JP2014150778A - 酸性乳化液状調味料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酢酸0.2〜1.5%を含有する乳風味の酸性乳化液状調味料において、
甘性バターミルク(固形分換算)2〜20%を配合し、
甘性バターミルク(固形分換算)1部に対し、果糖、蔗糖、ぶどう糖から選ばれる少なくとも1種以上を合計で0.5〜15部配合し、
ネギ科及び/又はセリ科野菜を配合し、
キサンタンガムを配合し、
粘度が1〜50Pa・sである乳風味の酸性乳化液状調味料。
【選択図】 なし
Description
(1)酢酸0.2〜1.5%を含有する乳風味の酸性乳化液状調味料において、
甘性バターミルク(固形分換算)2〜20%を配合し、
甘性バターミルク(固形分換算)1部に対し、果糖、蔗糖、ぶどう糖から選ばれる少なくとも1種以上を合計で0.5〜15部配合し、
ネギ科及び/又はセリ科野菜を配合し、
キサンタンガムを配合し、
粘度が1〜50Pa・sである乳風味の酸性乳化液状調味料、
(2)(1)の酸性乳化液状調味料において、
乳酸発酵卵白を配合する酸性乳化液状調味料、
である。
本発明者らは様々な乳原料を検討した。その結果、本発明の課題であるミルク様の風味と生野菜のフレッシュな風味を両立するためには、独特のミルク様の風味を有する甘性バターミルク、甘性バターミルクに対し多量の果糖、蔗糖及びぶどう糖、ネギ科及び/又はセリ科野菜の特定の香味野菜、及びキサンタンガムを配合し、かつ特定の粘度に調整をすることで、はじめて得られる風味のバランスであることが分かった。
伝統的なバターミルクは、牛乳を濃縮して乳脂肪分10〜60%の生クリームを調製し、乳酸発酵を施し、更に、遠心分離等の物理的分画操作を施して得られる上清液を指す。また、バターミルクの分類では、一般的に、上述の伝統的なバターミルクを発酵バターミルクと呼び、乳酸発酵を施さないようになった甘性バターミルクと区別している。伝統的なバターミルクは、アセトアルデヒドやジアセチル等に代表される発酵乳風味を有し、甘性バターミルクは、短鎖脂肪酸や脂肪族アルデヒド、ラクトン類の組成バランスによる独特のミルク様の風味を有する。
乳原料として、ヨーグルト、チーズ、発酵バターミルク等の発酵乳を用いた場合、発酵乳風味を特徴としているため、ミルク様の風味の発揮を阻害してしまう。また、牛乳、生クリーム等の場合、ミルク様の風味を発揮するものの、配合量を減らしたとしてもミルク臭さが引き立ってしまい、生野菜のフレッシュな風味を同時に引き立てることができない。これに対し、甘性バターミルクを用いた場合では、ミルク様の風味と生野菜のフレッシュな風味を両立することができる。このメカニズムは定かではないが、乳脂肪分が濃縮された生クリームに、遠心分離等の物理的エネルギーをかける際に生じる脂肪族アルデヒドや短鎖脂肪酸等の新たな成分生成の影響と、成分同士の比率の影響があると推測できる。
本発明の酸性乳化液状調味料において、甘性バターミルクの配合量は、酸性乳化液状調味料全体に対し2〜20%を配合し、3〜15%配合するとよく、さらに4〜12%配合するとよい。甘性バターミルクの配合量が前記割合を外れると、後述する甘性バターミルクと果糖、蔗糖、ぶどう糖との比率調整、ネギ科又はセリ科野菜と組合せ、キサンタンガムを配合し、更に粘度調整を行ったとしても、風味のバランスが崩れ本発明の効果が得られない。また、甘性バターミルクの形態は、乳クリームからの分画操作時に得られる淡黄色の液体に加え、濃縮又は乾燥処理等が挙げられるが、経時劣化が少ないことから乾燥甘性バターミルクが好ましい。
本発明の酸性乳化液状調味料は、甘性バターミルク(固形分換算)1部に対し、果糖、蔗糖、ぶどう糖から選ばれる少なくとも1種以上を合計で0.5〜15部配合し、1〜15部配合するとよく、さらに1.5〜5部配合するとよい。また、果糖とぶどう糖を組合せて配合すると特によい。甘性バターミルクに対して、前記単糖もしくは二糖を大量に配合することで、メイラード反応にも似たほのかな熟成風味が得られ、酸性乳化液状調味料自体のミルク様の風味と、生野菜のフレッシュな風味とを同時に引き立てる効果の一助となっている。甘性バターミルクに対する果糖、蔗糖、ぶどう糖の合計配合比率が、前記範囲より少ないと、甘性バターミルクの配合量、ネギ科又はセリ科野菜との組合せ、キサンタンガムを用いた粘度調整の全て行ったとしても、ミルク様の風味を増し、かつ生野菜のフレッシュな風味を引き立てる本発明の効果が得られ難い。前記範囲より多いと、糖の甘味が強くなり過ぎ、ミルク様の風味を損ねてしまう。
本発明の酸性乳化液状調味料は、ネギ科及び/又はセリ科野菜を組合せて配合する。具体的には、例えば、チャイブ、タマネギ、ニラ等のネギ科野菜、ニンジンやセロリ等のセリ科野菜が挙げられ、特に甘性バターミルクとチャイブとの組合せた場合、本発明の効果をより発揮できる。
本発明に配合するネギ科及び/又はセリ科野菜の配合量(固形分換算)は、特に限定されないが、0.1〜3%配合するとよく、さらに0.2〜2%配合するとよい。ネギ科及び/又はセリ科野菜の配合量が前記範囲より少ないと、甘性バターミルク特有の風味が引き立ち過ぎる。前記範囲より多いと、ネギ科及び/又はセリ科野菜特有の風味が引き立ち過ぎ、ミルク様の風味を損ねるか、生野菜のフレッシュな風味を引き立てられない。また、本発明に配合するネギ科及び/又はセリ科野菜の形状は、特に限定されず、例えば、生、乾燥、香味油、エタノールを溶媒とする抽出物等が挙げられる。
本発明の酸性乳化液状調味料は、消費者がミルク様の風味を想起する際に受けるテクスチャーの影響に着目し、特定の増粘多糖類と粘度を見出したものである。具体的には、特有の粘稠性の物性を呈するキサンタンガムを配合し、かつ、酸性乳化液状調味料を味蕾又は咽頭でミルクの喫食を想起する粘度に調整することで、ミルク様の風味を引き立てる効果を発揮している。
本発明の酸性乳化液状調味料に用いるキサンタンガムの配合量は、0.02〜0.3%配合するとよく、さらに0.02〜0.2%配合するとよい。キサンタンガムの配合量が前記範囲より少ないと、ミルク様の風味を想起するテクスチャーとなり難い。前記範囲より多いと、キサンタンガム特有の粘稠性が強くなりすぎ、ミルク様の風味を想起するテクスチャーとなり難い。
本発明の酸性乳化液状調味料の粘度は、1〜50Pa・sとなるように調整する。1〜30Pa・sに調整するとよく、さらに2〜30Pa・sに調整するとよい。粘度が前記範囲より低いと、生野菜にかけて喫食した際に、ミルク様の風味を想起するテクスチャーとなり難い。粘度が前記範囲より高いと、酸性乳化液状調味料が舌残りし過ぎてしまい、生野菜のフレッシュな風味を損ねてしまう場合がある。なお、粘度の測定は、品温20℃の時、BH形粘度計を用い、ローター:No.4、回転数:10rpmの条件で測定し、2回転後の示度により算出する。
更に、本発明の酸性乳化液状調味料は、少量の乳酸発酵卵白を配合することで生野菜のフレッシュな風味を引き立てることができる。乳酸発酵卵白とは、液状の卵白に乳酸菌を添加して発酵させることにより得られるものである。このような乳酸発酵は、一般的に栄養源として乳酸菌資化性糖類を用いて必要に応じ酵母エキス等の発酵促進物質を添加し、乳酸菌を1mLあたり好ましくは10の3乗から8乗、さらに好ましくは10の5乗から7乗供し発酵されており、本発明も同様な方法で得られたものを用いるとよい。乳酸菌としては、一般的にヨーグルトやチーズの製造に利用される、例えば、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、エンテロコッカス属、ビフィドバクテリウム属等が挙げられる。
本発明の酸性乳化液状調味料に用いる乳酸発酵卵白の配合量は、特に限定されないが、固形分換算で0.2〜5%配合するとよく、さらに0.2〜3%配合するとよい。乳酸発酵卵白の配合量が前記範囲より少ないと、甘性バターミルクとの相乗効果によりミルク様の風味を高めることができない。乳酸発酵卵白の配合量が前記範囲より多いと、前述([段落番号14])の発酵乳を用いた場合と同様に、発酵風味がミルク様の風味の発揮を阻害してしまう場合がある。
本発明の酸性乳化液状調味料は、甘性バターミルクと発酵バターミルクとを併用してもよい。ただし、甘性バターミルクの影響が発酵バターミルクに打ち勝つように、発酵バターミルクを相対的に少量配合するとよい。具体的には、甘性バターミルク(固形分換算)1部に対し、発酵バターミルク(固形分換算)を0.01〜1部配合するとよく、さらに0.01〜0.3部配合するとよい。
本発明の酸性乳化液状調味料は、0.2〜1.5%の酢酸を配合し、酢酸特有の刺激的な酸味を有しているにも拘らず、ミルク様の風味と、生野菜のフレッシュな風味とを両立できるものである。本発明の酸性乳化液状調味料は、酢酸を多く配合しpHを低く設定したとしてもなお効果的であることから、pH3〜5に調整するとよく、さらにpH3〜4.5に調整するとよい。
本発明の酸性乳化液状調味料は、上述した原料の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、調味料に一般的に使用されている原料を適宜配合することができる。このような原料としては、例えば、タマリンドシードガム、グアーガム、アラビアガム、サイリュードシードガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、ペクチン等の増粘多糖類、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉、湿熱処理澱粉、加工澱粉等の澱粉、卵黄、ホスフォリパーゼA処理卵黄、レシチン、リゾレシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化材、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油等の油脂、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、香料等が挙げられる。
酢酸0.5%、乾燥甘性バターミルク5%、蔗糖10%、キサンタンガム0.2%、食用油脂40%、ネギ科野菜(チャイブ)1%、卵黄1%、グルタミン酸ナトリウム0.1%、食塩2%、清水40.2%を撹拌混合し、本発明の乳風味の酸性乳化液状調味料を調製した。
乾燥甘性バターミルク5%について、乳原料の種類又は配合量を置換えた以外は、実施例1に準じて、No.1〜7の酸性乳化液状調味料を調製した。変更内容を表1に示す。
蔗糖10%について、乳原料の種類又は配合量を置換えた以外は、実施例1に準じて、No.8〜15の酸性乳化液状調味料を調製した。変更内容を表2に示す。
[評価基準]
A:ミルク様の風味を特徴としているにも拘らず、生野菜のフレッシュな風味を引き立てており、非常に優れている。
B:ミルク様の風味を特徴としているにも拘らず、生野菜のフレッシュな風味を引き立てており、やや優れている。
C:ミルク様の風味と生野菜のフレッシュな風味を兼ね備えておらず、品位を損ねている。
キサンタンガムを小麦澱粉に置換えた以外は、実施例1に準じて酸性乳化液状調味料を調製した。なお、得られた酸性乳化液状調味料の粘度は2Pa・sであった。
キサンタンガムをグアーガムに置換えた以外は、実施例1に準じて酸性乳化液状調味料を調製した。なお、得られた酸性乳化液状調味料の粘度は2Pa・sであった。
キサンタンガム0.2%をキサンタンガム0.01%及び清水0.19%に置換えた以外は、実施例1に準じて酸性乳化液状調味料を調製した。得られる酸性乳化液状調味料の粘度を下げ、0.4Pa・sに調整した。
ネギ科野菜(チャイブ)をネギ科野菜(ニラ)に変更した以外は、実施例1に準じて本発明の酸性乳化液状調味料を調製した。
ネギ科野菜(チャイブ)をセリ科野菜(セロリ)に変更した以外は、実施例1に準じて本発明の酸性乳化液状調味料を調製した。
ネギ科野菜(チャイブ)をセリ科野菜(ニンジン)に変更した以外は、実施例1に準じて本発明の酸性乳化液状調味料を調製した。
ネギ科野菜(チャイブ)を配合しなかった以外は、実施例1に準じて酸性乳化液状調味料を調製した。
乾燥甘性バターミルク5%を、乾燥甘性バターミルク2%及び甘性バターミルク30%(固形分換算で3%配合)に置換えた以外は、実施例1に準じて本発明の酸性乳化液状調味料を調製した。ミルク様の風味を特徴としているにも拘らず、生野菜のフレッシュな風味を引き立てていた。実施例1及び5を比較した場合、実施例1の酸性乳化液状調味料の方が相対的に本発明の効果に優れていた。
[乳酸発酵卵白の調製]
液卵白50%、グラニュ糖4%、酵母エキス0.05%、50%乳酸0.15%及び清水45.8%からなる卵白水溶液を攪拌、調製した。得られた卵白水溶液を70〜90℃で5分間加熱した後、乳酸菌スターター0.02%(ラクトコッカス ラクティス)を添加し、30℃で24時間発酵を行った後、70〜90℃で10分間加熱殺菌し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて10MPaの圧力で処理し、乳酸発酵卵白(固形分換算10%)を調製した。
Claims (2)
- 酢酸0.2〜1.5%を含有する乳風味の酸性乳化液状調味料において、
甘性バターミルク(固形分換算)2〜20%を配合し、
甘性バターミルク(固形分換算)1部に対し、果糖、蔗糖、ぶどう糖から選ばれる少なくとも1種以上を合計で0.5〜15部配合し、
ネギ科及び/又はセリ科野菜を配合し、
キサンタンガムを配合し、
粘度が1〜50Pa・sである乳風味の酸性乳化液状調味料。 - 請求項1記載の酸性乳化液状調味料において、
乳酸発酵卵白を配合する酸性乳化液状調味料。
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