JP2014148876A - 管柱補強構造 - Google Patents

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佳和 岡本
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Abstract

【課題】既設基礎コンクリートDに立設の既設管柱Hの損傷基部を強固かつ円滑に補強する。
【解決手段】既設管柱H基部周りの既設基礎コンクリートを斫って穿孔Bを形成する。その穿孔内において、既設管柱基部外周面に2つ割りの補強カバー10を嵌め、その補強カバーの下部外周面に2つ割りの円環状バンド20を嵌める。そのバンドの長孔24にボルト25を挿通してその先端を既設管柱外周面に当接させて固定し、補強カバー内周面と既設管柱外周面との間に間隙を形成し、その間隙に補強カバーの全長に亘ってモルタルaを充填する。支持ブロック30にアンカーボルト33を挿通して既設基礎コンクリートに差し込み固定する。穿孔内には補強カバーの下部、バンド20、支持ブロック30及びアンカーボルト33が埋設された状態で、コンクリートbを打設する。
【選択図】図1

Description

この発明は、街路灯、交通標識又は看板等を支持してコンクリート基礎に立てられた(立設された)管柱の補強構造に関するものである。
この種の管柱は、通常、道路脇のコンクリート基礎にその下部が埋設された状態で立てられている(特許文献1、図7参照)。
このような管柱は、通常、円筒状鋼管製であり、長期間経過すると、雨水が溜まりやすい地表面近くの基部の塗装が剥離し、その剥離個所が雨水によって腐食して弱くなる。このように基部が弱くなった管柱は、強風や人が触れただけで折れ曲がる恐れがあり、非常に危険である。近年、このような基部が腐食した管柱が多くなっている。
このため、既設管柱の損傷した基部外周面に円筒状補強カバーを嵌めて補強することが行なわれている(特許文献1、要約、図1〜図4、特許文献2、要約、図1参照)。
特開2006−77502号公報 特開2010−31549号公報
上記従来の補強構造はそれなりに効果を発揮しているが、施工面や強度面等において問題が残っている。例えば、特許文献1記載の技術は、管柱の外周面に半割補強管を嵌めてボルト締めしているが、そのボルト締めしても半割補強管が円筒状になるだけで、その内周面が管柱の外周面と一致(同者の径が一致)するわけではないため、管柱の外周面と補強管の内周面の間に空隙が生じ、この空隙から、雨水が入り込む恐れがある。
特許文献2記載の技術は、補強管の下端にフランジ(鍔)を設けたものであり、そのフランジが新しく打設される基礎コンクリート内に埋設されるため、フランジがアンカー効果を発揮して強度の高いものとなっている。
しかし、通常、フランジは水平方向扁平状のため、基礎コンクリート内に埋設する際(特許文献2、図1、本願、図1参照)、そのフランジの下面にコンクリートが周り込みにくく、その下面に空洞が生じやすい。その空洞には水が浸みだして腐食の原因になるとともに、アンカー効果の低下を招く。
これに対し、特許文献1の図4に示されるように、アンカーボルトによるものはその空洞が生じる恐れは極めて少ない。
また、アンカー効果を発揮するフランジやアンカーボルト等は、基礎コンクリート内の所定の深さに位置させる必要がある。一方、補強管は設計上の補強効果を得るために管柱下部の所定位置に固定される必要がある。
特許文献1、2記載の技術には、その補強管を基礎コンクリート内の所定の深さに位置させる工夫1や管柱下部の所定位置に固定する工夫2は示されていない(開示されていない)。例えば、特許文献1の技術においては、補強管とベースや掛け渡しバンドが実質的に一体となっているため、工夫1を満足させれば、工夫2が満足させ得ない。特許文献2の技術は、補強管にフランジが溶接されているため、同様である。
この発明は、以上の実情の下、上記工夫1、2を同時に叶えることを課題とする。
上記課題を達成するために、この発明は、まず、既設管柱の損傷した基部外周面に嵌められる上記補強管である筒状補強カバーと、その補強カバーの下部外周面に嵌められる環状バンドと、そのバンドの周囲から突出した前記筒状軸方向の透孔が形成された支持ブロックとからなる構成の補強装置を採用したのである。
補強カバーとバンドが別ものであれば、前者に対し後者をその軸方向に移動させることができるため、補強カバーを基礎コンクリート内の所定の深さに位置させる状態において、バンドを補強カバーに対してその軸方向の任意の位置に移動固定することができる。
つぎに、この発明は、従来と同様に、補強カバー及びバンドは、少なくとも対のカバー片又はバンド片としたのである。このように、分割されていると、管柱外面に沿わせて嵌めることができる。
また、バンドは、筒状軸方向に長い長孔を形成し、その長孔を介して補強カバーにボルト締めするようにしたのである。この長孔内にボルトを移動させることによって補強カバーに対しその軸方向にベルトを移動固定することができるため、補強カバーを基礎コンクリート内の所定の深さに位置させた状態において、バンドを管柱下部の所定位置に固定させることができる。すなわち、上記工夫1、2を満足させることができる。
なお、補強カバー、バンドの横断面形状は既設管柱の横断面形状に合わせることが好ましい。例えば、既設管柱が円筒柱であれば、断面円状、同角筒柱であれば、断面角形とする。
このような構成の補強カバー、バンド及び支持ブロックによる既設管柱の補強装置は、まず、既設管柱の損傷した基部周りの既設基礎コンクリートを斫って穿孔(ピット)を形成する。つぎに、その穿孔内において、その補強カバーの下部外周面に上記バンド片を当てがい一体化して環状バンドを嵌め込み、上記長孔にバンドに固定のボルトを挿通してその先端を既設管柱の外周面に当接させて補強カバー内周面と前記既設管柱の外周面との間に間隙を形成するとともに両者を一体化し、その間隙に保強カバーの全長に亘ってモルタルを充填する。この充填によって、その間隙への雨水の侵入は阻止される。
つぎに、又はこのモルタルの充填に先駆けて、上記支持ブロックの透孔にアンカーボルトを挿通して既設基礎コンクリートに差し込み固定し、前記穿孔内に、前記補強カバーの下部、バンド、支持ブロック及びアンカーボルトが埋設された状態で、コンクリートを打設する。
支持ブロックは、アンカーボルトを挿通させて支持するものであれば良いため、極力小さくすることができ、コンクリートを打設した際、上記フランジのように、その下面に空洞が生じにくい。アンカーボルトは十分なアンカー効果を発揮する。
この管柱補強構造の構成において、補強カバー片の一体化手段としては、特許文献1、2に記載のボルト(ねじ)締め等の手段が採用し得るが、例えば、各カバー片内面の両各側縁にそれぞれコッター受けを設け、前記各カバー片を筒状補強カバーとした際、そのカバー片の対向する両コッター受けにコッターを嵌めて前記対向するカバー片を一体化する構成を採用することができる。
このコッターによる一体化は、コッターの嵌め込みのみによって行い得るため、その作業性が良い上に、補強カバーの外周面に突起物が生じない利点がある。
また、上記支持ブロックをバンド片外周面に固定の支持片に固定し、その支持片でもって前記支持ブロックをバンドから離すようにすれば、補強カバー(管柱)の軸心からアンカーボルトが離れる(遠くなる)ため、アンカーボルトの支持モーメントも大きくなってアンカー効果が向上する。この支持片もアンカーボルトに加わる力に対する抗力を有するものであれば良いため、極力小さくすることができる。このため、コンクリートを打設した際、上記フランジのように、その下面に空洞が生じにくい。支持片は、好ましくは幅方向が管柱の軸方向となる板片とすることが好ましい。
この発明は、以上のように構成したので、管柱を強固に補強するとともに、その劣化も招きにくいものとなる。
一実施形態の管柱補強構造の要部断面図 図1のI−I線断面図 図1のII−II線断面図 図1のさらに要部切断断面図 図1の一部切断平面図 図1のコッター部を示し、(a)は要部断面図、(b)は要部正面図、(c)はコッター受けの斜視図 同実施形態の補強カバー等の分解斜視図 同実施形態の作業説明図 同作業説明図 他のコッター構造を示し、(a)は平面図、(b)は部分正面図、(c)はコッターの平面図、(d)は同コッターの断面図、(e)は(a)において補強カバー片を合わせた平面図、(f)はコッターを補強カバー(コッター受け)に嵌めた平面図、(g)は(f)の一部切断正面図
この一実施形態は、鋼管製の交通標識用既設管柱Hの基礎が雨水等によって腐食損傷した場合、その補強をするものであり、図1〜図7に示すように、既設基礎コンクリートDに立てられた円筒状既設管柱Hの損傷した基部外周面に嵌められる円筒状補強カバー10と、その補強カバー10の下部外周面に嵌められる円環状バンド20と、そのバンド20の周囲から突出した前記円筒状の軸方向の透孔32が形成された支持ブロック30とからなる。それら10、20、30は何れも、錆難いステンレス製とすることが好ましいが、使用し得る限りにおいてその材質は任意である。
上記補強カバー10は、図7に示すように対の断面円弧状カバー片11、11とからなる。その両カバー片11の内面の両各側縁にそれぞれコッター受け(バー)12がその縁に沿って設けられ、その内側にガイド片13が設けられている。コッター受け12は断面L字状をして、カバー片11を図3に示すように円筒状補強カバー10とした際、図5に示すように、その対向するコッター受け12、12が背中合わせになってT字状を呈する。このT字状コッター受け12、12にコッター14を嵌め込む。コッター14は断面コ字状をして、そのコ字状先端にさらに内側に向く爪15を有する。この爪15によってコッター受け12を抱き込んで引き合わせ、両カバー片11、11を円筒状にして補強カバー10を形成する。
コッター受け12の上記コッター爪15と圧接する面12aは下方に向かって徐々に盛り上がるテーパ面となっている(図6(a)参照)。この実施形態では、3種類のコッター14が用意され、その各コッター14、14、14は、その基片と爪15の間隔(図5、図7のt参照)が3段階の幅となっている。このため、図1、図6に示すように、3個のコッター14は、コッター受け12の長さ方向(上下方向)の上下及びその中程に係止し、3点でもってカバー片11を円筒状に強固に一体化する。
このコッター14は、上からの嵌め込みであり、かつガイド片13によってコッター受け12に案内されるため、その作業が円滑である。なお、コッター14の数及びその種類は、一体化が担保される限りにおいて任意である。
補強カバー10の上端には2つ割りの蓋16が嵌められ、ビスをその孔16aに通して補強カバー片11の上端ブラケット11aのねじ孔にねじ込むことによって蓋16が補強カバー10の上端に固定される。このとき、蓋16周囲の鍔の内周面16bは下方に向かって徐々に外側に傾斜するテーパ面となっており、蓋16の嵌め込みねじ固定によって補強カバー片11がその中心に向かい締め付けられて強固に一体となった円筒状となる。
円環状バンド20は、2つ割りの円弧状バンド片21、21とそのバンド片21の両端の締結片22とからなる。バンド20の分割数は任意である。各バンド片21は締結片22をボルト23により締結することによって一体とされて円環状のバンド20が形成される。
バンド片21には上下方向(円筒状軸方向)に長い長孔24が周囲等間隔に形成され、この各長孔24にナット25aをねじ込んだボルト25を挿通し、その挿通した部分(先部)にナット25bをねじ込み、両ナット25a、25bのねじ込み量の調整によって、図2、図3に示すように、バンド片21(バンド20)内面からのボルト25の突出量がダブルナットによって決定されて固定される。このため、各ボルト25のバンド20内面からの突出量を適宜に調整してダブルナット25a、25bによる固定をすることによって、バンド20と補強カバー10がほぼ同心の円環状となって一体化し得る。
支持ブロック30は、バンド片21の円弧外面中央から外側に突出固定された上下幅方向の支持片31と、バンド片21の一方の締結片22にそれぞれ固定されている。このため、締結片22は前記支持片31を兼用する。各支持ブロック30の上下方向(上記円筒状軸方向)の透孔32にアンカーボルト33が挿通されてダブルナット34によって支持ブロック30に固定(ロック)される。透孔32は長孔としたり、アンカーボルト33が余裕をもって挿通するバカ孔としたりすることができる。但し、その長孔やバカ孔はナット34又はボルト頭部が抜けない大きさとする。
このように、支持片31でもって支持ブロック30をバンド20から離すようにすれば、補強カバー10(管柱H)の軸心からアンカーボルト33が離れる(遠くなる)ため、アンカーボルト33の支持モーメントも大きくなって、アンカー効果が向上する。このとき、支持片31もアンカーボルト33に加わる力に対する抗力を有するものであれば良いため、極力小さくすることができる。その十分な抗力を担保できる限りに於いて、支持片31の突出量、アンカーボルト33の長さは適宜に設定する。
この実施形態の補強装置は以上の構成であり、この装置によって、既設基礎コンクリートDに立てられた円筒状既設管柱Hの損傷した基部を補強するには、まず、図8(a)に示すように、その既設管柱H基部周りの既設基礎コンクリートDを斫って穿孔(ピット)Bを形成する。
その穿孔B内において、同図(b)に示すように、アンカーボルト33を基礎コンクリートDに差込み固定する。そのアンカーボルト33は、ケミカルアンカー(日本デコラックス社:商品名)等の手段を採用する。
つぎに、同図(c)に示すように、そのアンカーボルト33に透孔32を介して円環状バンド20を嵌め込むとともに、既設管柱Hの基部外周面に補強カバー片11、11を当てがい、コッター14でもって一体化して円筒状補強カバー10をその基部外周面に嵌め込み固定する(図9(a))。このバンド20の嵌め込みと補強カバー10の嵌め込みはどちらが先でもよい。また、アンカーボルト33もバンド20を嵌めた後から既設基礎コンクリートDに差し込み固定しても良い。
この補強カバー10とバンド20の既設管柱Hへの嵌め込みが終われば、図2、図3、図9(b)に示すように、そのバンド20に挿通したボルト25の先端を既設管柱Hの外周面に当接させて補強カバー10内周面と既設管柱Hの外周面との全周に亘って等間隙を形成するとともに両者10、20を一体化する。その間隙には補強カバー10内面全長に亘ってモルタルaを充填する。
そのモルタルaの充填に先駆け、又は充填後、穿孔B内に補強カバー10の下部、バンド20、取付片30及びアンカーボルト33が埋設された状態で、コンクリートbを打設する。
コッターによる補強カバー10の一体化構造としては、種々の周知の手段が考えられるが、例えば、図10(c)、(d)に示す円弧状コッター14’と、同図(a)、(b)に示すコッター受け12’とによって構成し、同図(e)に示すように、補強カバー片11、11を円弧状に重ねた後、同図(f)、(g)に示すように、そのコッター受け12’にコッター14’を嵌めてその補強カバー片11、11を一体化して円筒状補強カバー10を形成する。
10 補強カバー
11 補強カバー片
12、12’ コッター受け
13 ガイド片
14、14’ コッター
20 円環状バンド
21 円弧状バンド片
22 締結片
23 バンド片締結用ボルト
24 長孔
25 ボルト
30 支持ブロック
31 支持片
32 支持ブロックの透孔
33 アンカーボルト
a モルタル
b 打設コンクリート
B 穿孔(ピット)
D 既設基礎コンクリート

Claims (4)

  1. 既設基礎コンクリート(D)に立てられた既設管柱(H)の損傷した基部外周面に嵌められる筒状補強カバー(10)と、その補強カバー(10)の下部外周面に嵌められる環状バンド(20)と、そのバンド(20)の周囲から突出した前記筒状軸方向の透孔(32)が形成された支持ブロック(30)とからなり、
    上記補強カバー(10)は、少なくとも対のカバー片(11、11)とからなって、その各カバー片(11)は相互に一体可能となっており、
    上記環状バンド(20)は、少なくとも対のバンド片(21、21)とからなって、その各バンド片(21)は相互に一体可能となっているとともに上記筒状軸方向に長い長孔(24)が形成されており、
    上記既設管柱(H)の損傷した基部周りの上記既設基礎コンクリート(D)を斫って穿孔(B)が形成され、その穿孔(B)内において、前記既設管柱(H)の損傷した基部外周面に上記カバー片(11)を当てがい一体化されて上記補強カバー(10)が嵌め込まれているとともに、
    その補強カバー(10)の下部外周面に上記バンド片(21)を当てがい一体化されて上記環状バンド(20)が嵌め込まれ、上記長孔(24)にバンド(20)に固定のボルト(25)を挿通してその先端を上記既設管柱(H)の外周面に当接させて前記補強カバー(10)内周面と前記既設管柱(H)の外周面との間に間隙が形成されているとともに両者(10、20)が一体化され、前記間隙に補強カバー(10)の全長に亘ってモルタル(a)が充填されており、
    上記支持ブロック(30)には上記透孔(32)にアンカーボルト(33)が挿通されて上記既設基礎コンクリート(D)に差し込み固定され、前記穿孔(B)内には、前記補強カバー(10)の下部、バンド(20)、支持ブロック(30)及びアンカーボルト(33)が埋設された状態で、コンクリート(b)が打設されていることを特徴とする管柱補強構造。
  2. 上記各カバー片(11)内面の両各側縁にそれぞれコッター受け(12)を設け、前記
    各カバー片(11)を筒状に合わせて補強カバー(10)とし、そのカバー片(11)の対向する両コッター受け(12)にコッター(14)を嵌めて前記対向するカバー片(11)が一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の管柱補強構造。
  3. 上記支持ブロック(30)をバンド片(21)外周面に固定の支持片(31)に固定し、その支持片(31)でもって前記支持ブロック(30)をバンド(20)から離すようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の管柱補強構造。
  4. 請求項1に記載の管柱補強構造をなすための装置であって、上記補強カバー(10)と、同環状バンド(20)及び同支持ブロック(30)とからなる管柱補強装置。
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