JP2014139337A - キャリア付き銅箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】ファインピッチ形成に好適なキャリア付き銅箔を提供する。
【解決手段】銅箔キャリアと、銅箔キャリア上に積層された剥離層と、剥離層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付き銅箔であって、極薄銅層は粗化処理されており、極薄銅層表面の表面積比が1.05〜1.5であるキャリア付き銅箔。
【選択図】図1

Description

本発明は、キャリア付き銅箔に関する。より詳細には、本発明はプリント配線板の材料として使用されるキャリア付き銅箔に関する。
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
ファインピッチ化に対応して、最近では厚さ9μm以下、更には厚さ5μm以下の銅箔が要求されているが、このような極薄の銅箔は機械的強度が低くプリント配線板の製造時に破れたり、皺が発生したりしやすいので、厚みのある金属箔をキャリアとして利用し、これに剥離層を介して極薄銅層を電着させたキャリア付き銅箔が登場している。極薄銅層の表面を絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後、キャリアは剥離層を介して剥離除去される。露出した極薄銅層上にレジストで回路パターンを形成した後に、極薄銅層を硫酸−過酸化水素系のエッチャントでエッチング除去する手法(MSAP:Modified−Semi−Additive−Process)により、微細回路が形成される。
ここで、樹脂との接着面となるキャリア付き銅箔の極薄銅層の表面に対しては、主として、極薄銅層と樹脂基材との剥離強度が十分であること、そしてその剥離強度が高温加熱、湿式処理、半田付け、薬品処理等の後でも十分に保持されていることが要求される。極薄銅層と樹脂基材の間の剥離強度を高める方法としては、一般的に、表面のプロファイル(凹凸、粗さ)を大きくした極薄銅層の上に多量の粗化粒子を付着させる方法が代表的である。
しかしながら、プリント配線板の中でも特に微細な回路パターンを形成する必要のある半導体パッケージ基板に、このようなプロファイル(凹凸、粗さ)の大きい極薄銅層を使用すると、回路エッチング時に不要な銅粒子が残ってしまい、回路パターン間の絶縁不良等の問題が発生する。
このため、WO2004/005588号(特許文献1)では、半導体パッケージ基板をはじめとする微細回路用途のキャリア付銅箔として、極薄銅層の表面に粗化処理を施さないキャリア付銅箔を用いることが試みられている。このような粗化処理を施さない極薄銅層と樹脂との密着性(剥離強度)は、その低いプロファイル(凹凸、粗度、粗さ)の影響で一般的なプリント配線板用銅箔と比較すると低下する傾向がある。そのため、キャリア付銅箔について更なる改善が求められている。
そこで、特開2007−007937号公報(特許文献2)及び特開2010−006071号公報(特許文献3)では、キャリア付き極薄銅箔のポリイミド系樹脂基板と接触(接着)する面に、Ni層又は/及びNi合金層を設けること、クロメート層を設けること、Cr層又は/及びCr合金層を設けること、Ni層とクロメート層とを設けること、Ni層とCr層とを設けることが記載されている。これらの表面処理層を設けることにより、ポリイミド系樹脂基板とキャリア付き極薄銅箔との密着強度を粗化処理なし、または粗化処理の程度を低減(微細化)しながら所望の接着強度を得ている。更に、シランカップリング剤で表面処理したり、防錆処理を施したりすることも記載されている。
WO2004/005588号 特開2007−007937号公報 特開2010−006071号公報
キャリア付き銅箔の開発においては、これまで極薄銅層と樹脂基材との剥離強度を確保することに重きが置かれていた。そのため、ファインピッチ化に関しては未だ十分な検討がなされておらず、未だ改善の余地が残されている。そこで、本発明はファインピッチ形成に好適なキャリア付き銅箔を提供することを課題とする。具体的には、これまでのMSAPで形成できる限界と考えられていたL/S=20μm/20μmよりも微細な配線を形成可能なキャリア付き銅箔を提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねたところ、極薄銅層の表面を低粗度化し、且つ、極薄銅層に微細粗化粒子を形成することで、均一かつ低粗度の粗化処理面を形成することが可能となることを見出した。そして、当該キャリア付き銅箔はファインピッチ形成に極めて効果的であることを見出した。
本発明は上記知見を基礎として完成したものであり、一側面において、銅箔キャリアと、銅箔キャリア上に積層された剥離層と、剥離層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付き銅箔であって、極薄銅層は粗化処理されており、極薄銅層表面の表面積比が1.05〜1.5であるキャリア付き銅箔(ここで、表面積比とは、レーザー顕微鏡にてエリア及び実エリアを測定したときの、実エリア/エリアの値である。エリアとは測定基準面積を指し、実エリアとは測定基準面積中の表面積を指す。)である。
本発明に係るキャリア付き銅箔の一実施形態においては、極薄銅層表面の表面積比が1.1〜1.3である。
本発明に係るキャリア付き銅箔の別の一実施形態においては、極薄銅層表面の面積66524μm2当たりの体積が350000μm3以上である。
本発明に係るキャリア付き銅箔の更に別の一実施形態においては、極薄銅層は粗化処理されており、極薄銅層表面のRzは非接触式粗さ計で測定して1.6μm以下である。
本発明に係るキャリア付き銅箔の更に別の一実施形態においては、極薄銅層表面のRaは非接触式粗さ計で測定して0.3μm以下である。
本発明に係るキャリア付き銅箔の更に別の一実施形態においては、極薄銅層表面のRtは非接触式粗さ計で測定して2.3μm以下である。
本発明に係るキャリア付き銅箔の更に別の一実施形態においては、極薄銅層表面のRzは非接触式粗さ計で測定して1.4μm以下である。
本発明に係るキャリア付き銅箔の更に別の一実施形態においては、極薄銅層表面のRaは非接触式粗さ計で測定して0.24μm以下である。
本発明に係るキャリア付き銅箔の更に別の一実施形態においては、極薄銅層表面のRtは非接触式粗さ計で測定して1.8μm以下である。
本発明に係るキャリア付き銅箔の更に別の一実施形態においては、極薄銅層表面は、Sskが−0.058〜0.3である。
本発明に係るキャリア付き銅箔の更に別の一実施形態においては、極薄銅層表面は、Skuが2.8〜3.3である。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係るキャリア付き銅箔を用いて製造した銅張積層板である。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係るキャリア付き銅箔を用いて製造したプリント配線板である。
本発明は更に別の一側面において、キャリア付き銅箔を用いて製造したプリント回路板である。
本発明は更に別の一側面において、
本発明に係るキャリア付き銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付き銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、
その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法の何れかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明に係るキャリア付き銅箔はファインピッチ形成に好適であり、例えば、MSAP工程で形成できる限界と考えられていたL/S=20μm/20μmよりも微細な配線、例えばL/S=15μm/15μmの微細な配線を形成することが可能となる。
実施例1及び実施例2における極薄銅層M面のSEM写真である。
<1.キャリア>
本発明に用いることのできるキャリアとしては銅箔を使用する。キャリアは典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で提供される。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。銅箔の材料としてはタフピッチ銅や無酸素銅といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできるキャリアの厚さについても特に制限はないが、キャリアとしての役目を果たす上で適した厚さに適宜調節すればよく、例えば12μm以上とすることができる。但し、厚すぎると生産コストが高くなるので一般には70μm以下とするのが好ましい。従って、キャリアの厚みは典型的には12〜70μmであり、より典型的には18〜35μmである。
<2.剥離層>
キャリアの上には剥離層を設ける。剥離層としては、キャリア付き銅箔において当業者に知られた任意の剥離層とすることができる。例えば、剥離層はCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、又はこれらの合金、またはこれらの水和物、またはこれらの酸化物、あるいは有機物の何れか一種以上を含む層で形成することが好ましい。剥離層は複数の層で構成されても良い。
本発明の一実施形態において、剥離層はキャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Alの元素群の内何れか一種の元素からなる単一金属層、又は、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Alの元素群から選択された一種以上の元素からなる合金層と、その上に積層されたCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Alの元素群から選択された一種以上の元素の水和物若しくは酸化物からなる層とから構成される。
剥離層はNi及びCrの2層で構成されることが好ましい。この場合、Ni層は銅箔キャリアとの界面に、Cr層は極薄銅層との界面にそれぞれ接するようにして積層する。
剥離層は、例えば電気めっき、無電解めっき及び浸漬めっきのような湿式めっき、或いはスパッタリング、CVD及びPDVのような乾式めっきにより得ることができる。コストの観点から電気めっきが好ましい。
<3.極薄銅層>
剥離層の上には極薄銅層を設ける。極薄銅層は、硫酸銅、ピロリン酸銅、スルファミン酸銅、シアン化銅等の電解浴を利用した電気めっきにより形成することができ、一般的な電解銅箔で使用され、高電流密度での銅箔形成が可能であることから硫酸銅浴が好ましい。極薄銅層の厚みは特に制限はないが、一般的にはキャリアよりも薄く、例えば12μm以下である。典型的には0.5〜12μmであり、より典型的には2〜5μmである。
<4.粗化処理>
極薄銅層の表面には、例えば絶縁基板との密着性を良好にすること等のために粗化処理を施すことで粗化処理層を設ける。粗化処理は、例えば、銅又は銅合金で粗化粒子を形成することにより行うことができる。粗化処理層は、ファインピッチ形成の観点から微細な粒子で構成されるのが好ましい。粗化粒子を形成する際の電気めっき条件について、電流密度を高く、めっき液中の銅濃度を低く、又は、クーロン量を大きくすると粒子が微細化する傾向にある。
粗化処理層は、銅、ニッケル、りん、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム、コバルト及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる電着粒で構成することができる。
また、粗化処理をした後、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で二次粒子や三次粒子及び/又は防錆層を形成し、さらにその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。すなわち、粗化処理層の表面に、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよい。
粗化処理等の各種表面処理を施した後の極薄銅層の表面(「粗化処理面」ともいう。)は、非接触式粗さ計で測定したときにRz(十点平均粗さ)を1.6μm以下とすることがファインピッチ形成の観点で極めて有利となる。Rzは好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.4μm以下であり、更により好ましくは1.3μm以下である。但し、Rzは、小さくなりすぎると樹脂との密着力が低下することから、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。
粗化処理等の各種表面処理を施した後の極薄銅層の表面(「粗化処理面」ともいう。)は、非接触式粗さ計で測定したときにRa(算術平均粗さ)を0.30μm以下とすることがファインピッチ形成の観点で極めて有利となる。Raは好ましくは0.27μm以下、0.26μm以下、0.24μm以下、より好ましくは0.23μm以下であり、更により好ましくは0.20μm以下である。但し、Raは、小さくなりすぎると樹脂との密着力が低下することから、0.005μm以上であることが好ましく、0.009μm以上、0.01μm以上、0.02μm以上であることがより好ましい。
粗化処理等の各種表面処理を施した後の極薄銅層の表面(「粗化処理面」ともいう。)は、非接触式粗さ計で測定したときにRtを2.3μm以下とすることがファインピッチ形成の観点で極めて有利となる。Rtは好ましくは2.2μm以下、好ましくは2.1μm以下、好ましくは2.0μm以下、より好ましくは1.9μm以下であり、より好ましくは1.8μm以下であり、更により好ましくは1.5μm以下である。但し、Rtは、小さくなりすぎると樹脂との密着力が低下することから、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。
また、粗化処理等の各種表面処理を施した後の極薄銅層の表面は、非接触式粗さ計で測定したときにSsk(スキューネス)を−0.3〜0.3とすることがファインピッチ形成の観点で好ましい。Sskは好ましくは−0.2〜0.2であり、より好ましくは−0.1〜0.1である。
また、粗化処理等の各種表面処理を施した後の極薄銅層の表面は、非接触式粗さ計で測定したときにSku(クルトシス)を2.7〜3.3とすることがファインピッチ形成の観点で好ましい。Skuは好ましくは2.8〜3.2であり、より好ましくは2.9〜3.1である。
本発明において、極薄銅層表面のRz、Raの粗さパラメータについてはJIS B0601−1994に準拠して、Rtの粗さパラメータについてはJIS B0601−2001に準拠して、Ssk、Skuの粗さパラメータについてはISO25178ドラフトに準拠して非接触式粗さ計で測定する。
なお、プリント配線板または銅張積層板など、極薄銅層表面に樹脂などの絶縁基板が接着されている場合においては、絶縁基板を溶かして除去することで、銅回路または銅箔表面について、前述の表面粗さ(Ra、Rt、Rz)を測定することができる。
ファインピッチ形成のためには、粗化粒子層のエッチング量を減少させるために、粗化処理面の体積を制御することも重要である。ここでいう体積とは、レーザー顕微鏡にて測定される値を指し、粗化処理面に存在する粗化粒子の体積を評価する指標となる。粗化処理面の体積が大きい場合、極薄銅層と樹脂との密着力が高くなる傾向にある。そして、極薄銅層と樹脂との密着力が高くなると耐マイグレーション性が向上する傾向にある。具体的には、体積は粗化処理面の面積66524μm2当たり300000μm3以上であるのが好ましく、350000μm3以上であるのがより好ましい。但し、体積が大きくなり過ぎるとエッチング量が増加し、ファインピッチを形成できないことから、体積は500000μm3以下とするのが好ましく、450000μm3以下とするのがより好ましい。
更に、ファインピッチ形成のためには、微細粗化粒子による樹脂との密着性を確保するために、粗化処理面の表面積比を制御することも重要である。ここでいう表面積比とは、レーザー顕微鏡にて測定される値であって、エリア及び実エリアを測定したときの、実エリア/エリアの値である。エリアとは測定基準面積を指し、実エリアとは測定基準面積中の表面積を指す。表面積比は大きくなりすぎると密着強度が増すがエッチング量が増加しファインピッチが形成できない一方で、小さくなりすぎると密着強度が確保できないので、1.05〜1.5であることが好ましく、1.07〜1.47であることが好ましく、1.09〜1.4であることが好ましく、1.1〜1.3であることがより好ましい。
<5.キャリア付き銅箔>
このようにして、銅箔キャリアと、銅箔キャリア上に積層された剥離層と、剥離層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付き銅箔が製造される。キャリア付き銅箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば極薄銅層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がして銅張積層板とし、絶縁基板に接着した極薄銅層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。更に、プリント配線板に電子部品類を搭載することで、プリント回路板が完成する。以下に、本発明に係るキャリア付き銅箔を用いたプリント配線板の製造工程の例を幾つか示す。
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付き銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を極薄銅層側が絶縁基板と対向するように積層した後に、前記キャリア付き銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、モディファイドセミアディティブ法、パートリーアディティブ法及びサブトラクティブ法の何れかの方法によって、回路を形成する工程を含む。絶縁基板は内層回路入りのものとすることも可能である。
本発明において、セミアディティブ法とは、絶縁基板又は銅箔シード層上に薄い無電解めっきを行い、パターンを形成後、電気めっき及びエッチングを用いて導体パターンを形成する方法を指す。
従って、セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付き銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付き銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付き銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付き銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂の表面について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、モディファイドセミアディティブ法とは、絶縁層上に金属箔を積層し、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより回路形成部の銅厚付けを行った後、レジストを除去し、前記回路形成部以外の金属箔を(フラッシュ)エッチングで除去することにより、絶縁層上に回路を形成する方法を指す。
従って、モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付き銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付き銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストを設けた後に、電解めっきにより回路を形成する工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストを除去することにより露出した極薄銅層をフラッシュエッチングにより除去する工程、
を含む。
モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付き銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付き銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、パートリーアディティブ法とは、導体層を設けてなる基板、必要に応じてスルーホールやバイアホール用の孔を穿けてなる基板上に触媒核を付与し、エッチングして導体回路を形成し、必要に応じてソルダレジストまたはメッキレジストを設けた後に、前記導体回路上、スルーホールやバイアホールなどに無電解めっき処理によって厚付けを行うことにより、プリント配線板を製造する方法を指す。
従って、パートリーアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付き銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付き銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について触媒核を付与する工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して露出した前記絶縁基板表面に、ソルダレジストまたはメッキレジストを設ける工程、
前記ソルダレジストまたはメッキレジストが設けられていない領域に無電解めっき層を設ける工程、
を含む。
本発明において、サブトラクティブ法とは、銅張積層板上の銅箔の不要部分を、エッチングなどによって、選択的に除去して、導体パターンを形成する方法を指す。
従って、サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付き銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付き銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面に、電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層および前記電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付き銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付き銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面にマスクを形成する工程、
マスクが形成されいない前記無電解めっき層の表面に電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
スルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、及びその後のデスミア工程は行わなくてもよい。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
1.キャリア付き銅箔の製造
<実施例1>
銅箔キャリアとして、厚さ35μmの長尺の電解銅箔(JX日鉱日石金属社製JTC)を用意した。この銅箔のシャイニー面に対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続めっきラインで電気めっきすることにより4000μg/dm2の付着量のNi層を形成した。
・Ni層
硫酸ニッケル:250〜300g/L
塩化ニッケル:35〜45g/L
酢酸ニッケル:10〜20g/L
クエン酸三ナトリウム:15〜30g/L
光沢剤:サッカリン、ブチンジオール等
ドデシル硫酸ナトリウム:30〜100ppm
pH:4〜6
浴温:50〜70℃
電流密度:3〜15A/dm2
水洗及び酸洗後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Ni層の上に11μg/dm2の付着量のCr層を以下の条件で電解クロメート処理することにより付着させた。
・電解クロメート処理
液組成:重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0〜5g/L
pH:3〜4
液温:50〜60℃
電流密度:0.1〜2.6A/dm2
クーロン量:0.5〜30As/dm2
引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Cr層の上に厚み3μmの極薄銅層を以下の条件で電気めっきすることにより形成し、キャリア付き銅箔を製造した。なお、本実施例では極薄銅層の厚みを2、5、10μmとしたキャリア付き銅箔についても製造し、極薄銅層の厚みが3μmの実施例と同様に評価した。結果は厚みによらず同じとなった。
・極薄銅層
銅濃度:30〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
電解液温度:20〜80℃
電流密度:10〜100A/dm2
次いで、極薄銅層表面に以下の粗化処理1、粗化処理2、防錆処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
・粗化処理1
(液組成1)
Cu:10〜30g/L
2SO4:10〜150g/L
W:0〜50mg/L
ドデシル硫酸ナトリウム:0〜50mg/L
As:0〜200mg/L
(電気めっき条件1)
温度:30〜70℃
電流密度:25〜110A/dm2
粗化クーロン量:50〜500As/dm2
めっき時間:0.5〜20秒
・粗化処理2
(液組成2)
Cu:20〜80g/L
2SO4:50〜200g/L
(電気めっき条件2)
温度:30〜70℃
電流密度:5〜50A/dm2
粗化クーロン量:50〜300As/dm2
めっき時間:1〜60秒
・防錆処理
(液組成)
NaOH:40〜200g/L
NaCN:70〜250g/L
CuCN:50〜200g/L
Zn(CN)2:2〜100g/L
As23:0.01〜1g/L
(液温)
40〜90℃
(電流条件)
電流密度:1〜50A/dm2
めっき時間:1〜20秒
・クロメート処理
2Cr27(Na2Cr27或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH又はKOH:10〜50g/L
ZnOH又はZnSO4・7H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
浴温:20〜80℃
電流密度:0.05〜5A/dm2
時間:5〜30秒
・シランカップリング処理
0.1vol%〜0.3vol%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液をスプレー塗布した後、100〜200℃の空気中で0.1〜10秒間乾燥・加熱する。
<実施例2>
実施例1と同様の条件で銅箔キャリア上に極薄銅層を形成した後、以下の粗化処理1、粗化処理2、防錆処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。なお、極薄銅箔の厚みは3μmとした。
・粗化処理1
液組成 :銅10〜20g/L、硫酸50〜100g/L
液温 :25〜50℃
電流密度 :1〜58A/dm2
クーロン量:4〜81As/dm2
・粗化処理2
液組成 :銅10〜20g/L、ニッケル5〜15g/L、コバルト5〜15g/L
pH :2〜3
液温 :30〜50℃
電流密度 :24〜50A/dm2
クーロン量:34〜48As/dm2
・防錆処理
液組成 :ニッケル5〜20g/L、コバルト1〜8g/L
pH :2〜3
液温 :40〜60℃
電流密度 :5〜20A/dm2
クーロン量:10〜20As/dm2
・クロメート処理
液組成 :重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0〜5g/L
pH :3〜4
液温 :50〜60℃
電流密度 :0〜2A/dm2(浸漬クロメート処理のため無電解での実施も可能)
クーロン量:0〜2As/dm2(浸漬クロメート処理のため無電解での実施も可能)
・シランカップリング処理
ジアミノシラン水溶液の塗布(ジアミノシラン濃度:0.1〜0.5wt%)
<実施例3>
実施例1と同様の条件で銅箔キャリア上に極薄銅層を形成した後、次いで、極薄銅層表面に以下の粗化処理1、粗化処理2、防錆処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。なお、極薄銅箔の厚みは3μmとした。
・粗化処理1
(液組成1)
Cu:10〜30g/L
2SO4:10〜150g/L
As:0〜200mg/L
(電気めっき条件1)
温度:30〜70℃
電流密度:25〜110A/dm2
粗化クーロン量:50〜500As/dm2
めっき時間:0.5〜20秒
・粗化処理2
(液組成2)
Cu:20〜80g/L
2SO4:50〜200g/L
(電気めっき条件2)
温度:30〜70℃
電流密度:5〜50A/dm2
粗化クーロン量:50〜300As/dm2
めっき時間:1〜60秒
・防錆処理
(液組成)
NaOH:40〜200g/L
NaCN:70〜250g/L
CuCN:50〜200g/L
Zn(CN)2:2〜100g/L
As23:0.01〜1g/L
(液温)
40〜90℃
(電流条件)
電流密度:1〜50A/dm2
めっき時間:1〜20秒
・クロメート処理
2Cr27(Na2Cr27或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH又はKOH:10〜50g/L
ZnOH又はZnSO4・7H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
浴温:20〜80℃
電流密度:0.05〜5A/dm2
時間:5〜30秒
・シランカップリング処理
0.1vol%〜0.3vol%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液をスプレー塗布した後、100〜200℃の空気中で0.1〜10秒間乾燥・加熱する。
<実施例4>
実施例1と同様の条件で銅箔キャリア上にNi層及びCr層を形成した後、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Cr層の上に厚み3μmの極薄銅層を以下の条件で電気めっきすることにより形成し、キャリア付銅箔を製造した。なお、本実施例では極薄銅層の厚みを2、5、10μmとしたキャリア付銅箔についても製造し、極薄銅層の厚みが3μmの実施例と同様に評価した。結果は厚みによらずほとんど同じとなった。
・極薄銅層
銅濃度:30〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
ビス(3スルホプロピル)ジスルフィド−濃度:10〜100ppm
3級アミン化合物:10〜100ppm
塩素:10〜100ppm
電解液温度:20〜80℃
電流密度:10〜100A/dm2
なお、前述の3級アミン化合物として以下の化合物を用いた。
(上記化学式中、R1及びR2はヒドロキシアルキル基、エーテル基、アリール基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものである。ここでは、R1及びR2は共にメチル基とした。)
上記化合物は例えばナガセケムテックス株式会社製デコナール Ex−314とジメチルアミンを所定量混合させ、60℃で3時間反応を行うことで得ることができる。
銅箔キャリア上に極薄銅層を形成した後、以下の粗化処理1、粗化処理2、防錆処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
・粗化処理1
液組成 :銅10〜20g/L、硫酸50〜100g/L
液温 :25〜50℃
電流密度 :1〜58A/dm2
クーロン量:4〜81As/dm2
・粗化処理2
液組成 :銅10〜20g/L、ニッケル5〜15g/L、コバルト5〜15g/L
pH :2〜3
液温 :30〜50℃
電流密度 :24〜50A/dm2
クーロン量:34〜48As/dm2
・防錆処理
液組成 :ニッケル5〜20g/L、コバルト1〜8g/L
pH :2〜3
液温 :40〜60℃
電流密度 :5〜20A/dm2
クーロン量:10〜20As/dm2
・クロメート処理
液組成 :重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0〜5g/L
pH :3〜4
液温 :50〜60℃
電流密度 :0〜2A/dm2(浸漬クロメート処理のため無電解での実施も可能)
クーロン量:0〜2As/dm2(浸漬クロメート処理のため無電解での実施も可能)
・シランカップリング処理
ジアミノシラン水溶液の塗布(ジアミノシラン濃度:0.1〜0.5wt%)
<実施例5>
実施例1と同様の条件で銅箔キャリア上にNi層及びCr層を形成した後、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Cr層の上に厚み3μmの極薄銅層を以下の条件で電気めっきすることにより形成し、キャリア付銅箔を製造した。なお、本実施例では極薄銅層の厚みを2、5、10μmとしたキャリア付銅箔についても製造し、極薄銅層の厚みが3μmの実施例と同様に評価した。結果は厚みによらずほとんど同じとなった。
・極薄銅層
銅濃度:30〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
ビス(3スルホプロピル)ジスルフィド−濃度:10〜100ppm
3級アミン化合物:10〜100ppm
塩素:10〜100ppm
電解液温度:20〜80℃
電流密度:10〜100A/dm2
なお、前述の3級アミン化合物として以下の化合物を用いた。
(上記化学式中、R1及びR2はヒドロキシアルキル基、エーテル基、アリール基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものである。ここでは、R1及びR2は共にメチル基とした。)
上記化合物は例えばナガセケムテックス株式会社製デコナール Ex−314とジメチルアミンを所定量混合させ、60℃で3時間反応を行うことで得ることができる。)
銅箔キャリア上に極薄銅層を形成した後、以下の粗化処理1、粗化処理2、防錆処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
・粗化処理1
(液組成1)
Cu:10〜30g/L
2SO4:10〜150g/L
W:0.1〜50mg/L
ドデシル硫酸ナトリウム:0.1〜50mg/L
As:0.1〜200mg/L
(電気めっき条件1)
温度:30〜70℃
電流密度:25〜110A/dm2
粗化クーロン量:50〜500As/dm2
めっき時間:0.5〜20秒
・粗化処理2
(液組成2)
Cu:20〜80g/L
2SO4:50〜200g/L
(電気めっき条件2)
温度:30〜70℃
電流密度:5〜50A/dm2
粗化クーロン量:50〜300As/dm2
めっき時間:1〜60秒
・防錆処理
(液組成)
NaOH:40〜200g/L
NaCN:70〜250g/L
CuCN:50〜200g/L
Zn(CN)2:2〜100g/L
As23:0.01〜1g/L
(液温)
40〜90℃
(電流条件)
電流密度:1〜50A/dm2
めっき時間:1〜20秒
・クロメート処理
2Cr27(Na2Cr27或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH又はKOH:10〜50g/L
ZnOH又はZnSO4・7H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
浴温:20〜80℃
電流密度:0.05〜5A/dm2
時間:5〜30秒
・シランカップリング処理
0.1vol%〜0.3vol%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液をスプレー塗布した後、100〜200℃の空気中で0.1〜10秒間乾燥・加熱する。
<比較例1>
実施例1と同様の条件で銅箔キャリア上にNi層及びCr層を形成した後、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Cr層の上に厚み3μmの極薄銅層を以下の条件で電気めっきすることにより形成し、キャリア付き銅箔を製造した。
・極薄銅層
銅濃度:30〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
電解液温度:20〜80℃
電流密度:5〜9A/dm2
・粗化処理1
(液組成1)
Cu:10〜30g/L
2SO4:10〜150g/L
As:0〜200mg/L
(電気めっき条件1)
温度:30〜70℃
電流密度:25〜110A/dm2
粗化クーロン量:50〜500As/dm2
めっき時間:0.5〜20秒
・粗化処理2
(液組成2)
Cu:20〜80g/L
2SO4:50〜200g/L
(電気めっき条件2)
温度:30〜70℃
電流密度:5〜50A/dm2
粗化クーロン量:50〜300As/dm2
めっき時間:1〜60秒
・防錆処理
(液組成)
NaOH:40〜200g/L
NaCN:70〜250g/L
CuCN:50〜200g/L
Zn(CN)2:2〜100g/L
As23:0.01〜1g/L
(液温)
40〜90℃
(電流条件)
電流密度:1〜50A/dm2
めっき時間:1〜20秒
・クロメート処理
2Cr27(Na2Cr27或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH又はKOH:10〜50g/L
ZnOH又はZnSO4・7H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
浴温:20〜80℃
電流密度:0.05〜5A/dm2
時間:5〜30秒
・シランカップリング処理
0.1vol%〜0.3vol%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液をスプレー塗布した後、100〜200℃の空気中で0.1〜10秒間乾燥・加熱する。
<比較例2>
実施例1と同様の条件で銅箔キャリア上にNi層及びCr層を形成した後、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Cr層の上に厚み3μmの極薄銅層を以下の条件で電気めっきすることにより形成し、キャリア付き銅箔を製造した。
・極薄銅層
銅濃度:30〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
電解液温度:20〜80℃
電流密度:10〜100A/dm2
・粗化処理1
(液組成1)
Cu:10〜30g/L
2SO4:10〜150g/L
W:0〜50mg/L
ドデシル硫酸ナトリウム:0〜50mg/L
As:0〜200mg/L
(電気めっき条件1)
温度:30〜70℃
電流密度:25〜110A/dm2
粗化クーロン量:50〜500As/dm2
めっき時間:0.5〜20秒
・粗化処理2
(液組成2)
Cu:20〜80g/L
2SO4:50〜200g/L
(電気めっき条件2)
温度:30〜70℃
電流密度:5〜50A/dm2
粗化クーロン量:50〜300As/dm2
めっき時間:1〜60秒
・防錆処理
(液組成)
NaOH:40〜200g/L
NaCN:70〜250g/L
CuCN:50〜200g/L
Zn(CN)2:2〜100g/L
As23:0.01〜1g/L
(液温)
40〜90℃
(電流条件)
電流密度:1〜50A/dm2
めっき時間:1〜20秒
・クロメート処理
2Cr27(Na2Cr27或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH又はKOH:10〜50g/L
ZnOH又はZnSO4・7H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
浴温:20〜80℃
電流密度:0.05〜5A/dm2
時間:5〜30秒
・シランカップリング処理
0.1vol%〜0.3vol%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液をスプレー塗布した後、100〜200℃の空気中で0.1〜10秒間乾燥・加熱する。
2.キャリア付き銅箔の特性評価
上記のようにして得られたキャリア付き銅箔について、以下の方法で特性評価を実施した。結果を表1に示す。
(表面粗さ)
極薄銅層の表面粗さ(Ra、Rt、Rz、Ssk、Sku)を非接触式粗さ測定機(オリンパス製 LEXT OLS 4000)を用いて、Ra、RzについてはJIS B0601−1994に準拠して、RtについてはJIS B0601−2001に準拠して、またSsk、SkuについてはISO25178ドラフトに準拠して以下の測定条件で、測定した。
<測定条件>
カットオフ:無
基準長さ:257.9μm
基準面積:66524μm2
測定環境温度:23〜25℃
また、比較のため、接触式粗さ測定機(株式会社小阪研究所製接触粗さ計Surfcorder SE−3C)を用いて、JIS B0601−1994(Ra、Rz)及びJIS B0601−2001(Rt)に準拠して以下の測定条件でも極薄銅層の表面粗さ(Ra、Rt、Rz)を測定した。
<測定条件>
カットオフ:0.25mm
基準長さ:0.8mm
測定環境温度:23〜25℃
(表面積比)
非接触式粗さ測定機(オリンパス製 LEXT OLS 4000)を用いて、以下の測定条件で、測定した。表面積比は、エリア及び実エリアを測定し、実エリア/エリアの値を表面積比とした。ここで、エリアとは測定基準面積を指し、実エリアとは測定基準面積中の表面積を指す。
<測定条件>
カットオフ:無
基準長さ:257.9μm
基準面積:66524μm2
測定環境温度:23〜25℃
(粗化処理面の体積)
非接触式粗さ測定機(レーザー顕微鏡、オリンパス製 LEXT OLS 4000)を用いて、以下の測定条件で、測定した。なお、粗化処理面の体積は以下の様に測定される。
(1)レーザー顕微鏡がサンプルの表面に焦点の合う高さに合わせる。
(2)明るさを調整し、全体照度が飽和点の約80%になるよう調節する。
(3)レーザー顕微鏡をサンプルに近づけ、画面照度が完全に消失した地点をゼロとする。
(4)レーザー顕微鏡をサンプルから遠ざけ、画面照度が完全に消失した地点を上限高さとする。
(5)高さゼロから上限までの粗化処理面の体積を測定する。
<測定条件>
カットオフ:無
基準長さ:257.9μm
基準面積:66524μm2
測定環境温度:23〜25℃
(マイグレーション)
各キャリア付き銅箔をビスマス系樹脂に接着し、次いでキャリア箔を剥離除去した。露出した極薄銅層の厚みをソフトエッチングにより1.5μmとした。その後、洗浄、乾燥を行った後に、極薄銅層上に、DF(日立化成社製、商品名RY−3625)をラミネート塗布した。15mJ/cm2の条件で露光し、現像液(炭酸ナトリウム)を用いて38℃で1分間液噴射揺動し、表1に記載の各種ピッチでレジストパターンを形成した。次いで、硫酸銅めっき(荏原ユージライト製 CUBRITE21)を用いて15μmめっきUPしたのち、剥離液(水酸化ナトリウム)でDFを剥離した。その後、極薄銅層を硫酸−過酸化水素系のエッチャントでエッチング除去して表1に記載の各種ピッチの配線を形成した。
表中に記載されているピッチはライン及びスペースの合計値に相当する。
得られた配線に対して、マイグレーション測定機(IMV製 MIG−9000)を用いて、以下の測定条件で、配線パターン間の絶縁劣化の有無を評価した。
<測定条件>
閾値:初期抵抗60%ダウン
測定時間:1000h
電圧:60V
温度:85℃
相対湿度:85%RH

Claims (15)

  1. 銅箔キャリアと、銅箔キャリア上に積層された剥離層と、剥離層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付き銅箔であって、極薄銅層は粗化処理されており、極薄銅層表面の表面積比が1.05〜1.5であるキャリア付き銅箔(ここで、表面積比とは、レーザー顕微鏡にてエリア及び実エリアを測定したときの、実エリア/エリアの値である。エリアとは測定基準面積を指し、実エリアとは測定基準面積中の表面積を指す。)。
  2. 極薄銅層表面の表面積比が1.1〜1.3である請求項1に記載のキャリア付き銅箔。
  3. 極薄銅層表面の面積66524μm2当たりの体積が350000μm3以上である請求項1又は2に記載のキャリア付き銅箔。
  4. 極薄銅層は粗化処理されており、極薄銅層表面のRzは非接触式粗さ計で測定して1.6μm以下である請求項1〜3の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔。
  5. 極薄銅層表面のRaは非接触式粗さ計で測定して0.3μm以下である請求項1〜4の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔。
  6. 極薄銅層表面のRtは非接触式粗さ計で測定して2.3μm以下である請求項1〜5の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔。
  7. 極薄銅層表面のRzは非接触式粗さ計で測定して1.4μm以下である請求項1〜6の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔。
  8. 極薄銅層表面のRaは非接触式粗さ計で測定して0.24μm以下である請求項1〜7の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔。
  9. 極薄銅層表面のRtは非接触式粗さ計で測定して1.8μm以下である請求項1〜8の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔。
  10. 極薄銅層表面は、Sskが−0.058〜0.3である請求項1〜9の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔。
  11. 極薄銅層表面は、Skuが2.8〜3.3である請求項1〜10の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔。
  12. 請求項1〜11の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔を用いて製造した銅張積層板。
  13. 請求項1〜11の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔を用いて製造したプリント配線板。
  14. 請求項1〜11の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔を用いて製造したプリント回路板。
  15. 請求項1〜11の何れか一項に記載のキャリア付き銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
    前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層する工程、
    前記キャリア付き銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付き銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、
    その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法の何れかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法。
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