以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお、図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。
ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。そこで、ソースとして機能する部分、及びドレインとして機能する部分を、ソース又はドレインと呼ばず、ソースとドレインとの一方を第1電極と表記し、ソースとドレインとの他方を第2電極と表記する場合がある。
なお、本明細書等にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
なお、本明細書等において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
なお、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
なお、図面におけるブロック図の各回路ブロックの配置は、説明のため位置関係を特定するものであり、異なる回路ブロックで別々の機能を実現するよう示していても、実際の回路や領域においては同じ回路や同じ領域内で別々の機能を実現しうるように設けられている場合もある。また、図面におけるブロック図の各回路ブロックの機能は、説明のため機能を特定するものであり、一つの回路ブロックとして示していても、実際の回路や領域においては一つの回路ブロックで行う処理を、複数の回路ブロックで行うよう設けられている場合もある。
なお、画素とは、一つの色要素(例えばR(赤)G(緑)B(青)のいずれか1つ)の明るさを制御できる表示単位に相当するものとする。従って、カラー表示装置の場合には、カラー画像の最小表示単位は、Rの画素とGの画素とBの画素との三画素から構成されるものとする。ただし、カラー画像を表示するための色要素は、三色に限定されず、三色以上を用いても良いし、RGB以外の色を用いても良い。
本明細書等において、表示装置は表示素子を含む。表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(発光表示素子ともいう)、電気泳動素子、エレクトロウェッティング素子などを用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)素子、有機EL素子等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに、該表示装置を作製する過程における、表示素子が完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を表示素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、表示素子の画素電極のみが形成された状態であっても良いし、画素電極となる導電膜を形成した後であって、エッチングして画素電極を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
なお、本明細書等において、表示装置とは、画像表示デバイス、もしくは光源(照明装置を含む)を指す。また、コネクタ、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示パネル(表示部ともいう)にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る表示装置が有する表示部の構成及び駆動方法について、図1乃至図9を参照して説明する。なお、本実施の形態では、表示装置として、液晶素子を有する液晶表示装置について説明する。
まず、図1(A)に、表示部に設けられる画素の等価回路の一例について示す。図1(A)に示すように、画素120は、トランジスタ121、表示素子122、及び容量素子123を含む。なお、画素120は、トランジスタ、表示素子、及び容量素子の他、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタなどを有していてもよい。
図1(A)に示すように、トランジスタ121のゲートは、第1の配線Gと電気的に接続される。また、トランジスタ121のソース及びドレインの一方は、第2の配線Sと電気的に接続され、トランジスタ121のソース及びドレインの他方は、表示素子122の第1の電極に電気的に接続される。第1の配線Gには、第1の駆動信号が入力される。第1の駆動信号は、例えば、走査信号である。第2の配線Sには、第2の駆動信号が入力される。第2の駆動信号は、例えば、データ信号である。
表示素子122として、例えば、液晶素子等を適用することができる。例えば、液晶素子は、第1の電極及び第2の電極、並びに第1の電極と第2の電極との間の電圧が印加される液晶材料を含む液晶層を有する。液晶素子は、第1の電極と第2の電極との間に印加される電圧に従って、液晶分子の配向が変化して透過率が変化する。よって、液晶素子は、第2の駆動信号の電位によって、その透過率が制御されることで画像が表示される。
トランジスタ121は、表示素子122の第1の電極に、第1の配線Gの電位を与えるか否かを制御する。トランジスタ121としては、酸化物半導体を用いたトランジスタを適用することができる。当該トランジスタはオフ電流が極めて低く、トランジスタによるオフ電流をほとんど無視することができる。なお、酸化物半導体を用いたトランジスタについては、後の実施の形態で詳述する。ただし、本発明の一態様はこれに限定されず、場合によっては、または、状況に応じて、トランジスタ121として、酸化物半導体を用いていないトランジスタ、例えば、シリコンを用いたトランジスタを適用してもよい。
酸化物半導体を用いたトランジスタのオフ電流は、1zA未満であり、極めて小さい。当該トランジスタをトランジスタ121に適用にすることにより、トランジスタ121からのリークを防止することができる。よって、画素120において、信号を長期間保持することが可能となる。これにより、同一画像(静止画像)を連続して表示する場合、同一画像の書き換え回数を低減することができる。例えば、表示部において、画像の書き換えを、1日に1回以上1秒間に0.1回未満の頻度、好ましくは1時間に1回以上1秒間に1回未満の頻度とすることができる。そのため、目に優しい表示を行うことができる。
次に、本発明の一態様に係る表示部の駆動方法について説明する。
図1(B)に、複数の画素120が電気的に接続された第2の配線Sを示す。複数の画素120において、1フレーム期間に、全ての奇数行(又は偶数行)の画素を順に選択して、一方の極性の画像信号を書き込む。その次に、全ての偶数行(又は奇数行)の画素を順に選択して他方の極性の画像信号を書き込む。本実施の形態では、フレーム周波数が30Hz以下、好ましくは0.2Hz以下で表示を行う場合について説明する。
なお、全ての奇数行(又は偶数行)の画素への信号の入力が終わったあと、すぐに、全ての偶数行(又は奇数行)の画素への信号の入力を開始しても良い。これにより、スミアなどの表示ムラを低減することが出来る。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、全ての奇数行(又は偶数行)の画素への信号の入力が終わったあと、しばらく所定の期間を空けてから、全ての偶数行(又は奇数行)の画素への信号の入力を開始しても良い。このように、所定の期間を空けることにより、画素への信号の入力回数を減らすことが出来る。従って、消費電力を低減することが出来る。また、所定の期間を空けたとしても、活性層として酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることにより、表示のちらつきの影響を低減することが出来る。
なお、次のフレーム期間においては、全ての奇数行(又は偶数行)の画素を順に選択して、他方の極性の画像信号を書き込む。その次に、全ての偶数行(又は奇数行)の画素を順に選択して、一方の極性の画像信号を書き込む。または、次のフレーム期間においては、全ての偶数行(又は奇数行)の画素を順に選択して、一方の極性の画像信号を書き込む。その次に、全ての奇数行(又は偶数行)の画素を順に選択して、他方の極性の画像信号を書き込む。これらを行うことにより、1つの画素には、2回のフレーム期間中には、一方の極性の画像信号と、他方の極性の画像信号とが入力されることになるため、表示不良を低減することが出来る。
例えば、第1のフレーム期間において、第2の配線Sには、奇数行の画素を順に選択して画像を書き込む間、正極性(又は負極性)の第2の駆動信号が入力される。その後に(又は、その前に)、偶数行の画素120を順に選択して画像を書き込む間、負極性(又は正極性)の第2の駆動信号が入力される。上述の駆動方法によれば、奇数行の画素に第2の駆動信号を入力されている間は、または、偶数行の画素に第2の駆動信号を入力されている間は、第2の配線Sには、極性が同一となる画素に順に信号が入力されることになる。そのため、第2の駆動信号の振幅値が小さくなり、消費電力を低減することができる。なお、極性の反転は、奇数行(又は偶数行)の走査から偶数行(又は奇数行)の走査に切り替わるタイミングで行われる。したがって、第2の駆動信号の極性の反転の頻度が、非常に少なくなり、消費電力を低減することができる。なお、奇数行の画素と偶数行の画素とに信号が入力された後では、つまり、第1のフレーム期間が終了した後では、第2の配線Sに電気的に接続された複数の画素において、上下に隣り合う画素の印加電圧の正負の極性は反転されていることになる。このように、第2の配線S上の隣接する画素120に対する第2の駆動信号の極性を互いに反転させることができる。その結果、ノイズがキャンセルされ、スミアなどの表示ムラを低減することができる。
また、図1(C)に、複数の画素120が電気的に接続された第2の配線S1、及び複数の画素120が電気的に接続された第2の配線S2を示す。図1(B)と同様に、複数の画素120において、全ての奇数行(又は偶数行)の画素を順に選択して画像を書き込み、次に、全ての偶数行(又は奇数行)の画素を順に選択して画像を書き込む。そして、第2の配線S1には、奇数行の画素を順に選択して画像を書き込む間、正極性の第2の駆動信号が入力され、偶数行の画素を順に選択して画像を書き込む間、負極性の第2の駆動信号が入力される。また、第2の配線S2には、奇数行の画素を順に選択して画像を書き込む間、負極性の第2の駆動信号が入力され、偶数行の画素を順に選択して画像を書き込む間、正極性の第2の駆動信号が入力される。また、第2の配線S1または第2の配線S2に電気的に接続された複数の画素において、上下に隣り合う画素の印加電圧の正負の極性は反転する。このように、第1の配線G1上の隣接する画素に対する第2の駆動信号の極性を互いに反転させるとともに、奇数行の第1の配線Gと、偶数行の第1の配線Gとで、隣接する画素に対する第2の駆動信号の極性も互いに反転させることができる。
本発明の一態様に係る表示装置では、例えば、全ての奇数行の画素を順に選択して画像を書き込んだ後、表示素子にかかる電圧を数秒間保持することができる。その後、全ての偶数行の画素を順に選択して画像を書き込んだ後、表示素子にかかる電圧を数秒間保持することができる。これにより、表示された静止画において、画像の書き換え回数を低減することができる。また、複数の画素に、信号を出力し続けなくてもよいため、表示装置の消費電力を低減することができる。また、使用者は同じ画像を見ることが可能となり、知覚される画面のチラツキが低減される。
その場合、全ての奇数行(又は偶数行)の画素を順に選択して画像を表示する場合、同じ極性の画像信号を入力することによって、消費電力を低減することができる。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、異なる極性の画像信号を入力することも可能である。
または、本発明の一態様に係る表示装置では、例えば、全ての奇数行の画素を順に選択して画像を書き込んだ後、すぐに、全ての偶数行の画素を順に選択して画像を書き込んで、その後、表示素子にかかる電圧を数秒間保持することができる。これにより、表示された静止画において、画像の書き換え回数を低減することができる。また、複数の画素に、信号を出力し続けなくてもよいため、表示装置の消費電力を低減することができる。また、使用者は同じ画像を見ることが可能となり、知覚される画面のチラツキが低減される。
また、上記のようにして表示装置を駆動させることにより、入力される信号の極性が互いに異なる画素を隣接して配置することにより、画素の輝度が空間的に平均化されるため、表示装置におけるチラツキを抑制することができる。また、第2の配線Sにおける極性反転回数を抑えられ、表示素子の充放電回数が低減されることで、表示装置における消費電力を低減することができる。
なお、画像の書き換え頻度は、上記に限定されず、1秒間に30回以上、好ましくは1秒間に60回以上960回未満としてもよい。また、フレーム周波数を、60Hz以上としてもよい。本発明の一態様に係る表示装置では、表示装置の動作中に、画像の書き換え頻度を変更することが可能である。
なお、図1において、全ての奇数行の画素を順に選択して画像を書き込んだ後、全ての偶数行の画素を順に選択して画像を書き込む場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、各行の画素を順に選択して、画像を書き込むことも可能である。
図2に、表示装置における表示部201(表示パネルともいう)の回路図を示す。図2に示すように、表示部201は、画素部202、第1の駆動回路203a、203b、第2の駆動回路204を有する。
画素部202は、複数の第1の配線G1〜Gyと、複数の第2の配線S1〜Sxと、複数の画素120(1,1)〜120(x,y)と、を有する。図2では、画素部202には、y本の第1の配線G1〜Gyと、x本の第2の配線S1〜Sxと、縦y個×横x個のマトリクス状に設けられた複数の画素120(1,1)〜120(x,y)を示している。y本の第1の配線G1〜Gyは、ゲート線として機能し、x本の第2の配線S1〜Sxは、データ線として機能する。y本のうち奇数行に配置された第1の配線は、第1の駆動回路203aに電気的に接続され、偶数行に配置された第1の配線は、第1の駆動回路203bに電気的に接続される。また、x本の第2の配線S1〜Sxは、第2の駆動回路204に電気的に接続される。
第1の駆動回路203a、203bは、第1の配線G1〜Gyに、第1の駆動信号を出力する機能を有する。第1の駆動回路203a、203bは、走査信号線駆動回路として機能し、第1の駆動信号として走査信号を出力する機能を有する。また、第1の駆動回路203a、203bは、複数の第1の配線G1〜Gyを順次選択するための第1の駆動信号を、複数の第1の配線G1〜Gyに出力する機能を有する。図2では、第1の駆動回路203aは、奇数行の第1の配線を順次選択するための第1の駆動信号を、奇数行の第1の配線に出力する機能を有し、第1の駆動回路203bは、偶数行の第1の配線G1〜Gyを順次選択するための第1の駆動信号を、偶数行の第1の配線G1〜Gyに出力する機能を有する。
第2の駆動回路204は、第2の配線S1〜Sxに、第2の駆動信号を出力する機能を有する。第2の駆動回路204は、データ信号線駆動回路、または映像信号駆動回路として機能し、第2の駆動信号としてデータ信号を出力する機能を有する。また、第2の駆動回路204は、表示部201における画素部202にデータを書き込むための第2の駆動信号を、複数の第2の配線S1〜Sxに出力する機能を有する。
なお、図2では、第1の駆動回路が2つ設けられている場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、Nの倍数毎の行の画素に着目して、駆動させる場合、第1の駆動回路をN個設けても良い。これにより、個々の駆動回路の構成をシンプルにすることができる。
図3に、第1の駆動回路203a、203b、及び第2の駆動回路204における波形を示す。図3に示すSP1は、第1の駆動回路203aに入力されるスタート信号であり、GL1、GL3、GL5、・・・、GLx−1は、第1の駆動回路203aから奇数行の第1の配線GL1、GL3、GL5、・・・、GLx−1に出力される第1の駆動信号である。SP2は、第1の駆動回路203aに入力されるスタート信号であり、GL2、GL4、GL6、・・・、GLxは、第1の駆動回路203bから偶数行の第1の配線G2、G4、G6、・・・、GLxに出力される第1の駆動信号である。また、DATA1は、第2の駆動回路204から奇数列の第2の配線に出力される第2の駆動信号であり、DATA2は、第2の駆動回路204から偶数列の第2の配線に出力されるデータ信号である。なお、第2の駆動回路204から供給される信号は、アナログ値であることが望ましい。ただし、本発明の一態様は、これに限定されず、デジタル値であってもよい。
図3に示すように、第1の駆動回路203aにSP1としてハイレベルの信号が入力されると、第1の駆動回路203aは、G1、G3、G5、・・・、Gx−1などの奇数行の第1の配線を順に選択するように、ハイレベルの信号を順に出力する。その後、第1の駆動回路203bにSP2としてハイレベルの信号が入力されると、第1の駆動回路203bは、G2、G4、G6、・・・、Gxなどの偶数行の第1の配線を順に選択するように、ハイレベルの信号を順に出力する。第2の駆動回路204は、SP1としてハイレベルの信号が入力されると、DATA1として正極(ハイレベル)の信号または負極(ローレベル)の信号を出力し、SP2として正極(ハイレベル)の信号が入力されると、負極(ローレベル)の信号または正極(ハイレベル)の信号を出力する。なお、表示素子がアナログ階調表示を行う場合には、DATA1およびDATA2は、アナログ値であることが望ましい。よって、表示される画像に応じて、電圧の大きさはアナログ的に変化する。
以上のようにして、表示部201に画像を表示することができる。
本発明の一態様に係る表示装置では、第1の駆動回路203aから出力された第1の駆動信号によって、全ての奇数行(または偶数行)の画素が順に選択される。この間に、第2の駆動信号として正極性(または負極性)の信号が選択された画素に入力され、数秒間保持される。次に、第1の駆動回路203bから出力された第1の駆動信号によって、全ての偶数行(または奇数行)の画素が順に選択される。この間に、第2の駆動信号として、負極性(または正極性)の信号が選択された画素に入力され、数秒間保持される。そして、再び、第1の駆動回路203aから出力された第1の駆動信号によって、全ての奇数行(または偶数行)の画素が順に選択される。
複数の第1の配線G1〜Gyにおいて、奇数行の第1の配線を順番に駆動する走査と、偶数行の第1の配線を順番に駆動する走査とが、交互に行われる。また、奇数行の第1の配線を順番に駆動する走査の後、第1の駆動回路203aは、所定の期間、第1の駆動信号の出力を停止する。その後、偶数行の第1の配線を順番に駆動する走査の後、第1の駆動回路203bは、所定の期間、第1の駆動信号の出力を停止する。このようにして表示装置を駆動させることにより、表示された静止画において、画像の書き換え回数を低減することができる。また、複数の画素に、信号を出力し続けなくてもよいため、表示装置の消費電力を低減することができる。また、使用者は同じ画像を見ることが可能となり、知覚される画面のチラツキが低減される。
また、図2に示す表示部201では、第1の駆動回路203aによって奇数行の第1の配線を順番に駆動する走査を行った後、第1の駆動信号の出力を停止する期間と、第2の駆動回路203bによって偶数行の第1の配線を順番に駆動する走査を行った後、第1の駆動信号の出力を停止する期間とが重なっていてもよい。本発明の一態様に係る表示装置では、画素120において、入力された信号を保持することができる。よって、奇数行の第1の配線に出力される信号の停止期間と、偶数行の第1の配線に出力される信号の停止期間とが重なった場合であっても、表示部201に静止画像を良好に表示することができる。
図9に、図2に示す表示部201における画素120の構成例を示す上面図を示す。図9では、FFSモードの画素構造を示す。
図9に示すように、画素部202には、複数のトランジスタ371が配置されている。基板上に配線361a及び配線361bが設けられ、配線361a及び配線361bと交差して配線363a及び酸化物半導体層362が配置される。また、配線361a及び配線361bと、と酸化物半導体層362との間には、ゲート絶縁膜が配置されている。酸化物半導体層362は、配線363aと電極363bに接している。なお、配線361aは、第1の配線Gに相当し、配線363aは、第2の配線Sに相当する。
図9では、図示されていないが、トランジスタ371上には、保護膜や平坦化膜が配置されていてもよい。この場合、保護膜や平坦化膜上には、コモン電極364が配置されている。コモン電極364は、開口部を有しており、当該開口部にて、電極363bと接している。また、コモン電極364上には絶縁膜(図示せず)が配置されており、当該絶縁膜上には画素電極365が配置されている。画素電極365は、前記絶縁膜に形成された開口部にて、コモン電極364と接している。
図9においては、FFSモードの画素構造の例について示したが、本発明の一態様に係る表示装置ではこれに限定されず、様々な画素構造を適用することができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、表示装置における表示部の様々な態様について説明する。
図4に、表示部の一態様について示す。図4に示す表示部211は、画素部202、第2の駆動回路204、制御装置205、複数の配線12a〜12x、スイッチ13a〜13xを有する。なお、図4では、第1の駆動回路や、複数の第1の配線G1〜Gyなどを省略して図示している。
画素部202は、複数の第2の配線S1〜Sxと、複数の画素120(1,1)〜120(x,y)と、を有する。図4では、画素部202には、x本の第2の配線S1〜Sxと、縦y個×横x個のマトリクス状に設けられた複数の画素120(1,1)〜120(x,y)が配置されている。
図4に示す表示部211では、複数の第2の配線S1〜Sxにおいて、奇数列の第2の配線Sは、それぞれスイッチ13a、13c、・・・、13(x−1)を介して配線11aに電気的に接続されており、偶数列の第2の配線Sは、それぞれスイッチ13b、13d、・・・、13xを介して配線11bに電気的に接続される。また、配線11a及び配線11bは、それぞれ第2の駆動回路204に電気的に接続される。また、制御装置205は、配線12a〜12xと電気的に接続される。
複数の第2の配線S1〜Sxにそれぞれ電気的に接続されたスイッチ13a〜13xは、配線12a〜12xに入力される信号によって、オンまたはオフが制御される。例えば、第2の駆動回路204から奇数列の第2の配線Sに、第2の駆動信号を出力する場合は、制御装置205は、奇数列の配線12a、12c、・・・、12(x−1)に、スイッチ13a、13c、・・・、13(x−1)がオンとなるような信号(例えば、ハイレベル電位)を出力する。また、第2の駆動回路204から偶数列の第2の配線Sに、第2の駆動信号を出力する場合は、制御装置205は、偶数列の配線12b、12d、・・・、12xに、スイッチ13b、13d、・・・、13xがオンとなるような信号(例えば、ハイレベル電位)を出力する。
このような構成とすることにより、所定の期間の間、配線11aには、一方の極性の画像信号が供給され、配線11bには、他方の極性の画像信号が供給されることとなる。そのため、画像信号の振幅を小さくすることができ、消費電力を低減することが出来る。
なお、配線12aと配線12bとをまとめて、1本の配線としてもよい。それにより、スイッチ13aとスイッチ13bとは、同時にオンオフされる。同様に、配線12cと配線12dとをまとめて、1本の配線としてもよい。それにより、スイッチ13cとスイッチ13dとは、同時にオンオフされる。これにより、配線の数を減らすことが出来る。
図5に、図4とは異なる表示部の一態様について示す。図5に示す表示部221は、画素部202、第1の駆動回路203、第2の駆動回路204、制御装置205、複数の配線14a〜14(y/2)、配線17、スイッチ16a〜16y、スイッチ19a〜19y、及びインバータ18を有する。
画素部202には、複数の第1の配線G1〜Gyと、複数の第2の配線S1〜Sxと、複数の画素120と、を有する。図5でも、図4と同様に、複数の画素120(1,1)〜120(x,y)が、縦y個×横x個のマトリクス状に配置されている。
図5に示す表示部221では、複数の第1の配線G1〜Gyにおいて、奇数行の第1の配線Gと、偶数行の第1の配線Gとが、それぞれスイッチを介して配線14と電気的に接続されている。また、配線14a〜14(y/2)は、第1の駆動回路203と電気的に接続される。例えば、第1の配線G1は、第1の配線G2と、それぞれスイッチ16a、16bを介して配線14aと電気的に接続される。また、制御装置205は、配線17と電気的に接続される。また、複数の第1の配線G1〜Gyは、それぞれスイッチ19a〜19yを介して接地される。
複数の第1の配線G1〜Gyにそれぞれ電気的に接続されたスイッチ16a〜16y及びスイッチ19a〜19yは、配線17に入力される信号によって、オン又はオフが制御される。図5に示す表示部221では、奇数行の第1の配線G1、G3、・・・、G(y−1)と電気的に接続されるスイッチ16a、16c、・・・、16(y−1)は、制御装置205から出力された信号PSWが入力され、偶数行の第1の配線G2、G4、・・・、Gyと電気的に接続されるスイッチ16b、16d、・・・、16yは、制御装置205から出力された信号が反転された信号PSWBが入力される。また、奇数行の第1の配線G1、G3、・・・、G(y−1)と電気的に接続されるスイッチ19a、19c、・・・、19(y−1)は、制御装置205から出力された信号が入力され、偶数行の第1の配線G2、G4、・・・、Gyと電気的に接続されるスイッチ19b、19d、・・・、19yは、制御装置205から出力された信号が反転された信号が入力される。
したがって、制御装置205から出力された信号が、例えば、ハイレベル電位である場合、スイッチ16a、スイッチ19aはオンとなり、スイッチ16b、スイッチ19bがオフとなる。
なお、図5では、例えば、配線14aは、2つのスイッチ(スイッチ16aとスイッチ16b)と接続され、2つの経路に分かれているが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、配線14aは、M個のスイッチと接続され、M個の経路に分かれていてもよい。ここで、Mは自然数である。
図5に示す表示部221では、上記のようにして、複数の第1の配線G1〜Gyと第1の駆動回路203との接続を制御するため、図2に示す表示部201のように、第1の駆動回路203を複数設ける必要がなくなる。そのため、回路の面積を小さくすることが可能となる。また、駆動回路の個数を減らすことができるため、消費電力を低減することが出来る。
図6に、図4及び図5とは異なる表示部の一態様について示す。図6に示す表示部231は、画素部202、第2の駆動回路204、第2の配線S1〜Sx、配線12a〜12f、スイッチ13a〜13xを有する。なお、図6においては、第2の配線S1〜S12、スイッチ13a〜13fを図示する。
なお、配線11a、配線11cには、一方の極性の画像信号が供給され、配線11b、配線11dには、他方の極性の画像信号が供給されてもよい。または、配線11a、配線11b、配線11c、配線11dには、同じ極性の画像信号が供給されてもよい。これにより、画像信号の振幅を小さくすることができ、消費電力を低減することが出来る。ただし、第2の配線S1〜Sxにおいて、各列毎に極性が異なる画像信号が供給されるようにして、表示ムラやちらつきを低減することも可能である。
図6に示す表示部231では、複数の第2の配線S1〜Sxにおいて、第2の配線S1、S2、S3は、それぞれスイッチ13a、13b、13cを介して配線11aに電気的に接続されており、第2の配線S4、S5、S6は、それぞれスイッチ13d、13e、13fを介して配線11bに電気的に接続されている。また、第2の配線S7、S8、S9は、それぞれスイッチ13g、13h、13iを介して配線11cに電気的に接続され、第2の配線S10、S11、S12は、それぞれスイッチ13j、13k、13lを介して配線11dに電気的に接続される。
第2の配線S1〜Sxにそれぞれ電気的に接続されたスイッチ13a〜13xは、配線12a〜12fに入力される信号によって、オン又はオフが制御される。図6に示す表示部231では、第2の配線S1〜Sxと電気的に接続されるスイッチは、制御装置(図6では図示せず)から出力された信号が入力される。
例えば、配線12aに、ハイレベル電位の信号が入力されると、スイッチ13a、13gがオンとなり、第2の配線S1及び第2の配線S7に、第2の駆動信号が入力される。また、配線12bに、ハイレベル電位の信号が入力されると、スイッチ13b、13hがオンとなり、第2の配線S2、第2の配線S8に、第2の駆動信号が入力される。つまり、第2の配線S1〜Sxにおいて、6ラインを飛び越しで第2の駆動信号が入力される。
画素部202において、トランジスタ121として、酸化物半導体を用いたトランジスタを有するため、表示素子において、長時間の電圧の保持が可能となる。よって、6ライン飛び越し書き込みを行った場合であっても、表示素子における透過率の変動を抑制することができるため、表示部231におけるチラツキが抑制される。
本発明の一態様に係る表示部において、図4乃至図6を適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、表示部における画素部の様々な態様について説明する。
図7に、画素部の一態様について示す。図7に示す画素部212は、第1の配線G1〜Gy、第2の配線S1〜Sx、及び複数の画素120を有する。先の実施の形態に示す画素部と異なる点は、第2の配線S1〜Sxと、複数の画素120との接続関係にある。
図7に示す画素部212では、奇数行の第1の配線Gにおいては、奇数列の第2の配線Sに画素120が電気的に接続され、偶数行の第1の配線Gにおいては、偶数列の第1の配線Sに画素120が電気的に接続される。
図7に示す画素部212は、図1(C)と同様に、複数の画素120において、全ての奇数行(または偶数行)の画素を順に選択して画像を書き込み、次に、全ての偶数行(または奇数行)の画素を順に選択して画像を書き込む。そして、奇数列の第2の配線Sに、例えば、正極性の第2の駆動信号が入力される場合には、偶数列の第2の配線Sに、負極性の第2の駆動信号が入力される。このような方法によっても、第1の配線G1〜Gyにおいて、隣り合う画素の印加電圧の正負の極性を反転させることができる。
上記のようにして、表示部を駆動させることにより、入力される信号の極性が互いに異なる画素を隣接して配置することにより、画素の輝度が空間的に平均化されるため、表示装置におけるチラツキを抑制することができる。また、第2の配線S1〜Sxにおける極性反転回数を抑えることができるため、表示素子の充放電回数が低減されることで、表示装置における消費電力を低減することができる。
図8に、画素部の他の一態様について示す。図8に示す画素部222は、第2の配線S1〜Sx、複数の画素120を有する。なお、図8においては、第1の配線G1〜Gyは省略して図示している。先の実施の形態に示す画素部と異なる点は、画素120の構成である。
図8に示す画素120は、1画素に複数の副画素120a、120b(サブピクセル)を有する画素構成となっている。図8に示す画素構成は、画素120が2つの副画素(副画素120a、120b)を含む場合の一例である。なお、1つの画素120における副画素の数は限定されない。
図8に示す画素部222では、図1(C)と同様に、複数の画素120において、全ての奇数行(または偶数行)の画素を順に選択して画像を書き込み、次に、全ての偶数行の画素(または奇数行)の画素を順に選択して書き込む。または、複数の画素120において、奇数行(または偶数行)の副画素を順に選択して画像を書き込み、次に、偶数行(または奇数行)の副画素を順に選択して画像を書き込んでもよい。つまり、1つの画素120内において、副画素120a、120bの双方に同じ極性の信号を入力してもよいし、異なる極性の信号を入力してもよい。
なお、図8では、1画素の中の副画素は、同一の第2の配線S1〜Sxに接続されているが、本発明の一態様は、これに限定されない。1画素の中の副画素が、それぞれ、異なる配線と接続されていてもよい。例えば、副画素120aは、第2の配線S1と接続され、副画素120bは、第2の配線S2と接続されてもよい。これにより、第2の配線S1と第2の配線S2とに、それぞれ極性の異なる画像信号を供給することにより、1画素の中の副画素に供給される画像信号の極性を異なるようにすることが出来る。これにより、表示ムラなどのノイズの影響を低減することが出来る。
上記のようにして、画素部222において、各画素に副画素を設けることにより、図7に示す画素部と比較して、画素の輝度が空間的に平均化されるため、表示装置におけるチラツキを抑制することができる。また、第2の配線S1〜Sxの入力信号の極性反転回数を低減することができる。これにより、表示素子の充放電回数が低減されるため、表示装置における消費電力を低減することができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、表示装置の駆動方法について、図10を参照して説明する。
図10に、本発明の一態様に係る表示装置のブロック図を示す。図10に示すように、本発明の一態様に係る表示装置200は、画素部202、第1の駆動回路203a、203b及び第2の駆動回路204を有する表示部201、制御装置205、演算装置206、入力手段207、光供給部208と、を有する。なお、表示装置は、画像処理回路などを含んでいてもよい。
なお、図面では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとしてブロック図を示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
図10に示す表示部201には、画素部202、第1の駆動回路203、及び第2の駆動回路204が配置されている。表示部201が有する画素部202、第1の駆動回路203、第2の駆動回路204については、先の実施の形態に示す構成を適宜採用することができる。また、表示部201は、光供給部208を有する。光供給部208は、画素部202に光を供給する。
入力手段207としては、タッチパネル、タッチパッド、マウス、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、撮像装置等を用いることができる。
演算装置206は、入力手段207から入力された電気信号と、表示部201における画素部202との座標とを、関連づける。これにより、表示部201に表示される情報を処理するための命令が、演算装置206で生成される。
使用者が入力手段207に入力する情報としては、例えば、表示部に表示される画像の表示位置を変えるためにドラッグする命令、巻物状の画像を順に送るためにスクロールする命令、特定の画像を選択する命令、画像を表示する大きさを変化させるためにピンチする命令のほか、手書き文字を入力する命令等を挙げることができる。
演算装置206は、制御装置205に情報を処理するための命令に対応する信号を出力する。制御装置205は、入力された信号に応じて、第1の駆動回路203及び第2の駆動回路204、光供給部208を制御する。
光供給部208には、複数の光源が設けられている。光供給部208の光源としては、冷陰極蛍光ランプ、発光ダイオード(LED)、電場を加えることでルミネッセンス(Electroluminescence)が発生する有機EL素子、または当該有機EL素子を用いた照明装置など、を用いることができる。
光供給部208の光源としては、光源が発する青色の光の強度が、他の色の光の強度よりも低い(または弱めた)構成が好ましい。光源が発する光に含まれる青色を呈する光は、眼の角膜や水晶体で吸収されずに、網膜まで到達するため、長期的な網膜への影響(例えば、加齢黄斑変性など)や、夜中まで青色の光に暴露された際の概日リズム(サーカディアン・リズム:Circadian rhythm)への悪影響などを低減できる。また、光源が発する光は、420nmより長い波長、好ましくは440nmより長い波長を有することが好ましい。
図11に、好ましい光供給部208の発光スペクトルを示す。ここで、図11では、光供給部208の光源として、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色のLED(Light Emitting Diode)を用いた場合の各LEDからの発光スペクトルの例を示している。図11では、420nm以下の範囲で、放射照度がほとんど観測されていない。このような光源を有する光供給部208を表示部201に用いることにより、使用者の目の疲労を軽減することができる。
これにより、使用者の目の状態から検出される使用者の疲労状態に応じて、短波長の光の輝度を低減することにより、使用者の眼精疲労や網膜の損傷を抑制することができ、使用者の健康が害されることを抑制することができる。
次に、図10に示す表示装置の駆動方法について説明する。
図10に示す表示装置は、表示部201に表示される画像を書き換える頻度を、1秒間に30回以上、好ましくは1秒間に60回以上960回未満とする第1のモードと、1日に1回以上1秒間に0.1回未満、好ましくは1時間に1回以上1秒間に1回未満とする第2のモードと、を有する。例えば、表示部201に動画を表示させる場合は、第1のモードを使用し、表示部201に静止画を表示させる場合は、第2のモードを使用することができる。表示部201に静止画を表示させる場合に、第2のモードを使用し、画像の書き換え回数を低減することにより、表示装置200の消費電力を低減することができる。
使用者が、入力手段207によって、表示部201に表示される画像から、情報を処理するための命令を選択すると、入力手段207は、その命令に応じて画像切り替え信号を演算装置206に出力する。演算装置206は、表示部201に、画像切り替え信号を含む制御信号と、画像信号と、を出力する。なお、制御信号は、入力手段207が出力する画像切り替え信号の他、第1の駆動回路203用のスタート信号SP、クロック信号CLK、パルス幅制御信号PWC、第2の駆動回路204を制御する第2の駆動回路204用のスタート信号SP、クロック信号CLK、ラッチ信号LPなどが含まれる。
表示部201において、制御装置205は、入力された制御信号及び画像信号を、第1の駆動回路203及び第2の駆動回路204にそれぞれ出力する。制御装置205から第1の駆動回路203へ、スタート信号SP、クロック信号CLK、パルス幅制御信号PWCが出力され、制御装置205から第2の駆動回路204へ、スタート信号SP、クロック信号CLK、ラッチ信号LP、画像信号が出力される。
なお、画像信号が、動画像の信号であるか、静止画像の信号であるかを判別する方法としては、画像信号に含まれる一のフレーム期間と、その前後のフレーム期間との差分が、予め定められた差分より大きい場合には、動画像の信号、それ以下の場合には、静止画像の信号であると定める方法が挙げられる。
また、制御装置205に、反転制御回路を設け、制御装置205が、反転制御回路が通知するタイミング従って、画像信号の極性を反転させる機能を有していてもよい。具体的に、画像信号の極性の反転は、制御装置において行われていてもよいし、制御装置205からの命令に従って、表示部201内で行われていてもよい。
反転制御回路は、画像信号の極性を反転させるタイミングを、同期信号を用いて定める機能を有する。反転制御回路は、例えば、カウンタと、信号生成回路と、を有する。
カウンタは、水平同期信号のパルスを用いてフレーム期間の数を数える機能を有する。
信号生成回路は、カウンタにおいて得られたフレーム期間の数の情報を用いて、連続する複数フレーム期間毎に画像信号の極性を反転させるべく、画像信号の極性を反転させるタイミングを、制御装置205に通知する機能を有する。
このような制御装置205は、例えば、60Hzのフレーム周波数でタイミング制御信号を発生し、60Hzを基準に、第1の駆動回路203、第2の駆動回路204の動作タイミングを制御する。または、30Hz以下のフレーム周波数でタイミング制御信号を発生し、30Hz以下を基準に、第1の駆動回路203、第2の駆動回路204の動作タイミングを制御する。60Hzのフレーム周波数は、1秒あたりに60個の画像が表示部201に表示され、30Hzのフレーム周波数は、1秒あたりに30個の画像が表示部201に表示される。表示装置が30Hzフレーム周波数で駆動されるとき、60Hzフレーム周波数と比較して、使用者は、同じ画像を見続けることになるため、使用者に視認される画面のチラツキが軽減される。なお、表示部201における画素部202の動作については、先の実施の形態を参照すればよいため、詳細な説明は省略する。また、表示部201としては、先の実施の形態に示す表示部211、表示部221、表示部231等を適用することができる。
次に、表示部201の構成の変形例について、図12を参照して説明する。
図12に示す表示部241は、複数の第1の駆動回路203(図12では、第1の駆動回路203a〜203c)と、画素部242と、第2の駆動回路204と、を有する。図12に示す画素部242は、3つの領域(第1の領域242a、第2の領域242b、及び第3の領域242c)に分割されている。第1の領域242aに配置された複数の第1の配線Gaは、第1の駆動回路203aに電気的に接続され、第2の領域242bに配置された複数の第1の配線Gbは、第1の駆動回路203bに電気的に接続され、第3の領域242cに配置された複数の第1の配線Gcは、第1の駆動回路203cに電気的に接続される。図12では、画素部242が3つの領域に分割された例を示すが、本発明の一態様ではこれに限定されず、4つ以上の領域に分割されていてもよい。
複数の第1の駆動回路203(図12では、第1の駆動回路203a〜203c)は、スタート信号が入力された順に駆動を開始する。例えば、第1の駆動回路203a、第1の駆動回路203b、第1の駆動回路203cの順にスタート信号が入力されると、この順に駆動を開始する。このとき、表示部241の画像の書き換え頻度は、画像の書き換え頻度が高い第1のモードであっても、画像の書き換え頻度が低い第2のモードであってもよい。
また、第1の駆動回路203a〜203cにおいて、画像の書き換え頻度を異ならせることができる。例えば、第1の駆動回路203a、203bの画像の書き換え頻度を、第1の駆動回路203cよりも高くしてもよい。つまり、画素部202において、第1の領域242a、242bの画像の書き換え頻度を第1のモードとし、第3の領域242cの画像の書き換え頻度を第2のモードとすることができる。これにより、画素部202における第1の領域242a、第2の領域242bにおいて、動画像を表示し、第3の領域242cにおいて、静止画像を表示させる場合に、第1の駆動回路203cの動作頻度を低減することができる。その結果、第1の駆動回路203cの動作に伴う消費電力を低減することができる。もちろん、第1の駆動回路203a〜203cの全てが、第1のモードで駆動していていもよいし、第2のモードで駆動していてもよい。
次に、第1のモードと第2のモードとの移行について説明する。
表示部201が第2のモードで画像を表示している際に、入力手段207から画像切り替え信号が制御装置205を介して第1の駆動回路203に入力されると、第2のモードから第1のモードに切り替わる。
例えば、入力手段207が、ページめくり動作を検知した場合、入力手段207は画像切り替え信号を演算装置206に出力する。演算装置206は、ページめくり動作の命令を含む画像信号を生成し、画像切り替え信号を含む制御信号と、画像信号と、を共に出力する。
制御装置205は、画像切り替え信号を第1の駆動回路203に出力し、ページめくり動作の命令を含む画像信号を第2の駆動回路204に出力する。
すると、第1の駆動回路203は第2のモードから第1のモードに切り替わり、第1の駆動信号を画素部202に出力する。一方、第2の駆動回路204は、ページめくり動作の命令を含む画像信号から生成した第2の駆動信号を、画素部202に出力する。
これにより、画素部202は、第1の駆動信号が頻繁に入力されるため、ページめくり動作の命令を含む画像信号に従った画像を詳細に表示できる。具体的には、複数のフレームを短時間に表示できるため、なめらかなページめくり動作の命令を含む画像信号を表示できる。
なお、液晶は、電圧が印加されてからその透過率が収束するまでの応答時間が、一般に、十数msec程度である。よって、液晶の応答の遅さが動画ぼやけとして視認されやすい。そこで、液晶素子を用いた表示素子に印加する電圧を一時的に大きくして液晶の配向を速く変化させるオーバードライブ駆動を用いるようにしても良い。オーバードライブ駆動を用いることで、液晶の応答速度を上げ、動画のぼやけを防ぎ、動画の画質を改善することができる。
また、画素において、トランジスタ121が非導通状態になった後においても、液晶素子を用いた表示素子122の透過率が収束せずに変化し続けると、液晶の比誘電率が変化するため、液晶素子を用いた表示素子122の保持する電圧が変化しやすい。
例えば、液晶素子を用いた表示素子122に並列で接続される容量素子123の容量値が小さい場合、上述した液晶素子を用いた表示素子122の保持する電圧の変化は顕著に起こりやすい。しかし、上記オーバードライブ駆動を用いることで、応答時間を短くすることができるので、トランジスタ121が非導通状態になった後における液晶素子を用いた表示素子122の透過率の変化を小さくすることができる。したがって、液晶素子を用いた表示素子122に並列で接続される容量素子123の容量値が小さい場合でも、トランジスタ121が非導通状態になった後に、液晶素子を用いた表示素子122の保持する電圧が変化するのを防ぐことができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置で表示可能な画像の生成方法について説明する。特に、画像の切り替えを行う際に使用者の目に優しい画像の切り替え方法、使用者の目の疲労を軽減する画像の切り替え方法、使用者の目に負担を与えない画像の切り替え方法について説明する。
画像を素早く切り替えて表示すると、使用者の眼精疲労を誘発する場合がある。例えば、著しく異なる場面が切り換わる動画像や、異なる静止画を切り替える場合などが含まれる。
よって、異なる画像を切り替えて表示する際には、瞬間的に表示を切り替えるのではなく、緩やかに(静かに)、自然に画像を切り替えて表示することが好ましい。
例えば、異なる第1の画像から第2の画像に表示を切り替える場合、第1の画像と第2の画像の間に第1の画像がフェードアウトする画像または/及び第2の画像がフェードインする画像を挿入すると好ましい。また、第1の画像がフェードアウトすると同時に、第2の画像がフェードインする(クロスフェードともいう)ように、両者の画像を重ね合わせた画像を挿入してもよく、第1の画像が第2の画像に次第に変化する様子を表示する動画(モーフィングともいう)を挿入しても良い。
具体的には、第1の静止画像データを低いフレーム周波数で表示し、続いて画像の切り替えのための画像を高いフレーム周波数で表示した後に、第2の静止画像データを低いフレーム周波数で表示する場合などが挙げられる。
次に、互いに異なる画像Aと画像Bとを切り替える方法の一例について説明する。
図13は、画像の切り替え動作を行うことができる表示装置の構成を示すブロック図である。図13に示す表示装置は、表示部251、画像処理装置252、演算装置253、及び記憶装置254を備える。
第1のステップにおいて、演算装置253は外部記憶装置等から画像A、及び画像Bの各データを記憶装置254に格納する。
第2のステップにおいて、演算装置253は、予め設定された分割数の値に応じて、画像Aと画像Bの各画像データを元に新たな画像データを順次生成する。
第3のステップにおいて、生成した画像データを画像処理装置252に出力する。画像処理装置252は入力された画像データを表示部251に表示させる。
図13(B)は、画像Aから画像Bにかけて段階的に画像を切り替える際の、生成される画像データを説明するための模式図である。
図13(B)では、画像Aから画像BにかけてN(Nは自然数)個の画像データを生成し、それぞれ1個あたりの画像データをf(fは自然数)フレーム期間表示した場合について示している。したがって、画像Aから画像Bに切り替わるまでの期間は、f×Nフレームとなる。
ここで、上述したN、及びfなどのパラメータは、使用者が自由に設定可能であることが好ましい。演算装置253はこれらのパラメータを予め取得し、当該パラメータに応じて、画像データを生成する。
i番目に生成される画像データ(iは1以上N以下の整数)は、画像Aの画像データと画像Bの画像データに対して、それぞれに重み付けを行って足し合わせることで生成できる。例えば、ある画素において、画像Aを表示したときの輝度(階調)をa、画像Bを表示したときの輝度(階調)をbとすると、i番目に生成される画像データを表示したときの当該画素の輝度(階調)cは式1に示す値となる。
このような方法により生成された画像データを用いて、画像Aから画像Bに切り替えることで、緩やかに(静かに)、自然に不連続な画像を切り替えることができる。
なお、式1において、全ての画素についてa=0の場合が、黒画像から徐々に画像Bに切り替わるフェードインに相当する。また、全ての画素についてb=0の場合が、画像Aからに徐々に黒画像に切り替わるフェードアウトに相当する。
以上のとおり、2つの画像を一時的にオーバーラップさせて画像を切り替える方法について述べたが、オーバーラップさせない方法としてもよい。
2つの画像をオーバーラップさせない場合、画像Aから画像Bに切り替える場合に、間に黒画像を挿入してもよい。このとき、画像Aから黒画像に遷移する際、または黒画像から画像Bに遷移する際、またはその両方に、上述したような画像の切り替え方法を用いてもよい。また、画像Aと画像Bの間に挿入する画像は黒画像だけでなく、白画像などの単一色の画像を用いてもよいし、画像Aや画像Bとは異なる、多色の画像を用いてもよい。
画像Aと画像Bとの間に他の画像、特に黒画像などの単一色の画像を挿入することで、画像の切り替えのタイミングをより自然に使用者が感じ取ることができ、使用者にストレスを感じさせることなく画像を切り替えることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、先の実施の形態に示す表示部における第1の駆動回路及び第2の駆動回路を構成するシフトレジスタの構成について、図14乃至図16を参照して説明する。
〈回路構成〉
図14に、本実施の形態に係るシフトレジスタの構成の一例について示す。
図14(A)に示すシフトレジスタは、第1のパルス出力回路510_1〜第nのパルス出力回路510_n(nは2以上の自然数)と、クロック信号を伝達する配線511〜配線514を有する。配線511にはクロック信号CLK1が与えられ、配線512にはクロック信号CLK2が与えられ、配線513にはクロック信号CLK3が与えられ、配線514にクロック信号CLK4が与えられる。
クロック信号は、一定の間隔で高電位であるHigh信号(以下、H信号と記す)と、低電位であるLow信号(以下、L信号と記す)を繰り返す信号である。ここでは、クロック信号CLK1〜クロック信号CLK4は、1/4周期ずつ遅延した信号とする。本実施の形態では、上記クロック信号を利用して、第1のパルス出力回路510_1〜第nのパルス出力回路510_nの制御等を行う。
第1のパルス出力回路510_1〜第nのパルス出力回路510_nはそれぞれ、図14(B)に示すように、入力端子521、入力端子522、入力端子523、入力端子524、入力端子525、出力端子526、及び出力端子527を有する。
入力端子521、入力端子522、及び入力端子523は、配線511〜配線514のいずれかと電気的に接続される。例えば、第1のパルス出力回路510_1において、入力端子521は配線511と電気的に接続され、入力端子522が配線512と電気的に接続され、入力端子523が配線513と電気的に接続される。また、第2のパルス出力回路510_2において、入力端子521が配線512と電気的に接続され、入力端子522が配線513と電気的に接続され、入力端子523が配線514と電気的に接続される。なお、ここでは、第nのパルス出力回路510_nと接続される信号線が、配線512、配線513、配線514である場合を示しているが、第nのパルス出力回路510_nと接続される信号線は、nの値によって異なるものになる。このため、ここで示す構成はあくまでも一例に過ぎないことを付記する。
また、本実施の形態で示すシフトレジスタの第mのパルス出力回路(mは2以上の自然数)において、入力端子524は第(m−1)のパルス出力回路の出力端子526と電気的に接続され、入力端子525は第(m+2)のパルス出力回路の出力端子526と電気的に接続され、出力端子526は第(m+1)のパルス出力回路の入力端子524と、第(m−2)のパルス出力回路の入力端子525と、電気的に接続され、出力端子527はOUT(m)に信号を出力する。
例えば、第3のパルス出力回路510_3では、入力端子524は第2のパルス出力回路510_2の出力端子526と電気的に接続され、入力端子525は第5のパルス出力回路510_5の出力端子526と電気的に接続され、出力端子526は第4のパルス出力回路510_4の入力端子524及び第1のパルス出力回路510_1の入力端子525と電気的に接続されている。
また、第1のパルス出力回路510_1では、入力端子524に配線515からのスタートパルス(SP1)が入力される。なお、スタートパルスはクロック信号である。また、第kのパルス出力回路510_k(kは2以上n以下の自然数)では、前段の出力パルスが入力端子524に入力される。また、第(n−1)のパルス出力回路510_(n−1)では、スタートパルス(SP2)が入力端子525に入力される。また、第nのパルス出力回路510_nでは、スタートパルス(SP3)が入力端子525に入力される。なお、スタートパルス(SP2)及びスタートパルス(SP3)は、外部より入力される信号としてもよいし、回路内部で生成される信号としてもよい。
次に、第1のパルス出力回路510_1〜第nのパルス出力回路510_nの具体的な構成について説明する。
図14(C)に示すように、第1のパルス出力回路510_1〜第nのパルス出力回路510_nの各々は、トランジスタ541〜トランジスタ544で構成されるパルス信号生成回路570と、トランジスタ545〜トランジスタ547で構成される第1の入力信号生成回路571と、トランジスタ548〜トランジスタ551で構成される第2の入力信号生成回路572と、を含む。
また、トランジスタ541〜トランジスタ551はそれぞれ、半導体膜の上下に絶縁膜を介して配置された第1のゲート及び第2のゲートと、半導体膜に接して設けられたソース及びドレインの一方(ドレイン端子)及びソース及びドレインの他方(ソース端子)と、を有する。
なお、以下の説明において、トランジスタ541〜トランジスタ551は、全てnチャネル型のトランジスタとする。
トランジスタ541〜トランジスタ551には、半導体膜として酸化物半導体を用いることが好適である。酸化物半導体を用いることにより、トランジスタのオフ電流を低減することができる。また、非晶質シリコンなどと比較して、オン電流および電界効果移動度を高めることができる。また、トランジスタの劣化を抑制することができる。これにより、消費電力が小さく、高速動作が可能で、動作の正確性が高められた電子回路が実現する。なお、酸化物半導体を用いたトランジスタについては後の実施の形態において詳述するから、ここでは省略する。
図14(C)に示すパルス出力回路の構成ついて説明する。
トランジスタ541は、ソース及びドレインの一方が入力端子521と接続され、ソース及びドレインの他方が出力端子526と接続され、第1のゲートがトランジスタ547のソース及びドレインの他方と接続され、第2のゲートが出力端子526と接続されている。
トランジスタ542は、ソース及びドレインの一方が出力端子526と接続され、ソース及びドレインの他方が電源線531と接続され、第1のゲートがトランジスタ548のソース及びドレインの他方と接続され、第2のゲートが電源線533と接続されている。
トランジスタ543は、ソース及びドレインの一方が入力端子521と接続され、ソース及びドレインの他方が出力端子527と接続され、第1のゲートがトランジスタ547のソース及びドレインの他方と接続され、第2のゲートが出力端子526と接続されている。
トランジスタ544は、ソース及びドレインの一方が出力端子527と接続され、ソース及びドレインの他方が電源線531と接続され、第1のゲートがトランジスタ548のソース及びドレインの他方と接続され、第2のゲートが電源線533と接続されている。
トランジスタ545は、ソース及びドレインの一方が電源線532と接続され、ソース及びドレインの他方がトランジスタ546のソース及びドレインの一方及びトランジスタ547のソース及びドレインの一方と接続され、第1のゲート及び第2のゲートが入力端子524と接続されている。
トランジスタ546は、ソース及びドレインの一方がトランジスタ545のソース及びドレインの他方及びトランジスタ547のソース及びドレインの一方と接続され、ソース及びドレインの他方が電源線531と接続され、第1のゲートがトランジスタ548のソース及びドレインの他方と接続され、第2のゲートが電源線533と接続されている。
トランジスタ547は、ソース及びドレインの一方がトランジスタ545のソース及びドレインの他方及びトランジスタ546のソース及びドレインの一方と接続され、ソース及びドレインの他方がトランジスタ541の第1のゲート及びトランジスタ543の第1のゲートと接続され、第1のゲートが電源線532と接続され、第2のゲートが電源線534と接続されている。
トランジスタ548は、ソース及びドレインの一方がトランジスタ550のソース及びドレインの他方と接続され、ソース及びドレインの他方が、トランジスタ542の第1のゲート、トランジスタ544の第1のゲート、及びトランジスタ546の第1のゲートと接続され、第1のゲートが入力端子522と接続され、第2のゲートが電源線533と接続されている。
トランジスタ549は、ソース及びドレインの一方がトランジスタ548のソース及びドレインの他方と接続され、ソース及びドレインの他方が電源線531と接続され、第1のゲートが入力端子524と接続され、第2のゲートが電源線533と接続されている。
トランジスタ550は、ソース及びドレインの一方が電源線532と接続され、ソース及びドレインの他方がトランジスタ548のソース及びドレインの一方と接続され、第1のゲートが入力端子523と接続され、第2のゲートが電源線533と接続されている。
トランジスタ551は、ソース及びドレインの一方が電源線532と接続され、ソース及びドレインの他方がトランジスタ548のソース及びドレインの他方と接続され、第1のゲート及び第2のゲートが入力端子525と接続されている。
上述したパルス出力回路の各構成(パルス信号生成回路570、第1の入力信号生成回路571、および第2の入力信号生成回路572の構成例など)は一例にすぎず、本発明の一態様がこれに限定されるものではない。
図14(C)におけるパルス出力回路が図14(A)に示す第1のパルス出力回路510_1の場合、入力端子521にはクロック信号CLK1が入力され、入力端子522にはクロック信号CLK2が入力され、入力端子523にはクロック信号CLK3が入力され、入力端子524には、スタートパルスSP1が入力され、入力端子525には、第3のパルス出力回路510_3の出力信号(SROUT3と記す)が入力される。また、出力端子526から第1のパルス出力回路510_1の出力信号(SROUT1と記す)が第2のパルス出力回路510_2の入力端子524に出力され、出力端子527から出力信号OUT(1)が出力される。なお、各入力端子に与えられるH信号はVDDとし、L信号はVSSとする。
また、電源線531にはVSSが与えられ、電源線532にはVDDが与えられ、電源線533にはBG1が与えられ、電源線534にはBG2が与えられる。なお、BG1がとりうる電位は、GNDより低い電位(負の電位)であり、BG2がとりうる電位は、GND以上の電位である。
本実施の形態の以下の説明では、図14(C)に示すパルス出力回路においてトランジスタ541の第1のゲートと、トランジスタ543の第1のゲートと、トランジスタ547のソース及びドレインの他方との接続箇所を、ノードAとする。また、トランジスタ542の第1のゲートと、トランジスタ544の第1のゲートと、トランジスタ546の第1のゲートと、トランジスタ548のソース及びドレインの他方と、トランジスタ549のソース及びドレインの一方と、トランジスタ551のソース及びドレインの他方との接続箇所を、ノードBとする。
上記ノードAと出力端子526との間には、ブートストラップ動作を好適に行うための容量素子を設けても良い。また、上記ノードBの電位を保持するために、ノードBに電気的に接続された容量素子を設けてもよい。
図14(C)において、トランジスタ541およびトランジスタ543のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lは、トランジスタ546のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lよりも大きいことが好ましい。
また、図14(C)において、トランジスタ545のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lは、トランジスタ546のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lよりも大きいことが好ましい。また、トランジスタ545のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lは、トランジスタ547のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lと等しいことが好ましい。または、トランジスタ545のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lは、トランジスタ547のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lよりも大きいことが好ましい。
また、図14(C)において、トランジスタ543のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lは、トランジスタ544のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lよりも大きいことが好ましい。
また、図14(C)において、トランジスタ548及びトランジスタ550のチャネル幅(W)は、トランジスタ551のチャネル幅(W)よりも小さいことが好ましい。
トランジスタ541及びトランジスタ543の動作は、出力端子526から出力される信号SROUT1、及び出力端子527から出力される信号OUT(1)に寄与する。
そこで、図14(C)に示すように、トランジスタ541の第2のゲート及びトランジスタ543の第2のゲートを、出力端子526と接続する。これにより、トランジスタ541及びトランジスタ543がオン状態であるときには、しきい値電圧がマイナスシフトすることで、ノーマリーオンとなるため、オン電流を増加させることができる。また、オフ状態であるときには、しきい値電圧がプラスシフトすることで、ノーマリーオフとすることができるため、リーク電流を低減することができる。
また、トランジスタ541及びトランジスタ543がオン状態であるときに、電流を増加させることができるため、トランジスタに第2のゲートを設けない場合と比較して、トランジスタ541及びトランジスタ543のチャネル幅Wを小さくすることができる。これにより、レイアウト面積の縮小と、消費電力を低減することができる。
また、トランジスタ542、トランジスタ544、トランジスタ548、トランジスタ549、及びトランジスタ550は、ノードBの電位を制御する。よって、これらのトランジスタのしきい値電圧が変動し、リーク電流が生じると、ノードBの電位を制御することが不能となってしまう。
そこで、図14(C)に示すように、トランジスタ542の第2のゲート、トランジスタ544の第2のゲート、トランジスタ548の第2のゲート、トランジスタ549の第2のゲート、及びトランジスタ550の第2のゲートを、負の電位を与える電源線533と接続する。これにより、上述のトランジスタがオフ状態であるときに、確実にノーマリーオフとすることができるため、リーク電流を低減することができる。
また、トランジスタ545の動作は、トランジスタ541及びトランジスタ543の動作に寄与し、トランジスタ551の動作は、トランジスタ542、トランジスタ544、トランジスタ546の動作に寄与する。
そこで、図14(C)に示すように、トランジスタ545の第2のゲートを、第1のゲートと接続し、トランジスタ551の第2のゲートを、第1のゲートと接続する。これにより、トランジスタ545及びトランジスタ551がオン状態であるときには、しきい値電圧がマイナスシフトすることで、ノーマリーオンとすることができるため、オン電流を増加させることができる。また、オフ状態であるときには、しきい値電圧がプラスシフトすることで、ノーマリーオフとすることができるため、リーク電流を低減することができる。
また、トランジスタ547のしきい値電圧が低すぎる(例えば、−10V)場合であると、トランジスタ546のソースドレイン間には、((VA−Vth547))−VSS)(VAは、ノードAの電位)の電圧がかかるため、トランジスタ546にかかる負荷が大きくなるおそれがある。
そこで、トランジスタ547の第2のゲートを、電源線534と接続することにより、トランジスタ547の第2のゲートには、BG2としてGND以上の電位が与えられる。これにより、トランジスタ547のしきい値電圧を0V付近に制御することができるため、トランジスタ546にかかる負荷を抑制することができる。
〈動作〉
次に、図14に示すシフトレジスタの動作について図15及び図16を参照して説明する。なお、図16に示すタイミングチャートは、図15に示す一部の期間(例えば、第4の期間564_1〜564_5)を誇張して示しているが、図15に示すタイミングチャートと大きく変わるところはない。図15及び図16に示すタイミングチャート中、CLK1〜CLK4はそれぞれクロック信号を示し、SP1はスタートパルスを示し、OUT(1)〜OUT(4)は、第1のパルス出力回路510_1〜第4のパルス出力回路510_4の出力端子527からの出力を示し、ノードAおよびノードBはそれぞれノードAおよびノードBの電位を示し、SROUT1〜SROUT4は、第1のパルス出力回路510_1〜第4のパルス出力回路510_4の出力端子526からの出力を示す。
代表的に、第1のパルス出力回路510_1の動作について説明する。第1のパルス出力回路510_1の構成は、図14(C)に示す通りである。また、入力される各信号、供給される各電位の関係も図14(C)と同様である。
第1の期間561において、入力端子524にSP1としてH信号が入力されることにより、トランジスタ545の第1のゲート及び第2のゲートと、トランジスタ549の第1のゲートにVDDが与えられ、トランジスタ545とトランジスタ549はオン状態になる。また、入力端子523にCLK3としてH信号が入力されることにより、トランジスタ550の第1のゲートにVDDが与えられ、トランジスタ550もオン状態となる。また、トランジスタ547の第1のゲートには電源線532からVDDが与えられることにより、トランジスタ547もオン状態となる。また、トランジスタ549の第2のゲート及びトランジスタ550の第2のゲートには、電源線533からBG1(例えば、負の電位)が与えられ、トランジスタ547の第2のゲートには、電源線534からBG2(例えば、GND)が与えられる。このとき、トランジスタ545の第2のゲートに、H信号が入力されることにより、トランジスタ545のしきい値電圧がマイナスシフトすることで、ノーマリーオンとすることができるため、オン電流を増加させることができる。
トランジスタ545とトランジスタ547がオン状態となることにより、ノードAの電位は上昇する。また、トランジスタ549がオン状態となることにより、ノードBの電位は下降する。トランジスタ545のソース及びドレインの一方の電位はVDDであるため、トランジスタ545のソース及びドレインの他方の電位は、ソース及びドレインの一方の電位からトランジスタ545のしきい値電圧分を引いた値(VDD−Vth545)となる。そして、トランジスタ547の第1のゲートの電位がVDDであるため、トランジスタ547のしきい値電圧Vth547がVth545以上の場合には、ノードAの電位は(VDD−Vth547)となってトランジスタ547がオフ状態となる。一方、Vth547がVth545未満の場合には、トランジスタ547はオン状態を保ったまま、ノードAの電位は(VDD−Vth545)まで上昇する。以下、第1の期間561におけるノードAの電位の到達点(最高電位)をVAHとする。
ノードAの電位がVAHになると、トランジスタ541の第1のゲートおよびトランジスタ543の第1のゲートに、電位VAHが入力されるため、トランジスタ541及びトランジスタ543がオン状態となる。ここで、入力端子521にCLK1としてL信号が入力されるため、出力端子526および出力端子527からSROUT1及びOUT(1)としてVSSが出力される。
第2の期間562において、入力端子521にCLK1としてH信号が入力される。ここで、トランジスタ541およびトランジスタ543はオン状態であるため、出力端子526の電位および出力端子527の電位が上昇する。これに伴い、トランジスタ541の第2のゲート及びトランジスタ543の第2のゲートに入力される電位も上昇する。さらに、トランジスタ541の第1のゲートとソース及びドレインの他方との間には容量が存在し、これによって第1のゲートとソース及びドレインの他方とが容量結合されている。同様に、トランジスタ543の第1のゲートとソース及びドレインの他方との間には容量が存在し、これによって第1のゲートとソース及びドレインの他方とが容量結合されている。したがって、出力端子526の電位および出力端子527の電位の上昇と共に、浮遊状態であるノードAの電位が上昇することになる(ブートストラップ動作)。ノードAの電位は最終的にVDD+Vth541より高くなり、出力端子526および出力端子527からSROUT1及びOUT(1)としてVDDが出力される。このとき、トランジスタ541の第2のゲート及びトランジスタ543の第2のゲートは、出力端子526と接続されているため、トランジスタ541の第2のゲート及びトランジスタ543の第2のゲートには、VDDが与えられる。
ここで、電流は以下の式で定義される。飽和特性を式(2)で表し、線形特性を式(3)で表す。
I=(1/2)β(Vg−Vth)2 (2)
I=β((Vg−Vth)−1/2Vd)Vd (3)
数式1、数式2で表すように、電流は、(Vg−Vth)2又はVg−Vthに比例する。数式1、数式2より、トランジスタ541及びトランジスタ543のしきい値電圧がマイナスシフトすることにより、Vg−Vthが大きくなると電流が増加することがわかる。
したがって、トランジスタ541及びトランジスタ543のしきい値電圧を制御することにより、トランジスタ541及びトランジスタ543がオン状態であるときに、電流を増加させることができる。これにより、出力端子527を充電させる時間をより短くすることができる。また、レイアウト面積の縮小と、消費電力を低減することができる。
また、第2の期間562においては、トランジスタ549がオン状態であるため、ノードBもVSSに維持されている。このため、出力端子526の電位がVSSからVDDに変化する際の、容量結合に起因するノードBの電位変動を抑制し、これによる不具合の発生を防止できる。
なお、上述のように第2の期間562において、出力端子527の電位をVDDとする場合、出力端子527の電位を確実にVDDまで上昇させるためには、トランジスタ543をオン状態とさせるためにトランジスタ543のゲート電圧Vgを十分に大きくする必要がある。トランジスタ543のゲート電圧Vgが小さい場合、トランジスタ543に係るドレイン電流が小さくなるため、指定された期間内(ここでは、第2の期間562内)に、出力端子527の電位をVDDまで上昇させるのに時間がかかってしまう。これにより、出力端子527の波形の立ち上がりが鈍り、誤動作の原因となる。
ところで、第2の期間562におけるトランジスタ543のゲート電圧Vgの大きさは、第1の期間561におけるノードAの電位によって決まる。そのため、トランジスタ543のVgを大きくするためには、第1の期間561のうちにノードAの電位をできるだけ大きくする必要がある(回路設計上、最大でVDD−Vth545またはVDD−Vth547)。出力端子526とトランジスタ541のゲート電圧Vgについても、同様のことが言える。
そのため、トランジスタ545のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lは、トランジスタ546のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lよりも大きいことが好ましい。トランジスタ545のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lを、トランジスタ546のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lよりも大きくすることにより、第1の期間561におけるノードAの電位を、より短い時間で、VDD−Vth545またはVDD−Vth547まで上昇させることができる。また、第1の期間561では、トランジスタ546はオフ状態となっているが、トランジスタ545のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lを、トランジスタ546のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lよりも大きくすることにより、トランジスタ546におけるリーク電流(Ioff)を小さくすることができるため、ノードAの電位を、より短い時間でVDD−Vth545まで上昇させることができる。
また、トランジスタの微細化によりチャネル長Lが小さくなると、しきい値電圧のマイナスシフトが生じてトランジスタ546がノーマリーオン化する場合もある。このような場合でも、トランジスタ546のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lをトランジスタ545のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lよりも小さくすることにより、トランジスタ546のオン抵抗をトランジスタ545のオン抵抗よりも大きくできる。これにより、ノードAの電位をVDD−Vth545またはVDD−Vth547により近い電位にすることができる。
また、トランジスタ545のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lは、トランジスタ547のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lと概ね等しいことが好ましい。概ね等しいとは、製造誤差やばらつきに起因する多少の差を有している場合があることを想定した上で、等しいとみなせる場合のことである。トランジスタ545およびトランジスタ547のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lを等しくすることにより、トランジスタ545およびトランジスタ547の電流供給能力を等しくすることができるため、ノードAの電位を効率よく上昇させることができる。上述したように、トランジスタ545のしきい値電圧Vth545およびトランジスタ547のしきい値電圧Vth547は、概ね等しいことが望ましい。
なお、トランジスタ545のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lは、トランジスタ特性、クロック周波数、トランジスタ541およびトランジスタ543のゲート容量、シフトレジスタの動作電圧などによって決めることができる。
また、トランジスタ546のチャネル幅Wが大きくなると、トランジスタ546の特性がノーマリーオン化した場合、リーク電流が増加するため、ノードAの電位降下につながってしまう。または、トランジスタ545によるノードAの充電の妨げとなってしまう。さらに、高速動作が必要な場合に、ノードBの電位の下降を短時間で行い、ノードAの充電を短時間で行う必要がある。このような場合、トランジスタ546の電位を短時間で下降させる必要がある。
したがって、トランジスタ545のチャネル幅Wよりも、トランジスタ546のチャネル幅Wを小さくすることにより、トランジスタ546のリーク電流を低減し、ノードAの電位の変位を防止することができる。また、ノードBの負荷を低減することができる。このように、トランジスタの特性や駆動仕様に合わせて、トランジスタ545、トランジスタ546、およびトランジスタ547のサイズを決定することによって、効率のよいシフトレジスタを実現することができる。
また、トランジスタ547の第2のゲートには、上述のように、電源線534からBG2が与えられている。これにより、トランジスタ547のしきい値電圧を0V付近とすることができ、トランジスタ546のソースドレイン間に、((VA−Vth547)−VSS)(VAは、ノードAの電位)の電圧がかかったとしても、トランジスタ546にかかる負荷を抑制することができる。
第3の期間563において、入力端子524にSP1としてL信号が入力されることにより、トランジスタ545の第1のゲート及び第2のゲートと、トランジスタ549の第1のゲートにVSSが与えられ、トランジスタ545とトランジスタ549はオフ状態になる。また、入力端子521に入力されるCLK1はH信号に維持され、ノードAの電位も変化しないため、出力端子526および出力端子527からSROUT1及びOUT(1)としてVDDが出力される。なお、第3の期間563ではノードBが浮遊状態となるが、出力端子526の電位も変化しないため、容量結合による不具合は無視できる程度である。
第4の期間564においては、入力端子522にCLK2としてH信号が入力され、入力端子523にCLK3としてH信号が入力されることにより、トランジスタ548の第1のゲート及びトランジスタ550の第1のゲートにVDDが与えられ、トランジスタ548及びトランジスタ550がオン状態になる。また、入力端子525にSROUT3としてH信号が入力され、トランジスタ551の第1のゲート及び第2のゲートにVDDが入力され、トランジスタ551がオン状態となる。トランジスタ551がオン状態となることにより、ノードBの電位が短時間でVDD−Vth551まで充電され、トランジスタ542、トランジスタ544、およびトランジスタ546がオン状態となる。また、入力端子521にCLK1としてL信号が入力されることにより、トランジスタ541及びトランジスタ543がオフ状態となる。この結果、出力端子526および出力端子527からSROUT1及びOUT(1)としてVSSが出力される。ここで、トランジスタ551の第2のゲートに、H信号が入力されることにより、トランジスタ551のしきい値電圧がマイナスシフトすることで、ノーマリーオンとすることができるため、オン電流を増加させることができる。
このとき、ノードBの充電はトランジスタ551を通じて行われると共に、トランジスタ550、トランジスタ548を通じて行われる。トランジスタ550およびトランジスタ548の第1のゲートは、それぞれ入力端子523および入力端子522に接続されており、ゲート容量はそのまま入力端子523および入力端子522の負荷になる。
第4の期間564において、ノードAの電位は、CLK1がH信号となる第6の期間の前まで(つまり第4の期間564および第5の期間565中)に、確実にVSSとする必要がある。第5の期間565中に、ノードAの電位がVSSまで下降していないと、トランジスタ543のゲートとソース間の容量結合によって、再びノードAは電位が上昇し、トランジスタ541およびトランジスタ543がオン状態となり、出力端子526および出力端子527に電流が流れ、誤動作となるおそれがある。
そのため、トランジスタ541、トランジスタ543およびトランジスタ546の関係を、式(4)乃至式(10)のように決めることで、負荷に起因する動作の不具合を低減し、動作の安定化を図ることができる。
上式において、tCKHとはCLK1のH信号の期間、即ち第2の期間562および第3の期間563に相当し、tCKLとはCLK1のL信号の期間、即ち、第4の期間564および第5の期間565に相当し、toffとはノードAがVSSまで放電するのに要する時間に相当する。つまり、tCKL期間内のうちtoffの時間を使ってノードAの電位をVSSまで下降させることになる。toffは第4の期間564および第5の期間565の中であれば、たとえば、第4の期間564_1でも第4の期間564_1〜564_3でも第4の期間564_1〜564_5でもよい(図16参照)。好ましくは第4の期間564および第5の期間565の1/2の期間に相当する第4の期間564_1〜564_3である。tCKLに対してtoffをあまりに短く設定すると、ノードAの電位を早く下降させるためにトランジスタ546のチャネル幅Wサイズを大きくする必要があり、toffを長く設定すると次のクロックのH信号が入るまでにノードAの電位をVSSまで放電しきれず誤動作となる可能性があるためである。つまり、toffは、クロック信号の周波数等を考慮して決定する必要がある。
また、C541およびC543はそれぞれトランジスタ541およびトランジスタ543のゲート容量を示し、VfとはノードAの第3の期間563での電位を示す。
式(3)に示すi546は、トランジスタ546のドレイン電流を示している。これよりトランジスタ546のサイズ(例えば、W/L)を決定することができる。即ち、トランジスタ546のサイズは、CLK1の動作周波数、トランジスタ541とトランジスタ543のサイズ、およびノードAの電位によって決めることができる。
例えば、CLK1の動作周波数が高い場合、ノードAの電位はより早く下降させる必要があるため、式(2)よりtoffを小さくすることが必要になり、そのため、i546を大きくする必要が生じる。そこで、i546に合わせて式(3)よりW546を計算し、Wサイズを決定することができる。
一方、トランジスタ541およびトランジスタ543のサイズが小さい場合には、i546は小さくて良いため、式(3)より、W546は小さくなる。ところで、トランジスタ543は、出力負荷の充放電に使用しているため、トランジスタ543のサイズを大きくすることにより、放電の際に、トランジスタ544だけでなく、トランジスタ543においても放電することができるため、出力の電位の下降を短時間で行うことができる。したがって、ノードAの電位を緩やかに下降させると、トランジスタ543はオン状態であるため、トランジスタ544だけで放電するよりも、出力の電位の下降を短時間で行うことができる。このように、トランジスタの特性や駆動仕様に合わせてトランジスタ546のサイズを決定することによって、効率のよいシフトレジスタを実現することができる。
なお、本実施の形態において示すシフトレジスタにおいて、クロック線に接続するトランジスタの負荷は、シフトレジスタの全段数÷4×(トランジスタ543のLov+トランジスタ541のLov+トランジスタ550のゲート容量+トランジスタ548のゲート容量)、で表現される。また、ゲート容量は、ε0×ε×(L×W)/toxで表現される。なお、Lovとは、トランジスタのソース電極層又はドレイン電極層と半導体層とが重畳する領域のチャネル長方向における長さを表している。
クロック線に接続されるゲート容量を減らすため、トランジスタ548及びトランジスタ550のチャネル幅(W)は、トランジスタ551のチャネル幅(W)よりも小さいことが好ましい。これにより、クロック線の負荷を低減することができ、高速動作させることができる。また、トランジスタ550およびトランジスタ548のチャネル幅(W)を減少させることによって、レイアウト面積を縮小させることができる。
第5の期間565においては、入力端子525にSROUT3としてH信号が入力されることにより、ノードBの電位が保持される。このため、トランジスタ542、トランジスタ544、およびトランジスタ546のオン状態が保持されて、出力端子526および出力端子527からSROUT1及びOUT(1)として出力される電位はVSSに保持される。
第6の期間566においては、入力端子525にSROUT3としてL信号が入力されることにより、トランジスタ551の第1のゲート及び第2のゲートにVSSが入力され、トランジスタ551がオフ状態となる。このとき、ノードBは、上述の電位を保持したまま浮遊状態となる。これにより、トランジスタ542、トランジスタ544、およびトランジスタ546のオン状態が保持される。
なお、ノードBの電位は、通常、トランジスタのオフ電流等に起因して下降するが、十分にオフ電流が小さいトランジスタ(例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタ)を適用する場合には、このような問題は生じない。また、ノードBの電位の下降を緩和するために、容量素子を設けても良い。この場合に設けられた容量素子は、トランジスタ542の第1のゲートと、トランジスタ544の第1のゲートと、トランジスタ546の第1のゲートと、トランジスタ548のソース及びドレインの一方と、トランジスタ549のソース及びドレインの一方と、に接続される。
なお、その後の期間において、入力端子522に入力されるCLK2と入力端子523に入力されるCLK3とが共にH信号となる場合には、トランジスタ548の第1のゲート及びトランジスタ550の第1のゲートにVDDが与えられ、トランジスタ548とトランジスタ550がオン状態となり、定期的にノードBに電位が与えられる。このため、オフ電流の比較的大きなトランジスタを用いる場合であっても、パルス出力回路の誤動作を防止できる。
なお、シフトレジスタからの出力(OUT(1)〜OUT(4)など)については、電位の上昇時を重視する場合と、電位の下降時を重視する場合がある。例えば、電位の上昇によってデータを確定させる場合(例えば、データの書き込みを行う場合など)には、電位の上昇時が重視される。また、電位の下降によってデータを確定させる場合には、電位の下降時が重視される。
電位の上昇によってデータを確定させる場合には、電位の上昇に要する時間を短くする必要がある。そのためには、トランジスタ543のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lを、トランジスタ544のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lよりも大きくすることが好ましい。
電位の下降によってデータを確定させる場合には、電位の下降に要する時間を短くする必要がある。そのためには、トランジスタ543のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lを、トランジスタ544のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lよりも大きくすることが好ましい。
但し、本発明の一態様では、ノードAの電位をトランジスタ543のゲートとソース間の容量結合を利用したブートストラップ動作によって所定の電位まで上昇させることにより、トランジスタ543をオン状態とし、H信号を出力させる。そのため、トランジスタ543のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lが十分に大きくなければ、シフトレジスタの出力するH信号の電位が、VDDまで上がりきらないという問題が生じうるから、トランジスタ543のチャネル長Lに対するチャネル幅Wの比W/Lは、十分に大きくすることが望ましい。
本発明の一態様では、トランジスタ541の第2のゲート及びトランジスタ543の第2のゲートは、出力端子526と接続されている。これにより、トランジスタ541及びトランジスタ543がオン状態であるときに、しきい値電圧がマイナスシフトすることで、ノーマリーオンとなるため、電流を増加させることができる。また、オフ状態であるときは、しきい値電圧がプラスシフトすることで、ノーマリーオフとなるため、リークオン電流を低減することができる。これにより、トランジスタに第2のゲートを設けない場合と比較して、トランジスタ541及びトランジスタ543のチャネル幅Wを小さくすることができるため、レイアウト面積の縮小と、消費電力を低減することができる。
また、本発明の一態様では、トランジスタ542の第2のゲート、トランジスタ544の第2のゲート、トランジスタ548の第2のゲート、トランジスタ549の第2のゲート、及びトランジスタ550の第2のゲートは、負の電位を与える電源線533と接続されている。これにより、上述のトランジスタがオフ状態であるときに、確実にノーマリーオフとすることができるため、リーク電流を低減することができる。
本発明の一態様では、トランジスタ545の第2のゲートは、第1のゲートと接続されており、トランジスタ551の第2のゲートは、第1のゲートと接続されている。これにより、トランジスタ545及びトランジスタ551がオン状態である時に、しきい値電圧がマイナスシフトすることで、ノーマリーオンとなるため、オン電流を増加させることができる。また、オフ状態であるときは、しきい値電圧がプラスシフトすることで、ノーマリーオフとすることができるため、リーク電流を低減することができる。
また、本発明の一態様では、トランジスタ547の第2のゲートは、電源線534と接続されている。これにより、トランジスタ547のしきい値電圧を0V付近とすることができ、トランジスタ546のソースドレイン間に、((VA−Vth547))−VSS)(VAは、ノードAの電位)の電圧がかかったとしても、トランジスタ546にかかる負荷を抑制することができる。
パルス出力回路を構成する複数のトランジスタのしきい値電圧が変動してしまう場合であっても、本発明の一態様により、個々のトランジスタのしきい値電圧を制御することができる。また、個々のトランジスタのしきい値変動が異なる場合であっても、しきい値の変動の大きさに関わらず個々のトランジスタのしきい値を制御することができる。
これにより、リーク電流を低減し、消費電力の低減、または誤動作がなく、安定して動作することが可能なパルス出力回路を構成することができる。
なお、本実施の形態において示すシフトレジスタは、第mのパルス出力回路から出力されるパルスと第(m+1)のパルス出力回路から出力されるパルスが半分重なる駆動方法を採用している。このため、当該駆動方法を採用しない場合と比較して、配線の充電に使用できる時間を長くすることができる。つまり、当該駆動方法によって、大きな負荷に耐え、高い周波数で動作するパルス出力回路が提供される。
なお、本実施の形態に示すシフトレジスタでは、トランジスタ541〜551において、第2のゲート電極を有するトランジスタを示したが、本発明の一態様はこれに限定されない。トランジスタ541〜551において、第2のゲート電極を有さないトランジスタとしてもよい。また、シフトレジスタにおいて、第2のゲート電極を有するトランジスタと、第2のゲート電極を有さないトランジスタとが、混在した構成であってもよい。なお、シフトレジスタにおいて、トランジスタ550は、設けてもよいし、設けなくとも良い。また、出力端子は、2系統に限らず、1系統としてもよい。つまり、出力端子526または出力端子527を省略しても良い。この場合には、省略される出力端子に付随するトランジスタ(例えば、出力端子527を省略する場合には、トランジスタ543及びトランジスタ544)は適宜省略すればよい。
本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の表示手段に適用可能なパネルモジュールの構成例について、図面を参照して説明する。
図17(A)は、本実施の形態で例示するパネルモジュール300の上面概略図である。
パネルモジュール300は、第1の基板301、第2の基板302、及びシール材303に囲まれた封止領域内に、複数の画素を備える画素部311と第1の駆動回路313を備える。第1の駆動回路313は、走査信号線駆動回路として機能する。また、第1の基板301上の封止領域よりも外側の領域に外部接続電極305と、第2の駆動回路として機能するIC312を備える。第2の駆動回路は、データ信号線駆動回路、または映像信号駆動回路として機能する。外部接続電極305に電気的に接続されたFPC304から、画素部311や第1の駆動回路313、IC312等を駆動するための電源や信号を入力することができる。
図17(B)は、図17(A)に示したFPC304及びシール材303を含む領域を切断する切断線A−Bと、第1の駆動回路313を含む領域を切断する切断線C−Dと、画素部311を含む領域を含む領域を切断する切断線E−Fと、シール材303を含む領域を切断する切断線G−Hのそれぞれに沿って切断した際の、断面概略図である。
第1の基板301と第2の基板302はその外周に近い領域においてシール材303によって接着されている。また、第1の基板301、第2の基板302、及びシール材303に囲まれた領域に、少なくとも画素部311が設けられている。
図17には、第1の駆動回路313として、いずれもnチャネル型のトランジスタ331とトランジスタ332を組み合わせた回路を有する例を示している。なお、第1の駆動回路313の構成はこれに限られず、nチャネル型のトランジスタとpチャネル型のトランジスタを組み合わせた種々のCMOS回路や、pチャネル型のトランジスタを複数組み合わせた回路を有する構成としてもよい。本構成例では、第1の基板301上に第1の駆動回路313が形成されたドライバ一体型のパネルモジュールの構成を示すが、第1の駆動回路と第2の駆動回路の一方または両方を異なる基板に設ける構成としてもよい。例えば、COG方式により駆動回路用ICを実装してもよいし、COF方式により駆動回路用ICが実装されたフレキシブル基板(FPC)を実装してもよい。本構成例では、第2の駆動回路として機能するIC312をCOG方式により第1の基板301上に設ける構成を示している。
なお、画素部311、第1の駆動回路313が備えるトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、シリコンやゲルマニウムなどの半導体材料を用いてもよいし、インジウム、ガリウム、亜鉛のうち少なくともひとつを含む酸化物半導体を用いてもよい。
また、トランジスタに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化が抑制されるため好ましい。
インジウム、ガリウム、亜鉛のうち少なくともひとつを含む酸化物半導体としては、代表的にはIn−Ga−Zn系金属酸化物などが挙げられる。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい酸化物半導体を用いると、オフ時のリーク電流を抑制できるため好ましい。好ましい酸化物半導体の詳細については、後の実施の形態で説明する。
パネルモジュール300には、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric alignedMicro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
また、ノーマリーブラック型のパネルモジュール、例えば垂直配向(VA:VerticalAlignment)モードを採用した透過型のパネルモジュールとしてもよい。ここで、垂直配向モードとは、表示部(表示パネル)の液晶分子の配列を制御する方式の一種であり、電圧が印加されていないときにパネル面に対して液晶分子が垂直方向を向く方式である。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(PatternedVertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super−View)モードなどを用いることができる。また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれる方法を用いることができる。
本実施の形態では、VAモードが適用されたパネルモジュールを示す。
1つの画素には少なくともスイッチング用のトランジスタ356を備える。また、図示しないが、1つの画素に保持容量を有していてもよい。また、トランジスタ356のソース電極またはドレイン電極と電気的に接続する第1の電極351が絶縁層339上に設けられている。
画素に設けられる液晶素子350は、絶縁層339上に設けられた第1の電極351と、第2の基板302上に設けられた第2の電極353と、第1の電極351と第2の電極353に挟持された液晶352を有する。
第1の電極351及び第2の電極353には、透光性の導電性材料を用いる。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物、又はグラフェンを用いることができる。
また、少なくとも画素部311と重なる領域において、第2の基板302上にカラーフィルタ343と、ブラックマトリクス342が設けられている。
カラーフィルタ343は、画素からの透過光を調色し、色純度を高める目的で設けられている。例えば、白色のバックライト用いてフルカラーのパネルモジュールとする場合には、異なる色のカラーフィルタを設けた複数の画素を用いる。その場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色のカラーフィルタを用いてもよいし、これに黄色(Y)を加えた4色とすることもできる。また、R、G、B(及びY)に加えて白色(W)の画素を用い、4色(又は5色)としてもよい。
また、隣接するカラーフィルタ343の間に、ブラックマトリクス342が設けられている。ブラックマトリクス342は隣接する画素から回り込む光を遮光し、隣接画素間における混色を抑制する。ブラックマトリクス342は異なる発光色の隣接画素間にのみ配置し、同色画素間には設けない構成としてもよい。ここで、カラーフィルタ343の端部を、ブラックマトリクス342と重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。ブラックマトリクス342は、画素の透過光を遮光する材料を用いることができ、金属材料や顔料を含む樹脂材料などを用いて形成することができる。
また、カラーフィルタ343とブラックマトリクス342を覆うオーバーコート355が設けられている。オーバーコート355を設けることにより、カラーフィルタ343やブラックマトリクス342に含まれる顔料などの不純物が液晶352に拡散することを抑制できる。オーバーコートは透光性の材料を用い、無機絶縁材料や有機絶縁材料を用いることができる。
なお、オーバーコート355上に、第2の電極353が設けられている。
さらに、オーバーコート355のブラックマトリクス342と重なる領域に、スペーサ354が設けられている。スペーサ354には、樹脂材料を用いると厚く形成できるため好ましい。例えばポジ型またはネガ型の感光性樹脂を用いて形成することができる。また、スペーサ354として遮光性の材料を用いると、隣接する画素から回り込む光を遮光し、隣接画素間における混色を抑制することができる。なお、本構成例ではスペーサ354を第2の基板302側に設ける構成としたが、第1の基板301側に設ける構成としてもよい。また、スペーサ354として、球状の酸化シリコンなどの粒を用い、液晶352が設けられる領域に散布された構成としてもよい。
第1の電極351と第2の電極353の間に電圧を印加することにより、電極面に対して垂直方向に電界が生じ、該電界によって液晶352の配向が制御され、パネルモジュールの外部に配置されたバックライトからの光の偏光を画素単位で制御することにより、画像を表示することができる。
液晶352と接する面には、液晶352の配向を制御するための配向膜を設けてもよい。配向膜には透光性の材料を用いる。
図17に示す表示装置では、液晶素子350と重なる領域にカラーフィルタが設けられているため、色純度が高められたフルカラーの画像表示を実現できる。また、バックライトとして異なる発光色の複数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いて、時間分割表示方式(フィールドシーケンシャル駆動方式)を行うこともできる。時間分割表示方式を用いた場合、カラーフィルタを設ける必要が無く、また例えばR(赤色)、G(緑色)、B(青色)のそれぞれの発光を呈する副画素を設ける必要がないため、画素の開口率を向上させることや、単位面積あたりの画素数を増加できるなどの利点がある。
液晶352としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、強誘電液晶、反強誘電液晶などを用いることができる。また、ブルー相を示す液晶を使用すると、配向膜が不要であり、且つ広い視野角が得られるため好ましい。また、上記の液晶にモノマー、重合開始剤を添加して注入または滴下封止後にモノマーを重合させて高分子安定化する液晶材料でもよい。
なお、図17に示す表示装置ではVAモードが適用された液晶素子350について説明するが、液晶素子の構成はこれに限られず、異なるモードが適用された液晶素子350を用いることができる。
第1の基板301上には、第1の基板301の上面に接して絶縁層337と、トランジスタのゲート絶縁層として機能する絶縁層338と、トランジスタを覆う絶縁層339が設けられている。
絶縁層337は、第1の基板301に含まれる不純物の拡散を抑制する目的で設けられる。また、トランジスタの半導体層に接する絶縁層338及び絶縁層339は、トランジスタの劣化を助長する不純物の拡散を抑制する材料を用いることが好ましい。これら絶縁層には、例えば、シリコンなどの半導体や、アルミニウムなどの金属の、酸化物または窒化物、または酸窒化物を用いることができる。またこのような無機絶縁材料の積層膜、または無機絶縁材料と有機絶縁材料の積層膜を用いてもよい。なお、絶縁層337や絶縁層339は不要であれば設けなくてもよい。
絶縁層339と第1の電極351の間に、下層に設けられるトランジスタや配線などによる段差を被覆する平坦化層としての絶縁層を設けてもよい。このような絶縁層としてはポリイミドやアクリルなどの樹脂材料を用いることが好ましい。また、平坦性を高められる場合には、無機絶縁材料を用いてもよい。
図17(B)で例示した構成では、第1の基板301上にトランジスタと、液晶素子350の第1の電極351を形成するために必要なフォトマスクの数を低減できる。より具体的には、ゲート電極の加工工程と、半導体層の加工工程と、ソース電極及びドレイン電極の加工工程と、絶縁層339の開口工程と、及び第1の電極351の加工工程のそれぞれに用いる、5種類のフォトマスクを用いればよい。
第1の基板301に設けられる配線306は、シール材303によって封止された領域から外側に延在して設けられ、第1の駆動回路313と電気的に接続している。また配線306の端部の一部が外部接続電極305を成している。本構成例では、外部接続電極305はトランジスタのソース電極又はドレイン電極と同一の導電膜と、トランジスタのゲート電極と同一の導電膜を積層して形成されている。このように、複数の導電膜を積層して外部接続電極305を構成することにより、FPC304などの圧着工程に対する機械的強度を高めることができるため好ましい。
また図示しないが、IC312と画素部311とを電気的に接続する配線や外部接続電極も、配線306や外部接続電極305と同様の構成とすればよい。
また、外部接続電極305に接して接続層308が設けられ、接続層308としてFPC304と外部接続電極305とが電気的に接続している。接続層308としては、様々な異方性導電フィルムや、異方性導電ペーストなどを用いることができる。
配線306や、外部接続電極305の端部は、その表面が露出しないように絶縁層で覆われていると、表面の酸化や意図しないショートなどの不具合を抑制できるため好ましい。
本発明の一態様に係るシフトレジスタは、安定して動作することができる。また、本発明の一態様に係るシフトレジスタは、消費電力を低減させることができる。
本実施の形態にて説明したパネルモジュールでは、表示された静止画像のフレーム周波数を低減することができるため、使用者は極力同じ画像を見ることが可能となり、知覚される画面のチラツキが低減される。また、1画素のサイズを小さく高精細な表示が可能となるため、緻密で滑らかな表示とすることができる。また、静止画像の表示を行う際、階調が変化することによる画質の劣化を低減することができる。
上記のことから、パネルモジュールに、本実施の形態に示すシフトレジスタと、先の実施の形態に示す表示部とを備えることにより、消費電力を低減することができる。
このようなシフトレジスタと表示部とを、酸化物半導体で形成することにより、製造工程の簡略化を図ることができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態8)
先の実施の形態にて説明したパネルモジュールに、タッチセンサ(接触検出装置)を設けることで、タッチパネルとして機能させることができる。本実施の形態では、図18及び図19を参照して、タッチパネルについて説明する。以下において、上記実施の形態と重複する部分については、説明を省略する場合がある。
図18(A)は、本実施の形態で例示するタッチパネル400の斜視概略図である。なお図18には明瞭化のため代表的な構成要素のみを示している。また、図18(B)には、タッチパネル400を展開した斜視概略図を示す。
タッチパネル400は、第1の基板401と第2の基板402との間に挟持された表示部411と、第2の基板402と第3の基板403との間に挟持されたタッチセンサ430とを備える。
第1の基板401には、表示部411と、表示部411と電気的に接続する複数の配線406を備える。また、複数の配線406は、第1の基板401の外周部にまで引き回され、その一部がFPC404と電気的に接続するための外部接続電極405を構成している。
表示部411は、複数の画素を有する画素部413、第2の駆動回路412、及び第1の駆動回路414を有し、第1の基板401と第2の基板402とによって封止されている。図18(B)では、第2の駆動回路412を、画素部413を挟んでその両側に2つ配置する構成としたが、1つの第2の駆動回路412を画素部413の一方の辺に沿って配置する構成としてもよい。
表示部411の画素部413に適用可能な表示素子としては、有機EL素子、液晶素子の他、電気泳動方式や電子粉流体方式などにより表示を行う表示素子など、様々な表示素子を用いることができる。本実施の形態では、表示素子として、液晶素子を用いる場合について説明する。
第3の基板403には、タッチセンサ430と、タッチセンサ430と電気的に接続する複数の配線417を備える。タッチセンサ430は、第3の基板403の第2の基板402と対向する面側に設けられる。また複数の配線417は第3の基板403の外周部にまで引き回され、その一部がFPC415と電気的に接続するための外部接続電極416を構成している。なお、図18(B)では明瞭化のため、第3の基板403の裏面側(第2の基板402と対向する面側)に設けられるタッチセンサ430の電極や配線等を実線で示している。
図18(B)に示すタッチセンサ430は、投影型静電容量方式のタッチセンサの一例である。タッチセンサ430は、電極421と電極422とを有する。電極421と電極422とは、それぞれ複数の配線417のいずれかと電気的に接続する。
ここで、電極422の形状は、図18(A)、(B)に示すように、複数の四辺形が一方向に連続した形状となっている。また、電極421の形状は四辺形であり、電極422の延在する方向と交差する方向に一列に並んだ複数の電極421のそれぞれが、配線423によって電気的に接続されている。このとき、電極422と配線423の交差部の面積ができるだけ小さくなるように配置することが好ましい。このような形状とすることで、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、当該電極の有無によって生じる透過率の違いにより、タッチセンサ430を透過する光の輝度ムラを低減することができる。
なお、電極421、電極422の形状はこれに限られず、様々な形状を取りうる。例えば、複数の電極421をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介して電極422を、電極421と重ならない領域ができるように離間して複数設ける構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極422の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい。
図19に、図18(A)に示すタッチパネル400のX1−X2における断面図を示す。
第1の基板401上には、スイッチング素子層437が設けられている。スイッチング素子層437は、少なくともトランジスタを有する。スイッチング素子層437には、トランジスタの他に、容量素子などを有していてもよい。また、スイッチング素子層437は、駆動回路(第1の駆動回路、第2の駆動回路)などを含んでいてもよい。さらに、スイッチング素子層437は配線や電極等を含んでいてもよい。
第2の基板402の一方の面には、カラーフィルタ層435が設けられている。カラーフィルタ層435は、液晶素子と重なるカラーフィルタを有する。カラーフィルタ層435には、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色のカラーフィルタを設ける構成とすると、フルカラーの液晶表示装置とすることができる。
カラーフィルタ層435は、例えば、顔料を含む感光性の材料を用い、フォトリソグラフィ工程により形成される。また、カラーフィルタ層435として、異なる色のカラーフィルタの間にブラックマトリクスを設けてもよい。また、カラーフィルタやブラックマトリクスを覆うオーバーコートを設けてもよい。
なお、用いる液晶素子の構成に応じて、カラーフィルタ層435上に液晶素子の一方の電極を形成してもよい。なお該電極は、後に形成される液晶素子の一部となる。また該電極上に配向膜が設けられていてもよい。
液晶431は、第1の基板401と第2の基板402との間に挟持された状態で、封止材436によって封止される。また、封止材436は、スイッチング素子層437やカラーフィルタ層435を囲むように設けられている。
封止材436としては、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂を用いることができ、アクリル、ウレタン、エポキシ、またはシロキサン結合を有する樹脂などの有機樹脂を用いることができる。また、封止材436は、低融点ガラスを含むガラスフリットにより形成されていてもよい。また、封止材436は、上記有機樹脂とガラスフリットとを組み合わせて形成されていてもよい。例えば、液晶431に接して上記有機樹脂を設け、その外側にガラスフリットを設けることで、外部から、液晶へ水などが混入することを抑制することができる。
また、第2の基板402上には、タッチセンサが設けられている。タッチセンサは、第3の基板403の一方の面に、絶縁層424を介してセンサ層440が設けられ、センサ層440は、接着層434を介して第2の基板402と貼り合わされている。また、第3の基板403の他方の面には、偏光板441が設けられている。
タッチセンサは、第3の基板403上に、センサ層440を形成した後、センサ層440上に設けられた接着層434を介して、第2の基板402と貼り合わせることにより、液晶表示装置420上に設けることができる。
絶縁層424は、例えば、酸化シリコンなどの酸化物を用いることができる。絶縁層424に接して透光性を有する電極421及び電極422が設けられている。電極421及び電極422は、第3の基板403上に形成された絶縁層424上に、スパッタリング法により導電膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法等の様々なパターニング技術により、不要な部分を除去することで形成される。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。
電極421又は電極422には、配線438が電気的に接続されている。配線438の一部は、FPC415と電気的に接続する外部接続電極として機能する。配線438としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
電極422は、一方向に延在したストライプ状に複数設けられている。また、電極421は、一本の電極422を一対の電極421が挟むように設けられ、これらを電気的に接続する配線432が電極422と交差するように設けられる。ここで、一本の電極422と、配線432とによって電気的に接続される複数の電極421は、必ずしも直交して設ける必要はなく、これらのなす角度が90度未満であってもよい。
また、電極421及び電極422を覆うように、絶縁層433が設けられている。絶縁層433に用いる材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。また、絶縁層433には、電極421に達する開口部が設けられ、電極421と電気的に接続する配線432が設けられている。配線432は、電極421及び電極422と同様の透光性の導電性材料を用いると、タッチパネルの開口率が高まるため好ましい。また、配線432に電極421及び電極422と同一の材料を用いてもよいが、これよりも導電性の高い材料を用いることが好ましい。
また、絶縁層433及び配線432を覆う絶縁層が設けられていてもよい。当該絶縁層は、保護層として機能させることができる。
また、絶縁層433(及び保護層として機能する絶縁層)には、配線438に達する開口が設けられており、開口に設けられた接続層439によって、FPC415と配線438とが電気的に接続されている。接続層439としては、様々な異方性導電フィルム(ACF:AnisotropicConductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
センサ層440と、第2の基板402とを接着する接着層434は、透光性を有することが好ましい。例えば、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル、ウレタン、エポキシ、またはシロキサン結合を有する樹脂などの樹脂を用いることができる。
偏光板441としては、様々な偏光板を用いればよく、自然光や円偏光から直線偏光を作り出すことができるような材料を用いる。例えば、二色性の物質を一定方向にそろえて配置することで、光学的な異方性を持たせたものを用いることができる。例えば、ヨウ素系の化合物などをポリビニルアルコールなどのフィルムに吸着させ、これを一方向に延伸することで作製することができる。なお、二色性の物質としては、ヨウ素系の化合物のほか、染料系の化合物などが用いられる。偏光板441は、膜状、またはフィルム状、シート状、もしくは板状の材料を用いることができる。
なお、本実施の形態ではセンサ層440として投影型静電容量式のタッチセンサを適用する例を示したが、センサ層440としてはこれに限られず、偏光板よりも外側から指等の導電性の検知対象が近接する、または触れることを検知するタッチセンサとして機能するセンサを適用することができる。センサ層440に設けられるタッチセンサとして、静電容量方式のタッチセンサが好ましい。静電容量方式のタッチセンサとしては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等があり、投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
本実施の形態にて説明したタッチパネルを用いたパネルモジュールでは、表示された静止画像のフレーム周波数を低減することができるため、使用者は極力同じ画像を見ることが可能となり、知覚される画面のチラツキが低減される。また、1画素のサイズを小さく高精細な表示が可能となるため、緻密で滑らかな表示とすることができる。また、静止画像の表示を行う際、階調が変化することによる画質の劣化を低減することができるとともに、パネルモジュールで消費される電力を低減することができる。
本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、表示装置の画素や駆動回路に適用できるトランジスタの構成例について、図面を参照して説明する。
トランジスタの構造は、特に限定されず任意の構造とすることができる。トランジスタの構造として、例えば、以下に説明するボトムゲート構造やトップゲート構造などを用いることができる。また、トランジスタはチャネル形成領域が1つ形成されるシングルゲート構造でも、2つ形成されるダブルゲート構造若しくは3つ形成されるトリプルゲート構造などのマルチゲート構造であってもよい。また、チャネル形成領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有する構造(本明細書等においては、これをデュアルゲート構造という。)でもよい。
図20に、ボトムゲート構造の一種であるボトムゲートトップコンタクト構造のトランジスタ600の構造例を示す。図20(A)は、トランジスタ600の平面図であり、図20(B)は、図20(A)中の一点鎖線X1−X2における断面図である。
トランジスタ600は、基板601上に設けられたゲート電極602と、基板601及びゲート電極602上に設けられた絶縁層603と、絶縁層603を介してゲート電極602と重畳する酸化物半導体層604と、酸化物半導体層604の上面に接して設けられた一対の電極605a、605bと、を有する。また、絶縁層603、酸化物半導体層604、一対の電極605a、605bを覆う絶縁層606と、絶縁層606上に絶縁層607が設けられていてもよい。
本明細書等において、ゲート電極と重畳する領域において、一対の電極の一方の電極と、他方の電極との間隔をチャネル長という。また、チャネル形成領域とは、酸化物半導体層において、ゲート電極と重なり、かつ一対の電極の一方と他方の電極とに挟まれる領域をいう。また、チャネルとは、チャネル形成領域において、電流が主として流れる経路をいう。
基板601として、材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する基板を用いる。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイヤ基板、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)基板等を、基板601として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能である。また、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板601として用いてもよい。
また、基板601として、プラスチックなどの可撓性基板を用い、該可撓性基板上に直接、トランジスタ600を形成してもよい。または、基板601とトランジスタ600の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上層にトランジスタの一部あるいは全部を形成した後、基板601より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その結果、トランジスタ600は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
ゲート電極602は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属、または上述した金属を成分とする合金か、上述した金属を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属を用いてもよい。また、ゲート電極602は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数の金属を組み合わせた合金膜、もしくはこれらの窒化膜を用いてもよい。
また、ゲート電極602は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属の積層構造とすることもできる。
また、ゲート電極602と絶縁層603との間に、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜、In−Sn系酸窒化物半導体膜、In−Ga系酸窒化物半導体膜、In−Zn系酸窒化物半導体膜、Sn系酸窒化物半導体膜、In系酸窒化物半導体膜、金属窒化膜(InN、ZnN等)等を設けてもよい。これらの膜は5eV、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、酸化物半導体の電子親和力よりも大きい値であるため、酸化物半導体を用いたトランジスタのしきい値電圧をプラスにシフトすることができ、所謂ノーマリーオフ特性のスイッチング素子を実現できる。例えば、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体層604より高い窒素濃度、具体的には7原子%以上のIn−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる。
絶縁層603は、ゲート絶縁膜として機能する。酸化物半導体層604の下面と接する絶縁層603は、非晶質膜であることが好ましい。
絶縁層603は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系金属酸化物、窒化シリコンなどを用いればよく、積層または単層で設ける。
また、絶縁層603として、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
一対の電極605a、605bは、トランジスタのソース電極またはドレイン電極として機能する。
一対の電極605a、605bは、導電材料として、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透光性を有する導電材料を用いてもよい。
絶縁層606としては、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。なお、本明細書中において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指す。
絶縁層606は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により一部の酸素が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。
なお、絶縁層606は、後に形成する絶縁層607を形成する際の、酸化物半導体層604へのダメージ緩和膜としても機能する。
また、絶縁層606と酸化物半導体層604の間に、酸素を透過する酸化物膜を設けてもよい。
酸素を透過する酸化物膜としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
絶縁層607としては、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を用いることができる。絶縁層606上に絶縁層607を設けることで、酸化物半導体層604に含まれる酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体層604への水素、水等の侵入を防ぐことができる。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
続いて、図20に例示するトランジスタ600の作製方法の一例について説明する。
まず、図21(A)に示すように、基板601上にゲート電極602を形成し、ゲート電極602上に絶縁層603を形成する。
ここでは、基板601としてガラス基板を用いる。
はじめに、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等により導電膜を形成し、導電膜上にフォトマスクを用いてフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成する。次に、該レジストマスクを用いて導電膜の一部をエッチングして、ゲート電極602を形成する。その後、レジストマスクを除去する。
なお、ゲート電極602は、上記形成方法の代わりに、電解メッキ法、印刷法、インクジェット法等で形成してもよい。
絶縁層603は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で形成される。また、絶縁層603として、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜を用いることができる。
絶縁層603として酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
また、絶縁層603として窒化シリコン膜を形成する場合、2段階の形成方法を用いることが好ましい。はじめに、シラン、窒素、及びアンモニアの混合ガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法により、欠陥の少ない第1の窒化シリコン膜を形成する。次に、原料ガスを、シラン及び窒素の混合ガスに切り替えて、水素濃度が少なく、且つ水素をブロッキングすることが可能な第2の窒化シリコン膜を成膜する。このような形成方法により、絶縁層603として、欠陥が少なく、且つ水素ブロッキング性を有する窒化シリコン膜を形成することができる。
また、絶縁層603として酸化ガリウム膜を形成する場合、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成することができる。
絶縁層603において、後に形成される酸化物半導体層604と接する領域は、酸化物絶縁膜であることが好ましく、化学量論組成よりも過剰に酸素を含有する領域(酸素過剰領域ともいう)を有することが好ましい。例えば、成膜後の絶縁層603に酸素を導入して、酸素過剰領域を形成してもよい。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理等を用いることができる。
絶縁層603に酸素を導入することにより、酸化物半導体層604を形成した後、加熱処理を行うことで、絶縁層603から酸化物半導体層604に、酸素を供給することができる。これにより、酸化物半導体層604に含まれる酸素欠損を低減することができる。
次に、図21(B)に示すように、絶縁層603上に酸化物半導体層604を形成する。
はじめに、スパッタリング法により、酸化物半導体膜を形成し、酸化物半導体膜上にフォトマスクを用いてフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成する。次に、該レジストマスクを用いて酸化物半導体膜の一部をエッチングして、酸化物半導体層604を形成する。その後、レジストマスクを除去する。なお、酸化物半導体膜は、スパッタリング法の他、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、LPCVD法、PECVD法、ミストCVD法等のCVD法、パルスレーザ堆積法、ALD法等を適宜用いて形成することもできる。
酸化物半導体層604の形成後、加熱処理を行っても良い。加熱処理を行うことによって、酸化物半導体層604に含まれる水素や水などを除去することができる。当加該熱処理を、脱水化処理、脱水素化処理ともいう。加熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、又は基板の歪み点未満とする。加熱処理は、減圧下、窒素雰囲気下、又は酸素雰囲気下などで行うことができる。
なお、加熱処理は、酸化物半導体層604の形成後であればトランジスタの作製工程において、どのタイミングで行ってもよい。例えば、酸化物半導体膜の成膜後に行っても良い。また、加熱処理は、複数回行ってもよく、他の加熱処理を兼ねてもよい。加熱処理には、レーザ照射装置を適用してもよい。
次に、図21(C)に示すように、一対の電極605a、605bを形成する。
はじめに、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で導電膜を形成し、該導電膜上にフォトマスクを用いてフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成する。次に、該レジストマスクを用いて導電膜の一部をエッチングして、一対の電極605a、605bを形成する。その後、レジストマスクを除去する。
なお、図21(C)に示すように、導電膜のエッチングの際に酸化物半導体層604の上部の一部がエッチングされ、薄膜化されることがある。そのため、酸化物半導体層604の形成時、酸化物半導体膜の厚さを予め厚く設定しておいてもよい。
次に、図21(D)に示すように、酸化物半導体層604及び一対の電極605a、605b上に、絶縁層606を形成し、続いて絶縁層606上に絶縁層607を形成する。
絶縁層606として酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
例えば、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上260℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する。
成膜条件として、上記圧力の処理室において上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、酸化物絶縁膜中における酸素含有量が化学量論比よりも多くなる。しかしながら、基板温度が、上記温度であると、シリコンと酸素の結合力が弱いため、加熱により酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜を形成することができる。
また、酸化物半導体層604と絶縁層606の間に酸化物絶縁膜を設ける場合には、絶縁層606の形成工程において、該酸化物絶縁膜が酸化物半導体層604の保護膜となる。この結果、酸化物半導体層604へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁層606を形成することができる。
例えば、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上400℃以下、さらに好ましくは200℃以上370℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を20Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上250Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に高周波電力を供給する条件により、酸化物絶縁膜として酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することができる。また、処理室の圧力を100Pa以上250Pa以下とすることで、該酸化物絶縁膜を成膜する際に、酸化物半導体層604へのダメージを低減することが可能である。
酸化物絶縁膜の原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
絶縁層607は、スパッタリング法、CVD法等で形成することができる。また、絶縁層607として、例えば、窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜を用いることができる。
絶縁層607として窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体、酸化性気体、及び窒素を含む気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。窒素を含む気体としては、窒素、アンモニア等がある。
以上の工程により、トランジスタ600を形成することができる。
以下では、トランジスタ600と一部が異なるトランジスタの構造例について説明する。
図22(A)に、以下で例示するトランジスタ610の断面図を示す。トランジスタ610は、酸化物半導体層の構成が異なる点で、トランジスタ600と相違している。
トランジスタ610の備える酸化物半導体層614は、酸化物半導体層614aと酸化物半導体層614bとが積層されて構成される。
酸化物半導体層を複数積層してトランジスタを形成する場合には、酸化物半導体層の各層の境界が不明瞭となる場合がある。例えば、酸化物半導体層614aと酸化物半導体層614bの境界は不明瞭である場合があるため、図22(A)等の図中には、これらの境界を破線で示している。また、このような場合には、酸化物半導体層614aと酸化物半導体層614bを同一の層とみなせることもある。または、酸化物半導体層を複数積層する場合、酸化物半導体層の各層の境界が明瞭に判別できる場合には、酸化物半導体層を複数の層とみなすことができる。
例えば、酸化物半導体層614aは、代表的にはIn−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、またはHf)を用いる。また、酸化物半導体層614aがIn−M−Zn酸化物であるとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくは、Inが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくは、Inが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。また例えば、酸化物半導体層614aは、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である材料を用いる。
例えば、酸化物半導体層614bはIn若しくはGaを含み、代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)であり、且つ酸化物半導体層614aよりも伝導帯の下端のエネルギーが真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体層614bの伝導帯の下端のエネルギーと、酸化物半導体層614aの伝導帯の下端のエネルギーとの差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.15eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下とすることが好ましい。
また、例えば、酸化物半導体層614bがIn−M−Zn酸化物であるとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくは、Inが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくは、Inが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。
例えば、酸化物半導体層614aとしてIn:Ga:Zn=1:1:1または3:1:2の原子数比のIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。また、酸化物半導体層614bとしてIn:Ga:Zn=1:3:2、1:6:4、または1:9:6の原子数比のIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。なお、酸化物半導体層614a、及び酸化物半導体層614bの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。
上層に設けられる酸化物半導体層614bに、スタビライザーとして機能するGaの含有量の多い酸化物を用いることにより、酸化物半導体層614a、及び酸化物半導体層614bからの酸素の放出を抑制することができる。
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体層614a、酸化物半導体層614bのキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
なお、上記では酸化物半導体層614として、2層の酸化物半導体層が積層された構成を例示したが、3層以上の酸化物半導体層を積層する構成としてもよい。
図22(B)に、3層の酸化物半導体層624を備えるトランジスタ620の断面図を示す。
酸化物半導体層624は、酸化物半導体層624a、酸化物半導体層624b、酸化物半導体層624cが順に積層されて構成される。
なお、酸化物半導体層624aと酸化物半導体層624bとの境界、及び酸化物半導体層624b及び酸化物半導体層624cとの境界は、不明瞭である場合があるため、図22(B)等の図中には、これらの境界を破線で示している。また、このような場合には、酸化物半導体層624a、酸化物半導体層624b、及び酸化物半導体層624cを同一の層とみなせることもある。
例えば、酸化物半導体層624a及び酸化物半導体層624cとして、上記トランジスタ610で例示した酸化物半導体層614aと同様の構成を用いることができる。また、例えば、酸化物半導体層624bとして、上記トランジスタ610で例示した酸化物半導体層614bと同様の構成を用いることができる。
例えば、酸化物半導体層624bの下層に設けられる酸化物半導体層624a、及び上層に設けられる酸化物半導体層624cに、スタビライザーとして機能するGaの含有量の多い酸化物を用いることにより、酸化物半導体層624a、酸化物半導体層624b、及び酸化物半導体層624cからの酸素の放出を抑制することができる。
また、例えば酸化物半導体層624bに主としてチャネルが形成される場合に、酸化物半導体層624bにInの含有量の多い酸化物を用い、酸化物半導体層624bと接して一対の電極605a、605bを設けることにより、トランジスタ620のオン電流を増大させることができる。
図22(C)に、以下で例示するトランジスタ630の断面概略図を示す。トランジスタ630は、酸化物半導体層の構成が異なる点で、トランジスタ600及びトランジスタ610と相違している。
トランジスタ630の備える酸化物半導体層634は、酸化物半導体層634a、酸化物半導体層634b、酸化物半導体層634cが順に積層されて構成される。
酸化物半導体層634a及び酸化物半導体層634bは、絶縁層603上に積層して設けられる。また、酸化物半導体層634cは、酸化物半導体層634bの上面、並びに一対の電極605a、605bの上面及び側面に接して設けられる。
例えば、酸化物半導体層634a及び酸化物半導体層634cとして、上記トランジスタ610で例示した酸化物半導体層614aと同様の構成を用いることができる。また例えば、酸化物半導体層624bとして、上記トランジスタ610で例示した酸化物半導体層614bと同様の構成を用いることができる。
例えば、酸化物半導体層634bの下層に設けられる酸化物半導体層634a、及び上層に設けられる酸化物半導体層634cに、スタビライザーとして機能するGaの含有量の多い酸化物を用いることにより、酸化物半導体層634a、酸化物半導体層634b、及び酸化物半導体層634cからの酸素の放出を抑制することができる。
また、例えば、酸化物半導体層634bに主としてチャネルが形成される場合に、酸化物半導体層634bにInの含有量の多い酸化物を用い、酸化物半導体層634bと接して一対の電極605a、605bを設けることにより、トランジスタ630のオン電流を増大させることができる。
図23に、トップゲート構造の一種であるトップゲートトップコンタクト構造のトランジスタを示す。なお、以下では、上記と同様の構成、または同様の機能を備える構成要素においては、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図23(A)に示すトランジスタ640は、絶縁層609が設けられた基板601上に設けられた酸化物半導体層604と、酸化物半導体層604の上面に接する一対の電極605a、605bと、酸化物半導体層604、一対の電極605a、605b上に設けられた絶縁層603と、絶縁層603上に酸化物半導体層604と重なるように設けられるゲート電極602とを有する。また、絶縁層603及びゲート電極602を覆って絶縁層608が設けられている。
絶縁層609として、例えば、窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜を用いることができる。絶縁層609は、基板601から酸化物半導体層604への不純物の拡散を抑制する機能を有する。なお、絶縁層609は、不要であれば設けなくてもよい。
絶縁層608として、例えば、窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜を用いることができる。絶縁層608は、上記絶縁層607と同様、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を適用することができる。なお、絶縁層608は不要であれば設けなくてもよい。
以下では、トランジスタ640と一部が異なるトランジスタの構成例について説明する。
図23(B)に、トランジスタ650の断面図を示す。トランジスタ650は、酸化物半導体層の構成が異なる点で、トランジスタ640と相違している。
トランジスタ650の備える酸化物半導体層654は、酸化物半導体層654a、酸化物半導体層654b、及び酸化物半導体層654cが順に積層されて構成されている。
酸化物半導体層654a、酸化物半導体層654b、酸化物半導体層654cのうち、いずれか一、またはいずれか二、または全部に、本発明の一態様の酸化物半導体膜を適用することができる。
例えば、酸化物半導体層654bとして、上記酸化物半導体層614bと同様の構成を用いることができる。また例えば、酸化物半導体層654a、654cとして、上記酸化物半導体層614aと同様の構成を用いることができる。
例えば、酸化物半導体層654bの下層に設けられる酸化物半導体層624a、及び上層に設けられる酸化物半導体層654cに、スタビライザーとして機能するGaの含有量の多い酸化物を用いることにより、酸化物半導体層654a、酸化物半導体層654b、酸化物半導体層654cからの酸素の放出を抑制することができる。
ここで、酸化物半導体層654の形成時において、酸化物半導体層654cと酸化物半導体層654bをエッチングにより加工して酸化物半導体層654aとなる酸化物半導体膜を露出させ、その後にドライエッチング法によって該酸化物半導体膜を加工して酸化物半導体層654aを形成する場合に、該酸化物半導体膜の反応生成物が、酸化物半導体層654b及び酸化物半導体層654cの側面に再付着し、側壁保護層(ラビットイヤーとも呼べる)が形成される場合がある。なお、該反応生成物は、スパッタリング現象によって再付着するほか、ドライエッチング時のプラズマを介して再付着する場合もある。
図23(C)には、上述のようにして酸化物半導体層664の側面に側壁保護層664dが形成された場合の、トランジスタ660の断面図を示している。
側壁保護層664dは、主として酸化物半導体層664aと同一の材料を含む。また、側壁保護層664dには、酸化物半導体層664aの下層に設けられる層(ここでは絶縁層609)の成分(例えばシリコン)を含有する場合がある。また、酸化物半導体層664a乃至酸化物半導体層664cと、側壁保護層664dとの境界が不明瞭となる場合がある。このような場合には、酸化物半導体層664a乃至酸化物半導体層664c、並びに側壁保護層664dを同一の層とみなすことができる。または、酸化物半導体層664a乃至酸化物半導体層664cと、側壁保護層664dとの境界が明瞭に判別できる場合には、これらを複数の層とみなすこともできる。
また、図23(C)に示すように、酸化物半導体層664bの側面を側壁保護層664dで覆い、一対の電極605a、605bと接しない構成とすることにより、特に酸化物半導体層664bに主としてチャネルが形成される場合に、トランジスタのオフ時の意図しないリーク電流を抑制し、優れたオフ特性を有するトランジスタを実現できる。また、側壁保護層664dとしてスタビライザーとして機能するGaの含有量の多い材料を用いることで、酸化物半導体層664bの側面からの酸素の脱離を効果的に抑制し、電気的特性の安定性に優れたトランジスタを実現できる。
図24(A)に、酸化物半導体層604を挟むように設けられた一対のゲート電極を有するトランジスタ670を示す。
トランジスタ670は、基板601上に設けられたゲート電極602と、基板601及びゲート電極602上に設けられた絶縁層603と、絶縁層603を介してゲート電極602と重畳する酸化物半導体層604と、酸化物半導体層604の上面に接して設けられた一対の電極605a、605bと、絶縁層603、酸化物半導体層604、一対の電極605a、605bを覆う絶縁層606と、絶縁層606を介して酸化物半導体層604と重畳するゲート電極612と、を有する。なお、絶縁層606は、ゲート絶縁膜として機能する。
ゲート電極602とゲート電極612のうち、一方のゲート電極は、トランジスタのオン状態またはオフ状態を制御するための信号が与えられ、他方のゲート電極は、接地電位や負の電位などの固定電位が与えられていてもよい。他方のゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジスタ660のしきい値電圧を制御することができる。以上のように、双方のゲート電極の電位を制御することで、トランジスタのしきい値電圧の変化をさらに低減することができるため、例えば、トランジスタがノーマリーオンとなることを抑制することができる。
図24(B)に、酸化物半導体層604に接して絶縁層613を有するトランジスタ680を示す。
トランジスタ680は、基板601上に設けられたゲート電極602と、基板601及びゲート電極602上に設けられた絶縁層603と、絶縁層603を介してゲート電極602と重畳する酸化物半導体層604と、酸化物半導体層604の上面に接して設けられた絶縁層613と、酸化物半導体層604及び絶縁層613上に設けられた一対の電極605a、605bと、を有する。また、絶縁層603、酸化物半導体層604、絶縁層613、一対の電極605a、605bを覆う絶縁層606が設けられていてもよい。
絶縁層613としては、例えば、絶縁層606と同様な絶縁膜を用いることが好ましい。絶縁層613として、例えば、化学量論組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用い、加熱処理を行うことにより、絶縁層613に含まれる酸素の一部が脱離して、酸化物半導体層604に供給される。これにより、酸化物半導体層604に含まれる酸素欠損に酸素が補填されるため、酸素欠損を低減することができる。
また、一対の電極605a、605bを形成する際のエッチングにより、酸化物半導体層604が除去される、及び酸化物半導体層604にエッチング残渣などの不純物が混入することを抑制することができる。
なお、図24(A)に示すトランジスタ670、及び図24(B)に示すトランジスタ680では、単層の酸化物半導体層604を例示したが、図22(A)乃至(C)に示すような積層の酸化物半導体層としてもよい。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態10)
上記実施の形態で例示したトランジスタのチャネルが形成される領域に好適に用いることができる半導体及び半導体膜の一例について、以下に説明する。
酸化物半導体は、エネルギーギャップが3.0eV以上であり、シリコンのバンドギャップ(1.1eV)と比較して非常に大きい。このような、酸化物半導体を適切な条件で形成し、そのキャリア密度を十分に低減して得られた酸化物半導体膜が適用されたトランジスタにおいては、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流(オフ電流)を、従来のシリコンを用いたトランジスタと比較して極めて低いものとすることができる。
酸化物半導体膜をトランジスタに適用する場合、酸化物半導体膜の膜厚は2nm以上40nm以下とすることが好ましい。
適用可能な酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特に、InとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド(例えば、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd))から選ばれた一種、または複数種が含まれていることが好ましい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、In−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Ti−Zn系酸化物、In−Sc−Zn系酸化物、In−Y−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
ここで、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、酸化物半導体として、InMO3(ZnO)m(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素、若しくは上記のスタビライザーとしての元素を示す。また、酸化物半導体として、In2SnO5(ZnO)n(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:3:2、In:Ga:Zn=3:1:2、あるいはIn:Ga:Zn=2:1:3の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
酸化物半導体膜に水素が多量に含まれると、酸化物半導体と結合することによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしまう。これにより、トランジスタのしきい値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため、酸化物半導体膜の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜から、水素、又は水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化することが好ましい。
なお、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって、酸化物半導体膜から酸素も同時に減少してしまうことがある。よって、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって増加した酸素欠損を補填するために、酸素を酸化物半導体に加える処理を行うことが好ましい。本明細書等において、酸化物半導体膜に酸素を供給する場合を、加酸素化処理と記す場合がある。または酸化物半導体膜に含まれる酸素を化学量論的組成よりも多くする場合を過酸素化処理と記す場合がある。
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素または水分が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化またはi型に限りなく近く実質的にi型(真性)である酸化物半導体膜とすることができる。なお、実質的に真性とは、酸化物半導体膜中にドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)、キャリア密度が1×1017/cm3以下、1×1016/cm3以下、1×1015/cm3以下、1×1014/cm3以下、1×1013/cm3以下であることをいう。
またこのように、i型又は実質的にi型である酸化物半導体膜を備えるトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。例えば、酸化物半導体膜を用いたトランジスタがオフ状態のときのドレイン電流を、室温(25℃程度)にて1×10−18A以下、好ましくは1×10−21A以下、さらに好ましくは1×10−24A以下、または85℃にて1×10−15A以下、好ましくは1×10−18A以下、さらに好ましくは1×10−21A以下とすることができる。なお、トランジスタがオフ状態とは、nチャネル型のトランジスタの場合、ゲート電圧がしきい値電圧よりも十分小さい状態をいう。具体的には、ゲート電圧がしきい値電圧よりも1V以上、2V以上または3V以上小さければ、トランジスタはオフ状態となる。
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
CAAC−OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
CAAC−OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
一方、CAAC−OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
なお、CAAC−OS膜に対し、電子回折を行うと、配向性を示すスポット(輝点)が観測される。例えば、CAAC−OS膜の上面に対し、例えば1nm以上30nm以下の電子線を用いる電子回折(ナノビーム電子回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される(図28(A)参照。)。
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有していることがわかる。
なお、CAAC−OS膜に含まれるほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。ただし、CAAC−OS膜に含まれる複数の結晶部が連結することで、一つの大きな結晶領域を形成する場合がある。例えば、平面TEM像において、2500nm2以上、5μm2以上、または1000μm2以上となる結晶領域が観察される場合がある。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
一方、CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO4の単結晶酸化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
なお、結晶部は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS膜中において、c軸配向した結晶部の分布が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりもc軸配向した結晶部の割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域が変質し、部分的にc軸配向した結晶部の割合の異なる領域が形成されることもある。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
微結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができない場合がある。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、TEMによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある(図28(B)参照。)。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
酸化物半導体膜が複数の構造を有する場合、ナノビーム電子回折を用いることで構造解析が可能となる場合がある。
図29(A)に、電子銃室10と、電子銃室10の下の光学系12と、光学系12の下の試料室21と、試料室21の下の光学系16と、光学系16の下の観察室20と、観察室20に設置されたカメラ23と、観察室20の下のフィルム室22と、を有する透過電子回折測定装置を示す。カメラ23は、観察室20内部に向けて設置される。なお、フィルム室22を有さなくても構わない。
また、図29(B)に、図29(A)で示した透過電子回折測定装置内部の構造を示す。透過電子回折測定装置内部では、電子銃室10に設置された電子銃から放出された電子が、光学系12を介して試料室21に配置された物質28に照射される。物質28を通過した電子は、光学系16を介して観察室20内部に設置された蛍光板32に入射する。蛍光板32では、入射した電子の強度に応じたパターンが現れることで透過電子回折パターンを測定することができる。
カメラ23は、蛍光板32を向いて設置されており、蛍光板32に現れたパターンを撮影することが可能である。カメラ23のレンズの中央、および蛍光板32の中央を通る直線と、蛍光板32の上面と、の為す角度は、例えば、15°以上80°以下、30°以上75°以下、または45°以上70°以下とする。該角度が小さいほど、カメラ23で撮影される透過電子回折パターンは歪みが大きくなる。ただし、あらかじめ該角度がわかっていれば、得られた透過電子回折パターンの歪みを補正することも可能である。なお、カメラ23をフィルム室22に設置しても構わない場合がある。例えば、カメラ23をフィルム室22に、電子24の入射方向と対向するように設置してもよい。この場合、蛍光板32の裏面から歪みの少ない透過電子回折パターンを撮影することができる。
試料室21には、試料である物質28を固定するためのホルダが設置されている。ホルダは、物質28を通過する電子を透過するような構造をしている。ホルダは、例えば、物質28をX軸、Y軸、Z軸などに移動させる機能を有していてもよい。ホルダの移動機能は、例えば、1nm以上10nm以下、5nm以上50nm以下、10nm以上100nm以下、50nm以上500nm以下、100nm以上1μm以下などの範囲で移動させる精度を有すればよい。これらの範囲は、物質28の構造によって最適な範囲を設定すればよい。
次に、上述した透過電子回折測定装置を用いて、物質の透過電子回折パターンを測定する方法について説明する。
例えば、図29(B)に示すように物質におけるナノビームである電子24の照射位置を変化させる(スキャンする)ことで、物質の構造が変化していく様子を確認することができる。このとき、物質28がCAAC−OS膜であれば、図28(A)に示したような回折パターンが観測される。または、物質28がnc−OS膜であれば、図28(B)に示したような回折パターンが観測される。
ところで、物質28がCAAC−OS膜であったとしても、部分的にnc−OS膜などと同様の回折パターンが観測される場合がある。したがって、CAAC−OS膜の良否は、一定の範囲におけるCAAC−OS膜の回折パターンが観測される領域の割合(CAAC化率ともいう。)で表すことができる場合がある。例えば、良質なCAAC−OS膜であれば、CAAC化率は、60%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上となる。なお、CAAC−OS膜と異なる回折パターンが観測される領域を非CAAC化率と表記する。
一例として、成膜直後(as−depoと表記。)、350℃加熱処理後または450℃加熱処理後のCAAC−OS膜を有する各試料の上面に対し、スキャンしながら透過電子回折パターンを取得した。ここでは、5nm/秒の速度で60秒間スキャンしながら回折パターンを観測し、観測された回折パターンを0.5秒ごとに静止画に変換することで、CAAC化率を導出した。なお、電子線としては、プローブ径が1nmのナノビームを用いた。
各試料におけるCAAC化率を図30に示す。成膜直後および350℃加熱処理後と比べて、450℃加熱処理後のCAAC化率が高いことがわかる。即ち、350℃より高い温度(例えば400℃以上)における加熱処理によって、非CAAC化率が低くなる(CAAC化率が高くなる)ことがわかる。ここで、CAAC−OS膜と異なる回折パターンのほとんどはnc−OS膜と同様の回折パターンであった。したがって、加熱処理によって、nc−OS膜と同様の構造を有する領域は、隣接する領域の構造の影響を受けてCAAC化していることが示唆される。
このような測定方法を用いれば、複数の構造を有する酸化物半導体膜の構造解析が可能となる場合がある。
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
CAAC−OS膜は、例えば、多結晶である酸化物半導体スパッタリング用ターゲットを用い、スパッタリング法によって成膜することができる。当該スパッタリング用ターゲットにイオンが衝突すると、スパッタリング用ターゲットに含まれる結晶領域がa−b面から劈開し、a−b面に平行な面を有する平板状またはペレット状のスパッタリング粒子として剥離することがある。この場合、当該平板状またはペレット状のスパッタリング粒子が、結晶状態を維持したまま被成膜面に到達することで、CAAC−OS膜を成膜することができる。
平板状のスパッタリング粒子は、例えば、a−b面に平行な面の円相当径が3nm以上10nm以下、厚さ(a−b面に垂直な方向の長さ)が0.7nm以上1nm未満である。なお、平板状のスパッタリング粒子は、a−b面に平行な面が正三角形又は正六角形であってもよい。ここで、円相当径とは、面の面積と等しい正円の直径をいう。
また、CAAC−OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
成膜時の基板温度を高めることで、基板に到達した平板状のスパッタリング粒子のマイグレーションが起こり、スパッタリング粒子の平らな面が基板に付着する。このとき、スパッタリング粒子が正に帯電することで、スパッタリング粒子同士が反発しながら基板に付着するため、スパッタリング粒子が偏って不均一に重なることがなく、厚さの均一なCAAC−OS膜を成膜することができる。具体的には、基板温度を100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下として成膜することが好ましい。
また、成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制できる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素および窒素など)を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下である成膜ガスを用いる。
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体積%とする。
CAAC−OS膜を成膜した後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の温度は、100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下とする。また、加熱処理の時間は1分以上24時間以下、好ましくは6分以上4時間以下とする。また、加熱処理は、不活性雰囲気又は酸化性雰囲気で行えばよい。好ましくは、不活性雰囲気で加熱処理を行った後、酸化性雰囲気で加熱処理を行う。不活性雰囲気での加熱処理により、CAAC−OS膜の不純物濃度を短時間で低減することができる。一方、不活性雰囲気での加熱処理によりCAAC−OS膜に酸素欠損が生成されることがある。その場合、酸化性雰囲気での加熱処理によって該酸素欠損を低減することができる。また、加熱処理を行うことで、CAAC−OS膜の結晶性をさらに高めることができる。なお、加熱処理は、1000Pa以下、100Pa以下、10Pa以下又は1Pa以下の減圧下で行ってもよい。減圧下では、CAAC−OS膜の不純物濃度をさらに短時間で低減することができる。
スパッタリング用ターゲットの一例として、In−Ga−Zn−O化合物ターゲットについて以下に示す。
InOX粉末、GaOY粉末及びZnOZ粉末を所定のmol数で混合し、加圧処理後、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn−Ga−Zn−O化合物ターゲットとする。なお、X、Y及びZは任意の正数である。ここで、所定のmol数比は、例えば、InOX粉末、GaOY粉末及びZnOZ粉末が、1:1:1、1:1:2、1:3:2、1:9:6、2:1:3、2:2:1、3:1:1、3:1:2、3:1:4、4:2:3、8:4:3、またはこれらの近傍の値とすることができる。なお、粉末の種類、及びその混合するmol数比は、作製するスパッタリング用ターゲットによって適宜変更すればよい。
または、CAAC−OS膜は、以下の方法により形成してもよい。
まず、第1の酸化物半導体膜を1nm以上10nm未満の厚さで成膜する。第1の酸化物半導体膜はスパッタリング法を用いて成膜する。具体的には、基板温度を100℃以上500℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下とし、成膜ガス中の酸素割合を30体積%以上、好ましくは100体積%として成膜する。
次に、加熱処理を行い、第1の酸化物半導体膜を結晶性の高い第1のCAAC−OS膜とする。加熱処理の温度は、350℃以上740℃以下、好ましくは450℃以上650℃以下とする。また、加熱処理の時間は1分以上24時間以下、好ましくは6分以上4時間以下とする。また、加熱処理は、不活性雰囲気または酸化性雰囲気で行えばよい。好ましくは、不活性雰囲気で加熱処理を行った後、酸化性雰囲気で加熱処理を行う。不活性雰囲気での加熱処理により、第1の酸化物半導体膜の不純物濃度を短時間で低減することができる。一方、不活性雰囲気での加熱処理により第1の酸化物半導体膜に酸素欠損が生成されることがある。その場合、酸化性雰囲気での加熱処理によって該酸素欠損を低減することができる。なお、加熱処理は1000Pa以下、100Pa以下、10Pa以下または1Pa以下の減圧下で行ってもよい。減圧下では、第1の酸化物半導体膜の不純物濃度をさらに短時間で低減することができる。
第1の酸化物半導体膜は、厚さが1nm以上10nm未満であることにより、厚さが10nm以上である場合と比べ、加熱処理によって容易に結晶化させることができる。
次に、第1の酸化物半導体膜と同じ組成である第2の酸化物半導体膜を10nm以上50nm以下の厚さで成膜する。第2の酸化物半導体膜はスパッタリング法を用いて成膜する。具体的には、基板温度を100℃以上500℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下とし、成膜ガス中の酸素割合を30体積%以上、好ましくは100体積%として成膜する。
次に、加熱処理を行い、第2の酸化物半導体膜を第1のCAAC−OS膜から固相成長させることで、結晶性の高い第2のCAAC−OS膜とする。加熱処理の温度は、350℃以上740℃以下、好ましくは450℃以上650℃以下とする。また、加熱処理の時間は1分以上24時間以下、好ましくは6分以上4時間以下とする。また、加熱処理は、不活性雰囲気または酸化性雰囲気で行えばよい。好ましくは、不活性雰囲気で加熱処理を行った後、酸化性雰囲気で加熱処理を行う。不活性雰囲気での加熱処理により、第2の酸化物半導体膜の不純物濃度を短時間で低減することができる。一方、不活性雰囲気での加熱処理により第2の酸化物半導体膜に酸素欠損が生成されることがある。その場合、酸化性雰囲気での加熱処理によって該酸素欠損を低減することができる。なお、加熱処理は1000Pa以下、100Pa以下、10Pa以下または1Pa以下の減圧下で行ってもよい。減圧下では、第2の酸化物半導体膜の不純物濃度をさらに短時間で低減することができる。
以上のようにして、合計の厚さが10nm以上であるCAAC−OS膜を形成することができる。
また、酸化物半導体膜は、先の実施の形態で示したように、複数の酸化物半導体膜が積層された構造でもよい。
例えば、酸化物半導体膜を、酸化物半導体膜(便宜上、第1層と呼ぶ)とゲート絶縁膜との間に、第1層を構成する元素からなり、第1層よりも電子親和力が0.2eV以上小さい第2層を設けてもよい。このとき、ゲート電極から電界が印加されると、第1層にチャネルが形成され、第2層にはチャネルが形成されない。第1層は、第2層と構成する元素が同じであるため、第1層と第2層との界面において、界面散乱がほとんど起こらない。従って、第1層とゲート絶縁膜との間に第2層を設けることによって、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
さらに、ゲート絶縁膜に酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、または窒化シリコン膜を用いる場合、ゲート絶縁膜に含まれるシリコンが、酸化物半導体膜に混入することがある。酸化物半導体膜にシリコンが含まれると、酸化物半導体膜の結晶性の低下、キャリア移動度の低下などが起こる。従って、チャネルの形成される第1層のシリコン濃度を低減するために、第1層とゲート絶縁膜との間に第2層を設けることが好ましい。同様の理由により、第1層を構成する元素からなり、第1層よりも電子親和力が0.2eV以上小さい第3層を設け、第1層を第2層及び第3層で挟むことが好ましい。
このような構成とすることで、チャネルの形成される領域へのシリコンなどの不純物の拡散を低減さらには防止することができるため、信頼性の高いトランジスタを得ることができる。
なお、酸化物半導体膜をCAAC−OS膜とするためには、酸化物半導体膜中に含まれるシリコン濃度を2.5×1021/cm3以下とする。好ましくは、酸化物半導体膜中に含まれるシリコン濃度を、1.4×1021/cm3未満、より好ましくは4×1019/cm3未満、さらに好ましくは2.0×1018/cm3未満とする。酸化物半導体膜に含まれるシリコン濃度が、1.4×1021/cm3以上であると、トランジスタの電界効果移動度の低下の恐れがあり、4.0×1019/cm3以上であると、酸化物半導体膜と接する膜との界面で酸化物半導体膜がアモルファス化する恐れがあるためである。また、酸化物半導体膜に含まれるシリコン濃度を2.0×1018/cm3未満とすることで、トランジスタの信頼性のさらなる向上並びに酸化物半導体膜におけるDOS(density of state)の低減が期待できる。なお、酸化物半導体膜中のシリコン濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定することができる。
実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態11)
次に、本発明の一態様の表示装置を用いることのできる表示モジュールについて、図27を用いて説明を行う。
図27に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002との間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、FPC8005に接続された表示パネル8006、バックライトユニット8007、フレーム8009、プリント基板8010、バッテリー8011を有する。
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004及び表示パネル8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチパネル8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル8006に重畳して用いることができる。タッチパネルとしては、実施の形態8に示すタッチパネルを適用することができる。また、表示パネル8006の対向基板(封止基板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示パネル8006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
バックライトユニット8007は、光源8008を有する。光源8008は、バックライトユニット8007の端部に設け、光拡散板を用いる構成としてもよい。
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。また、フレーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリー8011による電源であってもよい。バッテリー8011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール8000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態12)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示装置を用いて作製される電子機器の具体例について、図25を用いて説明する。
本発明の一態様に係る表示装置を適用可能な電子機器の一例として、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音楽再生装置、遊技機(パチンコ機、スロットマシン等)、ゲーム筐体が挙げられる。これらの電子機器の具体例を図25に示す。
図25(A)は、表示部を有する携帯情報端末900を示している。携帯情報端末900は、筐体901に表示部902及び操作ボタン903が組み込まれている。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部902に用いることができる。本発明の一態様に係る表示装置を、表示部902に適用することにより、画像を書き換える頻度が変更可能な携帯情報端末900とすることができる。これにより、画像の書き換えを数秒間に1回とすることもできるため、使用者に視認される画面のチラツキが低減される。また、画素を選択する信号の出力頻度が低減されるため、携帯情報端末900の消費電力を低減することができる。これにより、携帯情報端末900を長時間使用することができる。
図25(B)は、携帯電話機910を示している。携帯電話機910は、筐体911に表示部912、操作ボタン913、スピーカー914、及びマイク915が組み込まれている。本発明の一態様の表示装置は、表示部912に用いることができる。本発明の一態様に係る表示装置を表示部912に適用することにより、画像を書き換える頻度が変更可能な携帯電話機910とすることができる。これにより、画像の書き換えを数秒間に1回とすることもできるため、使用者に視認される画面のチラツキが低減される。また、画素を選択する信号の出力頻度が低減されるため、携帯電話機910の消費電力を低減することができる。これにより、携帯電話機910を長時間使用することができる。
図25(C)は、音楽再生装置920を示している。音楽再生装置920は、筐体921に表示部922、操作ボタン923、アンテナ924が組み込まれている。また、アンテナ924からは、無線信号により情報を送受信することができる。本発明の一態様の表示装置は、表示部922に用いることができる。本発明の一態様に係る表示装置を表示部922に適用することにより、画像を書き換える頻度が変更可能な音楽再生装置920とすることができる。これにより、画像の書き換えを数秒間に1回とすることもできるため、使用者に視認される画面のチラツキが低減される。また、画素を選択する信号の出力頻度が低減されるため、音楽再生装置920の消費電力を低減することができる。これにより、音楽再生装置920を長時間使用することができる。
なお、表示部902、表示部912及び表示部922は、タッチ入力機能を有しており、表示部902、表示部912及び表示部922に表示された表示ボタン(図示せず)を指などで触れることで、画面操作や、情報を入力することができる。
以上説明したとおり、先の実施の形態に示した表示装置を表示部902、表示部912及び表示部922に用いることで、表示品位の向上が図られた携帯情報端末900、携帯電話機910及び音楽再生装置920とすることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態13)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したフレーム周波数(リフレッシュレートともいう)を低減する意義に関して説明を行う。
目の疲労には神経系の疲労と筋肉系の疲労の2種類がある。目の疲労を説明する模式図を図26(A)、26(B)に示す。
神経系の疲労は、表示装置が発する光や点滅画面を長時間見続けることで、その明るさが、眼の網膜、神経または脳を刺激して疲れさせるものである。蛍光灯や従来の表示装置の表示部が小刻みに明滅する現象をフリッカーというが、このようなフリッカーは神経系の疲労を引き起こす。
筋肉系の疲労は、ピント調節のときに使用する毛様体の筋肉を酷使することにより疲れさせるものである。
図26(A)に、従来の表示装置の表示を表す模式図を示す。従来の表示装置は、1秒間に60回の画像の書き換えが行われている。このような画面を長時間見続けることにより、使用者の眼の網膜、神経または脳を刺激して目の疲労が引き起こされるおそれがあった。
また、図26(B)に示すように、1画素のサイズが大きい場合(例えば精細度が150ppi未満の場合)、表示装置の表示部に表示された文字はぼやけてしまう。表示部に表示されたぼやけた文字を長時間見続けると、毛様体の筋肉が、絶えずピントを合わせようと動いているにもかかわらず、ピントが合わせづらい状態がつづくことになり、目に負担をかけてしまうおそれがあった。
なお、目の疲労を定量的に測定する方法が検討されている。例えば、神経系の疲労の評価指標としては、臨界融合周波数(CFF:Critical Flicker(Fusion) Frequency)などが知られている。また、筋肉系の疲労の評価指標としては、調節時間や調節近点距離などが知られている。
そのほか、目の疲労を評価する方法として、脳波測定、サーモグラフィ法、瞬きの回数の測定、涙液量の評価、瞳孔の収縮反応速度の評価や、自覚症状を調査するためのアンケート等がある。
本発明の一態様の表示装置の表示を説明する。目の疲労を軽減する効果を説明する模式図を図26(C)、26(D)に示す
本発明の一態様に係る表示装置は画素を選択する信号を出力する頻度を変えることができる。特に、オフ電流が極めて小さいトランジスタを表示部の画素部に用いることにより、フリッカーの発生を抑制しつつ、フレーム周波数を下げることができる。例えば、5秒間に1回の画像の書き換えが可能となるため、同じ画像を見ることが可能となり、使用者に視認される画面のちらつきが低減される。これにより、使用者の眼の網膜、神経または脳の刺激が低減され、神経系の疲労が軽減される(図26(C)参照)。なお、オフ電流が極めて小さいトランジスタとしては、例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタ、特に、CAAC−OSを用いたトランジスタが好適である。
また、本発明の一態様に係る表示装置は1画素のサイズが小さい。具体的には、精細度が150ppi好ましくは200ppi以上の高精細な表示が可能となるため、緻密で滑らかな表示とすることができる。これにより、毛様体の筋肉が、ピントを合わせやすくなるため、使用者の筋肉系の疲労が軽減される(図26(D)参照)。なお、精細度は画素密度(ppi:pixel per inch)を用いて表現することができる。画素密度は、1インチあたりの画素の数である。また、画素は画像を構成する単位である。
本発明の一態様によれば、目に優しい表示装置を提供することができる。