JP2014139031A - 二輪自動車用空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】走行初期から旋回走行でのグリップ性能に優れる二輪自動車用タイヤの提供。
【解決手段】タイヤ2のトレッド4は、軸方向において赤道面を含むセンター領域Taと、このセンター領域Taの軸方向外側に位置する一対のショルダー領域Tbとを備えている。このショルダー領域Tbは、ベース層20と、このベース層20の半径方向外側に積層されたミドル層22と、このミドル層22の半径方向外側に積層されたトップ層24とを備えている。このトップ層24のロスコンプライアンスLCtは、ミドル層22のロスコンプライアンスLCmより大きくされている。このミドル層22のロスコンプライアンスLCmは、ベース層のロスコンプライアンスLCbより大きくされている。このトップ層24の破壊エネルギーEtは、ミドル層22の破壊エネルギーEmより小さくされている。
【選択図】図1

Description

本発明は、二輪自動車に装着される空気入りタイヤに関する。詳細には、本発明は、タイヤのトレッドの改良に関する。
二輪自動車の旋回走行では、二輪自動車に遠心力が働く。旋回走行には、コーナリングフォースが必要である。このコーナリングフォースが遠心力につり合う。旋回走行時にライダーは、二輪自動車を内側へ傾斜させる。この傾斜によって、二輪自動車の旋回が達成される。旋回走行を容易にするため、二輪自動車用のタイヤは曲率半径の小さなトレッドを備えている。直進走行では、トレッドのセンター領域が接地する。一方旋回走行では、ショルダー領域が接地する。センター領域及びショルダー領域のそれぞれの役割が考慮されたタイヤが、特開2005−271760号公報に記載されている。
このタイヤでは、トレッドのセンター領域の架橋ゴムの硬度が高く、ショルダー領域の架橋ゴムの硬度が低い。これにより、直進走行では高硬度のセンター領域が接地するので、操縦安定性に優れている。旋回走行では、低硬度のショルダー領域が接地するので、グリップ性能に優れている。
特開2005−271760号公報
このグリップ性能は、タイヤ温度の影響を受ける。走行初期のタイヤ温度は低い。タイヤ温度が低い状態で高いグリップ性能が得られるショルダー領域は軟らかく、その架橋ゴムの硬度は低い。タイヤ温度が高い状態で、このショルダー領域の架橋ゴムは更に軟化して、剛性を低下させる。このショルダー領域の剛性の低下は、操縦安定性能を低下させる。さらに、この剛性の低下は、トレッドのショルダー領域の耐摩耗性を低下させる。走行初期のタイヤ温度が低い状態のグリップ性能と、その後のタイヤ温度が十分に高い状態のグリップ性能とを両立させることは容易ではない。
本発明の目的は、走行初期から旋回走行のグリップ性能に優れる二輪自動車用タイヤの提供にある。
本発明に係る二輪自動車タイヤは、トレッドを備えている。このトレッドは、軸方向において赤道面を含むセンター領域と、このセンター領域の軸方向外側に位置する一対のショルダー領域とを備えている。このショルダー領域は、ベース層と、このベース層の半径方向外側に積層されたミドル層と、このミドル層の半径方向外側に積層されたトップ層とを備えている。このトップ層の架橋ゴムのロスコンプライアンスLCtは、ミドル層のロスコンプライアンスLCmより大きくされている。このミドル層のロスコンプライアンスLCmは、ベース層のロスコンプライアンスLCbより大きくされている。このトップ層の破壊エネルギーEtは、ミドル層の破壊エネルギーEmより小さくされている。
好ましくは、このタイヤでは、上記トップ層の厚さは、0.1mm以上0.5mm以下である。
好ましくは、このタイヤの上記ベース層は、センター領域において路面に接地するトレッド面を形成している。
好ましくは、上記トレッドの軸方向幅Wとセンター領域の軸方向幅Waとの比(Wa/W)は、0.1以上0.3以下である。このタイヤは、二輪自動車のリアホイールに装着される。
好ましくは、上記トレッドの軸方向幅Wとセンター領域の軸方向幅Waとの比(Wa/W)は、0.1以上0.5以下である。このタイヤは、二輪自動車のフロントホイールに装着される。
このタイヤでは、走行初期の旋回走行において、ショルダー領域のトップ層が接地する。このトップ層がタイヤ温度が低い状態で十分なグリップ性能を発揮する。更に、タイヤ温度が上昇してトップ層が摩耗した後には、ミドル層が接地して安定したグリップ性能が発揮される。このタイヤは、温度の低い走行初期の状態からその後の十分に温度が高くなった状態まで、旋回走行において高いグリップ性能を発揮しうる。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤが示された断面図である。 図2は、本発明の他の実施形態に係るタイヤが示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、本発明に係るタイヤ2の断面が示されている。この図1において上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向である。一点鎖線CLは、赤道面を表す。このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、ベルト12、インナーライナー14及びチェーファー16を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプの空気入りタイヤである。このタイヤ2は、二輪自動車に装着される。
図1の矢印Wは、トレッド4の軸方向の幅を示している。矢印Waは、トレッド4のセンター領域Taの軸方向の幅を示している。図示されないが、このセンター領域Taは、赤道面を含み、赤道面に対して左右対称の領域である。両矢印Wbは、トレッド4のショルダー領域Tbを示している。このショルダー領域Tbは、センター領域Taの軸方向外側に位置する一対の領域である。この幅W、Wa及びWbは、トレッド面18に沿って測定される。このタイヤ2では、トレッド4の幅Wに対するセンター領域Taの幅Waの比(Wa/W)は、例えば0.25である。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面18を備えている。このタイヤ2のショルダー領域Tbは、ベース層20、ミドル層22及びトップ層24を備えている。ベース層20は、半径方向最も内側に位置している。ミドル層22はベース層20の半径方向外側に積層されている。トップ層24は、このミドル層22の半径方向外側に積層されている。センター領域Taは、ベース層20の一層からなっている。このタイヤ2では、走行初期において、ショルダー領域Tbのトップ層24とセンター領域Taのベース層20とが、トレッド面18を形成している。
このベース層20、ミドル層22及びトップ層24は、それぞれ架橋されたゴム組成物からなっている。ベース層20、ミドル層22及びトップ層24のゴム組成物は、それぞれ異なっている。トップ層24のロスコンプライアンスLCtは、ミドル層22のロスコンプライアンスLCmより大きい。ミドル層22のロスコンプライアンスLCmは、ベース層20のロスコンプライアンスLCbより大きい。
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6は、架橋されたゴム組成物からなる。サイドウォール6は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール6は、カーカス10の外傷を防止する。
ビード8は、サイドウォール6から半径方向略内向きに延びている。ビード8は、コア26と、このコア26から半径方向外向きに延びるエイペックス28とを備えている。エイペックス28は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス28は、架橋されたゴム組成物からなる。エイペックス28は、高硬度である。
カーカス10は、カーカスプライ30からなる。カーカスプライ30は、トレッド4及びサイドウォール6の内面に沿って延在している。カーカスプライ30は、コア26の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。図示されていないが、カーカスプライ30は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト12は、カーカス10とトレッド4との間に位置している。ベルト12は、内側層32及び外側層34を備えている。内側層32の半径方向外側に外側層34が積層されている。この内側層32及び外側層34は、図示されていないが、コードとトッピングゴムとからなる。このコードの材質は、スチール又は有機繊維である。有機繊維の具体例としては、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維及びポリエチレンナフタレート繊維が挙げられる。
インナーライナー14は、カーカス10の内周面に接合されている。インナーライナー14は、架橋ゴムからなる。インナーライナー14には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー14は、タイヤ2の内圧を保持する役割を果たす。
チェーファー16は、ビード8の近傍に位置している。図示されないが、タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー16がリムと当接する。この当接により、ビード8の近傍が保護される。
この例示されたタイヤ2は、二輪自動車のリアホイールに装着されて使用される。このタイヤ2では、直進走行においてトレッド4のセンター領域Taが接地する。このタイヤ2では、センター領域Taのトレッド面18がベース層20により形成されているので直進安定性に優れている。このタイヤ2では、トレッド4の幅Wとセンター領域Taの幅Waとの比(Wa/W)は、好ましくは0.1以上であり、更に好ましくは0.15以上である。一方で、旋回走行においてショルダー領域Tbが接地する。ショルダー領域Tbのトレッド面18がトップ層24により形成されているので、走行初期のグリップ性に優れている。このタイヤ2では、この比(Wa/W)は、好ましくは0.3以下であり、更に好ましくは0.25以下である。
走行初期の旋回走行では、タイヤ2のトップ層24が接地する。このトップ層24のロスコンプライアンスLCtは大きい。トップ層24は走行初期から十分なグリップ性能を発揮する。このタイヤ2は、走行初期の旋回におけるグリップ性能に優れている。
走行初期のグリップ性能を発揮する観点から、このトップ層24のロスコンプライアンスLCtは、1.1(MPa−1)以上が好ましい。このロスコンプライアンスLCtは、更に好ましくは1.2(MPa−1)以上であり、特に好ましくは1.3(MPa−1)以上である。一方で、このロスコンプライアンスLCtが小さいトップ層24は、耐摩耗性に優れている。この観点からこのロスコンプライアンスLCtは、1.6(MPa−1)以下が好ましい。このロスコンプライアンスLCtは、更に好ましくは1.5(MPa−1)以下であり、特に好ましくは1.4(MPa−1)以下である。
このトップ層24の半径方向内側にミドル層22が配置されて、ショルダー領域Tbの剛性の向上に寄与している。この剛性の向上の観点から、このミドル層22のロスコンプライアンスLCmは、好ましくは1.1(MPa−1)以下であり、更に好ましくは1.05(MPa−1)以下であり、特に好ましくは1.0(MPa−1)以下である。一方で、このロスコンプライアンスLCmが大きいタイヤ2では、トップ層22が摩耗してミドル層24が接地したときも、十分なグリップ性能が発揮されうる。この観点から、このロスコンプライアンスLCmは、好ましくは0.8(MPa−1)以上であり、更に好ましくは0.85(MPa−1)以上であり、特に好ましくは好ましくは0.9(MPa−1)以上である。
更に、このミドル層22の半径方向内側にベース層20が配置されているので、ショルダー領域Tbの剛性が低下することが抑制されている。この観点から、このベース層20のロスコンプライアンスLCbは、好ましくは1.0(MPa−1)以下であり、更に好ましくは0.95(MPa−1)以下であり、特に好ましくは0.9(MPa−1)以下である。一方で、直進走行での十分なグリップ力を発揮させる観点から、このベース層20のロスコンプライアンスLCbは、好ましくは0.7(MPa−1)以上であり、更に好ましくは0.75(MPa−1)以上であり、特に好ましくは0.8(MPa−1)以上である。
ロスコンプライアンスLCtが大きいトップ層24は発熱性に優れている。このトップ層24は、温度を早期に上昇させる。このトップ層24の破壊エネルギーEtは、ミドル層22の破壊エネルギーEmより小さくされている。これにより、温度が上昇すると、このトップ層24の摩耗が促進される。このトップ層24が摩耗して、ミドル層22が接地する。このミドル層22の接地により、タイヤ温度が上昇した後も十分なグリップ性能が発揮される。このトップ層24を早期に摩耗させる観点から、この破壊エネルギーEtは、好ましくは2000(MPa・%)以下であり、更に好ましくは1800(MPa・%)以下であり、特に好ましくは1600(MPa・%)以下である。一方で、走行初期にトップ層24が接地して十分なグリップ性能を発揮する観点から、この破壊エネルギーEtは、好ましくは1000(MPa・%)以上であり、更に好ましくは1200(MPa・%)以上であり、特に好ましくは1400(MPa・%)以上である。
トップ層22が摩耗してミドル層24が接地したときも、十分なグリップ性能を発揮しうる観点から、ミドル層22の破壊エネルギーEmは、好ましくは2000(MPa・%)以上であり、更に好ましくは2200(MPa・%)以上であり、特に好ましくは2400(MPa・%)以上である。
図1の両矢印Ttは、トップ層24の厚さを示している。この厚さTtは、ショルダー領域Tbの軸方向中央で測られる。この厚さTtは、図1に示されるようにタイヤ2から切り出された断面において、トレッド面18の法線の方向に測られる。
このタイヤ2では、トップ層24の厚さTtが薄くされているので、早期にトップ層24が摩耗する。これにより、ミドル層22が接地して、初期走行後にも十分なグリップ性能を発揮しうる。このトップ層24の摩耗後にミドル層22を接地させる観点から、この厚さTtは、好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは0.4mm以下である。一方で、この厚さTtが厚いタイヤ2は、タイヤ温度が低い走行初期の状態で、このトップ層24が接地して、十分なグリップ性能を発揮しうる。この観点から、この厚さTtは、好ましくは0.1mm以上であり、更に好ましくは0.2mm以上である。
このタイヤ2は、タイヤ温度が低い走行初期から、その後のタイヤ温度が十分に上昇した後まで、高いグリップ性能を発揮する。更に、高いグリップ性能を発揮するとともに、剛性の低下が抑制されている。操縦安定性能及びショルダー領域の耐摩耗性の低下が抑制されている。
ロスコンプライアンスLCは、複素弾性率E*の2乗に対する損失弾性率E”の比(E”/(E*))で表される。本発明では、トップ層24のロスコンプライアンスLCtの算出には、「JIS K 6394」の規定に準拠して、下記の測定条件により、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所社製)を用いて計測された、トップ層24の100℃における複素弾性率E*及び損失弾性率E”が用いられる。
初期歪み:10%
振幅:±2.5%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:100℃
複素弾性率E*及び損失弾性率E”の測定には、トップ層24をなすゴム組成物から形成された試験片が用いられる。この試験片は板状であり、その長さは45mmであり、幅は4mmであり、厚みは2mmである。この試験片の両端部がチャックされて、測定がなされる。試験片の変位部分の長さは、30mmである。なお、ベース層20のロスコンプライアンスLCb及びミドル層22のロスコンプライアンスLCmも、このトップ層24のそれと同様にして算出される。この算出に用いられるベース層20及びミドル層22の100℃における複素弾性率E*及び損失弾性率E”の測定には、トレッド4のベース層20及びミドル層22をなすそれぞれのゴム組成物から形成された試験片が用いられる。
トップ層24の破壊エネルギーEtは、「JIS K6251」の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」の規定に準拠して、求められている。トップ層24のゴム組成物からゴムスラブシートを作製する。このゴムスラブシートを100℃で72時間熱老化させた後に、このゴムスラブシートから打ち抜いた試験片が得られる。この試験片の、引張強度(TB)と破断伸び(EB)とが測定される。この引張強度(TB)と破断伸び(EB)とから、以下の数式で、破壊エネルギーEtが求められる。
Et = (TB)・(EB)/2
ミドル層22の破壊エネルギーEmも、破壊エネルギーEtと同様にして、ミドル層22のゴム組成物から求められる。
図2には、本発明に係るタイヤ36の断面が示されている。このタイヤ36は、二輪自動車のフロントホイールに装着される。ここでは、タイヤ2と同様の構成についてその説明が省略される。このタイヤ36の説明において、タイヤ2と同様の構成は、タイヤ2と同じ符号を用いて説明がされる。このタイヤ36でも、直進走行においてトレッド4のセンター領域Taが接地する。この観点から、トレッド4の幅Wとセンター領域Taの幅Waとの比(Wa/W)は、好ましくは0.1以上であり、更に好ましくは0.15以上である。一方で、旋回走行においてショルダー領域Tbが接地する。この観点から、この比(Wa/W)は、好ましくは0.5以下であり、更に好ましくは0.45以下である。
このタイヤ36がフロントタイヤに使用されても、タイヤ温度が低い走行初期から、タイヤ温度が十分に上昇した後まで、高いグリップ性能を発揮しうる。更に、高いグリップ性能を発揮しうるとともに、剛性の低下が抑制されうる。このタイヤ36により、操縦安定性能の低下とショルダー領域の耐摩耗性の低下とが抑制されうる。
本発明では、特に言及がない限り、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された構造を備えたリアタイヤを得た。このタイヤサイズは、「190/50ZR17」である。このタイヤでは、トレッドのベース層の架橋ゴムのロスコンプライアンスLCbと、ミドル層の架橋ゴムのロスコンプライアンスLCm及び破壊エネルギーEmと、トップ層の架橋ゴムのロスコンプライアンスLCt及び破壊エネルギーEtとが表1に示すようにされた。ここでは、ロスコンプライアンスと破壊エネルギーの値は、比較例1のタイヤのそれぞれの数値を100としたときの指数として示されている。このタイヤのトップ層の厚さTtは、表1に示すようにされた。
[比較例1−3]
トップ層、ミドル層及びベース層の架橋ゴムが表1に示されるようにされた他は、実施例1と同様にしてタイヤが得られた。これらのタイヤでは、それぞれトップ層、ミドル層及びベース層の架橋ゴムは、同じ架橋ゴムからなっている。これらのタイヤは、実質的に単一の架橋ゴムからなるトレッドを備えている。
[実施例2−5]
トップ層、ミドル層及びベース層の架橋ゴムが表2に示されるようにされた他は、実施例1と同様にしてタイヤが得られた。
[実施例6]
トップ層の厚さTtが表2に示されるようにされた他は、実施例4と同様にしてタイヤが得られた。
[実施例7−11]
トップ層の厚さTtが表3に示されるようにされた他は、実施例1と同様にしてタイヤが得られた。
[実施例12]
図2に示された構造を備えたフロントタイヤを得た。このタイヤサイズは、「120/70ZR17」である。このタイヤでは、トレッドのベース層の架橋ゴムのロスコンプライアンスLCbと、ミドル層の架橋ゴムのロスコンプライアンスLCm及び破壊エネルギーEmと、トップ層の架橋ゴムのロスコンプライアンスLCt及び破壊エネルギーEtとが表4に示すようにされた。ここでは、ロスコンプライアンスと破壊エネルギーの値は、比較例4のタイヤのそれぞれの数値を100としたときの指数として示されている。このタイヤのトップ層の厚さTtは、表4に示すようにされた。
[比較例4−6]
トップ層、ミドル層及びベース層の架橋ゴムが表4に示されるようにされた他は、実施例12と同様にしてタイヤが得られた。これらのタイヤでは、それぞれトップ層、ミドル層及びベース層の架橋ゴムは、同じ架橋ゴムからなっている。これらのタイヤは、実質的に単一の架橋ゴムからなるトレッドを備えている。
[実施例13−16]
トップ層、ミドル層及びベース層の架橋ゴムが表5に示されるようにされた他は、実施例12と同様にしてタイヤが得られた。
[実施例17]
トップ層の厚さTtが表5に示されるようにされた他は、実施例15と同様にしてタイヤが得られた。
[グリップ性能評価]
排気量が1000ccのレース用二輪自動車に、試作タイヤが装着された。後輪のリム巾は6.0インチであり、前輪のリム巾は3.5インチであった。タイヤ空気圧は250kPaとした。実施例1−11及び比較例1−3のタイヤがリアホールに装着されたとき、前輪のタイヤは従来のタイヤをそのまま使用した。また、実施例12−17及び比較例4−6のタイヤがフロントタイヤに装着されたとき、後輪のタイヤは従来のタイヤをそのまま使用した。この二輪自動車を、サーキットコースを10周走行させ、グリップ性能をライダーに官能評価させた。この結果が、下記の表1から5に示されている。この評価は、リアタイヤでは比較例1のタイヤの初期走行での評価点を100点として、この評価点を基準に指数化されている。フロントタイヤでは比較例4のタイヤの初期走行での評価点を100点として、この評価点を基準に指数化されている。この数値は、数字が大きいほど評価が高い。
Figure 2014139031
Figure 2014139031
Figure 2014139031
Figure 2014139031
Figure 2014139031
表1から5に示されるように、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて、タイヤ温度が低い1周目からタイヤ温度が十分に上昇した後の10周目まで、グリップ性能に優れている。また、これらのタイヤでは、操縦安定性能及びショルダー領域の耐摩耗性の低下が抑制されていた。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るタイヤは、種々の二輪自動車に装着されうる。
2、36・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
14・・・インナーライナー
16・・・チェーファー
18・・・トレッド面
20・・・ベース層
22・・・ミドル層
24・・・トップ層
26・・・コア
28・・・エイペックス
30・・・カーカスプライ
32・・・内側層
34・・・外側層

Claims (5)

  1. トレッドを備えており、
    このトレッドが、軸方向において赤道面を含むセンター領域と、このセンター領域の軸方向外側に位置する一対のショルダー領域とを備えており、
    このショルダー領域が、ベース層と、このベース層の半径方向外側に積層されたミドル層と、このミドル層の半径方向外側に積層されたトップ層とを備えており、
    このトップ層の架橋ゴムのロスコンプライアンスLCtがミドル層のロスコンプライアンスLCmより大きくされており、このミドル層の架橋ゴムのロスコンプライアンスLCmがベース層の架橋ゴムのロスコンプライアンスLCbより大きくされており、
    このトップ層の架橋ゴムの破壊エネルギーEtがミドル層の架橋ゴムの破壊エネルギーEmより小さくされている二輪自動車用タイヤ。
  2. 上記トップ層の厚さが0.1mm以上0.5mm以下である請求項1に記載のタイヤ。
  3. 上記ベース層がセンター領域において路面に接地するトレッド面を形成している請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 上記トレッドの軸方向幅Wとセンター領域の軸方向幅Waとの比(Wa/W)が0.1以上0.3以下であり、
    リアホイールに装着される請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 上記トレッドの軸方向幅Wとセンター領域の軸方向幅Waとの比(Wa/W)が0.1以上0.5以下であり、
    フロントホイールに装着される請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ。
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