JP2014142756A - 非接触icラベルおよび非接触icラベル付き物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非接触ICラベル1は、磁性シート10と、磁性シートの他方の面10bに第一の接着層31を介して第一の主面32aが取り付けられたフィルム状の基材32と、基材の第二の主面32bに配置されたグラウンド部33と、基材を貫通する孔部32c内に設けられグラウンド部と接続された貫通配線34と、基材における第一の主面側で貫通配線と接続されるとともに、インピーダンス整合回路部と接続された連結配線35と、基材における第二の主面側でグラウンド部を覆うように配置された第二の接着層36と、連結配線と第一の接着層との間で孔部を覆うように配置された剥離層37とを備える。
【選択図】図1
Description
たとえば、13.56MHz帯の電波を用いる電磁誘導方式のRFIDタグでは、アンテナと被接着体の間に高透磁率の磁性体(磁性シート)を設け、アンテナと被接着体との間にロスの少ない磁束のルートを確保することで、金属製の被接着体に取り付けても用いることができるRFIDタグを実現している。
しかしながら、この方法では、アンテナと被接着体との間に500μm程度の厚さの誘電体を用いたり、同程度の厚さの空気層を設けたりした場合では、アンテナと被接着体の間隔が狭すぎるため、金属製の被接着体の影響を強く受けてしまい通信不能となってしまう。よって、現状では薄手(厚さが500μm以下)のRFIDタグを作ることは難しいとされている。
一方で、不正規物品への対策として、被接着体に貼り付けられたRFIDタグを一度被接着体から剥がし、再び被接着体に貼り付けたときにRFIDタグの通信機能が動作しなくなるという貼り替え防止機能が望まれている。
本発明の非接触ICラベルは、磁性シートと、前記磁性シートの一方の面上に配置されたアンテナ部と、前記磁性シートの一方の面上に配置され、前記アンテナ部と接続されたインピーダンス整合回路部と、前記インピーダンス整合回路部に設けられたICチップと、前記磁性シートの他方の面に第一の接着層を介して自身の第一の主面が取り付けられたフィルム状の基材と、前記基材における前記第一の主面とは反対側の第二の主面に少なくとも一部が配置されたグラウンド部と、前記基材を前記磁性シートの厚さ方向に貫通する孔部内に設けられ、前記グラウンド部と接続された貫通配線と、前記基材における前記第一の主面側で前記貫通配線と接続されるとともに、前記インピーダンス整合回路部と接続された連結配線と、前記基材における前記第二の主面側で前記グラウンド部を覆うように配置された第二の接着層と、前記連結配線と前記第一の接着層との間であって、前記厚さ方向に見たときに前記孔部を覆うように配置された剥離層と、を備え、前記剥離層と前記連結配線との接着強度は、前記磁性シートと前記第一の接着層との接着強度、前記第一の接着層と前記剥離層との接着強度、前記連結配線と前記貫通配線との接続強度、前記貫通配線と前記グラウンド部との接続強度、前記グラウンド部と前記第二の接着層との接着強度、前記第二の接着層と被接着体との接着強度のいずれよりも小さいことを特徴としている。
また、上記の非接触ICラベルにおいて、前記第二の接着層は、前記基材に沿って引き伸ばされた状態で配置されていることがより好ましい。
また、上記の非接触ICラベルにおいて、データ読み取り装置との間の通信方式に電波方式を用いたことがより好ましい。
以下、本発明に係る非接触ICラベルの実施形態を図1から図7を参照しながら説明する。本非接触ICラベルは、不図示のデータ読み取り装置との間で非接触にて通信を行うものである。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の厚さや寸法の比率は適宜異ならせてある。
図1から図3に示すように、本実施形態の非接触ICラベル1は、磁性シート10と、磁性シート10の一方の面10a上に配置されたアンテナ部21、インピーダンス整合回路部22およびICチップ23と、磁性シート10の他方の面10bに第一の接着層31を介して第一の主面32aが取り付けられた基材32と、基材32の第二の主面32bに配置されたグラウンド部33と、基材32の孔部32c内に設けられた上下接続部(貫通配線)34と、上下接続部34およびインピーダンス整合回路部22と電気的に接続された接続部(連結配線)35と、基材32における第二の主面32b側でグラウンド部33を覆う第二の接着層36と、接続部35と第一の接着層31との間に配置された剥離層37とを備えている。
なお、本非接触ICラベル1と後述する金属板Wとで、本発明の非接触ICラベル付き物品6を構成する。
磁性シート10としては、磁性粒子、または磁性フレークとプラスチックまたはゴムとの複合材からなる、ラベル用途として柔軟性に富んだ公知の材料を用いることができる。
なお、厚さ方向Dに見たときの孔部32cの形状は円形状に限ることなく、例えば楕円形状や、四角形状などの多角形状などでもよい。
インピーダンス整合回路部22は、図3に示すように所定の形状に蛇行させた配線により形成されている。インピーダンス整合回路部22は、ICチップ23の不図示の電気接点に電気的に接続され、ICチップ23とアンテナ部21との間、およびICチップ23とグラウンド部33との間に、互いに等しい所定のインピーダンスおよび抵抗値が生じるように構成されている。
ICチップ23の厚さ方向Dの長さは例えば75〜150μmであることから、磁性シート10に厚さ方向Dに貫通する貫通孔を設け、その貫通孔の中にICチップ23が収容されるように構成してもよい。このように構成することで、ICチップ23が配置された部分の基材32が盛り上るのを防ぐことができる。
上下接続部34は、孔部32c内に、平面視で孔部32cと同一の形状に形成されている。すなわち、上下接続部34の厚さ方向Dの長さは、孔部32cの長さとほぼ等しく形成されている。上下接続部34は、グラウンド部33と電気的に接続されている。
このように、アンテナ部21等が印刷により形成された基材32は、磁性シート10に巻付けられた状態で磁性シート10の他方の面10bから磁性シート10の一方の面10aまで延びている。より具体的には、基材32は、図3および図4に示す折り線Lで第一の主面32aが内側となるように折り返され、磁性シート10を包み込むように配置されている。
接着層31、36、40は、平面視で磁性シート10とほぼ同一の矩形状に形成されている。接着層31、36、40の厚さは、10〜30μmである。接着層31、36、40は、電波を透過させるとともに後述する接着強度を有するものであれば、所望の誘電体を用いることができる。
第二の接着層36は、基材32の第二の主面32bに沿って引き伸ばされた状態で配置されている。すなわち、重力以外の外力が作用しない自然状態では、平面視で第二の接着層36は、第二の主面32bに沿うとともに互いに直交する2つの方向のそれぞれにおいて、磁性シート10よりもわずかに小さく形成されている。この第二の接着層36を前述の2つの方向にそれぞれ引き伸ばした状態で、基材32の第二の主面32bに取り付けている。基材32に取り付けられた第二の接着層36には、前述の2つの方向にそれぞれ縮もうとする残留応力が生じている。
本非接触ICラベル1は、後述するように第二の接着層36を金属板(被接着体)Wに貼り付けて用いられる。
言い換えると、図5に示した磁性シート10から金属板Wまでの接着・接続状態において、平面視で上下接続部34に重なる範囲となる領域R1では、部材間の接着・接続強度は剥離層37と接続部35との接着強度が最も小さくなっている。
言い換えると、領域R2では、部材間の接着・接続強度は第二の接着層36と金属板Wとの接着強度が最も小さくなっている。
なお、第一の接着層31、グラウンド部33、接続部35および第二の接着層36は充分に薄く形成されているため、後述するように金属板Wに貼り付けられた非接触ICラベル1を金属板Wから剥したときに、容易に破れるようになっている。
すなわち、放射面であるアンテナ部21が、接地面であるグラウンド部33に対して平行に配置されている。さらに、アンテナ部21の周りは、外部のデータ読み取り装置と対向する面側は基材32を挟んで空気であるが、アンテナ部21の裏面側には第三の接着層40を介して磁性シート10が配置されている。さらにその薄い磁性シート10を介してグラウンド部33が配置されている。このため、本実施形態の非接触ICラベル1と、前述の一般的な条件におけるモノポールアンテナとで、効果および作用は異なっていると考えられる。
グラウンド部33と金属板Wとが静電容量結合する条件としては、UHF帯の周波数帯域で通信する場合であれば、グラウンド部33のうち金属板Wに対向する部分の面積が、例えば、10〜20mm2程度であれば充分に結合する。よって、平面視でグラウンド部33は、必ずしもアンテナ部21よりも大きくする必要はない。
金属板Wに貼り付けられた非接触ICラベル1の磁性シート10を金属板Wから剥すと、前述のように第一の接着層31、グラウンド部33、接続部35および第二の接着層36が破れやすく、さらに部材間の接着・接続強度が前述のように設定されているため、以下のようになる。
すなわち、図6に示すように、領域R1では剥離層37と接続部35とが分離する。領域R2では第二の接着層36と金属板Wとが分離する。基材32から上下接続部34が分離する。平面視で上下接続部34の縁部に重なる部分を境界として、グラウンド部33、接続部35および第二の接着層36の一部が平面視で円形状に分離して、それぞれグラウンド片33a、接続部片35aおよび接着層片36aとなる。
接着層片36aによりグラウンド片33a、上下接続部34および接続部片35aが金属板Wに貼り付けられた状態で残る。
一方で、第二の接着層36から接着層片36aが分離することで第二の接着層36に形成された貫通孔36bは、第二の接着層36内の残留応力により、接着層片36aが分離した直後よりも前述の2つの方向にそれぞれ拡径するように変形する。グラウンド片33a、接続部片35aが分離することでグラウンド部33、接続部35に形成された貫通孔33b、35b、および基材32の孔部32cも分離した直後よりも拡径するように変形する。
接着層片36aよりも第二の接着層36の方が厚さ方向Dに長いため、剥離層37に接続部片35aは接触せず剥離層37と接続部片35aとが分離したままになる。接着層片36a、グラウンド片33a、上下接続部34および接続部片35aの外径は、貫通孔36b、貫通孔33b、孔部32c、貫通孔35bの内径よりもそれぞれ小さいため、接着層片36a、グラウンド片33a、上下接続部34および接続部片35aは第二の接着層36、グラウンド部33、基材32および接続部35にそれぞれ接触せず分離したままになる。
よって、金属板Wに非接触ICラベル1を再び貼り付けても、接続部35と上下接続部34、グラウンド部33と上下接続部34の2カ所で回路が切断し、再生(再接続)しない。その結果、非接触ICラベル1の通信機能が動作しなくなる。
非接触ICラベル1を金属板Wからに無理に剥がそうとすると、通信機能が動作しなくなるため、非接触ICラベル1を使い回して偽造するなどの不正行為を防止することができる。
通常(従来)の1/2波長ダイポールアンテナを搭載したラベルと比較すると、放射アンテナはアンテナ部21だけなので、非接触ICラベル1を小型にすることができる。
金属板Wに貼り付けられた非接触ICラベル1を一度金属板Wから剥がし、再び金属板Wに貼り付けたときに、接着層片36aよりも第二の接着層36の方が厚さ方向Dに長くなる。接続部35と上下接続部34、グラウンド部33と上下接続部34が電気的に接続しなくなり、通信機能が動作しなくなるという貼り替え防止機能を非接触ICラベル1に備えることができる。
第二の接着層36は、基材32に沿って引き伸ばされた状態で配置されている。このため、基材32から上下接続部34を分離したときに平面視で接着層片36a、グラウンド片33a、上下接続部34および接続部片35aが縮径するように変形するとともに、貫通孔36b、貫通孔33b、孔部32cおよび貫通孔35bが拡径するように変形する。したがって、一度金属板Wから剥がした非接触ICラベル1を再び金属板Wに貼り付けたときに、接続部35と上下接続部34、グラウンド部33と上下接続部34をより確実に電気的に接続しないようにすることができる。
次に、本発明の第2実施形態について図8から図10を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図8から図10に示すように、本実施形態の非接触ICラベル2は、第1実施形態の非接触ICラベル1の各構成に加えて、上下接続部51、52、剥離層53、54を備えている。なお、図8においては、説明の便宜のため、上下接続部51、52、剥離層53、54の位置を磁性シート10の他方の面10bに平行にずらして示している。
上下接続部34と上下接続部51とは、基材32の第二の主面32b側において連結補助配線57により電気的に接続されている。上下接続部51と上下接続部52とは、基材32の第一の主面32a側において連結補助配線58により電気的に接続されている。上下接続部52は、グラウンド部33に電気的に接続されている。
上下接続部51、52、連結補助配線57、58は、上下接続部34と同様に銀ペーストインキをスクリーン印刷することや、エッチング処理をすることなどで形成されている。
剥離層53、54は、連結補助配線58と第一の接着層31との間に配置されている。平面視において、剥離層53、54は上下接続部51、52とそれぞれ同一の形状に形成されている。
前述の第1実施形態の非接触ICラベル1では再生せずに分離したままになる部分が2カ所なのに対して、本実施形態の非接触ICラベル2では6カ所に増える。
なお、本実施形態の非接触ICラベル2は、3つの上下接続部34、51、52を備えた。しかし、非接触ICラベル2が備える上下接続部の数、磁性シート10に対する上下接続部の位置、上下接続部の形状などは特に限定されない。非接触ICラベル2が備える上下接続部の数は、2つでも4つ以上でもよい。
例えば、前記第1実施形態および第2実施形態では、基材32は、磁性シート10の他方の面10bから一方の面10aまで延びているとした。しかし、基材32の形状はこれに限定されず、基材32が磁性シート10の他方の面10bのみに配置されるように構成してもよい。この場合、非接触ICラベル1に第三の接着層40は備えられない。
前記第1実施形態および第2実施形態では、第二の接着層36は、基材32に沿って引き伸ばされた状態で基材32に貼り付けられているとした。しかし、第二の接着層36が引き伸ばされることなく基材32に貼り付けてもよい。このように構成しても、磁性シート10を金属板Wから剥すときに接着層片36aよりも第二の接着層36の方が厚さ方向Dに長くなり、金属板Wに非接触ICラベル1を再び貼り付けたときに接続部35と上下接続部34が分離したままになるからである。
被接着体としては、金属板W以外にも、少なくとも一部に金属部材を有するものを好適に用いることができる。ここで言う金属部材とは、部材における重量比50%を超える部分が固体の金属で形成されているもののことを意味する。このような被接着体としては、例えば、自動車用コンプレッサー(圧縮機)、ワインボトルの金属箔部分、医療機器、分析装置、金属製交換部品などを挙げることができる。ここで言う金属製交換部品とは、ブランドプロテクション用途向けの比較的高価であり、偽造されやすい部品のことを意味する。
6 非接触ICラベル付き物品
10 磁性シート
10a 一方の面
10b 他方の面
21 アンテナ部
22 インピーダンス整合回路部
23 ICチップ
31 第一の接着層
32 基材
32a 第一の主面
32b 第二の主面
32c 孔部
33 グラウンド部
34、51、52 上下接続部(貫通配線)
35 接続部(連結配線)
36 第二の接着層
37、53、54 剥離層
40 第三の接着層
D 厚さ方向
W 金属板(被接着体)
Claims (5)
- 磁性シートと、
前記磁性シートの一方の面上に配置されたアンテナ部と、
前記磁性シートの一方の面上に配置され、前記アンテナ部と接続されたインピーダンス整合回路部と、
前記インピーダンス整合回路部に設けられたICチップと、
前記磁性シートの他方の面に第一の接着層を介して自身の第一の主面が取り付けられたフィルム状の基材と、
前記基材における前記第一の主面とは反対側の第二の主面に少なくとも一部が配置されたグラウンド部と、
前記基材を前記磁性シートの厚さ方向に貫通する孔部内に設けられ、前記グラウンド部と接続された貫通配線と、
前記基材における前記第一の主面側で前記貫通配線と接続されるとともに、前記インピーダンス整合回路部と接続された連結配線と、
前記基材における前記第二の主面側で前記グラウンド部を覆うように配置された第二の接着層と、
前記連結配線と前記第一の接着層との間であって、前記厚さ方向に見たときに前記孔部を覆うように配置された剥離層と、
を備え、
前記剥離層と前記連結配線との接着強度は、前記磁性シートと前記第一の接着層との接着強度、前記第一の接着層と前記剥離層との接着強度、前記連結配線と前記貫通配線との接続強度、前記貫通配線と前記グラウンド部との接続強度、前記グラウンド部と前記第二の接着層との接着強度、前記第二の接着層と被接着体との接着強度のいずれよりも小さいことを特徴とする非接触ICラベル。 - 前記基材は、前記磁性シートの他方の面から前記磁性シートに巻付けられた状態で前記磁性シートの一方の面まで延び、
前記基材に、前記アンテナ部、前記インピーダンス整合回路部、および前記グラウンド部が一体に形成され、
前記磁性シートの一方の面に前記基材を取り付ける第三の接着層を備えることを特徴とする請求項1に記載の非接触ICラベル。 - 前記第二の接着層は、前記基材に沿って引き伸ばされた状態で配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の非接触ICラベル。
- データ読み取り装置との間の通信方式に電波方式を用いたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の非接触ICラベル。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の非接触ICラベルと、
前記被接着体と、を備えることを特徴とする非接触ICラベル付き物品。
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