JP2014144931A - ベンゾトリアゾール誘導体化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶液中及び固体状態において優れた吸収及び発光特性を示し、有機電界発光素子の発光材料として湿式塗布が可能である、450nm付近を発光波長とする青色有機蛍光色素材料になりうる新規化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式で示されるベンゾトリアゾール誘導体化合物とする。
式中Rは、Hまたはアルキル基、Rはアルキル基を表す。R及びRは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボキシル基、アルキルカルボキシエステル基、アリール基、アシル基、スルホ基又はシアノ基を表すが、少なくともいずれかはアルコキシ基を表す。
Figure 2014144931

【選択図】なし

Description

本発明は新規な有機蛍光色素、及びそれを用いた蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子材料に関する。さらに詳しくは、450nm付近を発光波長として優れた発光特性を示す有機蛍光色素、及びそれを用いた蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子材料に関する。
有機蛍光色素は照射された光のエネルギーを吸収して発光する色素であり、また高効率でエネルギーの変換が出来ることから、色素単体や有機溶媒中又は樹脂中に分散された状態で幅広い分野で使用されている。
紙幣や重要な証明書には、紫外線感度の高い有機蛍光色素のインクでマークが記されていることが多く、紫外線を照射したときのみそのマークが光を発して浮き上がって見えるため、偽造防止に役立っている。また、道路柵、道路標識、建築物の内外装など、視認性を高める目的で塗料に有機蛍光色素が使われている。また、白地の衣類に青色蛍光色素で染色等を行うと、青の補色である黄ばみを目立たなくすることが出来るため、蛍光増白剤として有機蛍光色素が衣類の染色又は洗剤に使用されている。また、分子生物学の研究分野において、蛍光による標的分子や細胞の可視化は必要不可欠な技術であり、種々の細胞や分子の動態を追跡するマーカーとして有機蛍光色素が使用されている。
太陽電池の表面に有機蛍光色素を添加した膜を貼り、紫外線を長波長の可視光に変換することで効率よくエネルギーに変換することができる。また、ビニールハウスのビニールに有機蛍光色素を添加することで、特定の波長を多く植物に当てることができ、植物の生育を促進できる。
有機電界発光素子の基本構造は、発光層をホール輸送層と電子輸送層で挟み込む構造になっている。これに電界をかけて、ホールと電子を注入し、発光層で電荷を再結合させて電気エネルギーを発生させ、発光層が発光する。この発光層に使われる発光材料として有機蛍光色素が使用されている。
上記の各用途では、使用される有機蛍光色素が、紫外線又は可視光を十分吸収し、強い光を発することが求められており、さらに発した光を自己吸収しないように、吸収する光と発する光の波長が十分広いことが求められている。すなわち、物質が光を吸収する程度を示す指標であるモル吸光係数が高く、吸収された光子数に対する放出された光子数の比で表される蛍光量子効率が高く、励起スペクトルと蛍光スペクトルのピーク波長間の差であるストークスシフトが大きい有機蛍光色素が求められており、モル吸光係数、蛍光量子効率及びストークスシフトが大きいほど優れた有機蛍光色素となる。
有機蛍光色素は有機溶媒中だけでなく、樹脂中や薄膜状態で使用されることが多く、固体発光性が優れていることが求められている。
樹脂中で使用される場合は、有機蛍光色素自体の揮散やブリードが起こらないような、樹脂との相溶性が良い有機蛍光色素が求められている。
有機蛍光色素が有機電界発光素子の発光材料として使用される場合、それが低分子材料の場合は通常、真空蒸着法により成膜されるが、真空蒸着法は工程が複雑で、素子の大面積化が困難であり、コストが高いという問題がある。湿式塗布法による成膜の場合、工程の簡略化や素子の大面積化が可能であり、低コストであることから、有機電界発光素子の発光材料として湿式塗布法が可能な有機蛍光色素が求められている。
これまで使用されてきた有機蛍光色素は、モル吸光係数、蛍光量子効率及びストークスシフトのいずれかが大きい物はあるが、すべてが十分大きいものは少なく、450nm付近で発光する青色有機蛍光色素では特に少ない。そこで発光特性に優れた青色有機蛍光色素として、例えば特許文献1〜3に記載されているように、ポリイミド誘導体、ナフタル酸イミド誘導体、ポリフェニレン誘導体等が提案されている。しかし、これらの化合物のモル吸光係数、蛍光量子効率及びストークスシフトはすべてが十分大きいと言えず、上記の各用途で十分に満足できる発光を得ることが出来ていない。
樹脂中で発光特性が優れている有機蛍光色素として、例えば非特許文献1に記載されているように、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体等が提案されている。しかし、これらの化合物、特に青色有機蛍光色素ではその発光特性は十分高いとは言えない。また、湿式塗布が可能となる青色有機電界発光素子の発光材料として、特許文献4に記載されているように、ポリビニルカルバゾール誘導体が提案されている。これらの化合物は湿式塗布により成膜することが可能であるが、これらを用いた有機電界発光素子の電界発光特性は十分とは言えない。
特開2010−043048号公報 特開2002−212458号公報 特開2002−322100号公報 特開2005−154404号公報
ファインケミカル2011年2月号 vol.40 No.2 p52
このような状況下、本発明における課題は、溶液中及び固体状態において優れた吸収及び発光特性を示し、有機電界発光素子の発光材料として湿式塗布が可能である、450nm付近を発光波長とする青色有機蛍光色素を提供することにある。
本発明では、有機蛍光色素、蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子発光材料に用いることのできる新規化合物が、下記一般式(1)で示されるベンゾトリアゾール誘導体化合物あることを最も主要な特徴とする。
Figure 2014144931

一般式(1)
[式中Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す。R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルカルボキシエステル基、アリール基、アシル基、スルホ基又はシアノ基を表すが、少なくともいずれかは炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。]
上記一般式(1)で示されるベンゾトリアゾール誘導体化合物は、好ましくはR及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメトキシ基を表すが、少なくともいずれかはメトキシ基である。
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物は、450nm付近で発光を示し、モル吸光係数が約25000であり、蛍光量子効率が溶液中で約70%、樹脂中で90%以上であり、ストークスシフトが80〜110nmである。さらに、他の樹脂や素子構成材料との相溶性がよく、樹脂中で優れた発光特性を示し、さらに有機電界発光素子材料として湿式塗布が可能であるため、従来技術の課題を解決し得る有機蛍光色素、蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子材料として有用である。
以下に本発明につき詳細に説明する。本発明は有機蛍光色素、蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子発光材料として、下記一般式(1)によって示す化合物を用いたものである。以下に下記一般式(1)において表される化合物について説明する。
Figure 2014144931

一般式(1)
一般式(1)中、該任意の置換基の例として、Rは水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基が挙げられ、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。R及びR4はそれぞれ独立して、水素原子; フッ素、塩素、ヨウ素などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルコキシ基またはヒドロキシル基;アミノ基、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノn−プロピルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の置換されても良い炭素数1〜4の直鎖または分岐のアミノ基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキルオキシカルボニル基;
下記(化2〜化4)の−RCOOHで表されるアルキルカルボキシル基; 下記(化5〜化14)の−RCOORで表されるアルキルカルボキシエステル基;フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等のアシル基;スルホ基;シアノ基が挙げられるが、少なくともいずれかはアルコキシ基である。
アルキルカルボキシル基(−RCOOH)
Figure 2014144931

Figure 2014144931

Figure 2014144931
アルキルカルボキシエステル基(−RCOOR
Figure 2014144931

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Figure 2014144931

Figure 2014144931

Figure 2014144931

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Figure 2014144931

Figure 2014144931

Figure 2014144931

Figure 2014144931
上記の置換基が、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はアルコキシ基であるが、少なくともいずれかがアルコキシである場合、樹脂との相溶性が良く、成膜性が良いことから、好ましい。
上記の置換基の中でもさらに好ましくは、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又はメトキシ基であるが、少なくともいずれかはメトキシ基である。
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物一般式(1)としては、具体的には次に示すものを例示することができる。メチル 2−(3,4−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−(3−クロロ−5−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−(3−メトキシ−5−メチル−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−(3−ヒドロキシ−5−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−(3−アミノ−5−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−(3−カルボキシ−5−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、オクチル 2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−(3,5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、5−カルボキシ−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−2−(3,5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール。
ここに例示する化合物の中で、特にメチル 2−(3,4−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、メチル 2−(3,5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、5−カルボキシ−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−2−(3,5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが好ましく用いられる。
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物一般式(1)を合成する方法に特に限定はなく、従来知られている一般的な反応を応用することにより合成することができる。たとえば、下記(化15〜化21)に示した反応式を経て合成することができる。ただし、Xはハロゲン原子を表す。
Figure 2014144931

Figure 2014144931

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Figure 2014144931

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Figure 2014144931

Figure 2014144931
(有機蛍光色素)
有機蛍光色素は樹脂中に添加されて使用されることが多く、本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物を有機蛍光色素として使用する場合も同様に樹脂中に添加して蛍光性樹脂組成物として用いられる。本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物を配合可能な樹脂として具体的は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリ-3−メチルブチレン、ポリメチルペンテンなどのα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリフッ化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、臭素化ポリエチレン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑性ポリ塩化ビニルなどの含ハロゲン合成樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、スチレンと他の単量体(無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン樹脂、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン樹脂などのスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、メタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアセタール、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリオキシベンゾイル、ポリイミド、ポリマレイミド、ポリアミドイミド、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、水溶性樹脂、粉体塗料用樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物は、樹脂に対して少なすぎると十分な発光が得られず、また、多すぎると濃度消光が起こるため、0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%の範囲で使用されることが好ましい。
(有機電界発光素子発光材料)
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物は、有機電界発光素子の発光材料として利用でき、発光層において、本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物のみ、あるいは他の化合物と組合せて使用できる。本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物以外の発光機能を有する化合物としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、有機金属錯体、ピラン誘導体、スチルベン誘導体、アクリドン誘導体、オキサゾン誘導体、キナクリドン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体等、一般的な低分子蛍光材料、低分子リン光材料、ポリマー発光材料等が用いられる。これらの発光材料は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
発光材料を有機電界発光素子に成膜する方法として、例えば、真空蒸着法や湿式塗布法が挙げられる。湿式塗布法は真空蒸着法と比較して、複雑な工程を必要とせず、製造コストが低く、有機電界発光素子の大面積化が容易という利点があり、湿式塗布法として、例えば、インクジェット法、スピンコート法やディップコート法がある。湿式塗布法を行うには発光材料を有機溶媒に溶解させる必要があり、有機溶媒に溶解しやすい材料を用いることが望ましい。本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物は、有機溶媒に溶解しやすく、例えばスピンコート法によって、有機電界発光素子の発光層を形成することができる。
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物を湿式塗布法により有機電界発光素子に成膜する際、ベンゾトリアゾール誘導体化合物を溶解させる有機溶媒として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;石油エーテル、石油ベンジン等の石油系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソフォロン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル;ジメチルスルフォキシド;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
有機電界発光素子の発光層の厚さは、例えば、5〜500nm、好ましくは20〜150nmである。
本発明における有機電界発光素子は、発光層のほかに、ホール輸送層、ホール注入層、電子輸送層、電子注入層等の有機層を有するが、2つ以上の層を兼ねた層を有してもよい。また、有機層に加えて、基板、陽極、陰極を有する。
基板として、ジルコニア安定化イットリウム、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の高分子材料が挙げられる。基板としては、一種類のみの材料を用いてもよく、また、二種類以上を複合した材料を用いてもよい。
陽極に使用する物質としては、金属、金属酸化物、導電性化合物等が挙げられる。具体的には例えば、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)ポリチオフェン、ポリピロール等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
陽極は、蒸着法、スパッタリング法等の方法により、基板の上に形成することができる。また、陽極は一層構造であっても良く、あるいは多層構造であっても良い。陽極の厚さは、一般に、5〜1000nm程度、より好ましくは、10〜500nm程度である。
陰極に使用する物質としては金属、金属酸化物、導電性化合物等が挙げられる。具体的には例えば、Li、Na、K、Cs等のアルカリ金属又はフッ化アルカリ金属、ナフトール等の有機塩、Mg、Ca等のアルカリ土類金属又はフッ化アルカリ土類金属、金、銀、白金、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、又はそれらの2種以上を併用する合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法等の方法が用いられる。また、陰極は一層構造であっても良く、あるいは多層構造であっても良い。陰極の厚さは、通常10nm〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは50nm〜1μmである。
ホール輸送及びホール注入機能を有する層に使用される化合物の具体例としては、フタロシアニン誘導体、トリアリールメタン誘導体、トリアリールアミン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
ホール輸送及びホール注入機能を有する層の形成方法に関しては、特に限定するものではなく、真空蒸着法、湿式塗布法等により薄膜を形成することにより作製することができる。ホール注入輸送機能を有する層の厚さは、例えば、5〜500nm、好ましくは20〜150nmである。
電子輸送及び電子注入機能を有する層に使用される化合物の具体例としては、有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体等が挙げられる。これらは一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
電子輸送及び電子注入機能を有する層の形成方法に関しては、特に限定するものではなく、真空蒸着法、湿式塗布法等により薄膜を形成することにより作製することができる。電子注入輸送機能を有する層の厚さは、例えば、5〜500nm、好ましくは20〜150nmである。
以下に本発明で実施したベンゾトリアゾール誘導体化合物の合成法及び化合物の特性を示す。ただし、合成方法はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
[化合物(a);5−カルボキシ−2−(3,5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの合成]
Figure 2014144931

化合物(a)
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、水400ml、炭酸ナトリウム25.6g(0.242モル)、4−アミノ−3−ニトロ安息香酸78.7g(0.432モル)を入れて溶解させ、36%亜硝酸ナトリウム水溶液89.2g(0.465モル)を加えた。この溶液を2000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、水400ml、62.5%硫酸168.8g(1.077モル)を入れて混合し、3〜7℃に冷却したものに滴下し、同温度で2時間撹拌してジアゾニウム塩水溶液を得た。3000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、水880ml、水酸化ナトリウム19.5g(0.488モル)、炭酸ナトリウム42.6g(0.402モル)、シリンガ酸88.2g(0.445モル)を入れて混合し、ジアゾニウム塩水溶液を3〜7℃で滴下し、同温度で4時間撹拌した。生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、2,6−ジメトキシ−4−(4−カルボキシ−2−ニトロフェニルアゾ)フェノールを114.7g得た。
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、2,6−ジメトキシ−4−(4−カルボキシ−2−ニトロフェニルアゾ)フェノールを80.0g(0.230モル)、イソプロピルアルコール400ml、水400ml、水酸化ナトリウム41.6g(1.040モル)を入れて溶解させ、二酸化チオ尿素100.0g(0.925モル)を70〜75℃で加え、同温度で8時間撹拌させ、62.5%硫酸でpH4に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、5−カルボキシ−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを36.0g得た。
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、5−カルボキシ−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを20.0g(0.0634モル)、N,N−ジメチルホルムアミド200ml、炭酸ナトリウム9.5g(0.0896モル)、ポリエチレングリコール400を2.5g、ヨウ化カリウム1.0g、n−オクチルクロライド26.0g(0.1749モル)を入れて、140℃で4時間還流撹拌した。トルエン500ml、水100ml、酢酸20mlを加え撹拌し、50℃で静置して下層部の水層を分離して除去し、水100mlで水洗した。トルエンを回収した後にイソプロピルアルコール250ml、水250ml、水酸化ナトリウム11.5g(0.2875モル)を加え、70〜80℃で1時間加水分解した。62.5%硫酸でpH5に調整し、15℃まで冷却した。析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコールで洗浄して乾燥し、淡黄緑色結晶を21.4g得た。この淡黄緑色結晶をトルエンで再結晶して乾燥し、化合物(a)を16.6g得た。収率23%(4−アミノ−3−ニトロ−安息香酸から)であった。融点は175℃。
また、HPLC分析により、化合物(a)の純度を測定した。
<測定条件>
装置:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ製)
使用カラム:SUMIPAX ODS A−212 6.0×150mm 5μm
カラム温度:40℃
移動相: メタノール/水=95/5
流速:1.0ml/min
<測定結果>
HPLC面百純度:99.9%
なお、以下の実施例2も本実施例と同様の測定条件でHPLC測定を行った。
また、化合物(a)のNMR測定を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。
測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:JEOL ECX-400
共振周波数:400MHz(1H−NMR)
溶媒:クロロホルム−d
1H−NMRの内部標準物質として、テトラメチルシランを用い、ケミカルシフト値はδ値(ppm)、カップリング定数はHertzで示した。またsはsinglet、dはdoublet、tはtriplet、ddはdoublet doublet、mはmultipletの略とする。以下の実施例すべてにおいても同様である。
得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。なお、以下の実施例2及び4も本実施例と同様の測定条件でNMR測定を行った。
δ=8.83(s,1H,benzotriazol−H),8.13(d,1H,J=9.0Hz,benzotriazol−H),8.00(d,1H,J=9.2Hz,benzotriazol−H),7.67(s,2H,benzene−H),4.06(t,2H,benzene−O−CH−H),4.01(s,6H,benzene−(O−CH−H),1.79(dd,2H,J=7.6Hz,J=7.2Hz,J=7.2Hz,CH−H),1.48(m,2H,CH−H),1.31(m,8H,(CH−H),0.89(t,3H,CH−H)
(実施例2)
[化合物(b);メチル 2−(3,5−ジメトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートの合成]
Figure 2014144931

化合物(b)
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、化合物(a)を5.0g(0.0117モル)、トルエン50ml、N,N−ジメチルホルムアミド0.5ml、塩化チオニル2.8g(0.0235モル)をいれて、60〜70℃で1時間撹拌した。トルエン及び未反応の塩化チオニルを減圧で回収し、トルエン50ml、メタノール2.8g(0.0874モル)、ピリジン1.9g(0.0240モル)加えて、60〜70℃で1時間撹拌した。水30ml、62.5%硫酸2mlを加えて30分撹拌後に下層の水層を分液し、水30mlで水洗した。トルエンを減圧で回収した後にイソプロピルアルコール50ml、トルエン15mlを加えて5℃まで冷却し、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコールで洗浄して乾燥し、白色結晶を4.7g得た。この白色結晶をイソプロピルアルコール、トルエンの混合溶媒で再結晶して乾燥し、化合物(b)を4.1g得た。収率79%(化合物(a)から)であった。融点106℃、HPLC面百純度99.7%であった。
また、化合物(b)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ=8.71(s,1H,benzotriazol−H),8.06(d,1H,J=9.0Hz,benzotriazol−H),7.95(d,1H,J=8.8Hz,benzotriazol−H),7.65(s,2H,benzene−H),4.05(t,2H,benzene−O−CH−H),4.00(s,6H,benzene−(O−CH−H),3.99(s,3H,CO−O−CH−H),1.78(dd,2H,J=8.0Hz,J=7.2Hz,J=6.8Hz,CH−H),1.48(t,2H,CH−H),1.32(m,8H,(CH−H),0.89(t,3H,CH−H)
(実施例3)
[化合物(c);5−カルボキシ−2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの合成]
Figure 2014144931

化合物(c)
シリンガ酸をバニリン酸とした以外は実施例1と同様にして、化合物(c)を収率25%(4−アミノ−3−ニトロ安息香酸から)で得た。融点は180℃。
また、HPLC分析により、化合物(c)の純度を測定した。
<測定条件>
装置:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ製)
使用カラム:SUMIPAX ODS A−212 6.0×150mm 5μm
カラム温度:40℃
移動相: メタノール/水=99/1
流速:1.0ml/min
<測定結果>
HPLC面百純度:99.0%
なお、以下の実施例4も本実施例と同様の測定条件でHPLC測定を行った。
また、化合物(c)のNMR測定を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。
測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:JEOL ECX-400
共振周波数:400MHz(1H−NMR)
溶媒:DMSO−d6
得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ=8.61(s,1H,benzotriazol−H),8.10(dd,1H,J=8.4Hz,J=0.8Hz,J=0.8Hz,benzotriazol−H),8.00(dd,1H,J=7.6Hz,J=1.6Hz,J=1.2Hz,benzotriazol−H),7.88(d,1H,J=9.6,benzene−H),7.87(s,1H,benzene−H),7.21(d,1H,J=9.6Hz,benzene−H),4.06(t,2H,benzene−O−CH−H),3.93(s,3H,−O−CH−H),1.75(dd,2H,J=8.0Hz,J=6.8Hz,J=6.8Hz,CH−H),1.43(m,2H,CH−H),1.28(m,8H,(CH−H),0.87(t,3H,CH −H)
(実施例4)
[化合物(d);メチル 2−(3−メトキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートの合成]
Figure 2014144931

化合物(d)
化合物(a)を化合物(c)とした以外は実施例2と同様にして、化合物(d)を収率81%(化合物(c)から)で得た。融点98℃、HPLC面百純度98.8%であった。
また、化合物(d)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ=8.70(s,1H,benzotriazol−H),8.05(dd,1H,J=7.6Hz,J=1.6Hz,J=1.2Hz,benzotriazol−H),7.94(dd,1H,J=8.0Hz,J=0.8Hz,J=0.8Hz,benzotriazol−H),7.93(m,2H,benzene−H),7.01(d,1H,J=9.6Hz,benzene−H),4.10(t,2H,benzene−O−CH−H),4.03(s,3H,CO−O−CH−H),3.99(s,3H,benzene−O−CH−H),1.90(t,2H,CH−H),1.49(m,2H,CH−H),1.33(m,8H,(CH−H),0.89(t,3H,CH−H)
[溶媒中における光学特性]
実施例1〜4で得られた化合物(a)、(b)、(c)、(d)のクロロホルム中の吸収及び発光特性を表1に示す。
(比較例)
同じベンゾトリアゾール誘導体化合物であるが、一般式(1)と異なる構造である、化合物(e);2−(4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、化合物(f);メチル 2−(4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレートについても、上記実施例1〜4と同様に吸収及び発光特性を表1に示す。また、従来の有機蛍光色素である化合物(g);4,4‘−ビス(2−メトキシスチリル)ビフェニル(東京化成工業(株)製)についても上記実施例1〜4と同様に吸収及び発光特性を表1に示す。
Figure 2014144931
表1より、一般式(1)と異なる構造である化合物(e)及び化合物(f)は、モル吸光係数と蛍光量子効率は高いが、最大発光波長が青色有機蛍光色素としては短波長によりすぎているため、きれいな青色発光を得ることが出来ず、また、ストークスシフトが小さいために濃度消光を起こす問題がある。従来品である化合物(g)は、モル吸光係数と蛍光量子効率は高いが、ストークスシフトが小さく、濃度消光を起こす問題がある。本発明品は、有機蛍光色素として有用とされる10000をはるかに越えるモル吸光係数をもち、蛍光量子効率は約70%で一般的な有機蛍光色素より高く、きれいな青色発光が得られる450nm付近に最大発光波長をもち、ストークスシフトは80〜110nmと大きいために濃度消光を起こしにくく、青色有機蛍光色素に求められる光学特性のすべてで優れた値を示すため、有用な発光材料であることがわかる。なお、実施例1〜4で得られた化合物(a)、(b)、(c)、(d)及び比較例の化合物(e)、(f)、(g)の吸収スペクトル、発光及び励起スペクトル、蛍光量子効率の測定条件は次の通りである。
<吸収スペクトル>
装置:UV−2450((株)島津製作所製)
測定波長:250〜 500nm
濃度:10ppm
セル:1cm石英
<発光及び励起スペクトル>
装置:FP−6600(日本分光(株)製)
測定波長:200〜 600nm
濃度:10ppm
セル:1cm石英
<蛍光量子効率>
装置:C10027(浜松ホトニクス(株)製)
濃度:10ppm
セル:1cm石英
[フィルム中での光学特性]
上記実施例2により得られた化合物(b)のポリメチルメタクリレート(以下、「PMMA」と記す。)フィルム中での吸収及び発光特性を、表2に示す。
Figure 2014144931
表2より、PMMAフィルム中で最大発光波長はきれいな青色発光が得られる450nm付近であり、ストークスシフトは90nm以上で大きく、蛍光量子効率は90%以上と特に大きい値を示したことから、樹脂中でもその吸収及び発光特性が優れているのがわかる。実施例2により得られた化合物(b)のPMMAフィルムの作製条件、吸収スペクトル、発光及び励起スペクトル、蛍光量子効率の測定条件は次の通りである。
<PMMAフィルム作製>
PMMA:和光純薬工業(株)製 10mg
有機蛍光色素:0.5mg
トルエン:0.7ml
成膜法:スピンコート
膜厚:120nm
<吸収スペクトル>
装置:UV−3600((株)島津製作所製)
測定波長:250〜 500nm
<発光及び励起スペクトル>
装置:FP−6600(日本分光(株)製)
測定波長:200〜 600nm
<蛍光量子効率>
装置:C10027(浜松ホトニクス(株)製)
[電界発光特性]
実施例2で得られた化合物(b)を用いて、下記の手順で湿式塗布型有機電界発光素子を作製した。
あらかじめパターニングと洗浄処理を施したITO−ガラス基板(山容真空工業製、ITO膜厚150nm)に対してオゾンによる表面処理を行った。次いで、ITO基板の表面に、導電性高分子PEDOT:PSS(Heraeus Clevios製、CH8000)をスピンコート法により塗布し、110℃で60分焼成することにより、厚み40nmのホール注入層を形成した。
ホール注入層の表面に、発光材料として化合物(b)、電子輸送材料として2−(4−tert−ブチルフェニル) −5−(4−ビフェニリル) −1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、ホール輸送性ホスト材料としてポリビニルカルバゾール(PVCz)を、0.05:3:10の質量比で含むトルエン溶液を、スピンコート法により塗布した。塗膜を80℃で30分焼成することにより、厚み120nmの発光層を形成した。
発光層の表面に、フッ化セシウムを、10−4Paの減圧下で蒸着することにより、厚み1nmの層を形成し、さらに、アルミニウムを、10−4Paの減圧下で蒸着することにより、陰極を形成した。このようにして、有機電界発光素子を得た。有機電界発光素子の照射面積は、0.25cmとした。得られた有機電界発光素子は、UV硬化性樹脂を用いてキャビティガラス中に封止した。
得られた有機電界発光素子の評価は、浜松ホトニクス製C9920−11輝度配向特性測定装置を用いて実施した。電圧を印可した際の電流及び発光強度と電界発光スペクトルを測定し、最大輝度、電力効率、電流効率、外部量子効率、色度座標、EL波長を測定して特性評価を行った。素子性能評価の測定結果を表3に示す。
Figure 2014144931
表3から明らかなように、有機電界発光素子への電圧印可にともない、4.5Vにおいて発光し始め、15Vにおいて最大輝度585cd/mが得られた。得られた発光は国際照明委員会CIEの定める色度座標で(0.18,0.14)を示す青色発光であった。
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物は、モル吸光係数、蛍光量子効率及びストークスシフトが大きく、優れた光学特性を示し、さらに固体発光性が優れていることから、有機蛍光色素、蛍光性樹脂組成物及び有機電界発光素子発光材料として、好適に利用できる。

Claims (5)

  1. 下記の一般式(1)で表されることを特徴とするベンゾトリアゾール誘導体化合物。
    Figure 2014144931
    一般式(1)
    [式中Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す。R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜3のアルキルカルボキシル基、炭素数1〜8のアルキルカルボキシエステル基、アリール基、アシル基、スルホ基又はシアノ基を表すが、少なくともいずれかは炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。]
  2. 上記一般式(1)におけるR及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメトキシ基を表すが、少なくともいずれかがメトキシ基である請求項1記載のベンゾトリアゾール誘導体化合物。
  3. 請求項1,2のいずれかの項に記載のベンゾトリアゾール誘導体化合物を含有する有機蛍光色素。
  4. 樹脂に、請求項3に記載の有機蛍光色素を配合した蛍光性樹脂組成物。
  5. 請求項3に記載の有機蛍光色素を含有する有機電界発光素子発光材料。
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