JP5156873B1 - キャリア付銅箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離しない一方で、絶縁基板への積層工程後には剥離可能なキャリア付銅箔を提供する。
【解決手段】銅箔キャリアと、銅箔キャリア上に積層された中間層と、中間層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔であって、中間層は銅箔キャリアとの界面に接しているNi層と極薄銅層との界面に接しているCr層で構成され、中間層におけるNiの付着量は1000〜40000μg/dm2であり、中間層におけるCrの付着量は10〜100μg/dm2であり、中間層には更に1〜70μg/dm2の付着量でZnが存在するキャリア付銅箔。
【選択図】なし

Description

本発明は、キャリア付銅箔に関する。より詳細には、本発明はプリント配線板の材料として使用されるキャリア付銅箔に関する。
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
ファインピッチ化に対応して、最近では厚さ9μm以下、更には厚さ5μm以下の銅箔が要求されているが、このような極薄の銅箔は機械的強度が低くプリント配線板の製造時に破れたり、皺が発生したりしやすいので、厚みのある金属箔をキャリアとして利用し、これに剥離層を介して極薄銅層を電着させたキャリア付銅箔が登場している。極薄銅層の表面を絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後に、キャリアを剥離層を介して剥離するというのがキャリア付銅箔の一般的な使用方法である。
従来、剥離層としてCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、Pまたはこれらの合金またはこれらの水和物で形成することが知られている。更に、加熱プレス等高温使用環境における剥離性の安定化を図る上で、剥離層の下地にNi、Feまたはこれらの合金層を設けると効果的であることも記載されている。(特開2010−006071号公報、特開2007−007937号公報)
これらの文献には、剥離層上へのめっきは、その剥離性ゆえに、均一なめっきを行うことが非常に難しいことから、めっき条件によっては形成される極薄銅箔にピンホールの数が多くなることがある。そのため、先ず剥離層の上にストライク銅めっきを行い、ストライクめっき層の上に更に銅をめっきすることで剥離層上に均一なめっきを施すことができ、極薄銅箔のピンホールの数を著しく減少することができることも記載されている。
特開2010−006071号公報 特開2007−007937号公報
キャリア付銅箔においては、絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離することは避けなければならず、一方、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が剥離できる必要がある。また、キャリア付銅箔においては、極薄銅層側の表面にピンホールが存在するのはプリント配線板の性能不良に繋がり好ましくない。
これらの点に関して、従来技術では十分な検討がなされておらず、未だ改善の余地が残されている。そこで、本発明は、絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離しない一方で、絶縁基板への積層工程後には剥離可能なキャリア付銅箔を提供することを課題とする。本発明は更に、極薄銅層側表面へのピンホールの発生が抑制されたキャリア付銅箔を提供することも課題とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねたところ、キャリアとして銅箔を使用し、Ni層及び極薄のCr層の2層で構成された中間層を極薄銅層とキャリアの間に形成し、更に中間層にZnを微量添加することが極めて効果的であることを見出した。
本発明は上記知見を基礎として完成したものであり、一側面において、銅箔キャリアと、銅箔キャリア上に積層された中間層と、中間層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔であって、中間層は銅箔キャリアとの界面に接しているNi層と極薄銅層との界面に接しているCr層で構成され、中間層におけるNiの付着量は1000〜40000μg/dm2であり、中間層におけるCrの付着量は10〜100μg/dm2であり、中間層には更に1〜70μg/dm2の付着量でZnが存在するキャリア付銅箔である。
本発明に係るキャリア付銅箔の一実施形態においては、Niの付着量が2000〜10000μg/dm2であり、Crの付着量が20〜40μg/dm2である。
本発明に係るキャリア付銅箔の別の一実施形態においては、中間層に存在するCrに対するZnの質量比の値が0.01〜5の範囲である。
本発明に係るキャリア付銅箔の更に別の一実施形態においては、Crは電解クロメートによって付着している。
本発明に係るキャリア付銅箔は、絶縁基板への積層工程前にはキャリアと極薄銅層の間で必要な密着性が得られる一方で、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が容易に剥離可能である。また、本発明に係るキャリア付銅箔はピンホールの発生が抑制されているため、高品質な極薄銅層を安定的に供給できるようになる。
<1.キャリア>
本発明に用いることのできるキャリアとしては銅箔を使用する。キャリアは典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で提供される。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。銅箔の材料としてはタフピッチ銅や無酸素銅といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできるキャリアの厚さについても特に制限はないが、キャリアとしての役目を果たす上で適した厚さに適宜調節すればよく、例えば12μm以上とすることができる。但し、厚すぎると生産コストが高くなるので一般には35μm以下とするのが好ましい。従って、キャリアの厚みは典型的には12〜70μmであり、より典型的には18〜35μmである。
<2.中間層>
銅箔キャリアの片面又は両面上にはNi及びCrの2層で構成される中間層を設ける。Ni層は銅箔キャリアとの界面に、Cr層は極薄銅層との界面にそれぞれ接するようにして積層する。後述するようにNiとCuの接着力はCrとCuの接着力よりも高いので、極薄銅層を剥離する際には、極薄銅層とCr層の界面で剥離するようになる。中間層のうちNi層はキャリアからCu成分が極薄銅箔へと拡散していくのを防ぐバリア効果が期待される。中間層を片面にのみ設ける場合、銅箔キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。また、キャリアとして電解銅箔を使用する場合には、ピンホールを減少させる観点からシャイニー面に中間層を設けることが好ましい。
中間層を構成するNi層は、例えば電気めっき、無電解めっき及び浸漬めっきのような湿式めっき、或いはスパッタリング、CVD及びPDVのような乾式めっきにより得ることができる。コストの観点から電気めっきが好ましい。
中間層のうちCr層は極薄銅層の界面に薄く存在することが、絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離しない一方で、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が剥離可能であるという特性を得る上では極めて重要である。Ni層を設けずにCr層をキャリアと極薄銅層の境界に存在させた場合は、剥離性はほとんど向上しないし、Cr層がなくNi層と極薄銅層を直接積層した場合はNi層におけるNi量に応じて剥離強度が強すぎたり弱すぎたりして適切な剥離強度は得られない。
また、Cr層がキャリアとNi層の境界に存在すると、極薄銅層の剥離時に中間層も付随して剥離されてしまう、すなわちキャリアと中間層の間で剥離が生じてしまうので好ましくない。このような状況は、キャリアとの界面にCr層を設けた場合のみならず、極薄銅層との界面にCr層を設けたとしてもCr量が多すぎると生じ得る。これは、CuとNiは固溶しやすいので、これらが接触していると相互拡散によって接着力が高くなり剥離しにくくなる一方で、CrとCuは固溶しにくく、相互拡散が生じにくいので、CrとCuの界面では接着力が弱く、剥離しやすいことが原因と考えられる。また、中間層のNi量が不足している場合、キャリアと極薄銅層の間には微量のCrしか存在しないので両者が密着して剥がれにくくなる。
Cr層を極薄銅層の界面に存在させるためには、Ni層を形成した後に、例えば電解クロメート、電気めっき、無電解めっき及び浸漬めっきのような湿式めっき、或いはスパッタリング、CVD及びPDVのような乾式めっきにより微量のCrを付着させ、その上に極薄銅層を形成することで可能である。微量のCrを低コストで付着させる観点からは、電解クロメートが好ましい。
本発明においては、中間層に含まれるNi付着量はサンプルを濃度20質量%の硝酸で溶解してICP発光分析によって測定し、中間層に含まれるCr付着量及びZn付着量はサンプルを濃度7質量%の塩酸にて溶解して、原子吸光法により定量分析を行うことで測定する。なお、極薄銅層の表面にNi、Cr、Znを含むメッキ層などを設けた場合には、極薄銅層を剥離した後、キャリアサンプルについて前述の測定を行うことで、中間層に含まれるNi付着量、Cr付着量、及びZn付着量を測定することができる。
上記の観点から本発明においては、中間層のCrの付着量を10〜100μg/dm2、Niの付着量を1000〜40000μg/dm2と設定した。また、Cr付着量又はNi付着量が増えるにつれてピンホールの量が多くなる傾向にあるが、この範囲であればピンホールの数も抑制される。極薄銅層をムラなく均一に剥離する観点、及びピンホールを抑制する観点からは、Cr付着量は10〜50μg/dm2とすることが好ましく、15〜40μg/dm2とすることがより好ましく、10〜20μg/dm2とすることが更に好ましい。Ni付着量は2000〜10000μg/dm2とすることが好ましく、2000〜9000μg/dm2とすることがより好ましく、2000〜4000μg/dm2とすることが更に好ましい。
更に、本発明においては、中間層に微量のZnを含有することが肝要である。これによって、ピンホールの発生が有意に低減でき、更には、適切な剥離強度を得るのが容易になるので、品質安定性へ大きく寄与する。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、これは中間層にZnが微量存在することによって、CrとZnからなる酸化膜が形成され、中間層の電気伝導度がより均一になり、電気伝導度が極端に高い箇所や、電気伝導度が極端に低い箇所がなくなる。それにより、極薄銅層を形成する際の銅の電着粒がCrとZnからなる酸化膜に対して均一に付着し、剥離強度が適切な値となる(極端に剥離強度が高かったり、極端に剥離強度が低かったりすることがなくなる)ことによると考えられる。
Znは中間層のうちNi層及びCr層の何れか一方の層又は両方の層に存在することができる。例えば、Ni層の形成時にめっき液中に亜鉛成分を添加してニッケル亜鉛合金めっきすることにより、亜鉛を含有するNi層が得られる。また、クロメート処理液中に亜鉛成分を添加することにより、亜鉛を含有するCr層が得られる。但し、何れの場合であっても、Znは中間層中で拡散するため、Ni層及びCr層の両者において検出されるのが一般的である。なお、CrとZnからなる酸化膜が形成されやすいことからZnはCr層に存在することが好ましい。
但し、中間層におけるZnの付着量は、少なすぎるとその効果が限定的であることから、1μg/dm2以上とすべきであり、5μg/dm2以上とするのが好ましい。一方で、中間層におけるZnの付着量は、多すぎると剥離強度が過大となるので、70μg/dm2以下とすべきであり、30μg/dm2以下とするのが好ましく、20μg/dm2以下とするのがより好ましい。
また、Crに対するZnの質量比(Zn付着量/Cr付着量)の値が0.01〜5.00の範囲であるのが好ましく、0.1〜1.0の範囲であるのがより好ましく、0.2〜0.8であることが好ましい。これは、Crに対するZnの量を当該範囲とすることによりピンホールの発生や極薄銅箔の剥離特性が向上するという理由による。
<3.極薄銅層>
中間層の上には極薄銅層を設ける。極薄銅層は、硫酸銅、ピロリン酸銅、スルファミン酸銅、シアン化銅等の電解浴を利用した電気めっきにより形成することができ、一般的な電解銅箔で使用され、高電流密度での銅箔形成が可能であることから硫酸銅浴が好ましい。極薄銅層の厚みは特に制限はないが、一般的にはキャリアよりも薄く、例えば12μm以下である。典型的には0.5〜12μmであり、より典型的には2〜5μmである。
<4.粗化処理>
極薄銅層の表面には、例えば絶縁基板との密着性を良好にすること等のために粗化処理を施すことで粗化処理層を設けてもよい。粗化処理は、例えば、銅又は銅合金で粗化粒子を形成することにより行うことができる。粗化処理は微細なものであっても良い。粗化処理層は、銅、ニッケル、りん、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム、コバルト及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層などであってもよい。また、銅又は銅合金で粗化粒子を形成した後、更にニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で二次粒子や三次粒子を設ける粗化処理を行うこともできる。その後に、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層または防錆層を形成しても良く、更にその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。または粗化処理を行わずに、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層又は防錆層を形成し、さらにその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。すなわち、粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよく、極薄銅層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよい。なお、上述の耐熱層、防錆層、クロメート処理層、シランカップリング処理層はそれぞれ複数の層で形成されてもよい(例えば2層以上、3層以上など)。
<5.キャリア付銅箔>
このようにして、銅箔キャリアと、銅箔キャリア上にNi層及びCr層がこの順に積層され、微量のZnを含有する中間層と、中間層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔が製造される。キャリア付銅箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば極薄銅層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がし、絶縁基板に接着した極薄銅層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。本発明に係るキャリア付銅箔の場合、剥離箇所は主としてCr層と極薄銅層の界面である。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
1.キャリア付銅箔の製造
<No.1>
銅箔キャリアとして、厚さ35μmの長尺の電解銅箔(JX日鉱日石金属社製JTC)を用意した。この銅箔のシャイニー面に対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続めっきラインで電気めっきすることにより1000μg/dm2の付着量のNi層を形成した。
・Ni層(下地めっき)
硫酸ニッケル:270〜280g/L
塩化ニッケル:35〜45g/L
酢酸ニッケル:10〜20g/L
クエン酸三ナトリウム:15〜25g/L
光沢剤:サッカリン、ブチンジオール等
ドデシル硫酸ナトリウム:55〜75ppm
pH:4〜6
浴温:55〜65℃
電流密度:7〜11A/dm2
水洗及び酸洗後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Ni層の上に11μg/dm2の付着量のCr層を以下の条件で電解クロメート処理することにより付着させた。
・電解クロメート処理
液組成:重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0g/L
pH:7〜10
液温:40〜60℃
電流密度:0.1〜2.6A/dm2
クーロン量:0.5〜30As/dm2
引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Cr層の上に厚み2〜10μmの極薄銅層を以下の条件で電気めっきすることにより形成し、キャリア付銅箔を製造した。
・極薄銅層
銅濃度:30〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
電解液温度:20〜80℃
電流密度:10〜100A/dm2
<No.2〜37>
No.1に対して、ライン速度を調整することによりNi付着量及びCr付着量を表1に記載の通り種々変更させた。また、Ni層形成時又はクロメート処理時に、Niめっき液又はクロメート処理液中に硫酸亜鉛(ZnSO4)の形態の亜鉛を添加し、亜鉛濃度:0.05〜5g/Lの範囲で調整することにより、中間層のZn付着量を表1に記載の通り変化させた。但し、比較例15及び16は、亜鉛濃度をそれぞれ10g/L及び15g/Lとした。表中、下地めっきのところに「Ni」と表記されているのは、純ニッケルめっきを行ったことを意味し、「Ni−Zn」と表記されているのは、ニッケル亜鉛合金めっきを行ったことを意味する。また、表中、クロメート処理のところに「Cr」と表記されているのは、純クロメート処理を行ったことを意味し、「Zn−Cr」と表記されているのは、亜鉛クロメート処理を行ったことを意味する。このようにして、No.2〜37のキャリア付銅箔を作製した。Ni付着量又はCr付着量が0の例はNiめっき又は電解クロメート処理を実施しなかったということである。なお、ニッケル亜鉛合金メッキ液またはクロメート処理液中の亜鉛濃度を高くすることで、Znの付着量を多くすることができる。また、クロメート処理液中のクロム濃度を高くすることで、Crの付着量を高くすることができる。
2.キャリア付銅箔の特性評価
上記のようにして得られたキャリア付銅箔について、以下の方法で特性評価を実施した。結果を表1に示す。
<ピンホール>
民生用の写真用バックライトを光源にして、目視でピンホールの数を測定した。評価は以下の基準により行った。
×:ピンホール10,000個/dm2
△:ピンホール5,000個/dm2以上〜10,000個/dm2以下
○:ピンホール100個/dm2以上〜5,000個/dm2未満
◎:ピンホール20個/dm2以上〜100個/dm2未満
◎◎:ピンホール20個/dm2未満
<剥離強度(BTプレス後)>
キャリア付銅箔の極薄銅層側をBT基板と貼り合わせて温度195℃で2時間プレスした後、キャリア付銅箔のキャリア側を50mm/分の剥離速度、引き剥がし角度は90°でJIS C6471に準拠して剥離することによって剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
No.1は、中間層にZnを含有していないケースである。Ni及びCrの付着量が適切であったことから、実用可能な程度のピンホールの頻度及び剥離強度が得られた。しかしながら、Ni及びCrの付着量はNo.1と同程度として、中間層にZnを適切量添加したNo.2は、ピンホールの数が更に減少し、剥離強度がより適切な値へと上昇した。剥離強度は0.5〜120g/cmの範囲が適切であり、0.5〜30g/cmがより適切な範囲であり、1〜30g/cmが更により適切な範囲であり、5〜25g/cmが更に適切な範囲である。
その他の発明例においても、Ni及びCrの付着量が同等である参考例と比較することにより、ピンホールの頻度及び剥離強度の改善が図られていることが分かる。一方、No.15及び16はZn付着量が多すぎたことで、剥離強度が高すぎた。No.29〜33は、Ni層又はCr層を形成しなかったことから、剥離不可となった。No.36〜37はNiの付着量が多すぎたことで、密着力が不足し、連続めっきラインを走行している間に剥離が生じた。
Figure 0005156873

Claims (4)

  1. 銅箔キャリアと、銅箔キャリア上に積層された中間層と、中間層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔であって、中間層は銅箔キャリアとの界面に接しているNi層と極薄銅層との界面に接しているCr層で構成され、中間層におけるNiの付着量は1000〜40000μg/dm2であり、中間層におけるCrの付着量は10〜100μg/dm2であり、中間層には更に1〜70μg/dm2の付着量でZnが存在するキャリア付銅箔。
  2. Niの付着量が2000〜10000μg/dm2であり、Crの付着量が20〜40μg/dm2である請求項1に記載のキャリア付銅箔。
  3. 中間層に存在するCrに対するZnの質量比の値が0.01〜5の範囲である請求項1又は2に記載のキャリア付銅箔。
  4. Crは電解クロメートによって付着している請求項1〜3の何れか一項に記載のキャリア付銅箔。
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