12Aに設定して定電流電気分解を行うことにより、pHが9.69の電解水素水(溶存水素水)を得た。なお、pHの測定にはpHメータ(φ260、ベックマン社製)を用いた。
 次に、逆浸透膜処理装置として、逆浸透精製水製造システム(日本ウォーターシステム(株)製、商品名:MH500CX)を用いて、電気分解処理により生成した電解水素水に対して逆浸透膜処理を行い、逆浸透水(透析液調製用水)を得た。なお、逆浸透膜処理装置に対して、電解水素水を500mL/分の速度で供給した。
 次に、この逆浸透水(500ml)を、透析装置である単身用患者監視装置(日機装(株)製、商品名:DBB-22B)に供給し、保険収載されている透析原液を規定に従って特定の割合にて混合することにより、本実施例の透析液を得た。なお、透析原液としては、人工腎臓用透析原液(扶桑薬品(株)製、商品名:キンダリー透析剤AF4P号)を使用した。
 また、製造した透析液における各種電解質の濃度は、Naが140mEq/L、Kが2.0mEq/L、Ca2+が2.75mEq/L、Mg2+が1.0mEq/L、Clが112.25mEq/L、CHCOOが8mEq/L、HCO が27.5mEq/Lであり、ブドウ糖(C12)の濃度が125mq/dLであった。また、製造した透析液は、pHが7.2-7.4の範囲であり、浸透圧比が0.95-1.00の範囲であった。
 <痒みの評価>
 製造した透析液を使用して、12ヶ月間、血液透析を行い、試験開始時、試験開始6ヶ月後、及び試験開始12ヶ月後における患者の痒み(痒みの強度、及び痒みの頻度)の評価を行った。
 より具体的には、患者本人からの聞き取り調査を実施し、以下の基準に従って「痒みの強度」を評価した。
 強烈な痒み:高度
 適度な痒み:中度
 軽度の痒み:低度
 痒みがない:痒みなし
 また、「痒みの頻度」については、常に痒い、時々痒い、希に痒い、及び痒みなしの4つの基準に従って評価した。以上の結果を表1、図4~5に示す。
 <倦怠感の評価>
 製造した透析液を使用して、12ヶ月間、血液透析を行い、試験開始時、試験開始6ヶ月後、及び試験開始12ヶ月後における患者の倦怠感(倦怠感の強度)の評価を行った。より具体的には、患者本人からの聞き取り調査を実施し、以下の基準に従って「倦怠感の強度」を評価した。
 倦怠感が高度であるため、身体活動が障害を受け、休息が必要:高度
 倦怠感が中程度あり、身体活動が低下:中度
 倦怠感が軽度であり、身体活動は正常:低度
 倦怠感がなく、身体活動は正常:倦怠感なし
 以上の結果を表2、図8に示す。
 <抗高血圧剤(降圧薬)の投与量による評価>
 製造した透析液を使用して、12ヶ月間、血液透析を行い、試験開始時、試験開始6ヶ月後、及び試験開始12ヶ月後における、患者に対する降圧薬の投与量(1日の投与量)の変化について、評価を行った。
 より具体的には、患者に処方されている降圧薬を、世界保健機構によって規定された薬剤比較のための換算値である一日投与量(Defined Daily Dose:DDD)として求めた。以上の結果を表3に示す。
 なお、上記各評価において、使用した逆浸透水の溶存水素濃度、及び透析液の溶存水素濃度は、溶存水素計DH-35A(東亜ディーケーケー社製)を用いて測定した。透析液の溶存水素濃度を表1~3に示す。
 また、試験開始時に対する試験開始12ヶ月目の一日投与量(DDD)の変化量について、図10に示す。
 (比較群:患者数122例)
 電解水素水生成器を用いて電気分解処理を行わなかったこと以外は、実施群と同様にして、透析液を製造した。その後、実施群と同様にして、痒み、倦怠感、及び降圧薬処方量の評価を行った。以上の結果を表1~3、図6~7,9に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表1、図4~7に示すように、比較群の透析液を使用した場合は、試験開始後、時間の経過と共に、強い痒み、及び頻繁な痒みを訴求する患者の割合が増加しているのに対し、実施群の透析液を使用した場合は、試験開始から12ヶ月後においても、強い痒み、及び頻繁な痒みを訴求する患者の割合が増加しておらず、酸化ストレスに起因する痒みを抑制することができることが分かる。
 また、表2、図8~9に示すように、比較群の透析液を使用した場合は、試験開始後、時間の経過と共に、強い倦怠感を訴求する患者の割合が増加しているのに対し、実施群の透析液を使用した場合は、試験開始から12ヶ月後においても、強い倦怠感を訴求する患者の割合が増加しておらず、酸化ストレスに起因する痒みを抑制することができることが分かる。
 また、表3、図10に示すように、比較群の場合は、試験開始から12ヶ月後においても、降圧薬の投与量に変化がなく減量させることができなかったのに対し、実施群の場合は、時間の経過と共に、降圧薬の投与量が統計学的に有意に減少していることが分かる。また、実施群では特に問題となる副作用は認めなかった。
 (継続実施例:患者数5例)
 製造した透析液を使用して、12ヶ月以降も継続して血液透析を行い、その間の臨床経過を観察した。X月(開始後20カ月)以降の患者の倦怠感(倦怠感の強度)の評価と血圧管理状況、その間の透析液水素濃度との関係につき評価した。以上の結果(臨床症状(5例患者の平均))を表4に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表4に示すように、溶存水素濃度が30~550ppbの範囲にある透析液を使用した場合は、倦怠感自覚症状が無し、または軽度だったが、溶存水素濃度が30ppb未満である透析液の場合は倦怠感自覚症状が出現した。また、透析中の血圧変動は、溶存水素濃度が30~550ppbの範囲にある透析液を使用した場合は小から中程度だったが、溶存水素濃度が30ppb未満である透析液の場合、血圧変動は大きかった。
 (実施症例A:患者1例)
 患者1例において、より高濃度水素を含む透析液を用いて1週間で3回の血液透析を行い、各透析時における本患者の倦怠感(倦怠感の強度)、及び透析中の副作用有無の評価を行った。なお、倦怠感に評価は、上述の実施例1に記載の基準に従い行った。また、透析中の副作用は、透析中および透析後に新たに惹起された臨床的に問題となる自他覚症状や兆候の有無をもって評価した。より具体的には、透析中の異常な血圧変動、自覚症状を伴う低血圧、意識障害、皮膚発赤、発熱、疼痛、神経症状、精神症状、血液生化学検査での予想できない異常値の出現、及び透析治療効率の低下の有無である。以上の結果を表5に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表5に示すように、本水素濃度の透析液を使用した場合は、透析実施中に、特に倦怠感を自覚することは無かった。また、特に、副作用は認められなかった。以上より、安全かつ安定して透析を行うことができることが分かる。
 <総死亡・重篤な心血管病の予防効果>
 溶存水素濃度が30~80ppb含まれる透析液を使用して血液透析行った176例と、通常の透析液を使用して血液透析を行った132例を対象にした検討で、これらの患者群を5年間にわたり観察したところ、全体で90例においてイベント(死亡と非致死性の重篤な心血管病(心疾患、脳卒中、下肢虚血性動脈疾患による切断))が発生した。
 そして、各種交絡因子を補正したコックス比例ハザードモデルで検討したところ、本透析液を使用した患者群では、通常透析液を使用した患者群に比し、上記イベント発生に対しハザード比0.61(95%信頼区間:0.35~0.95)となり、統計学的に有意に低値であった。
 以上説明したように、本発明は、血液透析用の透析液に、特に、有用である。
 1  透析液の製造装置
 2  原水
 3  プレフィルター
 4  軟水化装置
 5  カーボンフィルター
 7  電解水生成装置(水素溶解装置)
 8  電解水タンク
 9  逆浸透膜処理装置
 10  透析液調製用水の製造装置
 14  固体高分子膜
 11  陽極
 12  陰極
 13  誘電体層
 15  電解槽本体
 16  導入路
 17  処理水
 18  送水路
 19  溶存酸素水
 20  電解槽
 21  排水路
 26  透析液調製装置
 27  透析液
 32  制御装置
 33  電解電流決定手段
 34  電解電流供給手段
 35  記憶手段
 36  逆浸透膜
 37  逆浸透水タンク
 40  透析装置
 41  透析液導入路
 43  ダイアライザー(血液浄化装置)
 44  動脈側血液回路
 45  静脈側血液回路
 50  患者

Claims (4)

  1.  溶存水素濃度が30~550ppbであることを特徴とする血液透析用の透析液。
  2.  溶存水素濃度が30~230ppbであることを特徴とする請求項1に記載の血液透析用の透析液。
  3.  溶存水素濃度が30~80ppbであることを特徴とする請求項1に記載の血液透析用の透析液。
  4.  痒み、倦怠感、及び高血圧症を抑制する活性を有することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の血液透析用の透析液。
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