JP2014144932A - ベンゾトリアゾール誘導体化合物及びそれらの重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶液中及び固体状態において優れた吸収及び発光特性を示し、有機電界発光素子の発光材料として湿式塗布が可能である、450nm付近を発光波長とする青色有機蛍光色素材料になりうる新規化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式で示されるベンゾトリアゾール誘導体化合物、または該化合物の(単独もしくは共)重合体とする。式中R及びRはどちらか一方が、アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル系の官能基である。
Figure 2014144932

【選択図】なし

Description

本発明は、新規なベンゾトリアゾール誘導体化合物、それらの単独重合体及び共重合体に関し、さらに、これらの重合体を含有する有機蛍光色素、及びそれを用いた蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子発光材料に関する。さらに詳しくは、450nm付近を発光波長として優れた発光特性を示す青色有機蛍光色素、及びそれを用いた蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子発光材料に関する。
有機蛍光色素は照射された光のエネルギーを吸収して発光する色素であり、また高効率でエネルギーの変換ができることから、色素単体、有機溶媒中、樹脂中、又は薄膜状態で幅広い分野で使用されている。
紙幣や重要な証明書には、紫外線感度の高い有機蛍光色素のインクでマークが記されていることが多く、紫外線を照射したときのみそのマークが光を発して浮き上がって見えるため、偽造防止に役立っている。また、道路柵、道路標識、建築物の内外装など、視認性を高める目的で塗料に有機蛍光色素が使われている。また、白地の衣類に青色蛍光色素で染色等を行うと、青の補色である黄ばみを目立たなくすることができるため、蛍光増白剤として有機蛍光色素が衣類の染色又は洗剤に使用されている。また、分子生物学の研究分野において、蛍光による標的分子や細胞の可視化は必要不可欠な技術であり、種々の細胞や分子の動態を追跡するマーカーとして有機蛍光色素が使用されている。
太陽電池の表面に有機蛍光色素を添加した膜を貼り、紫外線を長波長の可視光に変換することで効率よくエネルギーに変換することができる。また、ビニールハウスのビニールに有機蛍光色素を添加することで、特定の波長を多く植物に当てることができ、植物の生育を促進できる。
有機電界発光素子の基本構造は、発光層をホール輸送層と電子輸送層で挟み込む構造になっている。これに電界をかけて、ホールと電子を注入し、発光層で電荷を再結合させて電気エネルギーを発生させ、発光層が発光する。この発光層に使われる発光材料として有機蛍光色素が使用されている。
上記の各用途では、使用される有機蛍光色素が、紫外線又は可視光を十分吸収し、強い光を発することが求められており、さらに発した光を自己吸収しないように、吸収する光と発する光の波長が十分広いことが求められている。すなわち、物質が光を吸収する程度を示す指標であるモル吸光係数が高く、吸収された光子数に対する放出された光子数の比で表される蛍光量子効率が高く、励起スペクトルと蛍光スペクトルのピーク波長間の差であるストークスシフトが大きい有機蛍光色素が求められており、モル吸光係数、蛍光量子効率及びストークスシフトが大きいほど優れた有機蛍光色素となる。
有機蛍光色素は有機溶媒中だけでなく、樹脂中や薄膜状態で使用されることが多く、固体発光性が優れていることが求められている。
樹脂中で使用される場合は、有機蛍光色素自体の揮散やブリードが起こらないような、樹脂との相溶性が良い高分子有機蛍光色素が求められている。
有機蛍光色素が有機電界発光素子の発光材料として使用される場合、それが低分子材料の場合は通常、真空蒸着法により成膜されるが、真空蒸着法は工程が複雑で、素子の大面積化が困難であり、コストが高いという問題がある。一方、発光材料が高分子材料の場合は、湿式塗布法により成膜され、工程の簡略化や素子の大面積化が可能であり、低コストであることから、有機電界発光素子の発光材料として高分子有機蛍光色素が求められている。
これまで使用されてきた有機蛍光色素は、モル吸光係数、蛍光量子効率及びストークスシフトのいずれかが大きいものは存在するが、すべてが十分大きいものは少なく、450nm付近で発光する青色有機蛍光色素では特に少ない。そこで発光特性に優れた青色有機蛍光色素として、例えば特許文献1〜3に記載されているように、ポリイミド誘導体、ナフタル酸イミド誘導体、ポリフェニレン誘導体等が提案されている。しかし、これらの化合物のモル吸光係数、蛍光量子効率及びストークスシフトはすべてが十分大きいと言えず、上記の各用途で十分に満足できる発光を得ることができていない。
樹脂中で発光特性が優れている有機蛍光色素として、例えば非特許文献1に記載されているように、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体等が提案されている。しかし、これらの化合物、特に青色有機蛍光色素ではその発光特性は十分高いとは言えない。また、湿式塗布が可能となる青色有機電界発光素子の発光材料として、特許文献4に記載されているように、ポリビニルカルバゾール誘導体が提案されている。これらの化合物は湿式塗布により成膜することが可能であるが、これらを用いた有機電界発光素子の電界発光特性は十分とは言えない。
特開2010−043048号公報 特開2002−212458号公報 特開2002−322100号公報 特開2005−154404号公報
ファインケミカル2011年2月号 vol.40 No.2 p52
このような状況下、本発明における課題は、溶液中及び固体状態において優れた吸収及び発光特性を示し、有機電界発光素子の発光材料として湿式塗布が可能である、450nm付近を発光波長とする青色有機蛍光色素を提供することにある。
本発明では、有機蛍光色素、蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子発光材料に用いることのできる新規化合物が、下記一般式(5)で示されるベンゾトリアゾール誘導体化合物、或いは該化合物の重合体であることを最も主要な特徴とする。
Figure 2014144932
一般式(5)
[式中R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルカルボキシエステル基、アリール基、アシル基、スルホ基又はシアノ基を表すが、少なくともいずれかは炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。式中R及びRは、どちらか一方が下記[化6]である。
Figure 2014144932

(式中Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。)他方がRの場合は、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、他方がRの場合は、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
上記一般式(5)で示されるベンゾトリアゾール誘導体化合物は、好ましくはR及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメトキシ基を表すが、少なくともいずれかはメトキシ基であり、Rがエチレン基であり、Rがメチル基であり、Rが他方の場合は、Rはメチル基である化合物である。
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物及びその重合体は、450nm付近で発光を示し、モル吸光係数が約25000であり、蛍光量子効率が溶液中で60%以上、樹脂中で90%以上であり、ストークスシフトが80〜120nmである。さらに共重合体とすることにより、高分子としての極性を調整することが可能であり、他の樹脂や素子構成材料との相溶性がよくなり、樹脂中で優れた発光特性を示し、さらに有機電界発光素子材料として湿式塗布が可能となるため、従来技術の課題を解決し得る有機蛍光色素、蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子材料として有用である。
以下に本発明につき詳細に説明する。本発明は有機蛍光色素、蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子発光材料として、下記一般式(5)によって示す化合物の重合体を用いたものである。以下に下記一般式(5)において表される化合物について説明する。
Figure 2014144932

一般式(5)
一般式(5)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子; フッ素、塩素、ヨウ素などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルコキシ基またはヒドロキシル基;アミノ基、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノn−プロピルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の置換されても良い炭素数1〜4の直鎖または分岐のアミノ基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキルオキシカルボニル基;
下記(化7〜化9)の−RCOOHで表されるアルキルカルボキシル基; 下記(化10〜化19)の−RCOORで表されるアルキルカルボキシエステル基;フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等のアシル基;スルホ基;シアノ基が挙げられるが、少なくともいずれかはアルコキシ基である。
アルキルカルボキシル基(−RCOOH)
Figure 2014144932

Figure 2014144932

Figure 2014144932
アルキルカルボキシエステル基(−RCOOR
Figure 2014144932

Figure 2014144932

Figure 2014144932

Figure 2014144932

Figure 2014144932

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Figure 2014144932

Figure 2014144932

Figure 2014144932
一般式(5)中、R及びRはどちらか一方が、下記[化6]で示されるアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル系の官能基である。
Figure 2014144932
が[化6]である場合は、一般式(5)は[化1]の構造となる。
Figure 2014144932
[化1]において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基である。
が[化6]である場合は、一般式(5)は[化2]の構造となる。
Figure 2014144932
[化2]において、Rは水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基である。
はメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、オクチレン基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキレン基である。Rは水素原子又はメチル基である。
重合を行う際、使用する単量体は溶剤に溶解しやすいものが望ましい。そのため上記の置換基の中でも、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はアルコキシ基であるが、少なくともいずれかがアルコキシ基であることが好ましい。
上記の置換基の中でもさらに好ましくは、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又はメトキシ基であるが少なくともいずれかはメトキシ基であり、Rはエチレン基であり、Rはメチル基である。
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物としては、具体的には次に示すものを例示することができる。2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3,4−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3−クロロ−5−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3−メトキシ−5−メチル−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3−ヒドロキシ−5−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、2−メタクリロイルオキシブチル 2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、2−アクリロイルオキシエチル 2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3,5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、5−カルボキシ−2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3−メトキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、メチル 2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3−メトキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3,5−ジメトキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、オクチル 2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3−メトキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、オクチル 2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3,5−ジメトキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート。
ここに例示する化合物の中で、特に2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3,4−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3,5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3−メトキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3,5−ジメトキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートが好ましく用いられる。
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物一般式(5)を合成する方法に特に限定はなく、従来知られている一般的な反応を応用することにより合成することができる。例えば、下記(化20〜化26)に示した反応式を経て合成することができる。ただし、Xはハロゲン原子を表す。
Figure 2014144932

Figure 2014144932

Figure 2014144932

Figure 2014144932

Figure 2014144932

Figure 2014144932

Figure 2014144932
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体は一般式(5)で表される化合物を単量体とする単独重合体または共重合体である。すなわち、[化3]もしくは[化4]の重合単位を1つ以上含む単独重合体または共重合体である。
Figure 2014144932
Figure 2014144932
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体を共重合体とする場合の対象となる化合物は、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有の不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N‐イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N'−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、(4−ビニルフェニル)−ジフェニルアミン等の含窒素不飽和単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン元素含有の不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族不飽和単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;ビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン化合物単量体;4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の光安定性単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エステル系不飽和単量体を例示することができるが、これらに限定されるものではなく、共重合体に要求される種々の物性を付与し、必要な物性を損なわない化合物であればよい。また、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
重合体を得る際の重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合方法、例えば、ラジカル重合、イオン重合による連鎖重合反応を用いた溶液重合法、乳化重合法、塊状(バルク)重合法、懸濁(パール)重合法等を採用することができる。
溶液重合法を採用して重合体を得る場合において用いることができる溶媒としては、具体的には、トルエン、キシレン、その他の高沸点の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒を例示することができるが、特に限定されるものではない。これら溶媒は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、溶媒の使用量は、特に限定されるものではない。
乳化重合法を採用して重合体を得る場合において用いることができる界面活性剤(乳化剤)としては、具体的には、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等が使用できる。アニオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサルフェート;
アンモニウムドデシルサルフェート等のアンモニウムアルキルサルフェート; ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート; ナトリウムスルホリシノエート;
スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート; ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;
ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート; 高アルキルナフタレンスルホン酸塩;
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物; ジアルキルスルホコハク酸塩; ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩; ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル; ソルビタン脂肪酸エステル; ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル; グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド;
オキシエチレン− オキシプロピレン共重合体; エチレンオキサイドと、脂肪族アミン、アミドまたは酸との縮合生成物等が挙げられる。高分子界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール;
ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;
またはこれら重合体の構成単位である重合性単量体の二種類以上の共重合体; またはこれら重合体の構成単位である重合性単量体と、別の単量体との共重合体を例示することができるが、特に限定されるものではない。また、これら界面活性剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、界面活性剤の使用量は、特に限定されるものではない。
塊状(バルク)重合法を採用して重合体を得る場合において用いることができる重合開始剤としては、後述に列記する重合開始剤が挙げられる。
懸濁(パール)重合法を採用して重合体を得る場合において用いることができる分散剤としては、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、スチレンとマレイン酸共重合体の塩、α−メチルスチレンとアクリル酸共重合体の塩、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリルアミド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、デンプン、トラガント、ペクチン、グルー、アルギン酸またはその塩等の高分子界面活性剤;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリオキシアルキレン系分散剤;ポリオキシエチレン−アルキルエーテル、ポリオキシエチレン−アルキルフェノール、ポリオキシエチレン−多価アルコールエステル、多価アルコールと脂肪酸とのエステル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロック縮合物等の非イオン系界面活性剤を例示することができるが、特に限定されるものではない。また、これら分散剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、分散剤の使用量は、特に限定されるものではない。
また、重合体を得る際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、具体的には、2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の油溶性のラジカル重合開始剤;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルパーオキサイド、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]・二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]・二硫酸・二水和物、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩 、2,2−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}・二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)・二塩酸塩、2、2−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2−アゾビス(N−ヒドロキシエチルイソブチルアミド)、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性のラジカル重合開始剤;過硫酸塩類や有機過酸化物類の重合開始剤にナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、過酸化水素、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、およびその塩、第一銅塩、第一鉄塩などの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いるレドックス系開始剤;ベンゾフェノン、N,N′−テトラアルキル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、アルキルアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、9−フェニルアクリジン等のアクリジン誘導体、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]等のオキシムエステル類、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等のクマリン系化合物、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物等の光(主として紫外線)開裂型ラジカル重合開始剤を例示することができるが、特に限定されるものではない。また、これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではない。
反応温度は、特に限定されるものではないが、室温〜200℃の範囲が好ましく、50℃〜150℃の範囲がより好ましい。尚、反応時間は、反応温度、或いは、用いる単量体組成物の組成や重合開始剤の種類等に応じて、重合反応が完結するように、適宜設定すればよい。
(有機蛍光色素)
有機蛍光色素は樹脂中に添加されて使用されることが多く、本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体を有機蛍光色素として使用する場合も同様に樹脂中に添加して蛍光性樹脂組成物として用いられる。本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体を配合可能な樹脂としては、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリ-3−メチルブチレン、ポリメチルペンテンなどのα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリフッ化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、臭素化ポリエチレン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑性ポリ塩化ビニルなどの含ハロゲン合成樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、スチレンと他の単量体(無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン樹脂、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン樹脂などのスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、メタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアセタール、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリオキシベンゾイル、ポリイミド、ポリマレイミド、ポリアミドイミド、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、水溶性樹脂、粉体塗料用樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂を例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体は、樹脂に対して少なすぎると十分な発光が得られず、また、多すぎると濃度消光が起こるため、0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%の範囲で使用されることが好ましい。
(有機電界発光素子発光材料)
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体は、有機電界発光素子の発光材料として利用でき、発光層において、本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体のみ、あるいは他の化合物と組合せて使用できる。本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体以外の発光機能を有する化合物としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、有機金属錯体、ピラン誘導体、スチルベン誘導体、アクリドン誘導体、オキサゾン誘導体、キナクリドン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体等、一般的な低分子蛍光材料、低分子リン光材料、ポリマー発光材料等が用いられる。これらの発光材料は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
発光材料を有機電界発光素子に成膜する方法として、例えば、真空蒸着法や湿式塗布法が挙げられる。湿式塗布法は真空蒸着法と比較して、複雑な工程を必要とせず、製造コストが低く、有機電界発光素子の大面積化が容易という利点があり、湿式塗布法として、例えば、インクジェット法、スピンコート法やディップコート法がある。湿式塗布法を行うには発光材料を有機溶媒に溶解させる必要があり、有機溶媒に溶解しやすい高分子材料を用いることが望ましい。本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体は、有機溶媒に溶解しやすく、例えばスピンコート法によって、有機電界発光素子の発光層を形成することができる。
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体を湿式塗布法により有機電界発光素子に成膜する際、ベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体を溶解させる有機溶媒として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;石油エーテル、石油ベンジン等の石油系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソフォロン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル;ジメチルスルフォキシド;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
有機電界発光素子の発光層の厚さは、例えば、5〜500nm、好ましくは20〜150nmである。
本発明における有機電界発光素子は、発光層のほかに、ホール輸送層、ホール注入層、電子輸送層、電子注入層等の有機層を有するが、2つ以上の層を兼ねた層を有してもよい。また、有機層に加えて、基板、陽極、陰極を有する。
基板として、ジルコニア安定化イットリウム、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の高分子材料が挙げられる。基板としては、一種類のみの材料を用いてもよく、また、二種類以上を複合した材料を用いてもよい。
陽極に使用する物質としては、金属、金属酸化物、導電性化合物等が挙げられる。具体的には例えば、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)ポリチオフェン、ポリピロール等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
陽極は、蒸着法、スパッタリング法等の方法により、基板の上に形成することができる。また、陽極は一層構造であっても良く、あるいは多層構造であっても良い。陽極の厚さは、一般に、5〜1000nm程度、より好ましくは、10〜500nm程度である。
陰極に使用する物質としては金属、金属酸化物、導電性化合物等が挙げられる。具体的には例えば、Li、Na、K、Cs等のアルカリ金属、フッ化アルカリ金属又は塩化アルカリ金属、ナフトール等の有機塩、Mg、Ca等のアルカリ土類金属、フッ化アルカリ土類金属又は塩化アルカリ土類金属、金、銀、白金、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、又はそれらの2種以上を併用する合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法等の方法が用いられる。また、陰極は一層構造であっても良く、あるいは多層構造であっても良い。陰極の厚さは、通常10nm〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは50nm〜1μmである。
ホール輸送及びホール注入機能を有する層に使用される化合物の具体例としては、フタロシアニン誘導体、トリアリールメタン誘導体、トリアリールアミン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
ホール輸送及びホール注入機能を有する層の形成方法に関しては、特に限定するものではなく、真空蒸着法、湿式塗布法等により薄膜を形成することにより作製することができる。ホール輸送及びホール注入機能を有する層の厚さは、例えば、5〜500nm、好ましくは20〜150nmである。
電子輸送及び電子注入機能を有する層に使用される化合物の具体例としては、有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
電子輸送及び電子注入機能を有する層の形成方法に関しては、特に限定するものではなく、真空蒸着法、湿式塗布法等により薄膜を形成することにより作製することができる。電子輸送及び電子注入機能を有する層の厚さは、例えば、5〜500nm、好ましくは20〜150nmである。
以下に本発明で実施したベンゾトリアゾール誘導体の単量体の合成法、重合体の合成法及び化合物の特性を示す。ただし、単量体の合成方法はこれらに限定されるものではなく、重合体の合成方法はラジカル重合開始剤を用いた溶液重合法としたがこれに限定されるものではない。
(実施例1)
[中間体;5−カルボキシ−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの合成]
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、水400ml、炭酸ナトリウム25.6g(0.242モル)、4−アミノ−3−ニトロ安息香酸78.7g(0.432モル)を入れて溶解させ、36%亜硝酸ナトリウム水溶液89.2g(0.465モル)を加えた。この溶液を2000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、水400ml、62.5%硫酸168.8g(1.077モル)を入れて混合し、3〜7℃に冷却したものに滴下し、同温度で2時間撹拌してジアゾニウム塩水溶液を得た。3000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、水880ml、水酸化ナトリウム19.5g(0.488モル)、炭酸ナトリウム42.6g(0.402モル)、シリンガ酸88.2g(0.445モル)を入れて混合し、ジアゾニウム塩水溶液を3〜7℃で滴下し、同温度で4時間撹拌した。生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、2,6−ジメトキシ−4−(4−カルボキシ−2−ニトロフェニルアゾ)フェノールを114.7g得た。
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、2,6−ジメトキシ−4−(4−カルボキシ−2−ニトロフェニルアゾ)フェノールを80.0g(0.230モル)、イソプロピルアルコール400ml、水400ml、水酸化ナトリウム41.6g(1.040モル)を入れて溶解させ、二酸化チオ尿素100.0g(0.925モル)を70〜75℃で加え、同温度で8時間撹拌させ、62.5%硫酸でpH4に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、5−カルボキシ−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを36.0g得た。収率38%(4−アミノ−3−ニトロ−安息香酸から)であった。
(実施例2)
[化合物(a);2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3,5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートの合成]
Figure 2014144932

化合物(a)
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、5−カルボキシ−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを20.0g(0.0634モル)、N,N−ジメチルホルムアミド200ml、炭酸ナトリウム9.5g(0.0896モル)、ポリエチレングリコール400を2.5g、ヨウ化カリウム1.0g、n−オクチルクロライド26.0g(0.1749モル)を入れて、140℃で4時間還流撹拌した。トルエン500ml、水100ml、酢酸20mlを加え撹拌し、50℃で静置して下層部の水層を分離して除去し、水100mlで水洗した。トルエンを回収した後にイソプロピルアルコール250ml、水250ml、水酸化ナトリウム11.5g(0.2875モル)を加え、70〜80℃で1時間加水分解した。62.5%硫酸でpH5に調整し、15℃まで冷却した。析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコールで洗浄して乾燥し、5−カルボキシ−2−(3、5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを21.4g得た。融点は175℃。
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、5−カルボキシ−2−(3、5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを10.6g(0.0248モル)、トルエン65ml、N,N−ジメチルホルムアミド0.5ml、塩化チオニル4.4g(0.0370モル)をいれて、60〜70℃で1時間撹拌した。トルエン及び未反応の塩化チオニルを減圧で回収し、トルエン65ml、2−ヒドロキシエチル メタクリレートを28.9g(0.2221モル)加えて、120℃で2時間還流撹拌した。水100mlで4回水洗し、トルエンを減圧で回収した後にメタノール100mlを加えて5℃まで冷却し、析出した結晶をろ過してメタノールで洗浄して乾燥し、白色結晶を11.1g得た。この白色結晶をメタノール、トルエンの混合溶媒で2回再結晶し、減圧下40℃で乾燥し、化合物(a)を9.7g得た。収率57%(5−カルボキシ−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールから)であった。融点は60℃。
また、HPLC分析により、化合物(a)の純度を測定した。
<測定条件>
装置:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ製)
使用カラム:SUMIPAX ODS A−212 6.0×150mm 5μm
カラム温度:40℃
移動相: メタノール/水=99/1
流速:1.0ml/min
<測定結果>
HPLC面百純度:96.4%
なお、以下の実施例3も本実施例と同様の測定条件でHPLC測定を行った。
また、化合物(a)のNMR測定を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。
測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:JEOL ECX-400
共振周波数:400MHz(1H−NMR)
溶媒:クロロホルム−d
1H−NMRの内部標準物質として、テトラメチルシランを用い、ケミカルシフト値はδ値(ppm)、カップリング定数はHertzで示した。またsはsinglet、dはdoublet、tはtriplet、ddはdoublet doublet、mはmultipletの略とする。以下の実施例すべてにおいても同様である。
得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。なお、以下の実施例3及び4も本実施例と同様の測定条件でNMR測定を行った。
δ=8.73(s,1H,benzotriazol−H),8.06(d,1H,J=8.4Hz,benzotriazol−H),7.96(d,1H,J=8.4Hz,benzotriazol−H),7.65(s,2H,benzene−H),6.17(s,1H,=CH−H),5.61(s,1H,=CH−H),4.64(m,2H,O−CH−CH−O−H),4.54(m,2H,O−CH−CH−O−H),4.05(t,2H,benzene−O−CH−H),4.00(s,6H,benzene−(O−CH−H),1.97(s,3H,CH−H),1.79(t,2H,CH−H),1.48(m,2H,CH−H),1.32(m,8H,(CH−H),0.89(t,3H,CH−H),
(実施例3)
[化合物(b);2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートの合成]
Figure 2014144932

化合物(b)
シリンガ酸をバニリン酸とした以外は実施例1及び2と同様にして、化合物(b)を収率13%(4−アミノ−3−ニトロ安息香酸から)で得た。融点85℃、HPLC面百純度97.1%であった。
また、化合物(b)のNMR測定を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ=8.72(s,1H,benzotriazol−H),8.05(d,1H,J=9.0Hz,benzotriazol−H),7.96(d,1H,J=7.2Hz,benzotriazol−H),7.93(m,2H,benzene−H),7.01(d,1H,J=9.2Hz,benzene−H),6.17(s,1H,CH−H),5.61(t,1H,CH−H),4.64(m,2H,O−CH−CH−O−H),4.54(m,2H,O−CH−CH−O−H),4.10(t,2H,benzene−O−CH−H),4.03(s,3H,benzene−O−CH−H),1.97(s,3H,CH−H),1.89(dd,2H,J=7.6Hz,J=7.2Hz,J=7.2Hz,CH−H),1.49(t,2H,CH−H),1.34(m,8H,(CH−H),0.89(t,3H,CH−H)
(実施例4)
[化合物(c);メチル 2−[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3,5−ジメトキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートの合成]
Figure 2014144932

化合物(c)
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、5−カルボキシ−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを2.0g(0.00634モル)、N,N−ジメチルホルムアミド40ml、炭酸カリウム1.5g(0.0109モル)、ヨウ化メチル0.9g(0.00634モル)を入れて、室温で4時間撹拌した。トルエン100ml、水20ml、酢酸4mlを加え撹拌し、50℃で静置して下層部の水層を分離して除去し、水20mlで水洗した。トルエンを減圧回収して、イソプロピルアルコール50mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコールで洗浄して乾燥し、メチル 2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートを1.2g得た。
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、メチル 2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートを1.2g(0.00364モル)、N,N−ジメチルホルムアミド40ml、炭酸ナトリウム0.8g(0.00755モル)、ポリエチレングリコール400を0.3g、ヨウ化カリウム0.1g、2−クロロエタノール1.0g(0.0124モル)を入れて、140℃で24時間還流撹拌した。トルエン50ml、水20ml、酢酸2mlを加えて撹拌し、50℃で静置して下層部の水層を分離して除去し、水20mlで水洗した。トルエンを減圧回収した後にイソプロピルアルコール50mlを加え、25℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、イソプロピルアルコールで洗浄して乾燥し、メチル 2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメトキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートを1.0g得た。
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、メチル 2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメトキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートを1.0g(0.00268モル)、トルエン50ml、メタクリル酸0.24g(0.00279モル)、メタンスルホン酸0.06g、BHT0.01gを入れて、120℃で24時間還流撹拌した。水20ml、炭酸ナトリウム1.0gを加えて撹拌し、50℃で静置して下層部の水層を分離して除去し、更に水20ml、酢酸2mlを加えて撹拌し、50℃で静置して下層部の水層を分離して除去した。トルエンを回収した後にメタノール50mlを加えて15℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、メタノールで洗浄した後に乾燥し、白色結晶を0.9g得た。この白色結晶をメタノールで再結晶して乾燥し、化合物(c)を0.8g得た。収率29%(5−カルボキシ−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールから)であった。融点は110℃。
また、HPLC分析により、化合物(c)の純度を測定した。
<測定条件>
装置:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ製)
使用カラム:Inersil ODS−3 4.6×150mm 5μm
カラム温度:25℃
移動相: アセトニトリル/水=6/4(リン酸3ml/L)
流速:1.0ml/min
<測定結果>
HPLC面百純度:99.0%
また、化合物(c)のNMR測定を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ=8.71(s,1H,benzotriazol−H),8.07(d,1H,J=9.0Hz,benzotriazol−H),7.95(d,1H,J=8.8Hz,benzotriazol−H),7.65(s,2H,benzene−H),6.12(s,1H,=CH−H),5.57(d,1H,J=1.6Hz,=CH−H),4.48(t,2H,O−CH−CH−O−H),4.35(t,2H,O−CH−CH−O−H),4.00(s,3H,−CO−O−CH−H),3.99(s,6H,benzene−(O−CH−H),1.95(s,3H,CH−H)
[単量体の光学特性]
実施例1〜4で得られた化合物(a)、(b)、(c)のクロロホルム溶液での吸収及び発光特性を表1に示す。
Figure 2014144932
なお、実施例1〜4で得られた化合物(a)、(b)、(c)の吸収スペクトル、発光及び励起スペクトル、蛍光量子効率の測定条件は次の通りである。
<吸収スペクトル>
装置:UV−2450((株)島津製作所製)
測定波長:250〜 500nm
溶媒:クロロホルム
濃度:10ppm
セル:1cm石英
<発光及び励起スペクトル>
装置:FP−6600(日本分光(株)製)
測定波長:200〜 600nm
溶媒:クロロホルム
濃度:10ppm
セル:1cm石英
<蛍光量子効率>
装置:C10027(浜松ホトニクス(株)製)
溶媒:クロロホルム
濃度:10ppm
セル:1cm石英
(実施例5)
100ml4つ口フラスコにジムロート冷却器、水銀温時計、窒素ガス吹き込み管、撹拌装置を取り付け、重合性化合物としての化合物(b);2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート(以下、「FS−57」と記す。)を2.5g、メチルメタクリレート(以下、「MMA」と記す。)を2.5g、および、溶媒としてのトルエンを10g,メチルエチルケトン(以下、「MEK」と記す。)を10g、および、重合開始剤としての1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(以下、「ACN」と記す。)を0.1g仕込み、撹拌しながら窒素ガス流量5ml/minで1時間フラスコ内を窒素置換後に昇温を行い、反応液温度88〜91℃で10時間還流状態にて重合反応を行い、共重合体溶液25.1gを得た。得られた共重合体溶液25.1gにMEK250gを加え、希釈溶解液275.1gとして500ml滴下ロートより5000mlビーカー中のメタノール2500mlに1時間かけて滴下を行い共重合体を白色結晶として析出させた。次いで、ろ紙(アドバンテック社 No.5C)を用いてろ過を行い、白色結晶と溶剤を分離させた後に得られた共重合体の白色結晶を40℃恒温環境下で24時間減圧乾燥させ溶剤成分の除去を行い、以下に示す共重合体(a)4.55gを得た。
Figure 2014144932

共重合体(a)
(実施例6)
実施例5における重合性化合物をFS−57 2.5g、MMA 2.0g、N−ビニルカルバゾール(以下、「VCZ」と記す。) 0.5gとした以外は実施例5と同様の操作を行い、以下に示す共重合体(b)4.60gを得た。
Figure 2014144932

共重合体(b)
(実施例7)
実施例5における重合性化合物をFS−57 2.5g、ブチルメタクレレート(以下、「BMA」と記す。)2.0g、VCZ 0.5gとした以外は実施例5と同様の操作を行い、以下に示す共重合体(c)4.62gを得た。
Figure 2014144932

共重合体(c)
(実施例8)
実施例5における重合性化合物をFS−57 0.075g、VCZ 4.925gとした以外は実施例5と同様の操作を行い、以下に示す共重合体(d)4.66gを得た。
Figure 2014144932

共重合体(d)
(実施例9)
実施例5における重合性化合物を化合物(a);2−メタクリロイルオキシエチル 2−(3,5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート(以下、「FS−90」と記す。)2.5g、MMA 2.5g、とした以外は実施例5と同様の操作を行い、以下に示す共重合体(e)4.53gを得た。
Figure 2014144932

共重合体(e)
(実施例10)
実施例5における重合性化合物をFS−90 2.5g、VCZ 2.5gとした以外は実施例5と同様の操作を行い、以下に示す共重合体(f)4.55gを得た。
Figure 2014144932

共重合体(f)
(実施例11)
実施例5における重合性化合物をFS−90 0.25g、VCZ 4.75gとした以外は実施例5と同様の操作を行い、以下に示す共重合体(g)4.72gを得た。
Figure 2014144932

共重合体(g)
[共重合体の収率、分子量、熱分解温度]
上記の実施例5〜11により得られた共重合体(a)〜(g)の合成処方仕込み量、収率、分子量、熱分解温度を表2に示す。共重合体の単量体からの収率は、単量体仕込み量と精製後、最終的に得られた共重合体の量から算出した。
共重合体の分子量はGPCシステムHLC−8320GPC EcoSEC(東ソー株式会社)を用い、溶離液をテトラヒドロフラン、分離カラムをTSKgel GMHXL-L(東ソー株式会社)として、ポリスチレン検量線を用いたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、多分散度(Mw/Mn)を測定した。
また、共重合体の熱分解温度は示差熱・熱重量同時測定装置EXSTAR TG/DTA6200(株式会社日立ハイテクサイエンス)を用いて測定した。
Figure 2014144932
[共重合体の溶媒中における光学特性]
上記の実施例5〜11により得られた共重合体(a)〜(g)のクロロホルム中での吸収及び発光特性を表3に示す。
(比較例)
同じベンゾトリアゾール誘導体化合物であるが、一般式(5)と異なる構造である、化合物(d);2−(4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、化合物(e);メチル 2−(4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートについても、上記実施例5〜11と同様に吸収及び発光特性を表3に示す。また、従来の有機蛍光色素である化合物(f);4,4‘−ビス(2−メトキシスチリル)ビフェニル(東京化成工業(株)製)についても上記実施例5〜11と同様に吸収及び発光特性を表3に示す。
Figure 2014144932
表3より、一般式(5)と異なる構造である化合物(d)及び(e)は、モル吸光係数と蛍光量子効率は高いが、最大発光波長が青色有機蛍光色素としては短波長によりすぎているため、きれいな青色発光を得ることができず、また、ストークスシフトが小さいために濃度消光を起こす問題があることがわかる。従来品である化合物(f)は、モル吸光係数と蛍光量子効率は高いが、ストークスシフトが小さく、濃度消光を起こす問題がある。
本発明品は、有機蛍光色素として有用とされる10000をはるかに越えるモル吸光係数を持ち、蛍光量子効率は概ね60%以上を示して一般的な有機蛍光色素より高く、きれいな青色発光が得られる450nm付近に最大発光波長をもち、ストークスシフトは80〜120nmと大きいために濃度消光を起こしにくく、青色有機蛍光色素に求められる光学特性のすべてで優れた値を示すため、有用な発光材料であることがわかる。
なお、実施例5〜11により得られた共重合体(a)〜(g)及び比較例の化合物(d)、(e)、(f)の吸収スペクトル、発光及び励起スペクトル、蛍光量子効率の測定条件は次の通りである。
<吸収スペクトル>
装置:UV−2450((株)島津製作所製)
測定波長:250〜500nm
濃度:10ppm
セル:1cm石英
<発光及び励起スペクトル>
装置:FP−6600(日本分光(株)製)
測定波長:200〜600nm
濃度:10ppm
セル:1cm石英
<蛍光量子効率>
装置:C10027(浜松ホトニクス(株)製)
濃度:10ppm
セル:1cm石英
[共重合体のフィルム中における光学特性]
上記実施例5により得られた共重合体(a)のポリメチルメタクリレート(以下、「PMMA」と記す。)フィルム中での吸収及び発光特性を、表4に示す。
Figure 2014144932
表4より、PMMAフィルム中で最大発光波長はきれいな青色発光が得られる450nm付近であり、ストークスシフトは80nm以上で大きく、蛍光量子効率は94%と特に大きい値を示したことから、樹脂中でもその吸収及び発光特性が優れているのがわかる。実施例5により得られた共重合体(a)のPMMAフィルムの作製条件、吸収スペクトル、発光及び励起スペクトル、蛍光量子効率の測定条件は次の通りである。
<PMMAフィルム作製>
PMMA:和光純薬工業(株)製 10mg
共重合体:0.5mg
トルエン:0.7ml
成膜法:スピンコート
膜厚:120nm
<吸収スペクトル>
装置:UV−3600((株)島津製作所製)
測定波長:250〜500nm
<発光及び励起スペクトル>
装置:FP−6600(日本分光(株)製)
測定波長:200〜600nm
<蛍光量子効率>
装置:C10027(浜松ホトニクス(株)製)
[共重合体の電界発光特性]
共重合体を有機電界発光素子材料として用いた場合の特性評価は、実施例9で得られた共重合体(e)を素子構成材料として用いて実際に有機電界発光素子の作製を行って実施した。下記の手順で湿式塗布型有機電界発光素子を作製した。
ITOが膜厚150nmで処理されたガラス基材のエッチングを行い、中性洗剤、イオン交換水、アセトン、イソプロピルアルコール、オゾン洗浄の6工程で基材の洗浄を行った。
基材のエッチング面にホール注入層として導電性高分子(PEDOT:PSS)溶液をスピンコートでコーティングし、125℃にて1時間乾燥を行い膜厚40nmの層を形成した。
ホール輸送材料としてポリビニルカルバゾール(PVCZ)10mg、電子輸送材料として2−(4−tert−ブチルフェニル) −5−(4−ビフェニリル)
−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)3mg、発光材料として実施例9で得られた共重合体0.042mgを脱水トルエン0.7mlに溶解した素子構成材料の混合溶液を、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でスピンコートにてコーティングし、125℃で50分間乾燥を行い、膜厚100nmの発光層を形成した。
試料を真空蒸着装置にセットし、真空条件下で塩化セシウム(CsCl)を1nm蒸着後、続いてアルミニウム(Al)を250nm蒸着して陰極を形成した。次に陰極表面にガラス板を紫外線硬化樹脂で貼り付け、紫外線照射を行い封止して有機電界発光素子とした。
浜松ホトニクス(株)製C9920−11輝度配向特性測定装置を用いて、得られた有機電界発光素子の最大輝度、電力効率、電流効率、外部量子効率、色度座標、EL波長を測定して特性評価を行った。素子性能評価の測定結果を表5に示す。
Figure 2014144932
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体は、モル吸光係数、蛍光量子効率及びストークスシフトが大きく、優れた光学特性を示し、さらに固体発光性が優れている。また、有機電界発光素子の発光材料として、湿式塗布が可能であることから、有機蛍光色素、蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子発光材料として、好適に利用できる。また、本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物(単量体)は前記重合体の出発原料として有用であるほか、それ自体も450nm付近で発光を示すので、有機蛍光色素、蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子発光材料として好適に利用できる。

Claims (9)

  1. 下記の一般式(1)で表されることを特徴とするベンゾトリアゾール誘導体化合物。
    Figure 2014144932
    一般式(1)
    [式中R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルカルボキシエステル基、アリール基、アシル基、スルホ基又はシアノ基を表すが、少なくともいずれかは炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
  2. 上記一般式(1)におけるR及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメトキシ基を表すが、少なくともいずれかはメトキシ基であり、Rがエチレン基であり、Rがメチル基である請求項1記載のベンゾトリアゾール誘導体化合物。
  3. 下記の一般式(2)で表されることを特徴とするベンゾトリアゾール誘導体化合物。
    Figure 2014144932
    一般式(2)
    [式中R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルカルボキシエステル基、アリール基、アシル基、スルホ基又はシアノ基を表すが、少なくともいずれかは炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
  4. 上記一般式(2)におけるR及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメトキシ基を表すが、少なくともいずれかはメトキシ基であり、Rがエチレン基であり、Rがメチル基であり、Rがメチル基である請求項3記載のベンゾトリアゾール誘導体化合物。
  5. 下記の一般式(3)で表される繰り返し単位を1つ以上有することを特徴とするベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体。
    Figure 2014144932
    一般式(3)
    [式中R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルカルボキシエステル基、アリール基、アシル基、スルホ基又はシアノ基を表すが、少なくともいずれかは炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
  6. 下記の一般式(4)で表される繰り返し単位を1つ以上有することを特徴とするベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体。
    Figure 2014144932
    一般式(4)
    [式中R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルカルボキシエステル基、アリール基、アシル基、スルホ基又はシアノ基を表すが、少なくともいずれかは炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
  7. 請求項5、6のいずれかの項に記載のベンゾトリアゾール誘導体化合物の重合体を含有する有機蛍光色素。
  8. 樹脂に、請求項7に記載の有機蛍光色素を配合した蛍光性樹脂組成物。
  9. 請求項7に記載の有機蛍光色素を含有する有機電界発光素子発光材料。
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