JP2014161555A - バリアフリー乗下船設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】乗下船装置と昇降装置とをそれぞれ別体で移動可能に設け、かつ乗下船時のみ、乗下船装置と昇降装置とを連結一体化させるように構成したため、バリアフリー乗下船設備の移動時に作業者が押し曳きする単体物の重量が軽減される。その結果、バリアフリー乗下船設備の人力による移動が容易となるとともに、仮に昇降装置を乗下船装置から分離状態で昇降運転した際に懸念される昇降ケージの揺れおよび昇降装置の転倒などの不測の事態が解消され、車椅子乗下船時の昇降装置の安定性が図れる。
【選択図】図1
Description
しかしながら、バリアフリー乗下船設備は、昇降装置を乗下船装置に連結した分だけ、乗下船装置のみの場合より重量が嵩む。そのため、バリアフリー乗下船設備を移動させる作業員の労力が大きくなっていた。
そこでこれを解消するため、乗下船装置と昇降装置とを分離したバリアフリー乗下船設備とし、乗下船時に、乗下船装置と昇降装置とを別体のまま近接配置することが考えられる。しかしながら、このように昇降装置を乗下船装置と分離状態で使用すれば、車椅子乗下船時に、昇降ケージが揺れたり、最悪の場合、昇降装置が転倒するといった不測の事態が発生するおそれがある。
なお、船舶着岸後の乗下船時、健常者は、階段、プラットホーム、スロープを順次通って岸壁から船舶に乗り込むとともに、この通行順序を反対にして船舶から岸壁に下船する。もちろん、昇降装置を利用して健常者が乗下船してもよい。
バリアフリー乗下船設備が利用される船舶としては、例えばフェリーの他、各種の客船、各種の貨物船などを採用することができる。
第1架台および第2架台は、対応する第1台車および第2台車に搭載された移動式のものである。
第1台車および第2台車は、対応する架台が搭載されるベース板の裏面に複数のキャスタが配設された手押し式のものである。ただし、これらの台車は、必要によりモータを駆動源とした自走式台車としてもよい。
プラットホームは、スロープが設置された第1架台の上階まで健常者が昇り降りする階段と、車椅子の利用者が昇降する昇降装置が付設された踊り場としての機能を果たす。
ここでいう「岸壁の接地面とプラットホームとの間で昇降ケージを昇降させる」とは、昇降ケージの下面が岸壁の接地面に接地する最下位置とし、かつ昇降ケージの上面がプラットホームの上面と同一高さとなる最上位置として、ケージ昇降手段により昇降ケージを昇降させることをいう。
ケージ昇降手段としては、例えば、ウォームジャッキ方式の昇降装置、チェーン駆動式の昇降装置などを採用することができる。
位置決め連結手段は、位置決め嵌合構造体により昇降装置を乗下船装置の昇降装置連結領域に位置決めした後、位置決めされた昇降装置を連結構造体によって乗下船装置に連結するものである。車椅子のプラットホームへの乗降が可能であれば、乗下船装置における昇降装置連結領域の形成位置は任意である。昇降装置と乗下船装置とは着脱自在に連結されているが、両者を連結したまま移動および使用することも可能である。
連結構造体は、位置決めされた昇降装置と乗下船装置とを着脱可能に連結する部材である。例えば、連結構造体としてエビ金具(あおりファスナ)、ヒンジボルト、蝶ナットなどを採用することができる。
位置決め後、昇降装置を乗下船装置に連結する際(装置連結時)には、一対の上側エビ金具と一対の下側エビ金具とを利用し、第1架台のうちの第2架台との連結側と、第2架台のうちの第1架台との連結側とを連結する。エビ金具を位置決め連結手段に採用することで、昇降装置を乗下船装置に簡単かつ堅固に連結することができる。具体的には、各上側エビ金具と各下側エビ金具において、昇降装置および乗下船装置の一方に連結されたエビ金を、昇降装置および乗下船装置の他方に連結された受け金に堅固に掛止する。
ここでいう「先端に向かうほど徐々にその離間幅が長くなる形状」とは、例えば、ラッパ形状などを採用することができる。
一対の位置決め用内側嵌合部材は、先端に向かうほど徐々にその離間幅が短くなる形状であれば、その外観形状は任意である。
ここでいう「先端に向かうほど徐々にその離間幅が短くなる形状」とは、例えば、つぼみ形状、矢じり形状などを採用することができる。
受け金は、乗下船装置の昇降装置との連結側および昇降装置の乗下船装置との連結側のうちの他方に固定されたフック状の金具である。
一対の上側エビ金具は、一方のみを幅方向を垂直に向けたエビ金とエビ金の受け金とからなるエビ金具としてもよい。また、その両方を、幅方向を垂直に向けたエビ金とエビ金の受け金とからなるエビ金具としてもよい。ただし、乗下船装置と昇降装置との連結部分の上部に作用する上昇配置された昇降ケージからの荷重をしっかりと支持するためには、両方(後者)とした方が望ましい。
このように、乗下船装置と昇降装置とをそれぞれ別体で移動可能に設け、かつ乗下船時のみ、双方を連結一体化させるように構成したため、バリアフリー乗下船設備の移動時に作業者が押し曳きする単体物の重量が軽減される。その結果、バリアフリー乗下船設備の人力による移動が容易になるとともに、仮に昇降装置を乗下船装置から分離状態で昇降運転した際に懸念される昇降ケージの揺れおよび昇降装置の転倒などの不測の事態が解消され、車椅子乗下船時の昇降装置の安定性が図れる。
位置決め後の昇降装置と乗下船装置との連結時には、一対の上側エビ金具と一対の下側エビ金具とを利用し、乗下船装置の昇降装置との連結側と、乗下船装置の乗下船装置との連結側とを連結する。
まず、図1および図2を参照して、乗下船装置14を説明する。乗下船装置14の本体である第1架台17は、X1−X2方向に長い平面視して矩形状の第1台車18の長さ方向の中間部に立設されている。第1台車18は、矩形状のベース板19の四隅の下面に、ブラケット20を介して、4つのキャスタ21が配設されたものである。第1架台17は、平面視して略正方形に配置された4本の支柱22と、各支柱22の上端間に横架された屋根23a付きのプラットホーム23とを有している。プラットホーム23のX1−X2側の各面は開放され、そのうち、プラットホーム23のX2側の端部には、長さ方向がX1−X2方向で、かつ手摺24および屋根25が付いた短尺な階段26が設けられている。なお、第1架台17のY1側が、昇降装置15が連結される昇降装置連結領域Aとなる。
図3〜図6を参照して、昇降装置15の本体である第2架台34は、岸壁11からの車椅子の下降時乗降口側がY1側に配置された架台である。第2架台34は、開口側を車椅子の下降時乗降口側に向けた平面視してコの字形の第2台車35に立設されている。第2台車35は、平面視してコの字形のベース板36の四隅の下面に、連結ブラケット37を介して、4つのキャスタ38が配設されたものである。第2架台34は、X1−Y2側の端部とX2−Y2側の端部とに配置された一対の支柱39と、一対の支柱39の上端間に横架され、かつ平面視して開口側がY1側を向いたコの字状上部枠40とを有している。コの字状上部枠40の上縁の高さは、プラットホーム23の高さと一致している。
位置決め連結手段16は、昇降装置15を、乗下船装置14に形成された昇降装置連結領域Aに位置決めする位置決め嵌合構造体70と、位置決めされた昇降装置15を乗下船装置14に連結する連結構造体71とを備えている。
このうち、位置決め嵌合構造体70は、乗下船装置14の昇降装置15との連結側の面に、X1−X2方向に離間して配設され、かつ先端に向かうほど徐々にその離間幅が長くなる形状の一対の位置決め用外側嵌合部材72と、昇降装置15の乗下船装置14との連結側の面に、X1−X2方向に離間して配設され、かつ先端に向かうほど徐々にその離間幅が短くなり、かつ対応する位置決め用外側嵌合部材72に着脱自在に嵌合する形状の一対の位置決め用内側嵌合部材73とを有している。
フェリー12の岸壁11への着岸後、岸壁11のタラップ保管場で保管中の乗下船装置14と昇降装置15とを、対応する第1台車18および第2台車35を利用して、作業者がそれぞれ押し曳きしながら、岸壁11のフェリー12付近まで移動させる。その後、スロープ13の先端をフェリー12の乗降甲板に掛止することで、フェリー12と乗下船装置14との間にスロープ13が架け渡される。
次に、位置決め嵌合構造体70を利用して、昇降装置15を乗下船装置14の昇降装置連結領域Aに位置決めし、この位置決めされた昇降装置15を、連結構造体71を介して乗下船装置14に連結する。具体的には、一対の位置決め用外側嵌合部材72と一対の位置決め用内側嵌合部材73とを、位置決め用外側嵌合部材72の、先端に向かうほど徐々にその離間幅が長くなる先広がりとなる内傾斜面と、これに対応する位置決め用内側嵌合部材73の、先端に向かうほど徐々にその離間幅が短くなる先細りの外傾斜面とを位置決め用のガイド面として嵌合することにより、昇降装置15と乗下船装置14とが位置決めされる。
このとき、X1側の上側エビ金具77のエビ金74は、幅方向を垂直に向けている。そのため、例えば、乗下船装置14の昇降装置15との連結部分に対しての上方からの重量負荷が最大となる昇降ケージ41のプラットホーム到達時、その重量負荷は主に一対の上側エビ金具77が受けるものの、上述したようにX1側の上側エビ金具77が、幅方向を垂直に向けたエビ金74を有した構成とされているため、両方の上側エビ金具77を、そのエビ金74が幅方向を水平に向けているものとした場合に比べて、この重量負荷による上側エビ金具77の変形が小さくなる。
さらに、乗下船装置14と昇降装置15とをそれぞれ別体で移動可能に設け、かつ乗下船時のみ、双方を連結一体化させるように構成したため、乗下船設備10の移動時に作業者が押し曳きする単体物の重量が軽減される。その結果、乗下船設備10の人力による移動が容易となるとともに、仮に昇降装置15を乗下船装置14から分離状態で昇降運転した際に懸念される昇降ケージ41の揺れおよび昇降装置15の転倒などの不測の事態が解消され、車椅子乗下船時の昇降装置15の安定性が図れる。
このとき、例えば岸壁11のケージ接地部分に若干の傾斜や凹凸が存在し、底板51のY2側の部分が地面から浮いた状態であっても、上述したように昇降ケージ41にはウォームギヤの自己制動力が作用するため、水平状態を保った底板51の接地時点での高さ位置は維持される。すなわち、底板51は、その下降時乗降口側の辺部(端部)が少なくとも接地していれば、車椅子の昇降ケージ41への乗降を安全に行うことができる。
ところが、一方の接地センサ111または両方の接地センサ111が、底板51の接地状態を検知しなかった場合には、底板51のY1側の端部の一部または全部の領域で、底板51と接地面とのあいだに隙間が存在する。このときには車椅子の底板51への安全な乗降が確保されない。そこで、この開閉制御装置では、制御盤のCPUからの指令に基づき、昇降装置15に設けた警報器から警報を発し、使用者に注意を促すことで、より安全性を高めるように構成している。
11 岸壁、
12 フェリー(船舶)、
13 スロープ、
14 乗下船装置、
15 昇降装置、
16 位置決め連結手段、
17 第1架台、
18 第1台車、
23 プラットホーム、
26 階段、
34 第2架台、
35 第2台車、
41 昇降ケージ、
42 ケージ昇降手段、
70 位置決め嵌合構造体、
71 連結構造体、
72 位置決め用外側嵌合部材、
73 位置決め用内側嵌合部材、
74 エビ金、
75 受け金、
76 下側エビ金具、
77 上側エビ金具、
A 昇降装置連結領域。
Claims (2)
- 岸壁に配置され、かつ一時的に船舶との間にスロープを架け渡す乗下船装置と、該乗下船装置に位置決め連結手段によって着脱自在に連結され、かつ車椅子の利用者を乗下船させる際に利用される昇降装置とを備えたバリアフリー乗下船設備であって、
前記乗下船装置は、
前記岸壁に配置され、かつ上部にプラットホームが配設された第1架台と、
前記プラットホームに上部が連結された階段と、
前記第1架台の下部に設けられた第1台車と、
前記プラットホームに片持ち状態で元部が支持され、かつ先部が前記船舶の乗降甲板に掛けられる前記スロープとを有し、
前記昇降装置は、
前記岸壁に配置され、かつ一側面に前記車椅子の下降時乗降口が形成されるとともに、開口側を該車椅子の下降時乗降口側に向けた平面視してコの字形の第2架台と、
該第2架台の下部に設けられ、かつ開口側を前記車椅子の下降時乗降口側に向けた平面視してコの字形の第2台車と、
前記第2架台の内側空間に昇降可能に配置され、かつ前記車椅子が搭乗する前記昇降ケージと、
前記第2架台に設けられ、かつ前記第2架台および前記第2台車の各内側空間を通って、前記昇降ケージを前記岸壁の地面と前記プラットホームとの間で昇降させるケージ昇降手段とを有し、
前記位置決め連結手段は、前記昇降装置を、前記乗下船装置に形成された昇降装置連結領域に位置決めする位置決め嵌合構造体と、位置決めされた前記昇降装置を前記乗下船装置に連結する連結構造体とを有したバリアフリー乗下船設備。 - 前記位置決め嵌合構造体は、
前記乗下船装置の昇降装置との連結側の面に、水平方向に離間して配設され、かつ先端に向かうほど徐々にその離間幅が長くなる形状の一対の位置決め用外側嵌合部材と、
前記昇降装置の乗下船装置との連結側の面に、水平方向に離間して配設され、かつ先端に向かうほど徐々にその離間幅が短くなり、かつ対応する前記位置決め用外側嵌合部材に着脱自在に嵌合する形状の一対の位置決め用内側嵌合部材とを有し、
前記連結構造体は、
前記乗下船装置の昇降装置との連結側の下部と、前記昇降装置の乗下船装置との連結側の下部との間に配設され、かつそれぞれが幅方向を水平に向けたエビ金と該エビ金の受け金とからなる一対の下側エビ金具と、
前記乗下船装置の昇降装置との連結側のうち、前記一対の下側エビ金具の設置位置より上方の部分と、前記昇降装置の乗下船装置との連結側のうち、前記一対の下側エビ金具の設置位置より上方の部分との間に配置され、かつ少なくとも一方が幅方向を垂直に向けたエビ金と該エビ金の受け金とからなる一対の上側エビ金具とを有した請求項1に記載のバリアフリー乗下船設備。
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